JP2896121B2 - 紫外線吸収剤 - Google Patents

紫外線吸収剤

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JP2896121B2 JP27539996A JP27539996A JP2896121B2 JP 2896121 B2 JP2896121 B2 JP 2896121B2 JP 27539996 A JP27539996 A JP 27539996A JP 27539996 A JP27539996 A JP 27539996A JP 2896121 B2 JP2896121 B2 JP 2896121B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粒子形態が薄片状
である酸化亜鉛粉末からなる紫外線吸収剤に関するもの
である。ここで、薄片状とは、板状、薄板状、六角板
状、円板状、盤状、葉片状、雲母状、箔状等の形態を意
味するが、薄片の凝固集合した形態を含まない。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
酸化亜鉛の工業的製造法は、金属亜鉛を空気中で加熱燃
焼させたものが一般的であり、粒状、針状のものはあっ
ても、未だ薄片状粉末で直接合成されたものはない。間
接的合成法として、特開昭53−82698 号公報には、亜鉛
塩を含む水溶液をpH4.5〜6の酸性領域下、高温でアル
カリを徐々に反応させ大粒径の六角板状塩基性水酸化亜
鉛を得、これを900 ℃で1時間処理することにより板状
の酸化亜鉛形骸粒子を得る方法が開示されている。しか
し、この方法によっては本発明に開示される様な平均粒
子径1μm 以下の薄片状酸化亜鉛粒子を得ることは出来
ない。
【0003】一方、平均粒子径1μm 以下の微粒子に関
しては、同公報の引用において、硝酸亜鉛溶液を弱アル
カリにすることによって得られることが述べられている
が、得られるものは水酸化亜鉛であって、しかも微細な
箔状片の凝固した集合結晶を形成しているために、これ
を脱水して酸化亜鉛に変えてもその凝固した構造をほぐ
すことができない。
【0004】このような巨大粒子や凝固した粒子は、配
向性や圧密性等の粉体物性や光学物性等において薄片状
粒子と大きく異なった挙動を示し、このため酸化亜鉛と
しての特性や用途を拡張するに際しての限界があった。
【0005】本発明はこのような状況に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、従来にない形態及び粒径を
もった酸化亜鉛粉末を提供し、特に紫外線防御性等にお
いて一層優れた酸化亜鉛粉末からなる紫外線吸収剤を提
供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記のよう
な従来技術の有する課題を解決するために鋭意検討の結
果、本発明を完成させた。即ち、本発明は、平均粒子径
0.1〜0.88μm 、平均粒子厚さ0.01〜0.2 μm 、平均板
状比3以上の薄片状酸化亜鉛粉末からなる紫外線吸収剤
を提供するものである。
【0007】尚、本明細書において、平均粒子径、平均
粒子厚さ、平均板状比とは、下記の実施例に示す方法に
より測定した値である。
【0008】
【発明の実施の形態】上記のような薄片状酸化亜鉛粉末
からなる本発明の紫外線吸収剤は、例えば以下の製造方
法1及び2により製造することができる。
【0009】製造方法1:亜鉛の塩を含む水溶液から直
接酸化亜鉛を製造するに際し、 イ)亜鉛イオンを含有し、 ロ)該亜鉛イオンに対し、総量として当量を超える量の
1種または2種以上の酸基を含有し、かつ ハ)pH11以上の母液から沈澱を生成させる方法。
【0010】製造方法2:亜鉛の塩を含む水溶液と沈澱
剤との混合液から直接酸化亜鉛を製造するに際し、十分
な攪拌を行いながら両者を混合し、 イ)酸化亜鉛換算で15重量%以下の亜鉛濃度を有し、か
つ ロ)pH11以上の母液から沈澱を生成させる方法。
【0011】上記の製造方法1においては、酸基の共存
