JP2700678B2 - ハロゲン化銀粒子の製造方法及び装置 - Google Patents

ハロゲン化銀粒子の製造方法及び装置

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JP2700678B2 JP32598088A JP32598088A JP2700678B2 JP 2700678 B2 JP2700678 B2 JP 2700678B2 JP 32598088 A JP32598088 A JP 32598088A JP 32598088 A JP32598088 A JP 32598088A JP 2700678 B2 JP2700678 B2 JP 2700678B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はハロゲン化銀粒子の製造方法及び装置に関す
る。さらに詳しくは、各々のハロゲン化銀結晶内のハラ
イド組成が完全に均一で、かつ粒子間のハライドの分布
がないハロゲン化銀粒子の製造方法及び装置に関する。
〔従来の技術〕
ハロゲン化銀粒子の形成は二つの主過程、すなわち核
形成と結晶成長から成っている。ジェームス(T.H.Jame
s)ザ・セオリー・オブ・ザ・フォトグラフィック・プ
ロセス 第4版(マクミラン社1977年発行)には、「核
形成は全く新しい結晶が生成し、結晶の数の急激な増加
が起こる過程である。成長は、既に存在している結晶に
新たな層が付加されることである。また上記核形成と結
晶成長の外に写真乳剤粒子形成のある条件下ではさらに
もう二つの過程、オストワルド熟成と再結晶化とが起こ
る。オストワルド熟成は比較的高い温度と溶剤の存在下
で粒子サイズ分布が広い場合に起こり易い。再結晶化
は、結晶組成が変化する過程である」と記載されてい
る。つまり、ハロゲン化銀粒子の形成においては、その
初期に核が形成され、その後の結晶成長においてはもっ
ぱら既にある核でのみ成長が起こる為、成長過程中の粒
子の数は増加することがない。
一般的にハロゲン化銀粒子は、反応容器中にコロイド
水溶液において、銀塩水溶液とハロゲン塩水溶液とを反
応させることにより製造される。反応容器中にゼラチン
のような保護コロイド及びハロゲン塩水溶液を入れ、攪
拌しながら、これに銀塩水溶液をある時間添加するシン
グルジェット法や、反応容器中にゼラチン水溶液を入
れ、ハロゲン塩水溶液と銀塩水溶液とをそれぞれある時
間添加するダブルジェット法が知られている。両者を比
較すると、ダブルジェット法の方が粒子径分布の狭いハ
ロゲン化銀粒子が得られ、さらに粒子の成長に伴って、
そのハライド組成を自由に変えることができる。
また、ハロゲン化銀粒子の核形成は、反応溶液中の銀
イオン(ハロゲンイオン)濃度、ハロゲン化銀溶剤の濃
度、過飽和度、温度などにより大きく変化することが知
られている。特に反応容器に添加される銀塩水溶液とハ
ロゲン塩水溶液によってつくり出される銀イオンあるい
はハロゲンイオン濃度の不均一は、各々の濃度により反
応容器内に過飽和度及び溶解度の分布を生じせしめ、そ
の為、核形成速度が異なり結果として生じたハロゲン化
銀結晶核に不均一を生ぜしめる。
この為には、反応容器中の銀イオンあるいはハロゲン
イオン濃度を均一にすべく、コロイド水溶液中に供給す
る銀塩水溶液とハロゲン塩水溶液とを迅速に均一混合し
て反応させることが必要である。従来のハロゲン塩水溶
液と銀塩水溶液とを反応容器中のコロイド水溶液の表面
に添加する方法では、各々の反応液の添加位置近傍にお
いて、ハロゲンイオン及び銀イオンの濃度の高い部分が
生じ、均一なハロゲン化銀粒子を製造することは困難で
あった。この局部的な濃度のかたよりを改良する方法と
して、米国特許3415650号、英国特許1323464号、米国特
許3692283号各明細書に開示された技術等が知られてい
る。これらの方法は、コロイド水溶液により満たされた
反応容器に中太円筒の壁にスリットを有する中空の回転
する混合器(内部はコロイド水溶液で満たされており、
より好ましくは混合器がディスクによって上下2室に分
割されている。)を、その回転軸が鉛直となるように設
け、その上下の開放端からハロゲン塩水溶液と銀塩水溶
液とを供給管を通じて高速回転している混合器内に供給
し急速に混合して反応せしめ(上下の分離ディスクがあ
る場合は、上下2室に供給されたハロゲン塩水溶液と銀
塩水溶液は各々各室に満たされたコロイド水溶液によっ
て希釈され、混合器の出口スリット付近で急速に混合し
て反応せしめ)、混合器の回転により生ずる遠心力で生
成したハロゲン化銀粒子は反応容器中のコロイド水溶液
に排出せしめハロゲン化銀を生成せしめる方法である。
一方、特公昭55−10545号公報には局部的な濃度のか
たよりを改良して不均一な成長を防ごうとする技術が開
示されている。この方法は、コロイド水溶液が満たされ
ている反応容器中に、その内部にコロイド水溶液が満さ
れた混合器のその開放された下端部から、ハロゲン塩水
溶液と銀塩水溶液とを供給管を通じて、別々に供給し、
該反応液を、混合器に設けられた下部攪拌翼(タービン
羽根)によって両反応液を急激に攪拌混合せしめハロゲ
ン化銀を成長させ、ただちに前記攪拌翼の上方に設けら
れた上記攪拌翼により成長したハロゲン化銀粒子を、上
方の混合器の開口部から反応容器中のコロイド水溶液に
排出せしめる技術である。
特開昭57−92523号公報には、同様にこの濃度の不均
一を改良しようとする製造法が開示されている。この方
法では、コロイド水溶液が満たされている反応容器中に
その内部にコロイド水溶液が満たされた混合器に、その
開放された下端部からハロゲン塩水溶液と銀塩水溶液と
を別々に供給し、核両反応液を前記コロイド水溶液によ
り希釈し、該反応液を混合器に設けられた下部攪拌翼に
