JPH08104600A - テルル化カドミウム単結晶の製造方法およびこれに用いられる鋳型 - Google Patents

テルル化カドミウム単結晶の製造方法およびこれに用いられる鋳型

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JPH08104600A
JPH08104600A JP25906494A JP25906494A JPH08104600A JP H08104600 A JPH08104600 A JP H08104600A JP 25906494 A JP25906494 A JP 25906494A JP 25906494 A JP25906494 A JP 25906494A JP H08104600 A JPH08104600 A JP H08104600A
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single crystal
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cadmium telluride
cadmium
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Sadao Yamashita
定雄 山下
Shuichi Kawasaki
秀一 川崎
Rudorufu Piitaa
ピーター・ルドルフ
Tsuguo Fukuda
承生 福田
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NIPPON KETSUSHIYOU KOGAKU KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡便な方法で、複雑な育成装置を用いること
なく容易に高抵抗の単結晶がバラツキなく得られるテル
ル化カドミウム単結晶の製造方法およびこれに用いられ
る鋳型を提供する。 【構成】 上部に開口部分を有するアンプル内に化学量
論比の原料を送入すると共に、上下方向に貫通した縦細
長の所定形状の中空部分を有し、黒鉛または石英製の複
数の割り型から形成される鋳型を該アンプル内に装入
し、次いで該アンプル内を真空排気した後、上記開口部
分を封止して真空となし、ブリッジマン法または温度勾
配凝固法によって単結晶を育成することを特徴とするテ
ルル化カドミウム単結晶の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はテルル化カドミウム単結
晶の製造方法およびこれに用いられる鋳型に関し、特に
放射線検出器用に用いられる高抵抗のテルル化カドミウ
ム単結晶の簡便、かつ安定な製造方法およびこれに用い
られる鋳型に関する。
【0002】
【従来の技術】テルル化カドミウムは放射線検出用の半
導体検出器材料として注目されている。
【0003】従来、テルル化カドミウム結晶の育成法と
しては、次の方法がある。すなわち、石英アンプル中に
カドミウム、テルルを化学量論比で混合あるいはテルル
化カドミウム多結晶を真空封入し、これを溶融後アンプ
ルを温度勾配中で移動して固化させるブリッジマン法
(VB)、開管系で高圧中、原料を溶融固化させる高圧
ブリッジマン法(VE)、アンプル位置を固定し温度分
布のみを変化させる温度勾配凝固法(TGF)、テルル
化カドミウム融液表面を酸化ホウ素等の不揮発性物質で
覆い、カドミウムの揮発を抑制して単結晶を引き上げる
液体封止チョクラルスキー法、テルルを溶剤として用い
多結晶原料と接触させながらテルル化カドミウム単結晶
を得るTHM法等である。
【0004】しかしながら、アンプル中に原料を封入し
融液固化するブリジッマン法(VB)、温度勾配凝固法
(TGF)では、アンプルの径方向に温度差が生じ、固
液界面が凹になるため結晶粒界が外部に抜けにくく、単
結晶になりにくい。また高温ではカドミウムの蒸気圧が
テルルのそれに比較して10倍程度大きいので、アンプ
ル中の上部の空間に融液表面からカドミウムが優先的に
蒸発し、さらに融液内には対流が発生しているので、得
られる単結晶の組成を決定する融液全体の組成が化学量
論比からカドミウムの少ない側にずれたものとなる。
【0005】一方、THM法では成長速度が小さく極め
て長い育成時間を要するため、工業的量産には不向きで
ある。またテルルを溶剤として使用するため常に化学量
論比からテルルの多い側にずれた組成となる。
【0006】このように、いずれの育成法も化学量論比
からずれた組成となるため、得られる結晶は低抵抗とな
り、放射線検出器の用途に要求される特性を満足しな
い。この点を回避するため予めカドミウムの蒸気圧を付
加しておく方法やカドミウムを過剰に添加する方法が報
告されているが、いずれも工程や装置が複雑となり、工
業的量産に有利とはいえない。