下で例えば亜鉛イオンを含有する酸性水溶液とアルカリ
の水溶液とを60℃以下、好ましくは40℃以下で短時間内
に混合反応させることによって薄片状酸化亜鉛粉末を得
るものである。ここで共存させる酸基としては、例え
ば、NO3 -,SO4 2-, CH3COO-, Cl-, PO4 3-,CO3 2-,C2O4 2-
等の1種又は2種以上を挙げることができる。母液内に
はこれらの酸基が亜鉛イオンに対して当量を超える量存
在し、かつpHが11以上であることが必要である。特にpH
は12以上が好ましい。また更に、沈澱生成後、この白色
スラリーを60〜100 ℃、好適には90〜100 ℃の温度に加
温し、10分以上、好ましくは30分以上の間その温度に保
つことによって、より結晶性のよい薄片状酸化亜鉛を得
ることができる。
【0012】亜鉛イオンに対する酸基の量が当量以下で
あると薄片状ではあるが凝固した結晶を主成分とする酸
化亜鉛が得られ易く、本発明の目的とする薄片状粒子を
得るための制御が著しく困難となり好ましくない。ま
た、酸基の量の上限は特に無いが、亜鉛イオンに対して
著しく多すぎると単離に際して洗浄に手間がかかり、実
用的でない。酸基イオンの種類にもよるが、亜鉛イオン
に対し1.05〜2当量の時が好ましい結果を生みやすい。
また、pHが11未満であると、水酸化亜鉛を生成したり、
形状が粒状〜米粒状になるため、そのようなpH領域は本
発明の狙いから外れたものである。
【0013】反応温度が60℃より高温になるとpHが11以
上でも板状結晶は得られず、球状または塊状結晶が主成
分となり好ましくない。しかし、反応温度が60℃以下の
反応で得られた薄片状結晶の白色スラリーを60℃より高
温で加温処理してやる場合は、この形状を保ったままで
結晶性が向上することが粉末X線回折の測定結果により
確認された。
【0014】亜鉛イオンに対して当量を超える酸基部分
は塩または酸として亜鉛塩溶液中に入れても、アルカリ
溶液中に入れてもよい。塩の場合水溶性のものであれば
よく、具体的には硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、塩
化ナトリウム、酢酸ナトリウム、硫酸カリウム、リン酸
ナトリウム、修酸ナトリウム、炭酸ナトリウム等を用い
ることができる。また、アルカリとしては水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化アンモ
ニウム等が使用し得る。
【0015】亜鉛塩水溶液とアルカリ水溶液とを混合す
る方法としては、亜鉛塩中にアルカリを注入、または滴
下しても、またはその逆でも、或は両方を同時に水中あ
るいは塩溶液中に注入、滴下してもよい。
【0016】上記の製造方法2は、亜鉛の塩を含む水溶
液と沈澱剤との混合液から、直接酸化亜鉛を製造するに
際し、十分な撹拌を行いながら亜鉛塩水溶液と沈澱剤と
を混合し、こうして得られる、酸化亜鉛換算で15重量%
以下の亜鉛濃度を有し、かつpH11以上の母液から沈澱を
生成させることを特徴とするものである。
【0017】尚、本法において沈澱剤とは、亜鉛塩水溶
液と反応して収率50%以上で亜鉛酸化物または水酸化物
を沈澱させる水溶性の酸または塩基のことであり、亜鉛
塩水溶液が酸性のもの(硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛
等の水溶液)の場合は例えば、苛性ソーダ、アンモニア
水、エタノールアミン類、酢酸ナトリウム等であり、ま
た、亜鉛塩水溶液が塩基性のもの(亜鉛酸ナトリウム水
溶液等)である場合は、硫酸、硝酸、塩酸、酢酸、蓚
酸、クエン酸、コハク酸、炭酸等のことである。
【0018】撹拌混合には各種形態の撹拌翼、例えば、
多段翼、アンカー型、馬蹄型、スクリュー型、2重リボ
ン、タービン型、プロペラ型、マックスブレンド、ビス
ター装置等が使用できる。あるいは、例えば、スタティ
ックミキサー、ラインミキサー等を単独あるいは併用し
てもよい。また、本発明において「十分な撹拌」とは具
体的には、例えば、回転撹拌の場合に下式で定義される
ようなレイノルズ数が30以上の撹拌のことをいう。
