JP2686461B2 - 金属蒸着積層体 - Google Patents

金属蒸着積層体

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JP2686461B2 JP63166670A JP16667088A JP2686461B2 JP 2686461 B2 JP2686461 B2 JP 2686461B2 JP 63166670 A JP63166670 A JP 63166670A JP 16667088 A JP16667088 A JP 16667088A JP 2686461 B2 JP2686461 B2 JP 2686461B2
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【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は金属蒸着積層体に関する。更に詳しくは、蒸
着膜の接着性および蒸着面の印刷性、ラミネート適性に
優れ、かつ、耐ブロッキング性、スリップ性の優れた金
属蒸着積層体に関する。
〔従来技術〕
プラスチックフィルムまたはシート等に金属を蒸着し
た金属蒸着フィルムもしくはシートは、装飾性、ガスバ
リヤー性および光線遮断性等に優れているため、食品包
装用、建築材料等に低く用いられている。
特に、アルミニウム蒸着フィルムが包装用用途を中心
に広範囲に使用されている。しかしながら市販のポリプ
ロピレン系樹脂からなるフィルムに金属を蒸着した従来
の金属蒸着フィルムは、ベースフィルムと蒸着膜の接着
力が弱く、また、蒸着金属がアルミニウムの場合は蒸着
面の印刷性、他種フィルムとの接着性が著しく低下する
等の問題が多く用途開拓上の大きな障害となっている。
本発明者は、これら従来品の問題点の原因究明とその
対策について検討し、通常ポリプロピレンフィルムまた
はシート等に添加されているステアリン酸カルシウム、
オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等の高級脂肪酸誘導
体がそれら問題点の主原因であることを見出した。しか
し、これら高級脂肪酸誘導体を含有しないフィルムまた
はシート等はスリップ性、耐ブロッキング性が著しく劣
り、特に厚みの薄いフィルムの場合は、フィルム加工や
蒸着加工その他後加工の各工程で“しわ(皺)”がきわ
めて発生しやすく、かつ、“巻きこぶ”が発生したりし
て巻き癖の無い均一な巻姿のフィルムを得る事は困難で
あった。また、この高級脂肪酸誘導体は経時的にブリー
ドアウトし蒸着膜の接着性を著しく低下させる原因とな
っており、ポリプロピレン系金属蒸着フィルム又はシー
トの用途開拓の大きな障害となっていた。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、従来のポリプロピレン系樹脂からなるフィ
ルムに金属蒸着したものが、ベースフィルムと蒸着膜と
の接着性加工性が弱く、特にアルミ蒸着の場合に蒸着面
の印刷性、ラミネート適性が低いことを解決すると共
に、スリップ性、耐ブロッキング性を悪化させることな
く、蒸着膜の接着性、印刷性、ラミネート適性を改良し
た金属蒸着積層体を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は前記課題を解決するため鋭意研究を行った結
果、少なくとも特定の構成を有する表面層(A)層と裏
面層(B)層を有する積層体の表面層(A)層の面に金
属蒸着することによって目的とする蒸着フィルムまたは
シートが得られることを見出し本発明に到達した。
すなわち本発明は、少なくとも下記表面層(A)層及
び裏面層(B)層を有する2層以上からなる積層体の
(A)層上に金属が蒸着されている事を特徴とする金属
蒸着積層体であり、 (A)層:結晶性ポリプロピレン系樹脂100重量部に対
し、結晶性エチレン・プロピレン共重合体を不飽和カル
