JP2697906B2 - 含フッ素共重合体およびその用途 - Google Patents

含フッ素共重合体およびその用途

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JP2697906B2 JP16935889A JP16935889A JP2697906B2 JP 2697906 B2 JP2697906 B2 JP 2697906B2 JP 16935889 A JP16935889 A JP 16935889A JP 16935889 A JP16935889 A JP 16935889A JP 2697906 B2 JP2697906 B2 JP 2697906B2
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の技術分野 本発明は、有機溶剤に溶解して常温で速やかに硬化さ
せることができ、しかも伸びが向上された含フッ素共重
合体およびその用途に関する。
発明の技術的背景 建築物、車両、船舶、航空機等の外装分野には耐候
性、耐久性の優れた塗料が要求され、ポリエステル系ま
たはアクリル系の高級外装塗料が利用されている。しか
し、既存塗料の屋外耐用年数は短く、上述の高級塗料で
さえ数年で美観と基材保護作用を失ってしまう。
一方、フッ素系共重合体は熱的にも化学的にも極めて
安定であり、耐候性、耐水性、耐薬品性、耐溶剤性ある
いは離型性、低摩擦性、撥水性に優れているので、各種
基材の表面処理材として好適である。しかし、従来知ら
れているフッ素系重合体は、前述のような性質が災いし
て、有機溶媒に溶けにくく、塗膜の形成が困難であっ
て、塗料として非常に使用しにくかった。たとえば、現
在知られているフッ素系重合体の塗料は粉体塗料が多く
僅かにPVdF(ポリビニリデンフルオライド)が高温下に
特定の溶媒に溶解する性質を利用して有機溶媒分散型塗
料として用いられているに過ぎない。しかもこれらのフ
ッ素系重合体の塗料は、皮膜形成の際に高温の焼付が必
要であるので、その利用分野が加熱設備のできる場所に
制限されていた。また加熱設備の存在および焼付工程を
行なわなければならないことは、作業に従事する人の安
全面や作業場の環境面からも好ましいものではない。そ
こで、近年になり溶剤可溶性あるいは高温での焼付工程
の必要のないフッ素系重合体の開発が試みられている。
このような現状に鑑みて、 有機溶剤に低温で溶解し、 硬化に際して特殊な硬化剤を必要とせず、 常温で硬化し、 硬化後は耐候性、耐水性、耐薬品性、耐溶剤性、低摩
擦性に優れ、 モノマー成分から直接重合できるような含フッ素共重
合体として、 [A](a)フルオロオレフィン、 (b)ビニルエーテル、 (c)オレフィン性不飽和結合および加水分解可
能な基をもつ有機珪素化合物、 とから実質的に構成される共重合体であって [B]共重合体中の(a)〜(c)の合計モル数に対し
て、(a):30〜70モル%、(b):20〜60モル%、
(c):1〜25モル%であって、 [C]ゲル・パーミエーションクロマトグラフ法によっ
て測定した数平均分子量(n)が3000〜200000、 で定義づけられる溶剤可溶性含フッ素共重合体およびこ
の含フッ素共重合体を有機溶剤に溶解してなる塗料が、
特願昭59−263017号明細書に提案されている。
この含フッ素共重合体は極めて優れた特性を有してい
るが、この含フッ素共重合体を有機溶剤に溶解させてな
る塗料を基材上に塗布して得られる被膜と基材との密着
性の向上がさらに望まれている。
発明の目的 本発明は、有機溶剤に溶解させることができ、かつ常
温で速やかに硬化させることができ、しかも塗料化し、
塗膜を形成した際に、塗膜と基材との密着性に優れるよ
うな含フッ素共重合体およびその用途を提供することを
目的としている。
発明の概要 本発明に係る含フッ素共重合体は、塩素を含むフルオ
ロオレフィンから導かれる構成単位(a)と、 ヒドロキシ基含有ビニルエーテルから導かれる構成単
位(b−1)と、ヒドロキシ基を含まないビニルエーテ
ルから導かれる構成単位(b−2)と、 オレフィン性不飽和結合および加水分解可能な基を有
する有機珪素化合物から導かれる構成単位(c)とを含
み、 該共重合体を構成する(a)、(b−1)、(b−
2)、(c)の合計モル数に対して、(a)は30〜70モ
ル%の量で、(b−1)+(b−2)は20〜60モル%の
量で、(c)は1〜25モル%の量で存在していることを
特徴としている。
発明の具体的説明 以下本発明に係る含フッ素共重合体の製造方法につい
て具体的に説明する。
まず本発明に係る含フッ素共重合体について説明する