よって両反応液を急激に攪拌混合せしめ、ただちに該混
合器上方の開放部から成長したハロゲン化銀粒子を反応
容器中のコロイド水溶液に排出せしめる製造法ないし装
置において前記コロイド水溶液で希釈された両反応液を
前記攪拌翼の各翼間の間隙を通すことなく前記混合器の
内側壁と前記攪拌翼の翼片先端側外方に形成された間隙
部に通し、該間隙部において該両反応液を急激に剪断混
合して反応させ、ハロゲン化銀粒子を生成せしめる製造
法及び装置が開示されている。
しかしながら、これまで述べてきた製造法及び装置で
は、確かに反応容器中の銀イオン及びハロゲンイオンの
局部的な濃度の不均一はかなり解消することはできる
が、混合器内においては依然としてこの濃度の不均一は
存在し、特に銀塩水溶液及びハロゲン塩水溶液を供給す
るノズルの近傍及び攪拌翼の下部及び攪拌部分において
かなり大きな濃度分布が存在する。さらに保護コロイド
と共に混合器に供給されたハロゲン化銀粒子は、このよ
うな不均一な濃度分布をもった場所を通過し、特に大切
なことは、ハロゲン化銀粒子は、これらの部分において
急速に成長する。つまりこれらの製造法及び装置におい
ては、濃度分布は混合器内に存在し、粒子成長はその混
合器内で急速に起こる為、濃度分布のない状態でハロゲ
ン化銀に均一に核形成及び結晶成長せしめるという目的
は達し得ていない。
さらにより完全な混合によるこれらの銀イオン、ハロ
ゲンイオンの濃度の不均一分布を解消すべく、反応容器
と混合器をそれぞれ独立せしめ、混合器に銀塩水溶液と
ハロゲン塩水溶液を供給し急速混合してハロゲン化銀粒
子を形成せしめる試みがなされてきた。例えば特開昭53
−37414号及び特公昭48−21045号各公報には、反応容器
の底からポンプにより反応容器内の保護コロイド水溶液
(ハロゲン化銀粒子を含む)を循環し、この循環系の途
中に混合器を設け、この混合器に銀塩水溶液及びハロゲ
ン水溶液を供給し、該混合器で急速に該両水溶液を混合
しハロゲン化銀粒子を形成せしめる製造方法及び装置が
開示されている。また米国特許3897935号明細書には、
反応容器の底からポンプにより反応容器内の保護コロイ
ド水溶液(ハロゲン化銀粒子を含む)を循環し、この循
環系の途中にハロゲン塩水溶液及び銀塩水溶液をポンプ
により注入する方法が開示されている。特開昭53−4739
7号公報には、反応容器からポンプにより反応容器内の
保護コロイド水溶液(ハロゲン化銀乳剤を含む)を循環
させ、その循環系にまずハロゲン化アルカリ金属塩水溶
液を注入しそれが均一になるまで拡散させしかる後に、
この系に銀塩水溶液を注入し混合して、ハロゲン化銀粒
子を形成することを特徴とする製造法及び装置が開示さ
れている。
〔発明が解決しょうとする課題〕
しかしながら、これ等の方法では確かに、循環系に流
す反応容器内の水溶液の流量と混合器の攪拌効率を独立
に変化させることができ、より濃度分布が均一な条件で
粒子形成を行うことができるであろうが、結局、保護コ
ロイド水溶液と共に反応容器から送られてきたハロゲン
化銀結晶は銀塩水溶液、ハロゲン塩水溶液の注入入口で
急速成長を起す。従って前に述べたと同様に混合部ある
いは注入口付近の濃度分布を無くすることは原理的に不
可能であり、つまり濃度分布のない状態でハロゲン化銀
を均一に形成せしめる目的は達し得なかった。
本発明の目的は、従来の製造方法及び装置が有する濃
度(銀イオン及びハロゲンイオン)の不均一な場におけ
るハロゲン化銀粒子の核形成及び/または結晶成長、そ
してそれによって不均一な乳剤粒子(粒子サイズ、晶
癖、粒子間及び粒子内のハロゲン分布、粒子間及び粒子
内の還元銀核の分布)が得られるという問題を解決する
ことにある。
本出願人は先に、本発明の目的に添ってハロゲン化銀
粒子形成の過程においてハロゲン化銀粒子の核形成また
は結晶成長を起こさせる反応容器の外に混合器を設け、
該混合器に水溶性銀塩の水溶液と水溶性ハライドの水溶
液を供給して混合し、ハロゲン化銀微粒子を形成し、た
だちに該微粒子を反応容器または保護コロイド水溶液を
有する反応容器内に供給し、該反応容器中で「ハロゲン
化銀粒子の該形成を行わせる方法」(特願昭63−195778
号)及び「ハロゲン化銀粒子の結晶成長を起こさせる方
法」(特願昭63−7851号)を提案した。しかしながらこ
れらの方法は混合器での微粒子形成後、反応容器に添加
する液には水、及び、水に可溶性のカリウムイオン、硝
酸イオンを多く含んでいるので、反応容器における仕込
回数の増及び脱塩・脱水の回数増より仕込みの得率の低
下を余儀無くさせられていた。本発明はそれらの発明の
改良に関するものである。即ち、水等を除去する事で仕
込み単位当りの得量を向上させる、又、反応容器に添加
する以前に希釈水を除去出来るので、微粒子形成では逆
に微細な粒子形成のために有効な希釈率を上げることが
出来、結果的に以前より細かい粒子形成を可能とするこ
とである。
〔課題を解決するための手段及び作用〕
即ち、本発明の上記目的は (1) ハロゲン化銀粒子の核形成及び/または結晶成
長を起こさせる反応容器の外に混合器を設け、該混合器
に水溶性銀塩の水溶液と水溶性ハライドの水溶液の流量
をコントロールしつつ供給し、かつ該混合器の攪拌機羽
根の回転数をコントロールしつつ混合し、ハロゲン化銀
粒子を形成し、直ちに該微粒子を反応容器に供給する途
中で、該微粒子を含む液から水及び水溶性化合物の一部
を除去した濃縮液を反応容器に供給することを特徴とす
るハロゲン化銀粒子の製造方法。
(2) ハロゲン化銀粒子の核形成及び/または結晶成
長を起こさせる反応容器と、該反応容器の外に設けた混
合器と、該混合器に水溶性銀塩の水溶液と水溶性ハライ
ドの水溶液の流量をコントロールしつつ供給する手段
と、かつ該混合器の攪拌機の羽根の回転数をコントロー
