JPH06264083A - ヒドロキシアルキル安息香酸およびアルキルフェノールのアルカリ土類金属塩硫化混合物系極圧清浄剤ならびにその製造法 - Google Patents

ヒドロキシアルキル安息香酸およびアルキルフェノールのアルカリ土類金属塩硫化混合物系極圧清浄剤ならびにその製造法

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JPH06264083A
JPH06264083A JP7887693A JP7887693A JPH06264083A JP H06264083 A JPH06264083 A JP H06264083A JP 7887693 A JP7887693 A JP 7887693A JP 7887693 A JP7887693 A JP 7887693A JP H06264083 A JPH06264083 A JP H06264083A
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alkaline earth
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reaction
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JP7887693A
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Shinji Yamaoka
伸二 山岡
Sanae Ueda
早苗 上田
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COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
Original Assignee
COSMO SOGO KENKYUSHO KK
Cosmo Oil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 廃ガス浄化触媒に悪影響を与えない極圧清浄
剤ならびのその製法を与える。 【構成】 炭素数4〜6の脂肪族炭化水素側鎖を有する
ヒドロキシ安息香酸および該側鎖を有するフェノール類
のアルカリ土類金属塩硫化混合物からなる極圧清浄剤並
びに上記フェノール類、二価アルコール、および前記フ
ェノール類に対するグラム当量比が0.99以下のアル
カリ土類金属試薬よりなる反応原料混合物を反応させ、
次いで水及びアルカリ土類金属試薬1モル当り0.6モ
ル以下になるまで二価アルコールを留去して得られた物
に二酸化炭素を反応させ、得られた生成物にアルカリ土
類金属試薬1モル当り0.1〜4.0モルの元素硫黄を
反応させることを特徴とする上記極圧清浄剤の製造法。 【効果】 リンを含有しないのに、従来のZnDTPな
いしはリン系極圧剤と同等あるいはそれ以上の極圧性能
を有するサリシレート−フェネート系極圧清浄剤が得ら
れた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヒドロキシアルキル安
息香酸およびアルキルフェノールのアルカリ土類金属塩
硫化混合物を有効成分とする、潤滑油の優れた極圧清浄
剤ならびにその製造法に関するものである。
【0002】具体的には、炭素数4〜6の脂肪族炭化水
素側鎖を有するフェノール類、二価アルコール、アルカ
リ土類金属の酸化物もしくは水酸化物またはそれらの混
合物(以下、「アルカリ土類金属試薬」という)よりな
る混合物を反応させ、水および二価アルコールを留去し
た後、二酸化炭素および元素硫黄を反応させて得られる
優れたヒドロキシアルキル安息香酸およびアルキルフェ
ノールのアルカリ土類金属塩硫化混合物系極圧清浄剤な
らびにその製造法に関するものである。
【0003】
【従来の技術】潤滑油の清浄剤としてのヒドロキシアル
キル安息香酸およびアルキルフェノールのアルカリ土類
金属塩硫化混合物は知られており、その製法も多数報告
されている。
【0004】事実、我々もヒドロキシアルキル安息香酸
およびアルキルフェノールのアルカリ土類金属塩硫化混
合物の製法について多数の提案、例えば特開昭60−1
27396号、特開昭60−147497号、特開昭6
1−282336号、特開昭64−29354号等、を
行っている。その中の一つは、フェノール類、二価アル
コール、及びアルカリ土類金属の酸化物あるいは水酸化
物よりなる反応原料混合物を反応させ、次いで生成水お
よび二価アルコールを留去して得られた蒸留塔底物に二
酸化炭素、次いで元素硫黄を反応させて得られるヒドロ
キシアルキル安息香酸およびアルキルフェノールのアル
カリ土類金属塩硫化混合物の製造法を開示している(特
開昭64−29354)。これは、自動車エンジン油、
舶用エンジン油等の潤滑油用の清浄剤として、広く用い
られるものである。ここで用いるフェノール類の側鎖の
炭素数は4〜36、好ましくは8〜32と開示されてい
る。
【0005】上記した従来技術において、原料として用
いられる脂肪族炭化水素側鎖を有するフェノールの側鎖
としては、長鎖、中鎖、場合によっては短鎖までをも含
めた広い範囲の脂肪族炭化水素基を有するフェノールが
挙げられてはいるが、実際には製品フェネートの油溶性
の観点から、殆どノニル基、ドデシル基以上の長鎖アル
キルフェノールが主体であり、短くてもせいぜいオクチ
ルフェノール程度までしか清浄剤の原料としては具体的
には検討されていなかった。従って、油溶性に問題があ
る短鎖のアルキルフェノールから得られるフェネート
が、清浄剤としてどのように機能するかを具体的に検討
した報告はなく、また油溶性の低い短鎖のアルキル基を
有するフェネートの特性について特に関心を抱く者もい
なかったのが実情である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この側鎖の炭
素数が小さいものについては昇華性が強く取り扱いが困
難であるなどの理由で、側鎖の炭素数が大きいものに比
してあまり検討されなかった。また、従来の製造法によ
って得られる製品は一般にオキシ酸や硫酸などの酸類を
中和し、かつスラッジ、ラッカー、カーボンなどを分散
し、腐食摩耗、リンググルーブ閉塞、およびピストンリ
ング膠着等を防止する清浄剤としての効果には秀でてい
るものの、摩擦特性の改善については特筆すべきものは
ない。
【0007】近年自動車などの内燃機の高性能化、高ト
ルク化および高馬力化に伴い潤滑油の極圧性能に対する
要求は厳しくなっている。
【0008】そこで、清浄性のみならず、極圧性も併せ
持っていれば、多面的な性能を有する添加剤を供給でき
る。さらに、排気ガス規制強化により、触媒を被毒する
リン系極圧剤の使用は大幅に制限され、極圧性に対する
厳しい要求に対処することが難しくなってきている。従
って、リンを含まない極圧剤の開発、さらには極圧性の
みならず清浄性も併せ持つ多面的な添加剤の開発が待た
れている。
【0009】したがって、本発明の第一の目的は、ヒド
ロキシアルキル安息香酸およびアルキルフェノールのア
ルカリ土類金属塩硫化混合物系極圧清浄剤を与えること
にあり、そして第二の目的は、上記の極圧清浄剤の製造
法を与えることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
従来の知見に捕われずに、清浄剤としては殆ど顧みられ
なかった炭素数の少ない側鎖を有するフェネートをも含
めて広範なフェネートおよびフェネート−サリシレート
系清浄剤について再検討を行った結果、全く図らざるこ
とに、炭素数の少ない脂肪族炭化水素側鎖を有するフェ
ネート−サリシレート系清浄剤は、清浄能力と共に極め
て強い極圧性能をも有することを見出した。すなわち、
原料に炭素数4〜6の脂肪族炭化水素基を有するフェノ
ール類を用いることによって、従来のものよりはるかに
極圧性が向上されたヒドロキシアルキル安息香酸および
アルキルフェノールのアルカリ土類金属塩硫化混合物が
得られることを見出した。
【0011】すなわち、本発明の要旨は、第1に、炭素
数4〜6の脂肪族炭化水素側鎖を有するヒドロキシ安息
香酸および該側鎖を有するフェノールのアルカリ土類金
属塩硫化混合物を有効成分としてなるヒドロキシアルキ
ル安息香酸およびアルキルフェノールのアルカリ土類金
属塩混合物系極圧清浄剤に存し、そして第2に、炭素数
4〜6の脂肪族炭化水素側鎖を有するフェノール類、二
価アルコール、および前記フェノール類に対するグラム
当量比が0.99以下のアルカリ土類金属の酸化物もし
くは水酸化物またはそれらの混合物(以下、「アルカリ
土類金属試薬」という)よりなる反応原料混合物を反応
させ、次いで水及びアルカリ土類金属試薬1モル当り
0.6モル以下になるまで二価アルコールを留去して得
られた蒸留塔底物に二酸化炭素を反応させ、得られた生
