JPH06256091A - 無双晶(Nd,La)GaO3単結晶およびその製造方法 - Google Patents

無双晶(Nd,La)GaO3単結晶およびその製造方法

Info

Publication number
JPH06256091A
JPH06256091A JP6751293A JP6751293A JPH06256091A JP H06256091 A JPH06256091 A JP H06256091A JP 6751293 A JP6751293 A JP 6751293A JP 6751293 A JP6751293 A JP 6751293A JP H06256091 A JPH06256091 A JP H06256091A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
single crystal
gao
pulling
twin
free
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP6751293A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3152322B2 (ja
Inventor
Masahiro Sasaura
正弘 笹浦
Shintaro Miyazawa
信太郎 宮澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Telegraph and Telephone Corp filed Critical Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority to JP06751293A priority Critical patent/JP3152322B2/ja
Publication of JPH06256091A publication Critical patent/JPH06256091A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3152322B2 publication Critical patent/JP3152322B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】クラックや双晶を含まない(Nd,La)Ga
3単結晶製造を可能とする組成(La/Nd比)を明
確にし、(Nd,La)GaO3単結晶の引上げ法によ
る育成技術において育成中にもまた育成後の冷却中にも
クラックや双晶が入らない単結晶製造方法を提供するこ
とを目的とする。 【構成】Nd1-xLaxGaO3(0<x<0.3)であ
る無双晶(Nd,La)GaO3単結晶と、引上げ軸方
向の温度勾配を(Nd,La)GaO3融液の液面直上
において45℃/cm以下とし、引上げ中の(Nd,L
a)GaO3単結晶を(融点−60)℃を越えて冷却さ
せず、上記引上げ工程終了後、無双晶(Nd,La)G
aO3単結晶を60℃/hr以下の冷却速度で室温まで
冷却する、次いで任意にアニールすることを特徴とする
製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は無双晶(Nd,La)G
aO3単結晶およびその製造方法、さらに詳細には酸化
物超伝導薄膜成長の基板材料等として使用する(Nd,
La)GaO3単結晶を無双晶単結晶として製造せしめ
得る混合組成および製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、LaGaO3、NdGaO3を代表
とするガレート酸化物は酸化物超伝導体薄膜用格子整合
基板としての有効性が報告されている(例えば、Sandst
rom等、Applied Physics Letters 53(1988)1874)。こ
れらのガレート酸化物単結晶基板上に酸化物超伝導体を
エピタキシャル成長させて成膜する際、そのガレート基
板と酸化物超伝導体薄膜の成膜温度における格子整合性
が成膜時の薄膜の成長様式、膜質に影響を及ぼす。理想
的には成膜温度における格子不整合率が0%であれば、
それは成膜時に疑似的なホモエピタキシャル成長条件を
満足し、良質膜を成膜せしめる望ましい基板である。
【0003】酸化物超伝導体をYBa2Cu3xとした
場合、上記LaGaO3、NdGaO3ガレート酸化物の
成膜温度における格子整合率は、それぞれ−0.10
%、0.26%であり、疑似的なホモエピタキシャル成
長条件を満足するまでに至らない(格子整合率は、式
