JP2683389B2 - 薄片状酸化亜鉛粉末及びその製造法 - Google Patents

薄片状酸化亜鉛粉末及びその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、粒子形態が薄片状である酸化亜鉛粉末及び
その簡単な製造方法に関するものである。
ここで、薄片状とは、板状、薄板状、六角板状、円板
状、盤状、葉片状、雲母状、箔状等の形態を意味する
が、薄片の凝固集合した形態を含まない。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕
従来、酸化亜鉛の工業的製造法は、金属亜鉛を空気中
で加熱燃焼させたものが一般的であり、粒状、針状のも
のはあっても、未だ薄片状粉末で直接合成されたものは
ない。
間接的合成法として、特開昭53−82698号公報には、
亜鉛塩を含む水溶液をpH4.5〜6の酸性領域下で、高温
でアルカリを徐々に反応させ大粒径の六角板状塩基性水
酸化亜鉛を得、これを900℃で1時間処理することによ
り板状の酸化亜鉛形骸粒子を得る方法が開示されてい
る。しかし、この方法によっては本発明に開示される様
な平均粒子径1μm以下の薄片状酸化亜鉛粒子を得るこ
とは出来ない。
一方、平均粒子径1μm以下の微粒子に関しては、同
公報の引用において、硝酸亜鉛溶液を弱アルカリにする
ことによって得られることが述べられているが、得られ
るものは水酸化亜鉛であって、しかも微細な箔状片の凝
固した集合結晶を形成しているために、これを脱水して
酸化亜鉛に変えてもその凝固した構造をほぐすことがで
きない。
このような巨大粒子や凝固した粒子は、配向性や圧密
性等の粉体物性や光学物性等において薄片状粒子と大き
く異なった挙動を示し、このため酸化亜鉛としての特性
や用途を拡張するに際しての限界があった。
〔発明の目的〕
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであっ
て、その目的は、従来にない形態及び粒径をもった酸化
亜鉛粉末とその製法を提供し、粒子配向性、基板密着
性、紫外線防御性、導電性において一層優れた酸化亜鉛
粉末を、簡単な工程によって安価に供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは前記のような従来技術の有する課題を解
決するための鋭意検討の結果、亜鉛の塩類の特定組成の
水溶液から及び/又は特定条件下での反応により上記の
目的が達成できることを見い出し、本発明を完成させ
た。
即ち、本発明は、平均粒子径0.1〜0.88μm、平均粒
子厚さ0.01〜0.2μm、平均板状比3以上の薄片状酸化
亜鉛粉末を提供するものであり、更に本発明は、亜鉛の
塩を含む水溶液から直接酸化亜鉛を製造するに際し、 イ)亜鉛イオンを含有し、 ロ)該亜鉛イオンに対し、総量として当量を超える量の
1種または2種以上の酸基を含有し、かつ ハ)pH11以上 の母液から沈澱を生成させることを特徴とする、平均粒
子径0.1〜0.88μm、平均粒子厚さ0.01〜0.2μm、平均
板状比3以上の薄片状酸化亜鉛粉末の製造法を提供する
ものである。
また本発明は、薄片状酸化亜鉛粉末の更に別の製造法
として、亜鉛の塩を含む水溶液と沈澱剤との混合液か
ら、直接酸化亜鉛を製造するに際し、レイノルズ数30以
上の撹拌を行いながら、1秒〜15分間で両者を混合し、 イ)酸化亜鉛換算で15重量%以下の亜鉛濃度を有し、か
つ ロ)pH11以上 の母液から沈澱を生成させることを特徴とする、平均粒
子径0.1〜0.88μm、平均粒子厚さ0.01〜0.2μm、平均
板状比3以上の薄片状酸化亜鉛粉末の製造法を提供する
ものである。
また更に本発明は、上述の製造法における沈澱生成に
際し、水溶性有機物を共存させることにより、その製造
