JP2697511B2 - パワーユニットの支持構造 - Google Patents

パワーユニットの支持構造

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JP2697511B2 JP4240957A JP24095792A JP2697511B2 JP 2697511 B2 JP2697511 B2 JP 2697511B2 JP 4240957 A JP4240957 A JP 4240957A JP 24095792 A JP24095792 A JP 24095792A JP 2697511 B2 JP2697511 B2 JP 2697511B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、車両のパワーユニッ
トを車体に支持するための構造の改良に関し、特に、車
体曲げ振動のパワーユニットへの影響を極力小さくで
き、アイドル振動が改善されるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】図5は、パワーユニット1の従来の支持
構造を概念的に示す平面図であって、パワーユニット1
と車体(図示せず)との間に介在する三つのパワーユニ
ット支持装置2,3及び4によって、パワーユニット1
を車体に弾性的に支持している状態を示している。
【0003】そして、各パワーユニット支持装置2〜4
は、パワーユニット1の荷重を支持できるように、また
特にこのパワーユニット1はクランク軸が車両左右方向
を向くいわゆる横置エンジン1Aを含むものであるため
その横置エンジン1Aが駆動している際に車両左右方向
に延びる軸回りに生じるモーメントを確実に受けられる
ように、パワーユニット1の重心Gを水平面に投影した
点が、それらパワーユニット支持装置2〜4を水平面に
投影した位置を結んだ線で囲まれた内側に位置するよう
に配されている(特開昭58−63520号公報参照
方)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ここで、車両5の側面
図である図6に示すように、車体に生じる曲げ振動の節
1 ,n2 が一般的にパワーユニット1の搭載位置より
も車両後側にあるため、かかるパワーユニット1には必
然的に車体曲げ振動が入力されてしまうことになる。従
って、パワーユニット1は、車体曲げ振動の影響を小さ
くするという観点からすれば、その重心Gが可能な限り
車体曲げ振動の節n1 に近くなるような位置に搭載する
ことが望ましい。
【0005】しかし、車体曲げ振動の影響を小さくする
という観点からのみパワーユニットの配設位置を決定し
ても、他のレイアウト条件等からその実現が不可能な場
合も多い。また、図5に示したような従来のパワーユニ
ット1の支持構造にあっては、重心Gを囲むように各パ
ワーユニット支持装置2〜4が配される構造であったた
め、感度の高い車両前部に一つ以上のパワーユニット支
持装置を配さなければならず、従って、単にパワーユニ
ット1を節n1 に近づけて配設しても、重心Gよりも前
方で生じる比較的大きい車体曲げ振動の影響がその重心
Gよりも前方に配されたパワーユニット支持装置を通じ
てパワーユニット1に及ぼされてしまい、アイドル振動
の悪化を招いてしまうという不具合がある。
【0006】本発明は、このような従来のパワーユニッ
ト1の支持構造では解決できなかった不具合に着目して
なされたものであって、車体曲げ振動の影響を極力小さ
くでき、アイドル振動の改善が図られるパワーユニット
の支持構造を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明であるパワーユニットの支持構
造は、クランク軸が車両左右方向を向くエンジンを有し
且つ車体前部に搭載されるパワーユニットを車体に支持
するための構造であって、前記パワーユニットの重心を
通り且つ車両左右方向に延びる軸を考え、前記パワーユ
ニットと車体との間に介在する複数のパワーユニット支
持装置のうち、前記軸よりも車両後側にパワーユニット
側の取付け点が配されるパワーユニット支持装置の全て
の車体側取付け点を、前記軸よりも車両後側に配すると
ともに、前記軸よりも車両前側にパワーユニット側の取
付け点が配されるパワーユニット支持装置の全ての車体
側取付け点を、リンクを介して前記軸より車両後側に配