ボン酸またはその誘導体から選ばれた少なくとも1種で
変性した変性エチレン・プロピレン共重合体0.5〜100重
量部を配合した組成物からなる層、 (B)層:(A)層に用いた結晶性ポリプロピレン系樹
脂より5℃以上低い結晶融点を有する結晶性ポリプロピ
レン系共重合体100重量部に対し、密度が0.94g/cm3以上
の高密度ポリエチレン1〜10重量部を配合した組成物か
らなる層、 に関するものである。
以下、その構成について更に詳述する。
本発明の(A)層に用いる結晶性ポリプロピレン系樹
脂は、プロピレンの単独又はプロピレンを主成分とする
エチレン又は炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合
体であり、たとえば結晶性ポリプロピレン、結晶性エチ
レン・プロピレンランダム共重合体、結晶性ポリプロピ
レン・ブテン−1共重合体、結晶性ポリプロピレン・エ
チレン・ブテン−1三元共重合体等が挙げられる。これ
らは、たとえば、チーグラー・ナッタ系等の公知のα−
オレフィンの立体規則性触媒を用いて、スラリー法、溶
液法及び気相重合法等の公知の方法で単独重合、または
共重合させる事によって得ることが出来る。
これらの重合体及び共重合体は広く公知のものである
が、本発明の(A)層では、結晶性ポリプロピレン、プ
ロピレン成分を80重量%以上含有する結晶融点が145℃
以上の結晶性ポリプロピレン系ランダム共重合体または
それらの混合物が望ましい。このうち結晶融点が150℃
以上の物が特に望ましい。
また、本発明の(A)層に用いるグラフト化エチレン
・プロピレン共重合体は、不飽和カルボン酸、たとえば
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸あるいはそれら
の酸の無水物等を公知の種々の方法でエチレン・プロピ
レン共重合体にグラフト重合する事によって得る事が出
来る。不飽和カルボン酸をグラフトする方法は公知の種
々の方法、たとえば共重合体をベンゼンなどの有機溶剤
に溶かした後、窒素雰囲気下で有機過酸化物(たとえば
ジ−t−ブチルパーオキサイド)を加え、撹拌下で加熱
反応せしめ、反応後冷却、洗浄、過、乾燥して得る方
法または押出機内で溶融混合せしめる方法等によって得
ることが出来る。このうち不飽和カルボン酸としては無
水マレイン酸を、共重合体としては結晶性エチレン・プ
ロピレンブロック共重合体を用いて有機過酸化物の存在
下、加熱反応(または溶融混合)する方法が望ましい。
共重合体へのグラフトモノマーのグラフト率は、通常
0.1〜20重量%であり、好ましくは0.2〜10重量%が良
い。また、グラフト化エチレン・プロピレン共重合体の
添加量は、結晶性ポリプロピレン系樹脂100重量部に対
して0.5〜100重量部であり、蒸着膜の接着性及び蒸着面
の高輝度(光沢)を両立させるためには、エチレンの共
重合割合が5.0重量%以上のグラフト化結晶性エチレン
・プロピレンブロック共重合体を1〜20重量部添加する
のが特に望ましい。
また、(B)層に用いる結晶性プロピレン系共重合体
は(A)層に用いる共重合体と同系のものでもよいが、
その結晶融点が(A)層の重合体または共重合体よりも
5℃以上低いものでなければならない。この(A)層と
の融点差が5℃未満の場合はヒートシールの際、シール
部の蒸着膜の変質、膜割れの発生等が生じ易く好ましく
ない。この(B)層には結晶融点が145℃以下で、
(A)層との融点差が10℃以上のランダム共重合体が特
に望ましい。この望ましいランダム共重合体としては、
エチレンの共重合割合が4〜8重量%の結晶性エチレン
・プロピレンランダム共重合体、ブテン−1の共重合割
合が10〜25重量%の結晶性プロピレン・ブテン−1共重
合体またはエチレンの共重合割合が0.3〜5重量%およ
びブテン−1の共重合割合が1〜20重量%の結晶性エチ
レン・プロピレン・ブテン−1三元共共重合体等が挙げ
られる。
