JP6626627B2 - 熱可塑性樹脂用改質剤および熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、熱可塑性樹脂用改質剤および熱可塑性樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、熱可塑性樹脂成形品の良好な外観及や機械強度を損なうことなく、該成形品特性を改質可能な熱可塑性樹脂用改質剤及びこれを含有してなる熱可塑性樹脂組成物に関する。
近年、極性の異なる樹脂同士をブレンドするポリマーブレンドによる樹脂の改質が盛んに検討されている。その際に例えば、スチレン系熱可塑性エラストマーを改質剤として使用する方法等が提案されている(例えば特許文献1、2参照)。
特開昭56−100840号公報 特開平 6−256417号公報
しかしながら上記従来技術では、従来のポリマーブレンドによる組成物を成形した場合は、耐衝撃性が不十分であるという問題があった。本発明の目的は、熱可塑性樹脂成形品の良好な外観及や機械強度を損なうことなく、該成形品特性を改質可能な熱可塑性樹脂用改質剤及びこれを含有してなる熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果本発明に到達した。即ち、本発明は、ポリオレフィンの分子末端及び/又は分子側鎖にフルオロ炭化水素基を有する有機基を少なくとも1個有する有機フッ素変性ポリオレフィン(A)を含有してなる熱可塑性樹脂用改質剤(Z);該熱可塑性樹脂用改質剤(Z)と熱可塑性樹脂(B)とを含有してなる熱可塑性樹脂組成物;該組成物を成形してなる成形品;並びに、該成形品に塗装及び/又は印刷を施してなる成形物品である。
本発明の熱可塑性樹脂用改質剤(Z)は、下記の効果を奏する。
(1)極性の異なる樹脂同士、とくにポリオレフィン樹脂(B1)とフッ素樹脂(B2)を幅広い重量比で良好に相溶させることができる。
(2)該熱可塑性樹脂用改質剤を極性の異なる複数の樹脂、とくにポリオレフィン樹脂(B1)およびフッ素樹脂(B2)に含有させてなる樹脂組成物を成形してなる成形品は、耐汚染性及び耐衝撃性等の機械物性に優れる。
(3)該熱可塑性樹脂用改質剤は、熱可塑性樹脂組成物の成形品に、外観及び機械物性を損なうことなく、優れた耐汚染性を付与する。
[有機フッ素変性ポリオレフィン(A)]
本発明における有機フッ素変性ポリオレフィン(A)は、ポリオレフィンの分子末端及び/又は分子側鎖にフルオロ炭化水素基を有する有機基を少なくとも1個有するものである。
(A)中のフッ素含有率は、熱可塑性樹脂(B)中への分散性の観点から、(A)の重量に基づいて、好ましくは0.1〜50重量%であり、更に好ましくは1〜45重量%であり、特に好ましくは3〜40重量%、最も好ましくは15〜35重量%である。
本発明における(A)中のフッ素含有率は、蛍光X線測定装置を使用して、含有量が既知のフッ素含有化合物について作成した検量線に基づいて求めることができる。
蛍光X線測定装置としては、例えば[商品名「X−ray FluorescenceSpectrometer LAB CENTER XRF−1800」、(株)島津製作所製]が挙げられる。
なお、実施例における該フッ素含有率(重量%)は上記手法により求めた。
(A)の数平均分子量(以下、Mnと略記することがある)は、熱可塑性樹脂(B)中への分散性及び後述する成形品表面からの(A)のブリードアウト防止の観点から、好ましくは500〜1,000,000であり、更に好ましくは1,000〜100,000である。
本発明におけるポリマーのMn及び重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定することができる。
装置(一例) :「HLC−8120」[東ソー(株)製]
カラム(一例):「TSKgelGMHXL」(2本)
「TSKgelMultiporeHXL−M」(1本)
試料溶液 :0.3重量%のオルトジクロロベンゼン溶液
溶液注入量 :100μl
流量 :1ml/分
測定温度 :135℃
検出装置 :屈折率検出器
基準物質 :標準ポリスチレン
(TSKstandardPOLYSTYRENE)12点
(分子量:500、1,050、2,800、5,970、
9,100、18,100、37,900、96,400、
190,000、355,000、1,090,000、
2,890,000)[東ソー(株)製]
(A)は、下記の(A1)〜(A3)が挙げられ、それぞれ公知の方法で製造できる。
(A1):オレフィン(am)及び/又は重合性不飽和結合を有するポリオレフィン(a1)と、二重結合を有するフッ素化合物(b1)を構成単位とする共重合体;
(A2):該(a1)をα,β−不飽和カルボン酸(無水物)で変性したもの(a2)と、カルボキシル基(又は無水物基)と反応することができる基を有するフッ素化合物(b2)との反応物;
(A3):該(a1)を酸化又はヒドロホルミル化変性したもの(a3)と、カルボキシル基(又は無水物基)と反応することができる基を有するフッ素化合物(b2)との反応物。
上記(A1)〜(A3)はそれぞれ単独でもよく、2種以上を併用してもよい。また、(A1)〜(A3)のうち、工業的な観点から好ましいのは(A2)である。
本発明におけるオレフィン(am)としては、炭素数2〜30のオレフィンが挙げられる。炭素数2〜30のオレフィンとしては、炭素数2〜30のα−オレフィン及び炭素数4〜30のジエンが挙げられる。
