JP2696780B2 - フェノール類の過塩基性アルカリ土類金属塩硫化混合物の製造法 - Google Patents

フェノール類の過塩基性アルカリ土類金属塩硫化混合物の製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】多機能性材料の一つであるヒドロ
キシ安息香酸金属塩類は、潤滑油添加材料の一対象とし
て古くから検討されて来た。その主なものの一つは
(1)ヒドロキシアルキル安息香酸のアルカリ土類金属
塩類で、すでにその一部は開発され、上市されて久し
い。もう一つの特色ある材料は(2)ヒドロキシアルキ
ル安息香酸のアルカリ土類金属塩の硫化物類である。
【0002】本発明は、後者(2)に属する新規な硫化
物およびその新規な製造法に関するものである。
【0003】
【従来の技術】ヒドロキシアルキル安息香酸のアルカリ
土類金属塩に硫黄を導入する試みは、まずOrland M. Re
iff[米国特許第2,256,443号(1941)]によって行われ
た。この方法では、Kolbe-Schmitt 法で得られたアルキ
ルサリチル酸のアルカリ金属塩にブチルアルコール溶媒
の存在下、塩化硫黄を反応させることにより硫黄を導入
し、次いでアルカリ土類金属のアルコレートを用いてア
ルカリ土類金属塩とした。この方法は塩化水素の発生を
押えた点で特色有る方法である。
【0004】Jerome M. Cohen[米国特許第3,595,791号
(1971)]は、Kolbe-Schmitt 法で得たアルキルサリチル
酸アルカリ土類金属塩をアルカリ土類金属ハロゲン化物
で複分解してアルカリ土類金属塩とし、これにグリコー
ルモノエーテル類およびアルカリ土類金属試薬の存在下
に元素硫黄を反応させる方法で硫黄を導入した。この方
法は塩化硫黄のように極めて反応性の強い硫化試薬の代
わりに取扱いが容易な元素硫黄を使用した点に特色があ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの方法
はいずれも工業化に際して以下の難点を有していた。そ
の第1は、工程が多く複雑な点である。Reiff のプロセ
スは硫化反応後に遊離の酸に一度戻すことが必要である
し、またCohen のプロセスは、Kolbe-Schmitt 反応後に
アルカリ土類金属ハロゲン化物で複分解することが必要
であり、これらのことが工程を一層複雑なものとしてい
る。第2は、いずれのプロセスも、アルカリ金属ハロゲ
ン化物の副生工程を有していることである。このような
強電解質の製品への混入は品質上好ましくない。他方、
アルキルフェノール類のアルカリ土類金属錯体と二酸化
炭素とを組合わせた反応は、サリシレート工業とは競合
の関係にあるフェネート工業の分野[参考:西川、石
部、PETROTECH 、、338(1984) ]では、以前から利用
されて来ている。
【0006】このような組合わせの反応では、John S.
Bradley等[米国特許第2,916,454号(1959);特公昭36-6
661;日本特許第 284786号(1961)]によってすでに報告
されているように、サリチル酸類は生成しないものと一
般には考えられていた。そこで、本発明者らは、アルカ
リ土類金属酸化物、アルキルフェノールおよび二価アル
コールを混合反応させ、その後、水と二価アルコールを
留去し、得られたアルカリ土類金属フェネートにアルキ
ルフェノールの存在下に二酸化炭素処理を施すことによ
りヒドロキシアルキル安息香酸塩を形成し、それに元素
硫黄を反応させることによりヒドロキシアルキル安息香
酸およびアルキルフェノールのアルカリ土類金属塩硫化
混合物ならびにその製造法を得ることに成功した[特開
昭64-29354;米国特許第4,902,436号(1990)]。この方
法は、フェノール類の存在はアルキルサリチル酸の生成
を妨害するという従来からの考え[例えば、James Hart
ley 、英国特許第734622号(1955)、第1頁第34行目以
降]を覆すもので、アルカリ金属を使用する必要がな
く、アルカリ土類金属フェネートから直接アルカリ土類
金属ヒドロキシアルキル安息香酸塩を形成することによ
り製造工程を著しく単純化した点に特色がある。
【0007】しかしながら、この方法においては、得ら
れる製品の塩基価は操作性を考慮すると比較的低く、か
つ硫化工程で脱カルボキシル化反応が生起しやすいこと
に加え、得られる製品の色相が極めて暗いなどの難点が
あった。
【0008】本発明の目的は、明るい色相を有し、かつ
酸中和能力の高いフェノール類の過塩基性アルカリ土類
金属塩硫化混合物、すなわち高塩基価ヒドロキシアルキ
ル安息香酸及びアルキルフェノールの過塩基性アルカリ
土類金属塩硫化混合物(以下、ヒドロキシベンゾエート
・フェネート硫化混合物という)を製造する方法を提供
することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
アルキルフェノールの存在下にカルボキシル化反応生成
物に金属試薬と必要に応じて二価アルコールを加えさら
に反応させることにより塩基価が著しく向上するばかり
ではなく、以降の工程における脱カルボキシル化が抑制
されること、ならびに製品の色相が著しく明るくなるこ
とを見い出し、本発明を完成したものである。
【0010】すなわち、本発明の要旨は、(a)フェノ
ール類、二価アルコール及び前記フェノール類に対する
グラム当量比が0.99以下のアルカリ土類金属の酸化
物もしくは水酸化物又はそれらの混合物(以下アルカリ
土類金属試薬または単に金属試薬という)よりなる反応
原料混合物を反応させ、(b)次いで水及び二価アルコ
ールをアルカリ土類金属試薬1モル当り0.6モル以下
になるまで留去して得られた蒸留塔底物に二酸化炭素を
反応させ、(c)得られる生成物中に存在する未反応ア
ルキルフェノールに対してグラム当量比が0.99以下
のアルカリ土類金属試薬を加え、かつ追加するアルカリ
土類金属試薬1モル当り0.15〜10モルの二価アル
コールの存在下反応させ(第2段階金属付加反応)、
(d)次いで水及び一部の二価アルコールを留去して得
られる蒸留塔底物に二酸化炭素を反応させることを特徴
とするフェノール類の過塩基性アルカリ土類金属塩混合
物の製造法において、第2段階金属付加反応以降の工程
で全アルカリ土類金属試薬1モル当り0.1〜4.0モ
ルの元素硫黄を添加して反応させることを特徴とするフ
ェノール類の過塩基性アルカリ土類金属塩硫化混合物の
製造法に存する。
【0011】本発明に使用されるフェノール類は、炭素
数4〜36個、好ましくは炭素数8〜32個の炭化水素
側鎖、例えばアルキル基、アルケニル基、アラルキル基
等を有するモノまたはジ置換フェノール類を挙げること
ができる。具体的には、ブチル、アミル、オクチル、ノ
ニル、ドデシル、セチル、エチルヘキシル、トリアコン
チル等の炭化水素基、あるいは流動パラフィン、ワック
ス、ポリオレフィン重合体(ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリブテン等)の石油炭化水素から誘導される基
を有するフェノール類が単独、あるいはこれらの混合物
にて使用される。通常約130℃、好ましくは120℃
で液状となり得るものが望ましい。これらフェノール類
の具体例としては、ブチルフェノール、オクチルフェノ
ール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、セチル
フェノール、ポリブテンでアルキル化したアルキルフェ
ノール、ジノニルフェノール、ジドデシルフェノールな
どが挙げられる。なお、フェノールは一塩基酸であるの
で1グラム当量と1モルは同義となる。
【0012】アルカリ土類金属試薬としては、通常アル
カリ土類金属の酸化物、あるいは水酸化物が用いられ
る。例えばカルシウム、バリウム、ストロンチウム、マ
グネシウム等の酸化物あるいは水酸化物が用いられる。
なお、アルカリ土類金属試薬1モルは2グラム当量であ
る。初めの金属付加反応に使用される当該アルカリ土類
金属試薬は、使用フェノール類1当量当り約0.99当
量以下、好ましくは約0.01〜0.98当量の量で、
また第1段階のカルボキシル化反応後に使用される当該
アルカリ土類金属試薬についても第1段階のカルボキシ
ル化反応後に存在する未反応、すなわち金属塩化されて
いない、フェノール類およびサリチル酸類(以下単に未
反応フェノール類と記す)1当量当り上記と同様な量で
使用することにより本発明で所望するヒドロキシベンゾ
エート・フェネート硫化混合物が得られる。上記の当量
比の範囲内においても、約0.01以下の当量比で使用
するときは、製品の収率などの他の未反応フェノール類
を回収するのに費用がかかる等経済面から不利であり、
他方、上記のアルカリ土類金属試薬とフェノール類の当
量比が約0.99を上回る時は、金属試薬の反応率が低
下し大量の不溶解分が生じるため不溶解分の除去が面倒
になるばかりでなく、製品の収率も低下する。
【0013】次に、二価アルコールとしては、比較的低
沸点かつ低粘度で反応性に富むもの、例えば炭素数が2
〜6のものが使用出来る。特に、エチレングリコール、
プロピレングリコール等が好ましい。初めの金属付加反
応に使用される二価アルコールの使用量は、アルカリ土
類金属試薬1モル当り約0.15〜3.0モル、好まし
くは約0.5〜1.7モル、また第1段階のカルボキシ
ル化反応後に使用される二価アルコールは追加するアル
カリ土類金属試薬1モル当り約0.15〜10モル、好
ましくは約0.5〜5.0モルが適当である。二価アル
コールは、フェノール類とアルカリ土類金属試薬との反
