JPH0627558A - 写真用ハロゲン化銀粒子の形成方法 - Google Patents

写真用ハロゲン化銀粒子の形成方法

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JPH0627558A
JPH0627558A JP18263392A JP18263392A JPH0627558A JP H0627558 A JPH0627558 A JP H0627558A JP 18263392 A JP18263392 A JP 18263392A JP 18263392 A JP18263392 A JP 18263392A JP H0627558 A JPH0627558 A JP H0627558A
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emulsion
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halide
solution
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JP18263392A
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Satoshi Ito
聡 伊藤
Kaneo Mamiya
周雄 間宮
Haruhiko Masutomi
春彦 益富
Kazuyoshi Ichikawa
和義 市川
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 保護コロイドの存在下でハロゲン化銀写真乳
剤粒子を形成する母液槽の外に混合器を設け、該混合器
で銀塩水溶液、ハライド水溶液及び保護コロイド水溶液
を混合してハロゲン化銀微結晶乳剤を調製し、さらに該
ハロゲン化銀微結晶乳剤を調整容器に移し、貯留し、該
貯留したハロゲン化銀微結晶乳剤を前記母液槽に供給し
て乳剤粒子の形成を行わせるハロゲン化銀写真乳剤粒子
の製造方法において、前記混合器に供給する銀塩水溶液
及びハライド水溶液の温度を20℃以下にすることを特徴
とするハロゲン化銀写真乳剤粒子の製造方法。 【効果】 ハロゲン化銀粒子の不均一な成長を行うこと
が可能となり、更に微細な粒子であっても温度、pAgの
条件を調整することにより、粒子サイズの変化がなく、
微結晶自体に還元銀核のない微結晶を供給することがで
き、高感度なハロゲン化銀粒子を形成することが可能と
なった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、写真感光材料に用いら
れるハロゲン化銀乳剤粒子の形成方法、および写真感光
材料に関する。さらに詳しくは、各々のハロゲン化銀乳
剤粒子のハライド組成が均一で、且つ粒子間のハライド
組成のばらつきがなく、且つ粒子形成時に生ずる還元銀
を有しないハロゲン化銀乳剤粒子の形成に関する。
【0002】
【発明の背景】一般にハロゲン化銀粒子は、反応槽中の
コロイド水溶液において、銀塩水溶液とハライド水溶液
とを反応させることにより製造される。反応槽中にゼラ
チンのような保護コロイド及びハライド水溶液を入れ、
撹拌しながら、これに銀塩水溶液をある時間添加するシ
ングルジェット法(SJ法と標記する)や、反応槽中にゼ
ラチン水溶液を入れ、ハライド水溶液と銀塩水溶液とを
それぞれある時間添加するダブルジェット法(DJ法と標
記)が知られている。両者を比較すると、DJ法の方が粒
子径分布の狭いハロゲン化銀粒子が得られ、さらに粒子
の成長に伴って、そのハライド組成を自由に変えること
ができる。
【0003】また、ハロゲン化銀粒子の成長速度は、反
応溶液中の銀イオン(ハライドイオン)濃度、ハロゲン
化銀溶剤の濃度、粒子間距離、粒子サイズなどにより大
きく変化することが知られている。更に反応槽中に生ず
る銀イオンあるいはハライドイオン濃度の不均一は、各
々の濃度により成長速度が異なる結果としてでき上るハ
ロゲン化銀乳剤に不均一を生じる。この不均一を避ける
には、反応槽中の乳剤粒子の成長、形成、調整の場とな
るコロイド水溶液(母液と称す)中に供給する銀塩水溶
液とハライド水溶液とを迅速に均一化して反応させるこ
とが必要である。従来のハライド水溶液と銀塩水溶液と
を反応槽中の母液の表面に添加する方法では、各々の反
応液の注入位置近傍において、ハライドイオン及び銀イ
オンの濃度の高い部分が生じ、均一なハロゲン化銀粒子
を製造することは困難であった。
【0004】この局部的な濃度のかたよりを改良する方
法として、米国特許3,415,650号、英国特許1,323,464
号、米国特許369,225号等に開示された技術等が知られ
ている。これらの方法は、反応槽中に設けられた回転楕
円体をなす混合器にその上下の開放端からハライド水溶
液と銀塩水溶液とを供給管を通じて高速回転している混
合器内に供給し急速に混合して反応せしめ混合器の回転
により生ずる遠心力で生成したハロゲン化銀粒子を反応
槽中の母液に排出せしめ成長させる方法である。
【0005】また特公昭55-10545号は、反応槽中に沈め
た整流筒下部のタービン羽根で下方から別々に供給され
る反応液を急激に撹拌混合せしめハロゲン化銀を生成さ
せ、ただちに生成したハロゲン化銀粒子を整流筒の上方
開口部から反応槽中の母液に排出せしめる技術が示され
ている。
【0006】更に特開昭57-92523号には、母液が満たさ
れている反応槽内に沈めた混合器にハライド水溶液と銀
塩水溶液とを別々に供給し、反応液を前記母液により希
釈し該両反応液を急激に剪断混合してハロゲン化銀粒子
を生成せしめる技術が開示されている。
【0007】しかしながら、前記の技術では、確かに反
応槽中の銀イオン及びハライドイオンの局部的な濃度の
不均一は完全に解消することはできるが、混合器内にお