(af−as)/{(af+as)/2}より計算した。こ
こで、afおよびasは、それぞれ薄膜および基板の格子
定数を示す)。しかし、上記格子不整合率を詳しく見る
と、YBa2Cu3xを基準として各々のガレート酸化
物の格子定数は、それぞれLaGaO3が僅かに大き
く、NdGaO3が僅かに小さい。したがって、これら
二つのガレート酸化物を混晶とすれば、格子不整合率0
%の単結晶基板を製造することが可能である。このよう
に酸化物超伝導体薄膜基板としてガレート酸化物の混晶
材料を用いることの報告は、1989年にKoen等によっ
てApplied Physics Letters Vol.54の1056頁
に記述されたLa0.95Gd0.05GaO3単結晶が最初で
ある。(Nd,La)GaO3ガレート酸化物混晶に関
しては、1991年に大石等によって特開平3−279
250号に報告されているのが最初である。しかし、基
板用単結晶には上述の格子整合性に加えて、成膜した薄
膜の膜質に影響を及ぼすクラックや双晶等の結晶欠陥を
含まない単結晶であることが重要であり、上記(Nd,
La)GaO3ガレート酸化物混晶を酸化物超伝導体薄
膜用基板として用いる際にはその(Nd,La)GaO
3ガレート混晶をクラックや双晶を含まない単結晶とし
て育成製造し基板として用いることを目的とした、組成
の明確化や製造方法の確率が重要である。(Nd,L
a)GaO3混晶単結晶の一構成要素であるLaGaO3
は、室温から融点までの間に二つの構造相変態点を有し
ており(小林等、Journal of Material Science 6(199
1)97)、この構造相変態が単結晶作製時に発生するクラ
ックや双晶の原因となっている。したがって、構造相変
態を有せずクラックや双晶を含まない単結晶の作製が可
能なNdGaO3とクラックや双晶を含んだ単結晶しか
作製できないLaGaO3を構成要素とする(Nd,L
a)GaO3混晶は、そのLa/Nd比に依存してクラ
ックや双晶のない単結晶を製造できる組成範囲が限られ
ることは容易に推測できる。しかし、上記発明(特開平
3−279250号)では、これらの点について何ら言
及をしていない。
【0004】上記NdGaO3ガレート単結晶の製造方
法に関しては、1956年フラックス法を用いて初めて
試みられたが、フラックスに用いる鉛酸化物の混入によ
る品質の低下と得られる単結晶の小ささ(5mm角程
度)が報告されている(Remeika, Journal of American
Chemical Society 78(1956)4259)。これらの問題を解
決すべく、シリコン単結晶等の製造において一般的な単
結晶製造法である引上げ法の適用が1975年より試み
られているが、熱応力によるクラックや双晶発生のた
め、アフターヒーターを用いない一般的な引上げ装置で
は直径10mm程度の小さい無双晶単結晶しか得ること
ができなかった(Ruse等,Journal of Crystal Growth
29(1975)305)。また、LaGaO3ガレート単結晶に関
しては、引上げ法により製造されているが、現在のとこ
ろ、無双晶の単結晶は得られていない。
【0005】図5に従来一般的に使用されている高周波
誘導加熱式の引上げ装置の図面を示す。図中、1はイリ
ジウム製ルツボ、3は高周波加熱コイル、4は保温筒、
5は融液、6は石英管、7は熱電対である。母原料とな
る焼結体をイリジウム製ルツボ1に充填し、高周波加熱
コイル3で融解し、種結晶を融液につけて回転させなが
ら引上げて(Nd,La)GaO3を育成する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】図5に示した方法で種
々のLa/Nd比を持つ(Nd,La)GaO3単結晶
を育成したところ、育成中において単結晶にクラックや
双晶が入り、良質な単結晶を得ることができなかった。
また、クラックや双晶が少ない単結晶でも引上げ工程終
了後の冷却工程や単結晶引上げ装置から取り出した後の
放置中に単結晶にクラックや双晶が入ることがあった。
このため、従来の方法で育成した単結晶からは直径20
mm程度の大きな直径の単結晶基板を得ることは不可能
であった。また、直径10mm程度の小さい径の単結晶
基板でも歩留まりは非常に低伊という問題点があった。
【0007】したがって、本発明はクラックや双晶を含
まない(Nd,La)GaO3単結晶製造を可能とする
組成(La/Nd比)を明確にし、良質な格子整合基板
を提供することを目的とする。また、(Nd,La)G
aO3単結晶の引上げ法による育成技術において育成中