【0019】レイノルズ数=(撹拌翼の直径)2×撹拌回
転数×溶液の密度/溶液の粘性係数撹拌混合方式に応じ
て、液体混合の強度を示す同種の他のレイノルズ数を用
いても同様である。このように、液体混合の強さとして
示されるレイノルズ数として本発明において十分な撹拌
とされる範囲は30以上、好ましくは100 〜105 である。
撹拌が弱すぎると薄片状であっても凝固した結晶を生じ
るため本発明の薄片状酸化亜鉛の製造方法としては不適
である。撹拌の強さの上限は特にないが、レイノルズ数
105 以上ではその粒子分散効果が飽和し、エネルギー効
率が低下する。また、沈澱剤等は撹拌混合しつつ限られ
た時間内に添加することが好ましく、特に1秒ないし15
分の短時間内に添加終了することが好ましい。更に、撹
拌混合の規模にもよるが、1秒〜5分内に添加を行うと
更に好結果が得られる。添加速度が遅い場合は凝固した
結晶が生成し易く好ましくない。撹拌混合時間は短い方
が好ましいが、混合時の高速撹拌が必要であり、実際の
反応系を考慮すると、1秒以下であることを必ずしも必
要としない。このような強撹拌は両液の混合時に必要と
するものであり、両液混合後、結晶の晶出を更に十分に
行うに際しては、この範囲で撹拌を続けることを必ずし
も必要としない。
【0020】亜鉛塩水溶液と沈澱剤との混合方法は、亜
鉛塩水溶液に沈澱剤を添加する方法、その逆の添加方
法、及び両者同時混合等の方法のいずれでも良いが、粒
子凝集を防ぐ上で特に亜鉛塩水溶液に沈澱剤を添加する
方法、または両者同時添加法が優れている。このような
撹拌混合後の亜鉛塩濃度は酸化亜鉛換算で15重量%以下
であることが必要である。これを超えると粒子の凝固が
起こりやすく好ましくない。粒子形態上からの亜鉛塩濃
度の下限はなく、低い方が粉末形態がよく制御も楽であ
るが、経済上の観点からは0.1 重量%以上であることが
望ましい。
【0021】この製造方法2においても上記の製造方法
1と同様、沈澱生成時の母液はpH11以上であることが必
須であり、pHが11未満であると、水酸化亜鉛を生成した
り、形状が粒状〜米粒状になるため、そのようなpH領域
は本発明の狙いから外れたものである。
【0022】また、反応温度は60℃以下が好ましく、60
℃より高温になるとpHが11以上でも板状結晶は得にく
く、球状または塊状結晶の生成が見られ好ましくない。
しかし、60℃以下の反応で得られた薄片状結晶の白色ス
ラリーを60℃以上で加温処理してやる場合は、この形状
を保ったままで結晶性の向上することが上記と同様、粉
末X線回折の測定結果により確認された。
【0023】更に上記の製造方法1と製造方法2とを併
用することができ、この場合、即ち、十分な撹拌を行い
ながら酸性の亜鉛塩水溶液とアルカリの水溶液を混合中
和し、酸基を共存させた、pH11以上、酸化亜鉛換算濃度
15重量%以下の母液から結晶を生成させる場合、薄片状
酸化亜鉛粒子の形状、粒子径等は更に制御し易くなり好
ましい。この場合、共存させ得る酸基としては例えば、
NO3 -,SO4 2-, CH3COO-, Cl-, PO4 3- ,CO3 2-, C2O4 2-
等の1種又は2種以上を挙げることができる。母液内に
はこれらの酸基が亜鉛イオンに対して当量以上存在する
と特に好ましい結果を得ることができるが、当量以上を
必須とするものではない。
【0024】このような酸基部分は塩または酸として亜
鉛塩溶液中に入れても、アルカリ溶液中に入れてもよ
い。塩の場合水溶性のものであればよく、具体的には硫
酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、塩化ナトリウム、酢酸
ナトリウム、硫酸カリウム、リン酸ナトリウム、修酸ナ
トリウム、炭酸ナトリウム等を用いることができる。pH
はいずれの場合の製造方法においても11以上であること
が必須である。また、12以上であれば特に好ましい。
【0025】以上の様な製造方法によって薄片状酸化亜
鉛を得ることができるが、更に、これらの方法におい
て、沈澱生成に際し水溶性有機物を共存させることによ
り一層結晶形の制御が容易となり、好ましい物性の酸化