いては依然としてこの濃度の不均一は存在し、特に銀塩
水溶液及びハライド水溶液を供給するノズルの近傍及び
撹拌翼の下部及び撹拌部分においてかなり大きな濃度分
布が存在する。さらに保護コロイドと共に混合器に供給
されたハロゲン化銀粒子は、このような不均一な濃度分
布をもった環境に置かれ、ハロゲン化銀粒子は、これら
の環境において不規則に成長する。つまり濃度分布のな
い状態でハロゲン化銀を均一に成長せしめるという目的
は達し得ない。
【0008】さらにより完全な混合によるこれらの銀イ
オン、ハライドイオンの濃度の不均一分布を解消すべ
く、反応槽と混合器をそれぞれ独立せしめ、混合器に銀
塩水溶液とハライド水溶液を供給し急速混合してハロゲ
ン化銀粒子を成長せしめる試みがなされてきた。例えば
特開昭53-37414号及び特公昭48-21045号には、反応槽の
母液を循環させ、この循環系の途中に混合器を設け、こ
の混合器で銀塩水溶液及びハライド水溶液と母液を混合
し、該混合器で急速に混合し同一不均一性を連続維持し
て不均一性を固定し、ハロゲン化銀粒子を成長せしめる
技術が開示されている。同様の発想に基いて米国特許3,
897,935号、特開昭53-47397号が提案されている。これ
等の方法では確かに、循環系に流す母液の流量と混合器
の撹拌効率を独立に変化させることができ、より濃度分
布が均一な条件で粒子成長を行うことができるであろう
が、結局、母液と共に反応槽から送られてきたハロゲン
化銀粒子は銀塩水溶液、ハライド水溶液の注入口で急速
成長を起す。従って前に述べたと同様に混合部あるいは
注入口付近の濃度分布を無くすることは原理的に不可能
であり、つまり濃度分布のない状態でハロゲン化銀を均
一に成長せしめる目的は達し得ない。
【0009】またこれら銀イオン、ハライドイオンの濃
度の母液中の不均一分布の問題を回避するために粒子成
長の際予め調製した別のハロゲン化銀粒子を添加し、オ
ストワルド熟成の効果を利用して粒子成長を行う方法が
特開昭48-65925号、同51-88017号、同52-153428号、J.C
Ol.Int.Sci 63(1978)No.1p16,P.S.E28(1984)No.4p137、
特開昭62-99751号等に示されている。しかしこれらの具
体的な実施にあたってはハロゲン化銀粒子のサイズは小
さければ小さい方がより速い成長速度を実現することが
でき、この意味で上記記載の方法では添加するハロゲン
化銀粒子のサイズが成長させるハロゲン化銀粒子のサイ
ズに比べ必要程度小さくないためオストワルド熟成の速
度が遅くなりハロゲン化銀粒子の成長に多大な時間を費
やし、製造コストや生産性が悪く実用的でない。
【0010】微細なハロゲン化銀粒子を形成する方法と
して例えば、特開平1-183417号、同1-183645号、WO89-0
6830、同06831号等に反応槽の外に微細ハロゲン化銀粒
子を形成する混合器を設け、粒子形成後直ちにこれを反
応槽内に供給し、粒子成長を行う方法が開示されてい
る。しかしこれらの方法によれば比較的薄い濃度の銀
塩、ハライド水溶液を用いて微細なハロゲン化銀粒子を
得ることはできるものの、水溶液濃度が高くなると該ハ
ロゲン化銀粒子を形成する混合器の内部では濃度の高い
銀イオン、ハライドイオンの水溶液がぶつかり合うた
め、わずかな流量の変動により混合器中の銀イオン濃
度、すなわちpAgが大きく変動し形成条件が変化する。
またハロゲン化銀粒子の成長時には銀イオン、あるいは
ハライドイオンの濃度の不均一性が消滅しているにもか
かわらず、微粒子のハロゲン化銀粒子を形成する際にp
Agによっては微粒子自身に還元銀核を生じ、これがハ
ロゲン化銀粒子の成長を行う反応槽に供給されることに
より微粒子が銀イオン、ハライドイオンへ再溶解し成長
粒子に取り込まれるとともに、還元銀核も同時に取り込
まれ粒子成長した粒子のかぶりとなって現れてしまう。
【0011】さらに上記記載の混合器では、乳剤調合の
スケール、処方変更に応じハロゲン化銀粒子の生成速度
を変えると、微粒子形成量を満すために混合器内部に供
給する銀イオン、ハライドイオン水溶液の供給速度を変
えなければならないが、これにより形成されるハロゲン
化銀微粒子の大きさが変化してしまい実用上不都合を招
く。
【0012】
【発明の目的】上記のような問題に対し本発明の目的
は、従来の乳剤粒子の形成における濃度(銀イオン、ハ
ライドイオン)の不均一な場におけるハロゲン化銀粒子
の成長、そしてそれによってできる不均一な乳剤粒子
(粒子サイズ、晶相、粒子間及び粒子内部のハロゲン化
銀分布等)の問題を解決し、還元銀かぶりの非常に少
い、高感度な、ハロゲン化銀粒子の形成方法及び感光材
料を提供することにある。
【0013】
【発明の構成】上記本発明の目的は、保護コロイドの存
在下でハロゲン化銀写真乳剤粒子を形成する母液槽の外
に混合器を設け、該混合器で銀塩水溶液、ハライド水溶
液及び保護コロイド水溶液を混合してハロゲン化銀微結
晶乳剤を調製し、さらに該ハロゲン化銀微結晶乳剤を調
整容器に移し、貯留し、該貯留したハロゲン化銀微結晶
乳剤を前記母液槽に供給して乳剤粒子の形成を行わせる
ハロゲン化銀写真乳剤粒子の製造方法において、前記混
合器に供給する銀塩水溶液及びハライド水溶液の温度を
20℃以下にすることを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤
粒子の製造方法ならびに該製造方法により調製されたハ
ロゲン化銀写真乳剤粒子を含有するハロゲン化銀写真感
光材料により達成される。
【0014】尚、上記ハロゲン化銀写真乳剤粒子の製造
方法において、混合器に供給する銀塩水溶液及びハライ
ド水溶液の温度調整に吸熱反応を利用することができ
る。
【0015】以下、本発明について具体的に説明する。
【0016】本発明の記述においては、語句の多義性か
