JP2693106B2 - 脱硝制御装置 - Google Patents

脱硝制御装置

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JP2693106B2
JP2693106B2 JP5168157A JP16815793A JP2693106B2 JP 2693106 B2 JP2693106 B2 JP 2693106B2 JP 5168157 A JP5168157 A JP 5168157A JP 16815793 A JP16815793 A JP 16815793A JP 2693106 B2 JP2693106 B2 JP 2693106B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ほぼ同等容量の複数台
のガスタービンと、これらのガスタービンの排ガスに含
まれる熱を利用して発生させた蒸気により駆動される少
なくとも1台の蒸気タービンにより発電を行うコンバイ
ンドサイクル発電プラント、または、少なくとも1台の
ガスタービンにより発電機を駆動し、発電を行ういわゆ
るガスタービン発電プラント等に配設され、アンモニア
等の還元物質を注入することにより燃焼生成ガス中の窒
素酸化物を除去する脱硝制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】いわゆる排熱回収方式のコンバインドサ
イクル発電プラントには、大別して一軸型と多軸型があ
る。一軸型とはガスタービン、蒸気タービンおよび発電
機が共通軸で結合されている方式のものであり、多軸式
とはガスタービンと蒸気タービンが別々の軸に分離さ
れ、各軸に発電機が結合される方式のものである。
【0003】一方、ガスタービン発電プラントは、1台
のガスタービンに対して1台の発電機を有し、このガス
タービンと発電機の組み合わせが1組または複数組で構
成され、発電を行うものであり、ピーク負荷対策用とし
て設置される。
【0004】図9は、一軸型のコンバインドサイクル発
電プラントの構成の一例を示すもので、図10はガスタ
ービンと発電機の組み合わせが1組のガスタービン発電
プラントの一例の構成を示すものである。
【0005】図9に示すコンバインドサイクル発電プラ
ントは、コンプレッサ(CP)1、ガスタービン(G
T)2、発電機(G)3、および蒸気タービン4(S
T)は共通軸5を介して互いに連結されている。
【0006】燃料調整弁6の開度調節によって流量制御
された燃料は、コンプレッサ1からの圧縮空気と共に燃
焼器7に供給され、ここで混合して等圧燃焼され、高温
・高圧の燃焼ガスが生成される。そして、この燃焼ガス
によってガスタービン2が駆動される。以下、このよう
な系統をガスタービン系と称す。
【0007】ガスタービン2の排ガスは、排熱回収ボイ
ラ8に導かれて蒸気を発生させる。排熱回収ボイラ8で
熱を回収され、低温となったガスは、排ガスとして大気
中に排出される。一方、排熱回収ボイラ8で発生した蒸
気は、蒸気加減弁9を介して蒸気タービン4に導かれ、
これを駆動する。蒸気タービン4を通った蒸気は復水器
10に導かれ、ここで復水される。以下、このような系
統を蒸気タービン系と称す。
【0008】このように、ガスタービン系と蒸気タービ
ン系を組み合わせたコンバインドサイクル発電プラント
は、入力として燃焼器7に燃料を供給し、最終出力とし
て発電機3から電気出力を得る。
【0009】一方、図10に示すガスタービン発電プラ
ントは、上記コンバインドサイクル発電プラントのガス
タービン系のみで構成され、同様に発電を行う。ただ
し、ガスタービン2からの排ガスは排気ダクト12を介
して大気中に排出される。
【0010】ところで、図9または図10において、排
熱回収ボイラ8または排気ダクト12から大気中に排出
される排ガス、すなわち燃焼器7の燃焼生成ガス中に
は、NO、NO2 など、一般にNOxで総称される窒素
酸化物が含まれている。このNOxは有害とされ、その
許容値が法的に規制されている。そこで、燃焼生成ガス
に含まれるNOxを低減除去するために排熱回収ボイラ
8、排気ダクト12に脱硝装置が設けられている。
【0011】脱硝装置とは、燃焼生成ガスにアンモニア
等の還元物質を還元物質流量調節弁11を介し注入し、
NOxと還元物質を触媒中で反応させ、無害な窒素と水
に還元して除去する装置であり、未反応のNOxはその
まま大気中に排出される。例えば、還元剤としてアンモ
ニアを使用する場合には、その供給量が少なすぎると未
反応のNOxが増えることになり、また、多すぎると未
反応のアンモニアが排出されることになる。また、プロ
セスが触媒でのNOxとアンモニアの化学反応であるた
め、制御の応答性が必ずしもよくない特徴がある。
【0012】このように、脱硝装置において、燃焼生成
ガス中のNOxの量に見合った量の還元物質が適切なタ
イミングで供給されないと種々の不都合が生じるので、
還元物質の供給量と供給タイミングを制御するための装
置として脱硝制御装置が必要とされる。なお、一般に、
ガスタービン2は起動・停止時にその排出NOxが変動
することが知られているが、これを制限値以下に抑える
ようにした脱硝制御装置も提案されている。
【0013】図11に、このような従来の脱硝制御装置
の一例を示す。脱硝制御装置はフィードバック制御系と
フィードフォワード制御系に大別される。
【0014】フィードバック制御系は、還元物質流量制
御の時定数が脱硝出口NOx濃度の時定数に対して異な
る(速い)ため、還元物質流量を計測し、還元物質流量
調節弁11を操作するフィードバック制御を行う2次フ
ィードバック制御系と、その目標として脱硝出口NOx
濃度を計測し、設定値と等しくなるようにフィードバッ
ク制御を行う1次フィードバック制御系を組み合わせ
た、いわゆるカースケード制御系にて構成される。
【0015】また、フィードバック制御系のみでは、脱
硝プロセスの動特性(反応遅れ)により十分な制御性能
が得られないため、脱硝入口NOx濃度により先行的に
制御を行うフィードフォワード制御系を加えている。
