JP2693720B2 - 真空チャックにおける被吸着物の吸着方法 - Google Patents

真空チャックにおける被吸着物の吸着方法

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JP2693720B2 JP6111391A JP11139194A JP2693720B2 JP 2693720 B2 JP2693720 B2 JP 2693720B2 JP 6111391 A JP6111391 A JP 6111391A JP 11139194 A JP11139194 A JP 11139194A JP 2693720 B2 JP2693720 B2 JP 2693720B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、真空チャックにおける
被吸着物の吸着方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ワークの搬送等に用いられる真空
チャックとしては、実開平1−118942号公報に示
す真空チャックが知られている。この真空チャックのチ
ャック本体の下面には凹部が形成されている。そして、
凹部とチャック本体内に形成されたチャンバとの間には
複数の吸込孔が形成され、その各吸込孔により凹部とチ
ャンバが連通している。又、チャック本体には前記チャ
ンバと真空チャックの外部とを連通する接続通路が形成
されている。そして、前記凹部には軟質で微細な孔を有
する軟質多孔板が付着され、軟質多孔板の下面は平らに
形成されている。又、軟質多孔板の下面はチャック本体
の下面より若干下方に突出している。
【0003】そして、軟質多孔板を例えば薄いフィルム
状のワークに当接させ、接続通路から空気を吸い出すと
その吸引力によりワークが軟質多孔板の下面に吸着され
るようになっている。又、軟質多孔板にワークを吸着し
た時にはワークを吸着する吸引力により軟質多孔板が上
方に縮み、軟質多孔質板の下面がチャック本体の下面と
同じ高さ位置となる。従って、ワークが薄いフィルム状
の場合でもそのワークを湾曲させることなく吸着するこ
とができるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ワーク
の吸着される部分の面積が軟質多孔板の下面の面積より
小さい場合、そのワークに軟質多孔板を当接させて接続
通路から空気を吸い出すと軟質多孔板のワークに当接し
ていない部分から空気が大量にチャンバ内に吸い込まれ
る。そのため、ワークにそのワークを吸着するのに十分
な吸引力が働かず、ワークを吸着することができないと
いう問題点があった。
【0005】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであって、その目的は、すでに製造されている
真空チャックでも、吸着面が板材の吸着物を吸着する側
の面の面積より小さい被吸着物を容易に吸着可能にする
ことができる真空チャックにおける被吸着物の吸着方法
を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
め、本発明は、真空チャックに、表裏両面に連通する多
数の透孔を有する板材を設け、その板材の一方の面から
空気を吸引することにより他方の面に被吸着物を吸着さ
せる真空チャックにおける被吸着物の吸着方法におい
て、前記板材の他方の面に、その板材の透孔より小さく
透孔と同方向に延びる多数の貫通孔が形成されるととも
にその貫通孔の開口面積の総和が前記透孔の開口面積の
総和より小さいシート部材を吸着させ、そのシート部材
に被吸着物を吸着させるようにした。
【0007】
【作用】従って、本発明によれば、板材の他方の面にシ
ート部材を当接させて板材の一方の面から空気を吸引す
ると、板材の他方の面にシート部材が吸着される。その
シート部材を介して板材を吸着面が板材の被吸着物を吸
着させる側の面の面積より小さくなるような被吸着物に
当接させれば、その被吸着物はシート部材を介して板材
に吸着される。即ち、板材の他方の面における被吸着物
の接触していない部分から板材の他方の面に向かって流
れる空気の流量が、シート部材により被吸着物を十分に
吸着できる程度に抑えられるため、前記被吸着物は板材
に吸着される。従って、シート部材を板材の他方の面に
吸着させれば、すでに製造された真空チャックを、容易
