JP2683321B2 - 引 戸 - Google Patents

引 戸

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JP2683321B2
JP2683321B2 JP6174204A JP17420494A JP2683321B2 JP 2683321 B2 JP2683321 B2 JP 2683321B2 JP 6174204 A JP6174204 A JP 6174204A JP 17420494 A JP17420494 A JP 17420494A JP 2683321 B2 JP2683321 B2 JP 2683321B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、常時は扉を閉位置に保
持する付勢手段を有する引戸において、任意位置にて停
止可能なフリーストップ機構を具えた引戸に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】図11に示す如く、従来の斯種フリース
トップ機構は、戸板(1)の吊下げ用ブラケット(11)に取
り付けた戸車(3)自体に設けられている。支持軸(30)が
嵌まった戸車(3)の軸孔の複数箇所に凹部(31)を設け、
該凹部(31)にニードル軸(32)を収容している。
【0003】凹部(31)の両端部は、ニードル軸(32)が空
回りできる状態に拡大し、凹部(31)の底面中央と支持軸
(30)との間の隙間Sは、ニードル軸(32)の径よりも少し
小さい。該隙間Sにニードル軸(32)を食い込ませること
により、レール(2)上で戸車(3)をロックして戸板(1)
を任意の開き位置に保持できる。戸板(1)に、開き方向
或いは閉じ方向に力が加わると、ニードル軸(32)が前記
隙間Sを押し開いて、凹部(31)の反対側へ移動し、戸車
(3)のロックは解除され、戸板(1)は閉じ、或いは開
く。
【0004】
【本発明が解決しようとする課題】上記フリーストップ
機構は、戸車(3)に内蔵されるため、個々の部品の大き
さに大きな制約を受ける。ニードル軸(32)の直径は2mm
程度となり、戸車(3)の凹部(31)と支持軸(30)との間の
隙間Sも小さくせざるを得ず、この狭い隙間Sをニード
ル軸(32)が無理に繰り返し通過することにより、短期間
の内に、ニードル軸(32)と隙間Sの係合力が緩くなり、
フリーストップ機構が機能しなくなると共に、開き始
め、閉じ始めのいずれにしてもロックを解除するだけの
力が必要である等の問題があった。本発明は、上記問題
を解決できるフリーストップ機構を具えた引戸を明らか
にするものである。
【0005】
【課題を解決する手段】本発明の特徴とするフリースト
ップ機構は、戸板(1)と共に移動可能且つ揺動可能に弾
性係止部材(4)を軸支し、弾性係止部材(4)を、弾性係
止部材(4)の自重により少し傾いた状態でレール(2)又
はレール(2)と平行に配備した長尺部材(以下、レール
又は長尺部材を「相手部材」と呼ぶ)に接触させて構成
されている。
【0006】
【作用及び効果】弾性係止部材(4)の自由端が該係止部
材を支える支軸(40)よりも戸板(1)の閉じ側に位置して
いる姿勢では、戸板(1)が閉じ方向にスライドしようと
しても、弾性係止部材(4)とレール(2)との摩擦によっ
て、支軸(40)とレール(2)との間で弾性係止部材(4)が
突っ張って軟ブレーキが利き、戸板(1)のスライドは阻
止される。従って戸板(1)をレール(2)上の任意の位置
で停止させることができる。戸板(1)は開き方向に対し
てはフリー状態である。
【0007】閉じ方向に軟ブレーキが利いた状態の戸板
(1)に対して、手で閉じ方向に力を加えると、戸板(1)
と共に支軸(40)は戸板の閉じ側へ移動するが、弾性係止
部材(4)の自由端は、相手部材との摩擦によって、戸板
閉じ方向への移動は阻止されるも、弾性係止部材(4)
は、支軸(40)と相手部材との間で圧縮されて弾性変形
し、この状態でさらに閉じ方向に力を加えると、支軸(4
0)の戸板閉じ側への移行に伴って弾性係止部材(4)の自
由端は支軸(40)よりも戸板開き側に移り、これによっ
て、引戸を支障なく閉じることができる。
【0008】戸板(1)の全閉位置に於いて、弾性係止部
