JP2692410B2 - 単結晶の育成方法 - Google Patents
単結晶の育成方法Info
- Publication number
- JP2692410B2 JP2692410B2 JP8531891A JP8531891A JP2692410B2 JP 2692410 B2 JP2692410 B2 JP 2692410B2 JP 8531891 A JP8531891 A JP 8531891A JP 8531891 A JP8531891 A JP 8531891A JP 2692410 B2 JP2692410 B2 JP 2692410B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- crystal
- single crystal
- ampoule
- recrystallization
- polycrystal
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子材料の一つである
化合物半導体材料を固相状態にある多結晶体から再結晶
法によって単結晶化する、所謂固相再結晶(Solid
StateRecrystallize=SSR)法
に関する。
化合物半導体材料を固相状態にある多結晶体から再結晶
法によって単結晶化する、所謂固相再結晶(Solid
StateRecrystallize=SSR)法
に関する。
【0002】
【従来の技術】SSR法による単結晶の育成方法は、い
くつかの文献や特許公報において述べられている(例え
ばJ.Vac.Sci.Technol.A,Vol.
3,No.1,Jan/Feb 1985,L.Col
omboetal.及び「擬二元合金単結晶の製造方
法」特公昭53−4074号)。
くつかの文献や特許公報において述べられている(例え
ばJ.Vac.Sci.Technol.A,Vol.
3,No.1,Jan/Feb 1985,L.Col
omboetal.及び「擬二元合金単結晶の製造方
法」特公昭53−4074号)。
【0003】その原理は図2(a)に示すように、まず
アンプル1に化合物半導体の原材料を入れ、これを融解
し、よく混合した後、急冷して微細な多結晶体2を作
る。次に図2(b)に示すような温度傾斜の付いた炉の
中で最高温度が、この物質の融点Tを超えないようにし
て長時間の熱処理を加える。これによって、多結晶体は
粒界成長して単結晶体となる。
アンプル1に化合物半導体の原材料を入れ、これを融解
し、よく混合した後、急冷して微細な多結晶体2を作
る。次に図2(b)に示すような温度傾斜の付いた炉の
中で最高温度が、この物質の融点Tを超えないようにし
て長時間の熱処理を加える。これによって、多結晶体は
粒界成長して単結晶体となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】SSR法は、同じくア
ンプル中で単結晶育成を行うTHM(Travelin
g Heater Method)に比べてアンプルの
構成などが簡単であるため、コストの低い方法ではある
が、THMと異なり種子結晶を用いないので、常に多結
晶体が全体として一つの単結晶体になる訳ではなく、い
くつかの単結晶体の集合に終わったり、また一つの単結
晶体となっても、結晶軸の方向が不定であるなどの問題
がある。
ンプル中で単結晶育成を行うTHM(Travelin
g Heater Method)に比べてアンプルの
構成などが簡単であるため、コストの低い方法ではある
が、THMと異なり種子結晶を用いないので、常に多結
晶体が全体として一つの単結晶体になる訳ではなく、い
くつかの単結晶体の集合に終わったり、また一つの単結
晶体となっても、結晶軸の方向が不定であるなどの問題
がある。
【0005】いくつかの単結晶体の集合であることは隣
り合った単結晶同士の間に粒界が存在することであっ
て、この部分は電子材料として不適当であるから全体と
して歩留りの低下となる。また、全体が一つの単結晶体
となっても、結晶軸の方向が分からないと、EPD(e
tch pit density)の計測ができなかっ
たり、X線トポグラフィーが撮れなかったりする場合が
生じ、育成結晶の基本的な評価が困難となる。
り合った単結晶同士の間に粒界が存在することであっ
て、この部分は電子材料として不適当であるから全体と
して歩留りの低下となる。また、全体が一つの単結晶体
となっても、結晶軸の方向が分からないと、EPD(e
tch pit density)の計測ができなかっ