と、この含フッ素共重合体は、塩素を含むフルオロオレ
フィンから導かれる構成単位(a)と、ヒドロキシ基含
有ビニルエーテルから導かれる構成単位(b−1)と、
ヒドロキシ基を含まないビニルエーテルから導かれる構
成単位(b−2)と、オレフィン性不飽和結合および加
水分解可能な基を有する有機珪素化合物から導かれる構
成単位(c)とを含んで構成されている。しかし本発明
の目的を損わない範囲で、少量の他の共重合可能なモノ
マー成分、たとえばα−オレフィン類、シクロオレフィ
ン類、カルボン酸ビニルエステル類、カルボン酸アリル
エステル類などから導かれる構成単位を含んでいてもか
まわない。
本発明に係る含フッ素共重合体において、上記のよう
な構成単位(a)を導くために用いられるフルオロオレ
フィンは、分子中に少なくとも1個以上のフッ素原子お
よび塩素原子を有しており、好ましくはオレフィンの水
素原子が全てフッ素原子、塩素原子および他のハロゲン
原子で置換されているペルハロオレフィンが好適であ
る。さらに重合性および得られる重合体の性質の観点か
らは、炭素原子数2または3のフルオロオレフィンが好
ましい。
このようなフルオロオレフィンとしては、具体的に
は、以下のような化合物が用いられる。
CClF=CF2、CHCl=CF2、CCl2=CF2、CClF=CClF、CHF
=CCl2、CCl2=CClF等の炭素原子数2のフルオロオレフ
ィン(フルオロエチレン系)。
CF2ClCF=CF2、CF3CCl=CF2、CF3CF=CFCl、CF2ClCCl
=CF2、CF2ClCF=CFCl、CFCl2CF=CF2、CCl3CF=CF2、C
F3CF=CHCl、CClF2CF=CHCl、CCl3CF=CHCl、CF2lCF=C
F2、CH2BrCF=CCl2等の炭素原子数3のフルオロオレフ
ィン(フルオロプロペン系)。
CF3CCl=CFCF3、CF2=CFCF2CClF2、CF2=CFCF2CCl3
CH2=CFCCl2CCl3、CF3(CF22CCl=CF2、CF3(CF2
=CCl=CF2等の炭素原子数4以上のフルオロオレフィン
系。
これらの中では、上記のようにフルオロエチレンおよ
びフルオロプロペン系が好ましく、とくにクロロトリフ
ルオロエチレン(CClF=CF2)が好適である。
また本発明において、フルオロオレフィンは、単独で
用いてもよく、また2種以上を混合して用いてもよい。
本発明に係る含フッ素共重合体において、上記のよう
なヒドロキシ基含有ビニルエーテルから導かれる構成単
位(b−1)を誘導するために用いられるビニルエーテ
ルは、ビニル基と、アルキル基、シクロアルキル基、ア
リール基、アラルキル基などとがエーテル結合を介して
結合されており、さらに水酸基を含んでいる。
このようなヒドロキシ基含有ビニルエーテルとして
は、具体的には、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、
ヒドロキシアルキルアリールエーテルが好ましく、さら
にヒドロキシアルキルビニルエーテルが好ましく、特に
ヒドロキシブチルビニルエーテルが好ましい。
また本発明に係る含フッ素共重合体において、上記の
ようなヒドロキシ基を含まないビニルエーテルから導か
れる構成単位(b−2)を誘導するために用いられるビ
ニルエーテルは、ビニル基と、アルキル基、シクロアル
キル基、アリール基、アラルキル基などとがエーテル結
合を介して結合されており、水酸基を含んでいない。
このようなヒドロキシ基を含まないビニルエーテルと
しては、具体的には、エチルビニルエーテル、プロピル
ビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ブチル
ビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、ペンチ
ルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、イソヘキ
シルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、4−メ
チル−1−ペンチルビニルエーテル等の鎖状アルキルビ
ニルエーテル類、シクロペンチルビニルエーテル、シク
ロヘキシルビニルエーテル等のシクロアルキルビニルエ
ーテル類、フェニルビニルエーテル、o−、m−、p−
トリルビニルエーテル等のアリールビニルエーテル類、
ベンジルビニルエーテル、フェネチルビニルエーテル等
のアラルキルビニルエーテル類を挙げることができる。
これらの中ではとくに炭素数が8以下好ましくは2〜