炭素数2〜30のα−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−イコセン及び1−テトラコセン等が挙げられる。
炭素数4〜30のジエンとしては、ブタジエン、イソプレン、シクロペンタジエン及び1,11−ドデカジエン等が挙げられる。
炭素数2〜30のオレフィンのうち、分子量制御の観点から好ましいのは、エチレン、プロピレン、炭素数4〜12のα−オレフィン、ブタジエン、イソプレン及びこれらの混合物であり、更に好ましいのは、エチレン、プロピレン、炭素数4〜10のα−オレフィン、ブタジエン及びこれらの混合物、特に好ましいのはエチレン、プロピレン、ブタジエン及びこれらの混合物である。
本発明における重合性不飽和結合を有するポリオレフィン(a1)としては、ポリオレフィン及びそれらのオリゴマー(高密度、中密度又は低密度ポリエチレン、プロピレン重合体、ポリブテン、ポリ−4−メチルペンテン、エチレン/α−オレフィン共重合体、プロピレン/α−オレフィン共重合体等);ポリオレフィンエラストマー(エチレン/プロピレンゴム、エチレン/プロピレン/ジエン共重合体ゴム、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ブチルゴム、ブタジエンゴム、低結晶性エチレン/プロピレン共重合体、プロピレン/ブテン共重合体、エチレン/ビニルエステル共重合体、エチレン/アクリルエステル共重合体及びポリプロピレンとエチレン/プロピレンゴムのブレンド等)、及びこれらの熱減成物(a−01)、カルボキシル基をポリマーの少なくとも片末端に有するポリオレフィン(a1−1)、水酸基をポリマーの少なくとも片末端に有するポリオレフィン(a1−2)、アミノ基をポリマーの少なくとも片末端に有するポリオレフィン(a1−3)及びイソシアネート基をポリマーの少なくとも片末端有するポリオレフィン(a1−4)等が挙げられる。
なお、本発明における末端とは、ポリマーを構成するモノマー単位の繰り返し構造が途切れる終端部を意味する。また、片末端とは、ポリマーの主鎖におけるいずれか一方の末端を意味する。
上記(a1)のうち、工業上の観点から好ましいのは熱減成物(a−01)である。
熱減成物(a−01)としては特に限定されないが、不活性ガス中で加熱して得られたもの(300〜450℃で0.5〜10時間、例えば特開平3−62804号公報に記載の方法で得られたもの)、及び空気中で加熱することにより熱減成されたもの等が挙げられる。
前記熱減成法に用いられるポリオレフィンとしては、炭素数2〜30(好ましくは2〜12、更に好ましくは2〜10)のオレフィンの1種又は2種以上の混合物の(共)重合体[Mnは好ましくは12,000〜100,000、更に好ましくは15,000〜70,000。メルトフローレート(以下MFRと略記する。単位はg/10min)は好ましくは0.5〜150、更に好ましくは1〜100。]等が挙げられる。ここでMFRとは、樹脂の溶融粘度を表す数値であり、数値が大きいほど溶融粘度が低いことを表す。MFRの測定には、JIS K6760で定められた押出し形プラストメータを用い、測定方法はJIS K7210(1976年)で規定した方法に準拠する。例えばポリプロピレンの場合は、230℃、荷重2.16kgfの条件で測定される。
(a1−1)としては、少なくとも片末端が変性可能なポリオレフィン(a1−01)の少なくとも片末端にカルボキシル基を導入したもの;(a1−2)としては、(a1−01)の少なくとも片末端に水酸基を導入したもの;(a1−3)としては、(a1−01)の少なくとも片末端にアミノ基を導入したもの;並びに、(a1−4)としては、(a1−01)の少なくとも片末端にイソシアネート基を導入したものをそれぞれ用いることができる。
少なくとも片末端が変性可能なポリオレフィン(a1−01)には、炭素数2〜30(好ましくは2〜12、更に好ましくは2〜10)のオレフィンの1種又は2種以上の混合物の(共)重合[(共)重合は、重合又は共重合を意味する。以下同様。]によって得られるポリオレフィン(重合法)及び減成されたポリオレフィン{高分子量[好ましくは数平均分子量(以下Mnと略記する。)50,000〜150,000]ポリオレフィンを機械的、熱的又は化学的に減成してなるもの(減成法)}が含まれる。
これらのうち、カルボキシル基、水酸基、アミノ基又はイソシアネート基を導入する際の変性のし易さ及び入手のし易さの観点から好ましいのは、減成されたポリオレフィンであり、更に好ましいのは熱減成されたポリオレフィンである。前記熱減成によれば、後述のとおり1分子当たりの平均末端二重結合数が1.5〜2個の低分子量ポリオレフィンが容易に得られ、前記低分子量ポリオレフィンはカルボキシル基、水酸基、アミノ基又はイソシアネート基等を導入して変性することが容易である。
本発明における二重結合を有するフッ素化合物(b1)としては、下記(b11)〜(b19)の化合物が挙げられる。(下記各構造式中、Meはメチル基、Etはエチル基、Prはプロピル基を表す。)
(b11)フッ素含有アルキルエチレン:
613CH=CH2、C817CH=CH2、及びC1225CH=CH2、C1627CH=CH2等;
(b12)フッ素含有アルキルアリル:
817CH2CH=CH2、及びC613CH2CH=CH2等;