たり、X線トポグラフィーが撮れなかったりする場合が
生じ、育成結晶の基本的な評価が困難となる。
【0006】本発明の目的は、結晶育成の歩留りを向上
させる単結晶の育成方法を提供することにある。
させる単結晶の育成方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明に係る単結晶の育成方法においては、固相再
結晶(Solid State Recrystall
ize=SSR)法によって化合物半導体の単結晶を育
成するに際し、多結晶材料に隣接させて種子結晶を置
き、さらに両者の隙間に多結晶材料中の一成分を少量介
在させたことによって、この多結晶材料を単結晶化する
ものである。
め、本発明に係る単結晶の育成方法においては、固相再
結晶(Solid State Recrystall
ize=SSR)法によって化合物半導体の単結晶を育
成するに際し、多結晶材料に隣接させて種子結晶を置
き、さらに両者の隙間に多結晶材料中の一成分を少量介
在させたことによって、この多結晶材料を単結晶化する
ものである。
【0008】
【作用】本発明では、原料である化合物半導体の多結晶
体を従来のSSR法におけるのと同じ方法で作り、別に
用意した希望の結晶軸方向を持つ種子結晶と共に他のア
ンプルに再封入し、再結晶工程は従来法と同様で、温度
傾斜のついた炉に設置する。このように再結晶過程にお
いて方向性のある種子結晶と多結晶体とが接している
と、多結晶体の粒界成長による単結晶化は、種子結晶と
の接合面において開始するので、単結晶化は方向性のあ
るものとなり、最終的な単結晶体は種子結晶と同じ結晶
軸方向をもつことになる。
体を従来のSSR法におけるのと同じ方法で作り、別に
用意した希望の結晶軸方向を持つ種子結晶と共に他のア
ンプルに再封入し、再結晶工程は従来法と同様で、温度
傾斜のついた炉に設置する。このように再結晶過程にお
いて方向性のある種子結晶と多結晶体とが接している
と、多結晶体の粒界成長による単結晶化は、種子結晶と
の接合面において開始するので、単結晶化は方向性のあ
るものとなり、最終的な単結晶体は種子結晶と同じ結晶
軸方向をもつことになる。
【0009】尚、種子結晶と多結晶体との接合面は、分
子レベルでの密着性が要求されるが、どのように精密な
加工を施しても、それは殆ど不可能である。しかしなが
ら、化合物半導体中の成分の一つを両者の間に介在させ
ると、再結晶過程の初期段階において、それが融解して
両者を分子レベルで完全に密着させることができる。こ
の介在成分は、再結晶工程での温度で融解するものでな
ければならないが、一方、蒸発したりすることのないよ
うな蒸気圧の比較的低いものでなければならない。
子レベルでの密着性が要求されるが、どのように精密な
加工を施しても、それは殆ど不可能である。しかしなが
ら、化合物半導体中の成分の一つを両者の間に介在させ
ると、再結晶過程の初期段階において、それが融解して
両者を分子レベルで完全に密着させることができる。こ
の介在成分は、再結晶工程での温度で融解するものでな
ければならないが、一方、蒸発したりすることのないよ
うな蒸気圧の比較的低いものでなければならない。
【0010】
【実施例】本発明の一実施例として化合物半導体の一つ
であるテルル水銀カドミウム(Hg1-xCdxTe)につ
いて図を用いて説明する。
であるテルル水銀カドミウム(Hg1-xCdxTe)につ
いて図を用いて説明する。
【0011】図1は、本発明を概略的に示した図で、
(a)はアンプルの構成を示し、(b)は炉の温度勾配
を示す。
(a)はアンプルの構成を示し、(b)は炉の温度勾配
を示す。
【0012】まず、アンプル1は従来と同じ高純度石英
製で内径10mm,長さ120mm,肉厚2mmであ
る。この中に従来法と同じ方法で作った重さ40gのテ
ルル化水銀カドミウム(組成:x=0.22)の多結晶
体2と、別に用意したテルル化カドミウム(CdTe)
からなり<111>を結晶軸とする種子結晶3と、さら
に両者の間に0.2mmの厚さになるように介在物テル
ル4とを収容し、従来同様にアンプルを真空封入した
(図1(a))。
製で内径10mm,長さ120mm,肉厚2mmであ
る。この中に従来法と同じ方法で作った重さ40gのテ
ルル化水銀カドミウム(組成:x=0.22)の多結晶
体2と、別に用意したテルル化カドミウム(CdTe)
からなり<111>を結晶軸とする種子結晶3と、さら
に両者の間に0.2mmの厚さになるように介在物テル
ル4とを収容し、従来同様にアンプルを真空封入した
