JP2696759B2 - 補充制御方法 - Google Patents

補充制御方法

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JP2696759B2 JP2314290A JP31429090A JP2696759B2 JP 2696759 B2 JP2696759 B2 JP 2696759B2 JP 2314290 A JP2314290 A JP 2314290A JP 31429090 A JP31429090 A JP 31429090A JP 2696759 B2 JP2696759 B2 JP 2696759B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は、ハロゲン化銀感光材料の処理に用いる水洗
水または安定液の補充制御方法に関する。
〈従来の技術〉 ハロゲン化銀感光材料(以下、感光材料という)は、
露光後、現像、脱銀、水洗、安定化等の工程により処理
される。現像には現像液、脱銀処理には漂白液、漂白定
着液、定着液、水洗には水道水またはイオン交換水、安
定化処理には安定液がそれぞれ使用される。各処理液は
通常30〜40℃に温度調節され、感光材料はこれらの処理
液中に浸漬され処理される。
このような処理は、通常、自動現像機や銀塩写真式の
複写機等の処理装置を適用して施され、感光材料がこれ
らの装置内の処理槽間を順次搬送することによって処理
される。
このような処理に際して、近年、環境保全、資源節減
が要望されてきており、特に水洗水の節減が課題となっ
ている。
水洗水を節減するには、水洗効率を上げることが挙げ
られ、実際、所定量の水洗水を収納した水洗槽を複数用
いて処理すれば水洗効率が上がることが知られている。
このようなことから少量の水で水洗効率を上げる方法
として、いわゆる多段向流方式が採用されている。
このような多段向流方式において、水洗水を補充する
場合は、最後段の水洗槽から水洗水を補充し、隣接する
水洗槽間において後段の水洗槽からオーバーフローした
液を前段の水洗槽に順次流入させるようになっている。
一般に、このときの補充量は、感光材料の処理量に応
じて決定され、処理開始時に補充されるいう方法が採用
されている。
しかし、このような補充方法では、必ずしも適正な量
の水洗水が補充されているとはいえず、補充量が過剰で
あれば水洗水が無駄となり、補充量が過少であれば得ら
れる画像の写真性能が不十分となるという問題が生じ
る。
このようなことから、水洗処理中の水洗水の汚染度
(劣化度)をチェックし、補充量を決定するという方法
が採用されている。
例えば、特開昭61-259250号公報には、水洗水中の鉄
濃度を原紙吸光法や鉄検出紙で調べて水の汚染度をチ
ェックし、補充量を決定する方法が開示されている。
また、特に大規模な現像所などにおいて、水洗槽から
オーバーフローした液の電導度を測定して水の汚染度を
チェックし、補充量を決定する方法が用いられている。
ところで、上記多段向流方式では、複数の水洗槽を並
設するため、装置が大型化して広い設置スペースが必要
となり、また、水洗水の使用量および補充量の低減化に
おいても満足する結果が得られていない。
このようなことから、本出願人は、先に、「ブロック
状の部材により形成され、狭幅の通路で順次連結された
複数の洗浄室と、 前記各洗浄室内を順次通過するよう感光材料を搬送す
る搬送手段とを有することを特徴とする感光材料処理装
置」 を提案している(特願平01-27034号)。
実際、この発明では、複数の処理槽を並設する多段向
流方式と比べて設置スペースが小さくなり、装置を小型
にすることができ、水洗効率が向上することから、水洗
水(洗浄水)の使用量を少なくすることができるという
効果を得ている。
この理由は、各処理室が狭幅の通路で連結されている
ので、各処理室間にて水洗水(洗浄水)の供給方向に従
い水洗水の汚れの度合が変化し、水洗水の供給方向と逆
方向に感光材料を搬送することにより、感光材料は順次
きれいな水洗水にて処理され、水洗効率が向上するから
である。
しかし、このような構成の水洗槽においても、従来の
水洗槽と同様に、感光材料の処理量に応じて処理開始時
に、最後段の処理室から一定量の水洗水を補充すること
が行なわれている。このため、水洗水が無駄となった
り、あるいは水洗が十分でなく、保存後の画像にステイ
ンが生じるなどの写真性能上の問題が生じる。
特に、感光材料の処理量が比較的少なく、待期時間が
かなり長い場合などには、各処理室間で水洗水が混合し
て汚れが均一化したり、下部に位置する処理室に沈殿物
が集積したりする。
このような状態で処理を再開すると、水洗が不十分と
なり、特に写真性能上の問題がさらに悪化してしまう。
〈発明が解決しようとする課題〉 本発明の目的は、水洗水または安定液の使用量を低減
でき、かつ装置の小型化を図ることができ、また、保存
後の画像にステインが発生するのを防止することができ
るなど、良好な写真性能の画像を得ることができる水洗
水または安定液の補充制御方法を提供することにある。
〈課題を解決するための手段〉 このような目的は下記(1)〜(5)の本発明により
達成される。
(1) 区画された複数の処理室を連結してなる処理空
間を有する処理槽の前記処理空間に水洗水または安定液
を満たし、前記処理空間に水洗水または安定液を供給す
るとともに、ハロゲン化銀感光材料を搬送し、前記処理
室に順次通過させて処理するに際し、 前記水洗水または安定液の供給方向を、前記ハロゲン
化銀感光材料の搬送方向と逆方向とし、 前記水洗水または安定液は、前記ハロゲン化銀感光材
料が最後に通過する処理室に供給され、前記ハロゲン化
銀感光材料の未処理時には、前記ハロゲン化銀感光材料
が最初に通過する処理室内の液面レベルを低下させるよ
う排液し、 前記処理空間内の水洗水または安定液の密度または導
電性を測定し、この測定値に基き、前記水洗水または安
定液の供給を制御することを特徴とする補充制御方法。
(2) 区画された複数の処理室を連結してなる処理空
間を有する処理槽の前記処理空間に水洗水または安定液
を満たし、前記処理空間に水洗水または安定液を供給す
るとともに、ハロゲン化銀感光材料を搬送し、前記処理
室に順次通過させて処理するに際し、 前記水洗水または安定液の供給方向を、前記ハロゲン
化銀感光材料の搬送方向と逆方向とし、 前記ハロゲン化銀感光材料が最初に通過する処理室お
よび最後に通過する処理室以外の処理室内の水洗水また
は安定液の密度または導電性を測定し、この測定値に基
き、前記水洗水または安定液の供給を制御することを特
