JP2682022B2 - 強誘電性磁器組成物及びそれを利用した圧電素子 - Google Patents

強誘電性磁器組成物及びそれを利用した圧電素子

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JP2682022B2 JP63165274A JP16527488A JP2682022B2 JP 2682022 B2 JP2682022 B2 JP 2682022B2 JP 63165274 A JP63165274 A JP 63165274A JP 16527488 A JP16527488 A JP 16527488A JP 2682022 B2 JP2682022 B2 JP 2682022B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は強誘電性磁器組成物、特に、電気機械結合係
数が大きく、低温焼結可能な強誘電性磁器組成物および
それを利用した圧電素子に関する。
(従来の技術) 一般に、磁器圧電材料は加工性、量産性および特性に
優れていることから、フィルター、圧電ブザー、バイモ
ルフなど圧電素子に応用されているが、この種の圧電材
料としては、チタン酸鉛系強誘電性磁器およびチタン酸
ジルコン酸鉛系強誘電性磁器が実用に供されている。
しかし、これらの強誘電性磁器は、その成分として揮
発性のPbを含むため、焼成時にPbOの一部が組成から失
われ易く、特性の再現性および均一性を図ることが困難
であった。しかも、焼結温度が1100℃以上と高いことか
ら金属板等の基板と一体化した複合体を得ることができ
ず、また電気機械結合係数が大きいためフィルターの帯
域幅が広くなく、使用に際し一部安定性に欠けるという
問題があった。
このため特開昭58-204579号公報にて、圧電セラミッ
クにケイ酸ガラス化合物、ソーダガラス化合物、あるい
は鉛ガラス化合物を1〜30wt%添加させることにより、
フィルターの帯域幅を狭くし、安定度を向上させた化合
物入り圧電磁器が提案されている。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら、前記ガラス化合物入り圧電磁器は、ガ
ラス化合物の添加により電気機械結合係数が著しく低下
するため、エネルギー変換効率が低下するという問題が
あった。また、従来の強誘電性磁器組成物を広がり振動
モードのセラミック共振子に適用した場合、厚み縦振動
であるスプリアス振動に起因する異常発振を生ずるとい
う問題もあった。
(問題点を解決するための手段) 本発明は、前記問題点を解決する手段として、鉛酸化
物含有強誘電性磁器組成物を主成分とし、副成分として
一般式:xPbO・yGeO2(x=1〜6,y=1〜3)で示され
るガラス化合物を0.01〜30重量%含有してなる強誘電性
磁器組成物を提供するものである。
主成分である鉛酸化物含有強誘電性磁器組成物として
は、チタン酸鉛系強誘電性磁器組成物、チタン酸ジルコ
ン酸鉛系強誘電性磁器組成物、メタニオブ酸鉛系強誘電
性磁器組成物および鉛含有複合ペロブスカイト系磁器組
成物が代表的なものとして挙げられるが、これらに限定
されるものではない。
チタン酸鉛系強誘電性磁器組成物とは、真性および変
性チタン酸鉛を意味し、変性チタン酸鉛には、単純酸化
物であるCr23、Nb25、Ta25、Bi23、MnO2など遷
移元素酸化物を添加したもの、PbサイトをMg,Ca,Sr,Ba
等のアルカリ土類金属やLa23、Nd23、Y23等の希
土類で置換したもの、およびPbTiO3の一部を後述の一般
式(I)〜(VI)で示される少なくとも一種の複号ペロ
ブスカイト化合物で置換した2成分系、3成分系その他
の多成分系磁器組成物あるいはこれらの組合わせたもの
が含まれる。
また、チタン酸ジルコン酸鉛系強誘電性磁器組成物と
は、真性および変性チタン酸ジルコン酸鉛を意味し、変