亜鉛粉末を得ることができる。
【0026】ここで、水溶性有機物とはアルコール類、
ポリオール類、フェノール類、ケトン類、ポリエーテル
類、エステル類、カルボン酸類、ポリカルボン酸類、セ
ルロース類、糖類、尿素類、スルホン酸類、アミノ酸
類、アミン類等であって、例えば、メタノール、エタノ
ール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキ
サノール等の炭素数1〜6の脂肪族アルコール、プロパ
ンジオール、ブタンジオール、エチレングリコール、グ
リセリン、ポリエチレングリコール等の脂肪族多価アル
コール、フェノール、カテコール、クレゾール等の置換
基を有しない又は炭素数1〜5の置換基をもつフェノー
ル類或いはカテコール類、フルフリルアルコール等の複
素環を有するアルコール類、アセトン、アセチルアセト
ン、メチルエチルケトン、ラクトン等の炭素数1〜6の
ケトン類、エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオ
キサン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、エチレ
ンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物等の
エーテル或いはポリエーテル類、酢酸エチル、アセト酢
酸エチル、グリシンエチルエステル等のエステル類、ギ
酸、酢酸、蓚酸、クエン酸、酒石酸、サリチル酸、安息
香酸、マロン酸、アクリル酸、マレイン酸、コハク酸、
プロピオン酸、グリセリン酸、エレオステアリン酸、ポ
リアクリル酸、ポリマレイン酸、アクリル酸−マレイン
酸コポリマー等のカルボン酸、ポリカルボン酸或いはヒ
ドロキシカルボン酸類やその塩類、カルボキシメチルセ
ルロース類、グルコース、ガラクトース等の単糖類、庶
糖、ラクトース、アミロース、キチン、セルロース等の
多糖類、尿素、アセチル尿素等の尿素類、アルキルベン
ゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、アルキルス
ルホン酸、α−オレフィンスルホン酸、ポリオキシエチ
レンアルキルスルホン酸、リグニンスルホン酸、ナフタ
レンスルホン酸等のスルホン酸類やその塩類、グリシ
ン、グルタミン酸、アスパラギン酸、アラニン等のアミ
ノ酸、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ト
リエタノールアミン、ブタノールアミン等のヒドロキシ
アミン類、トリメチルアミノエチルアルキルアミド、ア
ルキルピリジニウム硫酸塩、アルキルトリメチルアンモ
ニウムハロゲン化物、アルキルベタイン、アルキルジエ
チレントリアミノ酢酸等を例とし挙げることができる。
【0027】これらを単独または混合し、または上記の
無機塩類と混合して、pH11以上の沈澱晶出母液中に共存
させることによって、得られる粉末の結晶性と形状を制
御し、本発明の薄片状酸化亜鉛粉末を一層容易に得るこ
とが可能となる。水溶性有機物は母液中に0.01〜10重量
%の範囲で共存させるのが好ましい。
【0028】また、以上に記した各々の製造法に共通し
て、下記の様な後処理を施すことによって、好ましい薄
片状酸化亜鉛粉末を得ることができる。即ち、沈澱生成
後、得られた白色スラリーを60〜100 ℃、好適には90〜
100 ℃の温度に加温し、10分以上、好ましくは30分以上
の間その温度に保つことによって、より結晶性のよい薄
片状酸化亜鉛を得ることができる。さらに粉末として単
離する場合濾過洗浄を行うが、最終工程として水溶性有
機溶媒による洗浄を行うことによりその後の乾燥、粉砕
操作が容易になる。特にかさ比容を大きくしたい場合に
は有効である。
【0029】以上の様にして得られた薄片状酸化亜鉛は
粉末X線回折において結晶性を示すことが確認された。
このものはその粒子形態に起因して、非常にかさ比容が
大きくなり、一般の気相法酸化亜鉛の数倍〜十数倍の驚
異的なかさ比容も可能である。
【0030】UVスペクトル測定によれば、本発明の薄
片状酸化亜鉛粉末は紫外線吸収能は市販の酸化亜鉛より