【0007】また、他元素を添加する方法も行われてお
り、例えば塩素の場合、テルル過剰の組成となっても塩
素がカドミウムの欠陥を補償することにより、結果とし
て高抵抗の単結晶が得られる。他には、セレン等を加え
エネルギーギャップを広げることにより高抵抗を得る方
法もある。通常の化学量論比組成の原料から得られた単
結晶における比抵抗は高々104Ω・cmと低く、カド
ミウムの蒸発分を予め考慮し補償する育成法や他元素を
添加する手法を用いた場合には109〜1010Ω・cm
のものが得られている。
【0008】しかしながら、複雑な形状をしたアンプル
や多段階の温度分布をもつ炉を必要としたり、操作手順
が煩雑となり、結果としてコスト高になる。さらに、通
常広く用いられている育成坩堝やアンプルでは、径方向
の寸法が極めて大きく、径方向に温度差が生じてしま
う。このため固液界面が凹になり、多結晶となり易い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これら従来
技術の課題を解消し、簡便な方法で、複雑な育成装置を
用いることなく容易に高抵抗の単結晶がバラツキなく得
られるテルル化カドミウム単結晶の製造方法およびこれ
に用いられる鋳型を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は特定
の鋳型を用いることによって達成される。
【0011】すなわち、本発明は、上部に開口部分を有
するアンプル内に化学量論比の原料を送入すると共に、
上下方向に貫通した縦細長の所定形状の中空部分を有
し、黒鉛または石英製の複数の割り型から形成される鋳
型を該アンプル内に装入し、次いで該アンプル内を真空
排気した後、上記開口部分を封止して真空となし、ブリ
ッジマン法または温度勾配凝固法によって単結晶を育成
することを特徴とするテルル化カドミウム単結晶の製造
方法にある。
【0012】本発明では、上下方向に貫通した縦細長の
所定形状の中空部分を有し、黒鉛または石英製の複数の
割り型から形成される単結晶製造用鋳型を用いる。この
鋳型は、図1(a)〜(c)に示されるような凹部
(溝)を有する割り型1aから形成される。この割り型
1aは石英または高純度の黒鉛製であり、東海興商製グ
ラッシカーボンで表面をコートしたもの等が好適に用い
られる。また、この割り型の凹部(溝)が鋳型の中空部
分となる。
【0013】この鋳型の形状はアンプル内に好適に装入
される形状であることが必要である。また、上下方向に
貫通して設けられた縦細長の中空部分は、必要形状のテ
ルル化カドミウム単結晶を得るための所定形状とする。
石英製の鋳型は予め必要厚さのカーボンを表面にコート
してもよい。これは、結晶の鋳型へのぬれを防ぎ、単結
晶育成後に単結晶を鋳型から取り出すのを容易にするた
めである。
【0014】次に、図2(a)〜(b)に示されるよう
に、上部に開口部分を有するアンプル2内に化学量論比
の原料3を送入すると共に、上記した鋳型1を該アンプ
ル2内に装入する。アンプルは石英製のものが好ましく
用いられる。
【0015】化学量論比の原料としてはカドミウム、テ
ルルを混合して用いるが、あるいはテルル化カドミウム
多結晶を用いる。この際に、塩素やセレンを加えてもよ
い。
【0016】次いで、図3に示されるように、アンプル
2内を真空排気した後、図4に示されるように、アンプ
ル2の開口部を封止してアンプル内を真空とする。
【0017】そして、このようにして得られたアンプル
を用いて垂直または水平ブリッジマン法や温度勾配凝固
法によって鋳型の中空部分にテルル化カドミウム単結晶
を育成する。このような本発明の製造方法では、鋳型の
中空部分に形状に沿った結晶性のよい単結晶が成長して
おり、それらの比抵抗は108〜1010Ω・cmと極め
て高い値である。
【0018】
【作用】このような本発明でもアンプル上部空間へのカ
ドミウムの蒸発は従来と同様避けられない。ただ鋳型の
中の縦細長の中空部分ではアンプルの径方向に温度差が
なく融液の対流が抑制されるため、カドミウムが蒸発し
た組成の融液は鋳型外上部の上記カドミウム蒸気接触部
分近傍だけに限られる。すなわち、カドミウムの蒸発か
ら隔離された鋳型内の融液では、内部の熱拡散現象のみ
がカドミウムの輸送に関与することになるので、融液全
体での物質の輸送が行われず、カドミウムの少ない融液
表面近傍領域を除く下部にある残りの融液は化学量論比
に保たれる。このため単結晶の組成も化学量論比とな
り、高抵抗の単結晶を得ることができる。但し、前述の
ように、アンプル上部の空間はカドミウムの蒸気で満た
されるため、空間と接する融液表面の組成は従来の方法
と同様にカドミウムは少なくなる。
【0019】また、本発明では単結晶の成長が鋳型中の
小さな縦細長の中空部分で行われるので、径方向の温度
分布の影響は無視できるため、平坦な固液界面で成長し
