JP2696784B2 - 過塩基性硫化アルカリ土類金属フェネートの製造方法 - Google Patents

過塩基性硫化アルカリ土類金属フェネートの製造方法

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JP2696784B2 JP6053230A JP5323094A JP2696784B2 JP 2696784 B2 JP2696784 B2 JP 2696784B2 JP 6053230 A JP6053230 A JP 6053230A JP 5323094 A JP5323094 A JP 5323094A JP 2696784 B2 JP2696784 B2 JP 2696784B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、潤滑油または燃料油の
清浄剤あるいはアルカリ清浄剤として有用な高塩基価
で、油溶性、耐熱性に優れ、色相の明るい過塩基性硫化
アルカリ土類金属フェネートの製造法であって、特定量
の脂肪族アミンを添加し、かつ特定量の水の存在下に二
酸化炭素処理を行うことを特徴とする過塩基性硫化アル
カリ土類金属フェネートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルカリ土類金属フェネートは主に内燃
機関用潤滑油に添加して使用されるアルカリ清浄剤の1
つであり、エンジン内で発生した酸性成分、スラッジな
どを中和し、分散する役割を果たす。アルカリ清浄剤の
存在によりエンジン内で発生した酸性成分がエンジン部
品を腐食するのを防止し、かつエンジン内で発生したス
ラッジやラッカーがエンジン部品の過度の摩耗を起こす
ことを防止することが可能となる。最近では、この酸性
成分を中和する能力を高めるため、過塩基性のアルカリ
土類金属フェネート(アルキルフェノールに対して理論
量以上のアルカリ土類金属を含むフェネート)の開発が
行われており、現在では、耐熱性、油溶性を向上させる
ために硫化型のものが主流となっている。また、アルカ
リ土類金属フェネートをさらに過塩基性にするために、
カルボン酸類やアルコール類をアルカリ土類金属フェネ
ートに添加して製造することもある。
【0003】従来、フェネートに硫黄を導入する方法と
しては、先ずアルキルフェノールを塩化硫黄などで硫化
物として、次にこれを金属塩とする方法と、金属付加反
応時あるいは金属塩になってから元素硫黄を用いて硫化
する方法の2つが一般的であるが、本発明は後者の硫化
法に属するものである。後者の硫化法を採用して過塩基
性フェネート(over based phenate)を製造する方法は
古くから数多くみられ、理論量の2倍以上のアルカリ土
類金属を含む過塩基性フェネートを1回の金属付加反応
で得ることができるような報告もある。
【0004】例えば、堀および林田(特公昭60−28
878)は、過剰のフェノール類の存在下で上記反応を
行うことにより予測に反して高度に塩基性を有するアル
カリ土類金属フェネートを製造することが可能なことを
見い出している。
【0005】さらに堀および上田(特公平3−1061
1)は、フェノール類、二価アルコール、アルカリ土類
金属試薬をまたはこれに硫黄を加えたものを反応させ
て、フェノール類の金属付加を、又は金属付加と硫化を
同時に行わせる反応において、反応系中に適当な量の水
を添加することにより、過剰の二価アルコールの使用を
必要とせず、一回の反応当たりのアルカリ土類金属試薬
の製品への転化率を著しく高くすることが可能であるこ
とを見い出している。
【0006】これら2つの方法は、過塩基化するため
に、アルキルフェノールに対して大過剰のアルカリ土類
金属試薬を使用する従来からの概念に基づく方法とは逆
に、アルカリ土類金属試薬に対して大過剰のアルキルフ
ェノールを使用して過塩基性フェネートを得ることに成
