JP2682519B2 - Ii−vi族半導体結晶成長方法と半導体レーザ装置の製造方法 - Google Patents

Ii−vi族半導体結晶成長方法と半導体レーザ装置の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,分子線エピタキシ
ー(MBE)法を用いたII−VI族化合物半導体膜の結晶
成長方法及び埋め込み型半導体レーザ装置の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来のII−VI族化合物半導体膜の結晶成
長及び半導体レーザ装置における埋め込み技術では,ア
イ・イー・イー・イー・ジャーナル・オブ・カンタム・
エレクトロニクス[IEEE JOUNAL OF QUANTUM ELECTRONIC
S],第19巻,1021頁,1983年に記載されてい
るような単結晶とアモルファスのエッチングレートの違
いを利用した誘電体膜上アモルファス層の除去方法(以
下,従来技術1と呼ぶ),フォトリソグラフィ技術によ
り選択的にアモルファス層をエッチング除去する方法
(従来技術2と呼ぶ),特開昭64ー77133号公報
に記載されているようなエピタキシャル成長時の圧力を
300Torr以下に調整して行う事による選択成長法
(以下,従来技術3と呼ぶ)が試みられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,従来技
術1におけるエッチングレートの違いによるアモルファ
ス層の除去では,半導体層上のエピタキシャル層も同様
にエッチングされる為エッチング除去後のエピタキシャ
ル層の正確な膜厚制御が非常に困難であり,表面にもダ
メージが残る恐れがあった。
【0004】また,従来技術2におけるフォトリソグラ
フィ技術による除去法では,露光の際にマスクパターン
を半導体層上に形成されたパターンに正確に合わせる必
要があり微細加工する場合には技術的に非常に困難であ
った。
【0005】さらに,従来技術3による方法では,成長
時の圧力を300Torr以下に調整しなければならな
いため,再現性のある選択成長を行う事が非常に困難で
あり,成長温度も高いため,デバイスに適した良質な結
晶が非常に得られにくいという問題を有していた。
【0006】そこで,本発明の第1技術的課題は,半導
体層上のエピタキシャル層に何等ダメージを与えず,容
易に誘電体膜上のアモルファス層を除去することができ
るII−VI族半導体結晶成長法を提供することにある。
【0007】また,本発明の第2技術的課題は,上記方
法を用いた半導体装置の製造方法を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば,II−VI
族化合物半導体の分子線エピタキシー(MBE)法によ
る半導体結晶成長方法において,表面にパターンニング
した誘電体膜を有する部分とその他の半導体層露出部分
とを有する半導体層上に,結晶成長法を適用することに
よって前記誘電体膜上にアモルファス層を形成するとと
もに前記半導体層露出部分にエピタキシャル層を形成す
る第一工程と,前記誘電体膜上に成長したアモルファス
層のみを拭き取り,洗浄により取り除く第二工程とを含
むことを特徴とするII−VI族半導体結晶成長方法が得ら
れる。ここで,本発明において,前記洗浄は,超音波洗
浄等が好ましい。
【0009】また,本発明によれば,半導体層の活性領
域上にストライプ状の誘電体膜を形成し,その外部領域
にエピタキシャル成長を起こすことによって埋込み層を
形成する半導体レーザ装置の製造方法において,前記埋
込み層を請求項1記載のII−VI族半導体結晶成長方法に
より製造することを特徴とする半導体レーザ装置の製造
方法が得られる。
【0010】さらに,本発明によれば,半導体層の表面
に形成したストライプ状の誘電体膜と,前記誘電体膜の
外部に形成されたエピタキシャル成長による部分とを有
する半導体レーザ装置の製造方法において,前記エピタ
キシャル成長による部分を,請求項1記載のII−VI族半
導体結晶成長方法により形成することを特徴とする半導
体レーザ装置の製造方法が得られる。ここで,本発明の
半導体レーザ装置の製造方法において,前記エピタキシ
ャル成長による部分は,クラッド層,活性層,及びコン
タクト層の少なくとも一種の層からなる。
【0011】更に,具体的に本発明の原理について,説
明すると,MBE法において,半導体表面上では,基板
と結晶と結晶軸そろったエピタキシャルとなるが,単結
晶でない誘電体膜上に付着した物質は単結晶にならずア
モルファス晶質となる。アモルファス結晶は一般に,単
結晶に比べ結合強度が弱く,特にII−VI族化合物アモル
ファスの場合,II族及びVI族元素のイオン性が大きい
ことから非常に脆い。このため,本発明においては,超
音波洗浄や機械的な拭き取りによって半導体膜上のエピ
タキシャル層にダメージを与えることなく誘電体膜上の