【0016】1次フィードバック制御系において、信号
発生器13には、本制御装置の制御設定値である脱硝
口NOx濃度設定値が設定されており、その基本制御設
定値信号aとして記憶器15に出力されている。制御設
定値操作部14は、プラントの運転員が設定値を増加あ
るいは減少させたい時に操作を行い、記憶器15に記憶
されている基本制御設定値信号aを任意の値に書き換え
られるようになっている。
【0017】すなわち、プラント運転員が制御設定
作部14を操作しない場合は、信号発生器13からの基
本制御設定値信号aが、これを操作した場合は制御設定
操作部14にて操作設定された値が制御設定値信号b
としてNOx濃度換算部17に出力される。
【0018】通常、NOxの規制・管理は排ガス中のO
2 濃度により換算された値(現状ではO2 濃度を16%
として濃度を換算する。以下換算NOx濃度と称す)で
行われるため、信号発生器13からの基本制御設定値信
号aおよび制御設定値操作部14で運転員により設定さ
れる値は換算NOx濃度であり、制御設定値信号bは換
算NOx濃度である。これに対し、還元物質の注入は、
換算を行う前のNOxの実濃度(実際の排ガス中のO2
濃度下でのNOxの濃度、以下実NOx濃度と称す)に
対して行うため、制御設定値信号bに対して逆換算を行
う必要がある。
【0019】そのため、NOx濃度換算部17を設け、
排ガスO2 濃度検出部16からの排ガスO2 濃度信号c
により逆換算を行い、換算NOx濃度である制御設定値
信号bを実NOx濃度に換算し、実制御設定値信号dと
して減算器19に出力するよう構成されている。
【0020】脱硝出口NOx濃度検出部18では、脱硝
出口排ガス中の実NOx濃度を検出し、減算器19に対
し、脱硝出口NOx濃度信号eを出力する。減算器19
では、NOx濃度換算部17からの実制御設定値信号d
と脱硝出口NOx濃度検出部18からの脱硝出口NOx
濃度信号eの偏差を求め、PI演算器20へその偏差信
号fを出力する。PI演算器20は、この偏差信号fに
より還元物質流量目標信号gを求め、加算器27に出力
する。
【0021】以上により、脱硝口NOx濃度信号eと
実制御設定値信号dが等しくなるような還元物質の流
量、すなわち還元物質流量目標信号gが求められる。
【0022】フィードフォーワード制御系において、排
ガス流量演算部21では、ガスタービンの状態量、例え
ばコンプレッサ1の空気流量、燃焼器7への燃料流量等
を検出するが、スタービン状態量検出部22からのガ
スタービン状態量信号hによりガスタービン排ガス流量
の計算を行い、ガスタービン排ガス流量信号iとして乗
算器24に出力を行う。
【0023】脱硝入口NOx濃度検出部23は、脱硝入
口排ガス中の実NOx濃度を検出し、脱硝入口NOx濃
度信号jを乗算器24に出力する。乗算器24は、ガス
タービン排ガス流量信号iと脱硝入口NOx濃度信号j
の乗算を行い、脱硝入口NOx流量信号kを乗算器26
へ出力する。
【0024】信号発生器25には、脱硝入口排ガス中の
NOx量に対する注入する還元物質量の割合、いわゆる
モル比が予め設定されており、モル比信号lを乗算器2
6に出力する。乗算器26は、脱硝入口NOx流量信号
kとモル比信号lの乗算を行い、基準還元物質流量信号
mとして加算器27に出力する。
【0025】以上により、脱硝入口実NOx濃度に対し
て必要な還元物質の流量、すなわち基準還元物質流量信
号mが求められる。
【0026】加算器27では、1次フィードバック制御
系の出力、すなわち還元物質流量目標信号gとフィード
フォワード制御系の出力、すなわち基準還元物質流量信
号mの加算が行われ、還元物質流量指令信号nを求め
る。この還元物質流量指令信号nが2次フィードバック
制御系の目標値として、減算器29に出力される。
【0027】2次フィードバック制御系において、還元
物質流量検出部28は、還元物質の実流量を検出し、還
元物質実流量信号oを減算器29に出力する。減算器2
9では、還元物質実流量信号oと還元物質流量指令信号
nの偏差を求め、偏差信号pをPI演算器30に出力す
る。PI演算器30では、この偏差信号pがゼロとなる
ように還元物質流量調節器31へ操作信号qを出力し、
還元物質流量調節弁11を操作する。
【0028】以上により、1次フィードバック制御系と
フィードフォワード制御系により求められた還元物質流
量指令信号nと還元物質実流量信号oが等しくなるよう
に還元物質流量調節弁11が制御され、脱硝出口NOx
濃度と制御設定値が等しくなるように制御されて、プラ
ントから排出されるNOxが規制値以下に抑えられる。
【0029】ところで、近年、自然環境破壊への関心が
高まりつつあり、NOxに対する規制値も種々の規制が
設けられ、厳しくなる傾向にある。また、それに加え、
未反応の還元物質、例えばアンモニアに対しても種々の
規制が加えられる傾向にある。 そこで、図9または図
10の燃焼器7に関し、その排出NOxが従来の燃焼器
より少ない、いわゆる低NOx型燃焼器が開発されつつ
ある。低NOx型燃焼器はその燃焼方式により分類さ
れ、代表的なものとしては、多段燃焼方式、触媒燃焼方
式が上げられ、実用の面から言えば、多段燃焼方式の燃
焼器が有望視されている。
【0030】多段燃焼方式のメカニズムは、燃焼器の長
手方向に順次燃料を分割して供給し、火炎温度を低下さ
せることによりNOxの生成を抑えるものであり、その
排出NOx特性の一例を図12に示す。同図に示すよう
に、多段燃焼方式の場合、起動時の排出NOxの濃度特
性は、燃料を順次切り替える毎にピークがあり、そのピ
ーク値は従来の燃焼器のそれより高くなる傾向にあり、
定格負荷近傍では従来の燃焼器のNOx濃度より低く抑
えられるが、やはり規制値以下とするためには、脱硝装
置が必要となる。
【0031】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の技術では、一定値制御であり、必ずしも制御性
が良くない。これは、脱硝入口NOx検出器の遅れ、脱
硝装置での反応の遅れに起因している。特に起動・停止