ルする手段と、該混合器中の生成物が直ちに該反応容器
に供給されるべく接続した配管に該混合器中での生成物
内に含まれる水及び水溶液化合物の一部を除去する濃縮
手段を設けたことを特徴とするハロゲン化銀粒子の製造
装置。
によって達成される。
即ち本発明は反応容器の系外に設けた混合器内で粒子
形成を行った後、反応容器に添加するまでの間に水、及
び、水に可溶性のハロゲンイオン、硝酸イオン等を限外
濾過膜,半透膜等を使用して一部除去濃縮することにあ
る。更に除去効率を高める為には、膜内の圧力を検出
し、コントロール弁により圧力コントロールを行った
り、あるいは一定量を除去する為、膜から流出する流量
を測定し、コントロール弁の開度コントロールを行うこ
とが有効である。
本発明でいう該とは、既に述べてきたように乳剤粒子
形成中でそのハロゲン化銀結晶の数が変動している過程
の粒子を言うものであり、ハロゲン化銀結晶の数が変わ
らず専ら核に成長が起こるのみである過程は成長のみ起
こっている粒子と言う。
核形成過程においては新しい核の発生あるいは既にあ
る核の消滅、さらに核の成長が同時に起こる。
本発明による核形成及び/または結晶成長を実施する
際、重要なことは反応容器には銀塩水溶液及びハロゲン
塩水溶液の添加は全く行われず、さらに反応容器内の保
護コロイド水溶液(ハロゲン化銀粒子を含む)の混合器
への循環も全く行わないことである。かくして本方法は
従来行われてきた方法と全く異なるものであり、均一な
ハロゲン化銀粒子を得る為の新規でかつ画期的な方法で
ある。
次に本発明によるハロゲン化銀粒子の製造方法及び装
置のシステム図を第1図に示す。
第1図では、まず反応容器1は保護コロイド水溶液2
を含有している。保護コロイド水溶液は、回転シャフト
にとりつけられたプロペラ3によって攪拌混合される。
反応容器1の外の混合器7に銀塩水溶液、ハロゲン塩水
溶液、及び保護コロイド水溶液を各々添加系、4、5及
び6にて導入する。この際、前記水溶性銀塩の水溶液と
前記水溶性ハライドの水溶液は予め保護コロイド水溶液
6で希釈した後混合器9に供給してもよい。混合器内で
これらの溶液を急速かつ強力に混合して、ただちに反応
容器への導入系8によって反応容器1に導入する。途中
で該微粒子を含む液から、水及び水溶性化合物の一部を
濃縮手段12により除去した濃縮液を反応容器1に供給す
る。
第2図に混合器7の詳細を図示する。この混合器7は
その中に反応室10が設けられ、その反応室10の中に回転
シャフト11にとりつけられた攪拌翼9が設けられてい
る。銀塩水溶液、ハロゲン塩水溶液及び保護コロイド水
溶液は3つの導入口(4、5、もう一つの導入口は図面
から省略した。)から反応室10に添加される。回転シャ
フトを高速で回転する(1000r.p.m以上、好ましくは200
0r.p.m以上、より好ましくは3000r.p.m以上)ことによ
り、急速かつ強力に混合し生成した極く微細な粒子を含
む溶液は、ただちに反応容器への導入系8から反応容器
1内に導入される。
この際、銀塩水溶液,ハロゲン塩水溶液,及び保護コ
ロイド水溶液はそれぞれの調製タンク,14,15,16から流
量系それぞれ13a,13b,13cを径で流量制御用送液ポンプ1
7a,17b,17cによって混合器に送られている。
かくして混合器7で反応して生成した極く微細な粒子
は反応容器1に導入される途中で混合器内での生成物
(微細な粒子)内に含まれる水及び水溶性化合物の一部
を除去する濃縮手段,例えば限外濾過装置又は半透膜を
用いた装置12を通すことによって水及び水溶性化合物の
一部が除去され濃縮化された後、反応容器に導入され
る。この装置のコントロールの方法としては、この装置
の内圧、あるいは、この装置で除去される液流量を検出
し、これ等の値が所定の条件になる様に、この装置の後
ろに設けたコントロール弁20により流量コントロールを
行う。この圧力検出器18には圧力計、圧力センサー、流
量検出器19にはオーバル流量計、電磁流量計等が有効で
ある。この様にして形成された微粒子を反応容器1に供
給し、粒子成長を行い所望のハロゲン化銀粒子の形成を
行う。
混合器から反応装置に導入された微粒子は粒子サイズ
が微細である為、容易に溶解し再び銀イオンとハロゲン
イオンとなり、均一な核形成及び/または結晶成長を起
せしめる。この極く微細な粒子のハライド組成は目的と
するハロゲン化銀粒子のハライド組成と同一にしてお
く。反応容器1内に導入された極微粒子は、反応容器内
の攪拌によって、反応容器1内にばらまられ、かつ個々
の微細粒子から、目的のハライド組成のハロゲンイオン
と銀イオンが放出される。ここで混合器7で発生した粒
子は極く微細であり、その粒子数は非常に多く、そのよ
うな非常に多数の粒子から、各々銀イオン及びこの装置
のコントロールの方法としては、ハロゲンイオン(混晶
成長の場合、目的のハロゲンイオン組成になってい
る。)が放出され、かつそれが反応容器1中の保護コロ
イド全体に亘って起こる為、全く均一な核形成及び/ま
たは結晶成長を起こすことができる。大切なことは銀イ
オン及びハロゲンイオンは、水溶液としては、決して反
応容器1に添加しないこと及び反応容器1内の保護コロ
イド溶液を混合器7に循環しないことである。ここにお
いて従来の方法とは全く異なり、本発明がハロゲン化銀
粒子の核形成及び/または均一成長において驚くべき効
果を挙げることができる。
混合器で形成された微粒子は、その溶解度が粒子サイ
ズが微細である故非常に高く、反応容器に添加されると
溶解し、再び銀イオン及びハロゲンイオンとなり、反応
容器中に導入された微粒子のごく一部の粒子に沈積しハ
ロゲン化銀核粒子を形成したり、反応容器内の粒子に沈
積し粒子成長を起すがその際、微粒子はその溶解度が高
い故に微粒子同志でいわゆるオストワルド熟成を起し