本発明で(B)層に用いる結晶性プロピレン系共重合
体中には、共重合体100重量部に対して密度が0.94g/cm3
以上の高密度ポリエチレン1〜10重量部を添加するが、
この高密度ポリエチレンは、エチレンを主成分として中
低圧法で重合される公知のポリエチレンであり、このう
ち密度0.95g/cm3以上でメルト・フローレート(MFR:190
℃,2.16kg)が2.0g/10分以上で該共重合体のMFR(MFR:2
30℃,2.16kg)との比、すなわち、 ポリエチレンのMFR/共重合体のMFRが、0.5以上更に望
ましくは0.7〜5.5の範囲のものを2〜6重量部添加する
のが特に望ましい。
本発明の(A)層に用いる結晶性ポリプロピレン系樹
脂とグラフト化エチレン・プロピレン共重合体との組成
物および(B)層に用いる結晶性ポリプロピレン系共重
合体と高密度ポリエチレンとの組成物中には、本発明の
目的を阻害しない範囲内で公知の添加剤や他種ポリマー
等を添加出来るが、蒸着膜の接着性、蒸着面の印刷、ラ
ミネート適性等の低下を防止するため、きわめて特定さ
れた酸化防止剤、無機充填剤および他種ポリマー類に限
定し、添加量も最少限度にするのが望ましい。
即ち、従来から結晶性ポリプロピレン系樹脂からなる
フィルムまたはシートに通常添加されている滑剤、帯電
防止剤、中和剤等の主成分である脂肪酸およびその誘導
体、常温で液状の添加剤、可塑剤等は蒸着膜の接着力を
低下させるのみならず蒸着面の印刷性、接着性をも著し
く阻害するので、これらを含有させるのは好ましくな
い。従って、添加出来る望ましい添加剤はきわめて限定
され、具体的には分子量が500以上の熱安定剤、酸化防
止剤、シリカ、ゼオライト、炭酸カルシウム等の無機充
填剤、上記の脂肪酸およびその誘導体等の阻害物質を含
有しない密度0.94g/cm3未満のポリエチレン系樹脂、無
定形エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・α
−オレフィン共重合体ゴム、有機硬化樹脂微粉体等を選
択して用いるのが望ましい。
本発明の(A)層に用いる結晶性ポリプロピレン系樹
脂とグラフト化エチレン・プロピレン共重合体とを配合
する方法、(B)層に用いるプロピレン系共重合体と高
密度ポリエチレンとを配合する方法、および、それらと
上記の限定された添加剤とを配合する方法は、これらが
均一に分散、混合する方法であればいずれでも良い。具
体的には例えば、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサ
ー等でよく混合して均一分散させる方法、更にそれらの
混合物を押出機等を用いて溶融混練した後、冷却し、ペ
レット状の組成物として用いても良い。
本発明の少なくとも表面層(A)層と裏面層(B)層
を含有する2層以上の積層体の積層の方法は、二台以上
の押出機を用いて溶融押出し、共押出複層ダイ法、フィ
ードブロック法等の公知の方法で、溶融状態で積層した
のち水槽または冷却ロール等で冷却して得る共押出積層
法、フィルムまたはシートの一方の面または両表面に溶
融押出して積層する方法、(A)層、(B)層を各々フ
ィルムまたはシートにした後、A層が表面に、B層が裏
面にくるように2種以上のフィルムまたはシートを接着
剤を用いて貼り合わせ積層するドライ(または無溶媒)
ラミネート法等公知の方法を用いる事が出来るが、この
うち本発明においては、表面層(A)層、裏面層(B)
層の厚みが任意に調製し得る共押出積層法が特に有効で
ある。
この共押出積層法を用いて(A)、(B)層2層の厚
み比を、どちらか一方が両層の合計の20〜80%の範囲に
選択して行なうのが特に望ましい。なお、本発明の基本
構成は(A)/(B)の2層であるが、その変形として
3種以上の積層が可能な共押出装置を用いて、同種また
は異種の中間層を加えて3層以上の積層体とする事も出
来る。
このようにして得られた積層体の(A)層面に金属を
蒸着するが、この(A)層面には蒸着膜の接着性を向上