材(4)が相手部材に接することのない様に、相手部材の
端部をカットしておけば、戸板(1)を全閉位置から開く
際、開き始めにおいてもブレーキは利いていないため、
戸車(3)とレール(2)の摩擦力のみで軽く開くことがで
き、小児や身体障害者においても容易に扉を開くことが
可能となる。
【0009】上記の如く、本発明の引戸の特徴とするフ
リーストップ機構は、戸車(3)とは別個に構成されるた
め、個々の部品の大きさにそれほどの制約を受けること
はなく、充分に耐久性を考慮して部品の設計ができ、長
期間に亘って確実なフリーストップ機能を実現できる。
又、戸板吊下げ用ブラケット(11)に直接に、或いは取付
け板(12)を介して戸板吊下げ用ブラケット(11)に弾性係
止部材(4)を軸支すればよいため、既存の引戸にも簡単
に実施できる。
【0010】
【実施例】第1図に示す如く、戸板(1)の上端にブラケ
ット(11)を介して前後に2個の戸車(3)を取り付け、該
戸車(3)をレール(2)に載せて戸板(1)をスライド可能
に吊り下げている。レール(2)及び戸車(3)の移行路
は、全長に亘ってカバー(図示せず)がなされている。レ
ール(2)は、引戸の閉じ側が1/200程度の勾配で下向き
に傾斜している。
【0011】ブラケット(11)上に戸板(1)のスライド移
行面内で揺動可能且つレール(2)に接触可能に弾性係止
部材(4)を配備する。実施例では、ブラケット(11)の戸
板(1)閉側端に取付け板(12)をネジ止め固定し、該取付
け板(12)にレール(2)と直交して水平に支軸(40)を突設
し、該支軸(40)を縦長の弾性係止部材(4)の上部を貫通
させて回転可能に支持している。
【0012】弾性係止部材(4)は、ネオプレンゴム、ウ
レタンゴム等の耐摩耗性に優れ、摩擦係数の大なる資材
により、手で強く押えると弾性変形する程度の硬さに形
成され、下端は円弧面に形成されている。支軸(40)から
弾性係止部材(4)の下部自由端までの長さは、支軸(40)
からレールまでの距離よりも少し長く、弾性係止部材
(4)は若干傾いた状態で下端がレール(2)に接してい
る。
【0013】図2の如く、戸板(1)の全閉位置に於い
て、弾性係止部材(4)はレール(2)から外れる様に、レ
ール(2)の端部は戸板(1)の全長に比して短くカットさ
れ、或いはレール(2)の上面の一部がカットされてい
る。
【0014】然して、図5に実線で示す如く、弾性係止
部材(4)の自由端が支軸(40)よりも戸板(1)の閉じ側に
位置している状態では、レール(2)の傾斜と戸板(1)の
自重によって、戸板(1)が閉じ方向にスライドしようと
しても、弾性係止部材(4)とレール(2)との摩擦によっ
て、支軸(40)とレール(2)との間で弾性係止部材(4)が
突っ張って軟ブレーキが利き、戸板(1)のスライドを阻
止する。従って戸板(1)はレール(2)上の任意の位置で
停止させることができる。この状態にあっては、戸板
(1)は開き方向に対してはフリー状態である。
【0015】上記戸板(1)を閉じ方向に手で押すと、弾
性係止部材(4)を支持した支軸(40)は戸板(1)と一緒に
戸板閉じ側へ移動するも、弾性係止部材(4)の自由端
は、相手部材との摩擦によって、引戸の閉じ方向への移
動は阻止される。
【0016】この状態でさらに戸板(1)を閉じ方向に押
すと、弾性係止部材(4)は、支軸(40)と相手部材との間
で圧縮されて弾性変形し、支軸(40)の戸板閉じ側への移
行に伴って弾性係止部材(4)の自由端は支軸(40)よりも
戸板開き側に移る。引戸は閉じ方向にはフリーとなり、
戸板(1)から手を離しても、レール(2)の傾斜と戸板
(1)の自重によって戸板(1)は自動的に閉じる。
【0017】戸板(1)が全閉位置に達すると、弾性係止
部材(4)はレール(2)から外れて弾性係止部材(4)はフ
リー状態となる。戸板(1)を全閉位置から開く際、弾性
係止部材(4)は、支軸(40)に引っ張られて、その下部自
由端はレール(2)上を摺動し、戸板(1)に対してブレー
キは利いておらず、戸板(1)を軽く開くことができる。
【0018】戸板(1)を任意位置まで開いて戸板(1)か
ら手を離すと、弾性係止部材(4)の自由端が支軸(40)よ
りも戸板(1)の閉じ側に位置しているため、前述の如