徴とする補充制御方法。
(3) 区画された複数の処理室を連結してなる処理空
間を有する処理槽の前記処理空間に水洗水または安定液
を満たし、前記処理空間に水洗水または安定液を供給す
るとともに、ハロゲン化銀感光材料を搬送し、前記処理
室に順次通過させて処理するに際し、 前記水洗水または安定液の供給方向を、前記ハロゲン
化銀感光材料の搬送方向と逆方向とし、 異る2以上の処理室で水洗水または安定液の密度また
は導電性を測定し、各箇所での測定値を比較して処理室
間の液流通量を推定し、この液流通量に応じて前記水洗
水または安定液の供給量を制御することを特徴とする補
充制御方法。
(4) 前記処理槽は、前記ハロゲン化銀感光材料の搬
送方向に隣接する処理室間の液流通を抑制する遮蔽手段
を有する上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の補
充制御方法。
(5) 前記ハロゲン化銀感光材料の搬送速度を考慮し
て前記水洗水または安定液の供給量を制御する上記
(1)ないし(4)のいずれかに記載の補充制御方法。
〈作用〉 本発明では、例えば複数の処理室が狭幅の通路で順次
連結された構造の処理空間を有する処理槽を用いて水洗
処理を行なっているので、各処理室間にて、水洗水の供
給方向に従い、水洗水の汚れの度合が変化し、水洗水の
供給方法と逆方向に感光材料を搬送させることにより、
感光材料を順次きれいな水洗水で処理することが可能と
なり、水洗効率が向上する。
これにより、水洗水の補充量を低減することができ
る。
このとき、処理空間内、例えば処理室内の水洗水の密
度または導電性を測定して、この測定に基づいてその補
充を制御しているので、適正な水洗水の補充を行なうこ
とができる。
この結果、水洗水の無駄な使用を避けることができ、
さらに水洗水の補充量を低減することができる。また、
水洗処理が十分でないことに起因して保存後の画像にス
テインが発生するなどの写真性能上の問題も生じない。
特に、感光材料の処理量が少ない場合には、未処理時
間(待期時間)がかなり長くなるため、処理空間での液
の流通、場合(拡散)が生じ、感光材料が最初に通過す
る処理室および最後に通過する処理室以外の処理室(以
下、中間の処理室という)内に汚れた水洗水が集まりや
すくなるが、この状態で処理を再開すると、各処理室で
の水洗水の濃度勾配が適正ではないため、写真性能に問
題が起きやすくなる。
従って、中間の処理室内における水洗水の密度または
導電性を測定し、これに基づいて補充を制御すれば、汚
れた水洗水が集まりやすい場所の水洗水を適正なものと
して処理を行なうことができ、上記の問題を回避するこ
とができる。
そして、このような場合、好ましくは、一定の液面レ
ベルを保持するための排液口を、感光材料が最初に通過
する処理室ないし該処理室付近に2ケ所設置する。この
とき、一方の排液口は、上記処理室に水洗水が満たされ
た状態となるような位置に、他方の排液口は、上記処理
室が空となるような位置に設置され、これらは、例えば
電磁弁によって開閉可能とされるのが好ましい。
従って、未処理時に上記処理室(さらには、最後段の
処理室)を空の状態にすることができ、再び処理を行な
とき、各処理室内の水洗水が新鮮なものと入れ替わりや
すくなり、処理の立ち上がりが良好となる。
また、処理槽が、隣接処理槽間の液流通を抑制する遮
蔽手段を有する場合には、各処理室における水洗水の濃
度勾配(液組成勾配)は、より良好に維持されることと
なる。
時に、遮蔽手段がブレードである場合には、その効果
は顕著となる。
すなわち、感光材料の通過時には、ブレードが感材両
面に接触し、感光材料に付着した液を拭い取る効果(ス
クイズ効果)を生じ、感光材料による前の処理室から後
の処理室への液の持ち込み量が少なくなる。
また、感光材料の通過時には、感光材料幅方向両側端
縁に生じるブレード間のすき間を通して液流通が生じる
が、このすき間は微小であるため、ブレードによる液流
通の抑制効果(遮断性)は十分である。
そして、感光材料の非通過時には、対向するブレード
同士が密着するので、通路の液流通はほとんどない。
また、異なる2以上の箇所で水洗水または安定液の密
度または導電性を測定し、各箇所での測定値を比較して
処理室間の液流通量を推定し、この液流通量に応じて水
洗水または安定液の供給量を制御する場合には、より精
度の高い測定および補充制御が可能となる。このような
制御方法は、上記ブレドのような遮蔽手段を有する場合
には特に有効である。
また、感光材料の搬送速度を考慮した補充量を求める
場合には、より適正な補充量が得られる。このような制
御方法は、感光材料の搬送速度が可変である処理装置に
適用する場合に有効である。
なお、以上のような補充制御は、安定液においても同
様に適用することができ、同様の効果が得られる。
〈発明の構成〉 以下、本発明の具体的構成について説明する。
第1図および第2図には、本発明の補充制御方法を実
施するのに用いられる処理装置の一構成例が示されてい
る。この処理装置は、感光材料を水洗処理するものであ
る。
第1図は、処理装置の断面側面図、第2図は、第1図
中のII-II線での断面図である。
これらの図に示されるように、処理装置1は、所定の
容積を有する縦長の処理槽2を有する。この処理槽2内
には、ラック3の側板31、32間に設置されたブロック状
の部材(以下、ブロック体という)4および5がラック
3ごと挿入されている。
これらのブロック体4、5は、例えば、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキサイド(PP
O)、ABS樹脂、フェノール樹脂、ポリエステエル樹脂、
ポリウレタン樹脂等のプラスチック、アルミナ等のセラ
ミックスまたはステンレス、チタニウム等の各種金属等
の硬質材料で構成されている。特に、成形性に優れ、軽
量で、十分な強度を有するという点から、ポリプロピレ
ン、PPO、ABS樹脂等のプラスチックスで構成されている
のが好ましい。
また、図示の例ではブロック体4,5は中実部材となっ
ているが、中空部材(例えばブロー成形により製造され
る)として構成してもよい。
ブロック体4は、ブロック体5の内側に挿入するよう
になっており、この挿入状態で、感光材料Sを処理する
ための空間である5つの処理室6A、6B、6C、6Dおよび6E
が形成される。また、隣接する処理室6Aと6B、6Bと6C、
6Cと6Dおよび6Dと6Eとの間には、それぞれ、両処理室を
連結する狭幅の通路71、72、73および74が形成される。
このような処理室6A〜6Eおよび通路71〜74により感光