した。
【0008】また、上記目的を達成するために、請求項
2記載の発明は、上記請求項1に係る発明であるパワー
ユニットの支持構造において、前記リンクの両端を、弾
性体を含むマウントを介してパワーユニット側及び車体
側のそれぞれに結合した。
【0009】
【作用】車体に生じる曲げ振動は、パワーユニット支持
装置を介して車体側からパワーユニット側に伝達される
が、発明にあっては、パワーユニットの重心を通り且
つ車両左右方向に延びる軸を考え、この軸よりも車両後
側にパワーユニット側取付け点が配されるパワーユニッ
ト支持装置の全ての車体側取付け点は、その軸よりも車
両後側に配されているし、また、上記軸よりも車両前側
にパワーユニット側取付け点が配されるパワーユニット
支持装置の全ての車体側取付け点が、リンクを介してそ
の軸よりも車両後側に配されているから、全てのパワー
ユニット支持装置の車体側取付け点がそのパワーユニッ
トの重心より車体曲げ振動の節の近くに配されているた
め、車体側からパワーユニット側に伝達される車体曲げ
振動は、そのパワーユニットの重心に対応する車体位置
に生じる車体曲げ振動よりも小さくて済む。つまり、本
発明によれば、パワーユニット本体の位置はそのままで
も、車体曲げ振動に対してはパワーユニットを車体曲げ
振動の節に近づけて配設したことと等価であり、車体曲
げ振動のパワーユニットへの影響が小さくなる。
【0010】かも、横置エンジン駆動時に車両横方向
に延びる軸回りに生じるモーメントが前記リンクによっ
て受けられる。
【0011】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて説
明する。図1乃至図4は、本発明の一実施例を示す図で
あり、図1はパワーユニット1の支持構造を示す平面
図、図2はパワーユニット1の支持構造を示す側面図で
ある。
【0012】即ち、このパワーユニット1は、クランク
軸が車両左右方向を向くいわゆる横置エンジン1Aを有
し且つ車体前部に搭載されるパワーユニットであって、
一般にはFF(フロントエンジン−フロントドライブ)
車に用いられる形式のパワーユニットである。そして、
このパワーユニット1は、三つの一般的なパワーユニッ
ト支持装置10,11及び12と、一つのリンク式のパ
ワーユニット支持装置20とによって、車体に弾性的に
支持されている。
【0013】一般的なパワーユニット支持装置10〜1
2は、その断面図である図3に示すように、パワーユニ
ット1側及び車体側の一方に固定される外筒15と、こ
の外筒15内側に平行に配設され且つパワーユニット1
側及び車体側の他方に固定される内筒16と、外筒15
内面及び内筒16外面に加硫接着された弾性体17と、
から構成されている。なお、これら一般的なパワーユニ
ット支持装置10〜12は、パワーユニット1の重心G
を通り且つ車両左右方向に延び軸Sよりも車両後側に
おいてそのパワーユニット1を車体に支持している。
【0014】一方、リンク式のパワーユニット支持装置
20は、パワーユニット1の下側にて車両前後方向に延
びるリンク21の両端部に、図3に示した通常のパワー
ユニット支持装置10〜12と同様の構造からなるマウ
ント22,23を固定して構成されていて、一方のマウ
ント22は、軸Sよりも車両前方において、その内筒が
パワーユニット1に結合され且つその外筒がリンク21
に結合され、他方のマウント23は、軸Sよりも車両後
方において、その内筒がリンク21に結合され且つその
外筒が車体としてのセンタメンバ25に結合されてい
る。
【0015】つまり、本実施例にあっては、パワーユニ
ット1と車体との間に介在する全てのパワーユニット支
持装置10〜12,20の車体側取付け点は、重心Gを
通る軸Sよりも車両後側に配されていることになる。そ
して、図6に示したように、車体前部にパワーユニット
1が搭載される一般の車両5にあっては、そのパワーユ
ニット1よりも車両後側に車体曲げ振動の節n1 ,n2
が存在することから、本実施例では、全てのパワーユニ
ット支持装置10〜12,20の車体側取付け点は、パ
ワーユニット1の重心Gよりも節n1に近い位置に配さ
れていることになる。換言すれば、比較的大きな車体曲
げ振動が生じる車体前部に、パワーユニット支持装置の
取付け点を一切設定していないということである。
【0016】このため、各パワーユニット支持装置10