過程および負荷変動時の急激なプラントの状態量の変化
に対する追従が悪く、さらに急激かつ振れ幅も大きくプ
ラントの状態量が変化する多段燃焼方式のガスタービン
を有するプラントの場合は制御しきれないところろがあ
る。また、制御性が悪いため、余分な還元物質を注入す
ることになり、経済性および環境破壊の点から好ましく
ないという問題がある。
【0032】本発明は、かかる従来の事情に対処してな
されたもので、多段燃焼方式の燃焼器への対応が可能で
あり、起動・停止過程および負荷変動時等の急激なプロ
セス状態の変化に追従して良好な脱硝制御を行うことが
でき、しかも経済性および安全性の向上を図ることので
きる脱硝制御装置を提供しようとするものである。
【0033】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の脱硝
制御装置は、脱硝入口実NOx濃度に対して必要な還元
物質の流量を示す基準還元物質流量信号を生成するフィ
ードフォワード系と、脱硝出口実NOx濃度が設定値と
等しくなるような還元物質の流量を表す還元物質流量目
標信号を生成する第1のフィードバック系と、基準還元
物質流量信号と還元物質流量目標信号とから求められる
還元物質流量指令信号と、還元物質実流量検出信号とに
基づいて、脱硝装置の還元物質流量調節弁開度を制御す
る第2のフィードバック系とを備えた脱硝制御装置にお
いて、第1のフィードバック系は、ガスタービンの排ガ
ス状態を表すプラント状態量を検出する演算用入力検出
手段からの信号により制御設定値を算出する制御設定値
演算手段を備え、フィードフォワード系は、ガスタービ
ン排出NOx濃度を表すプラント状態量を入力するガス
タービン状態量検出手段からの信号により脱硝入口NO
x濃度検出器の検出遅れを補正するためのNOx補正係
数を算出するNOx補正係数演算手段と、この補正係数
を前記脱硝入口NOx濃度検出器からの脱硝入口NOx
濃度信号に乗算して補正する乗算手段とを備えたことを
特徴とする。
【0034】
【作用】上記構成の本発明の脱硝制御装置では、脱硝入
口NOx濃度の検出遅れを含まない入力信号を使用する
ことができ、また、現在のプラントの状態に最適な制御
設定値を使用することによりプラントの状態に即応した
良好な還元物質の注入を行うことができる。
【0035】したがって、多段燃焼方式の燃焼器にも対
応可能であり、起動・停止過程および負荷変動時等の急
激なプロセス状態の変化に追従して良好な脱硝制御を行
うことができる。
【0036】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳
細に説明する。
【0037】図1は、本発明の一実施例の脱硝制御装置
の構成を示すもので、図11に示した従来の脱硝制御装
置と対応する部分には同一符号が付してある。
【0038】1次フィードバック制御系において、演算
用入力検出部32は、少なくともプラント負荷、大気温
度、大気湿度を含み、その他脱硝入口排ガスの状態を代
表するガスタービン発電プラント特有のプロセス量また
はコンバインドサイクル発電プラント特有のプロセス量
を各々検出し、各々の状態量に対応する信号である演算
用信号rを出力する。制御設定値演算部33では、この
演算用信号rによりプラントの状態にあった制御設定値
の計算を行い、この結果を基本制御可変設定値信号sと
して出力する。
【0039】この制御設定値の計算方式としては、次の
ようなものがある。
【0040】脱硝装置の性能(いわゆる脱硝効率で代表
される)は、プラントの状態、特に脱硝入口排ガスの状
態(演算用信号rで代表される)とモル比の関数であ
る。
【0041】 脱硝効率=f(演算用信号r、モル比)………(1) 脱硝出口NOx濃度は、脱硝効率と脱硝入口NOx濃度
(演算用信号rに代表される)と反応遅れ(演算用信号
rに代表される)により求まり、演算用信号rとモル比
の関数となる。
【0042】 脱硝出口NOx濃度=(1−脱硝効率)*脱硝入口NOx濃度*反応遅れ f(脱硝効率、演算用信号r)………(2) (1)式より(2)式は、 f(演算用信号r)モル比)……… (3) 一方、演算用信号r(例えばプラント負荷)に対する種
々の規制値と規制範囲は、予め分かっているので、それ
を満足できる脱硝出口NOx濃度とモル比を決め、その
脱硝出口NOx濃度を制御設定値、すなわち基本制御可
変設定値信号sとする。
【0043】(3)式より 基本制御可変設定値信号s=f(演算用信号r)………(4) ただし、 モル比=f(演算用信号r)………(5) 以上により、あるプラント状態において、種々の規制値
を満足し、かつ脱硝装置が出し得る最適な性能(脱硝効
率)から脱硝装置出口NOx濃度を求め、それを制御設
定値とすることにより規制値を満足し、かつ脱硝装置が
出し得る最大の脱硝効率で運転できる設定値とすること
ができ、余分な還元物質の注入を防止するとともに、特
に起動・停止過程および負荷変動時の制御性を向上させ
ることができる。
【0044】第2のNOx濃度換算部34は、排ガスO
2 濃度検出部16からの排ガスO2濃度信号cを入力
し、脱硝出口NOx濃度検出部18からの脱硝出口NO
x濃度信号eを実NOx濃度から換算NOx濃度への変
換を行う。
【0045】NOx濃度平均値演算部35には、第2の
NOx濃度換算部34で換算された脱硝出口換算NOx
濃度と、ガスタービンの起動タイミングを代表する信号
(例えば、起動、着火、速度、負荷などの入力)および
ガスタービンの停止タイミングを代表する信号(例え
ば、停止、消火、速度、負荷等入力)が入力されており
(図示せず)、起動の場合は、着火から規制対象となる
一定時間までの間、停止の場合は、消の規制対象とな
る一定時間前から消までの間、脱硝出口換算NOx濃
度の移動1時間平均値の計算を行い、起動・停止過程で
規制となる一定時間の間、実際にプラントより排出され
るNOx濃度の移動1時間平均値を求める。
【0046】信号発生器36には、上記移動1時間平均
値に対する規制値が設定されており、減算器37におい
