JP2688880B2 - 構築物の断熱構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、構築物の断熱構造に
係り、特に液状の断熱材を吹付けて断熱層を躯体の内壁
面に形成させる断熱構造において防熱工事を簡単に果し
得る構築物の断熱構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】構築物においては、断熱、結露防止のた
めに、躯体の内壁面に断熱材を設け、また、躯体の内壁
面には、桟材の一面を取付け、この桟材の他面には合板
等の内装材を取付けている。

【０００３】近時、構築物の防熱工事にあっては、液状
の断熱材を躯体の内壁面に吹付け（スプレー工法）、断
熱層を形成させているものがある。この場合に、断熱材
は、液状であり、発泡ガスを封入した独立気泡のウレタ
ン樹脂発泡体からなり、発泡機によって躯体の内壁面に
吹付けられると、自己接着して瞬時に発泡、硬化して断
熱層となるものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、従来、断熱
材を吹付けて断熱層を躯体の内壁面に形成する構築物の
防熱工事の際に、先ず、躯体の内壁面に桟材の一面を取
付け、また、この桟材の他面にシート等で養生をし、そ
して、発泡機によつて液状の断熱材を躯体の内壁面に向
って吹付けると、この液状の断熱材が躯体の内壁面に自
己接着して瞬時に発泡、硬化し、断熱層が形成される。
次いで、桟材の養生を取外し、この桟材の他面には、内
装材を取付けている。

【０００５】しかしながら、液状の断熱材を吹付けて躯
体の内壁面に断熱層を形成する関係で、桟材に養生を施
工する必要があるので、断熱材の吹付け前の養生をする
作業や断熱材の吹付け後の養生の取外し作業をしなけれ
ばならず、防熱工事の作業工程が増加し、防熱工事が面
倒になるという不都合があった。

【０００６】

【課題を解決するための手段】そこで、この発明は、上
述の不都合を除去すべく、一面が躯体の内壁面に取付け
られるとともに他面には内装材が取付けられる桟材を設
け、前記躯体の内壁面には断熱材を吹付けて断熱層を形
成させる構築物の断熱構造において、前記桟材の一面に
は該桟材の一面を前記躯体の内壁面に固着する接着層を
設け、前記桟材の他面には該桟材の他面に付着された前
記断熱層を剥離させる剥離層を設けたことを特徴とす
る。

【０００７】

【作用】この発明の構成によれば、構築物の防熱工事の
際に、先ず、一面に接着層が設けられているとともに他
面に剥離層が設けられた桟材を準備し、この桟剤の一面
を接着層によって躯体の内壁面に固着し、そして、液状
の断熱材を躯体の内壁面に向って吹付けると、この液状
の断熱材が躯体の内壁面及び桟材の他面で発泡し、硬化
し、断熱層となる。そして、桟材の他面に付着した断熱
層は、この桟材の他面に剥離層が存在することにより、
容易に取除くことができる。従って、従来の如き桟材の
養生を不要とし、防熱工事の作業工程を低減し、防熱工
事を簡単に行わせることができる。

【０００８】

【実施例】以下図面に基づいてこの発明の実施例を詳細
且つ具体的に説明する。図１〜６は、この発明の実施例
を示すものである。図２において、２は構築物、４は例
えばコンクリート製の躯体、４ａはこの躯体４の外壁
面、４ｂは躯体４の内壁面、６は内装材である。

【０００９】躯体４の内壁面４ｂには、内装材６を取付
けるために、桟材８が取付けられる。

【００１０】この桟材８は、例えば、木製からなり、図
１に示す如く、所定の長さＡと幅Ｂと厚さＣとによって
方形状に形成されている。

【００１１】この桟材８には、前記躯体４の内壁面４ｂ
に固着される一面８ａ全体に例えば両面接着テープから
なる接着層１０が設けられるとともに、内装材６が取付
けられる他面８ｂ全体には例えば液状の剥離層１２が設
けられる。前記接着層１０としては、例えば、液状の粘
着剤等の他の接着手段とすることも可能である。また、
前記剥離層１２としては、例えば、粉末状の剥離剤等の
他の剥離手段とすることも可能である。

【００１２】また、躯体４の内壁面４ｂには、断熱層１
４が形成される。この断熱層１４は、発泡機１６（図
３、４参照）により液状の断熱材を吹付けによって躯体
４の内壁面４ｂに付着させて形成されるものである。