功し、それにより特殊な溶媒や添加物を必要とせず、希
釈油として使用する鉱油を除けば全て反応に直接用いら
れる物のみを原料として用いている。したがって、使用
原料の種類を必要最小限にとどめている点で優れてい
る。
【0007】また、本発明者らは、金属付加・硫化反応
終了後の中間生成物を二酸化炭素処理する際に、従来は
水が系中に共存すると製品の安定性が悪くなったり、炭
酸化反応が正常に進行しなくなる(特公平3−1061
1)など、好ましくない状態をつくり出すと考えられて
きたが、これら従来の知見に反し上記中間生成物から過
剰の二価アルコールを留去したのち適当量の水を存在さ
せて二酸化炭素処理することにより過塩基性フェネート
製品中のフェノール成分当たりのアルカリ土類金属のグ
ラム当量比(以下、「PEQ(product equivalent)
値」と略す)が著しく向上することを見い出した(特開
平5−238976、特願平4−238898)。この
PEQ値を向上させることは、一般にフェネート等の添
加剤を潤滑油に添加する場合、その添加量が塩基価を基
準にして計算されることから、高価なアルキルフェノー
ルの使用量を削減することになり、経済的効果は極めて
大きい。
【0008】さらに、特願平4−355682では、使
用する硫黄量を低減することにより、過塩基性硫化アル
カリ土類金属フェネートの粘度を低下させることに成功
した。
【0009】しかし、特公昭60−28878や特公平
3−10611の方法では、従来品以上の高塩基価の過
塩基性硫化アルカリ土類金属フェネートを製造すること
は非常に困難であり、また、たとえ高塩基価のものを製
造しても得られた製品は粘度が著しく高くなるため取扱
いが困難になるといった欠点を有している。また、特開
平5−238976、特願平4−238898、特願平
4−355682では、過塩基性硫化アルカリ土類金属
フェネートの塩基価を向上させることは可能であるが、
色相が暗く、油溶性に乏しいなどといった欠点を有して
いる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
にない高い塩基価を有し、かつ明るい色相を有し、油溶
性に優れかつ耐熱性に優れる過塩基性硫化アルカリ土類
金属フェネートを一回の金属付加反応で与えること、な
らびにこの優れたフェネートを経済的に製造する方法を
与えることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
これらの課題を解決するために種々検討を重ねた結果、
二酸化炭素処理以前に脂肪族アミンを特定量添加し、か
つ従来存在するとフェネートの安定性を低下させると考
えられてきたため、常に二酸化炭素処理前に系外へ除去
してきた水を、硫化金属付加反応終了後の中間生成物か
ら過剰の二価アルコールおよび少なくとも過剰の水を留
去した後に、特定量存在させて二酸化炭素処理すること
により、比較的低粘度でかつ明るい色相を有し、酸化安
定性に優れる従来にない高塩基価の過塩基性硫化アルカ
リ土類金属フェネートが得られることを見い出し、本発
明を完成したものである。
【0012】すなわち、本発明の要旨は、フェノール
類、二価アルコール、アルカリ土類金属酸化物あるいは
水酸化物もしくはそれらの混合物(以下、「アルカリ土
類金属試薬」という。)および硫黄を加えたもの、また
はこれらに水を加えたものを反応させ、次いで過剰量の
二価アルコールおよび少なくとも過剰量の水を留去して
得られた蒸留塔底物を二酸化炭素処理することからなる
過塩基性硫化アルカリ土類金属フェネートの製造方法に
おいて、アルカリ土類金属試薬1モル当たり0.001
〜0.7モルの脂肪族アミンを存在せしめ、かつアルカ
リ土類金属試薬1モル当たり0.01〜0.9モルの水
の存在下に二酸化炭素処理を行うことを特徴とする過塩
基性硫化アルカリ土類金属フェネートの製造方法に存す
る。
【0013】本発明に使用されるフェノール類としては