における安定性を高め、粉末形状の制御性を更に高めた
薄片状酸化亜鉛粉末の製造法をも提供するものである。
尚、本明細書において、平均粒子径、平均粒子厚さ、
平均板状比とは、下記の実施例に示す方法により測定し
た値である。
本発明の第1の製造法においては、酸基の共存下で例
えば亜鉛イオンを含有する酸性水溶液とアルカリの水溶
液とを60℃以下、好ましくは40℃以下で短時間内に混合
反応させることによって薄片状酸化亜鉛粉末を得るもの
である。ここで共存させる酸基としては、例えば、N
O3 -,SO4 2-,CH3COO-,Cl-,PO4 3-,CO3 2-,C2O4 2-等の1種又
は2種以上を挙げることができる。母液内にはこれらの
酸基が亜鉛イオンに対して当量を超える量存在し、かつ
pHが11以上であることが必要である。特にpHは12以上が
好ましい。
また更に、沈澱生成後、この白色スラリーを60〜100
℃、好適には90〜100℃の温度に加温し、10分以上、好
ましくは30分以上の間その温度に保つことによっちて、
より結晶性のよい薄片状酸化亜鉛を得ることができる。
さらに詳しく本発明の特徴について開示すれば、亜鉛
イオンに対する酸基の量が当量以下であると薄片状では
あるが凝固した結晶を主成分とする酸化亜鉛が得られ易
く、本発明の目的とする薄片状粒子を得るための制御が
著しく困難となり好ましくない。また、酸基の量の上限
は特に無いが、亜鉛イオンに対して著しく多すぎると単
離に際して洗浄に手間がかかり、実用的でない。酸基イ
オンの種類にもよるが、亜鉛イオンに対し1.05〜2当量
の時が好ましい結果を生みやすい。
また、pHが11未満である、水酸化亜鉛を生成したり、
形状が粒状〜米粒状になるため、そのようなpH領域は本
発明の狙いから外れたものである。
反応温度が60℃より高温になるとpHが11以上でも板状
結晶は得られず、球状または塊状結晶が主成分となり好
ましくない。しかし、反応温度が60℃以下の反応で得ら
れた薄片状結晶の白色スラリーを60℃より高温で加温処
理してやる場合は、この形状を保ったままで結晶性が向
上することが粉末X線回折の測定結果による確認され
た。
亜鉛イオンに対して当量を超える酸基部分は塩または
酸として亜鉛塩溶液中に入れても、アルカリ溶液中に入
れてもよい。塩の場合水溶性のものであればよく、具体
的には硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、塩化ナトリウ
ム、酢酸ナトリウム、硫酸カリウム、リン酸ナトリウ
ム、修酸ナトリウム、炭酸ナトリウム等を用いることが
できる。また、アルカリとしては水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化アンモニウム等
が使用し得る。
亜鉛塩水溶液とアルカリ水溶液とを混合する方法とし
ては、亜鉛塩中にアルカリを注入、または滴下しても、
またその逆でも、或は両方を同時に水中あるいは塩溶液
中に注入、滴下してもよい。
本発明になる薄片状酸化亜鉛粉末の第2の製造方法
は、亜鉛の塩を含む水溶液と沈澱剤との混合液から、直
接酸化亜鉛を製造するに際し、レイノルズ数30以上の撹
拌を行いながら、1秒〜15分間で亜鉛塩水溶液と沈澱剤
を混合し、こうして得られる、酸化亜鉛換算で15重量%
以下の亜鉛濃度を有し、かつpH11以上の母液から沈澱を
生成させることを特徴とするものである。
尚、本法において沈澱剤とは、亜鉛塩水溶液と反応し
て収率50%以上で亜鉛酸化物または水酸化物を沈澱させ
る水溶性の酸または塩基のことであり、亜鉛塩水溶液が
酸性のもの(硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛等の水溶
液)の場合は例えば、苛性ソーダ、アンモニア水、エタ
