JP4218910B2 - 案内装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、窓や天窓等の障子の案内装置(以下単に案内装置という)に係り、特に、障子の開度を任意に設定、保持できる新規な案内装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
窓や天窓の障子は、通常、蝶番やヒンジによって支持、案内されており、障子を開けたときその開度を安定に保つため、例えば一端を障子に回動自在に支承され、長さ方向に沿って多数の係止孔を開口させた保持杆を設け、その保持杆の係止孔を窓枠側に固設された係止ピンに嵌合させるようにして障子を窓枠に係止するのが一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したような障子の開度保持装置は、操作が煩雑である上開度の設定量が段階的であるという不都合がある。
【0004】
そこで、この発明は、従来の開度保持装置の上記した不都合を解消し、障子を支持し案内する機能と、簡単な操作で障子の開度を任意に設定できる開度保持装置の機能とを併せて持つ新規な案内装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、窓枠と障子の引き違い面に平行な基板に、可動の円弧状のフリクションコアを挟んで、上記基板に保持され、フリクションコアの内周面に接合する凸の円弧状の外周面を有するフリクションガイドと、大体の形状が半円形で、フリクションコアの外周面に接合する凹の円弧状の内周面を有するフリクションアームとを対設し、このフリクションアームの一端を基板に植設されたアーム軸に回動可能に嵌合させると共に、他端を、基板にこれと水平な関係位置で固設されたねじ杆の自由端に遊貫させ、一方、このねじ杆の基端部に螺合するナットとフリクションアームの他端との間に圧縮コイルばねとしての付勢ばねを弾装し、以て、フリクションアームをフリクションコアを介してフリクションガイド方向に付勢し、他方、フリクションコアに取付板を固設し、取付板及び基板の一方を障子に、他方を窓枠に結合するようにしたことを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に記載の発明は、窓枠と障子の引き違い面に平行な基板に、円弧状のフリクションコアを挟んで、フリクションコアの内周面に接合する凸の円弧状の外周面を有するフリクションガイドと、フリクションコアの外周面に接合する凹の円弧状の内周面を有するフリクションアームとを対設し、フリクションガイドをフリクションコアの内周面に沿って移動できるように案内すると共に、フリクションアームをフリクションコアに近接する方向に付勢し、一方、フリクションコアに取付板を固設し、取付板及び基板の一方を障子に、他方を窓枠に結合するようにし、他方、フリクションコアとフリクションガイドとの間に遊動機構付のクラッチを設け、フリクションコアの障子開放方向の終端附近においてフリクションコア及びフリクションガイドを一体的に連結するようにしたことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施例を図面を参照して説明する。なお、この実施例は、この発明を天窓の案内装置に適用した場合を示すものである。
【0008】
請求項1に記載の発明の一実施例による案内装置を示す図1及び図2において、符号1は基板を示し、この基板1は、例えば厚板を断面L字形に折曲した部材で、図2において厚さを示す本体部1aを天窓の窓枠と障子との引き違い面に平行にしてある。
【0009】
この厚板1の図1における表面中央の上端には、下向きに凸の円弧状の外周面を有するフリクションガイド2が装着されている。
【0010】
図示の実施例では、このフリクションガイド2は円の一部をなす形の厚板で、これを厚さ方向に貫通する付番しない一対の取付孔を基板1にかしめつけられた取付バー3に嵌合させることにより、取り外し可能に装着されている。
【0011】
なお、この取付バー3には雌ねじが刻設されており、図示の実施例では5個の取付バー3、3を利用して、図5に示すように、蓋板4がねじ止めされるので、フリクションガイド2は基板1と蓋板4に挟着されるようにして安定に保持される。