させる為に表面処理を施す事が望ましい。この表面処理
の方法は、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理及
び酸処理等いずれでもよいが、積層体を連続的に処理出
来、かつ、成膜時に巻き取る前に容易に実施出来るコロ
ナ放電処理が簡便で最も望ましく、プラズマ処理、火炎
処理も望ましい。尚、この処理に際しては、加熱下また
は不活性ガス等の雰囲気下等の効果促進手法を用いても
良い。
この表面処理の度合いは、JIS K6758「ポリエチレン
及びポリプロピレンのぬれ試験方法」に基づき測定した
ぬれ指数が37dyn/cm以上になるように処理するのが特に
望ましい。
尚、この(A)層に表面処理した後、ポリエステル
系、ポロウレタン系、エポキシ樹脂等のアンカーコート
(Anchor Cort)を施してから蒸着してもよい。
次に、この(A)層に金属を蒸着する方法は、真空蒸
着法、すなわち、真空蒸着装置内で、装置内の気圧を10
-4〜10-5Torr程度に減圧し、アルミニウム、ニッケル、
金、銀等の目的とする金属を付着させたフィラメントを
加熱して、該金属を溶解蒸発させ、蒸着分子を繰り出さ
れたフィルム又はシートの表面に連続的に蒸着させ巻き
取る方法が一般的であるが、その他に真空中で放電させ
たときに陰極を構成する金属が飛散する現象を利用した
スパッタリング蒸着やイオンプレーティング法によって
も可能である。尚、蒸着させる金属は、アルミニウム、
金、銀、銅、ニッケル、クロム、ゲルマニウム、チタ
ン、ゲルマニウム、セレン、スズ、亜鉛等が挙げられる
が、作業性、経済性、輝度、安全性等総合的にみてアル
ミニウムが特に望ましい。金属蒸着層の厚さは、通常、
数十ないし数百オングストローム(Å)程度が接着性お
よび耐久性の面で望ましい。
このようにして得られた本発明の金属蒸着積層体は、
それ自身単体でも有用であるが、蒸着面の印刷、ラミネ
ート適性が優れている特長を生かし、装飾性、商品イメ
ージの向上を目的に印刷したり、蒸着面にアンカーコー
トした後ポリエステル、ナイロンおよびエバール等の他
種フィルムまたはシート等をラミネートしてさらにその
機能を向上させたりする事も出来る。
(特性の測定方法及び評価基準) 本発明における特性の測定及び評価は、以下の方法及
び基準で行なった。
(1) メルトフローレート(MFR):JIS K7210-1976に
基づき、プロピレン系重合体及び共重合体(グラフト化
物も含む)は試験条件14(230℃、2.16kg)、ポリエチ
レン類は、試験条件4(190℃、2.16kg)で測定した。
(単位:g/10分) (2) 結晶融点(Tm):走査型差動熱量計(略称:DS
C)を用いて窒素雰囲気下で、10mgの試料を10℃/分の
速度で昇温させて得られる結晶の融解に伴う吸熱カーブ
のピーク温度(単位:℃)で表す。
(3) ぬれ指数:JIS K6768の方法でフィルムまたはシ
ート面および金属蒸着面共に測定した。(単位:dyn/c
m) (4) 蒸着膜の接着性:蒸着フィルムまたは蒸着シー
トの蒸着膜側にウレタン系接着剤を介して、二軸延伸ポ
リエステル(PET)フィルムを貼り合わせた後、この両
者を剥離するのに要する90度剥離強度(単位:g/15mm)
で表わす。通常、(A)層面と蒸着膜との間で剥離が生
じる。この値が大きいほど接着性は良好である。
(5) 蒸着面の印刷、ラミネート適性:片面にアルミ
ニウム蒸着したフィルムまたはシートの蒸着面(金属
面)と非蒸着面(フィルム面)を重ね合わせ、1.0kg/10
0cm2の荷重をかけて温度40℃、相対湿度95%の雰囲気下
に72時間放置した後、蒸着面のぬれ指数を測定する。良
好な印刷、ラミネート適性と評価されるには、このぬれ
指数が35以上、望ましくは37以上が必要であり、このぬ
れ指数から以下のランク付けとした。
ぬれ指数(dyn/cm) ランク 37 以上 ○ 35〜36 △ 34 以下 × (6) スリップ性(滑り摩擦係数):ASTM D1894-63に