ノールアミン類、酢酸ナトリウム等であり、また、亜鉛
塩水溶液が塩基性のもの(亜鉛酸ナトリウム水溶液等)
である場合は、硫酸、硝酸、塩酸、酢酸、蓚酸、クエン
酸、コハク酸、炭酸等のことである。
撹拌混合には各種形態の撹拌翼、例えば、多段翼、ア
ンカー型、馬蹄型、スクリュー型、2重リボン、タービ
ン型、プロペラ型、マックスブレンド、ビスター装置等
が使用できる。あるいは、例えば、スタティックミキサ
ー、ラインミキサー等を単独あるいは併用してもよい。
また、本製造法において攪拌は、例えば、回転撹拌の場
合に下式で定義されるようなレイノルズ数が30以上とな
るような攪拌を行う。
レイノルズ数=(撹拌翼の直径)×撹拌回転数 ×溶液の密度/溶液の粘性係数 撹拌混合方式に応じて、液体混合の強度を示す同種の
他のレイノルズ数を用いても同様である。このように、
液体混合の強さとして示されるレイノルズ数として本発
明において十分な撹拌とされる範囲は30以上、好ましく
は100〜105である。撹拌が弱すぎると薄片状であっても
凝固した結晶を生じるため本発明の薄片状酸化亜鉛の製
造方法としては不適である。撹拌の強さの上限は特にな
いが、レイノルズ数105以上ではその粒子分散効果が飽
和し、エネルギー効率が低下する。また、沈澱剤等は撹
拌混合しつつ限られた時間内に添加することが好まし
く、特に1秒ないし15分の短時間内に添加終了すること
が好ましい。更に、撹拌混合の規模にもよるが、1秒〜
5分内に添加を行うと更に好結果が得られる。添加速度
が遅い場合は凝固した結晶が生成し易く好ましくない。
撹拌混合時間は短い方が好ましいが、混合時の高速撹拌
が必要であり、実際の反応系を考慮すると、1秒以下で
あることを必ずしも必要としない。このような強撹拌は
両液の混合時に必要とするものであり、両液混合後、結
晶の晶出を更に十分に行うに際しては、この範囲で撹拌
を続けることを必ずしも必要としない。
亜鉛塩水溶液と沈澱剤との混合方法は、亜鉛液水溶液
に沈澱剤を添加する方法、その逆の添加方法、及び両者
同時混合等の方法のいずれでも良いが、粒子凝集を防ぐ
上で特に亜鉛塩水溶液に沈澱剤を添加する方法、または
両者同時添加法が優れている。このような撹拌混合後の
亜鉛塩濃度は酸化亜鉛換算で15重量%以下であることが
必要である。これを超えると粒子の凝固が起こりやすく
好ましくない。粒子形態上からの亜鉛塩濃度の下限はな
く、低い方が粉末形態がよく制御も楽であるが、経済上
の観点からは0.1重量%以上であることが望ましい。
本製造法においても上記の第1の製造方法と同様、沈
澱生成時の母液はpH11以上であることが必須であり、pH
が11未満であると、水酸化亜鉛を生成したり、形状が粒
状〜米粒状になるため、そのようなpH領域は本発明の狙
いから外れたものである。
また、反応温度は60℃以下が好ましく、60℃より高温
になるとpHが11以上でも板状結晶は得にくく、球状また
は塊状結晶の生成が見られ好ましくない。しかし、60℃
以下の反応で得られた薄片状結晶の白色スラリーを60℃
以上で加温処理してやる場合は、この形状を保ったまま
で結晶性の向上することが上記と同様、粉末X線回折の
測定結果により確認された。
更に上記の第1の製造方法と第2の製造方法とを併用
する場合、即ち、十分な撹拌を行いながら酸性の亜鉛塩
水溶液とアルカリの水溶液を混合中和し、酸基を共存さ
せた、pH11以上、酸化亜鉛換算濃度15重量%以下の母液
から結晶を生成させる場合、薄片状酸化亜鉛粒子の形
状、粒子径等は更に制御し易くなり好ましい。この場
合、共存させ得る酸基としては例えば、NO3 -,SO4 2-,CH3
COO-,Cl-,PO4 3-,CO3 2-,C2O4 2-等の1種又は2種以上を
挙げることができる。母液内にはこれらの酸基が亜鉛イ
オンに対して当量以上存在すると特に好ましい結果を得