【0012】
フリクションガイド2の下方には、図1に示すように、フリクションガイド2との間に一定幅の円弧状の空間を挟んで、上向きに凹の内周面を有し大体の形状が半円形のフリクションアーム5が対設されている。
【0013】
このフリクションアームの図1における右端は、基板の本体部1aに垂直で取付バー3を兼ねるアーム軸6と回動可能に嵌合しており、この嵌合により、フリクションアーム5は引き違い面と平行な平面内において揺動可能に軸支されている。
【0014】
一方、基板の本体部1aの左端部は図1において手前側に切り起こされ、この切り起こし部1bにかしめつけられたねじ杆7の上端部は、フリクションアーム5の自由端、すなわち図1における左端を遊貫している。
【0015】
そして、上記ねじ杆7の下端部に螺合するナット8とフリクションアーム5の自由端との間には圧縮コイルばねとしての付勢ばね9が弾装されており、この付勢ばね9の弾力により、フリクションアーム5はフリクションガイドに近接する方向に付勢されている。
【0016】
ちなみに、上記ナット8を回すことによりナット8のねじ杆7に対する相対螺合位置を変化させ、付勢ばね9の弾力を調節することができる。
【0017】
上記のように構成されたフリクションガイド2とフリクションアーム5の間には、図1における正面形状が扇形のフリクションコア11が配設されている。
【0018】
このフリクションコア11は、図1から明らかなように、フリクションアーム5を介して付勢ばね9の弾力を受け、フリクションガイド2に弾圧されている。
【0019】
なお、図示の実施例では、フリクションコア11との接触面積を大きくするためフリクションアーム5の内周面は内側に凸の山形陵になっており、これに対応して、図3に示すように、フリクションコア11のフリクションアーム5と接触する外周面はV字形の溝が形成されている。
【0020】
また、上記したフリクションガイド2、フリクションアーム5及びフリクションコア11の材質は、この発明による案内装置の負荷及び求められる作動の円滑性に応じて、鉄、真鍮、ステンレススチール等の金属材料、或いはナイロン、ジュラコンなどの合成樹脂材料を適宜選択する。
【0021】
上記のように構成されたこの発明の案内装置の要部を覆うように、前記したように、また、図4及び図5に示すように、円弧の一部をなす連結孔12を開口させた蓋板4がねじ止めされ、上記連結孔12から覗けるフリクションコア11の部分に取付板13が装着、固定される。
【0022】
図示の実施例では、図4及び図5に示すように、図5における上端をフリクションコア11にかしめつけられ、連結孔12を挿通して蓋板4外に突出するコア軸14の図5における下端を、取付板13にかしめつけて取付板13をフリクションコア11に固設する。
【0023】
この場合、コア軸14の長さを適切に設定して、取付板13と蓋板4との間に少し隙間が形成されるようにすると良い。
【0024】
そして、図6及び図7に示すように、基板1及び取付板13の一方を天窓の窓枠に、他方を障子に夫々結合する。
【0025】
図示の実施例では、基板1を木製の窓枠15に、取付板13をこれも木製の障子16に夫々木ねじによってねじ止めされている。なお、このときこの案内装置を障子16の両側に装着するものとする。
【0026】
上記のように構成された案内装置は、図7に示す天窓の閉鎖時には、障子16の負荷は図示しない係止装置を介して窓枠15に担持される。同時に、取付板13(図4参照)、フリクションコア11(図1参照)、及びフリクションアーム5を介して、付勢ばね9にも担持される。
【0027】
室内側から操作杆17を握って下方に引くと、図8に示すように、操作杆17によって制御される図示しない係止装置が障子16を窓枠15から解放するので、図8に示すように、障子16は取付板13の回動中心18(図1参照)を回転中心として図8で時計方向に回動して天窓が開く。
【0028】
換言すれば、取付板13と一体のフリクションコア11がフリクションガイド2とフリクションアーム5との間の円弧状の空間を図1で左方に移動し、図9に示すように、取付板13はフリクションコア11と一体に回動中心18の周りを回転する。
