JP2010037497A - 薄膜形成用樹脂組成物、そのマスターバッチ、並びに、それを用いたガスバリア性を有するプラスチック容器若しくはフィルム及びその製造方法 - Google Patents

薄膜形成用樹脂組成物、そのマスターバッチ、並びに、それを用いたガスバリア性を有するプラスチック容器若しくはフィルム及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、ポリオレフィン系樹脂からなる成形体の表面にガスバリア薄膜を密着性よく成膜し、かつ、当該成形体に高いガスバリア性を付与することである。
【解決手段】本発明に係る薄膜形成用樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂70〜99.9質量%と変性低分子オレフィン系改質剤(A)30〜0.1質量%とからなり、前記変性低分子オレフィン系改質剤(A)が85〜99.9モル%のプロピレン及び15〜0.1モル%のエチレンを構成単位とするポリオレフィンの一次酸変性物(B1)であり、かつ、ガスバリア薄膜の被膜対象体の成形用材料であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオレフィンで形成された容器、フィルム等の成形物の表面に、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜等の機能性薄膜を成膜する場合、その機能を充分に発揮させるための改質処理を行なったポリオレフィン樹脂系樹脂組成物及びそのマスターバッチに関する。さらに薄膜形成用樹脂組成物が用いられているガスバリア性を有するプラスチック容器若しくはフィルム並びにその製造方法に関する。
プラスチックは、極めて広い範囲の産業で使用されているが、特にポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンは使用量が多く、産業上重要である。プラスチックの基本物性は、広い範囲の産業における使用条件を満足するが、一方で単体のプラスチック材料であらゆる要求物性を満たすことは困難である。そこで、プラスチック材料に薄膜形成等の表面処理や添加物の添加によって物性を向上させようとする事例が多々ある。
ポリオレフィンを例えば飲料や食品用途へ応用する場合、ポリオレフィンは一般に酸素ガスや炭酸ガスの透過性が高く、これらのガス透過に品質が影響されやすい内容物に使用される包装の材料としては不向きである。しかし、物性の性能不足が問題とならない場合には、ポリオレフィンは、軽い、割れない、透明で中が見える、安全である等の諸性質から、飲料や食品用途にも有用な材料となる。
ポリオレフィンは、前記優れた諸特性を生かしつつ、欠点である低ガスバリア性が改善されれば、非常に有用な包装材料となりうる。ポリオレフィン製容器のガスバリアを高めることを目的として、セラミック膜等のガスバリア薄膜が施されるが、ポリオレフィンは、一般に印刷や塗装の密着に適した官能基に乏しいことが知られており、印刷や塗装同様に、薄膜を形成しても剥れやすいという問題があった。
そこで、膜の密着力を高めるために、酸変性された樹脂を少なくとも含む樹脂層を表面に配置したバリア性容器の提案がある(例えば、特許文献1を参照。)。
また、ポリオレフィンにα,β‐エチレン性不飽和カルボン酸をグラフトして変性した変性ポリオレフィンであって、該変性ポリオレフィン中の不飽和カルボン酸に基づく構成単位濃度が0.01〜10重量%である変性ポリオレフィンの成形品の表面に、無機酸化物薄膜を形成した、ガスバリア性の付与されたオレフィン系樹脂成形品の提案がある(例えば、特許文献2を参照。)。
また、プラスチックフィルムの表面の粗さを平滑化して、ガスバリア薄膜のピンホールの発生を抑制し、該ピンホールを原因とするガス透過性能の低下を防止する提案がある(例えば、特許文献3を参照。)。
特開2002‐179068号公報 特開平06‐306198号公報 特開2001‐310412号公報
しかし、特許文献1に記載の技術では、酸変性した樹脂そのものを表面層として積層するため、また、特許文献2に記載の技術では、酸変性した樹脂そのもので容器を成形しているため、薄膜の成長に関して重要な数nm〜数十nmのスケールで考えた場合に、グラフト化された箇所が疎らに分布しており、薄膜の密着性が得られたとしても、充分なガスバリア性が得られていない。また、酸変性した樹脂そのものでは、機械物性が低下する懸念がある。特許文献3に記載の技術では、ガスバリア薄膜のピンホールは少なくなる可能性はあるが、ポリオレフィンが薄膜の密着に適した官能基を有さないことによる問題を解決できるわけではない。
本発明者らの検討に拠れば、ガスバリア薄膜がガスバリア性を発揮するためには、樹脂表面に単に密着していればよいというわけではなく、ガスバリア薄膜の構成原子との結合箇所となる官能基が少なくとも樹脂表面にナノスケールで高濃度に分布していることが求められることがわかった。
そこで、本発明は、グラフト化された官能基がナノスケールで高濃度に分布した薄膜形成用樹脂組成物を提供することを目的とする。ここで、グラフト化された官能基がナノスケールで高濃度に分布することによって、薄膜の密着力を向上させることのみならず、ガスバリア性を顕著に向上させることを目的とする。併せて、そのマスターバッチ、それを用いたガスバリア性を有するプラスチック容器及びガスバリア性を有するフィルムを提供することも目的とする。
本発明者らは、グラフト化された、薄膜の密着に適した官能基をポリオレフィン系樹脂中に高濃度に分布させるために、ポリオレフィン系樹脂に、変性低分子オレフィン改質剤をナノスケールの分散性を達成できるように相溶化させることで、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明に係る薄膜形成用樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂70〜99.9質量%と変性低分子オレフィン系改質剤(A)30〜0.1質量%とからなり、前記変性低分子オレフィン系改質剤(A)が85〜99.9モル%のプロピレン及び15〜0.1モル%のエチレンを構成単位とするポリオレフィン(A1)の一次酸変性物(B1)であり、かつ、ガスバリア薄膜の被膜対象体の成形用材料であることを特徴とする。
また、本発明に係る薄膜形成用樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂70〜99.9質量%と変性低分子オレフィン系改質剤(A)30〜0.1質量%とからなり、前記変性低分子オレフィン系改質剤(A)が85〜99.9モル%のプロピレン、0.1〜15モル%のエチレン及び0モル%を超えて14モル%以下の炭素数4〜12のα‐オレフィン(a)を構成単位とするポリオレフィン(A2)の一次酸変性物(B2)であり、かつ、ガスバリア薄膜の被膜対象体の成形用材料であることを特徴とする。
本発明に係る薄膜形成用樹脂組成物では、前記ポリオレフィンの一次酸変性物(B1)又は(B2)は、その一部若しくはその全部が二次酸変性物(C)にさらに変性されていてもよい。
本発明に係る薄膜形成用樹脂組成物では、変性低分子オレフィン系改質剤(A)のオレフィン部分が、数平均分子量500〜40,000のポリオレフィンであることが好ましい。ポリオレフィン樹脂、特にポリエチレン及びポリプロピレンとの相溶性に優れ、かつ、工業上生産しやすい。さらに、フィルムや容器材料に添加した場合に、これらへの成形性に優れる。
本発明に係る薄膜形成用樹脂組成物では、前記ポリオレフィンの一次酸変性物(B1)又は(B2)が、不飽和カルボン酸又はその酸無水物で変性された酸変性物であることが好ましい。
本発明に係る薄膜形成用樹脂組成物の形態として、前記二次酸変性物(C)が、前記ポリオレフィンの一次酸変性物(B1)又は(B2)を炭素数1〜24のアルコールでエステル化したエステル化物からなる変性物(D)である形態がある。
本発明に係る薄膜形成用樹脂組成物の形態として、前記二次酸変性物(C)が、前記ポリオレフィンの一次酸変性物(B1)又は(B2)を炭素数1〜24のアルコールのエチレンオキサイド付加物でエステル化したエステル化物からなる変性物(E)である形態がある。
本発明に係る薄膜形成用樹脂組成物の形態として、前記二次酸変性物(C)が、前記ポリオレフィンの一次酸変性物(B1)又は(B2)と、一般式HN(R)‐R‐OH(R:C2〜18のアルキレン基、アリーレン基又はアラルキレン基、R:H、C1〜4のアルキル基若しくは‐R‐OH)で表わされるアミノアルコールとを反応させて得られるイミド化物からなる変性物(F)である形態がある。
本発明に係るガスバリア性を有するプラスチック容器は、本発明に係る薄膜形成用樹脂組成物を用いて容器に成形されてなるか、或いは、容器の内表面層、外表面層又はその両方に前記薄膜形成用樹脂組成物を用いて容器に成形されてなり、前記薄膜形成用樹脂組成物からなる表面側にガスバリア薄膜が成膜されており、かつ、酸素透過率が、ガスバリア薄膜が形成されていない容器と比較して、三分の一以下であることを特徴とする。一例として、成形されたポリプロピレン製の500ml容量のボトルの側面における平均肉厚が200〜500μmである場合、酸素濃度が、ガスバリア薄膜が形成されていない容器の約1200ppbに対して、三分の一以下となる、約350ppb以下となる例がある。なお、酸素濃度とは、ボトルの外部空間を大気雰囲気とし、ボトルの内部空間に1リットル/分の流量でアルゴンガスを供給したときの該アルゴンガス中に含まれる質量分析法による酸素濃度をいう。