ることができるが、当量以上を必須とするものではな
い。
このような酸基部分は塩または酸として亜鉛塩溶液中
に入れても、アルカリ溶液中に入れてもよい。塩の場合
水溶性のものであればよく、具体的には硫酸ナトリウ
ム、硝酸ナトリウム、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウ
ム、硫酸カリウム、リン酸ナトリウム、修酸ナトリウ
ム、炭酸ナトリウム等を用いることができる。
pHはいずれの場合の製造方法においても11以上である
ことが必須である。また、12以上であれば特に好まし
い。
以上の様な製造方法によって薄片状酸化亜鉛を得るこ
とができるが、更に、これらの方法において、沈澱生成
に際し水溶性有機物を共存させることにより一層結晶形
の制御が容易となり、好ましい物性の酸化亜鉛粉末を得
ることができる。
ここで、水溶性有機物とはアルコール類、ポリオール
類、フェノール類、ケトン類、ポリエーテル類、エステ
ル類、カルボン酸類、ポリカルボン酸類、セルロース
類、糖類、尿素類、スルホン酸類、アミン酸類、アミン
類等であって、例えば、メタノール、エタノール、プロ
パノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、
等の炭素数1〜6の脂肪族アルコール、プロパンジオー
ル、ブタンジオール、エチレングリコール、グリセリ
ン、ポリエチレングリコール、等の脂肪族多価アルコー
ル、フェノール、カテコール、クレゾール等の置換基を
有しない又は炭素数1〜5の置換基をもつフェノール類
或いはカテコール類、フルフリルアルコール等の複素環
を有するアルコール類、アセトン、アセチルアセトン、
メチルエチルケトン、ラクトン等の炭素数1〜6のケト
ン類、エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、エチレンオ
キサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物等のエー
テル或いはポリエーテル類、酢酸エチル、アセト酢酸エ
チル、グリシンエチルエステル等のエステル類、ギ酸、
酢酸、蓚酸、クエン酸、酒石酸、サリチル酸、安息香
酸、マロン酸、アクリル酸、マレイン酸、コハク酸、プ
ロピオン酸、グリセリン酸、エレオステアリン酸、ポリ
アクリル酸、ポリマレイン酸、アクリル酸−マレイン酸
コポリマー等のカルボン酸、ポリカルボン酸或いはヒド
ロキシカルボン酸類やその塩酸、アルボキシメチルセル
ロース類、グルコース、ガラクトース等の単糖類、庶
糖、ラクトース、アミロース、キチン、セルロース等の
多糖類、尿素、アセチル尿素等の尿素類、アルキルベン
ゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、アルキルス
ルホン酸、α−オレフィンスルホン酸、ポリオキシエチ
レンアルキルスルホン酸、リグニンスルホン酸、ナフタ
レンスルホン酸等のスルホン酸類やその塩類、グリシ
ン、グルタミン酸、アスパラギン酸、アラニン等のアミ
ノ酸、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ト
リエタノールアミン、ブタノールアミン等のヒドロキシ
アミン類、トリメチルアミノエチルアルキルアミド、ア
ルキルピリジニウム硫酸塩、アルキルトリメチルアンモ
ニウムハロゲン化物、アルキルベタイン、アルキルジエ
チレントリアミノ酢酸等を例とし挙げることができる。
これらを単独または混合し、また上記の無機塩類と混
合して、pH11以上の沈澱晶出母液中に共存させることに
よって、得られる粉末の結晶性と形状を制御し、本発明
の薄片状酸化亜鉛粉末を一層容易に得ることが可能とな
る。水溶性有機物は母液中に0.01〜10重量%の範囲で共
存させるのが好ましい。