(図1(a))。
【0013】こうして構成したアンプルを図1(b)の
ような温度傾斜を持つ縦型の電気炉の中に吊り下げた。
温度傾斜が20℃/cmであること、多結晶体2の上端
の温度Tが、この組成の材料の融点700℃を超えない
680℃であることは従来と同じである。所定の時間
(14日間)だけ再結晶のための熱処理を行い、室温ま
で冷却した結晶体を取り出し、縦切りにして断面を種々
の方法で調べた。6本の単結晶育成の結果は、全て全体
が一つの単結晶体となっており、長手方向の結晶軸が種
子結晶と同じ<111>であることが認められた。
ような温度傾斜を持つ縦型の電気炉の中に吊り下げた。
温度傾斜が20℃/cmであること、多結晶体2の上端
の温度Tが、この組成の材料の融点700℃を超えない
680℃であることは従来と同じである。所定の時間
(14日間)だけ再結晶のための熱処理を行い、室温ま
で冷却した結晶体を取り出し、縦切りにして断面を種々
の方法で調べた。6本の単結晶育成の結果は、全て全体
が一つの単結晶体となっており、長手方向の結晶軸が種
子結晶と同じ<111>であることが認められた。
【0014】尚、種子結晶と多結晶体との間に介在させ
たテルルは、結晶育成の初期段階において融解して両者
の隙間を埋め、かつ時間とともに多結晶材料を自分の中
に溶かし込み、それが飽和する種子結晶上に単結晶とし
て析出させることによって自分はより上方へと次第に位
置を変えて行き、最後には結晶体の上端部に到達する。
テルルの具体的経路は、0.2mmの厚さのまま平行に
持ち上がっていくのではなく、多結晶体の粒界をたどり
ながら、即ち多くの経路をほぼ同時にたどって結晶材料
と場所を交換しながら上昇していく。このことは、熱処
理の中途段階で熱処理を中止して結晶体を縦切りにして
観察することによって確認された。このテルルの量は、
種子結晶と多結晶材料の平行性が良ければ、即ち隙間が
少なければ少量ですむが、発明者らの現在のレベルでは
上述の値となった。この量でも単結晶の下端と上端で組
成値を比較しても殆ど有意差は認められなかった。
たテルルは、結晶育成の初期段階において融解して両者
の隙間を埋め、かつ時間とともに多結晶材料を自分の中
に溶かし込み、それが飽和する種子結晶上に単結晶とし
て析出させることによって自分はより上方へと次第に位
置を変えて行き、最後には結晶体の上端部に到達する。
テルルの具体的経路は、0.2mmの厚さのまま平行に
持ち上がっていくのではなく、多結晶体の粒界をたどり
ながら、即ち多くの経路をほぼ同時にたどって結晶材料
と場所を交換しながら上昇していく。このことは、熱処
理の中途段階で熱処理を中止して結晶体を縦切りにして
観察することによって確認された。このテルルの量は、
種子結晶と多結晶材料の平行性が良ければ、即ち隙間が
少なければ少量ですむが、発明者らの現在のレベルでは
上述の値となった。この量でも単結晶の下端と上端で組
成値を比較しても殆ど有意差は認められなかった。
【0015】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば従
来法と異なり、種子結晶を使用するので、結晶体全体が
単結晶化され、従って長手方向に所定の結晶軸方向を持
たせることができる。その結果、結晶育成の歩留りを向
上させることができると同時にEPDやX線トポグラフ
による結晶の評価を容易にすることができる。
来法と異なり、種子結晶を使用するので、結晶体全体が
単結晶化され、従って長手方向に所定の結晶軸方向を持
たせることができる。その結果、結晶育成の歩留りを向
上させることができると同時にEPDやX線トポグラフ
による結晶の評価を容易にすることができる。
【図1】本発明の概略を説明する図で、(a)はアンプ
ルの構成図、(b)は炉の温度分布を示す図である。
ルの構成図、(b)は炉の温度分布を示す図である。
【図2】従来のSSR法の原理を示した図で、(a)は
アンプルの構成図、(b)は温度分布を示す図である。
アンプルの構成図、(b)は温度分布を示す図である。
1 アンプル 2 多結晶体 3 種子結晶 4 テルル
Claims (1)
- 【請求項1】 固相再結晶(Solid State
Recrystallize=SSR)法によって化合
物半導体の単結晶を育成するに際し、多結晶材料に隣接
させて種子結晶を置き、さらに両者の隙間に多結晶材料
中の一成分を少量介在させたことによって、この多結晶