性チタン酸ジルコン酸鉛には、Pb(Ti,Zr)O3にCr
23、Nb25、Ta25、Bi23、MnO2など金属酸化物を
添加したもの、PbサイトをMg,Ca,Sr,Ba等のアルカリ土
類金属やLa23、Nd23、Y23等の希土類で置換した
もの、およびPb(Ti、Zr)O3の一部を下記一般式
(I)〜(VI)で示される少なくとも一種の複号ペロブ
スカイト形化合物で置換した3成分系、4成分系その他
の多成分系磁器組成物あるいはこれらの組合わせたもの
が含まれる。
さらに、メタニオブ酸鉛系強誘電性磁器組成物とは、
真性および変性メタニオブ酸鉛を意味し、変性メタニオ
ブ酸鉛には、単純酸化物であるCr23、Nb25、Ta
25、Bi23、MnO2など遷移元素酸化物を添加したも
の、Pbの一部をMg,Ca,Sr,Ba等のアルカリ土類金属やLa2
3、Nd23、Y23等の希土類で置換したもの、およ
びメタニオブ酸鉛に後述の一般式(I)〜(VI)で示さ
れる少なくとも一種の複号ペロブスカイト化合物を添加
した2成分系、3成分系その他の多成分系のものが含ま
れる。
前記鉛含有複号ペロブスカイト系磁器組成物には、後
述の一般式(I)〜(VI)で示される鉛含有複合ペロブ
スカイト化合物の他、それらの2種以上もしくはそれら
の少なくとも一種と他の複合ペロブスカイト化合物とか
らなる2成分系、3成分系その他の多成分系磁器組成物
が含まれる。例えば、Pb(Fe2/31/3)O3、Pb(Fe1/2
Nb1/2)O3などの1成分系、Pb(Fe1/2Nb1/2)O3‐Pb
(Fe2/31/3)O3などの2成分系、Pb(Mn1/3Nb2/3
3‐Pb(Fe1/2Nb1/2)O3‐Pb(Fe2/31/3)O3、Pb
(Zn1/3Nb2/3)O3‐Pb(Fe1/2Nb1/2)O3‐Pb(Fe2/3
1/3)O3などの3成分系複合ペロブスカイト化合物な
どが挙げられる。
前記複合ペロブスカイト形化合物の代表的なものとし
ては、 一般式(I):A2+(B2+ 1/35+ 2/3)O3で示される
化合物、例えば、 Ba(Zn1/3Nb2/3)O3、Ba(Cd1/3Nb2/3)O3、Ba(Mg
1/3Nb2/3)O3、Sr(Cd1/3Nb2/3)O3、Pb(Mg1/3N
b2/3)O3、Pb(Ni1/3Nb2/3)O3、Pb(Mn1/3Nb2/3)O
3、Pb(Mg1/3Ta2/3)O3、Pb(Ni1/3Ta2/3)O3、Pb(C
d1/3Nb2/3)O3; 一般式(II):A2+(B3+ 1/25+ 1/2)O3 で示される化合物、例えば、 Ba(Fe1/2Nb1/2)O3、Ba(Sc1/2Nb1/2)O3、Ca(Cr
1/2Nb1/2)O3、Pb(Fe1/2Nb1/2)O3、Pb(Fe1/2T
a1/2)O3、Pb(Sc1/2Nb1/2)O3、Pb(Sc1/2Ta1/2)O
3、Pb(Yb1/2Nb1/2)O3、Pb(Yb1/2Ta1/2)O3、Pb(L
u1/2Nb1/2)O3、Pb(In1/2Nb1/2)O3; 一般式(III):A2+(B2+ 1/26+ 1/2)O3 で示される化合物、例えば、 Pb(Cd1/21/2)O3、Pb(Mn1/21/2)O3、Pb(Zn
1/21/2)O3、Pb(Mg1/21/2)O3、Pb(Co
1/21/2)O3、Pb(Ni1/21/2)O3、Pb(Mg1/2T
e1/2)O3、Pb(Mn1/2Te1/2)O3、Pb(Co1/2Te1/2)O
3; 一般式(IV):A2+(B3+ 2/36+ 1/3)O3 で示される化合物、例えば、Pb(Fe2/31/3)O3; 一般式(V):A2+(B2+ 1/24+ 1/2)O3 で示される化合物、例えば、 Pb(Sn1/2Sb1/2)O3、La(Mg1/2Ti1/2)O3、Nd(Mg
1/2Ti1/2)O3;及び、 一般式(VI):(A+ 1/23+ 1/2)B4+3 で示される化合物、例えば、 (Na1/2La1/2)TiO3、(K1/2La1/2)TiO3、(Na1/2Ce