〜12,20には、比較的小さな車体曲げ振動が入力さ
れることになり、パワーユニット1の重心Gの位置を節
1に近づけることができない場合であっても、実質的
にパワーユニット1を車両後側に配設したことと等価で
あり、車体曲げ振動のパワーユニット1への影響が小さ
くなり、この結果、アイドル振動を改善することができ
る。
【0017】また、リンク式のパワーユニット支持装置
20は、そのパワーユニット1側の取付け点であるマウ
ント22が、軸Sよりも車両前側に配されているため、
図1からも明らかなようにパワーユニット1側から見れ
ば重心Gを取り囲むように各パワーユニット支持装置1
0〜12,20が配されていることになるから、このパ
ワーユニット1は、これら四つのパワーユニット支持装
置10〜12,20によって安定した状態で車体に支持
される。
【0018】そして、横置エンジン1Aの駆動時には、
図4に示すように、パワーユニット1の左右に配された
パワーユニット支持装置11,12を結ぶ直線L回りに
モーメントMが生じるが、かかるモーメントMは、パワ
ーユニット支持装置10及びリンク式のパワーユニット
支持装置20によって確実に受けることができ、従っ
て、全てのパワーユニット支持装置10〜12,20の
車体側取付け点を重心Gよりも車両後側としたことによ
り新たな不具合が生じることもない。
【0019】なお、上記実施例では、リンク式のパワー
ユニット支持装置20を一つ設けた場合について説明し
たが、このようなリンク式のパワーユニット支持装置を
複数設ける構成であってもよい
【0020】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
全てのパワーユニット支持装置の車体側取付け点を、そ
のパワーユニットの重心よりも、車体曲げ振動の節の近
くに配される構造としたため、車体側からパワーユニッ
ト側に伝達される車体曲げ振動が、そのパワーユニット
の重心に対応する車体位置に生じる車体曲げ振動よりも
小さくて済むようになり、車体曲げ振動のパワーユニッ
トへの影響が小さくなって、アイドル振動が改善される
という効果が得られる。
【0021】しかも、パワーユニットの前側部分もリン
クを利用して車体に支持するようにしているから、パワ
ーユニットを安定した状態で確実に支持することができ
るとともに、エンジン駆動時に生じるモーメントを確実
に受けることができるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の構成を示す平面図である。
【図2】本発明の一実施例の構成を示す側面図である。
【図3】パワーユニット支持装置の一例を示す断面図で
ある。
【図4】パワーユニットに生じるモーメントの説明図で
ある。
【図5】従来のパワーユニットの支持構造を示す平面図
である。
【図6】車体に生じる曲げ振動の一例を表す車両の側面
図である。
【符号の説明】
1 パワーユニット 1A 横置エンジン 10,11,12,20 パワーユニット支持装置 21 リンク 22,23 マウント 25 センタメンバ(車体) G パワーユニットの重心 n1 ,n2 車体曲げ振動の節

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クランク軸が車両左右方向を向くエンジ
    ンを有し且つ車体前部に搭載されるパワーユニットを車
    体に支持するための構造であって、前記パワーユニット
    の重心を通り且つ車両左右方向に延びる軸を考え、前記
    パワーユニットと車体との間に介在する複数のパワーユ
    ニット支持装置のうち、前記軸よりも車両後側にパワー
    ユニット側の取付け点が配されるパワーユニット支持装
    置の全ての車体側取付け点を、前記軸よりも車両後側に
    配するとともに、前記軸よりも車両前側にパワーユニッ
    ト側の取付け点が配されるパワーユニット支持装置の全
    ての車体側取付け点を、リンクを介して前記軸より車両
    後側に配したことを特徴とするパワーユニットの支持構
    造。
  2. 【請求項2】 前記リンクの両端を、弾性体を含むマウ
    ントを介してパワーユニット側及び車体側のそれぞれに
    結合した請求項1記載のパワーユニットの支持構造。
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