て、その粒子サイズが増大してしまう。
その際、反応容器に導入される微粒子のサイズが大き
くなってしまうと、それだけ溶解度が低下し、反応容器
中での溶解が遅くなり、核形成の速度が著しく低下しあ
る場合には最早溶解することができなくなり、その為、
有効な核形成を行うことができなくなってしまうし、逆
にそれ自身が核となって成長を起こしてしまう。
本発明においては以下の三つの技術によってこの問題
を解決した。
混合器で微粒子を形成した後、ただちにそれを反応
容器に添加する。
後述するように、従来、あらかじめ微粒子を形成し微
粒子乳剤を得た後それを再溶解し、溶解した微粒子乳剤
を、核となるハロゲン化銀粒子を保持しかつハロゲン化
銀溶剤の存在する反応容器に添加し、粒子形成を起せし
めることは知られている。しかしながら、かかる方法で
は、いったん生成した極めて微細な粒子は、粒子形成過
程、水洗過程、再分散過程、及び再溶解過程においてオ
ストワルド熟成を起してしまいその粒子サイズが増大し
てしまう。
本発明においては反応容器のごく近くに混合器を設け
かつ混合器内の添加液の滞留時間を短くすることによ
り、従って生成した微粒子をただちに反応容器に添加す
ることによりこのオストワルド熟成が起らないようにし
た。具体的には混合器に添加された液の滞留時間tは下
記であらわされる。
v:混合器の反応室の体積(ml) a:硝酸銀溶液の添加量(ml/min) b:ハロゲン塩溶液の添加量(ml/min) c:保護コロイド溶液の添加量(ml/min) (但し、本発明の場合はcはa,b,の予め希釈用として
用いられた量を含む) 本発明の製造法においてはtは10分以下、好ましくは
5分以下、より好ましくは1分以下、さらに好ましくは
20秒以下である。かくして混合器で得られた微粒子はそ
の粒子サイズが増大することなく、ただちに反応容器に
添加される。
上記の観点より本発明における水溶性銀塩の水溶液と
水溶性ハライドの水溶液の流量コントロールは重要な役
目を果す。
混合器で強力かつ効率のよい攪拌を行う。
ジェームス(T.H.James)ザ・セオリー・オブ・ザ・
フォトグラフィック・プロセス p.93には、「オストワ
ルド熟成と並んでもう一つの形態は擬集(coalescenc
e)である。コアレッセンス熟成ではその前には遠く離
れていた結晶が直接、接触、ゆ着してより大きな結晶が
生成するので粒子サイズが突然変化する。オストワルド
熟成の両方とも沈積の終了後のみでなく、沈積中にも起
る。」ここに述べられているコアレッセンス熟成は特に
粒子サイズが非常に小さいときに起こり易く、特に攪拌
が不充分である場合起こり易い。極端な場合は、粗大な
塊状の粒子を作ることすらある。本発明においては第2
図に示すように密閉型の混合器を用いている為、反応室
の攪拌翼を高い回転数で回転させることができ従来のよ
うな開放型の反応容器ではできなかった(開放型では、
高回転で攪拌翼を回転させると延伸力で液がふりとばさ
れ、発泡の問題もからんで、実用できない。)強力かつ
効率のよい攪拌混合を行うことができ上記のコアレッセ
ンス熟成を防止でき、結果として非常に粒子サイズの小
さい微粒子を得ることができる。本発明においては攪拌
翼の回転数は1000r.p.m以上、好ましくは2000r.p.m以
上、より好ましくは3000r.p.m以上である。
従って、本発明における混合器の攪拌羽根の回転数の
コントロールは重要な役目を果たす。
保護コロイド水溶液の混合器への注入 前述のコアレッセンス熟成はハロゲン化銀微粒子の保
護コロイドによって顕著に防ぐことができる。本発明に
おいては保護コロイド水溶液の混合器への添加は下記の
方法が考えられる。
a 保護コロイド水溶液を単独で混合器に注入する。
保護コロイド濃度は0.2重量%以上、好ましくは0.5重
量%がよく、流量は、硝酸銀溶液とハロゲン塩水溶液の
流量の和の少くとも20%、好ましくは少くとも50%、よ
り好ましくは100%以上である。本発明においてはこの
方法を採用した。
b ハロゲン塩水溶液に保護コロイドを含有せしめる。
保護コロイドの濃度は、0.2重量%以上、好ましくは
0.5重量%以上である。
c 硝酸銀水溶液に保護コロイドを含有せしめる。
保護コロイドの濃度は0.2重量%以上、好ましくは0.5
重量%以上である。ゼラチンを用いる場合、銀イオンと
ゼラチンでゼラチン銀を作り、光分解及び熱分解して銀
コロイドを生成する為、硝酸銀溶液と保護コロイド溶液
は使用直前に混合する方がよい。
また、上記のa〜cの方法は、a単独で用いてもよい
し:それぞれaとb,aとcを組み合わせてもよく、ま
た、同時にa,b,c三つを用いてもよい。本発明に用いら
れる保護コロイドとしては、通常ゼラチンを用いるが、
それ以外の親水性コロイドも用いることができ、具体的
にはリサーチ・ディスクロージャー誌第176巻、No.1764
3(1978年12月)のIX項に記載されている。
かくして〜の技術によって得られる粒子サイズ
は、粒子をメッシュにのせそのまま透過型電顕によって
確認でき、倍率は2万倍から4万倍がよい。本発明の微
粒子のサイズは0.06μm以下、好ましくは0.03μm以
下、より好ましくは0.01μm以下である。
米国特許第2146938号明細書には、吸着物を吸着しな
い粗粒子と、同様に吸着物を吸着していない微粒子を混
合あるいは、微粒子乳剤をゆっくり粗粒子乳剤に加える
ことで粗粒子乳剤の成長を行う方法が開示されている。
ここでは微粒子乳剤はあらかじめ作られた乳剤を添加す
るものであり、本方法とは全く異なる。
特開昭57−23932号公報には、成長禁止剤の存在下で
調製した微粒子乳剤を水洗、分散して、さらに再溶解し
て、成長すべき乳剤粒子に添加して粒子成長を行なう方
法が開示されている。しかしこの方法も前記と同様本発