アモルファス層を除去できるものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下,本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。
【0013】(第1の実施の形態)図1(a),
(b),及び(c)は本発明の第1の実施の形態に係る
II−VI族半導体結晶成長方法を示す工程図であり,半導
体レーザ装置の基本構造が形成される。図1(a)に示
すように,GaAs基板1上に熱CVD装置によりSi
2 からなる誘電体膜2を2500A析出させ更にフォ
トリソグラフィ技術でストライプ幅が10μm,30μ
m,50μmのマスクパターンを形成し,バッファード
フッ酸によってSiO2 をエッチングし,誘電体膜2と
半導体表面3を形成した。
【0014】次に,図1(b)に示すように,MBE装
置内で600℃に加熱し,半導体基板上の酸化膜を除去
した後,300℃に保ち,(ZnS)0.06Se0.094
成長を行い,誘電体膜2上にはアモルファス層4を半導
体表面3上には,エピタキシャル層5を形成した。エピ
タキシャル層5の成長速度は1時間に0.55μmであ
った。成長速度は10μm,30μm,50μm,それ
ぞれのストライプ幅で同一でありストライプ幅による依
存性は認められなかった。次に,エチルアルコール液中
で,超音波洗浄を行った。
【0015】図1(c)に示すように,この工程により
アモルファス層4のみをはがし,エピタキシャル層5を
形成した。ここで,Zn,S,Seの各元素は,イオン
性が強いため,エピタキシャル層5の結合力は強く,ア
モルファス層4の結合力は非常に弱い。また,誘電体膜
2とアモルファス層4との結合力も弱いため,超音波等
の機械的な衝撃で容易にアモルファス層を除去すること
ができ,エピタキシャル層を選択的に除去することがで
きた。
【0016】尚,アモルファス層4の除去はエチルアル
コールだけでなく,他の有機溶剤でも可能であり,また
超音波洗浄でなく,綿などで拭き取る事も可能であっ
た。
【0017】また,上述の第1の実施の形態では,Zn
SSe混晶を用いたが,これに限らず,ZnCdSeや
MgZnSSe,ZnMgSeTe混晶など,他のII−
VI材料を用いてもよい。また,誘電体としてSi2 3
等の他の材料を用いてもよい。
【0018】(第2の実施の形態)図2(a),
(b),(c)及び(d)は本発明の第2の実施の形態
に係るII−VI族半導体結晶成長方法を示す工程図であ
り,半導体レーザ装置の基本構造が形成される。図2
(a)に示すように,n型GaAs基板6上に塩素ドー
プZn0.92Mg0.080.12Se0.88(塩素濃度5×10
17,厚さ1.5μm)からなるn型クラッド層7,Zn
Se(厚さ0.1μm)からなる活性層8,窒素ドープ
Zn0.92Mg0.080.12Se0.88(窒素濃度1×1
17,厚さ1μm)からなるp型クラッド層9,窒素ド
ープZnSeTe(窒素濃度1×1018,厚さ0.05
μm)からなるコンタクト層10をエピタキシャル成長
したウエハ上にSiO2 からなる誘電体膜11を100
0A析出させ,更にフォトリソグラフィ技術でストライ
プ幅が10μmのマスクパターンを形成しバッファード
フッ酸によってSiO2 をエッチングした。
【0019】図2(b)に示すように,更にウェットエ
ッチングによりコンタクト層10,p型クラッド層9を
メサ状にエッチングし,誘電体膜11と半導体表面12
を形成した。
【0020】次に,図2(c)に示すように,MBE装
置内で600℃に加熱し,半導体基板上の酸化膜を除去
した後,300℃に保ち,クラッド層9よりもバンドギ
ャップが高いZn0.8 Mg0.2 0.3 Se0.7 の成長を
行い,誘電体膜11上にはアモルファス層14を半導体
レーザ装置表面12上にはZnMgSSeエピタキシャ
ル層からなる埋込み層13を形成した。エピタキシャル
層5の成長速度は1時間に0.55μmであった。図2
(d)に示すように,誘電体膜11上のアモルファス層
14は,エチルアルコール中における超音波洗浄により
拭き取りで除去し,更に誘電体膜11をバッファードフ
ッ酸によってエッチング除去を行った。次に上記ウエハ
を蒸着器に投入し,電極15を蒸着した。選択的に形成
した埋込み層13は高抵抗であり,電極15より注入さ
れた電流は,横方向に広がらず,有効に活性層8に流れ
込む。また,埋込み層13の屈折率は,活性領域のレー
ザ装置材料よりも屈折率が小さく,光を活性層8に閉じ
込めることができる。このように作製した半導体レーザ
装置は,プロセスが容易であるため再現性が高く,発振
しきい値も20mAと良好であった。
【0021】上述の第2の実施の形態では,活性領域に
ZnMgSSe系材料を用いたが,これに限らずInG
aAlP系レーザ装置など他の材料系を用いてもよい。
また,第2の実施の形態では,埋込み層13にZn0.8
Mg0.2 0.3 Se0.7 を用いたが,ZnSe等の他の
材料を用いてもよい。
【0022】(第3の実施の形態)図3(a),