て、NOx濃度平均値演算部35で計算される実測値と
規制値の偏差を求める。また、NOx濃度平均値演算部
35には、信号発生器36から規制値が入力されてお
り、規制対象とならない時間においては、NOx濃度平
均値演算部35の出力は、信号発生器36から規制値が
出力され、減算器37から出力される偏差がゼロとなる
ようになっている。
【0047】ゲイン38では、減算器37で求められた
偏差にゲインをかけ、偏差に対する制御設定値の変化値
を求め、制御設定値変化量信号tを出力する。つまり、
平均値の実測値の方が規制値より大きい場合は、その偏
差に相当する分の制御設定値を下げる制御設定値変化量
を求め、また、平均値の規制値の方が実測値より大きい
場合は、その偏差に相当する分の制御設定値を上げる制
御設定値変化量を求め、制御設定値変化量信号tとして
出力を行う。
【0048】制御設定値バイアス操作部39は、運転員
が現在の制御設定値信号bに対し、増加あるいは減少を
行いたい時に操作し、バイアスにて増加・減少を行うた
めのもので、その制御設定値変化量は、加算器40に出
力される。加算器40では、この運転員による制御設定
値変化量と、制御設定値変化量信号tの加算が行われ、
総制御設定値変化量uとして記憶器15に記憶されてい
る前述した基本制御可変設定値信号sへの変更(加減
算)を行う。
【0049】以上により、プラントの状態に合った制御
設定値かつ平均値に対する規制を満足し、運動員の操作
により変更可能な制御設定値信号bを得ることができ
る。制御設定値信号bは、NOx濃度換算部17にて換
算が行われ、減算器19、PI演算器20を介して、1
次フィードバック制御系の出力である還元物質流量目標
信号gが作られる。
【0050】フィードフォワード制御系において、モル
比演算部41は、上記演算用信号rから制御設定値演算
部33で計算される基本制御可変設定値を満足するため
のモル比の計算を行い、可変モル比信号vとして出力を
行う。
【0051】すなわち、計算式は(5)式を書き換え
て、 可変モル比信号v=f(演算用信号r)………(6) となる。
【0052】また、前述の如く、基本制御可変設定値信
号sと可変モル比信号vは対応しているため、可変モル
比信号vは、基本制御可変設定値信号sに対する変化
量、すなわち総制御設定値変化量uに対応して変化させ
る必要があり、そのためモル比補正係数演算部42を設
け、総制御設定値変化量uに対応したモル比の補正係数
を計算し、乗算器43にて可変モル比信号vに対し補正
を行い、モル比信号lとして乗算器26に出力を行う。
【0053】以上により、上記制御設定値信号bに対応
したモル比信号lを求めることができる。
【0054】また、脱硝入口NOx濃度検出部23の検
出遅れを補正するために、第2のガスタービン状態量検
出部44によって少なくとも燃料流量、空気流量を含む
ガスタービン排出NOx濃度を代表するガスタービン状
態量の検出を行い、NOx補正係数演算部45におい
て、この出力信号から脱硝入口NOx濃度信号jを補正
する係数を算出し、乗算器46で脱硝入口NOx濃度信
号jとこの補正係数の乗算を行い、補正脱硝入口NOx
濃度信号wとして乗算器24に出力する。
【0055】以上により、脱硝入口NOx濃度検出部2
3の検出遅れを補正した補正脱硝入口NOx濃度信号w
を求めることができる。
【0056】かくして、排ガス流量演算部21にて求め
られたガスタービン排ガス流量信号iと補正脱硝入口N
Ox濃度信号wの乗算を乗算器24で行い、脱硝入口N
Ox流量信号kを求め、また、モル比信号lと脱硝入口
NOx流量信号kの乗算を乗算器26で行い、フィード
フォワード制御系の出力である基準還元物質流量信号m
を求め、さらに還元物質流量目標信号gと基準還元物質
流量信号mの加算を加算器27で行い、還元物質流量指
令信号nを求めることができる。
【0057】次に、未反応還元物質に対する規制に対処
するための機構について説明する。検出部47におい
て、規制量と規制範囲を規定するプラント量(例えばプ
ラント負荷、起動してからの時間等)を検出し、未反応
還元物質規制値演算部48において、そのプラント量か
ら未反応還元物質に対する規制値を計算する。
【0058】また、未反応還元物質検出部49におい
て、実未反応還元物質量(例えば還元物質がアンモニア
であれば脱硝出口アンモニア濃度等)を検出し、減算器
50において、未反応還元物質の実測値と未反応還元物
質規制値の偏差を求め、その偏差に対し、ゲイン51で
ゲインを掛け、偏差に対応する還元物質流量指令信号n
に対する制限値を求め、還元物質制限値信号xとして低
信号選択器52に出力を行う。低信号選択器52では、
還元物質流量指令信号nと還元物質制限値信号xの比較
を行い、値の小さい方を低信号選択器55に出力する。
【0059】以上により、未反応還元物質が規制値以上
にならないように、還元物質の注入流量指令値に対し制
限を行い、未反応還元物質に対する規制を満足すること
ができる。
【0060】また、還元物質は、通常空気により希釈さ
れた後に注入されるが、所定の濃度以上空気中に存在す
ると爆発するなどしてプラント運転上好ましくない。そ
のため、希釈空気流量検出部53によって希釈空気実流
量を検出し、その希釈空気実流量より還元物質制限値演
算部54にて、プラントを安全に運転できる還元物質流
量の上限値を計算して求め、第2の還元物質制限値信号
yとして低信号選択器55に出力する。
【0061】低信号選択器55では、低信号選択器52
の出力と第2の還元物質制限値信号yの比較を行い、値
の小さい方が修正還元物質流量指令信号zとして減算器
29に出力される。
【0062】以上により、還元物質がプラント運転上、
危険な量以上注入されないように還元物質の注入量の指
令値に対し制限を行い、プラントを安全に運転すること
ができる。
【0063】このようにして、2次フィードバック制御
系の目標値となる修正還元物質流量指令信号zが作られ
る。そして、2次フィードバック制御系においては、減
算器29で還元物質流量検出部28からの還元物質実流
