JP2696095B2 - 窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の製造方法 - Google Patents

窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】 本発明は青色から紫外領域発光の窒化ガリウム系化合
物半導体発光素子の製造方法に関する。
【従来の技術】
従来、青色の発光ダイオードとしてGaN系の化合物半
導体を用いたものが知られている。そのGaN系の化合物
半導体は直接遷移であることから発光効率が高いこと、
光の3原色の1つである青色を発光色とすること等から
注目されている。 このようなGaN系の化合物半導体を用いた発光ダイオ
ードは、サファイア基板上に直接又は窒化アルミニウム
から成るバッファ層を介在させて、n導電型のGaN系の
化合物半導体から成るn層を成長させ、そのn層の上に
p型不純物を添加したGaN系の化合物半導体から成る層
を成長させた構造をとっている(特開昭62−119196号公
報、特開昭63−188977号公報)。 さらに、特開昭59−228776号公報に記載されているよ
うに、AlGaN半導体を用いたシングルヘテロ接合又はダ
ブルヘテロのN+NP、N+PP、PNN+、P+PN+構造を有する発
光素子が知られている。
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記構造の発光ダイオードの発光強度は未だ
十分ではなく、改良が望まれている。 又、窒化ガリウム系化合物半導体は、p型の不純物を
ドーピングしても、低抵抗率のp型導電性が得られなか
った。 本発明者らは、研究を重ねた結果、窒化ガリウム系化
合物半導体において、p導電型の半導体を得ることに成
功した。 この結果、発光効率の高いpn接合を実現することが可
能となった。 しかしながら、同一面側から、p層及びn層の電極を
取り出す構造とする場合には、p層が導電性の半導体で
あるため、一方の層の電極を他方の層に対して電気的に
絶縁することが必要になった。 本発明は、この問題を解決するものであり、窒化ガリ
ウム系化合物半導体の新規なpn接合と電極の取り出し構
造を有した発光素子を実現することにより、動作電圧の
低下と青色の発光強度を向上させることを目的としてい
る。
【課題を解決するための手段】
本発明は、基板上に、n型窒化ガリウム系化合物半導
体から成るn層とp型窒化ガリウム系化合物半導体から
なるp層とを有する発光素子の製造方法において、 最上層から下層のn層までドライエッチングしてn層を
露出させた後、アルゴン(Ar)ガスでその露出面をドラ
イエッチングし、そのエッチング面に電極を形成するこ
とを特徴とする。 又、他の特徴は、最初のドライエッチングは、高周波
電力の印加された塩素又はフッ素を含むガスで行うこと
を特徴とする。 尚、p層のドーピング元素は、例えば、マグネシウム
(Mg)である。Mgをドーピングした層に電子線を照射す
ることで、低抵抗のp型に変化させることができる。電
子線の照射条件としては、一例であるが、加速電圧1KV
〜50KV、試料電流0.1μA〜1mAである。
【作用及び発明の効果】
上記のように、pn接合が実現できたので、動作電圧を
低下させることができ発光効率及び発光輝度を向上させ
ることができた。又、上記のように、最上層から下層の
n層までドライエッチングしてn層を露出させたので、
下層の電極を上層に対して電気的に絶縁分離することが
できた。 このような、構造をとることで、pn接合を有し、上層
に両電極の形成されたバンプ接合(フェースダウン)の
発光素子が実現できた。 又、電極形成表面をドライエッチング後にArでエッチ
ングしたので、オーミック性が向上した。
【実施例】
以下、本発明の具体的な実施例に基づいて説明する。 第1図において、発光ダイオード10は、サファイア基
板1を有しており、そのサファイア基板1に500ÅのAlN
のバッファ層2が形成されている。そのバッファ層2の
上には、順に、膜厚約2.2μmのGaNから成る高キャリア
濃度n+層3と膜厚約1.5μmのGaNから成る低キャリア濃
度n層4が形成されており、更に、低キャリア濃度n層
4の上に膜厚約0.2μmのGaNから成るp層5が形成され
ている。そして、p層5に接続するアルミニウムで形成
された電極7と高キャリア濃度n+層3に接続するアルミ
ニウムで形成された電極8とが形成されている。電極8