応による油溶性物質への転化を助ける作用があり、一部
は製品中に取り込まれる。使用量が少なすぎると反応原
料、特にアルカリ土類金属試薬の製品転化率が低下し、
多すぎるとフェノール類への金属付加反応は円滑に進む
が、反応生成物からの過剰分を蒸留々去する時間、ユー
ティリティーが過大にかかる。
【0014】水は必要ならばフェノール類とアルカリ土
類金属試薬を反応させる工程において、反応系中へ添加
して良く、蒸留水はもちろん缶水や工業用水、金属付加
反応で生成する水などが使用出来る。水を添加する場
合、添加する水の量はアルカリ土類金属試薬1モル当り
約0.01〜2.0モル特に、約0.05〜1.5モル
が好ましい。水を添加すると、金属付加反応が円滑に進
む。
【0015】硫黄は本発明において極少量から大多量ま
での広い範囲にわたって使用出来る。通常の使用量は、
使用する全アルカリ土類金属試薬1モル当り約0.1〜
4.0、好ましくは約0.2〜3.0モルである。硫黄
の使用量が前記の範囲から外れると、所望する性状を有
するヒドロキシベンゾエート・フェネート硫化混合物は
得られない。なお、硫黄1モルは硫黄の原子量すなわち
32.1gとする。
【0016】本発明において、反応物、反応中間体、あ
るいは製品等の取扱いを容易にするために適当な粘度を
有する希釈剤もしくは溶剤(以下希釈剤という)をいず
れの工程においても使用することが出来る。例えば、硫
化反応を終えたのちの反応生成物中から過剰の未反応フ
ェノール類を蒸留で回収する際、高沸点でかつ適当な粘
度を有する希釈剤の存在下で蒸留を行うことによって蒸
留塔底物は液状の望ましい状態で得ることができる。な
お、通常は未反応フェノール類の留出に伴って希釈剤の
一部も留出する。従って、回収フェノール類を繰返し反
応に供する場合には、希釈剤としては反応に悪影響を与
えないものが好ましい。また、希釈剤の存在下に反応を
行ってもよい。
【0017】好ましい希釈剤としては、パラフィン系、
ナフテン系、芳香族系、あるいは混合系の基油などの適
当な粘度の石油留分、例えば沸点約220〜550℃で
粘度約0.5〜40cSt(100℃)の潤滑油留分を挙
げることができる。その他の有機溶媒でも疎水性、かつ
親油性を示し、反応時や製品の用途面において無害であ
れば希釈剤として用いることができる。
【0018】本発明におけるヒドロキシベンゾエート・
フェネート硫化混合物の主なる製造工程および運転条件
は下記の通りである。
【0019】(イ)金属付加工程 所定量のフェノール類、二価アルコール、アルカリ土類
金属試薬、および必要により前記所定量の水からなる反
応原料混合物を反応温度約60〜200℃、好ましくは
約90〜190℃の範囲で反応させる。その際、反応は
約0.01〜10Kg/cm2・Aの減圧、常圧もしくは加圧
下にて行う。上記の金属付加反応工程において生成する
水および添加した水は次のカルボキシル化工程前に全量
の約99.9%以上、好ましくは全量を、二価アルコー
ルは系内に残存する量が金属試薬1モル当り通常約0.
6モル以下、好ましくは約0.3モル以下になるように
留去する。水および二価アルコールが系内に大量に残存
すると次のカルボキシル化工程で、カルボキシル化率が
低下し、ヒドロキシベンゾエート生成量が減少する。本
反応は通常約1〜9時間の範囲以内でほぼ終了する。
【0020】(ロ)カルボキシル化工程 本工程は、前記の金属付加反応生成物をカルボキシル化
しヒドロキシベンゾエート成分を得る工程である。すな
わち、前記の金属付加反応生成物を反応温度約150〜
240℃、好ましくは約160〜230℃、反応圧力は
約0.05〜100atm・A、好ましくは約0.1〜50
atm・Aの減圧、常圧もしくは加圧条件下で二酸化炭素と
反応させる。本反応は通常約1〜10時間の範囲内でほ
ぼ終了する。
【0021】(ハ)第2段階金属付加反応工程 前記のカルボキシル化反応生成物に、その生成物中に存
在する未反応アルキルフェノール(この反応系において
は、アルカリ土類金属試薬1当量はアルキルフェノール
2当量と反応するため、初めの金属付加工程で添加した
アルキルフェノールの量がアルカリ土類金属試薬1当量
に対し2当量以上の場合、この過剰分が反応せずに系中
に残っている。従ってこの残部がこれに相当する。)に
対してグラム当量比が0.99以下のアルカリ土類金属
試薬を加え、かつ追加するアルカリ土類金属試薬1モル
当り約0.15〜10モル、好ましくは約0.5〜5.
0モルの二価アルコールを存在させ、反応温度約60〜
200℃、好ましくは約90〜190℃、約0.01〜
10Kg/cm2・Aの減圧、常圧もしくは加圧下にて反応を
行う。この金属付加反応工程において生成する水および
添加水は次の二酸化炭素処理工程前に全量の約80%以
上、好ましくは90%以上を、二価アルコールは系内に
残存する量が全金属試薬1モル当り通常約0.5〜5.