明の方法とは全く異なる。
ジェームス(T.H.James)、ザ・セオリー・オブ・ザ
・フォトグラフィック・プロセス 第4版には微細な粒
子としてリップマン乳剤(Lippmann Emulsion)が引用
され、その平均サイズ0.05μmであると記載されてい
る。粒子サイズ0.05μm以下の微粒子を得ることは、可
能であるが、たとえ得られても不安定で容易にオストワ
ルド熟成によって粒子サイズが増加してしまう。特開昭
57−23932号公報の方法のように吸着物を吸着させると
このオストワルド熟成はある程度防がれるが、その分、
微粒子の溶解速度も減少し本発明の意図に反することに
なる。
米国特許第3317322号及び米国特許第3206313号各明細
書には、平均粒子径が少くとも0.8μmの化学増感が施
されたコアーとなるハロゲン化銀粒子乳剤に平均粒子径
が0.4μm以下の化学増感していないハロゲン化銀粒子
乳剤を混合し、熟成することにより、シェルを形成する
方法が開示されている。しかしこの方法も、微粒子乳剤
はあらかじめ調製された乳剤を使用し、さらに二つの乳
剤を混合して熟成することから本発明の方法とは全く異
なる。
特開昭62−99751号公報には、平均直径範囲0.4〜0.55
μmでアスペクト比が8以上、さらに特開昭62−115435
号公報には、平均直径範囲0.2〜0.55μmの臭化銀及び
ヨウ臭化銀平板状ハロゲン化銀粒子を含む写真要素が開
示されているが、その実施例においてヨウ臭化銀平板状
粒子の成長に際し、硝酸銀水溶液と臭化カリウム水溶液
をダブルジェットで反応器に保護コロイド(骨ゼラチ
ン)の存在下で添加しヨウドはヨウ化銀(AgI)乳剤
(粒子サイズ約0.05μm、骨ゼラチン40g/Agモル)を同
時に添加して供給することにより、ヨウ臭化銀平板状粒
子を成長せしめる技術が開示されている。この方法で
は、ヨウ化銀微粒子の添加と同時に硝酸銀水溶液と臭化
カリウム水溶液の反応容器への添加を行っており、本発
明の方法とは全く異なる。
特開昭58−113927号公報において(p.p. 207)、
「銀、臭化物及びヨウ化物塩を分散媒に懸濁せる微細な
ハロゲン化銀の形態で、当初にまたは成長段階で導入す
ることができる。すなわち、臭化銀、ヨウ化銀及び/ま
たはヨウ臭化銀粒子を導入することができる」と記載さ
れている。
しかしながら、この記載は微粒子乳剤を、ハロゲン化
銀形成に用いるという一般的な記述にすぎず、さらに本
発明の開示する方法及びシステムを示すものではない。
特開昭62−124500号公報には、あらかじめ調製した極
めて微細な粒子を用いて反応容器中のホスト粒子を成長
せしめる実施例が記載されているが、この方法もあらか
じめ調製された微粒子乳剤を添加する方法であり、本発
明の方法とは全く異なる。
これまで述べて来た従来の方法は、微粒子乳剤をあら
かじめ調製し、その乳剤を再溶解して用いる為、粒子サ
イズの小さい微粒子を得ることができない。従ってこれ
らの比較的サイズの大きい微粒子は反応容器で迅速に溶
解することができず、溶解を完全に終了する為に非常に
長い時間を要したり、あるいは多量のハロゲン化銀溶剤
を使用せざるを得なくなる。このような状況において
は、容器内の成長すべき粒子にとっては非常に低過飽和
での核形成が行われることになり、その結果として、核
及び/または結晶粒子のサイズ分布が顕著に広がってし
まい、従って出き上がりの粒子のサイズ分布が広がり写
真階調の低下、化学増感の不均一(大きなサイズの粒子
と小さなサイズの粒子を同時に最適に化学増感できな
い)による感度低下、カブリの上昇、粒状性の悪化等の
性能の低下を来たす。さらに従来の方法では、粒子形
成、水洗、分散、冷却、貯蔵、再溶解といういくつかの
過程があり、製造上のコストも高くかつ乳剤の添加は、
他の溶液と比べて添加系の制約も多い。これらの問題点
は本発明の方法によって解決される。すなわち本発明の
方法により、非常に微細な粒子が反応容器に導入される
為、その微粒子の溶解度が高く、従ってその溶解速度も
速く反応容器内の成長すべき粒子は高過飽和の条件のも
とで核形成及び/または結晶成長する。従ってでき上が
った核及び/または結晶粒子のサイズ分布は広がること
がない。さらに混合器で生成した微粒子はそのまま反応
容器に添加される為、製造コスト上の問題も全くない。
本発明の方法においては、ハロゲン過銀溶剤を反応容
器に添加して使用すれば、さらに高い微粒子の溶解速度
及びさらに高い反応容器内の粒子の核形成速度及び/ま
たは成長速度を得ることができる。
ハロゲン化銀溶剤としては、水溶性臭化物、水溶性塩
化物、チオシアン酸塩、アンモニア、チオエーテル、チ
オ尿素類などを挙げることができる。
例えばチオシアン酸塩(例えば米国特許第2222264
号、同第2448534号、同第3320069号明細書など)、アン
モニア、チオエーテル化合物(例えば米国特許第327115
7号、同第3574628号、同第3704130号、同第4297439号、
同第4276345号核明細書など)、チオン化合物(例えば
特開昭53−144319号、同53−82408号、同55−77737号各
公報など)、アミン化合物(例えば特開昭54−100717号
公報)チオ尿素誘導体(例えば特開昭55−2982号公報)
イミダゾール類(例えば特開昭54−100717号公報)、置
換メルカプトテトラゾール(例えば特開昭57−202531号
公報)などを挙げることができる。
本発明の方法によれば、混合器への銀イオン及びハラ
イドイオンの供給速度は自由に制御することができる。
一定の供給速度でもよいが好ましくは添加速度を増大さ
せる方がよい。その方法は特公昭48−26890号、同52−1
6264号各公報に記載されている。さらに本発明の方法に
よれば成長中のハロゲン組成を自由に制御することがで