材料Sを処理する処理空間が形成され、この処理空間
に、水洗水Wが満たされる。
また、処理室6Aおよび6Eの上部には、それぞれ、感光
材料Sを搬入および搬出するための同様の通路75および
76が形成される。
これらの通路71〜76の幅は、感光材料Sの厚さの5〜
40倍程度、すなわち0.5〜5mm程度とするのが好ましい。
このような幅とすることによって、感光材料Sは支障
なく搬送される。
また、各処理室間の通路71〜74の長さは、図示の構成
例では10〜200mm、好ましくは20〜60mmとするのがよ
く、一般的には処理室の形状、大きさ等に関係するの
が、30〜50mm程度とするのがよい。
このような狭幅の通路を設ける構成とすることによ
り、感光材料Sの未処理時には、隣接する処理室間での
水洗水の流通がほとんどなく、また処理時にては、わず
かな流通しかないものとすることができる。
ここで、「流通がほとんどない」とは、処理室間での
水洗水の移動量が実質的に無視できるほど小さいことを
意味し、例えば水洗水の移動量が2ml/分以下であるよう
な場合をいう。
また、「わすかな流通しかない」とは、処理室間の水
洗水の移動量が補充液の供給量と同量程度またはそれよ
りも少ないことを意味し、例えば水洗水の移動量が1〜
20ml/分であるようにすることが好ましい。
また、通路71〜74の内壁面には、撥水化処理または波
板状の表面処理を施しておくのが好ましい。これによ
り、感光材料Sの通過性の向上を図ることができる。
処理室6A、6B、6Dおよび6Eの中央部付近には、それぞ
れ1対の搬送ローラ8が設置され、処理室6Cには、3対
の搬送ローラ8が設置されている。また、通路75の感光
材料入口付近および通路76の感光材料出口付近にも、そ
れぞれ1対の搬送ローラ8が設置されている。
これらの各搬送ローラ8は、ブロック体4または5に
軸支されており、ローラ対のいずれか一方または双方が
駆動回転し、ローラ間に感光材料Sを挟持して感光材料
Sを搬送するようになっている。
搬送ローラ8の駆動機構は、第2図に示すように、図
中垂直方向に軸支された主軸82の所定箇所に固定された
ベベルギア83と、各搬送ローラ8の回転軸81の一端部に
固定されたベベルギア84とが噛合し、モータ等の駆動源
(図示せず)の作動で主軸82を所定方向に回転すること
により、各搬送ローラ8が回転するようになっている。
この場合、最上部にある搬送ローラ8の回転軸81aは
主軸82とずれた位置にあるので、主軸82に固定されたギ
ア85を含む歯車列を介して主軸82と平行に支持された従
動軸86を設け、この従動軸86に固定されたベベルギア83
と、回転軸81aの一端部に固定されたベベルギア84とを
噛合させて回転軸81aを回転させる。さらに、回転軸81a
には、ベベルギア84の内側にギア87が固定され、このギ
ア87と他方の搬送ローラの回転軸81bの一端部に固定さ
れたギア88とを噛合させることにより両搬送ローラ8が
同時に駆動回転する。
各処置室内の搬送ローラ8では、一方のローラを駆動
回転させ、両ローラの周囲同士が接触することによって
他方のローラを従動回転させる構成となっている。な
お、両ローラをギアで連結し、双方のローラを駆動回転
する構成としてもよい。
このような各搬送ローラ8の構成材料は、耐久性、水
洗水Wに対して悪影響を及ぼさないものであるのが好ま
しく、例えば、ネオプレン、EPTゴム等の各種ゴム、サ
ンプレーン、サーモラン、ハイトレル等のエラストマ
ー、硬質塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、
ABS樹脂、PPO、ナイロン、POM、フェノール樹脂、シリ
コーン樹脂、テフロン等の各種樹脂、アルミナ等のセラ
ミックス、ステンレス、チタン、ハステロイ等の耐食性
を有する金属類、またはこれらを組み合わせたものを挙
げることができる。
処理室6A、6B、6Dおよび6Eの搬送ローラ8の上下近傍
には、感光材料Sを案内するための対をなすガイド9が
設置されている。また、処理室6Cの搬送ローラ8間に
は、円弧状に湾曲し、この湾曲部に沿って感光材料Sの
方向を転換する反転ガイド10が設置されている。
これらのガイド9および10は、例えば成型プラスチッ
クや金属の板で構成され、ガイドを貫通する開口90がほ
ぼ均一に形成されている。この開口90の存在により水洗
水Wの流通が可能となり、循環が促進されるため、水洗
処理効率が高まる。
このようなガイド9、10、前記搬送ローラ8およびそ
の駆動系により感光材料Sを所定の経路で搬送する搬送
手段が構成されている。
処理室6Eおよび6Aの上部液面付近には、それぞれ給液
口11および排液口12が設置されている。給液口11は、水
洗水Wを供給するためのものであり、排液口12は、劣化
した水洗水のオーバーフロー液OF1を排出し、液面レベ
ルL1を保持するためのものである。
また、処理室6Aの下部には排液口13が設置されてい
る。排液口13は、処理を休止するに際して、オーバーフ
ロー液OF2を排出して処理室6A内の水を抜きとるための
ものであり、これにより処理の休止中にて液面レベルL2
が保持される。
なお、処理中などには、液面レベルをL1に保持するた
めに適宜の手段により排液口13またはこれに続く管路を
遮閉しておく。この場合、排液口13の開閉には、例え
ば、電磁弁、機械弁、圧力弁等の手段によって行なえば
よい。
また、中間の処理室6C内には、この処理室6C内の水洗
水Wの密度を測定するための密度計15が設置されてい
る。
この密度計15としては、例えば特開平1-158433号公報
に開示されたものを用いることが好ましい。
このものは、構成が簡単で、耐久性に富み、精度がよ
く、かつコンパクトである上で好ましい。
なお、密度には、体積あたりの重量に関連づけられる
数値はすべて包含される。
また、処理装置1には、ポンプ21を介して、処理室6E
に水洗水Wを補充するための水補充タンク25が設置され
ている。
一方、密度計15は、制御手段50に接続されており、制
御手段50は、入力された密度の測定値に基づき、ポンプ
21の作動を制御するような構成とされている。
以下、このような処理装置1による、本発明の補充制
御方法の一例を説明する。
まず、処理室6C内の水洗水Wについて、十分な水洗処
理効果を得るための密度(D)の最大限度値を予め求め
ておき、この値を基準値D0として設定し、制御手段50に
記載させておく。
すなわち、密度(D)が基準値(D0)より大であれ
ば、水洗水Wは水洗不良を起こす状態にあり、密度
(D)が基準値(D0)以下であれば十分な水洗を行なえ
る状態にあると判断するものである。