本発明に係るガスバリア性を有するプラスチックフィルムは、本発明に係る薄膜形成用樹脂組成物を用いてフィルムに成形されてなるか、或いは、フィルムの表面層に前記薄膜形成用樹脂組成物を用いてフィルムに成形されてなり、かつ、プラスチックフィルムの表面にガスバリア薄膜が成膜されていることを特徴とする。
本発明に係るガスバリア性を有するプラスチック容器の形態として、前記ガスバリア薄膜が炭素膜、金属膜又は金属酸化物膜である形態がある。また、本発明に係るガスバリア性を有するプラスチックフィルムの形態として、前記ガスバリア薄膜が炭素膜、金属膜又は金属酸化物膜である形態がある。
本発明に係るガスバリア性を有するプラスチック容器及びプラスチックフィルムにおいて、それらの主成分が、ポリエチレン、ポリプロピレン又はこれらの混合物のいずれかからなることが好ましい。機械物性が低下する懸念がない。
本発明に係る薄膜形成用樹脂組成物用マスターバッチは、前記変性低分子オレフィン系改質剤(A)30質量%を超え70質量%以下とポリオレフィン系樹脂70質量%未満30質量%以上とを含有することを特徴とする。
本発明に係るガスバリア性を有するプラスチック成形体の製造方法は、本発明に係る薄膜形成用樹脂組成物が少なくとも表面に表出されているボトル、キャップ又はフィルムから選択されるプラスチック成形体を成形する工程と、該成形体の表面にガスバリア薄膜を成膜する工程と、を有することを特徴とする。
本発明に係るガスバリア性を有するプラスチック成形体の製造方法では、前記プラスチック成形体を成形した後、前記ガスバリア薄膜を成膜する前に、前記ガスバリア薄膜の成膜予定面にプラズマ処理を施す工程をさらに有することが好ましい。薄膜の密着性を高め、また膜を形成した成形体のガスバリア性を高めることができる。
本発明に係るガスバリア性を有するプラスチック成形体の製造方法では、前記プラズマ処理は、窒素、酸素又はこれらの混合ガスの存在下で行なうことが好ましい。具体的には、窒素プラズマ処理、酸素プラズマ処理又は窒素‐酸素プラズマ処理が好ましい。
本発明は、薄膜の密着に適した官能基を高濃度で有する変性低分子オレフィン系改質剤(A)をポリオレフィン系樹脂に相溶化させることで、グラフト化された当該官能基が均一に分布した薄膜形成用樹脂組成物を得ることができる。グラフト化された当該官能基が均一に分布することにより、薄膜の密着力が向上することのみならず、ガスバリア性が顕著に向上する。薄膜形成用樹脂組成物を用いて、容器、フィルム等の成形物を製造し、さらにガスバリア薄膜を成膜することで、ガスバリア性を有する成形体を得ることができ、このとき、薄膜の密着力とガスバリア性が良好であった。
以下に説明する実施の形態は本発明の構成の例であり、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではない。本発明の効果を奏する限り、種々の形態変更をしてもよい。
本実施形態に係る薄膜形成用樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂70〜99.9質量%と変性低分子オレフィン系改質剤(A)30〜0.1質量%とからなり、かつ、ガスバリア薄膜の成膜対象体の成形用材料である。ポリオレフィン系樹脂が、一般に薄膜の密着に適した官能基を有さないことから、それで作った成形体の表面にガスバリア薄膜等の機能性薄膜を成膜しても充分な密着性が得られず、また、ガスバリア性等の機能も充分に発揮されない。そこで本実施形態では、変性低分子オレフィン系改質剤(A)を、ベース材であるポリオレフィン系樹脂に添加し、相溶化することによって、樹脂組成物の表面のみならず内部についても薄膜の密着に適した官能基を導入する。得られた樹脂組成物は、容器、フィルム等の成形体に成形された後、その表面に機能性薄膜が成膜されると、当該官能基がナノスケールで高濃度に均一に導入されていることから、薄膜を密着させ、かつ、その機能を充分に発揮させる。発明者らの経験に拠れば、薄膜の結合拠点となる官能基をまだらに分布させた場合、密着力が得られる場合があるが、ガスバリア性までは得られない。薄膜の結合拠点となる官能基が密に均一に分布している場合、薄膜の密着力のみならず、優れたガスバリア性が得られる。変性低分子オレフィン系改質剤(A)が0.1質量%未満であると、導入される薄膜の密着に適した官能基が不足し、薄膜の密着性が悪く、ガスバリア性向上も得られない。一方、変性低分子オレフィン系改質剤(A)が30質量%を超えると、フィルムや容器の成形性低下及び機械物性低下が無視できなくなる。
ベース材であるポリオレフィン系樹脂は、具体例には、エチレン系共重合体、例えば高密度、中密度又は低密度ポリエチレン、或いはエチレンとC4〜30の不飽和単量体[プテン(1−ブテン等)、C5〜30のα‐オレフィン(1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1、1−デセン、1−ドデセン等)、酢酸ビニル又は(メタ)アクリル酸等]との共重合体(共重合比30/70〜99/1、好ましくは50/50〜95/5)等;プロピレン系重合体、例えばポリプロピレン、プロピレンとC4〜30の不飽和単量体(同上)との共重合体(共重合比、同上);エチレン/プロピレン共重合体(共重合比0.5/99.5〜30/70、好ましくは2/98〜20/80);C4以上のオレフィンの重合体、例えばポリブテン、ポリ−4−メチルペンテン−1が含まれる。
第一形態に係る薄膜形成用樹脂組成物では、変性低分子オレフィン系改質剤(A)は、85〜99.9モル%のプロピレン及び15〜0.1モル%のエチレンを構成単位とするポリオレフィン(A1)の一次酸変性物(B1)である。また、第二形態に係る薄膜形成用樹脂組成物では、変性低分子オレフィン系改質剤(A)が85〜99.9モル%のプロピレン、0.1〜15モル%のエチレン及び0モル%を超えて14モル%以下の炭素数4〜12のα‐オレフィン(a)を構成単位とするポリオレフィン(A2)の一次酸変性物(B2)である。
炭素数4〜12のα‐オレフィン(a)としては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル1−ペンテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン等が挙げられる。これらのうち、ポリオレフィン樹脂と炭素膜等のガスバリア薄膜との密着性の観点から好ましいのは1−ヘキセン又は1−オクテン、さらに好ましいのは1―ブテン、1−ペンテン又は4-メチル−1−ペンテン、特に好ましいのは1−ブテンである。
(A1)又は(A2)を構成するプロピレンの割合が85モル%未満では、変性低分子オレフィン系改質剤(A)とベース材となるポリオレフィン樹脂との相溶性(以下、「相溶性」と略記する。)及び薄膜形成用樹脂組成物より得た成形品と炭素膜との密着性(以下、「密着性」と略記する。)が悪くなり、99.9モル%を超えると薄膜形成用樹脂組成物より得た成形品の機械強度が低下する。エチレンの割合が0.1モル%未満では薄膜形成用樹脂組成物より得た成形品の機械強度が低下し、15モル%を超えると相溶性及び密着性が悪くなる。炭素数4〜12のα‐オレフィン(a)の割合が、14モル%を超えると相溶性及び密着性が悪くなる。また、炭素数4〜12のα‐オレフィン(a)の炭素数が12を超えると相溶性及び密着性が悪くなる。
(A1)又は(A2)の数平均分子量[以下、Mnと略記、測定はゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法による]は、密着性及び工業上の観点から好ましくは500〜40,000、さらに好ましくは1,000〜35,000、特に好ましくは1,500〜30,000である。測定温度は135℃、移動相として使用する溶剤はo−ジクロロベンゼンである。
(GPC測定条件)
[1]装置
:Waters150−CV[Waters(株)製]
[2]カラム :PLgel 10.MIXED−B[ポリマーラボラトリーズ(株)製]
[3]溶離液 :o−ジクロロベンゼン
[4]基準物質:ポリスチレン
[5]注入条件:サンプル濃度3mg/ml、カラム温度135℃
(A1)又は(A2)の分子末端及び/又は分子内の炭素1,000個当たりの二重結合量は、密着性及び工業上の観点から、好ましくは0.2〜10個、さらに好ましくは0.3〜6個、特に好ましくは0.5〜5個である。ここで二重結合量は、1H−NMR(核磁気共鳴)分光法から得られるスペクトル中の4.5〜6.0ppm間における二重結合由来のピークから算出できる。
(A1)又は(A2)の製造方法には、種々の製造方法、例えば熱減成法(例えば特公昭43−9368号公報、特公昭44−29742号公報又は特公平6−70094号公報に記載のもの)及び重合法(例えば特開昭59−206409号公報又は特開昭55−135102号公報に記載のもの)が含まれる。これらのうち後述する(A1)又は(A2)の酸変性のし易さの観点から好ましいのは熱減成法である。
重合法には、オレフィンの1種又は2種以上を(共)重合させる方法、及びオレフィンの1種以上と他の単量体の1種以上とを共重合させる方法が含まれる。上記オレフィンには、C2〜30(好ましくは2〜12、さらに好ましくは2〜4)のアルケン、例えばエチレン、プロピレン、1−、2−及びイソブテン、並びにC5〜30のα‐オレフィン(1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1、1−デセン、1−ドデセン等);他の単量体には、オレフィンと共重性の不飽和単量体、例えばスチレン、酢酸ビニル、メタ(アクリル)酸及びそのアルキル(C1〜30)エステルが含まれる。