き例えばヨウ臭化銀の場合、一定のヨウ化銀含量を保っ
たり、連続的にヨウ化銀含量増加させたり、減少せしめ
たり、ある時点でヨウ化銀含量を変更することが可能と
なる。
混合器における反応の温度は60℃以下がよいが好まし
くは50℃以下、より好ましくは40℃以下が好ましい。
35℃以下の反応温度においては、通常のゼラチンで
は、凝固しやすくなる為、低分子量のゼラチン(平均分
子量30000以下)を使用することが好ましい。
本発明で用いられる低分子量ゼラチンは、通常、次の
ようにして作ることができる。通常用いられる平均分子
量10万のゼラチンを水に溶かし、ゼラチン分解酵素を加
えて、ゼラチン分子を酵素分解する。この方法について
は、R.J.Cox. Photographic Gelation II,Academic Pr
ess,London,1976年、P.233〜251、P.335〜346の記載を
参考にすることができる。この場合、酵素が分解する結
合位置は決っている為、比較的分子量分布の狭い低分子
量ゼラチンが得られ、好ましい。この場合、酵素分解時
間を長くする程、より低分子量化する。その他、低pH
(pH1〜3)もしくは高pH(pH10〜12)雰囲気下で加熱
し、加水分解する方法もある。
反応容器内の保護コロイドの温度は40℃以上がよいが
好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上である。
本発明において核形成中及び/または結晶成長中に
は、反応容器には銀塩水溶液及びハロゲン塩水溶液の添
加は全く行わないが、核形成に先立って反応容器内の溶
液のpAgを調節する為に、ハロゲン塩水溶液または銀塩
水溶液を添加することができる。また核形成中の反応容
器内の溶液のpAgを調節する為、ハロゲン塩水溶液また
は銀塩水溶液を添加(一時的にあるいは連続的に)する
ことができる。必要に応じて反応容器内のpAgを一定に
保つべく謂るpAgコントロール・ダブルジェットによっ
てハロゲン塩水溶液あるいは銀塩水溶液の添加を行うこ
とができる。
本発明のコントロール方法は種々の乳剤の製造におい
て非常に有効である。
混晶粒子(Mixed Crystal)であるヨウ臭化銀、ヨウ
臭塩化銀、ヨウ塩化銀の塩臭化銀のハロゲン化銀粒子の
核形成及び/または結晶成長においては、従来の製造方
法によって製造するとハライドの微視的な不均一が生
じ、それは例え均一なハライド分布を得るような製造方
法、つまり一定のハライド組成のハロゲン塩水溶液と銀
塩水溶液を反応器に添加して核形成及び/または結晶成
長を行っても、避け得ない。この微視的なハライドの不
均一分布は、透過型電子顕微鏡を用いてハロゲン化銀粒
子の透過像を観察すれば容易に確認することができる。
たとえば、ハミルトン(J.F.Hamilton)フォトグラフ
ィック・サイエンス・アンド・エンジニアリング 11
巻、1967 p.57や塩沢猛公日本写真学会 35巻4号 19
72 p.213に記載の低温での透過型電子顕微鏡を用いた
直接的な方法により観察することができる。すなわち、
乳剤粒子がプリントアウトしないよう安全光下で取り出
したハロゲン化銀粒子を電子顕微鏡観察用のメッシュに
のせ、電子線による損傷(プリントアウト等)を防ぐよ
うに液体チッ素あるいは液体ヘリウテムで試料を冷却し
た状態で透過法により観察を行う。
ここで電子顕微鏡の加速電圧は高い程鮮明な透過像が
得られるが粒子厚さ0.25μmまでは200Kvolt、それ以上
の粒子厚さに対しては、1000Kvoltが良い。加速電圧が
高い程、照射電子線による粒子の損傷が大きくなるので
液体チッ素より液体ヘリウムで試料を冷却した方が望ま
しい。
撮影倍率は試料となる粒子サイズによって、適宜変更
し得るが、2万倍から4万倍である。
単一のハライドから成るハロゲン化銀においては当然
ハライド分布の不均一は有り得ず、従って透過型電子顕
微鏡写真はフラットな像が得られるのみであるが、一方
複数のハライドからなる混晶の場合は非常にこまかな年
輪状の縞模様が観察される。
例えばヨウ臭化銀平板状粒子の透過型電子顕微鏡写真
を撮影するとヨウ臭化銀相の部分に非常にこまかな年輪
状の縞模様が観察される。ここで平板状粒子は、臭化銀
平板粒子をコアーとし、さらにヨウ化銀10モル%のヨウ
臭化銀のシエルをコアーの外側に形成したものであり、
その構造は、この透過型電子顕微鏡写真で明確に知るこ
とができる。すなわち、コアー部は臭化銀であり当然均
一であるから、均一なフラットな像が得られるのみであ
るが、一方ヨウ臭化銀相には、非常にこまかな年輪状の
縞模様が明確に確認できる。
この縞模様の間隔は非常にこまかく100Åのオーダー
かそれ以下であり、非常に微視的な不均一性を示してい
ることが解る。
この非常にこまかな縞模様がハライド分布の不均一性
を示すことは種々の方法で明らかにできるが、より直接
的には、この粒子をヨードイオンがハロゲン化銀結晶内
を移動できる条件でアニール(annealing)してやると
(例えば250℃、3時間)、この縞模様が全く消失して
しまうことから、明らかに結論できる。
年輪状の縞模様は本発明の方法に従って調製された平
板状粒子には全く観察されず、完全に均一なヨウ化銀分
布をもつハロゲン化銀粒子が得られる。ヨウ化銀の含む
相の粒子内の位置は、ハロゲン化銀粒子の中心部であっ
てもよいし、粒子ぜん体に亘ってもよいし、また外側部
であってもよい。またヨウ化銀の存在する相は1つであ
ってもよいし複数であってもよい。
これらについては特願昭63−7851号、同63−8752号、
同63−7853号に詳細が記述されている。これらの発明は
粒子成長に関するものであるが、同様のことが核形成に
おいてその効果が本発明によって示されたことになる。