【0029】
このとき、障子16の負荷はフリクションアーム5を介して付勢ばね9に担持されるが、通常付勢ばね9の弾力は障子16の重量と比較して充分に大きくするので、フリクションアーム5が揺動することなく、フリクションコア11は回動中心18の周りを移動する。
【0030】
また、フリクションコア11はフリクションガイド2とフリクションアーム5とにより強い弾力で挟まれているので、これらとの間に大きな摩擦抵抗が生じ、障子から手を放してもフリクションコア11は移動することなく、したがって障子の開度はそのまま安定に保たれる。
【0031】
天窓を閉めるときには図8の状態から操作杆17をその儘押上げればよく、このときにはフリクションコア11は図1で右方に移動し、取付板13は図9に示す回動中心18の周りを反時計方向に回動して、案内装置は図4及び図7に示す閉鎖状態に復帰する。
【0032】
一方、図10及び図11は請求項2に記載の発明の一実施例による案内装置を示し、この実施例は、フリクションコア11の移動量、すなわち障子の最大開度を大きくしたものである。
【0033】
この実施例においては、図10に示すように、フリクションコア11の円周方向の寸法、すなわち長さを長くしてフリクションコア11とフリクションアーム5とで咥える寸法を大きくし、また、図10においては図示を省略する蓋板4(図4及び図5参照)の連結孔の左端を切り開く(図示せず)。
【0034】
更にまた、フリクションコア11にこれを厚さ方向に貫通する外周面と同心の円弧状の案内孔19を開口させ、この案内孔19に基板1に植設した3本の案内ピン21、21を摺動可能に嵌合させる。
【0035】
一方、フリクションガイド2の外周面に一定の角度範囲にわたって係合溝22を形成し、これに対応してフリクションコア11の内周面の所定の角度位置に係合ピン23を突設する。
【0036】
上記した構成により、フリクションガイド2はフリクションコア11の内周面に沿って移動できるように案内されることになる。
【0037】
それと共に、フリクションガイド2とフリクションコア11とは、係合溝22と係合ピン23とによって構成される遊動機構付のクラッチ24を介して相互に連結されることになる。
【0038】
なお、図10において符号25は、フリクションコア11との摺接を円滑にするためフリクションアーム5の内周面に貼着されたテープ状の真鍮板よりなるアームプレートを示し、図10において図1と同符号を付した部分は図1と均等な部分を示す。
【0039】
上記のように構成された請求項2に記載の発明の一実施例による案内装置は、長いフリクションコア11に例えば3本のコア軸14(図4及び図5参照)を介して図示しない取付板を結合して使用する。
【0040】
この案内装置の作動は請求項1に記載の発明によるものとほぼ同様であるが、フリクションガイド2が固定されていないため、フリクションコア11の回動の始めにおいてフリクションガイド2が動かずフリクションコア11のみが動く場合と、始めからフリクションガイド2がフリクションコア11に従動して円周方向に移動する場合とが考えられる。
【0041】
何れに場合も、しかしながら、フリクションコア11はフリクションガイド2と充分な接触長さを保ちながらフリクションアームの内周面に沿って安定して移動する。
【0042】
フリクションコア11のみが移動する場合には、フリクションコア11の前記係合ピン23がフリクションガイドの係合溝22の左端と係合し、以後フリクションガイド2を引き連れながらフリクションコア11が基板1と蓋板4との間から突出し、図11に示すように、フリクションコア11が最大に突出するに至り障子の開度は最大となる。
【0043】
このときには、案内孔19の右端と右端の案内ピン21がストッパーとなる。
【0044】
一方、フリクションガイド2が最初からフリクションコア11と連動する場合には、比較的早期にフリクションガイド2が図11の角度位置に至り、以後フリクションコア11のみが移動して、図11に示す最大突出位置をとる。
【0045】
このときには、係合溝22の左端と係合ピン23とがストッパーとなる。
【0046】