炭素数4〜36個、好ましくは炭素数8〜32個の炭化
水素側鎖、例えばアルキル基、アルケニル基、アラルキ
ル基等を有するフェノール類を挙げることができる。具
体的にはブチル、アミル、オクチル、ノニル、ドデシ
ル、セチル、エチルヘキシル、トリアコンチル等の炭化
水素基、あるいは流動パラフィン、ワックス、オレフィ
ン重合体(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン
等)の石油炭化水素から誘導される基を有するフェノー
ル類が単独、あるいはこれらの混合物にて使用される。
通常約130℃、好ましくは約120℃以下で液状にな
り得るものが望ましい。
【0014】アルカリ土類金属試薬としては通常アルカ
リ土類金属の酸化物あるいは水酸化物もしくはそれらの
混合物が用いられる。例えばカルシウム、バリウム、ス
トロンチウム、マグネシウム等の酸化物あるいは水酸化
物が用いられる。フェノール類に対するアルカリ土類金
属試薬の使用量は使用フェノール類1当量当たり0.0
1〜0.99当量、好ましくは0.01〜0.98当
量、さらに好ましくは0.1〜0.9当量である。フェ
ノール類に対するアルカリ土類金属試薬の量が多すぎる
と中間体がゲル化してそれ以上反応が進まないため、目
的とする良好な生成物が得られない。また、少なすぎる
と原料に対する製品の収率が低下するばかりか、フェノ
ール類の回収に費やすユーティリティーや時間が大とな
り、経済的に不利である。
【0015】次に、二価アルコールとしては比較的低沸
点かつ低粘度で反応性に富むものが使用される。二価ア
ルコールは炭素数2〜6を有することが好ましく、特に
エチレングリコール、プロピレングリコール等が好まし
い。二価アルコールはフェノール類とアルカリ土類金属
試薬との反応による油溶性物質への転化を助け、安定化
し、一部は製品フェネート中に取り込まれて多当量化フ
ェネートを構成するものである。本発明法においては、
金属付加反応は、反応促進効果のある水を添加して行っ
ても、添加しないで行っても良く、添加して行う場合、
二価アルコールの使用量はアルカリ土類金属試薬1モル
当たり約0.15〜3.0モル、特に約0.3〜1.5
モルが好ましい。また水を添加しないで行う場合、二価
アルコールの使用量はアルカリ土類金属試薬1モル当た
り、約1.0〜3.0モル、特に約1.2〜2.0モル
が好ましい。二価アルコールの使用量が少なすぎると反
応原料、特にアルカリ土類金属試薬の製品転化率が低下
し、多すぎるとフェノール類への金属付加反応は円滑に
進行するが、反応生成物から過剰の二価アルコールを蒸
留留去する時間およびユーティリティーが過大にかかっ
てしまう。
【0016】硫黄の使用量は、アルカリ土類金属試薬1
モル当たり0.001〜3.0モル、好ましくは0.0
1〜1.5モル、さらに好ましくは0.1〜1.0モル
を用いる。硫黄の使用量を低減するにつれ製品の粘度は
低下し、製品の過塩基性が増し、塩基価が向上する傾向
にある。多すぎると製品の過塩基性が低下するため塩基
価の高い製品が得にくくなるばかりでなく、製品の粘度
が著しく高くなってしまうため目的である低粘度かつ高
塩基価の製品が得られなくなってしまう。
【0017】フェノール類へのアルカリ土類金属試薬の
金属付加反応工程において反応を促進するために反応系
中に水を添加する場合は、蒸留水はもちろん缶水や工業
用水、金属付加反応で生成する水などが使用出来その品
質に特に制限はなく、冷水、温水、水蒸気等どのような
状態の水でも使用出来る。金属付加反応促進のために用
いる水の反応器への添加は水単独で行ってもよいし、一
部あるいは全部をフェノール類や二価アルコールなど他
の原料との混合物として添加してもよい。反応器への水
の添加時期は特に制限はなく、水以外の全反応原料が混
合される前でも後でも良いが、全反応原料混合後約1時