単結晶が得やすい。
【0020】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説
明する。
【0021】実施例1 幅8mmが1本、4mmが1本、2mmが2本、深さが
2mmの溝(鋳型の中空部分となる)を持ち、断面の中
心角が60°の扇形となっている3種類の高純度カーボ
ン製割り型を2個づつ6個組み合わせ鋳型を作成した。
組み合わせ後は直径30mm、高さが40mmの円柱と
なった。直径が30mmよりわずかに大きい石英アンプ
ルの底部にテルル化カドミウム多結晶原料を送入し、そ
の上にこの組み合わせた鋳型をセットした。さらにその
上にテルル化カドミウム多結晶原料を送入した。挿填し
た多結晶の総重量は120gである。その後、真空排
気、真空封入した。
【0022】このアンプルを炉にセットし、1100℃
まで加熱し原料を融解した後に、1時間に1℃の割合の
冷却による温度勾配凝固法でテルル化カドミウム単結晶
を育成した。育成されたテルル化カドミウム単結晶の比
抵抗は2×109Ω・cmであった。
【0023】実施例2 断面が半月状で2個組み合わせると円柱となる石英製の
半円柱の側平面部に幅8mm、深さ1mmの溝2本をつ
けた割り型を準備した。この割り型2個を平面部を対向
させ、8mm×2mmの中空部分が2箇所あり、直径が
30mmの円柱となる鋳型を作成した。円柱の高さは4
0mmである。この鋳型表面にカーボンをコートし組み
合わせた後、直径が30mmよりわずかに大きい石英ア
ンプルの底部にテルル・セレン化カドミウム多結晶原料
を送入し、その上にこの組み合わせた鋳型をセットし
た。さらにその上にテルル・セレン化カドミウム多結晶
原料を送入した。挿填した多結晶の総重量は110gで
ある。その後、真空排気、真空封入した。
【0024】このアンプルを炉にセットし、アンプル底
部の温度がテルル化カドミウムの融点1092℃になる
ように加熱融解後、1時間に0.7mmの引き下げ速度
のブリッジマン法でテルル化カドミウム単結晶を育成し
た。育成されたテルル化カドミウム単結晶の比抵抗は8
×108Ω・cmであった。
【0025】実施例3 カーボンコートをしない石英製鋳型を用い、テルル化カ
ドミウム多結晶を原料として用いた以外は実施例2と同
様にしてテルル化カドミウム単結晶を育成した。この場
合はテルル化カドミウム単結晶が鋳型から容易に剥がせ
るように鋳型表面を清浄にしておく必要がある。この場
合のテルル化カドミウム単結晶の比抵抗は4×109Ω
・cmであった。
【0026】
【発明の効果】本発明によって、アンプルの径方向の融
液の温度差をなくし、融液の対流を抑えることにより簡
便な装置で複雑な操作を行わずにバラツキのない良質の
高抵抗テルル化カドミウム単結晶を安定に得ることがで
きる。
【0027】本発明の製造方法では径方向の温度分布が
無視できることから、現在大きな単結晶の育成が困難な
他のII−VI化合物の育成にも応用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に用いられる割り型の一例を斜視図。
【図2】 アンプル内に化学量論比の原料を送入すると
共に、鋳型を装入した状態を示す断面図。
【図3】 アンプル内を真空脱気した状態を示す断面
図。
【図4】 アンプル内を真空封止した状態を示す断面
図。
【符号の説明】
1a:割り型、1:鋳型、2:アンプル、3:原料。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上部に開口部分を有するアンプル内に化
    学量論比の原料を送入すると共に、上下方向に貫通した
    縦細長の所定形状の中空部分を有し、黒鉛または石英製
    の複数の割り型から形成される鋳型を該アンプル内に装
    入し、次いで該アンプル内を真空排気した後、上記開口
    部分を封止して真空となし、ブリッジマン法または温度
    勾配凝固法によって単結晶を育成することを特徴とする
    テルル化カドミウム単結晶の製造方法。
  2. 【請求項2】 上下方向に貫通した縦細長の所定形状の
    中空部分を有し、黒鉛または石英製の複数の割り型から
    形成され、アンプル内に装入される単結晶製造用鋳型。
JP25906494A 1994-09-29 1994-09-29 テルル化カドミウム単結晶の製造方法およびこれに用いられる鋳型 Pending JPH08104600A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103754838A (zh) * 2014-02-08 2014-04-30 张家港绿能新材料科技有限公司 一种快速制备碲化镉粉末的方法和设备

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