成物にアルカリ土類金属試薬1モル当り0.1〜4.0
モルの元素硫黄を反応させることを特徴とするヒドロキ
シアルキル安息香酸およびアルキルフェノールのアルカ
リ土類金属塩硫化混合物系極圧清浄剤の製造法に存す
る。
【0012】本発明のヒドロキシアルキル安息香酸およ
びアルキルフェノールのアルカリ土類金属塩硫化混合物
系極圧清浄剤は、100〜200mgKOH/gの塩基価、1
〜10重量%、好ましくは1〜4重量%の硫黄、1.5
〜6重量%、好ましくは1.5〜3重量%のCO2なら
びに10〜70mgKOH/gの酸価を有し、従来公知のフェ
ネートあるいはサリシレート系清浄剤と同等の清浄、分
散ならびに酸中和能力を有し、しかも従来公知のアルキ
ルジチオリン酸亜鉛、リン系ならびに硫黄系極圧添加剤
と同等ないしはそれらよりも優れた耐荷重性能および耐
摩耗性能を兼ね備えている。
【0013】本発明で使用される反応原料について述べ
る。本発明に使用されるフェノール類としては炭素数4
〜6個の脂肪族炭化水素側鎖、例えばアルキル基、アル
ケニル基等を有するフェノール類(以下、単に「アルキ
ルフェノール類」と記す。)を挙げることができる。側
鎖は直鎖でも分枝鎖のものでもよい。具体的には、ブチ
ル、アミル、ヘキシル、あるいはこれらに対応するアル
ケニル基等の炭化水素基を有するフェノール類が単独、
あるいはこれらの混合物として使用される。好ましく
は、ブチル、アミルまたはヘキシルフェノールないしは
それらの混合物である。これらのアルキルフェノール
は、一般に100℃以下の融点を有しており、反応操作
も簡単である。
【0014】これらフェノール類の具体例としては、n
−ブチルフェノール、sec−ブチフェノール、ter
t−ブチルフェノール、n−またはiso−アミルフェ
ノール類、n−,iso−またはneo−ヘキシルフェ
ノール類などが挙げられる。アルカリ土類金属試薬とし
ては、通常アルカリ土類金属の酸化物、あるいは水酸化
物が用いられる。例えばカルシウム、バリウム、ストロ
ンチウム、マグネシウム等の酸化物あるいは水酸化物が
用いられる。勿論これらの混合物であっても良い。フェ
ノール類に対するアルカリ土類金属試薬の使用量は使用
フェノール類1当量当たり0.99当量以下、好ましく
は0.01〜0.98当量以下である。フェノール類に
対するアルカリ土類金属試薬の量が多すぎると中間体が
ゲル化してそれ以上反応が進まないため、目的とする良
好な生成物が得られない。また、少なすぎると原料に対
する製品の収率が低下するばかりか、フェノール類の回
収に費やすユーティリティーや時間が大となり、経済的
に不利である。
【0015】次に、二価アルコールとしては比較的低沸
点かつ低粘度で反応性に富むものが使用される。二価ア
ルコールは炭素数2〜6を有することが好ましく、特に
エチレングリコール、プロピレングリコール等が好まし
い。二価アルコールの使用量はアルカリ土類金属試薬1
モル当り約0.15〜3.0モル、好ましくは約0.5
〜2.0モルが適当である。二価アルコールはフェノー
ル類とアルカリ土類金属試薬との反応による油溶性物質
への転化を助け、安定化し、一部は製品中に取り込まれ
て多当量化フェネートおよびサリシレートを構成するも
のである。二価アルコールの使用量が少なすぎると反応
原料、特にアルカリ土類金属試薬の製品転化率が低下
し、多すぎるとフェノール類への金属付加反応は円滑に
進行するが、反応生成物から過剰の二価アルコールを蒸
留留去する時間およびユーティリティーが過大にかかっ
てしまう。
【0016】フェノール類へのアルカリ土類金属試薬の
金属付加反応工程において反応を促進するために反応系
中に水を添加してもよい。添加する水は、蒸留水はもち
ろん、缶水や工業用水、金属付加反応で生成する水など
が使用でき、その品質に特に制限はなく、冷水、温水、
水蒸気等どのような状態の水でも使用できる。金属付加
反応促進のために用いる水の反応器への添加は水単独で
行ってもよいし、一部あるいは全部をフェノール類や二
価アルコールなどほかの原料との混合物として添加して
もよい。反応器への水の添加時期は特に制限はなく、水
以外の全反応原料が混合される前でも後でもよいが、全
反応原料混合後約1時間以内に添加するのが好ましい。
【0017】反応系中への金属付加反応促進のために用
いる水の添加量は使用するアルカリ土類金属試薬1モル
当たり約0.01〜10モル、望ましくは0.1〜2.
0モルである。外部から水を反応系中に添加して金属付
加反応を行うと、水を添加しない以外は同一の条件で反
応を行う場合に比べて反応が円滑に進行し、反応原料、
特にアルカリ土類金属試薬の製品転化率が高くなる。し
たがって、反応系中に水を添加する場合、添加する水が
少なすぎるとアルカリ土類金属試薬の製品転化率が低下
してしまい、水を添加した意味が失われてしまう。また
逆に多すぎれば反応後の蒸留工程が簡略化されるという
利点が失われる。
【0018】硫黄の使用量は、極少量から大多量の広い
範囲にわたって使用できる。通常の使用量はアルカリ土
類金属試薬1モル当たり0.1〜4.0モル、好ましく
は0.2〜3.0モルを用いる。硫黄の使用量を低減す
るにつれ製品の粘度は低下するが、使用量が少なすぎる
と製品中の硫化物が減少し、油溶性が低下してしまう。
また多すぎると製品の塩基価が低下し、また製品の粘度
が著しく高くなってしまう。
【0019】本発明において、反応物、反応中間体、あ
るいは製品等の取扱いを容易にするために適当な粘度を
有する希釈剤もしくは溶剤(以下、「希釈剤」とい
う。)を加えることができる。たとえば硫化反応を終え
たのちの反応生成物中から過剰の未反応フェノール類を
蒸留で回収する際、高沸点で、かつ適当な粘度を有する
希釈剤の存在下で行うことによって反応塔底物を液状の
望ましい状態で得ることができる。なお、通常は未反応
フェノール類の留出に伴って希釈剤の一部も留出する。
したがって、回収フェノール類を繰り返し反応に供する
場合には希釈剤としては反応に直接悪影響を与えないも
のが望ましい。また希釈剤の存在下に反応を行ってもよ
い。好ましい希釈剤の例としては、パラフィン系、ナフ
テン系、芳香族系、あるいは混合系の基油などの適当な
粘度の石油留分、例えば沸点約220〜550℃で粘度
が100℃で約0.5〜40cStの潤滑油留分を挙げ
ることができる。その他の有機溶媒でも疎水性、かつ、
親油性を示し、反応時や製品の用途面において無害であ
れば希釈剤として用いることができる。
【0020】本発明におけるヒドロキシアルキル安息香
酸およびアルキルフェノールのアルカリ土類金属塩硫化
混合物の主な製造工程および運転条件は下記のとおりで
ある。
【0021】(イ)金属付加反応 所定量のフェノール類、二価アルコール類、アルカリ土
類金属試薬、および必要により希釈剤および/または前
記所定量の水からなる反応原料混合物を反応温度60〜
200℃、好ましくは約90〜190℃の範囲で反応さ
せる。その際、反応は減圧、常圧、もしくは加圧下、例
えば約0.01〜11atm・Aの圧力下にて反応を行う。
【0022】また各原料の反応釜への仕込み順序は反応
を円滑に進行させるため以下の順序で行うことが最も好
ましい。
【0023】アルカリ土類金属試薬はフェノール類のあ
とで仕込み、最後に二価アルコール及び水を加える。
【0024】上記の金属付加反応工程において生成する
水および添加水は次のカルボキシル化工程前に全量の約
95%以上、好ましくは約99.9%以上、特に好まし
くは全量を、二価アルコールは系内に残存する量が金属
試薬1モル当り通常約0.6モル以下、好ましくは約
0.3モル以下となるように留去する。水および二価ア
ルコールが系内に多量に残存すると次のカルボキシル化
工程で、カルボキシル化率が低下し、ヒドロキシベンゾ
エート生成量が減少する。本反応は通常約1〜9時間の
範囲でほぼ終了する。
【0025】(ロ)カルボキシル化工程 本工程は、前記の金属付加反応生成物をカルボキシル化
しヒドロキシベンゾエート成分を得る工程である。すな
わち、前記の金属付加反応生成物を反応温度約150〜
240℃、好ましくは約160〜230℃、反応圧力
は、約0.05〜100atm・A、 好ましくは約0.1
〜50atm・A の減圧、常圧もしくは加圧条件下で二酸
化炭素と反応させる。本反応は通常約1〜10時間の範
囲内でほぼ終了する。
【0026】(ハ)硫化工程 この硫化工程は前記のカルボキシル化工程での生成物の
性質、特に油溶性、粘度特性、貯蔵安定性などの物性を
改善する工程である。すなわち、前記カルボキシル化工
程生成物と、前記所定量の元素硫黄を、不活性ガスまた
は炭酸ガス雰囲気下、減圧、常圧もしくは加圧下、好ま
しくは約0.5〜20atm・A の圧力下に反応温度約1
40〜230℃、好ましくは約150〜200℃の温度
条件下で反応させる。本反応は、通常約1〜20時間で
ほぼ終了する。
【0027】このようにしてヒドロキシアルキル安息香
酸およびアルキルフェノールのアルカリ土類金属塩硫化
混合物が得られる。
【0028】硫化反応後の反応生成物中の未反応フェノ
ール類は経済上などの面から、これらの1部もしくは大
部分を回収することが好ましく、またこの回収フェノー
ル類を原料として使用することができる。ここで、未反
応フェノール類の蒸留を高沸点の鉱油など、通常の希釈
剤の存在下で行うと、蒸留残留物は液状の好ましい状態
で得ることができる。残存する少量の不溶解性物質は、
フェノール類の回収前、あるいは回収後に濾過または遠
心分離などの操作により除去することができる。
【0029】本発明方法の反応生成物の正確な構造の詳
細は不明であるが、反応生成物を加水分解し、加水分解
物をヘキサンのような溶剤で抽出して得られる油層にサ
リチル酸類とフェノール類の両者が検出されることから
原料フェノール類は、その一部が二酸化炭素との反応に
よりサリシレートに転化したものと考えられる。反応生
成物はサリシレート骨格同士、サリシレート骨格とフェ
ネート骨格、フェネート骨格同士を硫黄で結合した化合
物や未硫化のサリシレートおよびフェネートの混合物で
あると推定される。
【0030】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、これらは単に例示であって本発明を制限す
るものではない。以下の実施例ならびに比較例におい
て、圧力は特記しない限りゲージ圧である。
【0031】実施例1 撹拌器、ガス導入管および温度計を装着した0.5lオ
ートクレーブに純度99%のn−ブチルフェノール33
0.0g(2.2モル)、純度95.8%の酸化カルシ
ウム粉末23.44g(0.4モル)を装入し、撹拌し
た。この懸濁液にエチレングリコール37.72g
(0.61モル)、水0.73g(0.04モル)を窒
素気流中1.5atm の加圧下、120℃で添加し、これ
を135℃、3.0atm で3時間反応させた。その後、
該反応系を徐々に減圧しながら、生成水および添加水
(7.53g)、添加した大部分のエチレングリコール
と一部のn−ブチルフェノールの混合物(163.81
g)を留去して、カラシ色の液状の蒸留残留物216.
8gが得られた。その際の塔底物の温度は140℃、流
出物温度は130℃(20mmHg)であった。
【0032】次に該蒸留残留物216.8gに150
℃、常圧の状態から二酸化炭素を吹き込み0.5時間後
に4.0atm まで昇圧した。その後昇温して178℃と
なってから、二酸化炭素を再び吹き込み5.0atm まで
昇圧し、その状態で4時間保持して反応生成物235.
6gを得た。
【0033】次に、このカルボキシル化反応生成物23
5.6gに硫黄14.08g(0.44モル)を、窒素
気流中、常圧下に110℃で添加し、次いで178℃に
昇温し、圧力を二酸化炭素にて5.0atmに上げ、その
状態で4時間攪拌し、極暗い黒茶色の液状の最終製品2
41.1gを得た。この最終製品の一般的性状を表1に
示す。この最終製品の酸価は、56.1mgKOH/gであっ
た。
【0034】実施例2 実施例1と同様の反応容器に純度98%のtert−ブ
チルフェノール210.0g(1.4モル)、純度9
5.8%の酸化カルシウム粉末23.43g(0.4モ
ル)、150ニュートラル油(100℃の粘度が5.2
7cSt のパラフィン系潤滑油)117.1gを装入し、
撹拌した。この懸濁液にエチレングリコール37.23
g(0.6モル)、水0.72g(0.04モル)を窒
素気流中1.5atm の加圧下、120℃で添加し、これ
を135℃、3.0atm で3時間反応させた。その後、
該反応系を徐々に減圧しながら、生成水および添加水
(4.88g)、添加した大部分のエチレングリコール
と一部のtert−ブチルフェノールの混合物(87.
72g)を留去して、カラシ色の液状の蒸留残留物28
2.6gが得られた。その際の塔底物の温度は190
℃、流出物温度は153℃(30mmHg)であった。
【0035】次に該蒸留残留物282.6gに150
℃、常圧の状態から二酸化炭素を吹き込み0.5時間後
に4.0atm まで昇圧した。その後昇温して178℃と
なってから、二酸化炭素を再び吹き込み5.0atm まで
昇圧し、その状態で4時間保持して反応生成物293.
0gを得た。
【0036】次に、このカルボキシル化反応生成物29
3.0gに硫黄14.08g(0.44モル)を、窒素
気流中、常圧下に130℃で添加し、次いで178℃に
昇温し、圧力を二酸化炭素にて5.0atmに上げ、その
状態で4時間攪拌し、黄茶色の液状生成物304.7g
を得た。この後、液状生成物中に含まれる極少量の不溶
解物を濾過により除去し、極暗い黄茶色液状の最終製品
247.45gを得た。この最終製品の一般的性状を表
1に示す。この最終製品の酸価は12.0mgKOH/gであ
った。
【0037】実施例3 実施例1と同様の反応容器に純度98%のsec−ブチ
ルフェノール210.12g(1.4モル)、純度9
5.8%の酸化カルシウム粉末23.43g(0.4モ
ル)、150ニュートラル油(100℃の粘度が5.2
7cSt のパラフィン系潤滑油)117.13gを装入
し、撹拌した。この懸濁液にエチレングリコール38.
84g(0.63モル)、水0.75g(0.04モ
ル)を窒素気流中1.5atm の加圧下、125℃で添加
し、これを135℃、3.0atm で3時間反応させた。
【0038】その後、該反応系を徐々に減圧しながら、
生成水および添加水(7.23g)、添加した大部分の
エチレングリコールと一部のsec−ブチルフェノール
の混合物(106.56g)を留去して、カラシ色の液
状の蒸留残留物268.4gが得られた。その際の塔底
物の温度は163℃、流出物温度は142℃(41mmH
g)であった。
【0039】次に該蒸留残留物268.4gに110
℃、常圧の状態から二酸化炭素を吹き込み0.5時間後
に4.4atm まで昇圧した。その後昇温して178℃と
なってから、二酸化炭素を再び吹き込み5.0atm まで
昇圧し、その状態で4時間保持して反応生成物271.
8gを得た。
【0040】次に、このカルボキシル化反応生成物27
1.8gに硫黄14.09g(0.44モル)を、窒素
気流中、常圧下に81℃で添加し、次いで178℃に昇
温し、圧力を二酸化炭素にて5.0atmに上げ、その状
態で4時間攪拌し、極暗い黒茶色の液状生成物288.