【００１３】この液状の断熱材は、最初、発泡ガスを封
入した独立気泡のウレタン樹脂発泡体であり、発泡機１
６によって躯体４の内壁面４ｂに吹付けられて自己接着
すると、瞬時に発泡、硬化し、断熱層１４となったもの
である。

【００１４】この断熱層１４は、躯体４の内外で断熱を
果すとともに、結露防止を果すものである。

【００１５】次に、この実施例の作用を説明する。

【００１６】構築物２の防熱工事に際し、先ず、図１に
示す如く、一面８ａに接着層１０が設けられるとともに
他面８ｂに剥離層１２が設けられた桟材８を準備する。

【００１７】そして、この桟材８の一面８ａを、図３に
示す如く、接着層１０によって躯体４の内壁面４ｂに固
着して取付ける。

【００１８】次いで、図４に示す如く、発泡機１６によ
って液状の発泡体を躯体４の内壁面４ｂに向って吹付け
ると、この発泡体が自己接着して、瞬時に発泡し、硬化
し、桟材８の厚さＣよりも小なる所定厚さＤの断熱層１
４ｐ−１が形成される。このとき、桟材８の他面８ｂに
も、断熱層１４ｐー２が形成される。

【００１９】この桟材８の他面８ｂに付着した断熱層１
４ｐ−２は、この他面８ｂに剥離層１２が設けられてい
ることから、図５に示す如く、容易に取外すことができ
る。

【００２０】よって、躯体４の内壁面４ｂには、図５に
示す如く、桟材８を除いた部分で、所定厚さＤの断熱層
１４が形成されることになる。

【００２１】そして、この桟材８の他面８ｂには、図６
に示す如く、内装材６が所定の取付手段（図示せず）に
よつて取付けられる。

【００２２】この結果、この実施例によれば、従来の如
き桟材８の他面８ｂに付着される断熱層１４Ｐ−２のた
めに、桟材８の養生を不要とするので、その養生をする
作業やその養生を取外す作業がなくなり、防熱工事の作
業工程を低減し、防熱工事を簡単に行わせることができ
る。

【００２３】なお、この実施例は、上述の実施例に限定
されず、種々応用改変が可能であることは勿論である。

【００２４】例えば、上述の実施例において、桟材８
を、木製としたが、硬度発泡スチロール製や合成樹脂製
等の他の材質で形成することも可能である。

【００２５】また、桟材８の形状を、方形状としたが、
縦長、幅広、幅狭、円形等の他の形状にすることも可能
である。

【００２６】更に、桟材８を、断熱層１４と同一の熱伝
導率の材質とすることも可能である。このように、桟材
８と断熱層１４とを同一の熱伝導率からなる材質にすれ
ば、桟材８と断熱層１４との温度状態が均一となり、結
露の発生をより効果的に防止することができる。

【００２７】

【発明の効果】以上詳細な説明から明らかなようにこの
発明によれば、桟材の一面には該桟材の一面を躯体の内
壁面に固着する接着層を設け、桟材の他面には該桟材の
他面に付着された断熱層を剥離させる剥離層を設けたこ
とにより、従来の如き桟材の養生を不要とし、防熱工事
の作業工程を低減し、防熱工事を簡単とし得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】桟材の斜視図である。

【図２】断熱層及び内装材を取付けた構築物の一部断面
図である。

【図３】躯体の内壁面に桟材を取付けた状態の断面図で
ある。

【図４】液状の断熱材を躯体の内壁面に向って吹付けた
状態の断面図である。

【図５】桟材の他面に付着した断熱層を取除いた状態の
断面図である。

【図６】桟材の他面に内装材を取付けた状態の断面図で
ある。

【符号の説明】

２ 構築物 ４ 躯体 ６ 内装材 ８ 桟材 １０ 接着層 １２ 剥離層 １４ 断熱層

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一面が躯体の内壁面に取付けられるとと
   もに他面には内装材が取付けられる桟材を設け、前記躯
   体の内壁面には断熱材を吹付けて断熱層を形成させる構
   築物の断熱構造において、前記桟材の一面には該桟材の
   一面を前記躯体の内壁面に固着する接着層を設け、前記
   桟材の他面には該桟材の他面に付着された前記断熱層を
   剥離させる剥離層を設けたことを特徴とする構築物の断
   熱構造。