また、以上に記した各々の製造法に共通して、下記の
様な後処理を施すことによって、好ましい薄片状酸化亜
鉛粉末を得ることができる。即ち、沈澱生成後、得られ
た白色スラリーを60〜100℃、好適には90〜100℃の温度
に加温し、10分以上、好ましくは30分以上の間その温度
に保つことによって、より結晶性のよい薄片状酸化亜鉛
を得ることができる。さらに粉末として単離する場合濾
過洗浄を行うが、最終工程として水溶性有機溶媒による
洗浄を行うことによりその後の乾燥、粉砕操作が容易に
なる。特にかさ比容を大きくしたい場合には有効であ
る。
以上の様にして得られた薄片状酸化亜鉛は粉末X線回
折において結晶性を示すことが確認された。このものは
その粒子形態に起因して、非常にかさ比容が大きくな
り、一般の気相法酸化亜鉛の数倍〜十数倍の驚異的なか
さ比容も可能である。
UVスペクトル測定によれば、本発明の薄片状酸化亜鉛
粉末は紫外線吸収能は市販の酸化亜鉛よりも大きく、可
視光吸収は逆に小さい結果が得られ、透明性の高い紫外
線吸収剤として特徴のある挙動を示した。
〔発明の効果〕
上述した如く、本発明により、従来にない粒子形態か
ら来る種々の有用な特性を有し、工業原料として極めて
特徴のある酸化亜鉛粉末が得られた。
本発明で得られる酸化亜鉛粉末は白色顔料、医薬品、
ゴム、プラスチック填料、化粧品、触媒、電気化学材
料、ガラス、セラミックス材料等、従来から用いられて
いる材料に用いることができる。さらに、本発明になる
酸化亜鉛は粒子の形態が薄片状の粒子であるため、塗布
あるいはプレスした場合の紫外線吸収性、光導電性が高
く、かつ表面付着性も良いため化粧品、電子材料、配向
性フェライト、蛍光体、製紙用フィラー等に利用した場
合、優れた性能を示し、工業的価値の極めて大きいもの
である。
〔実施例〕
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明する
が、これらによって本発明の技術的範囲を限定するもの
ではない。
尚、ここに以下の実施例及び比較例における諸特性の
測定方法及ひ測定条件を示す。比較試料としては、市販
品微細亜鉛華(粒径270nm)を用いた。
(1) かさ比容 JIS Z 2504に準拠して測定した。
(2) 基板付着性 試料0.5gを100gのアセトン中に超音波分散させ、スラ
イドグラスを浸漬し乾燥させて、ガラス基板上に薄膜を
形成させ、この膜を小型スパチュラで掻き取り、その付
着性を定性的に判断した。
(3) 紫外線吸収能 試料をグリセリン中に懸濁させ、分光光度計(島津製
UV−265)を用いて700nm〜300nmの吸光度を測定し、光
透過率でUV域及び可視域での透光性を判断した。
(4) 平均粒子径、平均板状比 平均粒子径は透過電子顕微鏡写真中の任意の視野の任
意の粒子20個についての体積平均を繰り返し測定するこ
とにより求めた。長円形の粒子に対しては長軸と短軸と
の相加平均を粒子径とみなした。また、平均板状比は透
過電子顕微鏡写真の同上視野中の板厚を読み取れる全て
の粒子についての算術平均により平均粒子厚さを求め、
平均粒子径/平均粒子厚さとして小数以下を四捨五入し
て求めた。
(5) 粒度分布 堀場製作所製CAPA500を用い遠心沈降法により求め
た。
(6) X線回折 理学電気製Rotaflex PL200を用い、Cukα線を用いて
測定した。
実施例1 硫酸亜鉛の2重量モル濃度溶液300g及び硫酸ナトリウ
ム20gをイオン交換水1中に加え30℃に保持し、強撹
拌下2N−NaOH700gを投入した。投入直後のpHは12.3であ
った。スラリーをそのまま30分間熟成しその後100℃で
1時間加熱を行い、次いで濾過洗浄を行った。得られた
湿潤ケーキを110℃で恒量になるまで静置乾燥させ、粉
砕して白色粉末を得た。