(b),(c),及び(d)は,本発明の第3の実施の
形態に係るII−VI族半導体結晶成長方法を示す工程図
で,半導体レーザ装置の基本構造が形成される。図3
(a)に示すように,n型GaAs基板6上に熱CVD
装置によりSiO2 を2500A析出させ,更にフォト
リソグラフィ技術でストライプ幅が10μmのマスクパ
ターンを形成しバッファードフッ酸によって,SiO2
をエッチングし,誘電体膜2とこの間に露出した半導体
表面3を形成した。
【0023】次に,図3(b)に示すように,MBE装
置内で600℃に加熱し,半導体基板上の酸化膜を除去
した後,300℃に保ち,塩素ドープZn0.92Mg0.08
0.12Se0.88(塩素濃度5×1017,厚さ1.5μ
m)からなるn型クラッド層7,ZnSe(厚さ0.1
μm)からなる活性層8,窒素ドープZn0.92Mg0.08
0.12Se0.88(窒素濃度1×1017,厚さ1μm)か
らなるp型クラッド層9,窒素ドープZnSeTe(窒
素濃度1×1018,厚さ0.05μm)からなるコンタ
クト層10エピタキシャル成長した。誘電体膜2上には
アモルファス層14を半導体表面3上にはレーザ装置エ
ピタキシャル層7〜9を形成した。エピタキシャル層の
成長速度は1時間に0.55μmであった。次に,図3
(c)に示すように,エチルアルコール液中で,超音波
洗浄を行った。この工程によりアモルファス層14のみ
をはがし,エピタキシャル層7〜9を形成した。アモル
ファス層17の除去はエチルアルコールだけでなく,他
の有機溶剤でも可能であり,また超音波洗浄でなく,綿
などで拭き取る事も可能であった。次に,Si3 4
縁膜16を2000A析出し,フォトリソグラフィ技術
でエピタキシャル層7〜9上にマスクパターンを形成
し,バッファードフッ酸によってSi3 4 をエッチン
グした。更に,図3(d)に示すように,蒸着装置内に
投入し,電極蒸着を行った。
【0024】尚,上記第3の実施の形態では,GaAs
基板6上のZnMgSSe系レーザ装置を用いたが,こ
れに限らず,InP上のMgZnCdSeTe系レーザ
装置など,他の材料系を用いてもよい。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように,本発明において
は,半導体層上のエピタキシャル層に何等ダメージを与
えず,容易に誘電体膜上のアモルファス層を除去し,選
択的な半導体結晶を得ることができ,半導体レーザ装置
のデバイス化に有効であるII−VI族半導体結晶成長法を
提供することができる。
【0026】また,本発明においては,上記したような
利点を備えた方法を用いた半導体レーザ装置の製造方法
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a),(b),及び(c)は,本発明の第1
の実施の形態を示す工程図である。
【図2】(a),(b),(c),及び(d)は,本発
明の第2の実施の形態を示す工程図である。
【図3】(a),(b),(c),及び(d)は,本発
明の第3の実施の形態を示す工程図である。
【符号の説明】
1 GaAs基板 2,11 誘電体膜 3,12 半導体表面 4,14 アモルファス層 5 エピタキシャル層 6 n型GaAs基板 7 n型クラッド層 8 活性層 9 p型クラッド層 10 コンタクト層 13 埋込み層 15 電極

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 II−VI族化合物半導体のMBE法による
    半導体結晶成長方法において,表面にパターンニングし
    た誘電体膜を有する部分とその他の半導体層露出部分と
    を有する半導体層上に,結晶成長法を適用することによ
    って前記誘電体膜上にアモルファス層を形成するととも
    に前記半導体層露出部分にエピタキシャル層を形成する
    第一工程と,前記誘電体膜上に成長したアモルファス層
    のみを拭き取り,洗浄により取り除く第二工程とを含む
    ことを特徴とするII−VI族半導体結晶成長方法。
  2. 【請求項2】 半導体層の活性領域上にストライプ状の
    誘電体膜を形成し,その外部領域にエピタキシャル成長
    を起こすことによって埋込み層を形成する半導体レーザ
    装置の製造方法において,前記埋込み層を請求項1記載
    のII−VI族半導体結晶成長方法により製造することを特
    徴とする半導体レーザ装置の製造方法。
  3. 【請求項3】 半導体層の表面に形成したストライプ状
    の誘電体膜と,前記誘電体膜の外部に形成されたエピタ
    キシャル成長による部分とを有する半導体レーザ装置の
    製造方法において,前記エピタキシャル成長による部分
    を,請求項1記載のII−VI族半導体結晶成長方法により
    形成することを特徴とする半導体レーザ装置の製造方
    法。
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