4である鎖状アルキルビニルエーテルおよび炭素数が5
〜6であるシクロアルキルビニルエーテルが好ましく、
さらにはエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテ
ル、ブチルビニルエーテルが好適である。
また本発明において、上記のようなビニルエーテル
は、単独で用いるほかに複数混合して用いることもでき
る。
上記のようなヒドロキシ基含有ビニルエーテルから導
かれる構成単位(b−1)は、(b−1)と(b−2)
との合計モル数の1〜35モル%好ましくは5〜30モル%
の量で、またヒドロキシ基を含まないビニルエーテルか
ら導かれる構成単位(b−2)は、(b−1)と(b−
2)との合計モル数の65〜99モル%好ましくは70〜95モ
ル%であることが好ましい。
本発明に係る含フッ素共重合体において、構成単位
(c)を誘導するために用いられる有機珪素化合物は、
分子中にオレフィン性不飽和結合および加水分解可能な
基を有する化合物であって、具体的には、下記一般式
(1)〜(3)に示される化合物を例示することができ
る。
R1R2SiY1Y2 (1) R1XSiY1Y2 (2) R1SiY1Y2Y3 (3) (式中、R1、R2は、オレフィン性不飽和結合を有し、炭
素、水素および場合によって酸素からなり、それぞれ同
一または相異なる基である。Xは、オレフィン性不飽和
結合を有しない有機基であり、Y1、Y2、Y3はそれぞれ同
一または相異なる加水分解可能な基である。) R1またはR2は、具体的には、ビニル、アリル(ally
l)、ブテニル、シクロヘキセニル、シクロペンタジエ
ニルなどであり、とくに末端オレフィン性不飽和基であ
ることが好ましい。またR1またはR2は、末端不飽和酸の
エステル結合を有する、 CH2=CH−O(CH2−、 CH2=C(CH3)COO(CH2−、 CH2=C(CH3)COO(CH2−O −(CH2−、 などの基であることもできる。これらの中では、R1およ
びR2が酸素を含まず炭素と水素とから構成されているこ
とが好ましく、特にビニル基が最適である。
Xは、具体的には、1価の炭化水素基であるメチル、
エチル、プロピル、テトラデシル、オクタデシル、フェ
ニル、ベンジル、トリルなどであり、またこれらの基
は、ハロゲン置換炭化水素基でもよい。
Y1、Y2、Y3は、具体的には、メトキシ、エトキシ、ブ
トキシ、メトキシエトキシなどのアルコキシ基、アルコ
キシアルコキシ基、ホルミロキシ、アセトキシ、プロピ
オノキシなどのアシロキシ基、オキシムたとえば−ON=
C(CH3、−ON=CHCH2C2H5および−ON=C(C6H5
などであり、その他任意の加水分解し得る有機基であ
る。
本発明では有機珪素化合物は、上記のような一般式
(3)で表わされる化合物であることが好ましく、とく
に基Y1、Y2、Y3が同一である有機珪素化合物が好まし
い。これらの中でもR1がビニル基であり、Y1〜Y3がアル
コキシ基またはアルコキシアルコキシ基である有機珪素
化合物が特に好ましく、たとえばビニロキシプロピルト
リメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニル
トリエトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキ
シ)シランなどが好ましい。またビニルメチルジエトキ
シシラン、ビニルフェニルジメトキシシランなども同様
に用いることができる。
本発明に係る含フッ素共重合体では、(a)〜(c)
のモノマー成分の含有割合は、(a)〜(c)の合計モ
ル数を基準として、(a)は30〜70モル%好ましくは40
〜60モル%の量であり、(b−1)+(b−2)は20〜
60モル%好ましくは20〜50モル%の量であり、(c)は
1〜25モル%好ましくは3〜20モル%の量であることが
望ましい。
本発明に係る含フッ素共重合体の分子量は、テトラヒ
ドロフランを溶媒にし、分子量既知の単分散ポリスチレ
ンを標準物質として用いて、ゲル・パーミエーションク
ロマトグラフ法(GPC)により測定して求めた数平均分
子量(n)が、通常3000〜200000の範囲にある。
このような本発明に係る含フッ素共重合体は、常温に
おいて、たとえばベンゼン、トルエン、キシレンなどの
芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトンなど
のケトン類、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、
エチルセロソルブなどのエーテル類、酢酸エチル、酢酸