0モルになるように留去する。水および二価アルコール
が系内に大量に残存すると最終製品の油溶性や貯蔵安定
性が低下する。また、二価アルコール残存量が少ないと
所望の塩基価が得られなくなる。
【0022】(ニ)硫化工程 この硫化工程は最終製品の性質、特に油溶性、粘度特
性、貯蔵安定性などの物性を改善する工程で、通常前述
の第2段階金属付加反応時に同時に行うが、第2段階金
属付加反応後あるいは次の第2段階二酸化炭素処理工程
と同時または後に実施することも出来る。とくに、第2
段階二酸化炭素処理工程以前に実施すると最終製品の色
相が著しく明るくなる。
【0023】この硫化反応には使用する全アルカリ土類
金属試薬1モル当り約0.1〜4.0、好ましくは約
0.2〜3.0モルの元素硫黄を添加し、反応温度約6
0〜200℃、好ましくは約90〜190℃、不活性ガ
スまたは炭酸ガス雰囲気下約0.01〜10Kg/cm2・A
の減圧、常圧もしくは加圧下にて反応を行う。本反応は
通常約1〜20時間でほぼ終了する。
【0024】(ホ)第2段階二酸化炭素処理工程 本工程は、第2段階金属付加反応工程生成物を安定化さ
せ、最終製品の性質、特に油溶性、粘度特性、貯蔵安定
性などを改善する工程で、前記の第2段階金属付加反応
工程生成物を反応温度約150〜240℃、好ましくは
約160〜230℃、反応圧力は約0.05〜100at
m・A、好ましくは約0.1〜50atm・Aの減圧、常圧も
しくは加圧条件下で二酸化炭素と反応させる。
【0025】希望によってはさらに金属付加工程ならび
に二酸化炭素処理工程を繰り返すこともでき、それによ
って生成物の塩基価をさらに高めることができる。
【0026】このようにして高い塩基価を有するヒドロ
キシベンゾエート・フェネート硫化混合物が得られる。
本発明方法による反応生成物の構造の詳細は不明である
が、フェネート骨格同士、フェネート骨格とヒドロキシ
ベンゾエート骨格、ヒドロキシベンゾエート骨格同士を
硫黄で結合した化合物や未硫化のフェネートおよびヒド
ロキシベンゾエートの混合物であるものと推定される。
硫化反応生成物中の未反応フェノール類は、主として経
済上の面から、これらの一部もしくは大部分を回収する
ことが好ましく、また、この回収フェノール類を原料と
して再使用することもできる。また、一部残存していた
二価アルコールも、未反応フェノール類などと共に回収
する。なお、ここで未反応フェノール類などの蒸留を高
沸点の鉱油など、通常の希釈剤の存在下で行うと、蒸留
残留物は液状の好ましい状態で得ることができる。該蒸
留残留物中の不溶解性物質はフェノール類の回収前、あ
るいは回収後にロ過または遠心分離等の操作により除去
することができる。
【0027】
【実施例】以下、本発明に基づいた実施例1〜8と比較
例1、2を挙げ具体的に説明する。
【0028】実施例1 撹拌器、冷却管、窒素ガス導入管および温度計を装着し
た5lオートクレーブに純度94.4%のドデシルフェ
ノール2671g(9.61モル)、純度95.8%の
酸化カルシウム175.7g(3.00モル)を送入
し、撹拌した。この懸濁液に、水2.1wt%を含むエチ
レングリコール257.7g(4.06モル)を窒素気
流中3atm・Gの加圧下、155℃で添加し、これを、1
60℃で3時間反応させた後、該反応系を徐々に減圧し
ながら、添加水、生成水、添加した大部分のエチレング
リコールおよび一部のドデシルフェノールを留去し、カ
ラシ色の液状の蒸留残留物2740.0gが得られた。
その際、終了時の塔底物の温度は180℃、留出物温度
は133℃(2mmHg)であった。
【0029】次に、該蒸留残留物2740.0gに18
0℃、2mmHgの状態から二酸化炭素をブローし5 atm・
Gまで昇圧して、その状態で4時間保持して、暗い灰黄
赤色の液状反応生成物2840gを得た。この反応生成
物のカルシウム含有率は、4.17wt%であった。な
お、この反応生成物2.00gを分液ロートに採り、6
0mlのエーテルに溶解させ、1Nの硫酸15mlを添加し
て加水分解し(振とう機60分撹拌)、十分水洗後、エ
ーテル層を分離し、次いでエーテルをロータリーエバポ
レーターにて除去したところ、褐色の液状物1.88g
を得た。この液状物の酸価は、45.6mgKOH/gであっ
た。
【0030】次にこのカルボキシル化反応生成物47
4.5gを1lオートクレーブに移し、純度95.8%
の酸化カルシウム5.9g(0.1モル)、エチレング
リコール32.4g(0.52モル)、硫黄19.3g
(0.60モル)及び150ニュートラル油(100℃
の粘度が5.27cStのパラフィン系潤滑油)132.
3gを窒素気流中、常圧下に110℃で添加し、次いで
同温度にて窒素加圧3atm・G下、3時間撹拌した後、該
反応系を徐々に減圧しながら、生成水、添加した一部の
エチレングリコールおよびドデシルフェノールを留去
し、極暗い黄赤色の液状生成物653.0gを得た。そ
の際、終了時の塔底物の温度は128℃、留出物温度は
80℃(5mmHg)であった。
【0031】次にこの蒸留残留物653.0gに150
℃、5mmHgの状態から二酸化炭素をブローし5atm・Gま
で昇圧し、その状態で2時間保持して、暗い灰黄赤色の
液状反応生成物660.3gを得た。
【0032】1l三口梨型フラスコに上記硫化反応生物
581.3gを封入し、大部分のエチレングリコールと
ドデシルフェノール及び少量の潤滑油留分を留去して、
蒸留残留物334.2gを得た。その際の最終留出物温
度は193℃(3mmHg)であった。そして、この蒸留残
留物中に含まれる極少量の不溶解分をロ過により除去
し、表1に示す性状の、極暗い黄赤色透明粘稠な液状の
最終製品333.1gを得た。
【0033】後記の比較例1に比し、塩基価が高く、色
相も著しく明るい。また、最終製品のヒドロキシ安息香
酸成分量はカルボキシル化により生成したヒドロキシ安
息香酸成分量の66.9%で比較例1に比し、減少量は
はるかに少ない。
【0034】実施例2 実施例1で得た第1段階二酸化炭素処理生成物473.
6gを1lオートクレーブに移し、純度95.8%の酸
化カルシウム14.7g(0.25モル)、エチレング
リコール77.7g(1.25モル)、硫黄24.1g
(0.75モル)および150ニュートラル油(100
℃の粘度が5.27cStのパラフィン系潤滑油)98.