も大きく、可視光吸収は逆に小さい結果が得られ、透明
性の高い紫外線吸収剤として特徴のある挙動を示した。
【0031】
【発明の効果】上述した如く、本発明により、従来にな
い粒子形態を有する酸化亜鉛粉末からなる紫外線吸収剤
を提供することができ、この紫外線吸収剤は、医薬品、
ゴム、プラスチック、化粧品、ガラス、セラミックス材
料等に用いることができる。さらに、本発明の紫外線吸
収剤は、薄片状の粒子であるため、塗布あるいはプレス
した場合の紫外線吸収性が高く、かつ表面付着性も良い
ため化粧品等に利用した場合、優れた性能を示し、工業
的価値の極めて大きいものである。
【0032】
【実施例】以下、実施例によって本発明を更に具体的に
説明するが、これらによって本発明の技術的範囲を限定
するものではない。尚、ここに以下の実施例における諸
特性の測定方法及び測定条件を示す。比較試料として
は、市販品微細亜鉛華(粒径270 nm)を用いた。
【0033】(1) かさ比容 JIS Z 2504に準拠して測定した。 (2) 基板付着性 試料0.5 gを100 gのアセトン中に超音波分散させ、ス
ライドグラスを浸漬し乾燥させて、ガラス基板上に薄膜
を形成させ、この膜を小型スパチュラで掻き取り、その
付着性を定性的に判断した。
【0034】(3) 紫外線吸収能 試料をグリセリン中に懸濁させ、分光光度計(島津製U
V−265)を用いて700nm〜300 nmの吸光度を測定し、光
透過率でUV域及び可視域での透光性を判断した。
【0035】(4) 平均粒子径、平均板状比 平均粒子径は透過電子顕微鏡写真中の任意の視野の任意
の粒子20個についての体積平均を繰り返し測定すること
により求めた。長円形の粒子に対しては長軸と短軸との
相加平均を粒子径とみなした。また、平均板状比は透過
電子顕微鏡写真の同上視野中の板厚を読み取れる全ての
粒子についての算術平均により平均粒子厚さを求め、平
均粒子径/平均粒子厚さとして小数以下を四捨五入して
求めた。
【0036】(5) 粒度分布 堀場製作所製CAPA500 を用い遠心沈降法により求めた。 (6) X線回折 理学電気製Rotaflex PL200を用い Cukα線を用いて測定
した。
【0037】実施例1 硝酸亜鉛の2重量モル濃度溶液300 g及び硫酸ナトリウ
ム20gをイオン交換水1リットル中に加え30℃に保持
し、強撹拌下2N-NaOH 700gを投入した。投入直後のpH
は12.3であった。スラリーをそのまま30分間熟成しその
後100 ℃で1時間加熱を行い、次いで濾過洗浄を行っ
た。得られた湿潤ケーキを110 ℃で恒量になるまで静置
乾燥させ、粉砕して白色粉末を得た。
【0038】このものを粉末X線回折で常法による同定
を行ったところ、図3に示す結果が得られ、酸化亜鉛で
あることを確認した。また、走査型電子顕微鏡(SEM)に
より形状を観察したところ、図1に示す如く凝固のない
平均粒子径1μm 以下の独立薄片状粒子を主成分とする
粉体であることを確認した。
【0039】これを上述の測定法により皮膜形成させ、
その基板付着性を測定したところ、同様の処理を行った
比較品の酸化亜鉛皮膜にくらべて遥かに強固に付着して
いることが判明した。更に、ゆるめのかさ比容を測定し
たところ、12cc/gという値を示した。これは、比較の
酸化亜鉛に対する1〜2cc/gの値に比べて驚異的であ
る。更に、この粉体を分光測定したところ表1に示した
ように比較品に比して、λmin =363nmにおいて特に優
れた吸収性を示した。一方、可視部の吸光度は、比較品
よりも低く、透明性の高いことが確認された。又、得ら
れた粉体の遠心沈降式粒度分布を測定したところ図2に
示す結果が得られた。
【0040】実施例2〜7 実施例1における硝酸亜鉛のかわりに、酢酸亜鉛を用い
たもの(実施例2)、実施例1の硫酸ナトリウムの量を
半分にしたもの(実施例3) 、4分の1にしたもの(実
施例4)、実施例1において系の亜鉛イオン濃度を倍に
したもの(実施例5)、硫酸ナトリウムの代わりに塩化
ナトリウムを用いたもの(実施例6)、加えるイオン交
換水を400 mlに、2N-NaOHを680 gにしたもの(実施例