量信号oと修正還元物質流量指令信号zの偏差を求め、
PI演算器30でこの偏差信号pがゼロとなるように還
元物質流量調節器31へ操作信号qを出力し、還元物質
流量調節弁11を操作する。
【0064】以上のように構成された本実施例では、1
次フィードバック制御系で瞬時値、平均値の規制値を満
足し、かつプラントの状態により決まる脱硝性能が最も
良いところで運転可能な制御設定値信号bを求め、この
制御設定値により制御を行うことにより規制を満足し、
かつ、プラントの起動・停止過程および負荷変動時にお
いて、最適な還元物質流量を注入することができる。
【0065】また、フィードフォワード制御系におい
て、先行要素である脱硝入口NOx濃度検出部23の検
出遅れを補正して使用するため、この遅れによる制御系
への影響を排除することができ、また基本制御可変設定
値信号sとなるモル比により基準還元物質流量信号mを
求めることができるので、種々の規制を満足することが
でき、さらに起動・停止過程、負荷変動中に1次フィー
ドバック制御系とフィードフォワード制御系が干渉する
ことがなくなり、制御性を向上することができる。 さ
らに、未反応還元物質が規制値以上にならないように還
元物質の注入流量指令値に対し制限を行うので、未反応
還元物質に対する規制を満足することができ、還元物質
がプラント運転上危険な量以上注入されることを防止し
て、プラントを安全に運転することが可能となる。
【0066】図2に他の実施例の脱硝制御装置の構成を
示す。
【0067】上述した実施例では、制御設定値とモル比
を別々の要素、すなわち演算用入力検出部32と制御設
定値演算部33で求めていたが、本実施例は、これらを
一つに統合し、さらにプラントの状態変動に対する精度
と追従性の改善を図ったものである。
【0068】本実施例においても、基本的な構成は、1
次フィードバック制御系、2次フィードバック制御系、
フィードフォワード制御系からなり、新たな機構として
脱硝性能演算機構56が設けられている。
【0069】脱硝性能演算機構56は、演算用入力検出
部32の出力である演算用信号rと、乗算器46の出力
である補正脱硝入口NOx濃度信号wと、排ガスO2
度検出部16の出力である排ガスO2 濃度信号cと、加
算器40の出力である総制御設定値変化量uと、プラン
ト内のプラント累積運転時間信号aaとを入力し、制御設
定値信号bとモル比信号lを出力するものである。
【0070】この脱硝性能演算機構56の構成の詳細を
図3に示す。同図に示すように、脱硝性能演算機構56
は、脱硝効率演算部57と、脱硝効率補正係数演算部5
8と、乗算器59と、脱硝効率係数演算部60と、第3
のNOx濃度換算部61と、乗算器62と、制御設定値
演算部33と、加算器63と、第2のモル比演算部64
から構成される。
【0071】脱硝効率演算部57は、演算用信号rより
脱硝効率とモル比の関係を求める。計算方法は、前記
(1)式でモル比を適当な数点の値(例えば、0.7、
0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3)と
して、演算用信号rより求める。 ところで、脱硝装置
の触媒は経年劣化によりその脱硝効率が低下することが
知られている。そのため、脱硝効率補正係数演算部58
は、プラント内のプラント累積運転時間信号aaを入力
し、脱硝効率の経年劣化による補正係数を求める。そし
て、乗算器59で脱硝効率演算部57で計算される脱硝
効率と、脱硝効率補正係数演算部58で計算される補正
係数の乗算を行い、現在の脱硝効率とモル比の関係を求
める。
【0072】脱硝効率係数演算部60では、この現在の
脱硝効率を1から引いた値を求め、これを脱硝効率係数
とし、脱硝効率係数とモル比の関係とする。
【0073】第3のNOx濃度換算部61は、補正脱硝
入口NOx濃度信号wに対し、第2のNOx濃度換算部
34と同様に、排ガスO2 濃度信号cより実NOx濃度
から換算NOx濃度への換算を行う。乗算器62では、
脱硝効率係数に換算された補正脱硝入口NOx濃度と乗
算することにより、現在の脱硝効率から求まる脱硝出口
NOx濃度を求め、脱硝出口NOx濃度とモル比の関係
とする。
【0074】制御設定値演算部33は、前述の如く演算
用信号rにより基本制御可変設定値信号sを求め、加算
器63へ出力を行う。一方、加算器63へは、総制御設
定値変化量uが入力され、基本制御可変設定値信号s
の加算を行い、前記制御設定値信号bに相当する信号が
作られる。
【0075】第2のモル比演算部64では、乗算器62
からの脱硝出口NOx濃度とモル比の関係と、制御設定
値信号bより制御設定値信号bに対するモル比を求め、
前記モル比信号lとして出力を行う。
【0076】以上により、脱硝装置の触媒の経年劣化を
考慮した現在のプラントの状態における脱硝効率とモル
比の関係を直接求めることができ、この脱硝効率と現在
の検出器の遅れを含まない脱硝入口NOx濃度より脱硝
出口NOx濃度を求め、脱硝出口NOx濃度とモル比の
関係とし、その関係から現在の制御設定値とするために
必要な最適なモル比を求めることができる。
【0077】図4に、さらに他の実施例の構成を示す。
【0078】上記各実施例では、脱硝出口NOx濃度に
より制御を行うが、規制値の関係から脱硝出口NOx流
量により制御を行う場合がある。このため、本実施例
は、脱硝出口NOx流量により制御するよう構成されて
いる。
【0079】本実施例では、脱硝出口NOx濃度検出部
18からの脱硝出口NOx濃度信号に排ガス流量演算
部21の出力であるガスタービン排ガス流量信号iを乗
算し、脱硝口NOx流量信号abとして出力を行うた
めの乗算器65が設けられる。ここで、前述した如く信
号発生器36には脱硝出口NOx流量に対する規制値が
設定されており、NOx濃度平均値演算部35で移動1
時間平均値を求め、減算器37で実測値と規制値の偏差
を求め、ゲイン38を介し、制御設定値変化量信号tと
して加算器40に出力する。
【0080】制御設定値バイアス操作部39では、運転
員の操作により現在の制御設定値信号b(流量)に対す