間以内に添加するのが好ましい。反応系中への金属付加
反応促進のために用いる水の添加量は使用するアルカリ
土類金属試薬1モル当たり約0.01〜10モル、望ま
しくは0.1〜2.0モル、さらに望ましくは0.1〜
1.0モルである。外部から水を反応系中に添加して金
属付加反応を行うと、水を添加しない以外は同一の条件
で反応を行う場合に比べて反応が円滑に進行し、反応原
料特にアルカリ土類金属試薬の製品転化率が高くなる。
従って反応系中へ添加する水が少なすぎるとアルカリ土
類金属試薬の製品転化率が低下してしまう。また逆に多
すぎれば反応後の蒸留工程が簡略化されるという利点が
失なわれる。
【0018】二酸化炭素処理の際に共存させる水の添加
は、フェノール類、二価アルコール、アルカリ土類金属
試薬、および硫黄を加えたもの、またはこれに水を加え
たものより成る原料混合物を反応させ、硫化金属付加反
応を完了した後、蒸留を行って水および過剰の二価アル
コールを留去した後に行われるのが一般である。二酸化
炭素処理の際に共存させる水は、上記の金属付加促進の
ために用いた水と同様に、その品質、状態に制限はな
い。反応系中の水の量は、アルカリ土類金属試薬1モル
当たり0.01〜0.9モル、好ましくは0.05〜
0.6モル、さらに好ましくは0.1〜0.5モルに調
節する。
【0019】系中に過剰の二価アルコールが存在する場
合はその留去に当たって最初に添加した水や、反応によ
り生成した水等の系内の水はすべて前留分として留出し
てしまうので、二価アルコールの過剰分を留去したの
ち、所定量の水を添加する必要がある。一方、系中に過
剰の二価アルコールが存在しない場合は、硫化金属付加
反応前に反応促進のために添加した水や反応中生成した
水など、反応終了後系中に存在する水から所定量の水の
みを残して過剰分のみを留去しても良いが、残存量が不
明確である場合は、水全量をいったん留去した後に所定
量の水を添加するのがよい。
【0020】二酸化炭素処理の際に共存させる水の量
は、多くなるにしたがって製品の塩基価は向上するが、
多すぎると製品が加水分解されすぎ、塩基価、油溶性の
低下の原因となり、少なすぎると製品の塩基価を向上さ
せる効果が十分に得られなくなる。
【0021】二酸化炭素処理前に存在させる脂肪族アミ
ンとしては、炭素数10〜30、好ましくは12〜2
8、さらに16〜24であることが好ましい。また、ア
ルキル基の部分が直鎖のものであればなお好ましい。具
体的には、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシル
アミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペン
タデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルア
ミン、ステアリルアミンなどがあげられるが、好ましく
はステアリルアミンを用いる。脂肪族アミンの量は、ア
ルカリ土類金属試薬1モル当たり0.001〜0.7モ
ル、好ましくは0.01〜0.6モル、さらに好ましく
は0.05〜0.4モルである。
【0022】添加する脂肪族アミンの量が少ないと、色
相および油溶性が低下する。また多すぎると塩基価が低
下する。
【0023】本発明において、反応物、反応中間体、あ
るいは製品等の取扱いを容易にするために適当な粘度を
有する希釈剤もしくは溶剤(以下、「希釈剤」とい
う。)を加えることができる。たとえば金属付加反応工
程または二酸化炭素処理を終えたのちの反応生成物中か
ら過剰の未反応フェノール類を蒸留で回収する際、高沸
点で、かつ適当な粘度を有する希釈剤の存在下で行うこ
とによって反応塔底物を液状の望ましい状態で得ること
ができる。なお、通常は未反応フェノール類の留出に伴
って希釈剤の一部も留出する。したがって、回収フェノ
ール類を繰り返し反応に供する場合には希釈剤としては
反応に直接悪影響を与えないものが望ましい。また、希