にもまた育成後の冷却中にもクラックや双晶が入らない
単結晶製造方法を提供することを目的とする。さらに、
本発明は引上げ法で製造した(Nd,La)GaO3
結晶が放置中にクラックや双晶が入ることを防止する方
法を提供することも目的とする。
【0008】
【問題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
め、本発明による無双晶(Nd,La)GaO3単結晶
は、Nd1-xLaxGaO3(0<x<0.3)であるこ
とを特徴とする。
【0009】また本発明による無双晶(Nd,La)G
aO3単結晶の製造方法は、単結晶製造用引上げ炉中で
種結晶を(Nd,La)GaO3融液に接触させ、引上
げた後、冷却する無双晶(Nd,La)GaO3単結晶
の製造方法において、前記(Nd,La)GaO3融液
はNd1-xLaxGaO3(0<x<0.3)単結晶とな
るための組成を有し、前記単結晶引上げ炉内の引上げ軸
方向の温度勾配は(Nd,La)GaO3融液の液面直
上において45℃/cm以下であり、引上げ中の(N
d,La)GaO3単結晶を(融点−60)℃を越えて
冷却させないよう調整するとともに、無双晶(Nd,L
a)GaO3単結晶の上記引上げ工程終了後、無双晶
(Nd,La)GaO3単結晶を60℃/hr以下の冷
却速度で室温まで冷却することを特徴とする。
【0010】また本発明による無双晶(Nd,La)G
aO3単結晶の製造方法は、単結晶製造用引上げ炉中で
種結晶を(Nd,La)GaO3融液に接触させ、引上
げた後、冷却する無双晶(Nd,La)GaO3単結晶
の製造方法において、前記(Nd,La)GaO3融液
はNd1-xLaxGaO3(0<x<0.3)単結晶とな
るための組成を有し、前記単結晶引上げ炉内の引上げ軸
方向の温度勾配は(Nd,La)GaO3融液の液面直
上において45℃/cm以下であり、引上げ中の(N
d,La)GaO3単結晶を(融点−60)℃を越えて
冷却させないよう調整するとともに、無双晶(Nd,L
a)GaO3単結晶の上記引上げ工程終了後、無双晶
(Nd,La)GaO3単結晶を60℃/hr以下の冷
却速度で室温まで冷却したのち、製造された無双晶(N
d,La)GaO3単結晶を1000℃以上の温度でア
ニールすることを特徴とする。
【0011】また、本発明に係る単結晶引上げ装置は、
(Nd,La)GaO3の融液を溶融するルツボと、前
記ルツボ内の融液を加熱する加熱手段と、前記ルツボの
開口部から引上げられた単結晶の側面を取り囲みかつ引
上げ方向にテーパを有する中空体アフターヒーターと、
アフターヒーターの外側を取り囲む保温筒と、を含んで
なる単結晶引上げ装置であり、前述の(Nd,La)G
aO3単結晶の引上げ軸方向の温度勾配を(Nd,L
a)GaO3融液の液面直上において45℃/cm以下
とすること、かつ引上げ中の(Nd,La)GaO3
結晶を(融点−60)℃を越えて冷却させないことを満
足するよう調整を加えてある。
【0012】以下本発明の構成を説明する。
【0013】本発明による無双晶(Nd,La)GaO
3単結晶は、(Nd,La)GaO3の混晶において、N
1-xLaxGaO3(0<x<0.3)の組成を有して
いる。
【0014】(Nd,La)GaO3混晶単結晶の一構
成要素であるLaGaO3は、室温から融点までの間に
二つの構造相変態点を有しており、この構造相変態が単
結晶作製時に発生するクラックや双晶の原因となってい
る。本発明者は詳細な(Nd,La)GaO3混晶に対
する熱分析の結果、Nd1-xLaxGaO3で表記される
組成0<x<0.3において上述の構造相変態が存在せ
ず、クラックや双晶のない単結晶を製造できる組成範囲
であることを見い出した。図1はLa濃度と融点および
相変態温度との関係を示す図であり、図中、実線は融点
を示し、○、×は相変態温度の文献値、測定値をそれぞ
れ示す。この図より明らかなようにxが0.3未満の組
成においては、室温から融点まで構造相変態が存在しな
い。すなわち上述の組成は、室温から融点までの温度領
域において構造相変態が存在しない組成であり、クラッ
クや双晶のない(Nd,La)GaO3単結晶を製造し
得る組成範囲である。
【0015】次に、本発明の無双晶(Nd,La)Ga
3単結晶の製造方法を説明すると、本発明において
は、単結晶製造用引上げ炉中で種結晶を(Nd,La)
GaO3融液に接触させ、引上げた後、冷却して無双晶
(Nd,La)GaO3単結晶を製造するに際し、まず
Nd1-xLaxGaO3(0<x<0.3)単結晶となる
ための組成を有する前記(Nd,La)GaO3融液を