ブチルなどのエステル類、n−ブタノール、エタノール
などのアルコール類、トリクロロメタン、ジクロロエタ
ン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類などに
溶解する。
したがって上記のような含フッ素共重合体を上記のよ
うな有機溶剤に溶解させて塗料組成物を調製することが
できる。
上記のような含フッ素共重合体から塗料組成物を調製
する場合には、有機溶剤として、トルエン、キシレン、
酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、エチルまたはメ
チルセロソルブ、酢酸セロソルブあるいはこれらの混合
物などを用いることが好ましい。
このような含フッ素共重合体は、有機珪素化合物から
導かれる構成単位(c)に由来する加水分解可能な有機
基を有しているので、水分と接触することにより重合体
の分子鎖間に橋かけ反応が起こり、硬化する。したがっ
て、大気中の湿気によっても当然のことながら架橋が起
こり得る。この含フッ素共重合体は、単独でも架橋が進
むことは明白であるが、塗料として用いる場合には、基
材に塗布された含フッ素共重合体の皮膜が迅速に硬化す
るように、シラノール縮合触媒を塗料組成物中に予め添
加しておいても、塗装直前に添加してもよい。この場
合、含フッ素共重合体とシラノール縮合触媒を含んだ有
機溶剤液を基材に塗布すると、有機溶剤が蒸散して空気
中の湿分と接触しだすと同時に硬化反応が起こり、皮膜
硬化が起こる。
シラノール触媒としては、公知のものを用いることが
でき、具体的には、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチ
ル錫ジラウレート、酢酸第1錫、オクタン酸第1錫、ナ
フテン酸鉛、2−エチルヘキサン酸鉄、ナフテン酸コバ
ルトなどのカルボン酸金属塩、エチルアミン、ヘキシル
アミン、ジブチルアミン、ピペリジンなどの有機塩基、
無機酸および有機脂肪酸などの酸などが用いられる。こ
のうちアルキル錫カルボン塩、たとえばジブチル錫ジラ
ウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオ
クトエート、ジブチル錫ジアセテートが好ましい。
本発明に係る含フッ素共重合体の橋かけ反応は、常温
すなわち室温付近(0〜40℃)で十分進行するが、必要
に応じて加熱下で反応を行なわしめてもよい。
本発明に係る含フッ素共重合体を塗料として使用する
場合には、前記のように1液型で使用するのが好適であ
り、この塗料組成物は、通常の液体塗料と同じように刷
毛、スプレー、ローラコータ等で金属、木、プラスチッ
ク、セラミック、紙、ガラスなどの基材表面に塗布する
ことができる。硬化後の被膜は、耐候性、耐薬品性、耐
溶剤性、耐水性、低摩擦性に優れ、さらに透明性、光
沢、伸び性にも優れている。
硬化後の含フッ素共重合体は、前記のように伸び特性
に優れている。ここで含フッ素共重合体の伸び特性は実
施例に示すようにして評価した。
本発明に係る含フッ素共重合体は、上記のような各モ
ノマー、すなわち塩素を含むフルオロオレフィン、ヒド
ロキシ基含有ビニルエーテル、ヒドロキシ基を含まない
ビニルエーテル、オレフィン性不飽和結合および加水分
解可能な基を有する有機珪素化合物を周知のラジカル開
始剤の存在下共重合することによって製造することがで
きる。ここでフルオロオレフィン、ビニルエーテル、有
機珪素化合物の各成分はいずれも存在することが必要で
あり、たとえばフルオロオレフィンと有機珪素化合物と
のみでは共重合が生じないが、ビニルエーテルを加える
ことによって上記の各成分が共重合する。
このような含フッ素共重合体を製造する際には、ラジ
カル開始剤として、公知の種々のものが使用できる。具
体的には、有機ペルオキシド、有機ペルエステルたとえ
ばベンゾイルペルオキシド、ジクロルベンゾイルペルオ
キシド、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペル
オキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシベンゾ
エート)ヘキシン−3、1,4−ビス(tert−ブチルペル
オキシイソプロピル)ベンゼン、ラウロイルペルオキシ
ド、tert−ブチルペルアセテート、2,5−ジメチル−2,5
−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、2,5−
ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサ
ン、tert−ブチルペルベンゾエート、tert−ブチルペル
フェニルアセテート、tert−ブチルペルイソブチレー
ト、tert−ブチルペル−sec−オクトエート、tert−ブ
チルペルピバレート、クミルペルピバレート、tert−ブ
チルペルジエチルアセテートなど、その他アゾ化合物た
とえばアゾビス−イソブチルニトリル、ジメチルアゾイ
ソブチレートなどが用いられる。このうちジクミルペル
オキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメ
チル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−
3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキ
シ)ヘキサン、1,4−ビス(tert−ブチルペルオキシイ
ソプロピル)ベンゼンなどのジアルキルペルオキシドが
好ましい。
上記のような共重合反応は、有機溶媒からなる反応媒
体中で行なわれることが好ましい。このような有機溶媒
としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族
炭化水素、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタ
ンなどの脂肪族炭化水素、クロロベンゼン、ブロモベン
ゼン、ヨードベンゼン、o−ブロモトルエンなどのハロ
ゲン化芳香族炭化水素、テトラクロロメタン、1,1,1−
トリクロロエタン、テトラクロロエチレン、1−クロロ
ブタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素等を用いること
ができる。
上記のような共重合反応は、上記のような溶媒中でラ
ジカル開始剤をモノマーの合計モル数に対してモル比で
10-2〜2×10-3の範囲で添加して行なうことが好まし
い。また重合温度は−30〜−200℃、好ましくは20〜100
℃、重合圧力は0〜100kg/cm2・G、好ましくは0〜50k
g/cm2・Gである。
なお本発明では、フルオロオレフィンとして塩素を含
むフルオロオレフィンを用いて含フッ素共重合体を製造
するに際しては、重合反応時および/または得られた共
重合体の精製時に、系内に塩素捕捉剤を存在させておく
ことが望ましい。
このような塩素捕捉剤としては、以下のような化合物
を用いることができる。
(イ)MxAly(OH)2x+3y-2z(A)・aH2O(式中、M
はMg、CaまたはZnであり、AはCO3またはHPO4であり、
x、y、zは正数であり、aは0または正数である。)
で示される複合化合物。
(イ)で示される複合化合物としては、具体的には、
下記のような化合物が用いられる。
Mg6Al2(OH)16CO3・4H2O Mg8Al2(OH)20CO3・5H2O Mg5Al2(OH)14CO3・4H2O Mg10Al2(OH)22CO3・4H2O Mg6Al2(OH)16HPO4・4H2O Ca6Al2(OH)16CO3・4H2O Zn6Al6(OH)16CO3・4H2O この(イ)で示される複合化合物は、上記のような式
で正確に示されない化合物であってもよく、たとえばMg
2Al(OH)・3H2OのOHの一部がCO3で置換された化合物
であってもよい。またこれらの化合物は、結晶水が除去
されていてもよい。
このような複合化合物のうちでは、MがMgであり、A
がCO3である化合物が好ましい。
(ロ)アルカリ土類金属の塩基性化合物 アルカリ土類金属の塩基性化合物としては、具体的に
は、MgO、CaOなどのアルカリ土類金属酸化物、Mg(OH)
、Ca(OH)などのアルカリ土類金属水酸化物、MgCO
3、CaCO3などのアルカリ土類金属炭酸塩などが用いられ
る。
上記のようなアルカリ土類金属の塩基性化合物は、
(MgCO3・Mg(OH)・5H2Oなどの複塩であっても
よく、またこれらの化合物は結晶水が除去されていても
よい。
これらのアルカリ土類金属の塩基性化合物のうちで
は、Mg含有化合物が好ましい。
(ハ)エポキシ基含有化合物 エポキシ基含有化合物としては、γ−グリシドキシプ
ロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシク
ロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのケイ素含
有エポキシ化合物、トリメチロールプロパンポリグリシ
ジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエ
ーテルなどの脂肪族エポキシ化合物などが用いられる。
このうちγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ンなどのケイ素含有エポキシ化合物が好ましい。
上記のような塩素捕捉剤のうち、無機化合物である塩
素捕捉剤は、有機化合物である塩素捕捉剤と比較して、
塩素(塩酸)との反応が速く、かつ重合系あるいは精製
系に溶解していないため、系外に除去しやすいため好ま
しく用いられる。特に(イ)で示した複合化合物が好ま
しい。
上記のような塩素捕捉剤を、重合反応時または得られ
た共重合体の精製時あるいはこの両方に存在させること
によって、得られる含フッ素共重合体の着色を効果的に
防止することができる。特に塩素捕捉剤を重合反応時に
系内に存在させることによって、得られる含フッ素共重
合体の着色を効果的に防止することができる。
また得られた含フッ素共重合体をアルコール類などで
精製処理する際に系内に塩素捕捉剤を存在させることに
よって、この含フッ素共重合体をトルエンなどの有機溶
剤に溶解させて塗料とし、この塗料を金属などの基材に
塗布して塗膜を形成した際に、基材に錆が発生するのを
効果的に防止することができる。
このような塩素捕捉剤を、重合反応時に用いる場合に
は、(a)フルオロオレフィンに含まれる塩素原子1モ
ルに対して0.5〜100g好ましくは1〜70gの量で用いるこ
とが好ましい。
また塩素捕捉剤を、精製時に用いる場合には、得られ
た含フッ素共重合体100gに対して0.5〜100g好ましくは
1〜70gの量で用いることが好ましい。
本発明に係る含フッ素共重合体の利用分野としては、
上記してきたように各種の有機溶剤に溶解した形で塗料
組成物として用いるのが最適である。この場合、顔料あ
るいは染料などを塗料組成物に配合して着色塗料として
もよく、さらに必要に応じて通常合成樹脂に配合される
各種添加剤を配合してもよい。また上記のような含フッ
素共重合体を、シリル化アクリル樹脂、シリコン系塗
料、シリル化ポリオレフィンなどのアルコキシシリル基
あるいはシラノール基を有する樹脂の改質剤として使用
してもよい。
以下本発明を実施例により説明するが、本発明はこれ
ら実施例に限定されるものではない。
実施例1 内容積1.5のステンレス製撹拌機付きオートクレー
ブ内を窒素置換し、窒素気流下にベンゼン180ml、エチ
ルビニルエーテル(EVE)115.1g、ヒドロキシブチルビ
ニルエーテル(HyBVE)24.4g、トリメトキシビニルシラ
ン(TMVS)43.6g、合成ハイドロタルサイト(Mg4.3Al2
(OH)13CO3・3.5H2O)粉末の焼成品(SHT)13.0gを仕
込んだ。その後、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)
257gをオートクレーブ中に導入し、65℃まで昇温した。
これに過酸化ジラウロイル7.6gをベンゼン120ccに溶
解させた開始剤溶液を4時間かけてフィードした。さら
に65℃で6時間反応を行なった後、オートクレーブを水
冷し、反応を停止させた。
冷却後、未反応モノマーを追い出し、オートクレーブ
を開放し、1.5のナス形フラスコに反応液を取り出し
た。
これにキシレン210g、メタノール120gSHT 13.0gを加
え、50℃で1.5時間さらに60℃で1.5時間撹拌下に加熱処
理した。
処理後、エバポレーターにて減圧下に残留モノマーお
よび溶媒を留去し、次いでキシレン550gを加え、撹拌に
より均一溶液とした。
この溶液を濾過してSHTを除去し、減圧濃縮して無色
透明な重合体(I)322gを得た。
得られたポリマーのGPCによる数平均分子量は10,300
であった。
また、この共重合体の組成分析を元素分析およびNMR
を用いて行なったところ、CTFE/EVE/HyBVE/TMVS=49/39
/6/6(モル比)であった。
実施例2 実施例1において、トルメトキシビニルシラン(TMV
S)の代りにメチルジメトキシビニルシラン(MDMVS)を
用いて、実施例1と同様に共重合体(II)を合成した。
得られたポリマーのGPCによる数平均分子量は9,700で
あった。
また、この共重合体の組成分析を元素分析およびNMR
を用いて行なったところ、CTFE/EVE/HyBVE/MDMVS=51/3
5/7/7(モル比)であった。
比較例1 内容積1.5のステンレス製撹拌機付きオートクレー
ブ内を窒素置換し、窒素気流下にベンゼン180ml、エチ
ルビニルエーテル(EVE)106g、n−ブチルビニルエー
テル(BVE)21.0g、トリメトキシビニルシラン(TMVS)