釈剤の存在下に反応を行ってもよい。好ましい希釈剤の
例としてはパラフィン系、ナフテン系、芳香族系、ある
いは混合系の基油などの適当な粘度の石油留分、例え
ば、沸点約220〜550℃で粘度が100℃で約2〜
40cStの潤滑油留分を挙げることができる。その他
の有機溶媒でも疎水性、かつ、親油性を示し、反応時や
製品の用途面において無害であれば希釈剤として用いる
ことができる。例えば炭素数8〜24の高級アルコール
も使用することができる。
【0024】本発明における過塩基性硫化アルカリ土類
金属フェネートの主な製造工程および運転条件は下記の
とおりである。
【0025】硫化金属付加反応工程は、フェノール類、
二価アルコール、アルカリ土類金属試薬、硫黄、または
これに脂肪族アミンおよび/または水を加えたものを用
いて行う。温度約60〜200℃、好ましくは約90〜
190℃の範囲で反応させる。圧力は特に制限されず、
0.01〜21気圧・Aの範囲、好ましくは0.1〜1
1気圧・Aが選択される。この反応は、通常1〜9時間
の範囲内でほぼ終了する。
【0026】二酸化炭素処理工程は、金属付加反応終了
後、系内の過剰の二価アルコールおよび少なくとも過剰
の水を留去し、最初に脂肪族アミンを添加していない場
合あるいは最初に添加した脂肪族アミン量が少ない場合
には、所定量となるように脂肪族アミンを添加し、かつ
所定量の水を系内に存在せしめた後、反応温度約50〜
230℃、好ましくは80〜200℃の温度条件下で二
酸化炭素と反応させる。この反応は減圧、常圧、加圧、
いずれの条件で行っても良い。通常0.01〜51気圧
・A、好ましくは0.1〜31気圧・A、さらに好まし
くは0.2〜11気圧・Aの範囲が採用される。反応は
一般には二酸化炭素の吸収が実質的に停止するまで行わ
れ、20分〜10時間、通常20分〜3時間である。こ
こで得られた生成物を必要に応じて更に二酸化炭素雰囲
気下、0〜20気圧・G、好ましくは0〜10気圧・G
の圧力で約100〜230℃において数分〜十数時間保
持する。二酸化炭素処理により生成物は潤滑油添加剤、
燃料油添加剤としての性能、なかでもエンジン油に添加
したときのエンジン油への油溶性、安定性がさらに向上
する。脂肪族アミンの添加時期については、反応器への
原料の添加時から二酸化炭素処理工程前であればいつで
も良いが好ましくは、二酸化炭素処理時に添加する水を
入れる前までが良い。
【0027】二酸化炭素処理後の反応生成物にアルカリ
土類金属試薬と二価アルコールをまたは必要に応じて脂
肪族アミンを添加し、再び上記のような金属付加反応を
行い、次いで二酸化炭素処理の操作を1回以上繰り返す
ことによってさらに金属付加をすることも可能である。
この際、金属付加反応を複数回行うと製品の塩基価がさ
らに向上する。
【0028】二酸化炭素処理後の反応生成物中の未反応
フェノール類は経済上などの面から、これらの一部、も
しくは大部分を回収することが好ましく、またこの回収
フェノール類を原料として再び使用することもできる。
なお、ここで未反応フェノール類の蒸留を高沸点の鉱油
など、通常の希釈剤の存在下で行うと、蒸留残留物を液
状の好ましい形で得ることができる。該蒸留残留物中の
不溶解性物質はフェノール類の回収前、あるいは回収後
にろ過または遠心分離等の操作により除去することがで
きる。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、これらは単に例示であって本発明を制限す
るものではない。
【0030】実施例1 撹拌器、ガス導入管および温度計を装着した1lオート
クレーブに、純度99.75%のドデシルフェノール5
52.21g(2.10モル)、純度94.9%の酸化
カルシウム41.38g(0.70モル)および硫黄
4.50g(0.14モル)(酸化カルシウム1モル当
たり0.2モル)、ステアリルアミン18.9g(0.