(b13)フッ素含有アルキル基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物:
715CH2OCOCH=CH2、C715CH2OCOC(Me)=CH2、CF3(CF22CH2OCOC(Me)=CH2、CF3(CF24(CH22OCOC(Me)=CH2、CF3(CF29(CH22OCOC(Me)=CH2、C817(CH211OCOC(Me)=CH2、C715CON(Et)(CH22OCOC(Me)=CH2、C613SO2N(Me)(CH22OCOCH=CH2、C817SO2N(Pr)(CH22OCOCH=CH2、C817SO2N(Me)(CH22OCOC(Me)=CH2、C817SO2N(Me)(CH210OCOCH2CH=CH2、C817SO2N(CH2CH2OCOCH=CH22、及びHCF2(CF27CH2OCOC(Me)=CH2等;
(b14)フッ素含有アルキル基を有するマレイン酸モノ又はジエステル:
613(CH211OCOCH=CHCOOMe、及びC613(CH211OCOCH=CHCOOCH2715等;
(b15)フッ素含有アルキル基を有するビニルエーテル又はアリルエーテル:
715CH2OCH=CH2、及びC715CH2OCH2CH=CH2等;
(b16)フッ素含有アルキル基とビニルスルホン基を有する化合物:
613SO2NHCH2SO2CH=CH2等;
(b17)フッ素含有アルキル基を有するアミン[C613CH2CH2NH2、及び(C613CH2CH22NH等]と、ビニルモノマー[(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸イソシアネートエチル等]とを反応させたもの;
(b18)フッ素含有アルキル基を有するアルコール(C613CH2CH2OH等)と、ビニルモノマー[(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸イソシアネートエチル等]とを反応させたもの;
(b19)フッ素含有アルキル基を有するカルボン酸(C613COOH等)と、ビニルモノマー[(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル及び(メチロール)アクリルアミド等]とを反応させたもの。
上記(b1)のうち、工業的な観点から好ましいのは(b11)である。
本発明における(a2)としては、前記(a1)をα,β−不飽和カルボン酸(無水物)で変性したものが挙げられ、α,β−不飽和カルボン酸(無水物)としては後述のものが挙げられ、反応性の観点から好ましいのは無水マレイン酸である。
前記α,β−不飽和カルボン酸(無水物)としては、モノカルボン酸、ジカルボン酸、モノ又はジカルボン酸のアルキル(炭素数1〜4)エステル及びモノ又はジカルボン酸の無水物が挙げられ、具体的には(メタ)アクリル酸[(メタ)アクリル酸はアクリル酸又はメタアクリル酸を意味する。以下同様。]、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、マレイン酸(無水物)、マレイン酸ジメチル、フマル酸、イタコン酸(無水物)、イタコン酸ジエチル及びシトラコン酸(無水物)等が挙げられる。
カルボキシル基(又は無水物基)と反応することができる基を有するフッ素化合物(b2)としては、フルオロ炭化水素基を少なくとも1個以上有し、更に、カルボキシル基(又は無水物基)と反応することができる基として、ヒドロキシル基、アミノ基又はエポキシ基等を有するものであり、これらの官能基は併有していてもよい。
(b2)のうち、ヒドロキシル基を有するもの(b2−1)としては、CF3CH2OH、CF3(CF2nCH2OH[n=1〜20]、CF3(CH22OH、CF3(CF2n(CH22OH[n=1〜20]、CF3(CH23OH、CF3(CF2n(CH23OH[n=1〜20]、CF3(CH24OH、CF3(CF2n(CH24OH[n=1〜20]、CF3(CH25OH、CF3(CF2n(CH25OH[n=1〜20]、CF3(CH26OH、CF3(CF2n(CH26OH[n=1〜20]、CF2HCH2OH、CF2H(CF2nCH2OH[n=1〜20]、CF2H(CH22OH、CF2H(CF2n(CH22OH[n=1〜20]、CF2H(CH23OH、CF2H(CF2n(CH23OH[n=1〜20]、CF2H(CH24OH、CF2H(CF2n(CH24OH[n=1〜20]、CF2H(CH25OH、CF2H(CF2n(CH25OH[n=1〜20]、CF2H(CH26OH、CF2H(CF2n(CH26OH[n=1〜20]、CF3(CF22OCF(CF3)CH2OH、C37OCF(CF3)CF2OCF(CF3)CH2OH、(CF32CF(CH26OH、(CF32CHOH、CF3CHFCF2CH2OH、HOCH2(CF24CH2OH、HOCH2(CF26CH2OH、及び(CF32C(CH3)CH2OH等が挙げられる。
また、これらのアルキレンオキサイド(AOと略記、炭素数2〜4)付加物も挙げられる。該AOとしては、1,2−エチレンオキサイド、1,2−又は1,3−プロピレンオキサイド、1,2−、1,3−、1,4−又は2,3−ブチレンオキサイドが挙げられる。
(b2)のうち、アミノ基を有するもの(b2−2)としては、前記(b2−1)のうち、ヒドロキシル基をアミノ基に置き換えたもの等が挙げられる。