に吸着面が板材の被吸着物を吸着させる側の面の面積よ
り小い被吸着物を吸着可能にすることができる。
【0008】
【実施例】以下、一実施例を図1〜図3に従って説明す
る。図1,図2に示すように、真空チャック1のチャッ
ク本体2は直方体状に形成され、その上面には例えば幅
3mmの複数の吸込溝3が田の字状となるように交差し
て形成されている。又、チャック本体2にはその長手方
向と直交する方向に延びる吸出通路4が形成され、その
吸出通路4には前記各吸込溝3の交差する部分にそれぞ
れ形成された吸込孔3aが連通している。
【0009】チャック本体2の上面には、板材5が各吸
込溝3を覆うようにエポキシ樹脂接着剤により接着され
ている。そのエポキシ樹脂接着剤は板材5の下面5aの
外縁部のみに塗布されているため、板材5とチャック本
体2との接合面から空気が漏れないようになっている。
又、板材5はその上面5bが平らになるように形成され
ている。
【0010】板材5は銅,ステンレス及び樹脂等の粒子
をプレスすることにより形成されているため、図3に示
すように、板材5にはその上下両面5a,5bを連通す
る多数の透孔6が形成されている。この透孔6は、その
平均径が約100μmで1cm2 当たり約5300個形
成されている。そして、板材5の上面5bの面積に対す
る透孔6の総開口面積の割合(以下、板材5の気孔率と
いう)は42%となっている。又、板材5の外側部分に
は前記透孔6が形成されていないシール部7が設けられ
ている。
【0011】板材5の上側には、板材5の上面5b及び
側面を覆うように断面略コの状状に形成された例えば紙
製のシート部材8が配設されている。シート部材8の下
端外縁部には板材5と反対方向に向かって突出する取付
部9が形成されている。又、シート部材8の板材5の上
面に対応する部分には吸着部10が設けられ、吸着部1
0にはシート部材8を上下方向に貫通する図3に示すよ
うな多数の貫通孔11が形成されている。この貫通孔1
1の径は約10μmとなっている。そして、吸着部10
の上面の面積に対する貫通孔11の総開口面積の割合
(以下、シート部材8の気孔率という)は板材5の気孔
率42%より小さい値であるX%となっている。
【0012】次に、吸着面の面積が板材5の上面5bの
面積より小さいワークを上記の真空チャック1で吸着す
る場合の作用を説明する。まず、真空チャック1の板材
5の上面5bにシート部材8を当接させ、吸出通路4か
ら空気を吸い出して板材5の上面5bにシート部材8を
吸着させる。そして、その後に板材5をシート部材8を
介して図2の2点鎖線で示す被吸着物としてのワークW
に当接させる。このワークWは吸着面の面積が板材5の
上面5bの面積の約半分となっている。その結果、吸込
孔3a,吸込溝3及び透孔6を介してワークWが接触す
る貫通孔11内の空気が板材5側に吸い出されてワーク
Wの吸着面に吸引力が働く。
【0013】又、シート部材8のワークWが当接してい
ない部分において、真空チャック1の外部の空気が貫通
孔11,透孔6を介して吸込溝3内に流れる。貫通孔1
1が形成されたシート部材8はその気孔率X%が板材5
の気孔率42%より小さい値であるため、吸込溝3内に
流れ込む空気の流量はシート部材8のない場合に比べて
少なくなる。従って、ワークWの吸着面に働く吸引力は
ワークWを板材5に吸着するのに十分な大きさになり、
その吸引力によりワークWはシート部材8を介して板材
5に吸着される。
【0014】尚、この場合のシート部材8の気孔率X%
の最適な値の範囲として20〜25%,好ましい範囲と
して15〜30%,実施可能な範囲として10〜35%
があげられる。
【0015】以上詳述したように本実施例では、気孔率
X%が板材5の気孔率42%より小さいシート部材8を
板材5の上面5bに設けたため、吸着面の面積が板材5
の上面5bの面積より小さいワークWを吸着することが
できる。
【0016】又、シート部材8を紙により形成したた
め、吸着面の面積が板材5の上面5bの面積より小さい
ワークWを吸着可能な真空チャック1を低コストで製造
することができる。
【0017】更に、板材5の上面5bは平らに形成され
ているため、例えば薄いフィルム状のワークを吸着する
場合でもそのワークWを湾曲変形させることなく吸着す
ることができる。
【0018】更に、ワークWの吸着面の面積に応じて、
シート部材8を板材5に吸着させたり吸着させなかった