1/2)TiO3、(Na1/2Nd1/2)TiO3、(Nd1/2Bi1/2)Ti
O3、(K1/2Bi1/2)TiO3、などが挙げられる。
副成分である一般式xPbO・yGeO2で示されるガラス化
合物としては、x=1〜6,y=1〜3の範囲から選ばれ
た種々のものがあるが、例えば、PbO・GeO2、Pb5Ge3
11、3PbO・GeO2、6PbO・GeO2などが挙げられる。
(作用) 本発明は、主成分のチタン酸鉛系、チタン酸ジルコン
酸鉛系またはメタニオブ酸鉛系などの鉛酸化物を含む強
誘電性磁器組成物に、低融点で強誘電体性挙動を示す性
質を有する一般式:xPbO・yGeO2(x=1〜6,y=1〜
3)で示されるガラス化合物を添加し、液相焼結により
異相セラミックバルクを生成させることによって、チタ
ン酸鉛系、チタン酸ジルコン酸鉛系またはメタニオブ酸
鉛系磁器組成物が本来有する電気機械結合係数を低下さ
せることなく850〜1000℃の低温で焼結させることを可
能にし、それによって、従来、不可能であった金属板と
の一体焼結を可能にしたものである。
また、本発明に係る強誘電性磁器組成物は、スクリー
ン印刷法、塗布法、プレス成形法、押出し成形法、シー
ト成形法、ホットプレス法など任意の方法で成形あるい
は加工でき、例えば、厚膜ペーストをスクリーン印刷法
により金属板の表面に印刷し、焼結させることにより、
一体焼結型の圧電素子を得ることができる。
副成分である一般式:xPbO・yGeO2で示される化合物
は、焼結温度を低下させるが、その含有量を0.01〜30重
量%としたのは、0.01重量%未満ではその効果がさほど
期待できず、また、30重量%を越えると、焼結温度は低
くなるが、電気機械結合係数の低下が目立つようになる
からである。特に、xPbO・yGeO2(x=1〜6,y=1〜
3)の含有量を0.1〜10重量%にすると、焼結温度が低
く、かつ、電気機械結合係数が大きな強誘電性磁器組成
物が得られる。また、x,yの値をx=1〜6,y=1〜3と
したのは、低温で溶融できてガラス化できるとともに、
このガラス化合物を熱処理して再結晶させると強誘電体
的性質を示すからである。さらに、本発明に係る誘電性
磁器組成物は、高抗析強度を示す。これは主成分中の酸
化鉛とガラス化合物中の酸化鉛との間に化学的結合力を
生じ、粒界での機械的強度が高められるからであると考
えられる。
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例1) 原料としてPb34、TiO2、ZrO2、およびNb25を用
い、これらをPbTi0.48Zr0.523‐1.0wt%Nb25の組成
を有する強誘電性磁器が得られるように秤量し、その混
合物を20時間湿式混合する。この混合物を脱水、乾燥
し、850℃で2時間仮焼した後、粉砕し、その仮焼粉末
に有機バインダを2〜5重量%加えて20時間混合して造
粒する。これをプレス成形にて厚さ1〜1.5mmの薄板に
成形した後、この薄板を1200℃で2時間焼成して強誘電
性磁器を得、これを粉砕した後、325メッシュのふるい
を通してPbTi0.48Zr0.523‐1.0wt%Nb25からなる強
誘電性磁器粉末を調製する。
また、これとは別に、原料としてPb34およびGeO2
用い、これらをxPbO・yGeO2(x=1〜6,y=1〜3)の
組成となるように秤量し、その混合物を16〜20時間湿式
混合する。この混合物を脱水、乾燥し、650℃で3時間
仮焼した後、これを高純度アルミナるつぼに入れて875
℃にて熔融させる。この熔融物を純水中に投入し、急冷
破砕して一般式:xPbO・yGeO2(x=1〜6,y=1〜3)
で示される組成のガラス化合物を得る。このガラス化合
物を乳鉢と乳棒で粉砕し、325メッシュ以下の粉末を得
る。これを650℃で3時間加熱して再結晶化させた後、
再び325メッシュのふるいを通してxPbO・yGeO2(x=1