本発明のコントロール方法を用いて製造される乳剤粒
子に含まれるヨウ臭化銀相あるいはヨウ塩臭化銀相のヨ
ウ化銀含量は、2〜45モル%であり好ましくは5〜35モ
ル%である。トータルのヨウ化銀含量は、2モル%以上
であるが、より効果があるのは5モル%以上である。さ
らに好ましくは7モル%以上、特に好ましくは、12モル
%以上である。
本発明の方法は、また、塩臭化銀粒子の製造において
も有用であり、臭化銀(塩化銀)の分布が完全に均一な
塩臭化銀粒子を得ることができる。塩化銀含量は10モル
%以上であり好ましくは20モル%以上である。
さらに本発明の方法は、純臭化銀、純塩化銀の製造に
おいても、非常に有効である。従来の製造方法によれ
ば、反応容器内の銀イオン及びハロゲンイオンの局所的
な分布の存在が不可避であり、反応容器内のハロゲン化
銀粒子は、そのような局所的な不均一部分を通過するこ
とで他の均一部分とは異った環境におかれることとな
り、それによって成長の不均一性を生ずることは勿論、
例えば、銀イオンの高濃度部分では還元銀あるいはカブ
リ銀が生成されてしまう。従って臭化銀、塩化銀におい
ては、確かにハライドの不均一分布はあり得ないが前に
述べた別の不均一性を生じてしまう。この問題点は、本
発明の方法によれば、完全に解決できる。本発明のハロ
ゲン化銀粒子は、当然表面潜像型乳剤に用いることがで
きるが、本方法により、内部潜像形成型、直接反転乳剤
に用いることもできる。
一般に、内部潜像形成型ハロゲン化銀粒子は下記の点
で表面潜像形成型粒子に対し優位点をもつ。
ハロゲン化銀結晶粒子には空間電荷層が形成されて
おり、光吸収で発生した電子は粒子内部に向い、正孔は
表面に向う。従って、潜像サイト(電子トラップサイ
ト)つまり感光核を粒子内部に設けておけば、再結合が
防がれ高い効率で潜像形成を行うことができ高い量子感
度を実現できる。
感光核は粒子内部に存在する為、、水分や酵素の影
響を受けることがなく、保存性に優れる。
露光によんで形成された潜像も内部に存在する為、
水分や酵素の影響を受けることがなく潜像安定性も非常
に高い。
増感色素を粒子表面に吸着させ、乳剤を色増感した
際、光吸収サイト(表面の増感色素)と潜増サイト(内
部の感光核)が分離されており、その為、色素正孔と電
子の再結合が防がれいわゆる色増感における固有減感が
起らず、高い色増感感度を実現することができる。
このように内部潜増形成型粒子は、表面潜像形成型粒
子に比較し有利な点を有するが、一方、感光核を粒子内
部にくみこむことに困難性をもっている。感光核の粒子
内くみこみの為に、いったんコアーとなる粒子を形成し
た後、化学増感を施こしてコアー表面上に感光核を形成
する。さらにその後、ハロゲン化銀をコアー上に沈積せ
しめ、いわゆるシエルの形成を行う。しかしながらコア
ーの化学増感によって得られたコアー粒子表面上の感光
核はシエル形成時に変化しやすく往々にして内部カブリ
に変換し易い。この原因の一つにコアー上のシエル形成
が、従来のように濃度(銀イオン濃度、ハロゲンイオン
濃度)の不均一部分で起るとダメージを受け、感光核が
カブリ核に変化し易いと考えられる。本発明の方法を用
いれば、この問題点が解決され内部カブリの非常に少な
い内部潜像形成型ハロゲン化銀乳剤を得ることができ
る。内部潜像形成型ハロゲン化銀粒子としては、正常晶
及び平板状粒子が好ましく、また臭化銀、ヨウ臭化銀及
び塩化銀含量が30モル%以下の塩臭化銀、塩ヨウ臭化銀
であるが、好ましくはヨウ化銀含量が10モル%以下のヨ
ウ臭化銀である。
この場合のコア/シエルのモル比は任意でよいが、好
ましくは1/2以下、1/20以上でありより好ましくは1/3〜
1/10である。
また内部化学増感核のかわりに、あるいはそれと併用
して内部に金属イオンをドープすることができる。この
ドープする位置はコアーでも良いし、コア−/シエル界
面でもよいしシエルでもよい。
金属ドーパントとしては、カドミウム塩、鉛塩、タリ
ウム塩、エルビウム塩、ビスマス塩、イリジウム塩、ロ
ジウム塩、又はその錯塩が用いられる。金属イオンは通
常、ハロゲン化銀1モルに対して10-6モル以上の割分で
使用する。
本発明によって得られたハロゲン化銀核粒子はその後
成長を行わしめることにより目的のサイズ及び目的のハ
ロゲン組成をもったハロゲン化銀粒子に成長する。
特に成長するハロゲン化銀が混晶(Mixed Crystal)
であるヨウ臭化銀、ヨウ臭塩化銀、塩臭化銀、ヨウ塩化
銀である場合は核形成にひき続き本発明の方法によって
粒子成長をすることが好ましい。また必要に応じては、
あらかじめ調製した微粒子乳剤を反応容器に添加して成
長させることも好ましい。これらの方法についての詳細
は、特願昭63−7851号、同63−8752号、同63−7853号各
公報に記載されている。かくして得られたハロゲン化銀
粒子は粒子の核も成長相も共に「完全均一」なハライド
分布を持ち、かつ粒子サイズ分布が非常に小さい。
得られた完全に均一なハロゲン化銀乳剤粒子に特に制
限はないが、0.3μm以上であることが好ましく、さら
に0.8μm以上、特に1.4μm以上であることが好まし
い。本発明によるハロゲン化銀粒子の形は六面体、八面
体、十二面体、十四面体、二十四面体、四十八面体のよ
うな規則的な結晶形(正常晶粒子)を有するものでもよ
くまた球状、じゃがいも状などの不規則な結晶形のもの
でもよく、さらに双晶面を1枚以上もつ種々の形体の粒
子、なかでも平行な双晶面を2枚あるいは3枚有する六
角形平板粒子及び三角形平板状双晶粒子であってもよ
い。
本発明により得られたハロゲン化銀写真乳剤を適用し
て感光材料の種々の添加剤、現像処理方法等感光材料と
しての他の構成に関しては特に制限はなく、特開昭63−
123042号、同63−106745号、同63−100749号、同63−10