る増加・減少をバイアスにて設定された場合、その変化
量が加算器40に出力される。加算器40では、総制御
設定値変化量uを求め、第2の脱硝性能演算部66に出
力を行う。
【0081】第2の脱硝性能演算部66には、プラント
累積運転時間信号aaと、演算用信号rと、脱硝入口NO
x流量信号kと、総制御設定値変化量uが入力され、こ
れらからモル比信号lと制御設定値信号bを算出して出
力する。
【0082】図5に脱硝性能演算部66の構成を示す。
前述した如く、脱硝効率演算部57において演算用信号
rから脱硝効率とモル比の関係を求め、脱硝効率補正係
数演算部58において、プラント累積運転時間信号aaか
ら経年劣化による補正係数を求め、乗算器59において
補正を行い、現在の脱硝効率とモル比の関係を求める。
脱硝効率係数演算部60において、脱硝効率より1を減
算し、脱硝効率係数とモル比の関係を求める。
【0083】乗算器62では、脱硝入口NOx濃度検出
部23の検出遅れを含まない補正脱硝入口NOx濃度信
号wにより計算された脱硝入口NOx流量信号kと、脱
硝効率係数の乗算を行い、脱硝出口NOx流量とモル比
の関係を求める。
【0084】一方、第2の制御設定値演算部67におい
て、制御設定値演算部33と同様な方法で演算用信号r
から脱硝出口NOx流量の制御設定値を求める。次に、
総制御設定値変化量uと脱硝出口NOx流量の制御設定
値が加算器63で加算され、制御設定値信号b(流量)
が求められ、第2のモル比演算部64に出力される第2
のモル比演算部64では、乗算器62の出力である脱硝
出口NOx流量とモル比の関係から、制御設定値信号b
に対するモル比が求められ、モル比信号lとして出力さ
れる。
【0085】図4において、1次フィードバック制御系
では、前記脱硝口NOx流量信号abと制御設定値信
号bの偏差が減算器19において求められ、PI演算器
20を介し、還元物質流量目標信号gが求められる。
【0086】また、未反応還元物質に対しての規制値が
流量ベースの場合は(この場合未反応還元物質規制値演
算部48の出力が流量ベースとなる)、未反応還元物質
検出部49からの出力信号にガスタービン排ガス流量信
号iを掛けて未反応還元物質実流量を求める乗算器68
を設け、還元物質流量指令信号nに対して制限を行う。
【0087】以上により、制御設定値および規制値が濃
度ではなく、流量の場合でも同様に制御を行うことがで
きる。
【0088】なお、図1に示す脱硝制御装置において
も、同様にすれば制御設定値および規制値が濃度ではな
く、流量の場合でも対応することができる。また、制御
設定値は濃度、規制値は流量の場合、またはその逆で
も、さらに、プラントの状態により制御設定値または規
制値に対し、濃度・流量を切り替えるような場合でも、
図2に示した実施例と本実施例を組み合わせることによ
り容易に対応することができる。
【0089】さらに、図6に他の実施例の構成を示す。
【0090】上記従来技術では、多段燃焼器NOxの急
激な変化により過渡的に注入される還元物質の過濃混合
または希薄混合が生じ、脱硝出口NOx濃度に変動が起
こる可能性がある。本実施例では、さらにプラント状態
変動に対するフィードフォワード制御の精度を向上さ
せ、追従性の改善を図るものである。
【0091】本実施例でも、基本的な構成は、1次フィ
ードバック制御系、2次フィードバック制御系、フィー
ドフォワード制御系からなり、新たな機構としてフィー
ドフォワード制御系に燃料流量、負荷指令値、負荷の少
なくとも1つの信号を検出する第3のガスタービン状態
量検出部69と、この変動量に対する還元物質の流量の
バイアス量を求める還元物質バイアス量演算部70と、
これを基準還元物質流量信号mに加算するための加算器
71が設けられる。
【0092】脱硝入口NOx濃度は、脱硝入口NOx濃
度検出部23により検出されるが、検出遅れによって図
12で述べたような多段燃焼器のNOx濃度の急激な変
化に追従することができない。このため、還元物質の過
濃混合または希薄混合が起こり、脱硝出口NOx濃度が
変動する。この脱硝出口NOx濃度の変動を抑えるため
には、この還元物質の過濃混合または希薄混合を補償す
る必要がある。
【0093】さらに、脱硝プロセスには遅れがあるた
め、可能な限り早くNOxの変動を捉える必要がある。
そこで、燃料流量、負荷指令値、負荷の少なくとも1つ
の信号を検出する第3のガスタービン状態量検出部69
を設け、この出力信号により還元物質バイアス量演算部
70では、還元物質の過濃混合または希薄混合を補償す
る還元物質の量を計算し、これを還元物質バイアス量信
号acとして出力する。
【0094】加算器71では、基準還元物質流量信号m
と還元物質バイアス量信号acが加算され、第2の基準
還元物質流量信号aとして出力する。
【0095】かくして、加算器27において、1次フィ
ードバック制御系の出力である還元物質流量目標信号g
と第2の基準還元物質流量信号aが加算され、これを
還元物質流量指令信号nとして、以下は従来の技術と同
様にこの還元物質流量指令信号nに従い2次のフィード
バック制御系が制御を行う。
【0096】以上により、多段燃焼器におけるNOx濃
度の急激な変動に対しても追従することが可能となり、
制御性を向上することができる。
【0097】図7に、さらに他の実施例の構成を示す。
【0098】本実施例は、コールドスタート時など、脱
硝装置の触媒の温度が低い状態でプラントを起動した場
合の制御性の改善を図るものである。
【0099】本実施例でも、基本的な構成は、1次フィ
ードバック制御系、2次フィードバック制御系、フィー
ドフォワード制御系からなり、新たな機構として1次フ
ィードバック制御系に脱硝触媒温度、脱硝触媒入口ガス
温度、負荷の少なくとも1つの信号を検出する脱硝状態
量検出部72と、脱硝プロセス判定部73と、切換え器
74が設けられる。
【0100】従来技術では、コールドスタート時など、
脱硝装置の触媒の温度が低いときは、脱硝反応が進みに
くく、高温時との比較で大きな差がついて1次フィード