このものを粉末X線回折で常法による同定を行ったと
ころ、第4図に示す結果が得られ、酸化亜鉛であること
を確認した。また、走査型電子顕微鏡(SEM)により形
状を観察したところ、第1図に示す如く凝固のない平均
粒子径1μm以下の独立薄片状粒子を主成分とする粉体
であることを確認した。
これを上述の測定法により皮膜形成させ、その基板付
着性を測定したところ、同様の処理を行った比較品の酸
化亜鉛皮膜にくらべて遥かに強固に付着していることが
判明した。
更に、ゆるめのかさ比容を測定したところ、12cc/gと
いう値を示した。これは、比較の酸化亜鉛に対する1〜
2cc/gの値に比べて驚異的である。更に、この粉体を分
光測定したところ表1に示したように比較品に比して、
λmin=363nmにおいて特に優れた吸収性を示した。一
方、可視部の吸光度は、比較品よりも低く、透明性の高
いことが確認された。
又、得られた粉体の遠心沈降式粒度分布を測定したと
ころ第3図に示す結果が得られた。
実施例2〜7 実施例1における硝酸亜鉛のかわりに、酢酸亜鉛を用
いたもの(実施例2)、実施例1の硫酸ナトリウムの量
を半分にしたもの(実施例3)、4分の1にしたもの
(実施例4)、実施例1において系の亜鉛イオン濃度を
倍にしたもの(実施例5)、硫酸ナトリウムの代わりに
塩化ナトリウムを用いたもの(実施例6)、加えるイオ
ン交換水を400mlに、2N−NaOHを680gにしたもの(実施
例7)等の検討を行い、同様の薄片状の酸化亜鉛粉末を
得た。
これらの諸特性の測定結果を表1に示す。
実施例8 硫酸亜鉛の2重量モル濃度溶液300gをイオン交換水1
中に加え30℃に保持し、直径8cmのタービン翼で1000r
pm以上(レイノルズ数45以上)の強撹拌下2N−NaOH700g
を20秒間で投入した。投入直後のpHは12.3であった。ス
ラリーをそのまま30分間熟成しその後100℃で1時間加
熱を行い、次いで濾過洗浄を行った。得られた湿潤ケー
キを110℃で恒量になるまで静置乾燥させ、粉砕して白
色粉末を得た。
このものを粉末X線回折で常法による同定を行い、第
4図と同様の回折パターンから、酸化亜鉛であることを
確認した。また、透過型電子顕微鏡(TEM)により形状
を観察したところ、第5図に示す如く凝固のない平均粒
子径1μm以下の独立薄片状粒子を主成分とする粉体で
あることを確認した。
これを上述の測定法により皮膜形成させ、その基板付
着性を測定したところ、同様の処理を行った比較品の酸
化亜鉛皮膜にくらべて遥かに強固に付着していることが
判明した。
更に、ゆるめのかさ比容を測定したところ、12cc/gと
いう値を示した。更に、この粉体を分光測定したところ
表2に示したように比較品に比して、λmin=363nmにお
いて特に優れた吸収性を示した。一方、可視部の吸光度
は、比較品よりも低く、透明性の高いことが確認され
た。
また、得られた粉体の遠心沈降式粒度分布を測定した
ところ第7図に示す結果が得られた。
実施例9〜10 実施例8における硫酸亜鉛の代わりに硝酸亜鉛を用い
たもの(実施例9)、及び酢酸亜鉛を用いたもの(実施
例10)について検討を行い、同様の薄片状酸化亜鉛を得
た。
これらの諸特性の測定結果を表2に示す。
実施例11〜16 実施例8と同様だが、加えるイオン交換水の量を400m
lと少なくし、代わりに酒石酸を1g(実施例11)、蓚酸1
g(実施例12)、サリチル酸10g(実施例13)、クエン酸
1g(実施例14)、マロン酸1g(実施例15)、リグニンス
ルホン酸10g(実施例16)を硫酸亜鉛溶液中に共存さ
せ、反応を行い、同様の薄片状酸化亜鉛粉末を得た。
これらの諸特性の測定結果を表2に示す。
実施例17 実施例8と同様だが、硫酸亜鉛溶液中に硫酸ナトリウ
ム20gを、2N−NaOH中にポイズ530(ポリアクリル酸ソー
ダ)を添加し、同様の反応を行い、非常に微小で分散性