7)等の検討を行い、同様の薄片状の酸化亜鉛粉末を得
た。これらの諸特性の測定結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】実施例8 硫酸亜鉛の2重量モル濃度溶液300 gをイオン交換水1
リットル中に加え30℃に保持し、直径8cmのタービン翼
で1000rpm 以上の強撹拌下2N-NaOH 700gを20秒間で投
入した。投入直後のpHは12.3であった。スラリーをその
まま30分間熟成しその後100 ℃で1時間加熱を行い、次
いで濾過洗浄を行った。得られた湿潤ケーキを110 ℃で
恒量になるまで静置乾燥させ、粉砕して白色粉末を得
た。
【0043】このものを粉末X線回折で常法による同定
を行い、図3と同様の回折パターンから、酸化亜鉛であ
ることを確認した。また、透過型電子顕微鏡(TEM)によ
り形状を観察したところ、図4に示す如く凝固のない平
均粒子径1μm 以下の独立薄片状粒子を主成分とする粉
体であることを確認した。
【0044】これを上述の測定法により皮膜形成させ、
その基板付着性を測定したところ、同様の処理を行った
比較品の酸化亜鉛皮膜にくらべて遥かに強固に付着して
いることが判明した。更に、ゆるめのかさ比容を測定し
たところ、12cc/gという値を示した。更に、この粉体
を分光測定したところ表2に示したように比較品に比し
て、λmin =363 nmにおいて特に優れた吸収性を示し
た。一方、可視部の吸光度は、比較品よりも低く、透明
性の高いことが確認された。
【0045】また、得られた粉体の遠心沈降式粒度分布
を測定したところ図5に示す結果が得られた。
【0046】実施例9〜10 実施例8における硫酸亜鉛の代わりに硝酸亜鉛を用いた
もの(実施例9)、及び酢酸亜鉛を用いたもの(実施例
10)について検討を行い、同様の薄片状酸化亜鉛を得
た。これらの諸特性の測定結果を表2に示す。
【0047】実施例11〜16 実施例8と同様だが、加えるイオン交換水の量を400 ml
と少なくし、代わりに酒石酸を1g(実施例11)、蓚酸
1g(実施例12)、サリチル酸10g(実施例13)、クエ
ン酸1g(実施例14)、マロン酸1g(実施例15)、リ
グニンスルホン酸10g(実施例16)を硫酸亜鉛溶液中に
共存させ、反応を行い、同様の薄片状酸化亜鉛粉末を得
た。これらの諸特性の測定結果を表2に示す。
【0048】実施例17 実施例8と同様だが、硫酸亜鉛溶液中に硫酸ナトリウム
20gを、2N-NaOH中にポイズ530(ポリアクリル酸ソー
ダ)を添加し、同様の反応を行い、非常に微小で分散性
の良好な薄片状の酸化亜鉛を得た。
【0049】この諸特性の測定結果を表2に示す。
【0050】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で得られた薄片状酸化亜鉛の粒子構
造を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図2】 実施例1で得られた酸化亜鉛粉末の遠心沈降
式粒度分布測定の結果を示す図である。
【図3】 実施例1で得られた酸化亜鉛粉末のX線回折
図である。
【図4】 実施例8で得られた薄片状酸化亜鉛の粒子構
造を示す透過型電子顕微鏡写真である。
【図5】 実施例8で得られた酸化亜鉛粉末の遠心沈降
式粒度分布測定の結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09K 3/00 104 C01G 9/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒子径 0.1〜0.88μm 、平均粒子厚
    さ0.01〜0.2 μm 、平均板状比3以上の薄片状酸化亜鉛
    粉末からなる紫外線吸収剤。
JP27539996A 1987-11-16 1996-09-26 紫外線吸収剤 Expired - Lifetime JP2896121B2 (ja)

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