らの混乱を避けるために、ハロゲン化銀からなる乳剤粒
子の成長、形状及び特性の調整の場となる液相を母液と
称し、乳剤粒子の成長の中核となるハロゲン化銀固相を
成長核粒子、成長のハロゲン化銀補給素材となるハロゲ
ン化銀固相を微結晶、母液中で成長核粒子に微結晶が供
給されて成長し、感光性を担い写真特性構成の対象とな
るハロゲン化銀固相を乳剤粒子と称する。
【0017】本発明においては微結晶を、母液槽外に別
に設けられた混合器において銀塩水溶液およびハライド
水溶液、保護コロイド水溶液をトリプルジェット法(以
後TJ法と表す)、あるいは銀塩、ハライド水溶液のいず
れかあるいは両方に保護コロイドを含有させ、保護コロ
イドの保護の下に行うダブルジェット法(以後P-DJ法と
表す)で混合して生成する。従来この分野でよく用いら
れているバッチ方式でのシングルジェット法(SJ法)あ
るいはダブルジェット法(DJ法)による微結晶の生成方
法に比べ、供給される銀イオン、ハライドイオンは混合
器内部においてハロゲン化銀の微結晶生成反応に消費さ
れ、該ハロゲン化銀の微結晶はただちに混合器から調整
容器に移される。従ってバッチ方式のように生成される
ハロゲン化銀が成長核粒子生成のみでなく、乳剤粒子成
長の両用に亘る現象がなく、より微細な微結晶状態に保
つことができる。更に混合後は微結晶に対して溶液の添
加がされないため例えば銀イオン水溶液の濃度の高い環
境に粒子が包まれることによってできる還元銀核の発生
がなく、微結晶自体のかぶり核を少なくすることがで
き、高感度なハロゲン化銀乳剤粒子を得ることができ
る。図1に該ハロゲン化銀乳剤粒子の形成装置の例を示
す。同図において、銀塩水溶液、ハライド水溶液、保護
コロイドをそれぞれの添加系4,5,6を介して混入器
7に添加、混合し、微結晶を形成し、これを保護コロイ
ド溶液を入れた母液槽1に移し、乳剤粒子を調製する。
しかし上記に記載した混合器には以下のような問題があ
ることを確認した。
【0018】ハロゲン化銀の微結晶を該混合器で保護コ
ロイド水溶液、銀塩水溶液、ハライド水溶液を用いて生
成する場合、各添加溶液の供給速度及び混合器の反応室
の体積、生成された微結晶乳剤が混合器内に滞留する時
間は以下の関係で表される。 t=V/(a+b+c) V:混合器の反応室の体積(ml) a:硝酸銀水溶液の供給量(ml/min) b:ハライド水溶液の供給量(ml/min) c:保護コロイド水溶液の供給量(ml/min) t:乳剤の滞留時間(min) ここで従来のバッチ方式によるハロゲン化銀粒子の形成
法に比べ混合器の反応室の体積Vは一般に小さく、また
具体的に実施するためには乳剤濃度を上げるため、銀
塩、ハライドの水溶液は高濃度であることが必要であ
る。このために混合器内部では、微小体積内で高濃度の
銀塩水溶液、ハライド水溶液が混合されることになる
が、ここで銀塩、ハライド水溶液の供給速度a,bある
いは保護コロイドcのいずれかが変動すると混合器中で
は異なった条件下(pAg,pH、保護コロイド性等)で微
結晶が形成されることになる。同じ流量の変動でも例え
ばpAgの変化はバッチ方式の場合に比べ混合室体積Vが
小さい分、大きなpAgの変動となって現れる。混合器に
より微結晶を生成し、これを直ちに母液槽に注入する方
法を用いると、例えば粒子成長中にpAg、pHの大きく
異なる微結晶乳剤が粒子成長させる母液槽にそのまま供
給される。特にpAgの低い状態、すなわち銀イオン濃度
の高い状態で生成された微結晶は還元銀核を生じ易く、
これが母液槽内に注入されると粒子成長させる乳剤粒子
のかぶりとなって現れる。
【0019】更に微結晶を混合器で生成後直ちに母液槽
内に注入する方法では乳剤粒子の粒子成長速度、即ちオ
ストワルド熟成の速度に適合した微結晶量を母液槽内に
供給しなければならない。しかし該微結晶の生成量は供
給必要量によって変り常に一定供給速度での銀イオン、
ハライドあるいは保護コロイドの水溶液の混合が許され
ないため、上記滞留時間tの変化などにより、乳剤粒子
の成長中常に一定の粒径をもつ微結晶の供給は困難であ
り、微結晶の溶解速度が時間によって変化し、また処方
によっては成長時間が非常に長くなってしまう場合が生
じる。
【0020】我々は鋭意検討した結果、混合後の該微結
晶をただちに別の調整容器に移し、ここで微結晶乳剤を
適当な条件に調整することにより、母液槽に供給する微
結晶を常に一定の条件に保ち、更に母液槽中での乳剤粒
子成長条件に頼らず常に一定の粒径をもち、かつかぶり
核の少ない微結晶を得ることができた。
【0021】本発明の方法による微結晶の混合器の例を
図2(a)に示す。容器A,B,Cにはそれぞれ保護コ
ロイド水溶液、硝酸銀水溶液、ハライド水溶液が容れら
れている。これらの溶液を各々添加系4、5、6にて混
合器7に流量制御しながら供給し、急速かつ強力に混合
して排出し、乳剤供給系8より次の調整容器9に移す。
図2(b)に混合器の詳細を示すが、この混合器7の中
に反応室10が設けられ、その反応室10の中に回転翼12が
取り付けられており、これにより急速かつ強力に混合さ
れる。該回転翼の回転数としては5,000rpm以上、好まし
くは7,000rpm以上、さらに好ましくは10,000rpm以上が
よい。しかもこの混合室内で生成される微結晶は例えば
添加剤の流量の変動があった場合、常に一定の条件で形
成されるとは限らず、時間によって異なった微結晶が形
成されている可能性がある。そこで調整容器9にはpA
g,pHの監視装置11が設けられ調整液13を添加系等により
添加し常に一定の条件に保たれるようになっている。
【0022】更に、一般的にハロゲン化銀粒子の製造に
際しては、バッチ式の反応槽を用いて反応容器中のコロ
イド溶液において、銀塩水溶液とハロゲン塩水溶液とを
反応させることにより製造される。バッチ式の反応槽の