定められた方法で測定した蒸着フィルムの非蒸着面同志
の運動摩擦係数で示す。
(7) ブロッキング力:2cm×7cm(幅×長さ)の試料
の非蒸着面同志を長さ2cmにわたり重ね合わせ、250g/cm
2の荷重下で40℃で24時間放置した後、引張試験機を用
いて300mm/min.の速度下における試料の剪断剥離に要す
る力を求めた。(単位:g/4cm2)この数値が小さい程耐
ブロッキング性は良い。
〔実施例・比較例〕
以下、実施例および比較例に基づき、さらに本発明を
詳細に説明するが、本発明はこの実施例によって何等限
定されるものではない。
(実施例1〜4、比較例1〜4) MFR7.0g/10分、Tm163℃の結晶性ポリプロピレン100重
量部に、酸化防止剤としてテトラキス〔メチレン−3−
(3′,5′−ジ−ターシャリーブチル−4′−ヒドロキ
シフェニル)ブロピオネート〕メタン0.15重量部および
第1表に示す(A)層用の重合体又は共重合体を各々所
定量添加し、ヘンシェルミキサーで混合した後、押出機
を通して溶融押出しペレット化して、(A)層用の組成
物を得た。また、エチレンの共重合割合が3.3重量%、
ブテン−1の共重合割合が2.2重量%、Tm138℃の結晶性
エチレン・プロピレン・ブテン−1三元共重合体100重
量部に対し、上記の(A)層に用いたものと同様の酸化
防止剤0.15重量部を添加したもの、及びこれに第1表に
示した(B)層用のポリマー添加剤を各々所定量配合
し、(A)層用の組成物のペレット化と同様にして、
(B)層用の組成物を得た。
次に、二台の押出機及びこれに連結した二層Tダイを
用いて、第1表の各例に示す組み合わせで、一方の押出
機に(A)層用の組成物を、もう一方の押出機に(B)
層用の組成物を投入し、それぞれ220℃で溶融押出し、
連結した二層Tダイ内で同温度で溶融状態で積層し、押
出されたフィルムを30℃の冷却ロールで急冷し、継いで
(A)層面にコロナ放電処理を施した後巻き取り、
(A)/(B)層の厚み比1:1、全厚み30μ、処理面の
ぬれ指数が40dyn/cmの8種類の片面処理共押出二層フィ
ルムを得た。次に、このフィルムを連続真空蒸着装置に
セットし、10-4Torrに保った真空下でフィルムを連続的
に繰り出しながらフィルムの(A)層面に、アルミニウ
ム蒸着を施して巻き取り、蒸着膜の厚みが400Å(0.04
μ)の8種類の片面アルミニウム蒸着フィルムを得た。
得られた蒸着フィルムの特性を第1表に併せ表示し
た。第1表から明らかなように本発明の構成からなる実
施例1〜4は、いずれの特性も優れており、特に蒸着膜
の接着性、スリップ性および耐ブロッキング性は抜群で
あるが、比較例のフィルムはいずれかの特性が著しく劣
り、且つ、他の特性も劣っているものが多い。
(比較例5) 実施例1で用いた(A)層用のペレット状組成物を、
口径65mmの押出機及びこれに連結した単層Tダイを用い
て220℃で溶融押出し、30℃の冷却ロールで急冷してフ
ィルム状に成形し、次いで、片面にコロナ放電処理を施
した後巻取り、厚みが30μ、巾40cm、処理面のぬれ指数
が40dyn/cmの片面処理フラット状単層フィルムを得た。
次に、このフィルムを実施例1と同様に、フィルムの処
理面にアルミニウム蒸着を施して巻取り、蒸着膜の厚み
が400Å(0.04μ)の片面アルミニウム蒸着フィルムを
得た。この蒸着フィルムの蒸着膜の接着性は260g/15m
m、蒸着面の印刷、ラミネート適性は39dyn/cmとランク
○で良好レベルだったが、スリップ性1.33、ブロッキン
グ力1300g/4cm2と不良であり、蒸着フィルムの巻姿は、
局部的に皺が入り、巻きこぶが出来ており、きわめて平
滑性が劣り、全体的に実施例より劣るものであり、実用
し難いレベルであった。
(比較例6) 実施例1で(B)層用に用いたペレット状組成物を、
比較例5と同様にフィルム状に成形し、片面コロナ放電