水洗水Wが各処理室6A〜6Eおよび通路71〜74に満たさ
れた状態で、感光材料Sの処理が開始される。
この処理に際しては、給液口11から水洗水Wが補充さ
れるが、処理中の補充に先立って、以下のような水補充
が行なわれる。
まず、設置した密度計15により処理室6C内の水洗水W
の密度(D)が測定され、図示しないA/D変換器等を介
して制御手段50に入力される。
この制御手段50では、測定値(D)と予め記憶された
基準値(D0)との比較がなされ、DがD0以下である(D
≦D0)か、大きい(D>D0かが判断される。
このとき、D≦D0と判断されると、補充は行なわれな
い。
一方、D0<Dであると判断されるときには、ポンプ21
を作動させることにより補充が開始される。この補充
は、一定量の水洗水Wを処理室6Eに投入する操作により
なされ、この操作が繰り返され、D0≦Dの条件が満足さ
れるとこの操作を停止し、予備補充は完了する。
このような密度(D)の測定および補充制御は、処理
中においても続行することが好ましい。また、密度
(D)の測定は、常時行なっても、所定間隔を置いて間
欠的に行なってもよい。
また、このときの基準値(D0)は、一般に、密度値を
一般的な比重値に換算したとき、比重1.0001〜1.02であ
り、処理室6Cでは比重1.0003〜1.003とするのがよい。
このように、処理空間の中間部に位置する、例えば処
理室6C内の水洗水Wの密度をモニタして補充を行なうこ
とにより、適正な水洗水管理を行なうことができる。
感光材料Sを水洗処理するに際し、処理室6Eに水洗水
Wが供給されると、ほぼ同量の水洗水Wが通路74を通っ
て処理室6Dに流入し、同様にして通路73、72および71に
より処理室6C、6Bおよび6Aの順に流れ、排液口12により
オーバーフロー液OF1として排出される。
一方、各搬送ローラの回転により、第1図中の矢印で
示すように、感光材料Sは通路75より処理室6Aに搬入さ
れ、その後、通路71、処理室6B、通路72、処理室6C、通
路73、処理室6D、通路74および処理室6Eの順に通過し、
さらに通路76を経て処理槽2外へ搬出される。
このように、処理空間における水洗水Wの流れは、感
光材料Sの搬送方向と逆方向(カウンターフロー)とな
っている。
一般に、感光材料Sの乳剤層中に含まれる薬剤の洗い
出し効果は、水洗水に浸漬されている間の前半から後半
にかけて徐々に減少する傾向にあるため、前記カウンタ
ーフローとすることとも相まって、各処理室6A〜6E内の
水洗水Wに含有される薬剤等の濃度は、処理室6Aで最も
高く、処理室6B、6C、6D、6Eにいくに従って徐々に低く
なっている。
このように、各処理室6A〜6Eにおいて、水洗水Wに濃
度勾配が形成されることにより、小量の補充量で高い水
洗効率を得ることができる。
そして、感光材料Sの処理中に、上述したような補充
制御を行なうことにより、小量の補充量で、上記各処理
室6A〜6Eにおける水洗水Wの濃度勾配(以下、単に濃度
勾配という)を適正に維持することができる。
なお、感光材料Sの処理中における液面レベルは、排
液口12からのオーバーフローによりL1に保持されている
が、この排液は、ポンプ等により強制的に行なってもよ
い。
また、本発明において、感光材料Sの処理が20分以上
なされず、特に未処理時間が1時間以上継続するときに
は、電磁弁の開放等により排液口13から水洗水を排出
し、処理室6A内の空にすることが好ましい。
前述したように、処理室6Aには、処理直後にて汚れの
度合が最も大きい水洗水Wが存在するので、これを抜き
とっておくことは、処理を再開したときの水洗性向上に
とって好ましい。
このとき、処理室6Eも同時に空になり、液面レベルは
L2に保持されることになる。
なお、液面レベルL2は図示の位置に限られず、例え
ば、処理室6A、6Eに水洗水Wの一部が残るような位置、
あるいは処理室6B、6Dに水洗水Wの一部が残るような位
置としてもよい。
また、後述するブレード付の処理槽の場合には、ブレ
ードの密閉性により、排液口13より排液した後も、処理
室6E内では、液面レベルがL2またはL2より若干低い位置
に維持される。
処理を再開するに際しては、感光材料Sの処理信号等
に応じて、例えば電磁弁の閉鎖を行ない排液口13を閉止
するとともに、給液口11から水洗水Wを供給し、排液口
12からのオーバーフローにより液面レベルL1を保持す
る。
そして、処理室6C内の水洗水Wの密度(D)を測定
し、この測定値に基づき、前記と同様にして水洗水Wの
補充制御を行ない、D≦D0の条件が満足される。
このような状態で、感光材料Sの処理が開始されるの
で、処理の立ち上がりがよく、水洗効率が向上する。
処理の休止時間が比較的長い場合には、処理室6Aの最
も汚れた水洗水Wを抜きとった状態としても、密度の高
い、すなわち汚れた水洗水Wは、時間の経過とともに下
方の処理室6Cに集まりやすくなる。このため、処理室6C
内の水洗水Wの密度(D)を測定し、これに基づき補充
することは良好な水洗効率を得る上で好ましい。
なお、上記電磁弁の開閉や補充開始時間の設定等は、
制御手段50によって行なえばよい。
処理室6A内を空にするときは、他の箇所、例えば処理
室6Cに排液口を設けて水洗水Wを抜きとってもよい。処
理を休止して幾分時間が経過した場合は、処理室6C内に
汚れた水洗水Wが集まりやすくなるので、このようにす
ることは好ましい。
また、密度計15は、処理室6Cのみならず、他の処理
室、特に処理室6Bまたは6Dに設置してもよい。
なお、感光材料Sが最初あるいは最後に通過する処理
室6A、6E内において水洗水の密度をモニタしてもよい
が、このときには、中間の処理室をモニタするときに比
べ精度の低下が生じ易い。
処理室6Bまたは6Dにおいて測定を行なう場合の密度の
基準値(D0)は、処理室6Bでは比重1.001〜1.01、処理
室6Dでは比重1.0001〜1.001とすればよい。
本発明においては、密度に基づく代わりに導電性をモ
ニタして補充を制御してもよい。
この場合は、連続処理路の中間部に位置する処理室6
B、6Cまたは6Dに、例えば電導度計を設置して電導度を
測定すればよい。
使用される電導度計は特に限定されず、例えば、堀場
製作所社製のコンパクト電導度計C−172のような市販
のものを用いればよい。なお、本発明において、導電性
とは、上記の電導度の他、抵抗、抵抗率等が包含され
る。
例えば、電導度の場合、その基準値(C0)と、測定値
(C)とを比較し、 C≦C0のときは補充を行なわず、 C>C0のときはC≦C0の関係を満足するまで前記と同
様の補充操作を繰り返し行なう。