前記重合法によるポリオレフィンの具体例には、エチレン系共重合体、例えば高密度、中密度又は低密度ポリエチレン、或いはエチレンとC4〜30の不飽和単量体[プテン(1−ブテン等)、C5〜30のα‐オレフィン(1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1、1−デセン、1−ドデセン等)、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸等]との共重合体(共重合比30/70〜99/1、好ましくは50/50〜95/5)等;プロピレン系重合体、例えばポリプロピレン、プロピレンとC4〜30の不飽和単量体(同上)との共重合体(共重合比、同上);エチレン/プロピレン共重合体(共重合比0.5/99.5〜30/70、好ましくは2/98〜20/80);C4以上のオレフィンの重合体、例えばポリブテン、ポリ−4−メチルペンテン−1が含まれる。
減成法によるポリオレフィンには、上記重合法と同様の重合体で高分子量[(A1)又は(A2)の変性のしやすさの観点から好ましい下限は8,000、さらに好ましくは10,000、特に好ましくは15,000、工業上の観点から好ましい上限は500,000、さらに好ましくは300,000、特に好ましくは150,000]のポリオレフィン(A0)を熱的、化学的又は機械的に減成したものが含まれ、密着性の観点から好ましいのは熱減成法である。
熱減成法には、上記の高分子量ポリオレフィン(A0)を窒素通気下で、(1)有機過酸化物不存在下で、通常300〜450℃で0.5〜10時間、連続的に熱減成する方法、及び(2)有機過酸化物存在下で、通常180〜300℃で0.5〜10時間、連続的に熱減成する方法が含まれる。これらのうち密着性の観点から好ましいのは(1)の方法である。
本実施形態に係る薄膜形成用樹脂組成物では、ポリオレフィンの一次酸変性物(B1)又は(B2)が、不飽和カルボン酸又はその酸無水物(b)で変性された酸変性物であることが好ましい。不飽和ポリカルボン酸としては、ジカルボン酸[例えば脂肪族(C4〜24、例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸又はメサコン酸)、又は脂環式(C8〜24、例えばシクロヘキセンジカルボン酸又はシクロヘプテンジカルボン酸)];3価〜4価又はそれ以上のポリカルボン酸[例えば脂肪族ポリカルボン酸(C5〜24、例えばアコニット酸)];又はこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
不飽和ポリカルボン酸の無水物としては、上記不飽和ポリカルボン酸の無水物、例えば無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、シクロヘキセンジカルボン酸無水物、アコニット酸が挙げられる。
不飽和カルボン酸又はその酸無水物(b)は1種単独でも、2種併用してもいずれでもよい。これらのうち密着性及び工業上の観点から好ましいのは、不飽和ジカルボン酸の無水物であり、さらに好ましいのは無水マレイン酸である。
(A1)又は(A2)と不飽和カルボン酸又はその酸無水物(b)のモル比は、密着性の観点から好ましくは99/1〜2/98、さらに好ましくは95/5〜3/97、特に好ましくは80/20〜4/96である。酸変性物(B1)又は(B2)中の未反応の(b)は、密着性の観点から好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは0〜1質量%、特に好ましくは0〜0.1質量%である。
(A1)又は(A2)と(b)とは、ラジカル開始剤(c)の存在下又は非存在下のいずれにおいても反応させることができるが、密着性の観点からラジカル開始剤(c)の存在下で反応させるのが好ましい。ラジカル開始剤(c)としては、例えばアゾ化合物(例えばアゾビスイソブチロニトリル又はアゾビスイソバレロニトリル)又は過酸化物〔単官能(分子内にパーオキシド基を1個有するもの)[例えばベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド又はジクミルパーオキシド]或いは多官能(分子内にパーオキシド基を2個以上有するもの)[例えば2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジアリルパーオキシジカーボネート又はt−ブチルパーオキシアリルカーボネート]〕が挙げられる。これらのうち、(A1)又は(A2)と(b)との反応性の観点から好ましいのは過酸化物、さらに好ましいのは単官能過酸化物、特に好ましいのはジ−t−ブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド又はジクミルパーオキシドである。
ラジカル開始剤(c)の使用量は、(b)の質量に基づいて、(A1)又は(A2)と(b)との反応率と密着性の観点から好ましい下限は0.001%、さらに好ましくは0.01%、特に好ましくは0.1%、工業上及び密着性の観点から好ましい上限は100%、さらに好ましくは50%、特に好ましくは30%である。
酸変性物(B1)又は(B2)の具体的な製造方法には、[1](A1)又は(A2)と(b)を加熱溶融、或いは適当な有機溶媒[C3〜18、例えば炭化水素(例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ベンゼン、トルエン又はキシレン)、ハロゲン化炭化水素(例えばジ−、トリ−又はテトラクロロエタン或いはジクロロブタン)、ケトン(例えばアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン又はジ−t−ブチルケトン)又はエーテル(例えばエチル−n−プロピルエーテル、ジ−i−プロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジ−t−ブチルエーテル又はジオキサン)]に懸濁或いは溶解させ、必要により後述の連鎖移動剤(t)又は重合禁止剤(f)を加え、これに必要によりラジカル開始剤(c)[若しくはラジカル開始剤(c)を適当な有機溶媒(上記に同じ)に溶解させた溶液]を加えて加熱撹拌する方法(溶融法、懸濁法又は溶液法)、及び[2](A1)又は(A2)と(b)及び必要によりラジカル開始剤(c)、連鎖移動剤(t)、重合禁止剤(f)を予め混合し、押出機、バンバリーミキサー又はニーダー等を用いて溶融混練する方法(溶融混練法)が含まれる。
これらのうち(A1)又は(A2)と(b)との反応性及び密着性の観点から好ましいのは[1]の方法、さらに好ましいのは溶融法又は溶液法である。溶融法での反応温度は、(A1)又は(A2)が溶融する温度であればよく、(A1)又は(A2)と(b)との反応性及び酸変性物の分解温度の観点から好ましくは120〜260℃、さらに好ましくは130〜240℃である。一方、溶液法での反応温度は、(A1)又は(A2)が溶媒に溶解する温度であればよく、(A1)又は(A2)と(b)との反応性、及び酸変性物の分解温度及び工業上の観点から好ましくは50〜220℃、さらに好ましくは110〜210℃、特に好ましくは120〜180℃である。
連鎖移動剤(t)としては、例えば炭化水素[C6〜24、例えば芳香族炭化水素(例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼン又はイソプロピルベンゼン)又は不飽和脂肪族炭化水素(例えば1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、1−ヘプテン、2−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン又は1−テトラデセン)];ハロゲン化炭化水素(C1〜24、例えばジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、ジブロモメタン、トリブロモメタン、四臭化炭素、塩化ベンジル又は臭化ベンジル);アルコール(C1〜24、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール1−ブタノール、2−ブタノール又はアリルアルコール);チオール(C1〜24、例えばエチルチオール、プロピルチオール、1−又は2−ブチルチオール、1−又は2−ペンチルチオール、1−オクチルチオール又は1−ドデシルチオール);ケトン(C3〜24、例えばアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、エチルプロピルケトン又はエチルブチルケトン);アルデヒド(C2〜18、例えば2−メチル−2−プロピルアルデヒド、1−又は2−ブチルアルデヒド、1−ペンチルアルデヒド、1−ヘキシルアルデヒド又は1−オクチルアルデヒド);フェノール(C6〜36、例えばフェノール、m−クレゾール、p−クレゾール又はo−クレゾールなど);キノン(C6〜24、例えばヒドロキノン);アミン(C3〜24、例えばジエチルメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−1−ブチルアミン又はジフェニルアミン);或いはジスルフィド(C2〜24、例えばジエチルジスルフィド、ジ−1−プロピルジスルフィド、ジ−2−メチル−2−プロピルジスルフィド、ジ−1−ブチルジスルフィド、エチル−1−プロピルジスルフィド又はジ−1−オクチルジスルフィド)が挙げられる。