バック制御系の応答は遅いものとなってしまう。また、
低温時には、高温時の脱硝効率と比較して低い効率での
運転を強いられる。これは脱硝制御装置から見れば、プ
ロセスのゲインが低いことになる。一般に、制御の調整
は、プラントが運用される負荷帯、すなわち触媒温度が
高温であり、脱硝効率の良い状態、換言すればプロセス
のゲインの高い状態で行われるため、この低温時におけ
るプロセスのゲインが低い状態では、制御性は低下する
ことになる。
【0101】こうした応答が遅く、制御性の低下した1
次フィードバック制御系の出力である還元物質流量目標
信号gと、フィードフォワード制御系の出力である基準
還元物質流量信号mが互いに干渉し、結果として還元物
質の過濃混合または希薄混合が起こり、脱硝出口NOx
濃度に変動が生じてしまう。この干渉を防ぐために本実
施例においては、脱硝触媒温度、脱硝触媒入口ガス温
度、負荷の少なくとも1つの信号を検出する脱硝状態量
検出部72を設ける。
【0102】脱硝プロセス判定部73では、この脱硝状
態量検出部72からの信号により脱硝プロセス状態の判
定、すなわち1次フィードバック制御系を制御に加えた
とき、フィードフォワード制御系と干渉するか、否かの
判定を行い、脱硝プロセス判定信号aeを出力する。
え器74では、この脱硝プロセス判定信号aeにより
干渉がない場合には、NOx濃度換算部17からの実制
御設定値信号dを第2の実制御設定値信号aとして減
算器19へ出力を行い、干渉がある場合は、脱硝出口N
Ox濃度検出部18からの脱硝出口NOx濃度信号eを
第2の実制御設定値信号aとして減算器19へ出力を
行う。
【0103】減算器19では、第2の実制御設定値信号
と脱硝出口NOx濃度信号eの偏差信号fを求める
が、切り換え器74により脱硝出口NOx濃度信号eが
第2の実制御設定値信号aとして選択された場合は、
この偏差信号fはゼロとなり、PI演算器20の出力で
ある還元物質流量目標信号gはゼロとなる。これにより
1次フィードバック制御系は制御から切り放される。ま
た、実制御設定値信号dが選択された場合には、従来の
技術と同様にPI演算器20により還元物質流量目標信
号gが得られ、1次フィードバック制御系は制御に取り
込まれる。
【0104】かくして、従来の技術と同様に、この後
は、加算器27において1次フィードバック制御系の出
力である還元物質流量目標信号gと、フィードフォワー
ドの出力である基準還元物質流量信号mが加算され、、
これに従い2次フィードバック制御系が制御を行う。
【0105】以上により、ゴルドスタート時などの触媒
温度が低い状態でも制御性の改善を図ることができる。
【0106】さらに、図8に他の実施例の構成を示す。
【0107】本実施例は、起動・停止過程および負荷変
動時の制御性の向上、かつコールドスタート時など、脱
硝装置の触媒の温度が低い状態でプラントを起動した場
合の制御性の向上を図るものである。
【0108】本実施例でも、基本的な構成は、1次フィ
ードバック制御系、2次フィードバック制御系、フィー
ドフォワード制御系からなり、新たな機構として図7に
示した実施例に対し、図1に示した実施例のフィードフ
ォワード制御系および1次フィードバック制御系が備え
られ、さらに切換え器75が設けられる。
【0109】本実施例は、上述した図7の実施例に対
し、さらに起動・停止過程および負荷変動時の制御性を
向上させるために、図1のフィードフォワード制御系お
よび1次フィードバック制御系を加えている。脱硝プロ
セス判定部73の出力である脱硝プロセス判定信号aeに
より切換え器74が1次フィードバック制御系とフィー
ドフォワード制御系が干渉する場合には、1次フィード
バック制御系を制御より切り放す。
【0110】一方、フィードフォワード制御系におい
て、モル比信号lは、制御設定値の変更および移動1時
間平均値に対する規制が含まれており、1次フィードバ
ックの要素を含んでいる。そこで、1次フィードバック
制御系とフィードフォワード制御系が干渉する場合に
は、モル比信号lを使用する必要がなく、モル比演算部
41からの可変モル比信号vを使用しなければならな
い。したがって、切換え器75は、脱硝プロセス判定部
73からの脱硝プロセス判定信号aeにより1次フィード
バック制御系がフィードフォワード制御系と干渉する場
合は、乗算器43からのモル比信号lを選択し、干渉が
ない場合は、モル比演算部41からの可変モル比信号v
を選択し、第2のモル比信号agとして出力を行う。
【0111】乗算器26では、この第2のモル比信号ag
と脱硝入口NOx流量信号kの乗算を行い、フィードフ
ォワード制御系の出力である基準還元物質流量信号mを
出力する。
【0112】かくして、従来の技術と同様に、加算器2
7において、1次フィーバック制御系の出力である還
元物質流量目標信号gと、フィードフォワードの出力で
ある基準還元物質流量信号mが加算され、これに従い2
次フィードバック制御系が制御を行う。
【0113】以上により、起動・停止過程および負荷変
動時の制御性の向上、かつコールドスタート時など、脱
硝装置の触媒の温度が低い状態でプラントを起動した場
合の制御性の向上を図ることができる。
【0114】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の脱硝制御
装置によれば、多段燃焼方式の燃焼器にも対応可能であ
り、起動・停止過程および負荷変動時等の急激なプロセ
ス状態の変化に追従して良好な脱硝制御を行うことがで
き、経済性および安全性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の脱硝制御装置の構成を示す
ブロック図。
【図2】本発明の他の実施例を示すブロック図。
【図3】図2の脱硝制御装置の要部構成を示すブロック
図。
【図4】本発明の他の実施例を示すブロック図。
【図5】図4の脱硝制御装置の要部構成を示すブロック
図。
【図6】本発明の他の実施例を示すブロック図。
【図7】本発明の他の実施例を示すブロック図。
【図8】本発明の他の実施例を示すブロック図。