このときの電導度の基準値(C0)は、一般に0.05〜50
mS/cm、処理室6Bでは2〜50mS/cm、処理室6Cでは0.5〜1
0mS/cm、処理室6Dでは0.05〜1mS/cmとする。
なお、処理装置1において、処置室−室あたりの容積
は20〜3000ml、好ましくは60〜900ml程度とすればよ
い。
また、処理室数は、図示例に限らず、目的、用途また
はその他の条件等に応じて適宜選定することができる。
また、第1図の構成例と異なり、感光材料Sの搬送方
向に隣接する処理空間の液流通を抑制する遮蔽手段を設
置してもよい。
このような遮蔽手段の具体例としては、本出願人によ
る特願平01-27034号等に記載されたものが挙げられる。
また、後述するようなブレードであってもよい。
この他、処理室内に整流板等の組合わせによる液流形
成手段を設置し、これにより各処理室6A〜6E内の水洗水
Wを感光材料Sの膜面と平行で搬送方向と直交する方向
に流すような構成とすることもできる。
このような液流を形成することにより、処理室間の液
移動量が少なくなり、前記各処理室における濃度勾配が
良好に維持されるので、液流による撹拌効果とも相まっ
て、さらに水洗効率を向上することが可能となる。
また、このような液流の形成は、一部の処理室に対し
て行なってもよい。
なお、このような液流の流速は20〜2,000ml/分程度と
するのが好ましい。
また、本発明における処理装置は、第1図および第2
図に示されるものに限定されず、例えば、処理路が幅狭
のスリット状になっているもの(特願平01-61707号)
や、処理槽内をローラおよび区画部材等で仕切ったもの
(例えば特開平1-267648号)等、複数の処理室を有する
ものであればいかなるものでもよい。
第3図は、本発明の補充制御方法を実施するのに用い
られる処理装置の他の構成例を示す断面側面図である。
同図に示す処理装置1′は、前述した各処理室間の液流
通を抑制する遮蔽手段を有するとともに、水洗水Wの密
度または導電度を複数の箇所で測定する構成のものであ
る。
以下、この処理装置1′について説明するが、前述処
理装置1と同様の事項については、その説明を省略す
る。
処理装置1′において、各通路71〜74には、遮蔽手段
として、それぞれ1対のブレード14が設置されている。
この1対のブレード14は、感光材料Sの非通過時にその
先端部同士が密着するようにして、ブロック体4および
5に取り付けられている。これにより、各通路71〜74に
おける水洗水の通流が抑制または遮蔽され、前記処理装
置1に比べ、濃度勾配がより一層良好に保たれ、さらな
る水洗水の補充量の低減および水洗効率性の向上が図れ
る。
また、ブレード14は感光材料Sの通過時には、感光材
料Sの進入によってその先端部145が押し広げられ、感
光材料Sの通過が可能となる。
第4図には、第3図における通路72部分が拡大して示
される。
第4図に示すように、ブレード14は、通路72を画成す
るブロック体4および5に例えば埋設により取り付けら
れる基部140と、先端に向って厚さが漸減する先端部
(薄肉部)145とで構成され、2枚の組み合わせで用い
られる。また、ブレード14は、基部140から先端部145へ
向けてその厚さがほぼ同一のものであってもよい。
感光材料Sの表面に対するブレード14の平均傾斜角度
は、一般に10〜70°程度とするのがよく、特に20〜45°
程度とするのが好ましい。
また、ブレード14の基端から先端へ至る長さは、ブレ
ードを設置する通路の有効幅以上の長さとすればよい
が、一般にはこの2〜20倍程度(10〜50mm程度)とする
のが好ましく、特に好ましくは3〜10倍程度(15〜25mm
程度)とするのがよい。
そして、対向して設置した1対のブレード14における
感光材料Sの非通過時でのブレード14の先端部同士の重
なり部分(密着部分)の長さは、1〜10mm程度、特に2
〜5mm程度とするのがよい。
また、ブレード14の先端部145の厚さは、ブレード14
の長さの1/100以上あるいは0.5mm以上とすればよく、特
に、1〜1.5mm程度とすればよい。
ブレード14同士の接触面圧は、0.001〜0.1kg/cm2
度、特に0.005〜0.02kg/cm2程度とするのが好ましい。
以上のような条件とすることにより、感光材料Sの非
通過時におけるブレード14の先端部145同士の密着性が
確保され、水洗水Wの流通を有効に遮断することができ
る。
また、感光材料Sの通過時においても水洗水Wの流通
を大幅に抑制することができる。
なお、通常、ブレード14同士の密着力は、ブレードの
弾性力により与えられているが、ブレード14の先端部14
5内に磁性材料を配合し(例えば、ゴム磁石のようなも
の)、先端部145同士が磁力により吸引されるようにし
て密着力を与え、または高めることも可能である。
また、感光材料Sがブレード14と摺動しても、乳剤面
のキズ付き等の悪影響はほとんど生じないが、これが無
視できない場合、または、摺動抵抗の減少を図る場合に
は、ブレード14の内側面に平滑化処理を施し、または内
側面にシリコーン、テフロン等の潤滑材をコーティング
する等の表面処理を施すことで対応すればよい。
なお、このようなブレード14は、1つの通路71〜74に
対し、2対以上設けてもよく、この場合には、その通路
71〜74の遮蔽効果が高まる。
また、ブレードは、図示のごとく対をなすものに限ら
ず1枚のものでもよい。
ブレード14の構成材料は、水洗水Wに悪影響を及ぼさ
ないものであればよく、例えば天然ゴム、クロロプレン
ゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、イソプ
レインゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴ
ム、エチレンプロピレンゴム、シリコンゴム等の各種ゴ
ム、軟質ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、アイオノマー樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等
の軟質樹脂等の弾性材料が挙げられ、また、ラバロン、
サーモラン、エラストラン、ハイトレル、サンプレート
等のエラストマーを用いることもできる。
このような処理装置1′においても、前記と同様、感
光材料Sの処理時には、給液口11から水洗水Wが処理室
6Eに供給され、カウンターフローにより処理室6D、6C、
6Bおよび6Aを順次流れてゆく。このとき、各通路71〜74
がブレード14により遮蔽されているにもかかわらず、各