処理した後、その処理面に同様にアルミニウム蒸着を施
して巻取り、蒸着膜の厚みが400Å(0.04μ)の片面ア
ルミニウム蒸着フィルムを得た。この蒸着フィルムの蒸
着膜の接着性は120g/15mm、スリップ性は0.85、ブロッ
キング力は660g/4cm2と、総合的に不充分なものであっ
た。
(実施例5) MFR5.5g/10分、Tm158℃、エチレンの共重合割合が0.7
重量%の結晶性エチレン・プロピレンランダム共重合体
(実施例1と同一の酸化防止剤を0.15重量%含む)ペレ
ット100重量部に対し、無水マレイン酸のグラフト率が
1.5重量%、エチレンの共重合割合が8.4重量%のグラフ
ト化結晶性エチレン・プロピレンブロック共重合体(酸
化防止剤として、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフ
ェニル)4,4′−ビフェニレン−ジフォスフォナイトを
0.1重量%及び平均粒径0.4μのハイドロタルサイト粉末
0.1重量%を含む)ペレットを5重量部配合し、タンブ
ラーで混合してペレット状の混合組成物を得、(A)層
用の組成物とした。次に、MFR6.3g/10分、エチレンの共
重合割合が4.3重量%、Tm140℃の結晶性エチレン・プロ
ピレンランダム共重合体(実施例1と同一の酸化防止剤
0.1重量%及び平均粒径1.2μのカルシウム置換型ゼオラ
イト粉末0.1重量%を含む)ペレット100重量部に対し、
MFR8.7g/10分、密度0.962g/cm3の高密度ポリエチレン
(酸化防止剤として、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリ
ス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
ベンゼン0.05重量%を含む)ペレット3.5重量部配合
し、同様にタンブラーにて混合してペレット状の混合組
成物を得、(B)層用の組成物とした。次に、実施例1
で用いたと同じ二台の押出機及びこれに連結した二層T
ダイを用いて、一方の押出機に(A)層用の組成物を、
もう一方の押出機に(B)層用の組成物を投入し、それ
ぞれ230℃で溶融押出し、連結した二層Tダイ内で、220
℃で積層した後押し出し、40℃の冷却ロールで急冷し、
次いで(A)層面にコロナ放電処理を施した後巻取り、
(A)層の厚み5μ、(B)層の厚み20μで全厚み25μ
の片面処理共押出二層フィルムを得た。このフィルム
を、スリッターを用いて幅50cm、長さ3000mにスリット
して巻取った後連続真空蒸着装置にセットし、10-5Torr
に保った真空下で、フィルムを連続的に繰りだしながら
フィルムの(A)層面にアルミニウム蒸着を施して巻取
り、蒸着膜の厚みが350Å(0.035μ)の片面アルミニウ
ム蒸着フィルムを得た。得られた蒸着フィルムの特性
は、蒸着面のぬれ指数48dyn/cm、蒸着膜の接着性が273g
/15mm、蒸着面の印刷、ラミネート適性がランク○、ス
リップ性が0.52,ブロッキング力が330g/4cm2と何れの特
性も良好であった。
(実施例6) MFR3.5g/10分、Tm159℃、ブテン−1の含有量が1.0重
量%の結晶性プロピレン・ブテン−1共重合体100重量
部に対し、アクリル酸のグラフト率が3.2重量%、エチ
レンの共重合割合が8.8重量%、Tm145℃(主ピーク)及
び128℃(副ピーク)MFR4.2g/10分のグラフト化結晶性
エチレン・プロピレンブロック共重合体9.0重量部、実
施例1で(A)層用に用いた酸化防止剤を0.1重量部及
び平均粒径0.4μのハイドロタルサイト粉末0.15重量部
を粉末状態で配合した後押出機を通して溶融混練し、冷
却、カットしてペレット状の(A)層用の組成物を得
た。
次に、MFR2.7g/10分、Tm130℃、エチレン含有量4.0重
量%及びブテン−1の含有量が4.5重量%の結晶性エチ
レン・プロピレン・ブテン−1三元共重合体100重量部