く、弾性係止部材(4)先端と該先端が接しているレール
(2)との摩擦により、戸板(1)の閉じ方向に軟ブレーキ
が利き、戸板(1)をその開き位置で停止させることがで
きる。
【0019】図6は、弾性係止部材(4)の取付け高さ位
置を調整できる実施例を示している。戸板(1)の吊下げ
用ブラケット(11)にネジ止めする取付け板(12)の上下の
ネジ挿通孔の内、何れか一方の孔を横長の長孔(13)と
し、取付け板(12)を垂直面内で角度調整可能に取付け出
来る様になし、取付け板(12)上の弾性係止部材(4)の支
軸(40)の高さを調整するものである。これによりフリー
ストップ位置からの戸板(1)を閉じるために必要な力を
調整することが可能となる。
【0020】図7は、レール(2)の下面に弾性係止部材
(4)を当ててブレーキを利かせる他の実施例を示してい
る。
【0021】戸板(1)に垂直面内で回動可能に弾性係止
部材(4)の略中央部を軸支し、該弾性係止部材(4)は、
支軸(40)から上部よりも下部の方が重く形成され、自重
により少し傾いた状態にて上端をレール(2)下面に当接
させている。
【0022】図7の場合も、図1の実施例と同様にし
て、係止部材(4)の上部自由端が支軸(40)よりも戸板
(1)の閉じ側に位置している姿勢では、係止部材(4)の
上部自由端と該自由端が接しているレール(2)との摩擦
により、戸板(1)の閉じ方向に軟ブレーキが利き、戸板
(1)を停止させることができる。戸板(1)は開き方向に
対してはフリーである。
【0023】閉じ方向に軟ブレーキが利いた状態で戸板
(1)を手で押して閉じると、係止部材(4)が弾性変形し
て先端が支軸(40)よりも開き側に位置し、閉じ側に対し
てはフリーとなり、支障なく閉じることができる。
【0024】図8は、弾性係止部材(4)をレール(2)上
の定位置に軸支し、該係止部材(4)が戸板(1)に接して
ブレーキを利かせる他の実施例を示している。弾性係止
部材(4)は開閉途上の戸板(1)の上端面に対して、自重
にて少し傾いた状態で接する様に、戸板(1)の移行面内
で回動可能にレール(2)上に軸支されている。
【0025】実施例では、図8の2点鎖線で示す如く、
全閉位置の戸板(1)に対し、該戸板(1)の後端から僅か
外れる位置に弾性係止部材(4)を配備しており、全閉位
置の戸板(1)に対して弾性係止部材(4)は、フリー状態
となり、戸板(1)を開く際、開き始めからブレーキは利
いておらず、軽く開くことができる。
【0026】図9、図10に示すフリーストップ機構
は、戸板(1)と一緒にレール(2)上に転動可能に配備さ
れたブレーキローラ(6)の支持軸(60)に該ローラ(6)の
半径長さと同程度の長さのアーム片(5)を回動自由に且
つ支持軸(60)に少し余裕のある状態に設け、アーム片
(5)の先端には支持軸(60)に対して平行に位置する軸状
のブレーキ片(51)を設けて、該ブレーキ片(51)をレール
(2)とブレーキローラ(6)との間に侵入可能に配備して
いる。
【0027】実施例では、1本の金属線を略U字状に屈
曲して中央部をブレーキ片(51)、両側をアーム片(5)
(5)となし、アーム片(5)(5)の先端を円形に湾曲して
支持軸(60)に余裕のある状態に嵌めている。
【0028】ブレーキ片(51)が支持軸(60)よりも戸板
(1)の閉じ側に位置しているときは、ブレーキ片(51)が
レール(2)とブレーキローラ(6)との間に食込んで、ブ
レーキローラ(6)は転動を阻止され、戸板(1)は軟ブレ
ーキが利いた状態となる。
【0029】上記の様に閉じ方向に軟ブレーキが利いた
状態で戸板(1)を手で押して閉じると、ローラ(6)がブ
レーキ片(51)を乗り越えて、ブレーキ片(51)が支持軸(6
0)よりも戸板(1)の開き側に位置し、戸板(1)の閉じ側
に対してはフリーとなる。戸板(1)は閉じ側に対しては
フリー状態であり、レール(2)は戸板(1)の閉じ側が緩
やかに下向き傾斜しているため、戸板(1)は自動的に閉
じる。
【0030】ブレーキ片(51)の太さを加減することによ
り、フリーストップ位置から戸板(1)を閉じるために必
要な力を調整することが可能となる。尚、図9の実施例
では、戸板(1)吊下げ移動用の戸車にブレーキローラを
兼用させることができる。この場合、戸車の支持軸にア
ーム片を取り付ければよい。