形成する。
【0016】本発明の単結晶製造法の融液の素原料は、
Nd23とLa23とGa23の粉末を使用することが
できる。これらの酸化物粉末は99.99%以上の高純
度品であることが好ましい。これらの酸化物を混合し直
ちにルツボで溶解することもできるが、混合粉を加圧成
型した後、焼結を行った焼結体原料を使用することが溶
解中の原料の蒸発などを少なくする上で好ましい。ま
た、焼結体原料は混合時より所望の組成比の(Nd,L
a)GaO3とすることも可能であるし、(Nd,L
a)GaO3は混晶酸化物であるから一旦その構成酸化
物であるLaGaO3とNdGaO3を作製し、それらの
焼結体を所望の組成となるようルツボに充填することも
可能である。所望の組成に配合した焼結体原料をルツボ
に充填し、高周波熱または抵抗加熱で1500〜160
0℃で融解して融液を形成する。
【0017】次に、種結晶を取付けた引上げ棒を上部よ
り前記融液に接触させ、引上げ棒を回転させながら引上
げ、(Nd,La)GaO3単結晶を育成する。
【0018】この時、引上げ炉の融液液面上の温度勾配
が二つの温度勾配条件を満たすことが必要である。すな
わち第一は、前記単結晶引上げ炉内の引上げ軸方向の温
度勾配を(Nd,La)GaO3融液の液面直上におい
て45℃/cm以下とすることである。
【0019】本発明者らは図5に示すような従来の引上
げ炉内の温度勾配を測定したところ、約70℃/cmの
非常に高い温度勾配を有することを見い出した。この高
い温度勾配は(Nd,La)GaO3単結晶の育成にお
いては単結晶にクラックや双晶を発生させる程過度の熱
応力を誘起する原因であり、(Nd,La)GaO3
液の液面直上において温度勾配をなだらかに設定するこ
と、かつ引上げ中の(Nd,La)GaO3単結晶を過
度に冷却させず単結晶中に急激な温度勾配をつけないこ
とがクラックおよび双晶発生防止に有効であることを見
い出した。すなわち、(Nd,La)GaO3融液直上
の温度勾配が45℃/cmを越えると、融液直上でクラ
ックや双晶を発生させる熱応力が発生し、クラックや双
晶の発生に至る。引上げ中の単結晶のある温度勾配を従
来より緩やかになるように制御する。従来法と本発明法
の温度勾配を上記区間で比較すると、従来法では区間全
体で温度勾配が急峻になっていた。
【0020】次に、第二の温度勾配を説明する。
【0021】上述のような(Nd,La)GaO3融液
直上の温度勾配を45℃/cm以下に設定しても、引上
げ中の(Nd,La)GaO3単結晶が(融点−60)
℃を越えた温度勾配を持った場合、単結晶中にクラック
や双晶を発生させる熱応力が発生し、クラックや双晶の
発生に至る。
【0022】このクラックや双晶を発生させない温度勾
配を作り出すためには、ルツボ内の(Nd,La)Ga
3融液の加熱手段が高周波誘導コイルであるときは、
前述の従来の引上げ装置の構成物に加え、後述の図3に
示す単結晶引上げ装置に示すようにアフターヒーターの
付加、上記アフターヒーターの位置の調節、高周波誘導
コイルの位置調節等が必要である。さらに、抵抗加熱で
ルツボを加熱するときは多段ヒーターを設け、個々のヒ
ーターを調節することにより所定温度勾配を設定するこ
とができる。
【0023】次に、引き上げた(Nd,La)GaO3
単結晶を60℃/hr以下の冷却速度で室温まで冷却す
る。
【0024】さらに、二つの温度勾配を設定した方法で
無双晶でクラックや双晶の発生を防止した際も双晶が僅
かに発生する場合があった。本発明者はこの原因は引上
げた無双晶(Nd,La)GaO3単結晶を室温まで冷
却する際に単結晶中に発生する熱応力によることを発見
した。すなわち図2に示す臨界応力に対応する臨界冷却
速度を説明する図より明らかなように、60℃/hr以
下の冷却速度で室温まで冷却することが冷却時に発生す
る双晶をより安定に防止することができることを見い出
した。引上げ後の冷却工程において、育成した単結晶に
クラックや双晶が発生しやすい冷却速度を緩やかにして
クラックや双晶の防止に有効である。
【0025】上述の方法において、無双晶(Nd,L
a)GaO3単結晶を製造することができるが、本発明
においては育成されたインゴットに放置中にクラックや
双晶が発生することを防止するために、本発明の方法は
引上げ・冷却後に1000℃以上の温度でアニールする
こともできる。
【0026】アニールは引上げ後インゴットに残存する
熱応力歪を少なくする手段である。この方法は従来法で
炉から取り出した後の放置中に発生するクラックや双晶
の防止に有効である。これにより、インゴットを全長お