と電極7とは、溝9により電気的に絶縁分離されてい
る。 次に、この構造の発光ダイオード10の製造方法につい
て説明する。 上記発光ダイオード10は、有機金属化合物気相成長法
(以下「MOVPE」と記す)による気相成長により製造さ
れた。 用いられたガスは、NH3とキャリアガスH2とトリメチ
ルガリウム(Ga(CH3)(以下「TMG」と記す)とト
リメチルアルミニウム(Al(CH3)(以下「TMA」と
記す)とシラン(SiH4)とシクロペンタジエニルマグネ
シウム(Mg(C5H5)(以下「CP2Mg」と記す)であ
る。 まず、有機洗浄及び熱処理により洗浄したa面を主面
とする単結晶のサファイア基板1をMOVPE装置の反応室
に載置されたサセプタに装着する。 次に、常圧でH2を流速2/分で反応室に流しながら
温度1100℃でサファイア基板1を気相エッチングした。 次に、温度を400℃まで低下させて、H2を20/分、N
H3を10/分、TMAを1.8×10-5モル/分で供給してAlN
のバッファ層2が約500Åの厚さに形成された。 次に、サファイア基板1の温度を1150℃に保持し、H2
を20/分、NH3を10/分、TMGを1.7×10-4モル/
分、H2で0.86ppmまで希釈したシラン(SiH4)を200ml/
分の割合で30分間供給し、膜厚約2.2μm、キャリア濃
度1.5×1018/cm3のGaNから成る高キャリア濃度n+層3を
形成した。 続いて、サファイア基板1の温度を1150℃に保持し、
H2を20/分、NH3を10/分、TMGを1.7×10-4モル/
分の割合で20分間供給し、膜厚約1.5μm、キャリア濃
度1×1015/cm3のGaNから成る低キャリア濃度n層4を
形成した。 次に、サファイア基板1を900℃にして、H2を20/
分、NH3を10/分、TMGを1.7×10-4モル/分、CP2Mgを
3×10-6モル/分の割合で3分間供給して、膜厚0.2μ
mのGaNから成る層5を形成した。この状態では、層5
は絶縁体である。 次に、反射電子線回析装置を用いて、この層5に一様
に電子線を照射した。電子線の照射条件は、加速電圧10
KV、試料電流1μA、ビームの移動速度0.2mm/sec、ビ
ーム径60μmφ、真空度2.1×10-5Torrである。この電
子線の照射により、層5は抵抗率は108Ωcm以上の絶縁
体から抵抗率40Ωcmの低抵抗のp導電型半導体となっ
た。このようにして、p導電型を示すp層5が得られ
る。 このようにして、第2図に示すような多層構造のウエ
ハが得られた。 以下に述べられる第3図から第7図は、ウエハ上の1
つの素子のみを示す断面図であり、実際は、この素子が
連続的に繰り返されたウエハについて、処理が行われ、
その後、各素子毎に切断される。 第3図に示すように、p層5の上に、スパッタリング
によりSiO2層11を2000Åの厚さに形成した。次に、その
SiO2層11上にフォトレジスト12を塗布した。そして、フ
ォトリソグラフにより、p層5をおいて、高キャリア濃
度n+層3に至るように形成される孔15に対応する電極形
成部位Aとその電極形成部をp層5の電極と絶縁分離す
る溝9を形成する部位Bのフォトレジストを除去した。 次に、第4図に示すように、フォトレジスト12によっ
て覆われていないSiO2層11をフッ化水素酸系エッチング
液で除去した。 次に、第5図に示すように、フォトレジスト12及びSi
O2層11によって覆われていない部位のp層5とその下の
低キャリア濃度n層4と高キャリア濃度n+層3の上面一
部を、真空度0.04Torr、高周波電力0.44W/cm2、CCl2F2
ガスを10ml/分の割合で供給しドライエッチングした
後、Arでドライエッチングした。この工程で、高キャリ
ア濃度n+層3に対する電極取出しのための孔15と絶縁分
離のための溝9が形成された。 次に、第6図に示すように、p層5上に残っているSi
O2層11をフッ化水素酸で除去した。 次に、第7図に示すように、試料の上全面に、Al層13
を蒸着により形成した。これにより、孔15には、高キャ
リア濃度n+層3に電気的に接続されたAl層13が形成され
る。 そして、そのAl層13の上にフォトレジスト14を塗布し
て、フォトリソグラフにより、そのフォトレジスト14が
高キャリア濃度n+層3及びp層5に対する電極部が残る
ように、所定形状にパターン形成した。 次に、第7図に示すようにそのフォトレジスト14をマ
スクとして下層のAl層13の露出部を硝酸系エッチング液