【0031】上記実施例では、レール(2)を傾斜させ、
戸板(1)を自重で自動的に閉じる様に構成したが、レー
ル(2)を水平に設け、レール(2)の閉側端の近傍に滑車
を設け、戸板(1)からワイヤーを引張っぱって該滑車を
経由させ、ワイヤーの先端にウェイトを接続し、該ウェ
イトにより戸板(1)を引張って自動的に戸板(1)を閉じ
る様にする等、重力による自閉式引戸であれば本発明の
実施が可能である。
【0032】更に、図8の実施例を除く他の実施例に於
いて、弾性係止部材(4)、ブレーキ片(51)が摩擦接触す
る相手部材は、戸板(1)のスライド案内用のレール(2)
に限定されることはなく、該レールと平行に配備した長
尺部材(図示せず)でもよく、この場合、弾性係止部材
(4)、ブレーキ片(51)は、該長尺部材に当接可能な位置
に軸支する。本発明は、上記実施例の構成に限定される
ことはなく、特許請求の範囲で種々の変形が可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】レール及び戸板の吊下げ状態の説明図である。
【図2】レールの端部近傍の説明図である。
【図3】図1A−A線に沿う断面図である。
【図4】図1B−B線に沿う断面図である。
【図5】係止部材の位置と軟ブレーキとの関係の説明図
である。
【図6】係止部材の取付け位置調整機構の説明図であ
る。
【図7】自重を利用してレールの下面を押圧する他の実
施例の説明図である。
【図8】係止部材をレールに取り付けた他の実施例の説
明図である。
【図9】レールとローラとの間にブーレキ片を介在させ
た他の実施例の正面図である。
【図10】同上の側面図である。
【図11】従来例の断面図である。
【符号の説明】
(1) 戸板 (2) レール (3) 戸車 (4) 弾性係止部材

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 戸板(1)の上端に設けた戸車(3)をレー
    ル(2)上に載せて戸板(1)をスライド可能に吊下げ支持
    すると共に、レール(2)上の任意位置にて停止可能なフ
    リーストップ機構を具えた引戸に於て、フリーストップ
    機構は、戸板(1)と共に移動可能且つ揺動可能に弾性係
    止部材(4)を軸支し、弾性係止部材(4)を、該弾性係止
    部材(4)の自重によりレール(2)又はレール(2)と平行
    に配備した長尺部材に接触させて構成し、上記弾性係止
    部材(4)は長尺部材との接触面を円弧状に形成すると共
    に摩擦係数の大なる資材により形成したことを特徴とす
    る引戸。
  2. 【請求項2】 戸板(1)の上端に設けた戸車(3)をレー
    ル(2)上に載せて戸板(1)をスライド可能に吊下げ支持
    すると共に、レール(2)上の任意位置にて停止可能なフ
    リーストップ機構を具えた引戸に於て、フリーストップ
    機構は、戸板(1)の移行路に面して定位置にて揺動可能
    に弾性係止部材(4)を軸支し、戸板(1)に対し、弾性係
    止部材(4)の自重により弾性係止部材(4)を戸板(1)に
    接触させて構成し、上記弾性係止部材(4)は接触面を円
    弧状に形成すると共に摩擦係数の大なる資材により形成
    したことを特徴とする引戸。
  3. 【請求項3】 戸板(1)の上端に設けた戸車(3)をレー
    ル(2)上に載せて戸板(1)をスライド可能に吊下げ支持
    すると共に、レール(2)上の任意位置にて停止可能なフ
    リーストップ機構を具えた引戸に於て、フリーストップ
    機構は、戸板(1)と共にレール(2)上に転動可能に配備
    されたブレーキローラ(6)の支持軸(60)に該ローラ(6)
    の半径長さと同程度の長さのアーム片(5)を回動自由に
    且つ支持軸(60)に対し余裕のある状態に設け、アーム片
    (5)の先端には支持軸(60)に対して平行に位置する軸状
    のブレーキ片(51)を設けて、該ブレーキ片(51)をレール
    (2)とブレーキローラ(6)との間に侵入可能に構成する
    ことを特徴とする引戸。
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