温度コントロール法としては、反応槽の回りにジャケッ
トを設けジャケット水の温度をコントロールすることで
反応槽の温度をコントロールする方法が一般的である。
しかしながら、連続的なハロゲン化銀粒子の製造におい
ては、たとえ混合器の回りにジャケットをつけてジャケ
ット水の温度をコントロールすることで反応槽の温度を
コントロールしようとしても、混合器内の反応溶液の滞
留時間が短いため(〜1分以内)反応温度のコントロー
ルは実質的に不可能である。従って、この様な連続的な
ハロゲン化銀粒子の形成においては添加する溶液の温度
をコントロールすることで反応温度をコントロールしな
ければならない。その際、添加する反応溶液の温度は低
ければ低いほど混合器内での反応温度が小さくなり混合
器で形成されるハロゲン化銀粒子を微粒化することがで
きる。従って、混合器内での反応温度を小さくして微粒
化するためには銀塩溶液及びハロゲン塩水溶液の温度を
小さくする必要がある。
【0023】本発明の特徴としては、混合器に供給する
銀塩水溶液及びハロゲン塩水溶液の温度を20℃以下にコ
ントロールすることで混合器で形成されるハロゲン化銀
微粒子の形成をコントロールすることである。更には、
混合器に供給する銀塩水溶液及びハロゲン塩水溶液を調
製する際に吸熱反応を利用して添加液温度を下げること
である。即ち、一般的には硝酸銀、ハロゲン、ゼラチン
各水溶液の調製槽は共通の温水を夫々の槽のジャケット
に通すことにより保温するが、本発明の場合のように硝
酸銀、ハロゲン水溶液を20℃以下にするためには、この
両液は冷水をジャケットに流し冷却し、ゼラチンには保
温水を通さなければならない。
【0024】この場合、本発明においては、硝酸銀、ハ
ロゲンの各水溶液調製時の吸熱反応を利用、保湿材で保
温した釜で保温することで冷水循環を省略することがで
きるのである。
【0025】硝酸銀(AgNo3)、ハロゲン(KBr,KI)の
各濃度における25℃の水に対する溶解時の温度を下記に
示す。
【0026】 濃度 1N 2N 3N 4N AgNo3 19.6℃ 14.3℃ 8.9℃ 3.5℃ KBr 20.2 15.4 10.6 5.8 KI 20.1 15.2 10.3 5.4 溶媒である純水の温度が一定であれば吸熱反応により液
の濃度に従って上記の様に液温は決まる。
【0027】下がった温度を維持するには保温材などを
用いる必要はあると思う。しかしながら保温材だけであ
れば冷水を循環する設備よりはるかにコストがかからな
いので有効な手段を考えられる。この方法により保温釜
に反応溶液を入れジャケットに冷氷又は冷媒を回す方法
などに比べてはるかに設備的負荷が小さく簡素な方法を
考案できた。この際重要なことは原料の溶解に際しては
熱を加えず撹拌だけで行うことである。
【0028】該ハロゲン化銀微結晶の生成方法として酸
性法、中性法、アンモニア法などを用いることができる
が、好ましくは中性法、さらに好ましくは酸性法がよ
い。またpAgは銀イオン濃度の高い状態では、微結晶自
身の還元銀核の発生の可能性があるため、好ましくは3.
0以上、より好ましくは5.0以上、さらに好ましくは8.0
以上である。
【0029】また本装置を用いてハロゲン化銀粒子を形
成する際の保護コロイドには、通常の高分子のゼラチン
を用いることができ、具体的にはリサーチ・ディスクロ
ージャ誌第176巻No.17643(1978年12月)のIX項に記載さ
れている。更に低温で乳剤を停留することも可能であ
り、これにより微粒子のオストワルド熟成の進行を更に
抑えることができるが、低温にすることによって、ゼラ
チンが凝固しやすくなるため、この場合には特開平2-16
6442号に記載されているような低分子量ゼラチン、ハロ
ゲン化銀粒子に対して保護コロイド作用を有する合成高
分子化合物、あるいはゼラチン以外の天然高分子化合物
等を用いても良い。保護コロイドの濃度は1重量%以
上、好ましくは2重量%以上、さらに好ましくは3重量
%以上がよい。
【0030】本発明による調整容器内で乳剤を調整する
方法によって反応室10に於て流量の変動による低pAg下
で形成された微結晶の還元銀核は調整容器内で直ちに調
整することにより、反応の進行を抑えることができ、微
結晶自体がかぶり核の原因になることを防ぐことができ
た。この後調整された該微結晶乳剤は母液槽内に供給さ
れ、乳剤粒子の成長に使用されるが、これは微結晶の生
成後でも、あるいは生成中でもどちらでもよいが一旦は
調整容器での条件監視をうける。該微結晶乳剤は乳剤給
送系14、及び例えばポンプ15などの装置により粒子成長
を行う母液槽内に供給される。
【0031】成長核粒子の存在する母液槽内に注入され
た微結晶はオストワルド熟成効果により、乳剤粒子の成
長に消費される。即ち本発明により生成された微結晶は
その粒子サイズが微細であるために容易に溶解し、再び
銀イオンとハライドイオンとなり乳剤粒子を均一に成長
させる。この極微細な微結晶のハロゲン組成は単一ハロ
ゲン組成でも2種類以上のハロゲン組成でもよく、目的
とするハロゲン化銀乳剤粒子の組成と同じ組成を与える
かあるいは単一組成の微結晶をそれぞれ流量制御して母
液槽に注入してもよい。
【0032】ここで混合器で形成された微結晶は、再溶
解し、母液槽中の成長核粒子或は既に存在している乳剤
粒子上に析出し粒子成長を起こすが、該微結晶はその溶
解度が高いために時間が経つと微結晶同志でオストワル
ド熟成を起して、粗大化する惧れがある。粗大化によっ
て溶解度が低下し、乳剤粒子成長に支障を来し、ある場
合には微結晶自身が成長核粒子となって成長を起こして
しまう可能性がある。
【0033】これに対しては調整容器内で、微結晶乳剤
がゲル化しない程度に低温とし、さらにハロゲン化銀の
溶解度の小さいpAgに調整しておくことにより、粗大化
を防ぐことができる。本発明による微結晶のサイズは0.