の良好な薄片状の酸化亜鉛を得た。
この諸特性の測定結果を表2に示す。
比較例1 実施例1と同様にして、2N−NaOHの投入量を650gとし
た時、pHは10.8となり、同様の方法で後続の処理を行っ
たにもかかわらず得られた粉体の、ゆるめのかさ比容は
1cc/gであった。この粉体をSEMによって観察したところ
平均粒子径0.2μmの粒状の微粒子であった。また、UV
吸収能は30%であった。
比較例2 硫酸ナトリウムを加えない以外は実施例1と全く同様
の操作によって酸化亜鉛粉体を得た。この粉体をSEM観
察したところ第2図に示したような凝固した結晶からな
る酸化亜鉛微粒子であった。この平均粒子径は0.4μm,U
V吸収能は34%、ゆるめかさ比容は3cc/gであった。
比較例3 実施例8と同様にして、2N−NaOHの投入量を650gとし
た時、pHは10.8となり、同様の方法で後続の処理を行っ
たにもかかわらず得られた粉体の、ゆるめのかさ比容は
1cc/gであった。この粉体をTEMによって観察したところ
平均粒子径0.2μmの粒状の微粒子であった。また、UV
吸収能は30%であった。
比較例4 アルカリ投入時の撹拌を500rpm(レイノルズ数22)、
添加時間を7分とした以外は実施例8と同様にして酸化
亜鉛粉末を得た。しかしこの粉末をTEM観察した所、第
6図のような凝固した結晶を主成分とする酸化亜鉛微粒
子であった。このものの平均粒子径は1.5μm、UV吸収
能は43%、ゆるめのかさ比容は3cc/gであった。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1で得られた薄片状酸化亜鉛の粒子構造
を示す走査型電子顕微鏡写真、第2図は比較例2で得ら
れた薄片の凝固した酸化亜鉛の粒子構造を示す電子顕微
鏡写真である。 第3図は実施例1で得られた酸化亜鉛粉末の遠心沈降式
粒度分布測定の結果を示す図、第4図は実施例1で得ら
れた酸化亜鉛粉末のX線回折図である。 第5図は実施例8で得られた薄片状酸化亜鉛の粒子構造
を示す透過型電子顕微鏡写真、第6図は比較例4で得ら
れた薄片の凝固した酸化亜鉛の粒子構造を示す透過型電
子顕微鏡写真である。 第7図は実施例8で得られた酸化亜鉛粉末の遠心沈降式
粒度分布測定の結果を示す図である。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均粒子径0.1〜0.88μm、平均粒子厚さ
    0.01〜0.2μm、平均板状比3以上の薄片状酸化亜鉛粉
    末。
  2. 【請求項2】亜鉛の塩を含む水溶液から直接酸化亜鉛を
    製造するに際し、 イ)亜鉛イオンを含有し、 ロ)該亜鉛イオンに対し、総量として当量を超える量の
    1種または2種以上の酸基を含有し、かつ ハ)pH11以上 の母液から沈澱を生成させることを特徴する、平均粒子
    径0.1〜0.88μm、平均粒子厚さ0.01〜0.2μm、平均板
    状比3以上の薄片状酸化亜鉛粉末の製造法。
  3. 【請求項3】亜鉛の塩を含む水溶液と沈澱剤との混合液
    から直接酸化亜鉛を製造するに際し、レイノルズ数30以
    上の攪拌を行いながら、1秒〜15分間で両者を混合し、 イ)酸化亜鉛換算で15重量%以下の亜鉛濃度を有し、 かつ ロ)pH11以上 の母液から沈澱を生成させることを特徴とする、平均粒
    子径0.1〜0.88μm、平均粒子厚さ0.01〜0.2μm、平均
    板状比3以上の薄片状酸化亜鉛粉末の製造法。
  4. 【請求項4】沈澱生成に際し、水溶性有機物を共存させ
    ることを特徴とする請求項2または3記載の薄片状酸化
    亜鉛粉末の製造法。
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