通路71〜74を水洗水Wが流通するのは、次に述べる原理
の基づく。
第5図は、第4図中のV−V線での断面図である。同
図に示すように、両ブレード14の感光材料幅方向(以
下、単に幅方向という)の両側端部(図中上部および下
部)では、先端部145同士が例えば接着または融着によ
り固着されており、感光材料Sは、両先端部145間の幅
方向中央付近を通過することとなる。このとき、両先端
部145間には、感光材料Sの幅方向両側端縁に感光材料
Sの厚さ分のすき間18が形成される。そして、このすき
間18を経て、水洗水Wが流通する。
このすき間18は、できるだけ小さいのが好ましく、す
き間18を小さくするためには、両先端部145の軸方向両
側端部を前述のように固着するのが有効であり好まし
い。
第5図における両すき間18の合計開口面積は、感光材
料Sの厚さにもよるが、0.1〜10mm2程度、特に0.4〜4m
m2程度とするのが好ましい。
なお、このようなすき間18は、ブレード14の両先端部
145間を感光材料Sが通過しているときのみ形成される
ものであり、感光材料Sの非通過時には、両先端部145
は、その幅方向全域にわたって密着しているので、水洗
水の流通は実質的に生じない。
このように、隣接する処理室間での水洗水Wの移動
は、感光材料Sのブレード通過によりブレード14間に形
成されるすき間18を水洗水Wが流通することによりなさ
れるため、この移動量は、前記遮蔽手段のない処理装置
1に比べれば、大幅に減少(0.001〜0.5%程度)する。
換言すれば、隣接処理室間での水洗水Wの単位時間当
たりの最大移動可能量は、すき間15の開口面積に依存す
るため、例えば、この最大移動可能量を超える過剰な水
洗水Wを処理室6Eへ供給した場合、処理室6E内の水洗水
Wが、通過76を経て外部へあふれ出すおそれが生じる。
従って、このような構成の処理装置1′においては、
より適正な水洗水Wの補充制御を行なう必要がある。
また、各処理室間での水洗水Wの移動は、前記カウン
ターフローに従ったものに限られない。すなわち、例え
ば、通路72においては、ブレード14のすき間15におい
て、水洗水Wの補充に伴なう処理室6C側から処理室6B側
への流れ(以下、主移動という)が生じるが、これとは
逆に、感光材料Sの通路に伴なう感光材料表面等に付着
した処理室6B内の水洗水(汚れの度合が大)の処理室6C
への持ち込みや、すき間15を通る水洗水Wの逆流(感光
材料Sの通過に伴なう通路72内での水洗水Wの撹拌効率
により生じる)等による処理室6B側から処理室6C側への
液移動(以下、逆移動という。主移動に比べれば、量的
には少ない。)も生じる。
このような逆移動は、前記濃度勾配の形成、維持にと
って障害となる。
従って、本発明では、このような水洗水Wの主移動と
逆移動とを考慮した上で、適正な濃度勾配を維持するよ
うな補充制御を行なう必要がある。
以上述べたように、各通路71〜74に遮蔽手段(ブレー
ド14)を有する処理装置1′では、より厳格な補充制御
を行なうことが必要となる。従って、水洗水Wの密度ま
たは導電性の測定精度を向上するために、それら2箇所
で測定し、それらを比較したデータに基づいて水洗水W
の供給を制御するような構成となっている。
すなわち、第1図に示すように、処理室6C内および処
理室6D内には、それぞれ、前述のごとき電導度計16およ
び17が設置され、これらの電導度計16および17は、制御
手段50に接続されている。
このような測定系により補充制御方法を以下に説明す
る。
電導度計16により測定された処理室6C内の水洗水Wの
電導度(C1)と、電導度計17により測定された処理室6D
内の水洗水Wの電導度(C2)とが、図示しないA/D変換
器等を介して制御手段50に入力される。
制御手段50の演算部においては、入力されたC1および
C2より、処理室6C、6D間の水洗水の電導度比ΔC=C2
C1を求める。
そして、この求められたΔCから、処理室6C、6D間の
液流通量Mを推定する。
ここで、処理室6C、6D間の液流通量Mとは、通路73に
おける前記主移動の量と前記逆移動の量との差に等しい
ものとされる。
なお、このような液流通量Mを推定するための条件と
しては、電導度比ΔCの他、感光材料Sの搬送速度、サ
イズ(長さ、幅、厚さ)処理室数(通路数)、各処理室
の容量、ブレード14の特性(特に、すき間18の開口面
積)、ブレード14の設置数、ブレード14の使用時間(劣
化度)等を考慮することができ、このなかでも特に、処
理室数と感光材料Sの搬送速度とを考慮するのが好まし
い。
処理室数については、例えばそれらの隣接処理空間で
の通路のサイズおよびブレードの条件(設置数、特性
等)を等しくした場合に、処理室数Nが多いほど液流通
量(全通路での平均)Mが少なくなるという傾向があ
る。
また、感光材料Sについては、前述したように、ブレ
ード14間のすき間は、感光材料Sがブレード14間を通過
しているときのみ形成されるため、すき間を介して生じ
る液流通の量は、感光材料Sがブレード14間を通過する
時間、すなわち感光材料Sの搬送速度に依存するからで
ある。
したがって、処理室間の液流通量Mは、処理室数N
(固定値)、電導度比ΔC(変数)および感光材料Sの
搬送速度V(変数)の関数として表される。
この関数としては、例えば、下記式(1)および
(2)で示されるものが挙げられる。
ただし、M0は、V=0のときの基準液流通量であり、
Rは、補充量である。
即ち、処理室数Nが例えば3であれば、式(2)より
ΔC≦0.1、M/R≦0.1となり、これらを満たすように実
際の補充量Rを決定し、これを実行する。
この場合、補充量Rは、処理室数Nの関数となってお
り、Nが大きいほど補充量Rを少なくすることができ
る。
また、液流通量Mおよび補充量Rの単位に特に限定は
なく、水洗水の絶対量(ml)、単位時間当たりの液量
(ml/分)、感光材料Sの単位面積当たりの液量(ml/
m2)のいずれでもよい。
この場合、水洗水Wを上記補充量Rで補充するには、
制御手段50によりポンプ21の作動時間を制御すればよ
い。
なお、制御手段50のメモリーに上記電導度比ΔC等の
条件に応じた処理室間の液流通量(推定値)を予めテー
ブル化して記憶しておき、このテーブルと実際の測定に
より得られた電導度比等の条件とを対応させて液流通量
または補充量を決定してもよい。
なお、上記では、推定された電導度C1、C2より電導度
比C2/C1を求めているが、これに代り電導度差C1−C2
求め、これを用いてもよい。
ブレード14に代表される遮蔽手段を設けた処理装置
1′では、前記処理装置1に比べ、所定の水洗性を得る