4gを窒素気流中、常圧下に150℃で添加し、次いで
同温度にて窒素加圧5atm・G下、3時間攪拌した後、該
反応系を徐々に減圧しながら、生成水、添加した一部の
エチレングリコールおよびドデシルフェノールを留去
し、極暗い黄赤色の液状生成物618.6gを得た。そ
の際、終了時の塔底物の温度は150℃、留出物温度は
91℃(16mmHg)であった。
【0035】次に、この蒸留残留物613.8gに15
0℃、16mmHgの状態から231ml/minの流速で二酸
化炭素を約0.5時間ブローし、圧力が2.7atm・Gに
なった後昇温して180℃となってから二酸化炭素を再
びブローし5atm・Gまで昇圧し、その状態で2時間保持
して、暗い灰黄赤色の液状反応生成物622.0gを得
た。
【0036】1l三口梨型フラスコに上記硫化反応生物
525.0gを封入し、実施例1と同様に蒸留、ロ過し
て表1に示す性状の、極暗い黄赤色透明粘稠な液状の最
終製品359.4gを得た。
【0037】実施例3 撹拌器、冷却管、窒素ガス導入管および温度計を装着し
た5lオートクレーブに純度91.4%のドデシルフェ
ノール2760g(9.6モル)、純度95.8%の酸
化カルシウム175.7g(3.00モル)を送入し、
撹拌した。この懸濁液に、水2.1wt%を含むエチレン
グリコール257.1g(4.05モル)を窒素気流中
5atm・Gの加圧下、155℃で添加し、これを、160
℃で3時間反応させた後、該反応系を徐々に減圧しなが
ら、添加水、生成水、添加した大部分のエチレングリコ
ールおよび一部のドデシルフェノールを留去し、カラシ
色の液状の蒸留残留物2850.4gが得られた。その
際、終了時の塔底物の温度は178℃、留出物温度は1
34℃(2mmHg)であった。
【0038】次に、該蒸留残留物2850.4gに17
8℃、2mmHgの状態から二酸化炭素をブローし5 atm・
Gまで昇圧して、その状態で4時間保持して、暗い灰黄
赤色の液状反応生成物2950gを得た。この反応生成
物のカルシウム含有率は、4.07wt%であった。な
お、この反応生成物2.00gを分液ロートに採り、6
0mlのエーテルに溶解させ、1Nの硫酸15mlを添加し
て加水分解し(振とう機60分撹拌)、十分水洗後、エ
ーテル層を分離し、次いでエーテルをロータリーエバポ
レーターにて除去したところ、褐色の液状物1.87g
を得た。この液状物の酸価は、46mgKOH/gであった。
【0039】次にこのカルボキシル化反応生成物47
2.8gを1lオートクレーブに移し、純度95.8%
の酸化カルシウム28.2g(0.48モル)、エチレ
ングリコール149.7g(2.41モル)、硫黄3
0.9g(0.96モル)および150ニュートラル油
(100℃の粘度が5.27cStのパラフィン系潤滑
油)94.8gを窒素気流中、常圧下に150℃で添加
し、次いで同温度にて窒素加圧5atm・G下、3時間撹拌
した後、該反応系を徐々に減圧しながら、生成水、添加
した一部のエチレングリコールおよびドデシルフェノー
ルを留去し、極暗い黄赤色の液状生成物655.4gを
得た。その際、終了時の塔底物の温度は150℃、留出
物温度は112℃(32mmHg)であった。
【0040】次にこの蒸留残留物649.3gに150
℃、32mmHgの状態から223ml/minの流速で二酸化
炭素を約0.5時間ブローし、圧力が1atm・Gになった
後昇温して180℃となってから二酸化炭素を再びブロ
ーして5atm・Gまで昇圧し、その状態で2時間保持し
て、暗い灰黄赤色の液状反応生成物666.3gを得
た。
【0041】1l三口梨型フラスコに上記硫化反応生物
481.4gを封入し、大部分のエチレングリコールと
ドデシルフェノール及び少量の潤滑油留分を留去して、
蒸留残留物317.3gを得た。その際の最終留出物温
度は187℃(3mmHg)であった。そして、この蒸留残
留物中に含まれる極少量の不溶解分をロ過により除去
し、表1に示す性状の、極暗い黄赤色透明粘稠な液状の
最終製品316.0gを得た。
【0042】後記の比較例1に比し、塩基価が高く、色
相も著しく明るい。また、最終製品のヒドロキシ安息香
酸成分量はカルボキシル化により生成したヒドロキシ安
息香酸成分量の84.2%で比較例1に比し、減少量は
はるかに少ない。
【0043】実施例4 実施例1で得た第1段階二酸化炭素処理生成物472.
5gをた1lオートクレーブに移し、純度95.8%の
酸化カルシウム14.4g(0.25モル)およびエチ
レングリコール77.7g(1.25モル)を窒素気流
中、常圧下に150℃で添加し、次いで同温度にて窒素
加圧3atm・G下、3時間攪拌した後、該反応系を徐々に
減圧しながら、生成水、添加した一部のエチレングリコ
ールおよびドデシルフェノールを留去し、極暗い黄赤色
の液状生成物500.3gを得た。その際、終了時の塔
底物の温度は150℃、留出物温度は86℃(13mmH
g)であった。
【0044】次に、この蒸留残留物500.3gに硫黄
16.0g(0.50モル)を加え、150℃、760
mmHgの状態から197ml/minの流速で二酸化炭素を約
0.5時間ブローし、圧力が3.8atm・Gになった後昇
温して180℃になってから二酸化炭素を再びブローし
5atm・Gまで昇圧し、その状態で2時間保持して、暗い
灰黄赤色の液状反応生成物525.5gを得た。
【0045】1l三口梨型フラスコに上記硫化反応生物
379.6gと150ニュートラル油(100℃の粘度
が5.27cStのパラフィン系潤滑油)110.7gを
封入し、大部分のエチレングリコールとドデシルフェノ
ールおよび少量の潤滑油留分を留去して、蒸留残留物2
56.7gを得た。その際の最終留出物温度は202℃
(2.5mmHg)であった。この蒸留残留物中に含まれる
極少量の不溶解分をロ過により除去し、表1に示す性状
の、極暗い黄赤色透明で粘稠な液状の最終製品254.
1gを得た。
【0046】比較例1 実施例1の第1段階二酸化炭素処理で得たカルボキシル
化反応生成物474.6gを1lオートクレーブに移
し、硫黄19.3g(0.60モル)および150ニュ
ートラル油120.9gをCO2気流中、常圧下に17
2℃で添加し、次いで温度を180℃に、圧力をCO2
にて5atm・Gに上げ、2時間反応させ、硫化反応生成物
610.6gを得た。
【0047】1l三口梨型フラスコに上記反応生成物5
36.8gを封入し、実施例1と同様に蒸留、ロ過して
表1に示す性状の、極暗い黄赤色透明粘稠な液状の最終
製品306.9gを得た。
【0048】この比較例1は、カルボキシ化反応後に第
2金属付加反応を実施することなく硫化反応を実施し、
最終製品を得る米国特許第4,902,436号(19
90)による方法の例であるが、実施例1に比し製品の
塩基価が低くかつ色相も暗い。また、最終製品のヒドロ
キシ安息香酸成分量はカルボキシル化により生成したヒ
ドロキシ安息香酸成分量の56.6%と減少量が大き
い。
【0049】実施例5 撹拌器、冷却管、窒素ガス導入管および温度計を装着し
た5lオートクレーブに純度94.4%のノニルフェノ
ール695g(2.98モル)、純度80%の水酸化カ
ルシウム96.2g(1.04モル)を送入し、撹拌し
た。この懸濁液に、水2.7g、エチレングリコール9
3.2g(1.50モル)を窒素気流中1atm・Gの加圧
下、125℃で添加し、これを、130℃で3時間反応
させた後、該反応系を徐々に減圧しながら、添加水、生
成水、添加した大部分のエチレングリコールおよび一部
のノニルフェノールを留去し、カラシ色の液状の蒸留残
留物823.7gが得られた。その際、終了時の塔底物
の温度は180℃、留出物温度は135℃(4mmHg)で
あった。
【0050】次に、該蒸留残留物823.7gに180
℃、4mmHgの状態から二酸化炭素をブローし5atm・Gま
で昇圧し、その状態で4時間保持して、暗い灰黄赤色の
液状反応生成物854.5gを得た。この反応生成物の
カルシウム含有率は、4.88wt%であった。なお、こ
の反応生成物2.00gを分液ロートに採り、60mlの
エーテルに溶解させ、1Nの硫酸15mlを添加して加水
分解し(振とう機60分撹拌)、十分水洗後、エーテル
層を分離し、次いでエーテルをロータリーエバポレータ
ーにて除去したところ、褐色の液状物1.88gを得
た。この液状物の酸価は、55mgKOH/gであった。
【0051】次にこのカルボキシル化反応生成物80
0.0gを2lオートクレーブに移し、純度80%の水
酸化カルシウム90.0g(0.97モル)、エチレン
グリコール145.3g(2.34モル)、硫黄36.
1g(1.12モル)および150ニュートラル油(1
00℃の粘度が5.27cSt のパラフィン系潤滑油)1
83.8gを窒素気流中、常圧下に150℃で添加し、
次いで同温度にて窒素加圧3atm・G下、3時間撹拌した
後、該反応系を徐々に減圧しながら、生成水、添加した
一部のエチレングリコールおよびノニルフェノールを留
去し、極暗い黄赤色の液状生成物1117.3gを得
た。その際、終了時の塔底物の温度は148℃、留出物
温度は113℃(25mmHg)であった。
【0052】次にこの蒸留残留物1117.3gに15
0℃、25mmHgの状態から200ml/min の流速で二
酸化炭素を約0.5時ブローし、圧力が1.5atm・Gに
なった後昇温して180℃となってから二酸化炭素を再
びブローして5atm・Gまで昇圧し、その状態で2時間保
持して、暗い灰黄赤色の液状反応生成物1146.1g
を得た。
【0053】2l三口梨型フラスコに上記硫化反応生物
1000.0gを封入し、大部分のエチレングリコール
とノニルフェノール及び少量の潤滑油留分を留去して、
蒸留残留物736.5gを得た。その際の最終留出物温
度は168℃(2mmHg)であった。そして、この蒸留残
留物中に含まれる極少量の不溶解分をロ過により除去
し、表1に示す性状の、極暗い黄赤色透明粘稠な液状の
最終製品695.7gを得た。
【0054】実施例6 撹拌器、冷却管、窒素ガス導入管および温度計を装着し
た5lオートクレーブにノニルフェノール2446g
(11.1モル)、純度97.2%の酸化カルシウム1
73.1g(3.00モル)を送入し、撹拌した。この
懸濁液に、エチレングリコール316.7g(5.10
モル)を窒素気流中常圧下、125℃で添加し、これ
を、130℃で5時間反応させた後、該反応系を徐々に
減圧しながら、添加水、生成水、添加した大部分のエチ
レングリコールおよび一部のノニルフェノールを留去
し、カラシ色の液状の蒸留残留物2207.9gが得ら
れた。その際、終了時の塔底物の温度は180℃、留出
物温度は151℃(7mmHg)であった。
【0055】次に、該蒸留残留物2207.9gに18
0℃、7mmHgの状態から二酸化炭素をブローし5atm・G
まで昇圧し、その状態で4時間保持して、暗い灰黄赤色
の液状反応生成物2310gを得た。この反応生成物の
カルシウム含有率は、5.2wt%であった。なお、この
反応生成物2.00gを分液ロートに採り、60mlのエ
ーテルに溶解させ、1Nの硫酸15mlを添加して加水分
解し(振とう機60分撹拌)、十分水洗後、エーテル層
を分離し、次いでエーテルをロータリーエバポレーター
にて除去したところ、褐色の液状物1.89gを得た。
この液状物の酸価は、57.8mgKOH/gであった。
【0056】次にこのカルボキシル化反応生成物42
4.0gを1lオートクレーブに移し、純度97.2%
の酸化カルシウム16.0g(0.28モル)、エチレ
ングリコール86.1g(1.39モル)および硫黄1
7.8g(0.55モル)を窒素気流中、常圧下に17
0℃で添加し、次いで同温度にて窒素常圧下、3時間撹
拌した後、該反応系を徐々に減圧しながら、生成水、添
加した一部のエチレングリコールおよびノニルフェノー
ルを留去し、極暗い黄赤色の液状生成物471.8gを
得た。その際、終了時の塔底物の温度は170℃、留出
物温度は90℃(12mmHg)であった。
【0057】次にこの蒸留残留物467.4gに170
℃、12mmHgの状態から昇温して180℃となってから
二酸化炭素をブローして5atm・Gまで昇圧し、その状態
で2時間保持して、暗い灰黄赤色の液状反応生成物47
7.5gを得た。
【0058】1l三口梨型フラスコに上記硫化反応生成
物385.3gと150ニュートラル油(100℃の粘
度が5.27cStのパラフィン系潤滑油)87.9gを
封入し、大部分のエチレングリコールとノニルフェノー
ル及び少量の潤滑油留分を留去して、蒸留残留物28
4.6gを得た。その際の最終留出物温度は198℃
(2mmHg)であった。そして、この蒸留残留物中に含ま
れる極少量の不溶解分をロ過により除去し、表1に示す
性状の、極暗い黄赤色透明粘稠な液状の最終製品28
1.7gを得た。
【0059】後記の比較例2に比し、塩基価が高く、色
相も著しく明るい。また、最終製品のヒドロキシ安息香
酸成分量はカルボキシル化により生成したヒドロキシ安
息香酸成分量の65.4%で比較例2に比し、減少量は
はるかに少ない。
【0060】実施例7 実施例6で得た第1段階二酸化炭素処理生成物434.
3gをた1lオートクレーブに移し、純度97.2%の
酸化カルシウム16.1g(0.28モル)およびエチ
レングリコール86.9g(1.40モル)を窒素気流
中、常圧下に170℃で添加し、次いで同温度にて窒素
加圧3atm・G下、5時間攪拌した後、該反応系を徐々に
減圧しながら、生成水、添加した一部のエチレングリコ
ールおよびノニルフェノールを留去し、極暗い黄赤色の
液状生成物468.4gを得た。その際、終了時の塔底
物の温度は170℃、留出物温度は86℃(14mmHg)
であった。
【0061】次にこの蒸留残留物468.4gに硫黄2
6.9g(0.84モル)、150ニュートラル油(1
00℃の粘度が5.27cStのパラフィン系潤滑油)1
09.9gを添加し、180℃、5atm・Gにて4時間反
応させ、592.7gの硫化生成物を得た。
【0062】次に、この硫化反応生成物531.0gに
150℃、80mmHgの状態から220ml/minの流速で
二酸化炭素を約0.5時間ブローし、圧力が3.8atm
・Gになった後昇温して180℃となってから二酸化炭
素を再びブローし5atm・Gまで昇圧し、その状態で2時
間保持して、暗い灰黄赤色の液状反応生成物538.7
gを得た。
【0063】1l三口梨型フラスコに上記生成物40
5.8gを封入し、実施例6と同様に蒸留、ロ過して表
1に示す性状の、極暗い黄赤色透明粘稠な液状の最終製
品273.9gを得た。
【0064】実施例8 実施例6で得た第1段階二酸化炭素処理生成物439.
0gを1lオートクレーブに移し、純度97.2%の酸
化カルシウム49.6g(0.86モル)およびエチレ
ングリコール186.0g(3.00モル)を窒素気流
中、常圧下に150℃で添加し、次いで同温度にて窒素
加圧3atm・G下、3時間攪拌した後、該反応系を徐々に
減圧しながら、生成水、添加した一部のエチレングリコ
ールおよびノニルフェノールを留去し、極暗い黄赤色の
液状生成物530.2gを得た。その際、終了時の塔底
物の温度は146℃、留出物温度は111℃(27mmH
g)であった。
【0065】次にこの蒸留残留物530.2gに硫黄3
6.8g(1.15モル)を添加し、150℃、760
mmHgの状態から360ml/minの流速で二酸化炭素を約
0.5時間ブローし、圧力が4.8atm・Gになった後昇
温して180℃となってから二酸化炭素を再びブローし
て5atm・Gまで昇圧し、その状態で4時間保持して、暗
い灰黄赤色の液状反応生成物584.1gを得た。
【0066】1l三口梨型フラスコに上記生成物38
9.2gを封入し、実施例6と同様に蒸留、ロ過して表
1に示す性状の、極暗い黄赤色透明粘稠な液状の最終製
品374.7gを得た。
【0067】比較例2 実施例6の第1段階二酸化炭素処理で得たカルボキシル
化反応生成物462.0gを1lオートクレーブに移
し、硫黄23.1g(0.72モル)をCO2気流中、
常圧下に172℃で添加し、次いで温度を180℃に、
圧力をCO2にて5atm・Gに上げ、4時間反応させ、硫
化反応生成物480.4gを得た。
【0068】1l三口梨型フラスコに上記反応生成物4
31.9gと150ニュートラル油(100℃の粘度が
5.27cStのパラフィン系潤滑油)165.6gを封
入し、実施例6と同様に蒸留、ロ過して表1に示す性状
の、極暗い黄赤色透明粘稠な液状の最終製品328.7
gを得た。
【0069】この比較例2は、比較例1と同様、カルボ
キシル化反応後に第2金属付加反応を実施することなく
硫化反応を実施し、最終製品を得る米国特許第4,90
2,436号(1990)による方法の例であるが、実
施例6に比し、製品の塩基価が低くかつ色相も暗い。ま
た、最終製品のヒドロキシ安息香酸成分量はカルボキシ
ル化により生成したヒドロキシ安息香酸成分量の58.
0%と減少量が大きい。
【0070】
【表1】
【0071】
【発明の効果】本発明によれば、反応工程でアルカリ金
属試薬を使用せずアルカリ土類金属のみを使用し、かつ
硫化試薬としてハロゲン化物を使用することなく、しか
も比較的簡単なプロセスと少数の原料を採用したにも拘
らず、通常アルカリ金属化合物やハロゲン化硫黄を使用
し、しかも複雑なプロセスを経由しなければ得られない
ヒドロキシアルキル安息香酸およびアルキルフェノール
のアルカリ土類金属塩硫化混合物を容易に、しかも使用
金属に関して収率良く製造することが出来る。また、本
発明を適用する場合には、アルキル基の炭素数がせいぜ
い9程度のアルキルフェノールを原料とした場合でも優
れた油溶性を示すなど先に示した米国特許第4,902,436
号(1990)(特開昭64-29354)の長所を有しかつ同特許に
より得られる製品に比し塩基価の向上と色相の改善を可
能にした。先のReiffの方法では、油溶性を得るにはア
ルキル基の炭素数がすくなくとも20以上のアルキルフ
ェノールの使用が必要とされていた。また、本発明で
は、カルボキシル化反応により生成したヒドロキシアル
キル安息香酸1モル当り、アルカリ土類金属1モルの錯
体も容易に製造することが出来る。この錯体は、従来ア
ルキルサリチル酸あるいはKolbe-Schmitt法で得られる
正塩すなわちモノナトリウム塩を相当するジナトリウム
塩とし、次にこれをアルカリ土類金属ハロゲン化物で複
分解するという煩雑な方法により合成されていたもので
ある[参考:A. Strang, 米国特許第3,704,315(197
2)]。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 125:10 125:00 125:06) C10N 10:04 30:04 60:10 70:00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)フェノール類、二価アルコール及
    び前記フェノール類に対するグラム当量比が0.99以
    下のアルカリ土類金属の酸化物もしくは水酸化物又はそ
    れらの混合物(以下アルカリ土類金属試薬という)より
    なる反応原料混合物を反応させ、(b)次いで水及び二
    価アルコールをアルカリ土類金属試薬1モル当り0.6
    モル以下になるまで留去して得られた蒸留塔底物に二酸
    化炭素を反応させ、(c)得られる生成物中に存在する
    未反応アルキルフェノールに対してグラム当量比が0.
    99以下のアルカリ土類金属試薬を加え、かつ追加する
    アルカリ土類金属試薬1モル当り0.15〜10モルの
    二価アルコールの存在下反応させ(第2段階金属付加反
    応)、(d)次いで水及び一部の二価アルコールを留去
    して得られる蒸留塔底物に二酸化炭素を反応させること
    を特徴とするフェノール類の過塩基性アルカリ土類金属
    塩混合物の製造法において、第2段階金属付加反応以降
    の工程で全アルカリ土類金属試薬1モル当り0.1〜
    4.0モルの元素硫黄を添加して反応させることを特徴
    とするフェノール類の過塩基性アルカリ土類金属塩硫化
    混合物の製造法。
  2. 【請求項2】 硫化反応を第2段階金属付加反応と同時
    あるいは該2段階金属付加反応後の二酸化炭素処理工程
    以前に行うことを特徴とする請求項1記載のフェノール
    類の過塩基性アルカリ土類金属塩硫化混合物の製造法。
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