に対し、実施例5の(B)層で用いた酸化防止剤0.15重
量部及び密度0.965g/cm3、MFR13.3g/10分の高密度ポリ
エチレン6.0重量部を配合し、同様に押出機を通してペ
レット化して(B)層用の組成物とした。
次に、実施例5で用いたと同じ二台の押出機及び二層
Tダイを用いて、一方の押出機に(A)層用の組成物
を、もう一方の押出機に(B)層用の組成物を投入し、
それぞれ250℃で溶融押出し、連結した二層Tダイ内で2
40℃で積層し、押出されたシートを50℃の冷却ロールで
冷却し、次いで、(A)層面に火炎処理を施し、全厚み
0.22mm、(A)/(B)層の厚み比1:1、処理面のぬれ
指数が45dyn/cmの片面処理二層シートを得た。このシー
トを連続真空蒸着装置にセットし、10-4Torrの真空下で
シートの(A)層面に連続的にアルミニウム蒸着を施し
て巻取り、蒸着膜の厚みが500Åの片面アルミニウム蒸
着シートを得た。
この蒸着シートの特性は、蒸着膜の接着性は270g/15m
m、蒸着面の印刷、ラミネート適性はランク○、スリッ
プ性は0.48ときわめて良好であった。
〔発明の効果〕
本発明の金属蒸着積層体は、従来公知の金属蒸着フィ
ルムまたはシート等に比して蒸着膜がきわめて強固に接
着されており、蒸着面の印刷、ラミネート適性に優れ、
かつ、スリップ性、耐ブロッキング性が良いので、多色
印刷、あるいは延伸ポリエステルフィルム、延伸ポリプ
ロピレンフィルム等の基材フィルム等とのラミネート及
び自動製袋等の二次加工その他各加工工程での高速化、
収率向上等の生産性、作業性改善に効果大であり、更に
充填包装、製袋等ヒートシールの際にも蒸着膜の変質も
無く、その優れた装飾性、光線遮断性及びガスバリヤー
性等をより有効に活用出来るものであり、各種食品、繊
維製品等の包装用、建材用及び各種容器等広範囲に利用
出来る。
【図面の簡単な説明】
図1は本願の金属蒸着積層体の断面拡大説明図である。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも表面層(A)層及び裏面層
    (B)層を有する2層以上からなる積層体の表面層
    (A)層上に金属が蒸着されていることを特徴とする金
    属蒸着積層体、 (A)層:結晶性ポリプロピレン系樹脂100重量部に対
    し、結晶性エチレン・プロピレン共重合体を不飽和カル
    ボン酸またはその誘導体から選ばれた少なくとも1種で
    変性した変性エチレン・プロピレン共重合体0.5〜100重
    量部を配合した組成物からなる層、 (B)層:(A)層に用いた結晶性ポリプロピレン系樹
    脂より5℃以上低い結晶融点を有する結晶性ポリプロピ
    レン系共重合体100重量部に対し、密度が0.94g/cm3以上
    の高密度ポリエチレン1〜10重量部を配合した組成物か
    らなる層。
  2. 【請求項2】2層以上からなる積層体が共押出法により
    得られた積層体である請求項1記載の金属蒸着積層体。
  3. 【請求項3】不飽和カルボン酸またはその誘導体が無水
    マレイン酸またはアクリル酸である請求項1記載の金属
    蒸着積層体。
  4. 【請求項4】(B)層に用いる結晶性ポリプロピレン系
    共重合体が、プロピレン成分を80重量%以上含有し、結
    晶融点が150℃以下のプロピレンとエチレンまたは炭素
    数が4以上のα−オレフィンとの共重合体である請求項
    1記載の金属蒸着積層体。
  5. 【請求項5】(A)層に用いる変性エチレン・プロピレ
    ン共重合体が、無水マレイン酸で変性したエチレン含有
    量が5.0重量%以上の変性結晶性エチレン・プロピレン
    ブロック共重合体であり、その添加量が1〜20重量部で
    ある請求項1記載の金属蒸着積層体。
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