ための水洗水Wの補充量は低減する。このため、補充量
の制御はより厳格に行なう必要があり、よって、上述の
ごとく導電性を異なる2以上の箇所で測定し、それらを
比較したデータ、特に両側定値の差を求め、これに基づ
いて補充量の制御を行なうのが好ましい。
なお、第3図に示す例では、隣接する処理室6Cおよび
6Dにおいて水洗水Wの導電性を測定しているが、これに
限らず、例えば処理室6Bと6Dや、処理室6Aと6Cのような
離れた処理室間でそれぞれ導電性を測定するような構成
としてもよい。
また、導電性の測定箇所は、図示のごとき2箇所に限
らず、3箇所以上、例えば処理室6B、6Cおよび6D、全て
の処理室等で測定してもよい。
なお、処理装置上記では水洗水Wの導電性を測定する
場合について代表的に説明したが、前記と同様、水洗水
Wの密度を測定してもよいことは言うまでもない。この
場合、電導度計を設置することとなる。
また、遮蔽手段を有する処理装置においても、第1図
に示す構成のように、水洗水Wの導電性または密度を1
箇所で測定する構成とすることは可能である。この場
合、前記処理装置1による補充制御方法で述べた補充制
御方法、前記処理装置1′による補充制御方法で述べた
処理室間の液流通量を求める方法のいずれをも採用する
ことができる。
本発明に用いられる水洗水は、水道水、蒸留水、イオ
ン交換水等のいずれであってもよく、必要に応じて公知
の添加剤を含有させることができる。
例えば、無機リン酸、アミノポリカルボン酸、有機リ
ン酸等のキレート剤、各種バクテリアや藻の増殖を防止
する殺菌剤、防ばい剤、マグネシウム塩、アルミニウム
塩等の硬膜剤、乾燥負荷、ムラを防止するための界面活
性剤などを用いることができる。または、L.E.West,"Wa
ter Quality Criteria"Phot.Sci.and Eng.,vol.9 No.6
P344〜359(1965)等に記載の化合物を用いることもで
きる。
また、以上では、水洗水による水洗処理について述べ
てきたが、本発明では安定液を用いた安定化処理にも同
様に適用することができ、同様の効果が得られる。
この場合の安定液としては、色素画像を安定化する処
理液が用いられる。例えば、pH3〜6の緩衝能を有する
液、アルデヒド(例えば、ホルマリン)を含有した液な
どを用いることができる。安定液には、必要に応じて蛍
光増白剤、キレート剤、殺菌剤、防ばい剤、硬膜剤、界
面活性剤等を用いることができる。
また、水洗または安定化処理における温度、pH、時
間、水洗水または安定液量等の処理条件は、感光材料の
種類等に応じて適宜選択すればよい。
本発明において対象とされる感光材料は、カラーおよ
び黒白感光材料のいずれであってもよく、例えば、カラ
ーネガフィルム、カラー反転フィルム、カラー印画紙、
カラーポジフィルム、カラー反転印画紙、製版用写真感
光材料、X線写真感光材料、黒白ネガフィルム、黒白印
画紙、マイクロ用感光材料等が挙げられる。
本発明は、例えば、自動現像機、湿式の複写機、プリ
ンタープロセッサ、ビデオプリンタープロセッサー、写
真プリント作成コインマシーン、検版用カラーペーパー
処理機等の各種感光材料処理装置に適用することができ
る。
〈実施例〉 以下、本発明の具体的実施例について説明する。
(実施例1) 特開昭63-70857号公報に実施例4において試料P−4
として記載されているカラー印画紙を用意し、この感光
材料を像様露光後、富士フイルム(株)製の自動現像機
PP-400Bを用いて、下記処理工程に処理量1日当たり0.8
m2の処理を3ケ月間続けてランニングした(ただし、1
週間に5日間稼動)。
用いた各処理液の処方は、以下の通りである。
漂白定着液(母液と補充液は同じ) EDTAFe(III)NH4・2H2O 60g EDTA・2Na・2H2O 4g チオ硫酸アンモニウム(70%) 120ml 亜硫酸ナトリウム 16g 氷酢酸 7g 水を加えて 1000ml pH 5.5 水洗水(母液と補充液は同じ) 水道水をH形強酸性カチオン交換樹脂(三菱化成
(株)製、商品名ダイヤイオン3K-1B)と、OH形強塩基
性アニオン交換樹脂(三菱化成(株)製、商品名ダイヤ
イオンSA-10A)とで処理し、下記の水質とした。
pH 6.9 カルシウムイオン 1.5ml/l マグネシウムイオン 0.5ml/l これに、ジクロロイソシアヌール酸ナトリウムを水洗
水1当たり20mg添加した。
以上を処理1−Aとする。
処理1−Aにおいて、4つの水洗槽〜を用いる代
わりに、第1図および第2図に示す構成の処理装置を1
個用い、その他は同様に処理した。ただし、密度計は設
置せず、通常の補充を行なうものとした。
また、処理室6Aの下部には排液口を設置しないものと
した。
この装置において、一室あたりの処理室の容積は400m
lとした。
処理液の移動量は、比処理時において、0.1ml/分程
度、処理時において20ml/分程度であった。
水洗水の補充量は7ml/82.5mm巾×1m当たりとした。
以上を処理1−Bとする。
処理1−Aにおいて、4つの水洗槽〜を用いる代
わりに、第1図および第2図に示す構成の処理装置を用
い、その他は同様に処理した。
この場合、密度計は処理室6D(第4室)に設置し、処
理室6Aの下部には排液口を設けないものとした。
なお、密度計は特開平1-158433号公報に記載のものを
用い、密度の基準値(D0)を、1.001とし、測定値
(D)がこれを超えたときD0以下となるように補充を制
御した。
このような制御を行なった結果、巾82.5mmの感光材料
1m当たりの平均補充量は7mlとなった。
以上を処理1−Cとする。
上記処理1−A、1−Bおよび1−Cにおいて、各
々、処理開始時および連続処理後に得られた画像の写真
性能について比較を行なった。
写真性能は、60℃、70%RHの条件で3日間保存したも
のについてステインの発生状況を調べることにより評価
した。
ステインは、処理直後の白色部濃度と60℃、70%RH、
3日経時後の白色部の濃度との差を求めて評価した。
この結果を、水洗水の補充量等とともに下記表1に示
す。
上記表1に示すように、処理1−Aでは、ステインに
ついては問題がないものの、水洗水の補充量が多く、し
かも槽数が多いため、装置が大型化する。
また、処理1−Bでは、装置のコンパクト化の点では
改善されているが、ステインの発生がみられ、これをな
くすためには、補充量を10ml/82.5mm×1m程度にする必
要があった。
これに対し、処理1−Cでは、ステインの発生はな
く、補充量を低減でき、かつ装置をコンパクトにするこ
とができた。
(実施例2) 実施例1の処理1−Cにおいて、処理量1日当たり0.