これらのうち、密着性の観点から好ましいのは炭化水素又はハロゲン化炭化水素、さらに好ましいのは炭化水素、特に好ましいのは不飽和脂肪族炭化水素である。連鎖移動剤(t)の使用量は、(A1)又は(A2)の質量に基づいて通常40%以下、(A1)又は(A2)と(b)との反応性及び密着性の観点から好ましくは0〜20%である。
重合禁止剤(f)としては、無機系[例えば酸素、硫黄又は金属塩(例えば塩化第二鉄)]又は有機系〔カテコール(C6〜36、例えば2−メチル−2−プロピルカテコール)、キノン(C6〜24、例えばp−ベンゾキノン又はデュロキノン)、ヒドラジン(C2〜36、例えば1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジン)、フェルダジン(C5〜36、例えば1,3,5−トリフェニルフェルダジン)、ニトロ化合物(C3〜24、例えばニトロベンゼン)又は安定ラジカル[C5〜36、例えば1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル(DPPH)、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ(TEMPO)又は1,3,5−トリフェニルフェルダジル]〕が挙げられる。重合禁止剤(f)の使用量は、(A1)又は(A2)の質量に基づいて通常5%以下、(A1)又は(A2)と(b)との反応性及び密着性の観点から好ましくは0〜0.5%である。
本実施形態に係る薄膜形成用樹脂組成物では、ポリオレフィンの一次酸変性物(B1)又は(B2)は、その一部若しくはその全部が以下に示す二次酸変性物(C)にさらに変性されていてもよい。すなわち、本実施形態に係る薄膜形成用樹脂組成物では、(1)変性低分子オレフィン系改質剤(A)がポリオレフィンの一次酸変性物(B1)又は(B2)である形態、(2)変性低分子オレフィン系改質剤(A)がポリオレフィンの一次酸変性物(B1)又は(B2)と二次酸変性物(C)の混合物である形態、(3)変性低分子オレフィン系改質剤(A)が二次酸変性物(C)である形態、の三つの形態をとる場合がある。
本実施形態に係る薄膜形成用樹脂組成物の形態として、二次酸変性物(C)が、ポリオレフィンの一次酸変性物(B1)又は(B2)を炭素数1〜24のアルコール(l)でエステル化したエステル化物からなる変性物(D)である形態がある。炭素数1〜24のアルコール(l)としては、脂肪族アルコール、脂環含有アルコール又は芳香環含有アルコールが挙げられる。
脂肪族アルコールとしては、モノアルコール[C1〜24、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、n−又はi−プロピルアルコール、n−、i−、sec−又はt−ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セロソルブ(C3〜24、例えばメチルセロソルブ、エチルセロソルブ又はブチルセロソルブ)、不飽和アルコール(C3〜24、例えばアリルアルコール、クロチルアルコール又はオレイルアルコール)]、又は多価アルコール(C2〜24、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1、4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン又はペンタエリスリトール)が挙げられる。
脂環含有アルコールとしては、モノアルコール(C5〜15、例えばシクロペンタノール、シクロへキサノール、シクロドデカノール又はシクロヘキシルカルビノール)、又は多価アルコール(C5〜15、例えばシクロペンタンジオール、シクロへキサンジオール、シクロドデカンジオール又はシクロヘキサンジメタノール)が挙げられる。
芳香環含有アルコールとしては、モノアルコール[C7〜24、例えばベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、3−フェニルプロパン−1−オール、2−フェニルプロパン−2−オール、サリチルアルコール、3,4−ジヒドロキシフェニルメタノール、アニシルアルコール、バニリルアルコール、ベラトリルアルコール、4−イソプロピルフェニルメタノール、2−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)エタン−1−オール、2−(3、4−ジメトキシフェニル)エタン−1−オール、シンナミルアルコール、3−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)プロパン−2−エン−1−オール、ベンズヒドリルアルコール、ジフェニルメタノール、トリフェニルメタノール、1−ナフタレンメタノール、2−ナフタレンエタノール、1−アントラセンメタノール又は1−ピレンメタノール]、又は多価アルコール[C8〜24、例えば1,2−ジフェニルエタン−1,2−ジオール、1,1,2,2,−テトラフェニルエタン−1,2−ジオール、ベンゼン−1,2−、1,3−メタノール1,3−又は1,4−ジメタノール]が挙げられる。
これらのうち密着性の観点から好ましいのは芳香環含有アルコールである。
エステル化物からなる変性物(D)の製造方法には、[1](B1)又は(B2)と炭素数1〜24のアルコール(l)を加熱溶融、あるいは適当な有機溶媒[C3〜18、例えば炭化水素(例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ベンゼン、トルエン又はキシレン)、ハロゲン化炭化水素(例えばジ−、トリ−若しくはテトラクロロエタン又はジクロロブタン)、ケトン(例えばアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン又はジ−t−ブチルケトン)又はエーテル(例えばエチル−n−プロピルエーテル、ジ−i−プロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジ−t−ブチルエーテル又はジオキサン)]に懸濁あるいは溶解させ、加熱撹拌する方法(溶融法、懸濁法又は溶液法)、或いは[2](B1)又は(B2)と炭素数1〜24のアルコール(l)を予め混合し、押出機、バンバリーミキサー又はニーダー等を用いて溶融混練する方法(溶融混練法)が含まれる。
これらのうち(B1)又は(B2)と炭素数1〜24のアルコール(l)との反応性及び密着性の観点から好ましいのは[1]の方法、さらに好ましいのは溶融法又は溶液法である。溶融法での反応温度は、(B1)又は(B2)が溶融する温度であればよく、(B1)又は(B2)と炭素数1〜24のアルコール(l)との反応性及びエステル化物からなる変性物(D)の分解温度の観点から好ましくは120〜260℃、さらに好ましくは130〜240℃である。一方、溶液法での反応温度は、(B1)又は(B2)が溶媒に溶解する温度であればよく、(B1)又は(B2)と炭素数1〜24のアルコール(l)との反応性、及びエステル化物からなる変性物(D)の分解温度及び工業上の観点から好ましくは5〜220℃、さらに好ましくは110〜210℃、特に好ましくは120〜180℃である。
エステル化物からなる変性物(D)のMnは、密着性及び工業上の観点から好ましくは500〜50,000、さらに好ましくは、1,000〜40,000、特に好ましくは1,500〜30,000である。エステル化物からなる変性物(D)の酸価は、密着性及び相溶性の観点から好ましくは40以下、さらに好ましくは0〜20である。ここにおける酸価は、JIS K 0070:1992に準じて測定される値である。エステル化物からなる変性物(D)のケン化価は、密着性および相溶性の観点から好ましくは0.1〜80、さらに好ましくは3〜60である。ここにおけるケン化価は、JIS K 0070:1992に準じて測定される値である。エステル化物からなる変性物(D)の融点は、相溶性、密着性及び工業上の観点から好ましくは90〜165℃さらに好ましくは95〜160℃、特に好ましくは100〜155℃である。該融点及び以下における融点は、示差走査熱量測定(DSC)法により得られる融解ピーク温度である。
エステル化物からなる変性物(D)は密着性の観点から酸無水物基及び酸無水物形成性の2個のカルボキシル基を含有していないものであり、その有無は赤外線吸収スペクトル測定(IR)法により確認できる。すなわち、エステル化物からなる変性物(D)を150℃、0.3kPaで2時間脱水処理し、得られたものについて、乾燥状態を保ったままIR測定を行って酸無水物基の有無を確認する。もし該IR測定で、酸無水物基由来のピーク(1780cm−1付近)が消滅していることを確認できれば、エステル化物からなる変性物(D)中に酸無水物基は残留していないと判断できる。
本実施形態に係る薄膜形成用樹脂組成物の形態として、二次酸変性物(C)が、ポリオレフィンの一次酸変性物(B1)又は(B2)を炭素数1〜24のアルコールのエチレンオキサイド付加物(m)でエステル化したエステル化物からなる変性物(E)である形態がある。炭素数1〜24のアルコールとは、変性物(D)の説明において前述した炭素数1〜24のアルコール(l)と同じであり、脂肪族アルコール、脂環含有アルコール又は芳香環含有アルコールが挙げられる。(m)は、これらのエチレンオキサイド付加物である。脂肪族アルコール、脂環含有アルコール又は芳香環含有アルコールについては、前述したとおりである。
エステル化物からなる変性物(E)の製造方法には、[1](B1)又は(B2)と炭素数1〜24のアルコールのエチレンオキサイド付加物(m)を加熱溶融、あるいは適当な有機溶媒[C3〜18、例えば炭化水素(例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ベンゼン、トルエン又はキシレン)、ハロゲン化炭化水素(例えばジ−、トリ−若しくはテトラクロロエタン又はジクロロブタン)、ケトン(例えばアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン又はジ−t−ブチルケトン)又はエーテル(例えばエチル−n−プロピルエーテル、ジ−i−プロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジ−t−ブチルエーテル又はジオキサン)]に懸濁あるいは溶解させ、加熱撹拌する方法(溶融法、懸濁法又は溶液法)、或いは[2](B1)又は(B2)と炭素数1〜24のアルコールのエチレンオキサイド付加物(m)を予め混合し、押出機、バンバリーミキサー又はニーダー等を用いて溶融混練する方法(溶融混練法)が含まれる。
これらのうち(B1)又は(B2)と炭素数1〜24のアルコールのエチレンオキサイド付加物(m)との反応性及び密着性の観点から好ましいのは[1]の方法、さらに好ましいのは溶融法又は溶液法である。溶融法での反応温度は、(B1)又は(B2)が溶融する温度であればよく、(B1)又は(B2)と炭素数1〜24のアルコールのエチレンオキサイド付加物(m)との反応性及びエステル化物からなる変性物(E)の分解温度の観点から好ましくは120〜260℃、さらに好ましくは130〜240℃である。一方、溶液法での反応温度は、(B1)又は(B2)が溶媒に溶解する温度であればよく、(B1)又は(B2)と炭素数1〜24のアルコールのエチレンオキサイド付加物(m)との反応性、及びエステル化物からなる変性物(E)の分解温度及び工業上の観点から好ましくは5〜220℃、さらに好ましくは110〜210℃、特に好ましくは120〜180℃である。
エステル化物からなる変性物(E)のMnは、密着性及び工業上の観点から好ましくは500〜50,000、さらに好ましくは、1,000〜40,000、特に好ましくは1,500〜30,000である。エステル化物からなる変性物(E)の酸価は、密着性及び相溶性の観点から好ましくは40以下、さらに好ましくは0〜20である。エステル化物からなる変性物(E)のケン化価は、密着性および相溶性の観点から好ましくは0.1〜80、さらに好ましくは3〜60である。ここにおけるケン化価は、JIS K 0070:1992に準じて測定される値である。エステル化物からなる変性物(E)の融点は、相溶性、密着性及び工業上の観点から好ましくは90〜165℃さらに好ましくは95〜160℃、特に好ましくは100〜155℃である。
エステル化物からなる変性物(E)は密着性の観点から酸無水物基及び酸無水物形成性の2個のカルボキシル基を含有していないものであり、その有無は赤外線吸収スペクトル測定(IR)法により確認できる。すなわち、エステル化物からなる変性物(E)を150℃、0.3kPaで2時間脱水処理し、得られたものについて、乾燥状態を保ったままIR測定を行って酸無水物基の有無を確認する。もし該IR測定で、酸無水物基由来のピーク(1780cm−1付近)が消滅していることを確認できれば、エステル化物からなる変性物(E)中に酸無水物基は残留していないと判断できる。
本実施形態に係る薄膜形成用樹脂組成物の形態として、二次酸変性物(C)が、ポリオレフィンの一次酸変性物(B1)又は(B2)と、一般式HN(R)‐R‐OH(R:C2〜18のアルキレン基、アリーレン基又はアラルキレン基、R:H、C1〜4のアルキル基若しくは‐R‐OH)で表わされるアミノアルコールとを反応させて得られるイミド化物からなる変性物(F)である形態がある。
アミノアルコール(n)には、下記の一般式(化1)で表されるものが含まれ、例えば2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2プロパノール、4−アミノブタノール、5−アミノペンタノール、6−アミノヘキサノール、アミノフェノール、アミノクレゾール、アミノベンジルアルコール、アミノフェネチルアルコール、アミノナフトールが挙げられる。
(化1)HN(R)−R−OH
(化1中、RはC2〜18のアルキレン基、アリーレン基又はアラルキレン基、RはH、C1〜4のアルキル基若しくは‐R‐OHを示す。)
Rのうち、アルキレン基には、例えばエチレン、プロピレン、オクチレン、ドデシレンおよびステアリレン基;シクロアルキレン基には、例えばシクロペンチレン、シクロヘキシレン又はシクロオクチレン基;アリーレン基には、例えばフェニレン又はナフチレン基;アラルキレン基には、例えばベンジレン又はフェニルエチレン基が挙げられる。また、Rには、メチル、エチル、プロピル又はブチル基が含まれる。
アミノアルコール(n)の具体例としては、水酸基を1個有するもの(2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、4−アミノブタノール、5−アミノペンタノール、6−アミノヘキサノール、アミノフェノール、アミノクレゾール、アミノナフトール、アミノベンジルアルコール、アミノフェネチルアルコール、メチルエタノールアミン、エチルエタノールアミン又は3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサノール等)又は水酸基を2個有するもの(ジエタノールアミン又はジ−n−若しくはi−プロパノールアミン等)が挙げられる。
これらのうち、変性のしやすさの観点から好ましいのは水酸基を1個有するもの、さらに好ましいのは5−アミノペンタノール又は6−アミノヘキサノール、特に好ましいのは2−アミノエタノール又は4−アミノブタノール、最も好ましいのは2−アミノエタノールである。イミド化物からなる変性物(F)は1種単独でも、2種併用してもいずれでもよい。
アミノアルコール(n)の使用量は、樹脂用改質剤としての機能発現の観点から好ましくは、ポリオレフィンの一次酸変性物(B1)又は(B2)中の不飽和カルボン酸又はその酸無水物(b)の残基[(b)からカルボキシル基を除いたもの]1個当たり、アミノアルコール0.1〜20個、さらに好ましくは0.3〜15個、特に好ましくは0.5〜10個である。
イミド化物からなる変性物(F)のMnは、イミド化物からなる変性物(F)の樹脂用改質剤としての機能発現の観点から好ましくは500〜40,000、さらに好ましくは1,000〜30,000である。イミド化物からなる変性物(F)の分子量分布は、イミド化物からなる変性物(F)の樹脂用改質剤としての機能発現の観点から好ましくは1〜5、さらに好ましくは1〜4である。イミド化物からなる変性物(F)の官能基(カルボキシル基、水酸基等)の含量は、樹脂用改質剤としての機能発現の観点から好ましくは0.1〜50質量%、さらに好ましくは1〜40質量%である。
イミド化物からなる変性物(F)の製造方法としては、(B1)又は(B2)及びアミノアルコール(n)を加熱溶融、或いは適当な有機溶媒に懸濁あるいは溶解させ、これにラジカル開始剤(c)〔若しくは(c)を適当な有機溶媒(上記に同じ)に溶解させた溶液〕を加えて加熱撹拌する方法(溶融法、懸濁法又は溶液法)、或いは(B1)又は(B2)及びアミノアルコール(n)を予め混合し、溶融混練する方法(溶融混練法)などが挙げられる。溶融混練法で用いられる装置としては、押出機、バンバリーミキサー又はニーダーなどが挙げられる。これらの製造方法のうち、(B1)又は(B2)及びアミノアルコール(n)との反応性及びイミド化物からなる変性物(F)の樹脂用改質剤としての機能発現の観点から好ましいのは溶融法又は溶液法である。
溶融法での反応温度は、(B1)又は(B2)が溶融する温度であればよく、通常120〜260℃、製造されるイミド化物からなる変性物(F)の分子量分布及び(B1)又は(B2)とアミノアルコール(n)との反応性の観点から好ましくは130〜240℃である。溶液法での反応温度は、(B1)又は(B2)が溶解する温度であればよく、通常110〜210℃、製造されるイミド化物からなる変性物(F)の分子量分布及び(B1)又は(B2)とアミノアルコール(n)との反応性の観点から好ましくは120〜180℃である。
本実施形態に係る薄膜形成用樹脂組成物は、一次酸変性物(B1)又は(B2)を、完全に二次酸変性物(C)まで変性した形態のみならず、一次酸変性物(B1)又は(B2)と二次酸変性物(C)が同時に存在するように変性を行ない、ベース材となるポリオレフィン系樹脂に相溶化されている形態を含む。さらに、本実施形態に係る薄膜形成用樹脂組成物は、二次酸変性物(C)が、変性物(D)、変性物(E)又は変性物(F)である形態のみならず、二次酸変性物(C)として、変性物(D)と変性物(E)の両方を含む形態、変性物(D)及び変性物(F)の両方を含む形態、変性物(E)及び変性物(F)の両方を含む形態及び変性物(D)、変性物(E)及び変性物(F)の三つを含む形態を含む。
本実施形態に係る薄膜形成用樹脂組成物用マスターバッチは、変性低分子オレフィン系改質剤(A)30質量%を超え70質量%以下とポリオレフィン系樹脂70質量%未満30質量%以上とを含有する。所定添加量よりも多めに変性低分子オレフィン系改質剤(A)を含ませておき、これを必要なときにポリオレフィン系樹脂で希釈化してやることで、本実施形態に係る薄膜形成用樹脂組成物を得ることができる。このように薄膜形成用樹脂組成物用マスターバッチは、保管スペースの少量化に寄与する。変性低分子オレフィン系改質剤(A)30質量%以下、ポリオレフィン系樹脂70質量%以上であれば、保管スペースの少量化に寄与せずマスターバッチとして意味がなく、変性低分子オレフィン系改質剤(A)70質量%を超えて、ポリオレフィン系樹脂30質量%未満であれば、希釈化用のポリオレフィン系樹脂との混合が不均一になりやすい。
本実施形態に係る薄膜形成用樹脂組成物では、ポリオレフィン樹脂に変性低分子オレフィン系改質剤が相溶化されてカルボキシル基、水酸基等の官能基が導入されるため、成形体の表面のみならず、内部にも分布することとなる。本実施形態に係る薄膜形成用樹脂組成物を用いて、薄膜を形成する土台となる成形物、すなわち、容器(容器胴体又はその蓋を含む)若しくはフィルムを製造する。成形法としては、容器であればブロー成形又は射出成形で行なう。本実施形態に係る薄膜形成用樹脂組成物は、成形後透明性を維持できるので、コールドパリソン法でブロー成形することができる。フィルムであれば、二軸延伸法等の延伸法で成形を行なう。
また、成形物を本実施形態に係る薄膜形成用樹脂組成物のみで成形することが可能であるが、例えば、薄膜成膜予定面に本実施形態に係る薄膜形成用樹脂組成物で形成した官能基導入層を配置し、非薄膜成形面に例えばポリオレフィン樹脂層を配置し、積層構造を有する成形体としても良い。いずれにしても薄膜を、薄膜の密着に適した官能基を分散させた成形面に成膜することで、密着性とガスバリア性が得られる。
成形体が容器胴体である場合には、ボトルの側面における平均肉厚を200〜500μm、好ましくは250〜450μmとする。成形体が容器の蓋である場合には、蓋の天面における平均肉厚を300〜2000μm、好ましくは500〜1500μmとする。これらの肉厚は、経済性の観点から薄い厚さことが望まれるが、強度の観点からは所定以上の厚さであることが望まれる。上記の肉厚の範囲は、経済性と強度の観点からバランスのよい成形体の厚さを含んでいる。また、成形体がフィルムである場合には、フィルムの平均肉厚を10μm以上、好ましくは100μm以上とする。フィルムの厚さの上限に制限はないが、例えば1000μmである。フィルムの肉厚は、強度が要求されない用途もあることから、経済性を優先して薄い厚さとすることが望まれる。その場合、フィルム自体のガスバリア性は低下するため、ガスバリア薄膜によって、必要なガスバリア性を確保する。上記の肉厚の範囲は、経済性を満たし、かつ、ガスバリア薄膜を施した上でフィルムが必要なガスバリア性を得るために必要なフィルムの厚さを含んでいる。
本実施形態に係る薄膜形成用樹脂組成物で形成した容器、フィルム等の成形体、或いは、内表面層、外表面層又はその両方に薄膜形成用樹脂組成物が含有されて成形された積層型成形体の表面に形成するガスバリア薄膜は、例えば、炭素膜、金属膜又は金属酸化物膜である。これらのガスバリア薄膜は、公知の各種成膜法によって形成されるが、例えばCVD法(特にプラズマCVD法)、スパッタ法、真空蒸着法又は熱フィラメントによる加熱によって原料ガスを熱分解し成膜する方法である。
炭素膜としては、ダイヤモンド状炭素(DLC,ダイヤモンドライクカーボン)薄膜があり、主としてプラズマCVD法によって成膜される。本発明におけるDLC膜とは、i−カーボン膜または水素化アモルファスカーボン膜(a−CH)ともよばれる炭素膜のことでsp結合を含んでいるアモルファスな炭素膜のことをいう。DLC膜は、硬質から軟質(ポリマーライク)までの膜質があり水素含有量は、0atom%から70atom%くらいまでの範囲がある。炭素膜としてはSi含有DLC膜も含まれる。炭素膜を成膜する手法としては公知の成膜法が適用でき、例えば特開平8−53116号公報、特開平8−53117号公報、特開平9−272567号公報又は特開平10−226884号公報がある。
また、金属膜は、例えば電子ビーム蒸着法によって成膜されるアルミ薄膜がある。また、金属酸化物膜は、例えば酸化アルミニウム(AlOx)薄膜又は酸化ケイ素(SiOx)膜である。
ガスバリア薄膜の膜厚は、例えば5〜100nm、好ましくは10〜50nmとする。5nm未満の膜厚では、成形体の表面を充分に被覆しきれない場合があり、100nmの膜厚を超えると、膜にクラック等の欠陥が生じ易くなる場合がある。最適膜厚は、ガスバリア性容器若しくはフィルムのガスバリア性能を最適化する過程で適宜決定される。ガスバリア性能は、例えばポリプロピレン樹脂製の500ml容量(重量18.4g)のボトルであればその外部空間を大気雰囲気とし、ボトルの内部空間に1リットル/分の流量でアルゴンガスを供給したときの該アルゴンガス中に含まれる質量分析法による酸素濃度が400ppb以下を満足するガスバリア性能である。
本実施形態に係るガスバリア性を有するプラスチック成形体の製造方法は、前述のとおり、本実施形態に係る薄膜形成用樹脂組成物が少なくとも表面に表出されているボトル、キャップ又はフィルムから選択されるプラスチック成形体を成形する工程と、成形体の表面にガスバリア薄膜を成膜する工程と、を有するが、プラスチック成形体を成形した後、ガスバリア薄膜を成膜する前に、ガスバリア薄膜の成膜予定面にプラズマ処理を施す工程をさらに有することが好ましい。このときプラズマ処理は、窒素、酸素又はこれらの混合ガスの存在下で行なうことが好ましい。具体的には、窒素プラズマ処理、酸素プラズマ処理又は窒素‐酸素プラズマ処理が好ましい。薄膜の密着性を高め、また膜を形成した成形体のガスバリア性を高めることができる。
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
(変性低分子オレフィン系改質剤(A)の製造)
変性低分子オレフィン系改質剤(A)として、90モル%のプロピレン、5モル%のエチレン及び5モル%の1‐ブテン(a)を構成単位とするポリオレフィン(A2、オレフィン部分が数平均分子量:4500)を無水マレイン酸でグラフト化した樹脂材料(B2)を製造した。このとき、(B2)の製造条件は、A2と無水マレイン酸とを窒素通気下・有機過酸化物不存在下で、360℃で80時間、連続的に加熱攪拌した。A2と無水マレイン酸のモル比は、99/1とした。
(薄膜形成用樹脂組成物の製造)
次にポリプロピレン樹脂(PM921M、サンアロマー社製)99質量%と変性低分子オレフィン系改質剤(A)1質量%とを混合した後、スクリュー直径30mm、L/D(スクリュー径/スクリュー長さ)=42の二軸押出機に供給し、回転数250rpm、設定温度200〜220℃の条件で溶融混錬し、相溶化させ、実施例1の薄膜形成用樹脂組成物を得た。
(フィルムの製造)
次に、実施例1の薄膜形成用樹脂組成物を用いて、フィルム厚70μmのフィルムを2軸延伸法で成形した。フィルムの厚さはJIS K 7130:1999に従って測定した。
(DLC膜の成膜)
次に、フィルム厚70μmのフィルムの表面に、DLC膜を成膜した。このとき、DLC成膜装置(PNS‐1、ユーテック社製)を用いて、アセチレンガスを80sccm、成膜時のチャンバー内圧力10Pa、成膜時間2秒、13.56MHzの高周波出力1000Wを成膜条件とした。
(DLC膜の評価・ガスバリア性評価)
(1)DLC膜の膜厚
DLCの膜厚は、予めフィルムの表面にマジックインキ等でマスキングを行って、DLCを被覆した後、ジエチルエーテル等でマスキングを除去し、KLA Tencor社製Alpha‐Step IQによって膜厚を測定した。
(2)フィルムの酸素透過度
フィルムの酸素透過度の測定は、MODERN CONTROL社製OX‐TRAN2/21を使用して、23℃で測定した。
(3)DLC薄膜の密着性評価
(3‐1)テープ剥離試験
JISK5400の基盤目テープ法に準じて、以下の条件で行った。
・切り傷のすきま間隔:1mm
・ます目の数 :100
(3−2)耐磨耗性試験
日本T.M.A社製、RT‐200を使用して、以下の条件で耐磨耗性試験を行った。185gの荷重をかけた綿棒を毎秒20cmでガスバリア薄膜の表面上を移動させる。
5往復以内に樹脂表面が露出した場合は耐磨耗性がないと評価し、×とした。
10往復以内に樹脂表面が露出した場合は耐磨耗性があると評価し、○とした。
15往復以内に樹脂表面が露出した場合は耐磨耗性が十分にあると評価し、◎とした。
結果を表1に示した。酸素透過度によるガスバリア性の評価は、DLC薄膜の成膜前後の酸素透過度の比較も行なった。ここで未コートにおける酸素透過度を薄膜コート後における酸素透過度で除して、向上倍率(倍)として、求め、表1に記載した。
(実施例2〜7)
実施例1の薄膜形成用樹脂組成物の製造において、ポリプロピレン樹脂を95質量%、変性低分子オレフィン系改質剤(A)を5質量%とした以外は同様にして、実施例2の薄膜形成用樹脂組成物を得て、実施例1と同様の評価を行なった。さらに、同様にポリプロピレン樹脂/変性低分子オレフィン系改質剤(A)の質量比を、90/10(実施例3)、85/15(実施例4)、80/20(実施例5)、75/25(実施例6)、70/30(実施例7)と変化させ、実施例1と同様の評価を行なった。結果を表1に示した。
(実施例8)
(変性低分子オレフィン系改質剤の製造)
ポリオレフィンの一次酸変性物(B2)をポリオキシエチレンオレイルエーテルでエステル化して、変性物(E)を製造した。このとき、変性物(E)の製造条件は、B2とポリオキシエチレンオレイルエーテルとを窒素通気下・有機過酸化物不存在下で、180℃で1時間、連続的に加熱攪拌した。B2とポリオキシエチレンオレイルエーテルのモル比は、100/1.2とした。このようにして、変性低分子オレフィン系改質剤(A)を得た。
(薄膜形成用樹脂組成物の製造)
次にポリプロピレン樹脂(PM921M、サンアロマー社製)を99質量%と変性低分子オレフィン系改質剤(A)1質量%とを混合した後、スクリュー直径30mm、L/D(スクリュー径/スクリュー長さ)=42の二軸押出機に供給し、回転数250rpm、設定温度200〜220℃の条件で溶融混錬し、相溶化させ、実施例8の薄膜形成用樹脂組成物を得た。
(フィルムの製造)
次に、実施例8の薄膜形成用樹脂組成物を用いて、フィルム厚70μmのフィルムを2軸延伸法で成形した。
(DLC膜の成膜)
次に、フィルム厚70μmのフィルムの表面に、DLC膜を成膜した。成膜条件は実施例1と同条件とした。結果を表1に示した。
(実施例9〜12)
実施例8の薄膜形成用樹脂組成物の製造において、ポリプロピレン樹脂を95質量%、変性低分子オレフィン系改質剤(A)を5質量%とした以外は同様にして、実施例9の薄膜形成用樹脂組成物を得た。さらに、同様にポリプロピレン樹脂/変性低分子オレフィン系改質剤(A)の質量比を、90/10(実施例10)、80/20(実施例11)、70/30(実施例12)と変化させ、実施例1と同様の評価を行なった。結果を表1に示した。なお、実施例9の薄膜形成用樹脂組成物については、後述する15.6gの500mlボトルにおける評価のみを行なった。
(実施例13)
(変性低分子オレフィン系改質剤の製造)
ポリオレフィンの一次酸変性物(B2)をベンジルアルコールでエステル化して、変性物(D)を製造した。このとき、変性物(D)の製造条件は、B2とベンジルアルコールとを窒素通気下・有機過酸化物不存在下で、180℃で1時間、連続的に加熱攪拌した。B2とベンジルアルコールのモル比は、100/1.2とした。このようにして、変性低分子オレフィン系改質剤(A)を得た。
(薄膜形成用樹脂組成物の製造)
次にポリプロピレン樹脂(PM921M、サンアロマー社製)を99質量%と変性低分子オレフィン系改質剤(A)1質量%とを混合した後、スクリュー直径30mm、L/D(スクリュー径/スクリュー長さ)=42の二軸押出機に供給し、回転数250rpm、設定温度200〜220℃の条件で溶融混錬し、相溶化させ、実施例13の薄膜形成用樹脂組成物を得た。
(フィルムの製造)
次に、実施例13の薄膜形成用樹脂組成物を用いて、フィルム厚70μmのフィルムを2軸延伸法で成形した。
(DLC膜の成膜)
次に、フィルム厚70μmのフィルムの表面に、DLC膜を成膜した。成膜条件は実施例1と同条件とした。結果を表1に示した。
(実施例14〜16)
実施例13の薄膜形成用樹脂組成物の製造において、ポリプロピレン樹脂を90質量%、変性低分子オレフィン系改質剤(A)を10質量%とした以外は同様にして、実施例14の薄膜形成用樹脂組成物を得て、実施例1と同様の評価を行なった。さらに、同様にポリプロピレン樹脂/変性低分子オレフィン系改質剤(A)の質量比を、80/20(実施例15)、70/30(実施例16)と変化させ、実施例1と同様の評価を行なった。結果を表1に示した。
(実施例17)
(変性低分子オレフィン系改質剤の製造)
ポリオレフィンの一次酸変性物(B2)と、モノエタノールアミンをキシレン中で反応し溶剤を留去して変性物(F)を製造した。このとき、変性物(F)の製造条件は、B2とモノエタノールアミンとを窒素通気下・有機過酸化物不存在下で、180℃で1時間、連続的に加熱攪拌した。B2とモノエタノールアミンの比は、100/1.2とした。このようにして、変性低分子オレフィン系改質剤(A)を得た。
(薄膜形成用樹脂組成物の製造)
次にポリプロピレン樹脂(PM921M、サンアロマー社製)を99.5質量%と変性低分子オレフィン系改質剤(A)0.5質量%とを混合した後、スクリュー直径30mm、L/D(スクリュー径/スクリュー長さ)=42の二軸押出機に供給し、回転数250rpm、設定温度200〜220℃の条件で溶融混錬し、相溶化させ、実施例17の薄膜形成用樹脂組成物を得た。
(フィルムの製造)
次に、実施例17の薄膜形成用樹脂組成物を用いて、フィルム厚70μmのフィルムを2軸延伸法で成形した。
(DLC膜の成膜)
次に、フィルム厚70μmのフィルムの表面に、DLC膜を成膜した。成膜条件は実施例1と同条件とした。結果を表1に示した。ここで、実施例17の薄膜形成用樹脂組成物を用いて作製したフィルムは、テープ剥離試験のみ評価を行なった。
(実施例18〜21)
実施例17の薄膜形成用樹脂組成物の製造において、ポリプロピレン樹脂を99質量%、変性低分子オレフィン系改質剤(A)を1質量%とした以外は同様にして、実施例18の薄膜形成用樹脂組成物を得て、実施例1と同様の評価を行なった。さらに、同様にポリプロピレン樹脂/変性低分子オレフィン系改質剤(A)の質量比を、90/10(実施例19)、80/20(実施例20)、70/30(実施例21)と変化させ、実施例1と同様の評価を行なった。結果を表1に示した。
実施例1〜21の薄膜形成用樹脂組成物を用いたフィルム上に成膜したDLC膜の膜厚は全て15nmとなるようにした。
(比較例1)
ポリプロピレン樹脂のみ(比較例1の樹脂とする)を用いて、フィルム厚70μmのフィルムを2軸延伸法で成形した。次に、フィルム厚70μmのフィルムの表面に、膜厚が15nmのDLC膜を成膜した。成膜条件は実施例1と同条件とした。結果を表1に示した。
次に実施例5、10、17、18の薄膜形成用樹脂組成物を用いて、コールドパリソン法によって、それぞれ質量18.4gで500ml用ボトルを成形した。なお、胴部における平均肉厚は360μmであった。次に、特開平8−53117号公報に開示されたボトル内面にDLC薄膜を成膜する方法と同様の方法を用いて、DLCコーティングボトルを製造した。このとき、DLC成膜装置(PNS‐1、ユーテック社製)を用いて、アセチレンガスを80sccm、成膜時のチャンバー内圧力10Pa、成膜時間5秒、13.56MHzの高周波出力1000Wを成膜条件とした。DLC膜の膜厚は全て50nmとなるようにした。ボトルの外部空間を大気雰囲気とし、ボトルの内部空間に1リットル/分の流量でアルゴンガスを供給したときの該アルゴンガス中に含まれる質量分析法による酸素濃度を酸素透過率測定装置(A‐PET、ユーテック社製)で求めた。結果を表1に示した。
次に比較例1の樹脂を用いて、コールドパリソン法によって、それぞれ質量18.4gで500ml用ボトルを成形した。なお、胴部における平均肉厚は360μmであった。ガスバリア性の結果を表1に示した。
次に実施例5、17、18の薄膜形成用樹脂組成物を用いて、コールドパリソン法によって、それぞれ質量18.4gで500ml用ボトルを成形した。なお、胴部における平均肉厚は360μmであった。次に、前記DLC成膜装置を用いて、窒素プラズマ処理をDLC膜の成膜前に行なった。窒素ガスを80sccm、成膜時のチャンバー内圧力10Pa、プラズマ処理時間2秒、13.56MHzの高周波出力1000Wを条件とした。その後、前記DLC成膜装置を用いてDLCコーティングボトルを製造した。このとき、アセチレンガスを80sccm、成膜時のチャンバー内圧力10Pa、成膜時間2秒、13.56MHzの高周波出力1000Wを成膜条件とした。DLC膜の膜厚は全て20nmとなるようにした。ガスバリア性の結果を表1に示した。
次に比較例1の樹脂を用いて、コールドパリソン法によって、それぞれ質量18.4gで500ml用ボトルを成形した。なお、胴部における平均肉厚は360μmであった。窒素プラズマ処理を前記条件と同条件で行ない、併せてガスバリア性の結果を表1に示した。
次に実施例5、8、9、17、18の薄膜形成用樹脂組成物を用いて、コールドパリソン法によって、それぞれ質量15.6gで500ml用ボトルを成形した。なお、胴部における平均肉厚は250μmであった。次に、前記DLC成膜装置を用いてDLCコーティングボトルを製造した。このとき、アセチレンガスを80sccm、成膜時のチャンバー内圧力10Pa、成膜時間5秒、13.56MHzの高周波出力1000Wを成膜条件とした。DLC膜の膜厚は全て50nmとなるようにした。ガスバリア性の結果を表1に示した。
次に比較例1の樹脂を用いて、コールドパリソン法によって、それぞれ質量15.6gで500ml用ボトルを成形した。なお、胴部における平均肉厚は250μmであった。ガスバリア性の結果を表1に示した。
次に実施例5、8、9、17、18の薄膜形成用樹脂組成物を用いて、コールドパリソン法によって、それぞれ質量15.6gで500ml用ボトルを成形した。なお、胴部における平均肉厚は250μmであった。次に、前記DLC成膜装置を用いて、窒素プラズマ処理をDLC膜の成膜前に行なった。窒素ガスを80sccm、成膜時のチャンバー内圧力10Pa、プラズマ処理時間2秒、13.56MHzの高周波出力1000Wを条件とした。その後、前記DLC成膜装置を用いてDLCコーティングボトルを製造した。このとき、アセチレンガスを80sccm、成膜時のチャンバー内圧力10Pa、成膜時間2秒、13.56MHzの高周波出力1000Wを成膜条件とした。実施例5、8、9、17、18の薄膜形成用樹脂組成物を用いたボトル内面上に成膜したDLC膜の膜厚は全て20nmとなるようにした。ガスバリア性の結果を表1に示した。
次に比較例1の樹脂を用いて、コールドパリソン法によって、それぞれ質量15.6gで500ml用ボトルを成形した。なお、胴部における平均肉厚は250μmであった。窒素プラズマ処理を前記条件と同条件で行ない、併せてガスバリア性の結果を表1に示した。
次に実施例5、8、9、17、18の薄膜形成用樹脂組成物を用いて、コールドパリソン法によって、それぞれ質量15.6gで500ml用ボトルを成形した。なお、胴部における平均肉厚は250μmであった。次に、前記DLC成膜装置を用いて、酸素プラズマ処理をDLC膜の成膜前に行なった。酸素ガスを80sccm、成膜時のチャンバー内圧力10Pa、プラズマ処理時間2秒、13.56MHzの高周波出力1000Wを条件とした。その後、前記DLC成膜装置を用いてDLCコーティングボトルを製造した。このとき、アセチレンガスを80sccm、成膜時のチャンバー内圧力10Pa、成膜時間2秒、13.56MHzの高周波出力1000Wを成膜条件とした。DLC膜の膜厚は全て20nmとなるようにした。ガスバリア性の結果を表1に示した。
次に比較例1の樹脂を用いて、コールドパリソン法によって、それぞれ質量15.6gで500ml用ボトルを成形した。なお、胴部における平均肉厚は250μmであった。酸素プラズマ処理を前記条件と同条件で行ない、併せてガスバリア性の結果を表1に示した。
次に実施例5、8、9、17、18の薄膜形成用樹脂組成物を用いて、コールドパリソン法によって、それぞれ質量15.6gで500ml用ボトルを成形した。なお、胴部における平均肉厚は250μmであった。次に、前記DLC成膜装置を用いて、アルゴンプラズマ処理をDLC膜の成膜前に行なった。アルゴンガスを80sccm、成膜時のチャンバー内圧力10Pa、プラズマ処理時間2秒、13.56MHzの高周波出力1000Wを条件とした。その後、前記DLC成膜装置を用いてDLCコーティングボトルを製造した。このとき、アセチレンガスを80sccm、成膜時のチャンバー内圧力10Pa、成膜時間2秒、13.56MHzの高周波出力1000Wを成膜条件とした。DLC膜の膜厚は全て20nmとなるようにした。ガスバリア性の結果を表1に示した。
次に比較例1の樹脂を用いて、コールドパリソン法によって、それぞれ質量15.6gで500ml用ボトルを成形した。なお、胴部における平均肉厚は250μmであった。アルゴンプラズマ処理を前記条件と同条件で行ない、併せてガスバリア性の結果を表1に示した。
次に実施例8、17の薄膜形成用樹脂組成物を用いて、コールドパリソン法によって、それぞれ質量15.6gで500ml用ボトルを成形した。なお、胴部における平均肉厚は250μmであった。次に、金属アルミ薄膜を真空蒸着法によって容器内面をコーティングした。膜厚は全て10nmとなるようにした。ガスバリア性の結果を表2に示した。
次に比較例1の樹脂を用いて、コールドパリソン法によって、それぞれ質量15.6.gで500ml用ボトルを成形した。なお、胴部における平均肉厚は250μmであった。次に、金属アルミ薄膜を真空蒸着法によって容器内面をコーティングした。膜厚は全て10nmとなるようにした。結果を表2に示した。
次に実施例8、17の薄膜形成用樹脂組成物を用いて、コールドパリソン法によって、それぞれ質量15.6gで500ml用ボトルを成形した。なお、胴部における平均肉厚は250μmであった。次に、酸化アルミニウム薄膜(AlOx薄膜)を酸素雰囲気下の真空蒸着法によって容器内面をコーティングした。膜厚は全て10nmとなるようにした。ガスバリア性の結果を表2に示した。
次に比較例1の樹脂を用いて、コールドパリソン法によって、それぞれ質量15.6.gで500ml用ボトルを成形した。なお、胴部における平均肉厚は250μmであった。次に、酸化アルミニウム薄膜(AlOx薄膜)を酸素雰囲気下の真空蒸着法によって容器内面をコーティングした。膜厚は全て10nmとなるようにした。ガスバリア性の結果を表2に示した。

Claims (17)

  1. ポリオレフィン系樹脂70〜99.9質量%と変性低分子オレフィン系改質剤(A)30〜0.1質量%とからなり、前記変性低分子オレフィン系改質剤(A)が85〜99.9モル%のプロピレン及び15〜0.1モル%のエチレンを構成単位とするポリオレフィン(A1)の一次酸変性物(B1)であり、かつ、ガスバリア薄膜の被膜対象体の成形用材料であることを特徴とする薄膜形成用樹脂組成物。
  2. ポリオレフィン系樹脂70〜99.9質量%と変性低分子オレフィン系改質剤(A)30〜0.1質量%とからなり、前記変性低分子オレフィン系改質剤(A)が85〜99.9モル%のプロピレン、0.1〜15モル%のエチレン及び0モル%を超えて14モル%以下の炭素数4〜12のα‐オレフィン(a)を構成単位とするポリオレフィン(A2)の一次酸変性物(B2)であり、かつ、ガスバリア薄膜の被膜対象体の成形用材料であることを特徴とする薄膜形成用樹脂組成物。
  3. 前記ポリオレフィンの一次酸変性物(B1)又は(B2)は、その一部若しくはその全部が二次酸変性物(C)にさらに変性されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の薄膜形成用樹脂組成物。
  4. 変性低分子オレフィン系改質剤(A)のオレフィン部分が、数平均分子量500〜40,000のポリオレフィンであることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の薄膜形成用樹脂組成物。
  5. 前記ポリオレフィンの一次酸変性物(B1)又は(B2)が、不飽和カルボン酸又はその酸無水物で変性された酸変性物であることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の薄膜形成用樹脂組成物。
  6. 前記二次酸変性物(C)が、前記ポリオレフィンの一次酸変性物(B1)又は(B2)を炭素数1〜24のアルコールでエステル化したエステル化物からなる変性物(D)であることを特徴とする請求項3、4又は5に記載の薄膜形成用樹脂組成物。
  7. 前記二次酸変性物(C)が、前記ポリオレフィンの一次酸変性物(B1)又は(B2)を炭素数1〜24のアルコールのエチレンオキサイド付加物でエステル化したエステル化物からなる変性物(E)であることを特徴とする請求項3、4、5又は6に記載の薄膜形成用樹脂組成物。
  8. 前記二次酸変性物(C)が、前記ポリオレフィンの一次酸変性物(B1)又は(B2)と、一般式HN(R)‐R‐OH(R:C2〜18のアルキレン基、アリーレン基又はアラルキレン基、R:H、C1〜4のアルキル基若しくは‐R‐OH)で表わされるアミノアルコールとを反応させて得られるイミド化物からなる変性物(F)であることを特徴とする請求項3、4、5、6又は7に記載の薄膜形成用樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか一つに記載の薄膜形成用樹脂組成物を用いて容器に成形されてなるか、或いは、容器の内表面層、外表面層又はその両方に前記薄膜形成用樹脂組成物を用いて容器に成形されてなり、前記薄膜形成用樹脂組成物からなる表面側にガスバリア薄膜が成膜されており、かつ、酸素透過率が、ガスバリア薄膜が形成されていない容器と比較して、三分の一以下であることを特徴とするガスバリア性を有するプラスチック容器。
  10. 容器の側面における平均肉厚が200〜500μmであることを特徴とする請求項9に記載のガスバリア性を有するプラスチック容器。
  11. 請求項1〜8のいずれか一つに記載の薄膜形成用樹脂組成物を用いてフィルムに成形されてなるか、或いは、フィルムの表面層に前記薄膜形成用樹脂組成物を用いてフィルムに成形されてなり、かつ、プラスチックフィルムの表面にガスバリア薄膜が成膜されていることを特徴とするガスバリア性を有するプラスチックフィルム。
  12. 前記ガスバリア薄膜が炭素膜、金属膜又は金属酸化物膜であることを特徴とする請求項9、10又は11に記載のガスバリア性を有するプラスチック容器又はプラスチックフィルム。
  13. 前記容器又は前記プラスチックフィルムの主成分が、ポリエチレン、ポリプロピレン又はこれらの混合物のいずれかからなることを特徴とする請求項9、10、11又は12に記載のガスバリア性を有するプラスチック容器又はプラスチックフィルム。
  14. 請求項1〜8のいずれか一つに記載の変性低分子オレフィン系改質剤(A)30質量%を超え70質量%以下とポリオレフィン系樹脂70質量%未満30質量%以上とを含有することを特徴とする薄膜形成用樹脂組成物用マスターバッチ。
  15. 請求項1〜8のいずれか一つに記載の薄膜形成用樹脂組成物が少なくとも表面に表出されているボトル、キャップ又はフィルムから選択されるプラスチック成形体を成形する工程と、
    該成形体の表面にガスバリア薄膜を成膜する工程と、を有することを特徴とするガスバリア性を有するプラスチック成形体の製造方法。
  16. 前記プラスチック成形体を成形した後、前記ガスバリア薄膜を成膜する前に、前記ガスバリア薄膜の成膜予定面にプラズマ処理を施す工程をさらに有することを特徴とする請求項15に記載のガスバリア性を有するプラスチック成形体の製造方法。
  17. 前記プラズマ処理は、窒素、酸素又はこれらの混合ガスの存在下で行うことを特徴とする請求項16に記載のガスバリア性を有するプラスチック成形体の製造方法。
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