5gを得た。
【0041】この後、液状生成物中に含まれる極少量の
不溶解物を濾過により除去し、極暗い黒茶色の液状最終
製品268.79gを得た。この最終製品の一般的性状
を表1に示す。この最終製品の酸価は、15.8mgKOH
/gであった。
【0042】比較例1 撹拌器、ガス導入管および温度計を装着した1lオート
クレーブに純度95%のドデシルフェノール(工業用・
分枝鎖ドデシルフェノール)を676.52g(2.4
5モル)、純度97.2%の酸化カルシウム粉末40.
3g(0.7モル)、150ニュートラル油83.6g
を装入し、撹拌した。この懸濁液にエチレングリコール
56.80g(0.95モル)、水1.26g(0.0
7モル)を窒素気流中2.3atm の加圧下、135℃で
添加し、これを135℃、3.0atm で3時間反応させ
た。その後、該反応系を徐々に減圧しながら、生成水お
よび添加水、添加した大部分のエチレングリコールおよ
び一部のドデシルフェノールを留去して、カラシ色の液
状の蒸留残留物613.9gが得られた。
【0043】次に該蒸留残留物613.9gに150
℃、50mmHgの状態から二酸化炭素を吹き込み0.5時
間後に4.0atm まで昇圧した。その後昇温して178
℃となってから、二酸化炭素を再び吹き込み5.0atm
まで昇圧し、その状態で4時間保持して暗い灰黄赤色の
液状反応生成物643.0gを得た。
【0044】次に、このカルボキシル化反応生成物に硫
黄20.81g(0.65モル)を、窒素気流中、常圧
下に110℃で添加し、次いで178℃に昇温し、圧力
を二酸化炭素にて5.0atmに上げ、その状態で4時間
攪拌し、極暗い黄赤色の液状生成物658.5gを得
た。これに150ニュートラル油118.81gを添加
し、数分間攪拌した後、1l三口梨型フラスコに60
1.30g移し、大部分のノニルフェノールおよび少量
の潤滑油留分を留去して、蒸留残査物316.02gを
得た。そして、この蒸留残査物中に含まれる極少量の不
溶解分を濾過により除去し、極暗い黄赤色の透明粘稠な
液状の最終製品314.13gを得た。この製品の一般
的性状を表1に示す。この製品の酸価は、37.0mgKO
H/gであった。
【0045】比較例2 原料アルキルフェノールにノニルフェノール(工業用・
分枝鎖ノニルフェノール)を使用した以外は張り込み原
料配合比、反応条件等、比較例1と同様にして液状の最
終製品296.01gを得た。この製品の一般的性状を
表1に示す。この製品の酸価は、26.1mgKOH/gであ
った。
【0046】
【表1】
【0047】〈極圧性能評価方法〉極圧性能とは、耐荷
重性能および耐摩耗性能を言う。そこで、耐荷重性能お
よび耐摩耗性能を評価するこのできるFALEX試験
(ASTM D3233、D2670)により極圧性能
評価を行った。
【0048】1)耐荷重性試験:ASTM D323
3、D2670に記載の方法による。試験条件として回
転数290±10rpm、油温は常温とし、初期荷重2
50lbs から50lbs /min で荷重をかけてゆき、焼き
付く手前の荷重を耐焼き付き荷重とした。
【0049】2)耐摩耗性試験:ASTM D323
3.D2670に記載の方法による。試験条件として回
転数290±10rpm、油温は常温とし、初期荷重2
50lbs で1分間慣らし運転をしたあと、所定の荷重
(300lbs 、500lbs )において30分間維持す
る。この試験前後の回転ピンの重量差を摩耗量とした。
【0050】〈試料〉実施例1〜3、比較例1、2の5
サンプルに加え、比較サンプルとして原料アルキルフェ
ノール(n−ブチル、sec −ブチル、tert−ブチルの計
3試料)、従来の極圧添加剤としてアルキル基が二級で
あるsec-Zn−DTP、リン系極圧添加剤、イオウ系極
圧添加剤を用いた。
【0051】上記の試料を500ニュートラル油(10
0℃における粘度が11.94cStのパラフィン系潤滑
油)にて希釈し、極圧性能評価用試料油とした。
【0052】試料油調合割合を表2および表3に示す。
試料油は、基本的に含まれる金属(Ca, Zn )やリンあ
るいは硫黄の量が等しくなるように調合している(S系
極圧剤のS量は、比較例2のと一致させてある)。各
サンプルにおいて添加剤の添加率が異なるのはその為で
ある。また、実施例、比較例にて得られたサンプルは、
添加率を2パターン(Ca=0.12%, Ca=0.46% )として、
添加率増加に伴う極圧性能の向上の有無をみている。
【0053】また、参考として500ニュートラル油の
みでの極圧性能も評価した。上記のFALEX試験によ
って各調合油の耐荷重性能および耐摩耗性能を評価し
た。極圧性能評価結果を表4に示す。
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】表4に示す極圧性能評価結果によって、本
発明品である実施例1〜3によって得られたサンプル
は、ベースオイルの極圧性能を飛躍的に高めていること
が判る。のみならず、従来の極圧添加剤と比較しても全
く遜色ないか、むしろそれを上回る程の評価結果を得て
いる。
【0058】ちなみに、比較例1、2によって得られた
サンプルもベースオイルの極圧性能を高めているが、本
発明品と比べ大きく劣り、有効な極圧添加剤とは言えな
い。
【0059】
【発明の効果】本発明によって供給されたヒドロキシア
ルキル安息香酸およびアルキルフェノールのアルカリ土
類金属塩硫化混合物は従来の極圧添加剤と同等以上の極
圧性能を有することが判明した。すなわち、原料フェノ
ール類として炭素数4〜8の脂肪族炭化水素基を側鎖に
持つものを用いることによって、従来のヒドロキシアル
キル安息香酸およびアルキルフェノールのアルカリ土類
金属塩硫化混合物のように単に清浄分散性能を満足させ
るだけでなく、良好な極圧性能をも兼ね備えた組成物を
得ることができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 125:10 125:00 129:08) C10N 10:04 30:04 30:06 40:25 60:10 70:00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素数4〜6の脂肪族炭化水素側鎖を有
    するヒドロキシ安息香酸および該側鎖を有するフェノー
    ルのアルカリ土類金属塩硫化混合物を有効成分としてな
    るヒドロキシアルキル安息香酸およびアルキルフェノー
    ルのアルカリ土類金属塩硫化混合物系極圧清浄剤。
  2. 【請求項2】 炭素数4〜6の脂肪族炭化水素側鎖を有
    するフェノール類、二価アルコール、および前記フェノ
    ール類に対するグラム当量比が0.99以下のアルカリ
    土類金属の酸化物もしくは水酸化物またはそれらの混合
    物(以下、「アルカリ土類金属試薬」という)よりなる
    反応原料混合物を反応させ、次いで水及びアルカリ土類
    金属試薬1モル当り0.6モル以下になるまで二価アル
    コールを留去して得られた蒸留塔底物に二酸化炭素を反
    応させ、得られた生成物にアルカリ土類金属試薬1モル
    当り0.1〜4.0モルの元素硫黄を反応させることに
    より得られる請求項1に記載の極圧清浄剤。
  3. 【請求項3】 炭素数4〜6の脂肪族炭化水素側鎖を有
    するフェノール類、二価アルコール、および前記フェノ
    ール類に対するグラム当量比が0.99以下のアルカリ
    土類金属の酸化物もしくは水酸化物またはそれらの混合
    物(以下、「アルカリ土類金属試薬」という)よりなる
    反応原料混合物を反応させ、次いで水及びアルカリ土類
    金属試薬1モル当り0.6モル以下になるまで二価アル
    コールを留去して得られた蒸留塔底物に二酸化炭素を反
    応させ、得られた生成物にアルカリ土類金属試薬1モル
    当り0.1〜4.0モルの元素硫黄を反応させることを
    特徴とするヒドロキシアルキル安息香酸およびアルキル
    フェノールのアルカリ土類金属塩硫化混合物系極圧清浄
    剤の製造法。
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