05μm以下、好ましくは0.03μm以下、より好ましくは0.0
1μm以下であり、微結晶を調整容器に移した後母液槽に
供給されるまでの時間は好ましくは7時間以内、より好
ましくは2時間以内、さらに好ましくは20分以内であ
る。
【0034】前記調整容器内は乳剤を一定の温度に保つ
ことのできる温度制御装置を有することが望ましい。微
結晶乳剤の保存温度は50℃以下が良いが好ましくは40℃
以下、より好ましくは35℃が好ましい。また調整容器に
はハロゲン化銀乳剤のpAg、pH等のモニター装置、及
びこれらを制御する溶液添加装置、流量制御装置等から
なっている。これらの装置は従来この分野で利用されて
いるものを用いてよく、例えばpAg、pH等のモニター
にはイオン選択電極、pHスタット等の装置が好まし
く、またこれらの制御には例えばニードル弁等の制御バ
ルブを用いることが好ましい。
【0035】また混合器への銀、ハライド水溶液の供
給、混合器から調製装置、調製装置から反応容器への送
液は例えば加圧による方法、ポンプの利用などにより、
送液することができる。このハロゲン化銀微粒子の形成
は、反応容器内でのハロゲン化銀粒子の結晶成長時の前
にあらかじめ形成しておいても良いが、また結晶成長中
に、その供給が律速とならない範囲で結晶の成長と並行
して形成することができる。いずれの場合でも、供給す
るハロゲン化銀微粒子は、母液槽での粒子成長とは独立
しているため、常に一定に調製された微粒子を母液槽に
供給できるこの点で、特開平1-183417号とは全く異なる
方法である。
【0036】本発明によるハロゲン化銀乳剤粒子は、酸
性法、中性法、アンモニア法のいずれに拠ってもよい。
またハロゲン化銀粒子は、塩化銀、臭化銀、沃臭化銀、
沃塩化銀、及び沃臭塩化銀等単一組成のものでも、2種
以上の組成のものでもよく、これらのハロゲン化銀は粗
粒のものでも微粒のものでもよく、粒径分布は狭くても
広くてもよい。またこれらのハロゲン化銀の結晶形は、
立方体、8面体のような正常結晶でもよく、また球状、
平板状などのような変則的結晶形を有するもの、あるい
はこれらの結晶形の複合体でもよい。さらに種々の結晶
型の粒子からなってもよい。またこれらのハロゲン化銀
粒子の結晶構造は、内部から外部まで均一なものであっ
ても、内部と外部が異質な層状構造をしたものであって
もよい。さらにこれらのハロゲン化銀粒子は潜像を主と
して表面に形成する型のものであっても、粒子内部に形
成する型のものであってもよい。また上記ハロゲン化銀
乳剤粒子の成長時にアンモニア、チオエーテルチオ尿素
などの公知のハロゲン化銀溶剤を存在させることもでき
る。さらにハロゲン化銀粒子は、粒子を形成する過程及
び/又は成長させる過程で、カドミウム塩、亜鉛塩、鉛
塩、タリウム塩、イリジウム塩、ロジウム塩、鉄塩及び
これらの錯塩から選ばれる少なくとも1種の金属イオン
を添加し、粒子内部に及び/又は粒子表面層にこれらの
金属イオンを含有させることができる。また適当に調整
された還元雰囲気下におくことにより、粒子内部及び/
又は粒子表面に還元増感核を付与できる。このようにし
て得られた乳剤粒子からなる乳剤は必要に応じ脱塩処
理、化学増感、分光増感が施され、更に各種添加剤を加
え写真特性が調えられ、感光材料の感光層として塗布さ
れる。
【0037】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
する。
【0038】実施例1 沃臭化銀微結晶乳剤1−A(比較乳剤) 特開平1-183417号の記載に従って1.5M硝酸銀400mlと、
0.15M沃化カリウムと1.35M臭化カリウムを含むハライ
ド水溶液400mlおよび2重量%ゼラチン水溶液500mlを50
分かけてTJ法で添加した。その際反応溶液を25℃で保温
したところ混合器の温度は35.0℃に保たれた。混合器内
の滞留時間は10秒であった。また混合器の撹拌翼の回転
数は3000rpmであった。得られた微結晶は透過型電子顕
微鏡で観察したところ平均粒0.024μmであった。また得
られた乳剤のゼラチン濃度は0.77%、銀換算モル相当濃
度は0.462〔mol/l〕である。
【0039】 沃臭化銀微結晶乳剤1−B、、、(本発明) 本発明により乳剤1−Aと同様なハロゲン組成、ゼラチ
ン濃度、銀換算モル相当濃度を持つ沃臭化銀微結晶乳剤
1−B作成した。すなわち、1.5M硝酸銀400mlと、0.
15M沃化カリウムと1.35M臭化カリウムを含むハライド
水溶液400mlおよび2重量%のゼラチン水溶液500mlを50
分かけてTJ法で添加した。その際、硝酸銀水溶液及びハ
ライド水溶液を20℃で保温し、ゼラチン水溶液を25℃で
保温したところ混合器の温度は31.9℃に保たれた。混合
器内の滞留時間は10秒であった。また混合器の撹拌翼の
回転数は3000rpmであった。得られた微結晶は透過型電
子顕微鏡で観察したところ平均粒径0.020μmであった。
また得られた乳剤のゼラチン濃度は0.77%、銀換算モル
相当濃度は0.462〔mol/l〕である。
【0040】乳剤1−B〜は表1の条件を変更する
以外はと同様な形成方法で行なった。
【0041】得られた沃臭化銀微結晶の粒径及び混合器
温度を表2に示した。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】以上のようにして形成した乳剤の比較を表
3に示した。
【0045】
【表3】
【0046】表3に示すように本発明の乳剤は比較乳剤
に比べて平均サイズが小さくまた、添加液温度のコント
ロールにより混合器温度をコントロールし微粒子粒径の
コントロールを達成している。
【0047】実施例2 沃臭化銀微結晶乳剤2−A(比較乳剤) 特開平1-183417号の記載に従って1.5M硝酸銀800mlと、
0.375M沃化カリウムと1.13M臭化カリウムを含むハラ
イド水溶液800mlおよび3重量%のゼラチン水溶液800ml
を100分かけてTJ法で添加した。その際、反応溶液を24
℃(ゼラチンのセット温度+5℃)で保温したところ混
合器の温度は34.8℃に保たれた。混合器内の滞留時間は
7秒であった。また混合器の撹拌翼の回転数は7000rpm
であった。得られた微結晶は透過型電子顕微鏡で観察し
たところ平均粒径0.013μmであった。また得られた乳剤
のゼラチン濃度は1重量%、銀換算モル相当濃度は0.5
〔mol/l〕である。
【0048】沃臭化銀微結晶乳剤2−B(本発明) 本発明により以下に示す溶液を用いて乳剤2−Aと同様
なハロゲン組成、ゼラチン濃度、銀換算モル相当濃度を
持つ沃臭化銀微結晶乳剤を作成した。
【0049】 溶液A 硝酸銀 203.8g 25℃の純水で300mlとする。
【0050】 溶液B 沃化カリウム(KI) 49.8g 臭化カリウム(KBr) 107.1g 25℃の純水で300mlとする。
【0051】 溶液C オセインゼラチン 24g 純水で1800mlとする。
【0052】溶液Aは釜Aで、溶液Bは釜Bで、溶液C
は釜Cで調整された。その際、釜A、釜Bでの調液では
熱を加えずに撹拌だけで行った。その結果、吸熱反応に
よって溶液Aは3.5℃に溶液Bは5.8℃に冷却された。ま
た釜Cではゼラチン溶解、溶液温度16.5℃(ゼラチンの
セット温度+5℃)に保たれた。以上の温度で反応溶液
を1:1:6の割合で50分間で添加したところ混合器の
温度は24.4℃に保たれた。混合器内の滞留時間は3.5秒
であった。また混合器の撹拌翼の回転数は7000rpmであ
った。得られた微結晶は透過型電子顕微鏡で観察したと
ころ平均粒径0.008μmであった。また得られた乳剤のゼ
ラチン濃度は1重量%、銀換算モル相当濃度は0.5〔mol
/l〕である。
【0053】沃臭化銀微結晶乳剤2−C(本発明) 更に、本発明により以下に示す溶液を用いて乳剤2−A
と同様なハロゲン組成、ゼラチン濃度を持ち2倍の銀換
算モル相当濃度に濃縮した沃臭化銀微結晶乳剤を図3の
装置を使用して作成した。
【0054】 溶液A 硝酸銀 203.8g 25℃の純水で300mlとする。
【0055】 溶液B 沃化カリウム(KI) 49.8g 臭化カリウム(KBr) 107.1g 25℃の純水で300mlとする。
【0056】 溶液C オセインゼラチン 12g 純水で600mlとする。
【0057】溶液Aは釜Aで、溶液Bは釜Bで、溶液C
は釜Cで調整された。その際、釜A、釜Bでの調液では
熱を加えずに撹拌だけで行った。その結果、吸熱反応に
よって溶液Aは3.5℃に溶液Bは5.8℃に冷却された。ま
た釜Cではゼラチン溶解後、溶液温度は19.5℃(ゼラチ
ンのセット温度+5℃)に保たれた。以上の温度で反応
液1:1:2の割合で30分間で添加したところ混合器の
温度は33.7℃に保たれた。混合器内の滞留時間は4.2秒
であった。また混合器の撹拌翼の回転数は7000rpmであ
った。得られた微結晶は透過型電子顕微鏡で観察したと
ころ平均粒径0.013μmであった。また得られた乳剤のゼ
ラチン濃度は1重量%、銀換算モル相当濃度は1.0〔mol
/l〕である。
【0058】以上のようにして形成した乳剤の比較を表
4に示した。
【0059】
【表4】
【0060】表4に示すように本発明の乳剤2−Bは比
較乳剤に比べ平均サイズが小さく、本発明の乳剤2−C
は比較乳剤に比べ銀換算モル相当濃度が大きく、また単
位時間当たりに生産される銀換算モル相当乳剤は比較乳
剤に比べ大きく生産性の面でも優れていることがわか
る。
【0061】実施例3 沃臭化銀乳剤3−A(種乳剤) 沃化銀2.0モル%を含む沃臭化銀乳剤をDJ法により、特
開昭50-45437号記載の方法にしたがって40℃、pH8.0、
pAg9.0の条件下で調製し、水洗処理を施して過剰な塩
類を除去した。かくして得られた粒子の平均粒径は0.8
μm、粒径変動係数(標準偏差/平均粒径)17%の沃臭
化銀粒子であった。
【0062】 沃臭化銀コア・シェル型粒子3−B(比較乳剤) 下記の溶液を用いて粒子内部に25モル%の沃臭化銀層を
含み、シェル部が純臭化銀であり、コア・シェル比が
1:1である2.2μm沃臭化銀コア・シェル型粒子を130
分間で形成した。
【0063】 溶液A オセインゼラチン 46.55g ポリイソプロピレンジ琥珀酸エステルナトリウム塩 10%メタノール水溶液 15ml TAI 750ml 56%酢酸水溶液 441ml 28%アンモニア水溶液 703ml 種乳剤(3−A) 銀換算0.6778モル相当量 蒸留水で12000mlにする。
【0064】 溶液B オセインゼラチン 15g 臭化カリウム 527.8g 沃化カリウム 245.4g TAI 1.2g 蒸留水で1690mlにする。
【0065】 溶液C オセインゼラチン 20g 臭化カリウム 962.2g TAI 1.6g 蒸留水で2300mlにする。
【0066】 溶液D 硝酸銀 1684.8g 28%アンモニウム 1373ml 蒸留水で2833mlにする。
【0067】 溶液E 20%臭化カリウム水溶液 pAg調整必要量 溶液F 56%酢酸 pH調整必要量 40℃において母液槽に溶液Aを導入しpAgを8.9、pHを
9.0に調整した後、溶液B、CをDJ法により100分間で添
加し、溶液Cの終了と共に溶液Dを添加してシェルを形
成した。得られた粒子は2.18μmの八面体コア・シェル型
であった。
【0068】沃臭化銀粒子3−C(比較乳剤) 特開平1-183417号の記載に従って0.06Mの臭化カリウム
を含有する3.0重量%のゼラチン溶液1200ccにそれを撹
拌しながら、0.1%3,4-ジメチル-2-チオンのメタノール
溶液を80ml加え75℃に保った母液槽に0.3M硝酸銀溶液
を50mlと0.063M沃化カリウムと0.19Mの臭化カリウム
を含むハライド水溶液50mlをDJ法により、3分間かけて
添加した。これにより投影面積円相当径0.3μmの沃化銀
含量25モル%の沃臭化銀粒子を得ることにより核形成を
行った。
【0069】上記成長核粒子形成を行った後、1.5M硝
酸銀800mlと、0.375M沃化カリウムと1.13M臭化カリウ
ムを含むハライド水溶液800ml及び3重量%のゼラチン
水溶液800mlを100分かけてTJ法で添加した。混合器内の
滞留時間は7秒であった。また混合器の撹拌翼の回転数
は7000rpmであった。得られた微結晶は透過型電子顕微
鏡で観察したところ添加初期で0.017μm、添加終了直前
で0.013μmであった。混合器の温度は35℃に保たれた。
混合器で生成した微結晶は、連続的に75℃に保たれた母
液槽に導入された。その後さらに1.5M硝酸銀水溶液と
1.5M臭化カリウムと2重量%ゼラチン溶液を混合器で
混合し50分間添加し、臭化銀シェルを形成しコア・シェ
ル比1:1の沃臭化銀粒子を得た。このとき混合器で得
られた粒子は0.02μmであった。得られた乳剤粒子は円
相当径2.2μmの8面体コア・シェル型粒子で内部の沃化
銀含有率は25モル%である。
【0070】臭化銀微結晶乳剤3−D(本発明) 本発明によるハロゲン化銀微結晶用混合器(図2参照)
を用いて純臭化銀微粒子乳剤3−D〜を以下のよう
に形成した。
【0071】 溶液A 硝酸銀 1698.7g 25℃の純水で25000mlとする。
【0072】 溶液B 臭化カリウム(KBr) 1190.1g 25℃の純水で2500mlとする。
【0073】 溶液C オセインゼラチン 200g 純水で1500mlとする 溶液D(pAg調整用) 20%臭化カリウム(KBr)pAg調整必要量 溶液E(pH調整用) 10%無水炭酸ナトリウム水溶液pH調整必要量 溶液Aは釜Aで、溶液Bは釜Bで、溶液Cは釜Cで調製
された。その際釜A、釜Bでの調液では熱を加えずに撹
拌だけで行った。その結果、吸熱反応によって溶液Aは
3.5℃に、溶液Cは5.8℃に冷却された。また釜Cではゼ
ラチン溶解後、溶液温度は16.5℃(ゼラチンのセット温
度+5℃)に保たれた。以上の温度で反応溶液を1:
1:6の割合で50分間で添加したところ混合器の温度は
24.4℃に保たれた。混合器内の滞留時間は3.5秒であっ
た。また混合器の撹拌翼の回転数は7,000rpmであった。
得られた微結晶は透過形電子顕微鏡で観察したところ平
均粒径0.008μmであった。混合後の乳剤はただちに調整
容器内に移し、一時保存した。調整容器においては乳剤
を撹拌しながら温度を25℃に保ち、溶液D、Eを用いて
常に乳剤のpAgを9、pHを5.5となるように制御した。
全ての溶液の添加終了後、調整容器内の臭化銀微粒子の
粒径は透過型電子顕微鏡による観察の結果0.008μmであ
った。
【0074】乳剤3-D以降は表5の条件を変更する
以外はと同様な形成方法で行った。得られた臭化銀微
結晶は乳剤と同等の粒径を持つ粒子であった。
【0075】
【表5】
【0076】上記乳剤をそれぞれ35℃において撹拌停留
し、微結晶粒径の経時変化を電子顕微鏡により観察し
た。粒径の経時変化の結果を図3に示す。図からわかる
ように微結晶の形成後ハロゲン化銀の溶解度の小さいp
Agに調整することにより生成後直ちに母液槽に注入し
なくとも、調整容器内で微結晶自身のオストワルド熟
成、凝集などによる粒径の変化は起きないことがわか
る。
【0077】沃化銀微結晶乳剤3−E(本発明) 乳剤3−Dと同様の装置を用いて下記の溶液を用いて沃
化銀微結晶乳剤を15分間かけて生成した。pAgを10.0、
pHを6.5に調整する以外は上記乳剤と全く同じである。
得られた粒子の粒径は0.011μmであった。
【0078】 溶液A オセインゼラチン 28.78g PSENa-10%MeOH 16.5cc くえん酸ナトリウム 2.4g 蒸留水 5287cc 溶液B 硝酸銀 180g 純水で303mlとする。
【0079】 溶液C 沃化カリウム(KI) 249g 純水で428mlとする。
【0080】 沃臭化化銀コア・シェル型乳剤3−F(本発明) 以下に示す溶液を用いて乳剤1−Bと同様なハロゲン組
成構造を持つコア・シェル型で平均粒径2.2μmの沃臭化
銀乳剤2−F〜を作成した。
【0081】 溶液A オセインゼラチン 46.55g PSENa-10%MeOH 15ml TAI 750ml 56%酢酸水溶液 441ml 28%アンモニア水溶液 703ml 種乳剤(2−A) 銀換算0.6778モル相当量 蒸留水で12000mlにする。
【0082】 溶液B 乳剤3−D 銀換算6.6モル相当量 TAI 600mg 溶液C 乳剤3−E 銀換算5.9モル相当量 TAI 380mg 溶液D 20%臭化カリウム水溶液 pAg調整必要量 溶液E 28%アンモニア水 pH調整必要量 母液槽に溶液Aを導入し40℃において、溶液D、Eを用
いてpAgを85、pHを7.5に調整した後、生成終了後4時
間たった溶液B、溶液Cを120分間かけてDJ法により混
合した。乳剤3−D、3−Eの乳剤は生成時それぞれ、
0.014μm、0.012μmであった。乳剤3−Dの乳剤粒子
は、AgI含有率モル25%となるように90分間で添加しそ
の後溶液Cを添加してシェル部分を形成した。
【0083】得られた乳剤粒子は電子顕微鏡観察の結
果、平均粒径2.2μmで乳剤2−B同等の晶相を持った粒
子であった。この乳剤を乳剤2−Bと同様な方法で脱塩
水洗、再分散を行った。
【0084】また乳剤3−F以降は溶液Bに用いる乳
剤をそれぞれ3−D以降のものに変更するのみでその
他の条件は上記3−Fと同様に形成した。粒子形成の
結果を表6に示す。
【0085】
【表6】
【0086】乳剤3−F、は添加する臭化銀微粒子
のサイズが大きくなってしまったために微粒子の溶解度
がかなり低下してしまい、粒子成長と同時に微粒子自体
が成長を起こしてしまったために小粒子が発生したと考
えられる。一方3−F、は数時間経っても粒子サイ
ズはそのままであり、微粒子の溶解速度が高く、単分散
の成長粒子を得ることができた。
【0087】乳剤3−B、E及び乳剤3−F〜に対
し金硫黄増感を施しAgIモル当たり下記の増感色素
(1)15mg及び増感色素(2)15mgにより緑感光性に分
光増感した。ついでTAI及び1-フェニル-5-メルカプト
テトラゾールを加えて安定化した。
【0088】さらに下記のマゼンタカプラー(M−1)