何れの場合でも、図11に示すフリクションコア11の最大突出位置において、フリクションガイドも基板1から振り出されるので、フリクションガイドとフリクションコアとが必要にして充分な長さにわたって接触しており、この状態でも障子は安定して窓枠に担持される。
【0047】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1に記載の発明は、フリクションコアを、フリクションガイドとフリクションアームとの間の円弧状の空間をこれらに挟まれた状態で案内するので、フリクションコアに固設された取付板に装着された障子を仮想の回動中心の周りを回動自在に支承できると共に、障子を摩擦力により任意の開放角度位置に停止させることができる、という効果を奏する。
【0048】
また、障子の停止及び再開閉操作の為の切替え操作を必要とせず、単に障子を押し引きすればよいので、使い勝手が良く操作が簡単である。
【0049】
更にまた、請求項2に記載の発明は、フリクションガイドを遊動機構付のクラッチを介してフリクションコアと連動可能に連結させたので、障子の開度が大きい場合でも、フリクションコアを咥えるフリクションガイド及びフリクションアームのフリクションコアとの接触長さを充分大きくすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1に記載の発明による案内装置の、蓋板を取り外して示す要部正面図。
【図2】その平面図。
【図3】フリクションコアの横断面図。
【図4】請求項1に記載の発明による案内装置の正面図で、障子が閉っている状態を示す。
【図5】その平面図。
【図6】図4のVI−VI線から見たその側面図。
【図7】請求項1に記載の案内装置を装着した天窓の断面図で、障子閉鎖時を示す。
【図8】請求項1に記載の案内装置を装着した天窓の断面図で、障子が開いている状態を示す。
【図9】図4と同様の案内装置の正面図で、障子が開放されている状態を示す。
【図10】請求項2に記載の発明による案内装置の、蓋板を取り外して示す一部断面要部正面図で、障子閉鎖時を示す。
【図11】図10と同様の、案内装置の蓋板を取り外して示す一部断面要部正面図で、障子開放時を示す。
【符号の説明】
1 基板
2 フリクションガイド
4 蓋板
5 フリクションアーム
6 アーム軸
7 ねじ杆
8 ナット
9 付勢ばね
11 フリクションコア
13 取付板
24 クラッチ

Claims (2)

  1. 窓枠と障子の引き違い面に平行な基板に、可動の円弧状のフリクションコアを挟んで、上記基板に保持され、フリクションコアの内周面に接合する凸の円弧状の外周面を有するフリクションガイドと、大体の形状が半円形で、フリクションコアの外周面に接合する凹の円弧状の内周面を有するフリクションアームとを対設し、このフリクションアームの一端を基板に植設されたアーム軸に回動可能に嵌合させると共に、他端を、基板にこれと水平な関係位置で固設されたねじ杆の自由端に遊貫させ、一方、このねじ杆の基端部に螺合するナットとフリクションアームの他端との間に圧縮コイルばねとしての付勢ばねを弾装し、以て、フリクションアームをフリクションコアを介してフリクションガイド方向に付勢し、他方、フリクションコアに取付板を固設し、取付板及び基板の一方を障子に、他方を窓枠に結合するようにしたことを特徴とする案内装置。
  2. 窓枠と障子の引き違い面に平行な基板に、円弧状のフリクションコアを挟んで、フリクションコアの内周面に接合する凸の円弧状の外周面を有するフリクションガイドと、フリクションコアの外周面に接合する凹の円弧状の内周面を有するフリクションアームとを対設し、フリクションガイドをフリクションコアの内周面に沿って移動できるように案内すると共に、フリクションアームをフリクションコアに近接する方向に付勢し、一方、フリクションコアに取付板を固設し、取付板及び基板の一方を障子に、他方を窓枠に結合するようにし、他方、フリクションコアとフリクションガイドとの間に遊動機構付のクラッチを設け、フリクションコアの障子開放方向の終端附近においてフリクションコア及びフリクションガイドを一体的に連結するようにしたことを特徴とする案内装置。
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