材料を単結晶化することを特徴とする単結晶の育成方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8531891A JP2692410B2 (ja) | 1991-04-17 | 1991-04-17 | 単結晶の育成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8531891A JP2692410B2 (ja) | 1991-04-17 | 1991-04-17 | 単結晶の育成方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04317488A JPH04317488A (ja) | 1992-11-09 |
JP2692410B2 true JP2692410B2 (ja) | 1997-12-17 |
Family
ID=13855269
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8531891A Expired - Lifetime JP2692410B2 (ja) | 1991-04-17 | 1991-04-17 | 単結晶の育成方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2692410B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103194799B (zh) * | 2013-03-27 | 2017-10-03 | 中国科学院福建物质结构研究所 | 红外非线性光学单晶体硫镓锡 |
-
1991
- 1991-04-17 JP JP8531891A patent/JP2692410B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04317488A (ja) | 1992-11-09 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4530192B2 (ja) | 単結晶粉末の製造方法 | |
JPS6345198A (ja) | 多元系結晶の製造方法 | |
Deitch et al. | Bulk single crystal growth of silicon-germanium | |
JP2692410B2 (ja) | 単結晶の育成方法 | |
KR100883228B1 (ko) | 결정성 제어 산화마그네슘 단결정 및 그 제조 방법 및 그단결정을 사용한 기판 | |
JP2555847B2 (ja) | 低抵抗半導体結晶基板及びその製造方法 | |
US4708763A (en) | Method of manufacturing bismuth germanate crystals | |
JP3583117B2 (ja) | 熱電素子用結晶体及びその製造方法並びに熱電素子の製造方法 | |
JP2709272B2 (ja) | 昇華法における結晶化速度の測定方法 | |
US4483736A (en) | Method for producing a single crystal of a IIIb -Vb compound | |
JP2969385B2 (ja) | 単結晶の製造方法 | |
JP2922039B2 (ja) | 単結晶の成長方法 | |
JPS59152285A (ja) | 単結晶の製造法 | |
JP2736343B2 (ja) | 半絶縁性InP単結晶の製造方法 | |
JPS6011294A (ja) | 単結晶成長方法 | |
JP2922038B2 (ja) | 化合物半導体単結晶の製造方法 | |
Sharma et al. | The preparation of InSb films | |
JPH01138199A (ja) | 鉛錫テルル系半導体単結晶 | |
JPH07206577A (ja) | レアア−ス・ガリウム・ペロブスカイト単結晶の育成方法 | |
JP2828868B2 (ja) | Ii−vi族化合物半導体の液相結晶成長方法 | |
JPS58115088A (ja) | シリコン単結晶の育成方法 | |
JPH0517196B2 (ja) | ||
JPH06256091A (ja) | 無双晶(Nd,La)GaO3単結晶およびその製造方法 | |
JPH0725533B2 (ja) | シリコン多結晶インゴツトの製造方法 | |
JPH08104600A (ja) | テルル化カドミウム単結晶の製造方法およびこれに用いられる鋳型 |