を酢酸エチル及びジノニルフタレート(DNP)に溶解し、
ゼラチンを含む水溶液に乳化分散した分散物及び延展
剤、硬膜剤などの一般的な写真添加剤を加えて塗布液を
作成し、下引されたフィルムベース状に常法により塗
布、乾燥して感光材料試料を作成した。なお各成分の付
量を1m2当たりで下記に記す。
【0089】 乳剤 1g マゼンタカプラー(M−1) 0.4g DNP 0.4g ゼラチン 0.12g
【0090】
【化1】
【0091】各試料は常法に従いウエッジ露光し、下記
処理工程で処理した。
【0092】処理工程: 発色現像 3分15秒 漂 白 6分30秒 水 洗 3分15秒 定 着 6分30秒 水 洗 3分15秒 安 定 化 1分30秒 乾 燥 各処理工程において使用した処理液組成を下記に示す。
【0093】 (発色現像液) 4-アミノ-3-メチル-N-(β-ヒドロキシエチル)-アニリン・硫酸塩 4.75g 無水亜硫酸ナトリウム 4.25g ヒドロキシルアミン1/2硫酸塩 2.00g 無水炭酸カリウム 37.50g 臭化カリウム 1.30g ニトリロトリ酢酸・3ナトリウム塩(1水塩) 2.50g 水酸化カリウム 1.00g 水を加えて1000mlとする。
【0094】 (漂白液) エチレンジアミンテトラ酢酸鉄アンモニウム塩 100.0g エチレンジアミンテトラ酢酸2アンモニウム塩 10.0g 臭化アルミニウム 150.0g 氷酢酸 10.0g 水を加えて1000mlとし、アンモニア水を加えてpH6.0に調整する。
【0095】 (定着液) チオ硫酸アンモニウム 175.0g 無水亜硫酸アンモニウム 8.6g メタ亜硫酸ナトリウム 2.3g 水を加えて1000mlにし、酢酸を用いてpH6.0に調整する。
【0096】 (安定化液) ホルマリン(37%水溶液) 1.5ml コニダックス(コニカ株式会社製) 7.5ml 水を加えて1000mlとする。
【0097】また乳剤3−Cはチオ硫酸ソーダと塩化金
酸カリウム及びチオシアン酸カリウムで最適に化学増感
した後、特開平1-183417号に記載されている方法により
分光増感し、露光、現像処理を行った。
【0098】各試料の写真性能の比較を表7に示した。
【0099】
【表7】
【0100】表7に示すように本発明の乳剤3−Fは
比較乳剤に比べ感度が非常に高くさらにハロゲン化銀微
結晶を添加することによりかぶり感度は低くなっている
ことがわかる。また乳剤3−C、3−Fと比較しても
かぶりが低い。乳剤3−Cは混合器内部において銀塩、
ハライド水溶液の供給速度が変動しておりpAgの低い状
態、即ち銀イオン濃度の高い状態で形成されたハロゲン
化銀微結晶がある割合で母液槽に供給されたため、また
3−F乳剤はpAg3で形成されたため、微結晶自体で
還元銀核が発生してしまいかぶりとなってしまったと考
えられる。以上のように微結晶生成後乳剤を調整したの
ち、母液槽に添加する方法により還元銀核の非常に少な
く、微細、均一なサイズのハロゲン化銀微結晶を供給す
ることができ、これにより高感度なハロゲン化銀乳剤粒
子を得ることができる。
【0101】
【発明の効果】本発明により、従来の製造方法および装
置において生ずる銀イオン、ハライドイオン等の濃度の
不均一な場におけるハロゲン化銀粒子の成長、そしてそ
れによってできる不均一な乳剤粒子(粒子サイズ、晶
相、粒子間及び粒子内部のハロゲン分布等)の問題を解
決し、ハロゲン化銀粒子の不均一な成長を行うことが可
能となった。更に微細な粒子であっても温度、pAgの条
件を調整することにより、微結晶生成後直ちに消費しな
くとも粒子サイズの変化がなく、また調整することによ
り微結晶自体に還元銀核のない微結晶を供給することが
でき、これにより従来にない高感度なハロゲン化銀粒子
を形成することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】比較乳剤の形成に用いる装置の概要図
【図2】本発明に用いる装置の概要図
【図3】微結晶の粒径経時変化を示すグラフ
【符号の説明】
1 母液槽 2 保護コロイド水溶液 3 撹拌機 4、5、6 溶液添加系 7 混合器 8 乳剤供給系 9 調整容器 10 反応室 11 監視装置 13 調整液 14 乳剤給送系 15 ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 市川 和義 東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会 社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 保護コロイドの存在下でハロゲン化銀写
    真乳剤粒子を形成する母液槽の外に混合器を設け、該混
    合器で銀塩水溶液、ハライド水溶液及び保護コロイド水
    溶液を混合してハロゲン化銀微結晶乳剤を調製し、さら
    に該ハロゲン化銀微結晶乳剤を調整容器に移し、貯留
    し、該貯留したハロゲン化銀微結晶乳剤を前記母液槽に
    供給して乳剤粒子の形成を行わせるハロゲン化銀写真乳
    剤粒子の製造方法において、前記混合器に供給する銀塩
    水溶液及びハライド水溶液の温度を20℃以下にすること
    を特徴とするハロゲン化銀写真乳剤粒子の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のハロゲン化銀写真乳剤粒
    子の製造方法において、混合器に供給する銀塩水溶液及
    びハライド水溶液の温度調整に吸熱反応を利用すること
    を特徴とするハロゲン化銀写真乳剤粒子の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の製造方法により
    調製されたハロゲン化銀写真乳剤粒子を含有することを
    特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
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