62.2g、合成ハイドロタルサイト(Mg4.3Al2(OH)13CO3
・3.5H2O)粉末の焼成品(SHF)13.0gを仕込んだ。その
後、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)257をオート
クレーブ中に導入し、65℃まで昇温した。
これに過酸化ジラウロイル7.6gをベンゼン120ccに溶
解させた開始剤溶液を4時間かけてフィードした。さら
に65℃で6時間反応を行なった後、オートクレーブを水
冷し、反応を停止させた。
冷却後、未反応モノマーを追い出し、オートクレーブ
を開放し、1.5のナス形フラスコに反応液を取り出し
た。
これにキシレン210g、メタノール120gSHT 13.0gを加
え、50℃で1.5時間さらに60℃で1.5時間撹拌下に加熱処
理した。
処理後、エバポレーターにて減圧下に残留モノマーお
よび溶媒を留去し、次いでキシレン550gを加え、撹拌に
より均一溶液とした。
この溶液を濾過してSHTを除去し、減圧濃縮して無色
透明な重合体(III)366gを得た。
得られたポリマーのGPCによる数平均分子量は10,000
であった。
また、この共重合体の組成分析を元素分析およびNMR
を用いて行なったところ、CTFE/EVE/BVE/TMVS=50/37/6
/7(モル比)であった。
実施例3 実施例1で得られた共重合体(I)35.5重量部、テト
ラメチルオルト珪酸オリゴマー1.7重量部、オルトギ酸
メチル1.7重量部、酸化チタン29重量部、キシレン32.1
重量部よりなる塗料(I)を調製した。
一方、硬化触媒液として、ジラウリン酸ジn−ブチル
錫の6.3重量%キシレン溶液を調製した。
またJIS G 3302に規定する亜鉛鋼板(SPG)にエポキ
シ塗料、マリンSC(三井金属塗料化学(株))、暴露期
間10、20、30日の3水準をとって暴露し、塗装板を作成
した。
塗料液(I)100重量部に対し、上記硬化触媒液3.6重
量部を混合し、この混合液を上記の塗装板の上に100μ
mのアプリケーターを用いて塗布した。これを屋外に1
週間暴露したのち、ゴバン目セロテープ試験を実施し
た。
結果を表1に示す。
実施例4 実施例2で得られた共重合体(II)を実施例3と同様
に、塗料化、塗布およびゴバン目セロテープ試験を行な
った。
結果を表1に示す。
比較例2 比較例1で得られた共重合体(III)を実施例3と同
様に、塗料化、塗布およびゴバン目セロテープ試験を行
なった。
結果を表1に示す。
<ゴバン目・セロテープ試験> 鋼板に塗布した塗り板の塗膜表面に「JIS K 5400 197
9 塗料一般試験方法6.15碁盤目試験」に準じて切り傷を
入れた。つぎにごばん目部分の塗膜表面に幅20mmのセロ
ハン粘着テープをあて、その上から幅7mmのスパチュラ
で強くこすりながらテープを塗膜面に密着させたあと、
急速にセロハンテープを鉛直上方に引き上げてはがし
た。このセロハンテープの密着とはがしを碁盤目の4辺
の各方向から計4回行ない、除かれずに残った碁盤目の
数を調べ、その数で試験成績を表示した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C08F 214/18 216:16 216:14 230:08) (C08F 216/14 214:18 216:16 230:08) (C08F 216/16 214:18 216:14 230:08) (C09D 127/12 129:10 143:04) (C09D 129/10 127:12 143:04)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩素を含むフルオロオレフィンから導かれ
    る構成単位(a)と、 ヒドロキシ基含有ビニルエーテルから導かれる構成単位
    (b−1)と、ヒドロキシ基を含まないビニルエーテル
    から導かれる構成単位(b−2)と、 オレフィン性不飽和結合および加水分解可能な基を有す
    る有機珪素化合物から導かれる構成単位(c)とを含
    み、 該共重合体を構成する(a)、(b−1)、(b−
    2)、(c)の合計モル数に対して、(a)は30〜70モ
    ル%の量で、(b−1)+(b−2)は20〜60モル%の
    量で、(c)は1〜25モル%の量で存在していることを
    特徴とする含フッ素共重合体。
  2. 【請求項2】請求項第1項に記載された含フッ素共重合
    体を有機溶剤に溶解してなる塗料組成物。
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