よび全断面で均熱し、引上げ・冷却後インゴットに残っ
ている熱応力歪を取り除きクラックや双晶を少なくする
ことができる。アニールは引上げ炉とは独立したアニー
ル炉を使用してもよく、あるいは均熱のよい条件が得ら
れれば、引上げ炉内で引上げ後連続的にアニールしても
よい。
【0027】次に、本発明の製造方法を実施するための
引上げ炉について説明する。
【0028】すなわち、図3に示すように本発明を実施
するための引上げ炉は、(Nd,La)GaO3の融液
を溶融するルツボ1と、前記ルツボ1内の融液5を加熱
する加熱手段3と、前記ルツボ1の開口部から引上げら
れた単結晶の側面を取り囲みかつ引上げ方向にテーパを
有する中空体アフターヒーター2と、アフターヒーター
2の外側を取り囲む保温筒4と、を含んでなる単結晶引
上げ装置であり、前述の(Nd,La)GaO3単結晶
の引上げ軸方向の温度勾配を(Nd,La)GaO3
液の液面直上において45℃/cm以下とすること、か
つ引上げ中の(Nd,La)GaO3単結晶を(融点−
60)℃を越えて冷却させないことを満足するよう調整
を加えてある。なお、符号6は石英管、7は熱電対であ
る。
【0029】本発明者は引上げ炉構造を種々検討し、そ
の結果アフターヒーター2が少なくとも前記(Nd,L
a)GaO3融液の液面から20mm以上の区間に存在
する構造にすることによりクラックや双晶を防止するこ
とができることを見い出した。また、高周波誘導コイル
の位置を調節することによりアフターヒーター内の温度
勾配を緩和し、引上げ中の(Nd,La)GaO3単結
晶にクラックや双晶の発生をより安定に防止することが
できることを見い出した。
【0030】以下、図1を参照して実施例により本発明
をさらに詳しく説明する。
【0031】
【実施例1】等モル量のNd23とGa23およびLa
23とGa23を混合し、それぞれ加圧成型後1200
℃で焼結し、NdGaO3焼結体およびLaGaO3焼結
体を作製した。得られた焼結体を組成Nd0.8La0.2
aO3となるよう、直径50mmのイリジウム製ルツボ
1にいれ、高周波コイル3による加熱により97%窒素
と3%酸素の割合で混合した雰囲気中で1600℃で融
解した。
【0032】引上げ装置のイリジウム製ルツボ1の上方
にはイリジウム製アフターヒーター2を融液5の液面か
ら20mm〜80mmの区間にテーパ角度約70°をも
って設けた。その外側にはアルミナ製保温筒4を同軸上
に設けた。これらにより結晶引上げ区間の温度勾配を緩
やかにする。
【0033】引上げ棒(図示せず)の先端に着けられた
種結晶(直径4mm)を融液5に接触させて、回転数2
0rpm、引上げ速度1.0mm/hrで引上げ、高周
波コイル3の出力をコントロールしながら単結晶を育成
した。
【0034】上記方法により得られた単結晶引上げ軸方
向の温度分布を図4に示す。融液直上の温度勾配は45
℃/cmであり、単結晶引上げ区間の温度は融点下60
℃を越えて冷却されることはなかった。
【0035】冷却は60℃/hr以下の冷却速度で行な
った。
【0036】上記方法により4本のインゴットを製造し
たが単結晶育成中にも単結晶冷却中にもクラックや双晶
が発生しなかった。
【0037】また、製造した無双晶Nd0.8La0.2Ga
3単結晶の格子定数より成膜温度におけるYBa2Cu
3xとの格子整合率を見積ったところ、0.002%で
あり、従来の基板に比べて最もよい格子整合性を持つこ
とが明らかとなった。したがって、この単結晶は、クラ
ックや双晶がなく、成膜時に疑似的なホモエピタキシャ
ル成長条件を満足するYBa2Cu3x酸化物超伝導体
薄膜成長用基板として有用な単結晶であるということが
できる。
【0038】
【比較例】図5の装置により、アフターヒーターを付加
しないこと以外は実施例1と同じ方法によりインゴット
の引上げを行ったところ、単結晶引上げ区間の温度勾配
は70℃/cmであった。4本のインゴットは育成中に
クラックが発生し、3本のインゴットは放置中にクラッ
クおよび双晶が発生した。
【0039】
【実施例2】実施例1において育成中にクラックが発生
しなかったインゴット(育成後徐冷状態)を、直ちに均
熱性が優れたマッフル炉に入れ、酸素中で20℃/hr
で昇温し1000℃で10時間保持し、20℃/hrで
降温するアニールを行ったところ、その後の放置中のク
ラックや双晶の増加は起こらなかった。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば
(Nd,La)GaO3単結晶の製造において、その組