1m2の処理を3ケ月間続けてランニングした以外は同様
の処理を行った。
これを処理2−Cとする。
処理2−Cにおいて、処理室6Aの下部に排液口を設置
したものを用い、感光材料の処理信号を24時間以上受け
ないとき(休止時)は、この排液口を開放して液面レベ
ルをL2にする制御を行ない、この他は同様に処理した。
これを処理2−Dとする。
上記処理2−Cおよび2−Dにおいて、各々感光材料
の処理を24時間休止後、処理を再開し、その直後に得ら
れたサンプルを抽出して実施例1と同様に写真性能を比
較したところ、処理2−Cに比べて処理2−Dの方が処
理後のステインの発生が少なかった。
(実施例3) 実施例1の処理1−Cにおいて、処理室6D(第4室)
に密度計を設置する代わりに電導度計を設置したものを
用い、電導度の基準値(C0)を0.3mS/cmとし、これを超
えたとき補充を行なうように制御して、その他は同様に
処理した。
なお、電導度計はコンパクト導電計C−172(堀場製
作所社製)を用いた。
以上を処理3−Cとする。
処理C−3において、処理室6Dの代わりに処理室6C
(第3室)に電導計を設置したものを用い、電導度の基
準値(C0)を1mS/cmとして補充の制御を行った以外は、
同様に処理した。
これを処理3−Dとする。
上記処理3−Cおよび3−Dにおいて、実施例1と同
様にして写真性能を調べたところ、処理1−Cと同様の
結果が得られた。
(実施例4) 実施例1の処理1−Aにおいて、4つの水洗槽〜
を用いる代わりに、第3図に示す構成の処理装置を用
い、その他は同様に処理した。
この場合、実施例3で用いたのと同様の電導度計の処
理室6C(第3室)および処理室6D(第4室)にそれぞれ
設置した。
この装置において、一室あたりの処理室の容積は、平
均400mlとした。
また、排液口は、常に閉止した状態とした。
感光材料の搬送速度Vは、0.3m/分とした。
ブレードに関する条件は、次のようにした。
ブレード条件 設置位置:各通路71〜74に、それぞれ一対づつ設置 断面形状:第4図に示す形状 平均傾斜角度:30° ブレード長さ:18mm 密着部分長さ:4mm 先端部厚さ:平均2mm 接触面圧:0.5kg/cm2 材質:シリコーンゴム 感材通過時のすき間の開口面積:1mm2 このような処理装置において、次のような方法により
補充量を決定した。
まず、予備的な補充量(以下、予備補充量という)で
水洗水を補充しつつ、処理室6Cにおける電導度C1と処理
室6Dにおける電導度C2とを測定し、これらの電導度比Δ
C=C2/C1を算出した。
また、処理室数N=5であるから、前記式(2)は、
ΔC5≦10-3となり、この式に前記算出したΔCを代入し
て、この式を満たすか否かを調べた。
これを満たす場合には、前記式(1)と、補充量R=
M/ΔCより補充量Rを算出した。
上記式を満たさない場合には、これを満たすようにな
るまで予備補充量を増量した。
このようにして求めた補充量Rで水洗水を処理室6E
(第5室)に補充した。
この補充量は、下記表2に示す値となった。
以上を処理4−Cとする。
処理4−Cにおいて、感光材料の搬送速度Vを0.65m/
分とした以外は、同様に処理した。
これを処理4−Dとする。
処理4−Cにおいて、感光材料の搬送速度Vを1.3m/
分とした以外は、同様に処理した。
これを処理4−Eとする。
処理4−Cにおいて、感光材料の搬送速度Vを2.0m/
分とし、電導度計を処理室6B(第2室)および処理室6C
(第3室)に設置した以外は、同様に処理した。
これを処理4−Fとする。
上記処理4−C、4−D、4−Eおよび4−Fにおい
て、実施例1と同様(ただし、保存期間を5日間とし
た)にして写真性能を調べた。
その結果を水洗水の補充量等とともに下記表2に示
す。
なお各処理4−C、4−D、4−Eおよび4−Fにお
いて、それぞれの水洗時間の差が50%以内となるよう
に、処理槽のサイズ(搬送経路長)を適宜変更した。
上記表2に示すように、処理4−C、4−D、4−E
および4−Fは、いずれも、ステインの発生はなく、補
充量を低減でき、かつ装置をコンパクトにすることかで
きた。
特に、上記表1の処理1−Cに比べ、さらなる補充量
の低減が達成されている。
追加実験として、水洗水に代わり、安定液(処方:富
士写真フイルム社製安定液CN−16 N4)を用いて実施例
1〜4に準じた操作を行なったところ、水洗水の場合と
同等の結果が得られ、本発明の効果が確認された。
〈発明の効果〉 以上述べたように、本発明によれば、適正でかつ無駄
のない水洗水または安定液の補充を行なうことができ、
水洗効率が高く、保存後の画像にステインの発生がない
など、良好な写真性能の画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】 第1図は、本発明の実施に用いられる処理装置の構成例
を示す断面側面図である。 第2図は、第1図中のII-II線での断面図である。 第3図は、本発明の実施に用いられる処理装置の他の構
成例を示す断面側面図である。 第4図は、第3図に示す処理装置におけるブレードの構
造を拡大して示す断面側面図である。 第5図は、第4図中のV−V線での断面図である。 符号の説明 1……処理装置 2……処理槽 21……ポンプ 25……水補充タンク 3……ラック 31、32……側板 4、5……ブロック体 50……制御手段 6A〜6E……処理室 71〜76……通路 8……搬送ローラ 81……回転軸 82……主軸 83、84……ベベルギア 85、87、88……ギア 86……従動軸 9……ガイド 90……開口 10……ガイド 11……給液口 12、13……排液口 14……ブレード 140……基部 145……先端部 15……密度計 16、17……電導度計 18……すき間 S……感光材料 L1、L2……液面レベル

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】区画された複数の処理室を連結してなる処
    理空間を有する処理槽の前記処理空間に水洗水または安
    定液を満たし、前記処理空間に水洗水または安定液を供
    給するとともに、ハロゲン化銀感光材料を搬送し、前記
    処理室に順次通過させて処理するに際し、 前記水洗水または安定液の供給方向を、前記ハロゲン化
    銀感光材料の搬送方向と逆方向とし、 前記水洗水または安定液は、前記ハロゲン化銀感光材料
    が最後に通過する処理室に供給され、前記ハロゲン化銀
    感光材料の未処理時には、前記ハロゲン化銀感光材料が
    最初に通過する処理室内の液面レベルを低下させるよう
    排液し、 前記処理空間内の水洗水または安定液の密度または導電
    性を測定し、この測定値に基き、前記水洗水または安定
    液の供給を制御することを特徴とする補充制御方法。
  2. 【請求項2】区画された複数の処理室を連結してなる処
    理空間を有する処理槽の前記処理空間に水洗水または安
    定液を満たし、前記処理空間に水洗水または安定液を供
    給するとともに、ハロゲン化銀感光材料を搬送し、前記
    処理室に順次通過させて処理するに際し、 前記水洗水または安定液の供給方向を、前記ハロゲン化
    銀感光材料の搬送方向と逆方向とし、 前記ハロゲン化銀感光材料が最初に通過する処理室およ
    び最後に通過する処理室以外の処理室内の水洗水または
    安定液の密度または導電性を測定し、この測定値に基
    き、前記水洗水または安定液の供給を制御することを特
    徴とする補充制御方法。
  3. 【請求項3】区画された複数の処理室を連結してなる処
    理空間を有する処理槽の前記処理空間に水洗水または安
    定液を満たし、前記処理空間に水洗水または安定液を供
    給するとともに、ハロゲン化銀感光材料を搬送し、前記
    処理室に順次通過させて処理するに際し、 前記水洗水または安定液の供給方向を、前記ハロゲン化
    銀感光材料の搬送方向と逆方向とし、 異る2以上の処理室で水洗水または安定液の密度または
    導電性を測定し、各箇所での測定値を比較して処理室間
    の液流通量を推定し、この液流通量に応じて前記水洗水
    または安定液の供給量を制御することを特徴とする補充
    制御方法。
  4. 【請求項4】前記処理槽は、前記ハロゲン化銀感光材料
    の搬送方向に隣接する処理室間の液流通を抑制する遮蔽
    手段を有する請求項1ないし3のいずれかに記載の補充
    制御方法。
  5. 【請求項5】前記ハロゲン化銀感光材料の搬送速度を考
    慮して前記水洗水または安定液の供給量を制御する請求
    項1ないし4のいずれかに記載の補充制御方法。
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