【図9】一軸型コンバインドサイクル発電プラントの一
例の構成を示す系統図。
【図10】ガスタービン発電プラントの一例の構成を示
す系統図。
【図11】従来技術による脱硝制御装置の構成を示すブ
ロック図。
【図12】多段燃焼方式の燃焼器排出NOx特性の一例
を示す線図。
【符号の説明】
11……還元物質流量調節弁 15……記憶器 16……排ガスO2 濃度検出部 17……NOx濃度換算部 18……脱硝出口NOx濃度検出部 19、29、37、50…減算器 20、30…PI演算器 21……排ガス流量演算部 22……ガスタービン状態量検出部 23……脱硝入口NOx濃度検出部 24、26、43、46…乗算器 27、40、71…加算器 28……還元物質流量検出部 31……還元物質流量調節器 32……演算用入力検出部 33……制御設定値演算部 34……第2のNOx濃度換算部 35……NOx濃度平均値演算部 39……制御設定値バイアス操作部 41……モル比演算部 42……モル比補正係数演算部 44……第2のガスタービン状態量検出部 45……NOx補正係数演算部 47……検出部 48……未反応還元物質規制値演算部 49……未反応還元物質検出部 52、55…低信号選択器 53……希釈空気流量検出部 54……還元物質制限値演算部 69……第3のガスタービン状態量検出部 70……還元物質バイアス量演算部 72……脱硝状態量検出部 73……脱硝プロセス判定部 74、75…切換え器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F02C 9/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脱硝入口実NOx濃度に対して必要な還
    元物質の流量を示す基準還元物質流量信号を生成するフ
    ィードフォワード系と、 脱硝出口実NOx濃度が設定値と等しくなるような還元
    物質の流量を示す還元物質流量目標信号を生成する第1
    のフィードバック系と、 前記基準還元物質流量信号と前記還元物質流量目標信号
    とから求められる還元物質流量指令信号と、還元物質実
    流量検出信号とに基づいて、脱硝装置の還元物質流量調
    節弁開度を制御する第2のフィードバック系とを備えた
    脱硝制御装置において、 前記第1のフィードバック系は、ガスタービンの排ガス
    状態を表すプラント状態量を検出する演算用入力検出手
    段からの信号により制御設定値を算出する制御設定値演
    算手段を備え、 前記フィードフォワード系は、ガスタービン排出NOx
    濃度を表すプラント状態量を入力する第2のガスタービ
    ン状態量検出手段からの信号により脱硝入口NOx濃度
    検出器の検出遅れを補正するためのNOx補正係数を算
    出するNOx補正係数演算手段と、この補正係数を前記
    脱硝入口NOx濃度検出器からの脱硝入口NOx濃度信
    号に乗算して補正する乗算手段とを備えたことを特徴と
    する脱硝制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の脱硝制御装置において、 前記第2のフィードバック系は、プラント量から未反応
    還元物質に対する規制値を算出し、この規制値と未反応
    還元物質の実測値との偏差に応じた信号によって前記還
    元物質流量指令信号に制限を加える手段と、 還元物質を希釈する空気の希釈空気流量から算出した還
    元物質制限値により前記還元物質流量指令信号に制限を
    加える手段とを備えたことを特徴とする脱硝制御装置。
  3. 【請求項3】 脱硝入口実NOx濃度に対して必要な還
    元物質の流量を示す基準還元物質流量信号を生成するフ
    ィードフォワード系と、 脱硝出口実NOx濃度が設定値と等しくなるような還元
    物質の流量を表す還元物質流量目標信号を生成する第1
    のフィードバック系と、 前記基準還元物質流量信号と前記還元物質流量目標信号
    とから求められる還元物質流量指令信号と、還元物質実
    流量検出信号とに基づいて、脱硝装置の還元物質流量調
    節弁開度を制御する第2のフィードバック系とを備えた
    脱硝制御装置において、 前記フィードフォワード系は、ガスタービンの排出NO
    x状態を示すプラント状態量を検出する第3のガスター
    ビン状態量検出部からの入力信号により還元物質のバイ
    アス量を演算し、起動・停止過程における還元物質の過
    濃混合または希薄混合を補償する手段を備えたことを特
    徴とする脱硝制御装置。
  4. 【請求項4】 脱硝入口実NOx濃度に対して必要な還
    元物質の流量を示す基準還元物質流量信号を生成するフ
    ィードフォワード系と、 脱硝出口実NOx濃度が設定値と等しくなるような還元
    物質の流量を表す還元物質流量目標信号を生成する第1
    のフィードバック系と、 前記基準還元物質流量信号と前記還元物質流量目標信号
    とから求められる還元物質流量指令信号と、還元物質実
    流量検出信号とに基づいて、脱硝装置の還元物質流量調
    節弁開度を制御する第2のフィードバック系とを備えた
    脱硝制御装置において、 前記第1のフィードバック系は、脱硝装置の状態量を検
    出する脱硝状態量検出部と、この状態量検出信号に基づ
    いて、前記第1のフィードバック制御系を制御に取り込
    むか否かを決める脱硝プロセス判定部とを備えたことを
    特徴とする脱硝制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の脱硝制御装置において、 脱硝装置の状態量を検出する脱硝状態量検出部と、この
    状態量検出信号に基づいて、前記第1のフィードバック
    制御系を制御に取り込むか否かを決める脱硝プロセス判
    定部とを備えたことを特徴とする脱硝制御装置。
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