成をNd1-xLaxGaO3で表記される組成0<x<
0.3に限って、単結晶育成中にもまた放置中にもクラ
ックや双晶の発生を防止することができるので、歩留ま
りの向上および大型基板の製造に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】La濃度と融点および相変態温度との関係を示
す図。
【図2】臨界応力に対応する臨界冷却速度を説明する
図。
【図3】本発明の製造方法を実施するための単結晶引上
げ装置の構造を示す断面図。
【図4】実施例1における温度勾配を示す図。
【図5】従来の単結晶引上げ装置の断面図。
【符号の説明】
1 ルツボ 2 アフターヒーター 3 高周波加熱コイル 4 保温筒 5 融液 6 石英管 7 熱電対

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Nd1-xLaxGaO3(0<x<0.3)
    であることを特徴とする無双晶(Nd,La)GaO3
    単結晶。
  2. 【請求項2】単結晶製造用引上げ炉中で種結晶を(N
    d,La)GaO3融液に接触させ、引上げた後、冷却
    する無双晶(Nd,La)GaO3単結晶の製造方法に
    おいて、前記(Nd,La)GaO3融液はNd1-xLa
    xGaO3(0<x<0.3)単結晶となるための組成を
    有し、前記単結晶引上げ炉内の引上げ軸方向の温度勾配
    は(Nd,La)GaO3融液の液面直上において45
    ℃/cm以下であり、引上げ中の(Nd,La)GaO
    3単結晶を(融点−60)℃を越えて冷却させないよう
    調整するとともに、無双晶(Nd,La)GaO3単結
    晶の上記引上げ工程終了後、無双晶(Nd,La)Ga
    3単結晶を60℃/hr以下の冷却速度で室温まで冷
    却することを特徴とする無双晶(Nd,La)GaO3
    単結晶の製造方法。
  3. 【請求項3】単結晶製造用引上げ炉中で種結晶を(N
    d,La)GaO3融液に接触させ、引上げた後、冷却
    する無双晶(Nd,La)GaO3単結晶の製造方法に
    おいて、前記(Nd,La)GaO3融液はNd1-xLa
    xGaO3(0<x<0.3)単結晶となるための組成を
    有し、前記単結晶引上げ炉内の引上げ軸方向の温度勾配
    は(Nd,La)GaO3融液の液面直上において45
    ℃/cm以下であり、引上げ中の(Nd,La)GaO
    3単結晶を(融点−60)℃を越えて冷却させないよう
    調整するとともに、無双晶(Nd,La)GaO3単結
    晶の上記引上げ工程終了後、無双晶(Nd,La)Ga
    3単結晶を60℃/hr以下の冷却速度で室温まで冷
    却したのち、製造された無双晶(Nd,La)GaO3
    単結晶を1000℃以上の温度でアニールすることを特
    徴とする無双晶(Nd,La)GaO3単結晶の製造方
    法。
JP06751293A 1993-03-03 1993-03-03 無双晶(Nd,La)GaO3単結晶およびその製造方法 Expired - Fee Related JP3152322B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP06751293A JP3152322B2 (ja) 1993-03-03 1993-03-03 無双晶(Nd,La)GaO3単結晶およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP06751293A JP3152322B2 (ja) 1993-03-03 1993-03-03 無双晶(Nd,La)GaO3単結晶およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06256091A true JPH06256091A (ja) 1994-09-13
JP3152322B2 JP3152322B2 (ja) 2001-04-03

Family

ID=13347115

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP06751293A Expired - Fee Related JP3152322B2 (ja) 1993-03-03 1993-03-03 無双晶(Nd,La)GaO3単結晶およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3152322B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06321696A (ja) * 1993-05-14 1994-11-22 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> NdGaO3 単結晶の製造方法