でエッチングした。この時、絶縁分離のための溝9に蒸
着されたAl層13は、完全に除去される。次に、フォトレ
ジスト14をアセトンで除去し、高キャリア濃度n+層3の
電極8、p層5の電極7が残された。 その後、上記の如く処理されたウエハは、各素子毎に
切断され、第1図に示すpn構造の窒化ガリウム系発光素
子を得た。 このようにして製造された発光ダイオード10の発光強
度を測定したところ10mcdであった。これは、単純に低
抵抗率p型化の処理をしない層とキャリア濃度5×1017
/cm3、厚さ4μmのn層とを接続した従来の発光ダイオ
ードに比べて、発光強度が10倍に向上した。 更に、低抵抗率p型化の処理をしない層を使用したと
きの駆動電圧(10mA)が10〜15Vとばらついたのが低抵
抗率化されたp層の導入により7V程度と低くなり、ばら
つきも少なくなった。 又、発光面を観察した所、発光点の数が増加している
ことも観察された。 尚、比較のために、低キャリア濃度n層4のキャリア
濃度を各種変化させた上記試料を製造して、発光強度及
び発光スペクトラムを測定した。その結果を、第8図に
示す。 尚、上記実施例で用いたマグネシウムMgのドーピング
ガスは、上述のガスの他、メチルシクロペンタジエニル
マグネシウムMg(C5H5)CH3を用いても良い。 又、上記実施例では、n層を高キャリア濃度n+層3と
低キャリア濃度n層4の二重層構造としたが、単層のn
層で構成しても良い。 二重層構造にすると、単層n層の場合に比べて発光輝
度が向上した。 又、二重層構造の場合には、上記低キャリア濃度n層
4のキャリア濃度は1×1014〜1×1017/cm3で膜厚は0.
5〜2μmが望ましい。キャリア濃度が1×1017/cm3
上となると発光強度が低下するので望ましくなく、1×
1014/cm3以下となると発光素子の直列抵抗が高くなりす
ぎ電流を流すと発熱するので望ましくない。又、膜厚が
2μm以上となると発光素子の直列抵抗が高くなりすぎ
電流を流すと発熱するので望ましくなく、膜厚が0.5μ
m以下となると発光強度が低下するので望ましくない。 更に、高キャリア濃度n+層3のキャリア濃度は1×10
17〜1×1019/cm3で膜厚は2〜10μmが望ましい。キャ
リア濃度が1×1019/cm3以上となると結晶性が悪化する
ので望ましくなく、1×1017/cm3以下となると発光素子
の直列抵抗が高くなりすぎ電流を流すと発熱するので望
ましくない。又、膜厚が10μm以上となると基板が湾曲
するので望ましくなく、膜厚が2μm以下となると発光
素子の直列抵抗が高くなりすぎ電流を流すと発熱するの
で望ましくない。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の具体的な一実施例に係る発光ダイオー
ドの構成を示した構成図、第2図乃至第7図は同実施例
の発光ダイオードの製造工程を示した断面図、第8図は
低キャリア濃度n層のキャリア濃度と発光強度及び発光
波長との関係を示した測定図である。 10……発光ダイオード 1……サファイア基板 2……バッファ層 3……高キャリア濃度n+層 4……低キャリア濃度n層 5……p層 7,8……電極 9……溝、15……孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 赤崎 勇 愛知県名古屋市千種区不老町(番地な し) 名古屋大学内 (72)発明者 天野 浩 愛知県名古屋市千種区不老町(番地な し) 名古屋大学内

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に、n型窒化ガリウム系化合物半導
    体から成るn層とp型窒化ガリウム系化合物半導体から
    なるp層とを有する発光素子の製造方法において、 最上層から下層の前記n層までドライエッチングして前
    記n層を露出させた後、アルゴン(Ar)ガスでその露出
    面をドライエッチングし、そのエッチング面に電極を形
    成することを特徴とする窒化ガリウム系化合物半導体発
    光素子の製造方法。
  2. 【請求項2】前記最初のドライエッチングは、高周波電
    力の印加された塩素又はフッ素を含むガスで行うことを
    特徴とする請求項1の窒化ガリウム系化合物半導体発光
    素子の製造方法。
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