070モル)(酸化カルシウム1モル当たり0.1モ
ル)を封入し、撹拌した。得られた懸濁液に、エチレン
グリコール65.20g(1.05モル)を125℃で
添加し、これを130℃でゲージ圧約3.0気圧の加
圧、密閉の条件下、約3.0時間撹拌後、該反応系内を
徐々に減圧しながら、生成した水、一部の未反応のエチ
レングリコールおよび少量のドデシルフェノールを留去
することにより、液状蒸留残留物626.4gが得られ
た。この際の最終留出温度は144℃(6mmHg)であっ
た。次に、該蒸留残留物626.4gに水5.0g
(0.28モル)(酸化カルシウム1モル当たり0.4
モル)を添加した後、温度150℃で減圧状態から30
分間二酸化炭素を吸収させた。この時のオートクレーブ
への二酸化炭素の供給速度は、0.315 l/minとし
た。次いで、178℃に昇温し、ゲージ圧5.0気圧に
なるまで再び二酸化炭素で加圧し、2.0時間保持して
反応生成物662.8gを得た。この反応生成物66
2.8gに希釈剤として150ニュートラル油97.7
gを加えた。この反応生成物を1l三口梨型フラスコに
691.7g移し、減圧蒸留して少量のエチレングリコ
ールおよび未反応のドデシルフェノールの大部分を留去
して、蒸留残留物183.1gを得た。その際の最終留
出温度は230℃(2.5mmHg)であった。その後、こ
の蒸留残留物を多量のヘキサンで希釈し、遠心分離によ
り不溶解物3.52gを除去後、多量に加えたヘキサン
を蒸留除去することにより最終生成物175.4gを得
た。使用した原料の重量割合を表1に示し、かつ最終製
品の性状を表2に示す。
【0031】実施例2および3 ステアリルアミンの添加量を表1に示すようにした以外
は実施例1と同様に実験を行った。最終製品の性状を表
2に示す。
【0032】比較例1 表1に示すように、ステアリルアミンを添加しない以外
は実施例1と同様に実験を行った。最終製品の性状を表
2に示す。
【0033】比較例2 表1に示すように、ステアリルアミン、二酸化炭素処理
時の水を添加しない以外は実施例1と同様に実験を行っ
た。最終製品の性状を表2に示す。
【0034】実施例4〜8 原料の重量割合を表3に示すごとく変更した以外は実施
例1と同様に実験を行った。なお、実施例8では、ステ
アリルアミンに代えてパルミチルアミンを用いた。最終
製品の性状を表4に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
【発明の効果】従来、高い塩基価を有しながら低粘度で
色相および油溶性の良好な過塩基性硫化アルカリ土類金
属フェネートの製造は困難であり、その製造を可能にす
る公知の方法は金属付加あるいは硫化・金属付加反応を
繰り返すなど煩雑な操作を必要としていた。
【0040】本発明によれば、高い塩基価を有しながら
低粘度で色相が優れ、かつ潤滑油への溶解性が良好な過
塩基性硫化アルカリ土類金属フェネートが得られ、また
上記の優れたフェネートを一段の硫化・金属付加反応に
より簡便かつ安価に製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10N 60:10 70:00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェノール類、二価アルコール、アルカ
    リ土類金属酸化物あるいは水酸化物もしくはそれらの混
    合物(以下、「アルカリ土類金属試薬」という。)およ
    び硫黄を加えたもの、またはこれらに水を加えたものを
    反応させ、次いで過剰量の二価アルコールおよび少なく
    とも過剰量の水を留去して得られた蒸留塔底物を二酸化
    炭素処理することからなる過塩基性硫化アルカリ土類金
    属フェネートの製造方法において、フェノール類に対す
    るアルカリ土類金属試薬の使用量をフェノール類1当量
    当たり0.01〜0.99当量とし、アルカリ土類金属
    試薬1モル当たり0.001〜0.7モルの脂肪族アミ
    ンを存在せしめ、かつアルカリ土類金属試薬1モル当た
    り0.01〜0.9モルの水の存在下に二酸化炭素処理
    を行うことを特徴とする過塩基性硫化アルカリ土類金属
    フェネートの製造方法。
JP6053230A 1993-08-25 1994-02-25 過塩基性硫化アルカリ土類金属フェネートの製造方法 Expired - Fee Related JP2696784B2 (ja)

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