りすることができる。即ち、ワークWの吸着面の面積が
板材5の上面5bの面積と同じか又は大きい時、シート
部材8を板材5に吸着させずに直接そのワークWを吸着
することができ、より確実にワークWを吸着することが
できる。更に、すでに製造されている真空チャックの場
合でもその板材にシート部材8を吸着させることによ
り、容易に吸着面の面積が板材の上面の面積より小さい
ワークWを吸着できるようにすることができる。
【0019】尚、本発明は上記実施例に限定されるもの
ではなく、例えば以下のように変更して具体化してもよ
い。 (1)シート部材8を複数重ねて板材5に吸着させるよ
うにしてもよい。即ち、シート部材8は重ねることによ
り気孔率が低くなり、シート部材8を多く重ねるごとに
吸着面の面積が板材5の上面5bの面積より更に小さい
ワークWでも吸着できるようになる。この場合、ワーク
Wの吸着面の面積に応じてシート部材8の重ねる枚数を
調節すれば、ワークWの吸着面の面積が変わる場合でも
そのワークを吸着することができる。
【0020】(2)本実施例では、シート部材8を紙に
より形成したが、これに代えてシート部材8を布により
形成してもよい。この場合、布は紙と異なり破れにくい
ため、ワークWを吸着する時等にシート部材8が破損す
るのを防止することができる。
【0021】(3)本実施例では、板材5に径が約10
0μmの透孔6を1cm2 当たり約5300個設け、板
材5の気孔率を42%としたが、透孔6の径及び1cm
2 当たりの個数を変えて板材5の気孔率を変更してもよ
い。この場合、シート部材8の貫通孔11の径や1cm
2 当たりの個数を変えてシート部材8の気孔率X%を適
宜変更すれば、吸着面の面積が板材5の上面5bの面積
より小さいワークWを吸着することができる。
【0022】(4)本実施例では、吸着面の面積が板材
5の上面5bの面積の約半分であるワークWを吸着した
が、吸着面の面積がそれ以外の値のワークWを吸着して
もよい。この場合、シート部材8の気孔率X%を適宜変
更すれば、そのワークWを吸着することができる。
【0023】(5)ワークWを板材5より大きく、孔が
上下方向に延びるように形成されたワークとしてもよ
い。この場合、孔が形成された分だけ板材5とそのワー
クとが接触していない部分ができ、その部分において板
材5の上面5bから下面5aに向かって空気が流れる。
しかし、板材5の上面5bにシート部材8を設けること
により、そのワークを吸着することができる。
【0024】尚、本明細書において、シート部材とは紙
及び布のみならず多数の貫通孔が形成されたシート部材
なら材質は何でもよい。
【0025】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
すでに製造されている真空チャックでも、吸着面が板材
の吸着物を吸着する側の面の面積より小さい被吸着物を
容易に吸着可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施例の真空チャックを示す分解斜視図で
ある。
【図2】 本実施例の真空チャックを示す断面図であ
る。
【図3】 板材及びシート部材を示す概略断面図であ
る。
【符号の説明】
1…真空チャック、5…板材、5a…一方の面としての
下面、5b…他方の面としての上面、6…透孔、8…シ
ート部材、11…貫通孔、W…被吸着物としてのワー
ク。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空チャック(1)に、表裏両面(5
    a,5b)に連通する多数の透孔(6)を有する板材
    (5)を設け、その板材(5)の一方の面(5a)から
    空気を吸引することにより他方の面(5b)に被吸着物
    (W)を吸着させる真空チャックにおける被吸着物の吸
    着方法において、 前記板材(5)の他方の面(5b)に、その板材(5)
    の透孔(6)より小さく透孔(6)と同方向に延びる多
    数の貫通孔(11)が形成されるとともにその貫通孔
    (11)の開口面積の総和が前記透孔(6)の開口面積
    の総和より小さいシート部材(8)を吸着させ、そのシ
    ート部材(8)に被吸着物を吸着させる真空チャックに
    おける被吸着物の吸着方法。
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