0445号、同63−71838号、同63−85547号各公報、リサー
チ・ディスクロージャー誌176間アイテム17643及び同18
7巻アイテム18716の記載が参考になる。
上記リサーチ・ディスクロージャー誌(RD)に関して
以下にその掲載個所を示す。
〔実 施 例〕 本発明を1実施例により説明する。
第1図に示したような装置において、0.5モルの硝酸
銀水溶液と0.1モルのヨウ化カリウムを含む0.5モルの臭
化カリウム水溶液を反応容器1の系外に設けた混合室7
に50ml/minの流量で添加し反応させる系に於いて、この
反応時に混合器に添加する希釈ゼラチンの流量、濃度を
変化させて粒子形成を行い、この粒子サイズの評価を行
った。この評価には直接法による透過型電子顕微鏡(20
000倍)を使用して行った。また、サンプリングから評
価までの間に粒子成長が起こる事を防止する為、サンプ
リング直接に液体チッソで成長停止を行った。
そこで、実験No1〜5のサンプルを本発明の第1図に
示した系に組込み、限界濾過膜装置による一部濃縮のテ
ストを行った。この時、限界濾過膜には旭化成のモジュ
ールAIL1050を使用し、内圧を1.5kg/cm2に設定してテス
トを行った。この結果、30分間のテストで平均200ml/mi
nの水が分離可能であった。
以上の結果より、実験No3と5を比較し、混合器にお
ける希釈ゼラチンの添加量を1.5倍にした実験No5の場合
に反応容器に供給する液量を限界濾過膜を使用して実験
No3と同じ条件にしてやれば、約1/3の大きさの微粒子を
形成して反応容器に供給する事が可能である。
したがって限界濾過膜を使用することによって、より
細かな微粒子の形成が容易となり、結晶の均一化にも有
利であり、更に本発明により反応容器に供給する液を濃
縮することが出来ることにより仕込み単位当りの得量が
あげられることが分かる。
〔発明の効果〕
(1) 限外濾過膜を用いない場合に、反応容器の制約
により仕込単位当りの得量を上げることが出来なかった
が、この方法により濃縮が可能になり、得量向上が計れ
た。
(2) また、今迄より更に充分に希釈した状態で微粒
子を形成させることにより、より細かい粒子を形成させ
ることが出来、それを限外濾過膜で濃縮化させることに
より従来と同じ仕込得量で而も結晶成長に効果のある、
より細かい微粒子を形成させることが出来るようになっ
た。
(3) 更に反応容器に添加される微粒子は濃厚化され
る為、反応容器中での粒子成長が促進され、仕込時間の
短縮につなげることが出来た。
勿論、本発明のハロゲン化銀粒子の製造方法及び装置
により、均一化したハロゲン化銀粒子の形成が出来るこ
とにより、 (1) 従来の仕込方式で仕込まれた粒子と比較し、完
全に均一なハロゲン分布の粒子がえられる。
(2) 形成されたハロゲン化銀のカブリが少ない。
(3) 感度、階調、粒状、シャープネス、保存性、圧
力性に優れた乳剤が得られるということは言うまでもな
い。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のハロゲン化銀粒子の製造方法及び製造
のシステムフローシート、第2図は本発明に用いる混合
器の1実施例の断面図。 1……反応容器 2……保護コロイド水溶液 3……プロペラ 4……銀塩水溶液の添加系 5……ハロゲン塩水溶液の添加系 6……保護コロイド水溶液の添加系 7……混合器 8……反応容器への導入系 9……攪拌翼、10……反応室 11……回転シャフト 12……濃縮手段 13a,13b,13c……流量計 14……銀塩水溶液の調製タンク 15……ハロゲン塩水溶液の調製タンク 16……保護コロイド水溶液の調製タンク 17a,17b,17c……流量調節用ポンプ 18……圧力検出器 19……流量検出器 20……流量コントロール弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 占部 茂治 神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写 真フイルム株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−138844(JP,A) 特開 昭57−209823(JP,A) 特公 昭62−59053(JP,B2)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ハロゲン化銀粒子の核形成及び/または結
    晶成長を起こさせる反応容器の外に混合器を設け、該混
    合器に水溶性銀塩の水溶液と水溶性ハライドの水溶液の
    流量をコントロールしつつ供給し、かつ該混合器の攪拌
    機羽根の回転数をコントロールしつつ混合し、ハロゲン
    化銀粒子を形成し、直ちに該微粒子を反応容器に供給す
    る途中で、該微粒子を含む液から水及び水溶性化合物の
    一部を除去した濃縮液を反応容器に供給することを特徴
    とするハロゲン化銀粒子の製造方法。
  2. 【請求項2】ハロゲン化銀粒子の核形成及び/または結
    晶成長を起こさせる反応容器と、該反応容器の外に設け
    た混合器と、該混合器に水溶性銀塩の水溶液と水溶性ハ
    ライドの水溶液の流量をコントロールしつつ供給する手
    段と、かつ該混合器の攪拌機の羽根の回転数をコントロ
    ールする手段と、該混合器中の生成物が直ちに該反応容
    器に供給されるべく接続した配管に該混合器中での生成
    物内に含むまれる水及び水溶性化合物の一部を除去する
    濃縮手段を設けたことを特徴とするハロゲン化銀粒子の
    製造装置。
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