WO2011130926A1 (zh) * 2010-04-23 2011-10-27 海洋王照明科技股份有限公司 含有金属粒子的稀土离子掺杂镓酸镧盐发光材料及其制备方法
CN102586875A (zh) * 2012-03-26 2012-07-18 苏州先端稀有金属有限公司 一种蓝宝石晶体生长热场用钨板筒

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06321696A (ja) * 1993-05-14 1994-11-22 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> NdGaO3 単結晶の製造方法
WO2011130926A1 (zh) * 2010-04-23 2011-10-27 海洋王照明科技股份有限公司 含有金属粒子的稀土离子掺杂镓酸镧盐发光材料及其制备方法
US8821759B2 (en) 2010-04-23 2014-09-02 Ocean's King Lighting Science & Technology Co., Ltd. Rare earth ion doped lanthanum gallate luminous material containing metal particles and preparation method thereof
CN102586875A (zh) * 2012-03-26 2012-07-18 苏州先端稀有金属有限公司 一种蓝宝石晶体生长热场用钨板筒

Also Published As

Publication number Publication date
JP3152322B2 (ja) 2001-04-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5817172A (en) Preparation of oxide crystals
US4040895A (en) Control of oxygen in silicon crystals
EP0635588B1 (en) Improved method for growing silicon crystal
JPH062635B2 (ja) 巨大磁歪合金ロツドの製造方法
TW202113167A (zh) ScAlMgO4單晶及其製作方法和自支撐基板
JP3152322B2 (ja) 無双晶(Nd,La)GaO3単結晶およびその製造方法
JP3172389B2 (ja) シリコンウエーハの製造方法
JP2828118B2 (ja) 単結晶の製造方法および単結晶引上げ装置
JP2733899B2 (ja) レアア−ス・ガリウム・ペロブスカイト単結晶の育成方法
JP2969385B2 (ja) 単結晶の製造方法
US6171390B1 (en) Method for preparing oxide single crystalline materials
JPH09309791A (ja) 半導体単結晶の製造方法
JP2531875B2 (ja) 化合物半導体単結晶の製造方法
JP2929006B1 (ja) 高品質結晶薄板材料の製造方法
JP2781857B2 (ja) 単結晶の製造方法
JPH07101800A (ja) 1−lll−VI2 族化合物単結晶の製造方法
JPS62176999A (ja) Hgl―xo Cdxo Te結晶インゴットの製造方法
JPH0692781A (ja) 単結晶の製造方法及び製造装置
US4234376A (en) Growth of single crystal beryllium oxide
JP3412767B2 (ja) NdGaO3 単結晶の製造方法
JPH03199198A (ja) ランタンガレート単結晶およびその製造方法
JPS62167213A (ja) シリコン多結晶インゴツトの製造方法
JP2000053491A (ja) 単結晶育成方法及び装置
JPH0782075A (ja) 酸化物単結晶の育成方法
JPH0798715B2 (ja) シリコン単結晶の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees