JPH06264084A - ヒドロキシアルキル安息香酸およびアルキルフェノールのアルカリ土類金属塩硫化混合物系極圧清浄剤ならびにその製法 - Google Patents

ヒドロキシアルキル安息香酸およびアルキルフェノールのアルカリ土類金属塩硫化混合物系極圧清浄剤ならびにその製法

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JPH06264084A
JPH06264084A JP7887793A JP7887793A JPH06264084A JP H06264084 A JPH06264084 A JP H06264084A JP 7887793 A JP7887793 A JP 7887793A JP 7887793 A JP7887793 A JP 7887793A JP H06264084 A JPH06264084 A JP H06264084A
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earth metal
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mol
phenol
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JP7887793A
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Shinji Yamaoka
伸二 山岡
Sanae Ueda
早苗 上田
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COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
Original Assignee
COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 廃ガス浄化触媒に悪影響を与えない極圧清浄
剤ならびのその製法を与える。 【構成】 炭素数7〜14の直鎖アルキル側鎖を有する
ヒドロキシ安息香酸および該側鎖を有するフェノールの
アルカリ土類金属塩硫化混合物からなる極圧清浄剤なら
びに上記フェノール類、二価アルコール、および前記フ
ェノール類に対するグラム当量比が0.99以下のアル
カリ土類金属試薬よりなる反応原料混合物を反応させ、
次いで水及びアルカリ土類金属試薬1モル当り0.6モ
ル以下になるまで二価アルコールを留去して得られた蒸
留塔底物に二酸化炭素を反応させ、得られた生成物にア
ルカリ土類金属試薬1モル当り0.1〜4.0モルの元
素硫黄を反応させることを特徴とする上記極圧清浄剤の
製法。 【効果】 リンを含有しないのに、従来のZnDTPな
いしはリン系極圧剤と同等あるいはそれ以上の極圧性能
を有するサリシレート−フェネート系極圧清浄剤が得ら
れた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヒドロキシアルキル安
息香酸およびアルキルフェノールのアルカリ土類金属塩
硫化混合物を有効成分とする、潤滑油の優れた極圧清浄
剤ならびにその製法に関するものである。
【0002】具体的には、炭素数7〜14の直鎖アルキ
ル側鎖を有するフェノール類、二価アルコール、アルカ
リ土類金属の酸化物もしくは水酸化物またはそれらの混
合物(以下、「アルカリ土類金属試薬」という)よりな
る混合物を反応させ、水および二価アルコールを留去し
た後、二酸化炭素および元素硫黄を反応させて得られる
優れたヒドロキシアルキル安息香酸およびアルキルフェ
ノールのアルカリ土類金属塩硫化混合物系極圧清浄剤な
らびにその製法に関するものである。
【0003】
【従来の技術】潤滑油の清浄剤としてのヒドロキシアル
キル安息香酸およびアルキルフェノールのアルカリ土類
金属塩硫化混合物は知られており、その製法も多数報告
されている。
【0004】事実、我々もヒドロキシアルキル安息香酸
およびアルキルフェノールのアルカリ土類金属塩硫化混
合物の製法について多数の提案、例えば特開昭60−1
27396号、特開昭60−147497号、特開昭6
1−282336号、特開昭64−29354号等、を
行っている。その中の一つは、フェノール類、二価アル
コール、及びアルカリ土類金属の酸化物あるいは水酸化
物よりなる反応原料混合物を反応させ、次いで生成水お
よび二価アルコールを留去して得られた蒸留塔底物に二
酸化炭素、次いで元素硫黄を反応させて得られるヒドロ
キシアルキル安息香酸およびアルキルフェノールのアル
カリ土類金属塩硫化混合物の製造法を開示している(特
開昭64−29354)。これは、自動車エンジン油、
舶用エンジン油等の潤滑油用の清浄剤として、広く用い
られるものである。ここで用いるフェノール類の側鎖の
炭素数は4〜36、好ましくは8〜32と開示されてい
る。
【0005】上記した従来技術において、原料として用
いられる脂肪族炭化水素側鎖を有するフェノールの側鎖
としては、アルキル、アルケニル、アラルキル等が例示
され、それらはまた直鎖あるいは分枝鎖のいずれでも良
いと、特許明細書では一般に広範な記載がなされている
のが通例であるが、実際に製造されかつ効果が試験され
ているのは、プロピレンやブチレンといった低級オレフ
ィンのオリゴマーである分枝を有するオレフィンをフェ
ノールと反応させて得られる分枝鎖アルキルフェノール
である。これは、オレフィンオリゴマーである分枝鎖高
級オレフィンは安価に得られるのに反し、直鎖高級オレ
フィンはそれに比して高価なためである。清浄剤の原料
としては、これらの安価な分枝鎖高級オレフィンでアル
キル化されたフェノールで十分であり、敢て高価な直鎖
アルキルフェノールを使用する必要性を認めなかったた
めであり、従ってまた直鎖アルキルフェネート系清浄剤
についての試験も検討も実際には行われていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の製造法によって
得られる製品は、一般にオキシ酸や硫酸などの酸類を中
和し、かつスラッジ、ラッカー、カーボンなどを分散
し、腐食摩耗、リンググルーブ閉塞、およびピストンリ
ング膠着等を防止する清浄剤としての効果には秀でてい
るものの、摩擦特性の改善については特筆すべきものは
ない。
【0007】近年自動車などの内燃機の高性能化、高ト
ルク化および高馬力化に伴い潤滑油の極圧性能に対する
要求は厳しくなっている。
【0008】そこで、清浄性のみならず、極圧性も併せ
持っていれば、多面的な性能を有する添加剤を供給でき
る。さらに、排気ガス規制強化により、触媒を被毒する
リン系極圧剤の使用は大幅に制限され、極圧性に対する
厳しい要求に対処することが難しくなってきている。従
って、リンを含まない極圧剤の開発、さらには極圧性の
みならず清浄性も併せ持つ多面的な添加剤の開発が待た
れている。
【0009】したがって、本発明の第一の目的は、ヒド
ロキシアルキル安息香酸およびアルキルフェノールのア
ルカリ土類金属塩硫化混合物系極圧清浄剤を与えること
にあり、そして第二の目的は、上記の極圧清浄剤の製法
を与えることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
従来の知見に捕らえられずに、分枝鎖アルキル基、直鎖
アルキル基、アルケニル基、アラルキル基を有する広範
なフェネート系清浄剤ならびにフェネート−サリシレー
ト系清浄剤を合成し、それらの性能評価を行ったとこ
ろ、全く予期に反して、直鎖アルキル基で置換されたヒ
ドロキシアルキル安息香酸およびアルキルフェノールの
アルカリ土類金属塩硫化混合物は分枝鎖アルキル基で置
換されたものとは顕著に相違し、高い極圧性を有してい
ることを見出した。すなわち、原料に炭素数7〜14個
の直鎖アルキル基で置換されたフェノール類を用いるこ
とによって、従来のものよりはるかに極圧性が向上され
たヒドロキシアルキル安息香酸およびアルキルフェノー
ルのアルカリ土類金属塩硫化混合物が得られることを見
出した。
【0011】すなわち、本発明の要旨は、第1に、炭素
数7〜14の直鎖アルキル側鎖を有するヒドロキシ安息
香酸および該側鎖を有するフェノールのアルカリ土類金
属塩硫化混合物を有効成分として含有してなるヒドロキ
シアルキル安息香酸およびアルキルフェノールのアルカ
リ土類金属塩硫化混合物系極圧清浄剤に存し、そして第
2に、炭素数7〜14の直鎖アルキル側鎖を有するフェ
ノール類、二価アルコール、および前記フェノール類に
対するグラム当量比が0.99以下のアルカリ土類金属
の酸化物もしくは水酸化物またはそれらの混合物(以
下、「アルカリ土類金属試薬」という)よりなる反応原
料混合物を反応させ、次いで水及びアルカリ土類金属試
薬1モル当り0.6モル以下になるまで二価アルコール
を留去して得られた蒸留塔底物に二酸化炭素を反応さ
せ、得られた生成物にアルカリ土類金属試薬1モル当り
0.1〜4.0モルの元素硫黄を反応させることを特徴
とするヒドロキシアルキル安息香酸およびアルキルフェ
ノールのアルカリ土類金属塩硫化混合物系極圧清浄剤の
製法に存する。
【0012】本発明のヒドロキシアルキル安息香酸およ
びアルキルフェノールのアルカリ土類金属塩硫化混合物
系極圧清浄剤は、30〜200mgKOH/gの塩基価、0.
5〜10重量%、好ましくは0.5〜4重量%の硫黄、
0.01〜6重量%、好ましくは0.01〜3重量%の
CO2ならびに10〜50mgKOH/gの酸価を有し、従来
公知のフェネートあるいはサリシレート系清浄剤と同等
の清浄、分散ならびに酸中和能力を有し、しかも従来公
知のアルキルジチオリン酸亜鉛、リン系ならびに硫黄系
極圧添加剤と同等ないしはそれらよりも優れた耐荷重性
能および耐摩耗性能を兼ね備えている。
【0013】本発明で使用される反応原料について述べ
る。本発明に使用されるフェノール類としては炭素数7
〜14個、好ましくは炭素数9〜12個の直鎖アルキル
側鎖を有するフェノール類(以下、単に「アルキルフェ
ノール類」と記す。)を挙げることができる。具体的に
は、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デ
シル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル
およびn−テトラデシル基を有するフェノール類が単
独、あるいはこれらの混合物として使用される。好まし
くは、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシルおよび
n−ドデシルフェノールないしはそれらの混合物であ
る。通常約130℃、好ましくは約120℃で液状とな
り得るものが望ましい。
【0014】これらフェノール類の具体例としては、n
−ヘプチルフェノール、n−オクチルフェノール、n−
ノニルフェノール、n−デシルフェノール、n−ウンデ
シルフェノール、n−ドデシルフェノール、n−トリデ
シルフェノールおよびn−テトラデシルフェノールが挙
げられる。アルカリ土類金属試薬としては、通常アルカ
リ土類金属の酸化物、あるいは水酸化物が用いられる。
例えばカルシウム、バリウム、ストロンチウム、マグネ
シウム等の酸化物あるいは水酸化物が用いられる。勿論
これらの混合物であっても良い。フェノール類に対する
アルカリ土類金属試薬の使用量は使用フェノール類1当
量当たり0.99当量以下、好ましくは0.01〜0.
98当量以下である。フェノール類に対するアルカリ土
類金属試薬の量が多すぎると中間体がゲル化してそれ以
上反応が進まないため、目的とする良好な生成物が得ら
れない。また、少なすぎると原料に対する製品の収率が
低下するばかりか、フェノール類の回収に費やすユーテ
ィリティーや時間が大となり、経済的に不利である。
【0015】次に、二価アルコールとしては比較的低沸
点かつ低粘度で反応性に富むものが使用される。二価ア
ルコールは炭素数2〜6を有することが好ましく、特に
エチレングリコール、プロピレングリコール等が好まし
い。二価アルコールの使用量はアルカリ土類金属試薬1
モル当り約0.15〜3.0モル、好ましくは約0.5
〜2.0モルが適当である。二価アルコールはフェノー
ル類とアルカリ土類金属試薬との反応による油溶性物質
への転化を助け、安定化し、一部は製品中に取り込まれ
て多当量化フェネートおよびサリシレートを構成するも
のである。二価アルコールの使用量が少なすぎると反応
原料、特にアルカリ土類金属試薬の製品転化率が低下
し、多すぎるとフェノール類への金属付加反応は円滑に
進行するが、反応生成物から過剰の二価アルコールを蒸
留留去する時間およびユーティリティーが過大にかかっ
てしまう。
【0016】フェノール類へのアルカリ土類金属試薬の
金属付加反応工程において反応を促進するために反応系
中に水を添加してもよい。添加する水は、蒸留水はもち
ろん、缶水や工業用水、金属付加反応で生成する水など
が使用でき、その品質に特に制限はなく、冷水、温水、
水蒸気等どのような状態の水でも使用できる。金属付加
反応促進のために用いる水の反応器への添加は水単独で
行ってもよいし、一部あるいは全部をフェノール類や二
価アルコールなどほかの原料との混合物として添加して
もよい。反応器への水の添加時期は特に制限はなく、水
以外の全反応原料が混合される前でも後でもよいが、全
反応原料混合後約1時間以内に添加するのが好ましい。
【0017】反応系中への金属付加反応促進のために用
いる水の添加量は使用するアルカリ土類金属試薬1モル
当たり約0.01〜10モル、望ましくは0.1〜2.
0モルである。外部から水を反応系中に添加して金属付
加反応を行うと、水を添加しない以外は同一の条件で反
応を行う場合に比べて反応が円滑に進行し、反応原料、
特にアルカリ土類金属試薬の製品転化率が高くなる。し
たがって、反応系中に水を添加する場合、添加する水が
少なすぎるとアルカリ土類金属試薬の製品転化率が低下
してしまい、水を添加した意味が失われてしまう。また
逆に多すぎれば反応後の蒸留工程が簡略化されるという
利点が失われる。
【0018】硫黄の使用量は、極少量から大多量の広い
範囲にわたって使用できる。通常の使用量はアルカリ土
類金属試薬1モル当たり0.1〜4.0モル、好ましく
は0.2〜3.0モルを用いる。硫黄の使用量を低減す
るにつれ製品の粘度は低下するが、使用量が少なすぎる
と製品中の硫化物が減少し、油溶性が低下してしまう。
また多すぎると製品の塩基価が低下し、また製品の粘度
が著しく高くなってしまう。
【0019】本発明において、反応物、反応中間体、あ
るいは製品等の取扱いを容易にするために適当な粘度を
有する希釈剤もしくは溶剤(以下、「希釈剤」とい
う。)を加えることができる。たとえば硫化反応を終え
たのちの反応生成物中から過剰の未反応フェノール類を
蒸留で回収する際、高沸点で、かつ適当な粘度を有する
希釈剤の存在下で行うことによって反応塔底物を液状の
望ましい状態で得ることができる。なお、通常は未反応
フェノール類の留出に伴って希釈剤の一部も留出する。
したがって、回収フェノール類を繰り返し反応に供する
場合には希釈剤としては反応に直接悪影響を与えないも
のが望ましい。また希釈剤の存在下に反応を行ってもよ
い。好ましい希釈剤の例としては、パラフィン系、ナフ
テン系、芳香族系、あるいは混合系の基油などの適当な
粘度の石油留分、例えば沸点約220〜550℃で粘度
が100℃で約0.5〜40cStの潤滑油留分を挙げ
ることができる。その他の有機溶媒でも疎水性、かつ、
親油性を示し、反応時や製品の用途面において無害であ
れば希釈剤として用いることができる。
【0020】本発明におけるヒドロキシアルキル安息香
酸およびアルキルフェノールのアルカリ土類金属塩硫化
混合物の主な製造工程および運転条件は下記のとおりで
ある。
【0021】(イ)金属付加反応 所定量のフェノール類、二価アルコール類、アルカリ土
類金属試薬、および必要により希釈剤および/または前
記所定量の水からなる反応原料混合物を反応温度60〜
200℃、好ましくは約90〜190℃の範囲で反応さ
せる。その際、反応は減圧、常圧、もしくは加圧下、例
えば約0.01〜11atm・Aの圧力下にて反応を行う。
【0022】また各原料の反応釜への仕込み順序は反応
を円滑に進行させるため以下の順序で行うことが最も好
ましい。
【0023】アルカリ土類金属試薬はフェノール類のあ
とで仕込み、最後に二価アルコール及び水を加える。
【0024】上記の金属付加反応工程において生成する
水および添加水は次のカルボキシル化工程前に全量の約
95%以上、好ましくは約99.9%以上、特に好まし
くは全量を、二価アルコールは系内に残存する量が金属
試薬1モル当り通常約0.6モル以下、好ましくは約
0.3モル以下となるように留去する。水および二価ア
ルコールが系内に多量に残存すると次のカルボキシル化
工程で、カルボキシル化率が低下し、ヒドロキシベンゾ
エート生成量が減少する。本反応は通常約1〜9時間の
範囲でほぼ終了する。
【0025】(ロ)カルボキシル化工程 本工程は、前記の金属付加反応生成物をカルボキシル化
しヒドロキシベンゾエート成分を得る工程である。すな
わち、前記の金属付加反応生成物を反応温度約150〜
240℃、好ましくは約160〜230℃、反応圧力
は、約0.05〜100atm・A、 好ましくは約0.1
〜50atm・A の減圧、常圧もしくは加圧条件下で二酸
化炭素と反応させる。本反応は通常約1〜10時間の範
囲内でほぼ終了する。
【0026】(ハ)硫化工程 この硫化工程は前記のカルボキシル化工程での生成物の
性質、特に油溶性、粘度特性、貯蔵安定性などの物性を
改善する工程である。すなわち、前記カルボキシル化工
程生成物と、前記所定量の元素硫黄を、不活性ガスまた
は炭酸ガス雰囲気下、減圧、常圧もしくは加圧下、好ま
しくは約0.5〜20atm・A の圧力下に反応温度約1
40〜230℃、好ましくは約150〜200℃の温度
条件下で反応させる。本反応は、通常約1〜20時間で
ほぼ終了する。
【0027】このようにしてヒドロキシアルキル安息香
酸およびアルキルフェノールのアルカリ土類金属塩硫化
混合物が得られる。
【0028】硫化反応後の反応生成物中の未反応フェノ
ール類は経済上などの面から、これらの1部もしくは大
部分を回収することが好ましく、またこの回収フェノー
ル類を原料として使用することができる。ここで、未反
応フェノール類の蒸留を高沸点の鉱油など、通常の希釈
剤の存在下で行うと、蒸留残留物は液状の好ましい状態
で得ることができる。残存する少量の不溶解性物質は、
フェノール類の回収前、あるいは回収後に濾過または遠
心分離などの操作により除去することができる。
【0029】本発明方法の反応生成物の正確な構造の詳
細は不明であるが、反応生成物を加水分解し、加水分解
物をヘキサンのような溶剤で抽出して得られる油層にサ
リチル酸類とフェノール類の両者が検出されることから
原料フェノール類は、その一部が二酸化炭素との反応に
よりサリシレートに転化したものと考えられる。反応生
成物はサリシレート骨格同士、サリシレート骨格とフェ
ネート骨格、フェネート骨格同士を硫黄で結合した化合
物や未硫化のサリシレートおよびフェネートの混合物で
あると推定される。
【0030】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、これらは単に例示であって本発明を制限す
るものではない。以下の実施例ならびに比較例におい
て、圧力は特記しない限りゲージ圧である。
【0031】実施例1 撹拌器、ガス導入管および温度計を装着した0.5lオ
ートクレーブに純度98%のn−ドデシルフェノール1
96.87g(0.74モル)、150ニュートラル油
104.23g、純度95.3%の酸化カルシウム粉末
17.61g(0.3モル)を装入し、撹拌した。
【0032】この懸濁液にエチレングリコール25.9
0g(0.40モル)、水0.56g(0.03モル)
を窒素気流中1.5atm の加圧下、120℃で添加し、
これを135℃、3.0atm で3時間反応させた。その
後、該反応系を徐々に減圧しながら、生成水および添加
水、添加した大部分のエチレングリコールおよび一部の
ドデシルフェノールを留去して、カラシ色の液状の蒸留
残留物312.3gが得られた。
【0033】次に該蒸留残留物312.3gに150
℃、60mmHgの状態から二酸化炭素を吹き込み0.5時
間後に4.0atm まで昇圧した。その後昇温して178
℃となってから、二酸化炭素を再び吹き込み5.0atm
まで昇圧し、その状態で4時間保持して液状反応生成物
325.4g得た。
【0034】次に、このカルボキシル化反応生成物に硫
黄10.60g(0.33モル)を、窒素気流中、常圧
下に110℃で添加し、次いで178℃に昇温し、圧力
を二酸化炭素にて5.0atmに上げ、その状態で4時間
攪拌し、極暗い黄赤色の液状生成物329.82gを得
た。
【0035】これに150ニュートラル油103.23
gを添加し、数分間攪拌して、極暗い黄赤色の粘稠な最
終製品433.05gを得た。この製品の一般的性状を
表1に示す。この製品の酸価は、26.3mgKOH/gであ
った。
【0036】実施例2 撹拌器、ガス導入管および温度計を装着した1lオート
クレーブに純度98%のn−ノニルフェノール215.
60g(0.98モル)、150ニュートラル油78.
58g、純度95.8%の酸化カルシウム粉末15.7
4g(0.27モル)を装入し、撹拌した。
【0037】この懸濁液にエチレングリコール25.2
0g(0.41モル)、水0.55g(0.03モル)
を窒素気流中1.5atm の加圧下、120℃で添加し、
これを135℃、3.0atm で3時間反応させた。その
後、該反応系を徐々に減圧しながら、生成水および添加
水、添加した大部分のエチレングリコールおよび一部の
ノニルフェノールを留去して、カラシ色の液状の蒸留残
留物285.9gが得られた。
【0038】次に該蒸留残留物285.9gに150
℃、60mmHgの状態から二酸化炭素を吹き込み0.5時
間後に4.5atm まで昇圧した。その後昇温して178
℃となってから、二酸化炭素を再び吹き込み5.0atm
まで昇圧し、その状態で4時間保持して液状反応生成物
302.5g得た。
【0039】次に、このカルボキシル化反応生成物に硫
黄9.89g(0.31モル)を、窒素気流中、常圧下
に110℃で添加し、次いで178℃に昇温し、圧力を
二酸化炭素にて5.0atmに上げ、その状態で4時間攪
拌し、極暗い黄赤色の液状生成物307.0gを得た。
【0040】これに150ニュートラル油442.23
gを添加し、数分間攪拌して、極暗い黄赤色の粘稠な最
終製品749.23gを得た。この製品の一般的性状を
表1に示す。この製品の酸価は、19.0mgKOH/gであ
った。
【0041】比較例1 撹拌器、ガス導入管および温度計を装着した1lオート
クレーブに純度95%のドデシルフェノール(工業用・
分枝鎖ドデシルフェノール)を676.52g(2.4
5モル)、純度97.2%の酸化カルシウム粉末40.
3g(0.7モル)、150ニュートラル油83.6g
を装入し、撹拌した。
【0042】この懸濁液にエチレングリコール56.8
0g(0.95モル)、水1.26g(0.07モル)
を窒素気流中2.3atm の加圧下、135℃で添加し、
これを135℃、3.0atm で3時間反応させた。その
後、該反応系を徐々に減圧しながら、生成水および添加
水、添加した大部分のエチレングリコールおよび一部の
ドデシルフェノールを留去して、カラシ色の液状の蒸留
残留物613.9gが得られた。
【0043】次に該蒸留残留物613.9gに150
℃、50mmHgの状態から二酸化炭素を吹き込み0.5時
間後に4.0atm まで昇圧した。その後昇温して178
℃となってから、二酸化炭素を再び吹き込み5.0atm
まで昇圧し、その状態で4時間保持して暗い灰黄赤色の
液状反応生成物643.0gを得た。
【0044】次に、このカルボキシル化反応生成物に硫
黄20.81g(0.65モル)を、窒素気流中、常圧
下に110℃で添加し、次いで178℃に昇温し、圧力
を二酸化炭素にて5.0atmに上げ、その状態で4時間
攪拌し、極暗い黄赤色の液状生成物658.5gを得
た。これに150ニュートラル油118.81gを添加
し、数分間攪拌した後、1l三口梨型フラスコに60
1.30g移し、大部分のノニルフェノールおよび少量
の潤滑油留分を留去して、蒸留残査物316.02gを
得た。そして、この蒸留残査物中に含まれる極少量の不
溶解分を濾過により除去し、極暗い黄赤色の透明粘稠な
液状の最終製品314.13gを得た。この製品の一般
的性状を表1に示す。この製品の酸価は、37.0mgKO
H/gであった。
【0045】比較例2 原料アルキルフェノールにノニルフェノール(工業用・
分枝鎖ノニルフェノール)を使用した以外は張り込み原
料配合比、反応条件等、比較例1と同様にして液状の最
終製品296.01gを得た。この製品の一般的性状を
表1に示す。この製品の酸価は、26.1mgKOH/gであ
った。
【0046】
【表1】
【0047】実施例1および2でカルシウム、硫黄、C
2の含有率および塩基価が比較例に比べて低いのは、
実施例1および2においては製造段階で添加する希釈油
の量が多かったこと、並びに比較例では溶剤を殆んど全
て回収したのに対し、実施例では回収を行っていないた
めである。
【0048】〈極圧性能評価方法〉極圧性能とは、耐荷
重性能および耐摩耗性能を言う。そこで、耐荷重性能お
よび耐摩耗性能を評価するこのできるFALEX試験
(ASTM D3233、D2670)により極圧性能
評価を行った。
【0049】1)耐荷重性試験:ASTM D323
3、D2670に記載の方法による。試験条件として回
転数290±10rpm、油温は常温とし、初期荷重2
50lbs から50lbs /min で荷重をかけてゆき、焼き
付く手前の荷重を耐焼き付き荷重とした。
【0050】2)耐摩耗性試験:ASTM D323
3.D2670に記載の方法による。試験条件として回
転数290±10rpm、油温は常温とし、初期荷重2
50lbs で1分間慣らし運転をしたあと、所定の荷重
(300lbs 、500lbs )において30分間維持す
る。この試験前後の回転ピンの重量差を摩耗量とした。
【0051】〈試料〉実施例1、2、比較例1、2の4
サンプルに加え、比較サンプルとして原料アルキルフェ
ノール(n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルの計
3試料)、従来の極圧添加剤としてアルキル基が二級で
あるsec-Zn−DTP、リン系極圧添加剤、イオウ系極
圧添加剤を用いた。
【0052】上記の試料を500ニュートラル油(10
0℃における粘度が11.94cStのパラフィン系潤滑
油)にて希釈し、極圧性能評価用試料油とした。
【0053】試料油調合割合を表2および表3に示す。
試料油は、基本的に含まれる金属(Ca, Zn )やリンあ
るいは硫黄の量が等しくなるように調合している(S系
極圧剤のS量は、比較例2のと一致させてある)。各
サンプルにおいて添加剤の添加率が異なるのはその為で
ある。また、実施例、比較例にて得られたサンプルは、
添加率を2パターン(Ca=0.12%, Ca=0.46% )として、
添加率増加に伴う極圧性能の向上の有無をみている。な
お、実施例1、2において添加率が比較例と比べて増え
ているのは、実施例1、2の合成時に希釈油を多めに加
えたためで、有効添加剤成分量は比較例と同じである。
【0054】また、参考として500ニュートラル油の
みでの極圧性能も評価した。上記のFALEX試験によ
って各調合油の耐荷重性能および耐摩耗性能を評価し
た。極圧性能評価結果を表4に示す。
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】表4に示す極圧性能評価結果によって、本
発明品である実施例1、2によって得られたサンプル
は、ベースオイルの極圧性能を飛躍的に高めていること
が判る。のみならず、従来最高の極圧添加剤であるZn
−DTPと比較しても全く遜色なく、またリン系あるい
は硫黄系極圧添加剤を上回る程の評価結果を得ている。
【0059】ちなみに、比較例1、2によって得られた
サンプルもベースオイルの極圧性能を高めているが、本
発明品と比べ大きく劣り、有効な極圧添加剤とは言えな
い。
【0060】
【発明の効果】本発明によって供給されたヒドロキシア
ルキル安息香酸およびアルキルフェノールのアルカリ土
類金属塩硫化混合物は、従来の極圧添加剤と同等ないし
はそれを上回る極圧性能を有することが判明した。すな
わち、原料フェノール類として炭素数7〜14の直鎖ア
ルキル基を有するものを用いることによって、従来の分
枝鎖のヒドロキシアルキル安息香酸およびアルキルフェ
ノールのアルカリ土類金属塩硫化混合物のように単に清
浄分散性能を満足させるだけでなく、良好な極圧性能を
も兼ね備えた組成物を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 125:06 125:10 129:08 125:00) C10N 10:04 30:04 30:06 40:25 60:10 70:00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素数7〜14の直鎖アルキル側鎖を有
    するヒドロキシ安息香酸および該側鎖を有するフェノー
    ルのアルカリ土類金属塩硫化混合物を有効成分としてな
    るヒドロキシアルキル安息香酸およびアルキルフェノー
    ルのアルカリ土類金属塩硫化混合物系極圧清浄剤。
  2. 【請求項2】 炭素数7〜14の直鎖アルキル側鎖を有
    するフェノール類、二価アルコール、および前記フェノ
    ール類に対するグラム当量比が0.99以下のアルカリ
    土類金属の酸化物もしくは水酸化物またはそれらの混合
    物(以下、「アルカリ土類金属試薬」という)よりなる
    反応原料混合物を反応させ、次いで水及びアルカリ土類
    金属試薬1モル当り0.6モル以下になるまで二価アル
    コールを留去して得られた蒸留塔底物に二酸化炭素を反
    応させ、得られた生成物にアルカリ土類金属試薬1モル
    当り0.1〜4.0モルの元素硫黄を反応させることに
    より得られる請求項1に記載の極圧清浄剤。
  3. 【請求項3】 炭素数7〜14の直鎖アルキル側鎖を有
    するフェノール類、二価アルコール、および前記フェノ
    ール類に対するグラム当量比が0.99以下のアルカリ
    土類金属の酸化物もしくは水酸化物またはそれらの混合
    物(以下、「アルカリ土類金属試薬」という)よりなる
    反応原料混合物を反応させ、次いで水及びアルカリ土類
    金属試薬1モル当り0.6モル以下になるまで二価アル
    コールを留去して得られた蒸留塔底物に二酸化炭素を反
    応させ、得られた生成物にアルカリ土類金属試薬1モル
    当り0.1〜4.0モルの元素硫黄を反応させることを
    特徴とするヒドロキシアルキル安息香酸およびアルキル
    フェノールのアルカリ土類金属塩硫化混合物系極圧清浄
    剤の製法。
JP7887793A 1993-03-12 1993-03-12 ヒドロキシアルキル安息香酸およびアルキルフェノールのアルカリ土類金属塩硫化混合物系極圧清浄剤ならびにその製法 Pending JPH06264084A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007039457A (ja) * 2005-07-29 2007-02-15 Chevron Oronite Co Llc 低硫黄金属系清浄分散剤

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