また、(b2)のうち、エポキシ基を有するものとしては、前記(b2−1)のうち、ヒドロキシル基をエポキシ基に置き換えたもの、又はグリシジルエーテル基に置き換えたもの等が挙げられる。
前記(A2)における、(a1)をα,β−不飽和カルボン酸(無水物)で変性したもの(a2)と、カルボキシル基又は無水物基と反応することができる基を有するフッ素化合物(b2)との反応は、(a2)が有するカルボキシル基又は無水物基と、(b2)が有するヒドロキシル基又はアミノ基とを付加反応させる方法や、通常のエステル製造法に従って脱水縮合反応させる方法等が挙げられる。
前記反応には、ベンゼン、トルエン、キシレン及びクロルベンゼン等の有機溶剤を用いてもよい。また反応性を高めるために、カルボキシル基又は無水物基を、一旦酸ハライド基に変換した後縮合反応させてもよい。
前記反応には、触媒を用いることもできる。触媒としては、無機酸(硫酸及び塩酸等)、有機スルホン酸(メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸及びナフタレンスルホン酸等)及び有機金属化合物(ジブチルチンオキサイド、テトライソプロポキシチタネート、ビストリエタノールアミンチタネート及びシュウ酸チタン酸カリウム等)等が挙げられる。触媒の使用量は、(a2)の重量に基づいて、反応性及び成形品外観の観点から、好ましくは5重量%以下であり、好ましくは0.001〜1.0重量%である。
前記(A3)における、(a1)を酸化又はヒドロホルミル化変性の方法としては、(a1)を酸素及び/又はオゾンにより酸化する方法(酸化法)、又はオキソ法によるヒドロホルミル化によりカルボキシル基を導入する方法が挙げられる。
酸化法によるカルボニル基の導入は、公知の方法、例えば米国特許第3,692,877号明細書記載の方法で行うことができる。ヒドロホルミル化によるカルボニル基の導入は、公知を含む種々の方法、例えば、Macromolecules、Vol.31、5943頁記載の方法で行うことができる。
[熱可塑性樹脂用改質剤(Z)]
本発明の熱可塑性樹脂用改質剤(Z)は、前記有機フッ素変性ポリオレフィン(A)を含有してなる。熱可塑性樹脂用改質剤(Z)は、後述の熱可塑性樹脂(B)用の改質剤として使用され、とりわけポリオレフィン樹脂(B1)用の改質剤として有用である。
(Z)には、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要により相用化剤などの公知の樹脂用添加剤を含有させてもよい。(Z)中の樹脂用添加剤の含有量は、(Z)の重量に基づいて、成形品の機械物性及び耐汚染性の観点から好ましくは0.1〜20%、さらに好ましくは1〜10%である。
[熱可塑性樹脂組成物]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂用改質剤(Z)と熱可塑性樹脂(B)とを含有してなる。
熱可塑性樹脂(B)としては、
ポリオレフィン樹脂(B1)[ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)及びエチレン−エチルアクリレート共重合樹脂等];
フッ素樹脂(B2)[PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン(四フッ化エチレン(C24)とパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体)及びPVDF(ポリビニリデンフルオライド)];
ポリ(メタ)アクリル樹脂(B3)[ポリメタクリル酸メチル等];
ポリスチレン樹脂(B4)[ビニル基含有芳香族炭化水素単独、及びビニル基含有芳香族炭化水素と、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル及びブタジエンからなる群から選ばれる1種以上とを構成単位とする共重合体;例えばポリスチレン(PS)、スチレン/アクリロニトリル共重合体(AN樹脂)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹脂)、メタクリル酸メチル/ブタジエン/スチレン共重合体(MBS樹脂)及びスチレン/メタクリル酸メチル共重合体(MS樹脂)]等;
ポリエステル樹脂(B5)[ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリブチレンアジペート及びポリエチレンアジペート];
ポリアミド樹脂(B6)[ナイロン66、ナイロン69、ナイロン612、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン6/66及びナイロン6/12等];
ポリカーボネート樹脂(B7)[ポリカーボネート及びポリカーボネート/ABSアロイ樹脂(PC/ABS)等];
ポリアセタール樹脂(B9)、ポリフェニレンエーテル樹脂(B10)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
上記(B)のうち、後述する成形品の機械特性および相溶性の観点から、好ましいのは(B1)と(B2)〜(B9)との組み合わせ、さらに好ましいのは(B1)と(B2)との組み合わせである。
また、上記(B)のうち、成形品の機械物性および耐汚染性の観点から、好ましいのは(B1)〜(B9)、さらに好ましいのは、(B1)、(B3)〜(B9)、とくに好ましいのは(B1)である。
熱可塑性樹脂組成物における(Z)の含有率は、成形品の耐汚染性及び機械特性の観点から、(B)の重量に基づいて好ましくは0.1〜25重量%であり、更に好ましくは0.5〜23重量%、特に好ましくは5〜21重量%、最も好ましくは10〜20重量%である。
熱可塑性樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で必要により、その他の添加剤(C)を含有させることができる。(C)としては、着色剤(C1)、離型剤(C2)、酸化防止剤(C3)、難燃剤(C4)、紫外線吸収剤(C5)、抗菌剤(C6)、及び充填剤(C7)等が挙げられる。(C)は2種以上を併用してもよい。
着色剤(C1)としては、無機顔料(白色顔料、コバルト化合物、鉄化合物及び硫化物等)、有機顔料(アゾ顔料及び多環式顔料等)及び染料(アゾ系、インジゴイド系、硫化系、アリザリン系、アクリジン系、チアゾール系、ニトロ系及びアニリン系等)等が挙げられる。
離型剤(C2)としては、炭素数12〜18の脂肪酸のアルキル(炭素数1〜4)エステル(ステアリン酸ブチル等)、炭素数2〜18の脂肪酸のグリコール(炭素数2〜8)エステル(エチレングリコールモノステアレート等)、炭素数2〜18の脂肪酸の多価(3価以上)アルコールエステル(硬化ヒマシ油等)及び流動パラフィン等が挙げられる。
酸化防止剤(C3)としては、フェノール化合物〔単環フェノール(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール等)、ビスフェノール[2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等]及び多環フェノール[1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等]等〕、硫黄化合物(ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート等)、リン化合物(トリフェニルホスファイト等)及びアミン化合物(オクチル化ジフェニルアミン等)等が挙げられる。
難燃剤(C4)としては、ハロゲン含有難燃剤、窒素含有難燃剤、硫黄含有難燃剤、珪素含有難燃剤及びリン含有難燃剤等が挙げられる。
紫外線吸収剤(C5)としては、ベンゾトリアゾール[2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等]、ベンゾフェノン(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等)、サリチレート(フェニルサリチレート等)及びアクリレート(2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’1−ジフェニルアクリレート等)等が挙げられる。
抗菌剤(C6)としては、安息香酸、ソルビン酸、ハロゲン化フェノール、有機ヨウ素、ニトリル(2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル等)、チオシアノ(メチレンビスチアノシアネート等)、N−ハロアルキルチオイミド、銅剤(8−オキシキノリン銅等)、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、トリハロアリル、トリアゾール、有機窒素硫黄化合物(スラオフ39等)、4級アンモニウム化合物及びピリジン系化合物等が挙げられる。
充填剤(C7)としては、無機充填剤(炭酸カルシウム、タルク及びクレー等)及び有機充填剤(尿素及びステアリン酸カルシウム等)等が挙げられる。
熱可塑性樹脂(B)の重量に基づく(C)の合計含有率は、成形品の機械物性の観点から、好ましくは45重量%以下であり、更に好ましくは0.001〜40重量%、特に好ましくは0.01〜35重量%である。
熱可塑性樹脂(B)の重量に基づく(C1)の含有率は、成形品の機械物性の観点から、好ましくは0.1〜3重量%であり、更に好ましくは0.2〜2重量%である。
熱可塑性樹脂(B)の重量に基づく(C2)、(C3)、(C5)それぞれの含有率は、成形品の機械物性の観点から、好ましくは0.01〜3重量%であり、更に好ましくは0.05〜1重量%である。
熱可塑性樹脂(B)の重量に基づく(C4)、(C6)それぞれの含有率は、成形品の機械物性の観点から、好ましくは0.5〜20重量%であり、更に好ましくは1〜10重量%である。
熱可塑性樹脂(B)の重量に基づく(C7)それぞれの含有率は、成形品の機械物性の観点から、好ましくは0.5〜10重量%であり、更に好ましくは1〜5重量%である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の熱可塑性樹脂用改質剤(Z)、熱可塑性樹脂(B)、必要により(C)を溶融混合することにより得ることができる。溶融混合する方法としては、一般的にはペレット状又は粉体状にした各成分を、適切な混合機(ヘンシェルミキサー等)で混合した後、押出機で溶融混合してペレット化する方法が適用できる。
溶融混合時の各成分の添加順序には特に制限はないが、例えば、
[1](Z)を溶融混合した後、(B)、必要により(C)を一括投入して溶融混合する方法。
[2](Z)を溶融混合した後、(B)の一部をあらかじめ溶融混合して(Z)の高濃度組成物(マスターバッチ樹脂組成物)を作製した後、残りの(B)並びに必要に応じて(C)を溶融混合する方法(マスターバッチ法又はマスターペレット法)。
等が挙げられる。
[2]の方法におけるマスターバッチ樹脂組成物中の(Z)の濃度は、好ましくは40〜80重量%であり、更に好ましくは50〜70重量%である。
上記[1]及び[2]の方法のうち、(Z)を(B)に効率的に分散しやすいという観点から、[2]の方法が好ましい。
[熱可塑性樹脂成形品]
本発明の熱可塑性樹脂成形品は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる。成形方法としては、射出成形、圧縮成形、カレンダ成形、スラッシュ成形、回転成形、押出成形、ブロー成形、フィルム成形(キャスト法、テンター法及びインフレーション法等)等が挙げられ、目的に応じて単層成形、多層成形又は発泡成形等の手段も取り入れた任意の方法で成形できる。
本発明の成形品は、優れた機械物性を有すると共に、良好な塗装性及び印刷性を有し、成形品に塗装及び/又は印刷を施すことにより成形物品が得られる。
成形品を塗装する方法としては、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、静電スプレー塗装、浸漬塗装、ローラー塗装及び刷毛塗り等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
塗料としては、プラスチックの塗装に一般に用いられる塗料が使用でき、具体的にはポリエステルメラミン樹脂塗料、エポキシメラミン樹脂塗料、アクリルメラミン樹脂塗料及びアクリルウレタン樹脂塗料等が挙げられる。
塗装膜厚(乾燥膜厚)は、目的に応じて適宜選択することができるが通常10〜50μmである。
成形品又は成形品に塗装を施した面に印刷する方法としては、一般的にプラスチックの印刷に用いられる印刷法であればいずれも用いることができ、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、パッド印刷、ドライオフセット印刷及びオフセット印刷等が挙げられる。
印刷インキとしては、プラスチックの印刷に通常用いられるものが使用でき、グラビアインキ、フレキソインキ、スクリーンインキ、パッドインキ、ドライオフセットインキ及びオフセットインキ等が挙げられる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下において部は重量部を示す。なお、以下において、実施例1、2は参考例1、2である。
<製造例1>
[少なくとも片末端が変性可能なポリオレフィン(a1−01−α)の製造]
窒素導入管、排ガス留出管、撹拌装置および冷却管を備えた反応容器に、プロピレン98モル%およびエチレン2モル%を構成単位とするポリオレフィン(Mw200,000)100部を窒素雰囲気下に入れ、気相部分に窒素を通気しながらマントルヒーターにて加熱溶融し、撹拌しながら360℃で40分間熱減成を行い、少なくとも片末端が変性可能なポリオレフィン(a1−01−α)を得た。(a1−01−α)の炭素1,000個当たりの二重結合数は1.7個、Mw44,000であった。
<製造例2>
[重合性不飽和結合を有するポリオレフィンをα,β−不飽和カルボン酸(無水物)で変性したもの(a2−α)の製造]
撹拌機、温度計、加熱冷却装置、窒素導入管及び減圧装置を備えたステンレス製耐圧反応容器に、耐圧反応容器に、少なくとも片末端が変性可能なポリオレフィン(a1−01−α)90部、無水マレイン酸10部及びキシレン30部を投入し、均一に混合した後、窒素置換し、密閉下、撹拌しながら200℃まで昇温して溶融させ、同温度で10時間反応させた。次いで、過剰の無水マレイン酸とキシレンを、減圧下(0.013MPa以下)、200℃で3時間かけて留去して、(a2−α)91部を得た。(a2−α)の酸価は2.5、Mnは44,200であった。
<製造例3>
[重合性不飽和結合を有するポリオレフィンをα,β−不飽和カルボン酸(無水物)で変性したもの(a2−β)の製造]
製造例2と同様の耐圧反応容器に、熱減成法で得られた低分子量ポリプロピレン[ポリプロピレン(MFR:10g/10min)を410±0.1℃、窒素通気下(80mL/分)に16分間熱減成して得られたもの。Mn:3,400、炭素数1,000個当たりの二重結合数:7.0、1分子当たりの二重結合の平均数:1.8、両末端変性可能なポリオレフィンの含有率:90重量%)]90部、無水マレイン酸10部及びキシレン30部を投入し、均一に混合した後、窒素置換し、密閉下、撹拌しながら200℃まで昇温して溶融させ、同温度で10時間反応させた。次いで、過剰の無水マレイン酸とキシレンを、減圧下(0.013MPa以下)、200℃で3時間かけて留去して(a2−β)95部を得た。(a2−β)の酸価は27.5、Mnは3,600であった。
<製造例4>
[有機フッ素変性ポリオレフィン(A−1)の製造]
製造例2と同様の耐圧反応容器に、キシレン180部、低分子ポリオレフィン[「サンワックス161P」、三洋化成工業(株)製]40部及びパ−フルオロアルキルエチレン[ダイキン工業(株)製]60部を投入し、窒素雰囲気下、撹拌しながら125℃に昇温し、同温度でジ−t−ブチルオキシド1.25部を10分間かけて滴下した後、2時間撹拌した。次いで、125℃でジ−t−ブチルオキシド0.63部を10分間かけて滴下した後、同温度で2時間撹拌した。減圧下(0.013MPa以下)、125℃でキシレンを2時間かけて留去し、分子側鎖にフルオロ炭化水素を有する有機基を有する有機フッ素変性ポリオレフィン(A−1)を得た。(A−1)のフッ素含有率は50重量%、Mnは24,000であった
<製造例5>
[有機フッ素変性ポリオレフィン(A−2)の製造]
製造例4において、低分子ポリオレフィン[「サンワックス161P」、三洋化成工業(株)製]40部及びパ−フルオロアルキルエチレン[ダイキン工業(株)製]60部を、1−テトラコセン80部及びパ−フルオロアルキルエチレン[ダイキン工業(株)製]20部に変更した以外は製造例4と同様にして、有機フッ素変性ポリオレフィン(A−2)を得た。(A−2)のフッ素含有率は15重量%、Mnは16,000であった。
<製造例6>
[有機フッ素変性ポリオレフィン(A−3)の製造]
製造例2と同様の耐圧反応容器に、(a2−α)98部及び1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロ−1−デカノール2部を投入し、撹拌しながら170℃に昇温し同温度で1時間撹拌した。次いで減圧下(0.013MPa以下)、170℃で未反応の1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロ−1−デカノールを2時間かけて留去し、分子側鎖にフルオロ炭化水素基を有する有機基を有する有機フッ素変性ポリオレフィン(A−3)を得た。(A−3)のフッ素含有率は1重量%、Mnは44,500であった。
<製造例7>
[有機フッ素変性ポリオレフィン(A−4)の製造]
製造例6において、(a2−α)98部及び1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロ−1−デカノール2部を、(a2−β)60部及び1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロ−1−デカノール40部に変更した以外は製造例6と同様にして、有機フッ素変性ポリオレフィン(A−4)を得た。(A−4)のフッ素含有率は25重量%、Mnは4,500であった。
<製造例8>
[有機フッ素変性ポリオレフィン(A−5)の製造]
製造例2と同様の耐圧反応容器に、(a2−α)98部、1H,1H−トリデカフルオロヘプチルアミン2部を投入し、撹拌しながら170℃に昇温し同温度で1時間撹拌した。次いで減圧下(0.013MPa以下)、170℃で未反応の1H,1H−トリデカフルオロヘプチルアミンを2時間かけて留去し、分子末端にフルオロ炭化水素基を有する有機基を有する有機フッ素変性ポリオレフィン(A−5)を得た。(A−5)のフッ素含有率は1重量%、Mnは44,500であった。
<製造例9>
[有機フッ素変性ポリオレフィン(A−6)の製造]
製造例2と同様の耐圧反応容器に、酸変性ポリオレフィン[「ユーメックス1001」、三洋化成工業(株)製]95部及び1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロ−1−デカノール5部を投入し、撹拌しながら170℃に昇温し同温度で1時間撹拌した。次いで減圧下(0.013MPa以下)、170℃で未反応の1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロ−1−デカノールを2時間かけて留去し、分子側鎖にフルオロ炭化水素基を有する有機基を有する有機フッ素変性ポリオレフィン(A−6)を得た。(A−6)のフッ素含有率は3重量%、Mnは15,500であった。
<製造例10>
[有機フッ素変性ポリオレフィン(A−7)の製造]
製造例9において、酸変性ポリオレフィン[「ユーメックス1001」、三洋化成工業(株)製]95部及び1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロ−1−デカノール5部を、酸化ポリオレフィン[三洋化成工業(株)製、酸化ポリオレフィンワックス、酸価;19、Mn;3500]95部及び1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロ−1−デカノール5部に変更した以外は製造例9と同様にして、有機フッ素変性ポリオレフィン(A−7)を得た。(A−7)のフッ素含有率は4重量%、Mnは4,500であった。
<実施例1〜10、比較例1>
表1に示す配合組成(部)に従って熱可塑性樹脂用改質剤を作成した。実施例1〜7の熱可塑性樹脂用改質剤(Z−1)〜(Z−7)は、製造例3〜10記載の有機フッ素変性ポリオレフィン(A−1)〜(A−7)である。実施例8〜10記載の熱可塑性樹脂用改質剤(Z−8)〜(Z−10)は、表1記載の配合成分をヘンシェルミキサーで3分間ブレンドした後、ベント付き2軸押出機にて、100rpm、170℃、滞留時間5分の条件で溶融混練して作成した。なお、比較例1の熱可塑性樹脂用改質剤(Z’−1)には酸変性ポリオレフィン[「ユーメックス1001」、三洋化成工業(株)製]を用いた。結果を表1に示す。
Figure 0006626627
表1中の記号の内容は以下の通りである。
(X−1):
酸変性ポリオレフィン[「ユーメックス1001」、三洋化成工業(株)製]
<実施例11〜35、比較例2〜11>
表2、3に示す配合組成(部)に従って、配合成分をヘンシェルミキサーで3分間ブレンドした後、ベント付き2軸押出機にて、100rpm、220℃、滞留時間5分の条件で溶融混練して実施例11〜23、25〜30、34〜35、比較例2〜4、6〜7、10〜11の熱可塑性樹脂組成物を得た。また、実施例24、31〜33、比較例5、8〜9では、表2、3に示す配合組成(部)に従って、配合成分をヘンシェルミキサーで3分間ブレンドした後、ベント付き2軸押出機にて、100rpm、290℃、滞留時間5分の条件で溶融混練して熱可塑性樹脂組成物を得た。
表2、3中の記号の内容は以下の通りである。
(B−1):
PP樹脂[「PM771M」、サンアロマー(株)製]
(B−2):
PVDF樹脂「シマリットPVDF」[クオドラントポリペンコジャパン(株)製]
(B−3):
ETFE樹脂「ネオフロンEP−610」[ダイキン工業(株)製]
(B−4):
耐衝撃性PS樹脂「HIPS 433」[PSジャパン(株)製]
(B−5):
ABS樹脂[「セビアン 680SF」、ダイセルポリマー(株)製]
実施例11〜23、25〜30、34〜35、比較例2〜4、6〜7、10〜11で得られた熱可塑性樹脂組成物を、射出成形機[「PS40E5ASE」、日精樹脂工業(株)製]を用い、シリンダー温度240℃、金型温度60℃で成形試験片を作製し、下記の性能試験により評価した。
また、実施例24、31〜33、比較例5、8〜9の熱可塑性樹脂組成物を、射出成形機[「PS40E5ASE」、日精樹脂工業(株)製]を用い、シリンダー温度290℃、金型温度100℃で成形試験片を作製し、下記の性能試験により評価した。結果を表2、3に示す。
<性能試験>
(1)外観
(1−1)表面外観
試験片(100×100×2mm)の表面の外観を目視で観察して、以下の基準で評価した。
[評価基準]
◎:異常なく良好(熱可塑性樹脂用改質剤を含有しない熱可塑性樹脂と同等)
○:ほとんど異常なく良好
△:表面荒れ、フクレ等が少し認められる
×:表面荒れ、フクレ等が認められる
(1−2)断面外観(相溶性の評価)
試験片(100×100×2mm)の面中央部を通るように面に垂直に試験片をカッターで切断し、その断面を観察して以下の基準で評価した。
[評価基準]
◎:断面が均一で極めて良好
(熱可塑性樹脂用改質剤を含有しない熱可塑性樹脂と同等)
○:断面がほぼ均一
△:断面がやや層状であり、やや剥離が発生
×:断面が層状であり、剥離が発生
(2)アイゾット衝撃強度(単位:J/m)
ASTM D256 Method A(ノッチ付き、3.2mm厚)に準拠して測定した。
(3)耐汚染性
試験片(100×100×2mm)上にカーボンブラック分散液をスポイトで数滴滴下して流し塗りした後、水の霧吹きでそれを洗い流し、その耐汚染性を以下のように目視判定した。
[評価基準]
◎:汚染無し
○:汚染がごくわずか
△:軽微な汚染
×:汚染著しい
Figure 0006626627
Figure 0006626627
表2、3から、本発明の熱可塑性樹脂用改質剤(Z)は、熱可塑性樹脂に優れた機械物性及び相溶性を有する成形品を与え、さらに成形品は外観及び耐汚染性に優れることが明らかである。
本発明の熱可塑性樹脂用改質剤は、熱可塑性樹脂成形品に優れた機械強度や良好な外観を付与できるため、各種成形法[射出成形、圧縮成形、カレンダ成形、スラッシュ成形、回転成形、押出成形、ブロー成形、発泡成形及びフィルム成形(キャスト法、テンター法及びインフレーション法)等]で成形されるハウジング製品(家電・OA機器、ゲーム機器及び事務機器用等)、プラスチック容器材[クリーンルームで使用されるトレー(ICトレー等)及びその他容器等]、各種緩衝材、被覆材(包材用フィルム及び保護フィルム等)、床材用シート、人工芝、マット、テープ基材(半導体製造プロセス用等)及び各種成形品(自動車部品等)用材料として幅広く用いることができ、極めて有用である。

Claims (6)

  1. ポリオレフィンの分子末端及び/又は分子側鎖にフルオロ炭化水素基を有する有機基を少なくとも1個有する有機フッ素変性ポリオレフィン(A)を含有してなり、該(A)中のフッ素含有率が、(A)の重量に基づいて1〜25重量%であって、該(A)が下記(A2)である熱可塑性樹脂用耐汚染性付与剤(Z)(但し、疎水性ポリマー(a)のブロックと、親水性ポリマー(b)を構成単位とするブロックポリマーを含有しない)。
    (A2):重合性不飽和結合を有するポリオレフィン(a1)をα,β−不飽和カルボン酸(無水物)で変性したもの(a2)と、カルボキシル基又は無水物基と反応することができる基を有するフッ素化合物(b2)との反応物
  2. (A)の数平均分子量が500〜1,000,000である請求項1記載の熱可塑性樹脂用耐汚染性付与剤。
  3. 請求項1又は2記載の熱可塑性樹脂用耐汚染性付与剤(Z)と熱可塑性樹脂(B)とを含有してなる熱可塑性樹脂組成物。
  4. (Z)の含有率が、(B)の重量に基づいて0.1〜25重量%である請求項3記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 請求項3又は4記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
  6. 請求項5に記載の成形品に塗装及び/又は印刷を施してなる成形物品。
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