〜6,y=1〜3)粉末を得る。
前記強誘電性磁器粉末をxPbO・yGeO2(x=1〜6,y=
1〜3)粉末と第1表に示す組成比で混合し、その混合
物に樹脂と溶剤からなる有機バインダを10重量%混合し
て厚膜ペーストを調製した。この圧膜ペーストを直径20
mm厚さ0.1mmの耐熱性金属、例えば、Ni-Cr系金属板の上
に直径18mmの円としてスクリーン印刷した後、第1表に
示す温度で焼成して50μ厚の一体焼結型の複合体を得
た。
このセラミック表面に焼付法により銀電極を形成し、
銀電極と金属板の間に80℃で3〜4kv/mmの直流電圧を印
加して30分間分極処理を行い、磁器圧電体の試料とし
た。
各試料について、比誘電率(εr)、円板の屈曲振動
の電気機械結合係数(Kv)を測定した。その結果を第1
表に示す。なお、第1表には、比較例として前記強誘電
性磁器粉末に副成分としてPbO・B23・SiO2系ガラス
化合物0.1wt%(比較例1)またはNa2O・B23・SiO2
系ガラス化合物5wt%(比較例2)を添加して調製した
厚膜ペーストを用いて作成した試料についての結果も合
わせて示してある。
(実施例2) 実施例1でそれぞれ調製した強誘電性磁器粉末(PbTi
0.48Zr0.523‐1.0wt%Nb25)をガラス化合物(5PbO
・3GeO2)の粉末と第2表に示す組成比で配合し、これ
に有機バインダを2〜3重量%加え20時間混合して造粒
し、プレス成型して1〜1.5mm×10mm×20mmの角板を形
成し、該角板を第2表に示す温度で2時間焼成して磁器
角板を得た。この磁器角板について3点曲げ試験法(支
持点間距離:11mm)により抗折強度を測定した。その結
果も第2表に示す。
(実施例3) 原料としてPb34、TiO2、ZrO2、SnO2、Sb23および
MnO2を用い、仮焼温度を900℃とした以外は実施例1と
同様にして0.05Pb(Sn1/2Sb1/2)O3‐0.47PbTiO3‐0.4
8PbZrO3‐0.7wt%MnO2の組成を有する強誘電性磁器粉末
を調製した。
この強誘電性磁器粉末に、実施例1で調製したxPbO・
yGeO2(x=1〜6,y=1〜3)を第3表に示す割合で添
加すると共に、有機バインダを6〜7wt%加えて20時間
混合した後、ドクターブレード法によりシート成形し、
パンチングして直径10mm厚さ0.1mmの円板を形成し、該
円板を第3表に示す温度で2時間焼成して磁器円板を得
る。得られた磁器円板の両面に銀電極を焼き付け、両電
極間に80℃で3〜4kv/mmの直流電圧を印加して30分間分
極処理を行い磁器圧電体の試料とした。
(比較例3,4) 実施例3において、副成分としてxPbO・yGeO2(x=
1〜6,y=1〜3)の代わりに、5wt%のPbO・B23・S
iO2系ガラス化合物または0.1wt%のNa2O・B23・SiO
2系ガラス化合物を用いた以外は、実施例3と同様にし
て磁器圧電体の試料を得た。
各試料について、比誘電率(εr)、円板の拡がり振
動の電気機械結合係数(Kp)を測定した。その結果を第
3表に示す。
(実施例4) 実施例3で調製した強誘電性磁器粉末(0.05Pb(Sn
1/2Sb1/2)O3‐0.47PbTiO3‐0.48PbZrO3‐0.7wt%Mn
O2)と実施例1で調製したガラス化合物(5PbO・3Ge
O2)の粉末とを用い、実施例2と同様にして磁器角板を
得、その抗折強度を測定した。その結果を、主成分とガ
ラス化合物との配合比および焼成温度と共に、第4表に
示す。
(実施例5) 原料としてPb34、TiO2、ZrO2、MnO2、およびNb25
を用い、実施例3と同様にして、0.05Pb(Mn1/3Nb2/3
3‐0.45PbTiO3‐0.50PbZrO3の組成を有する強誘電性
磁器粉末を調製した。
この強誘電性磁器粉末に実施例1で調製したxPbO・yG
eO2(x=1〜6,y=1〜3)を第5表に示す割合で配合
し、有機バインダを2〜3wt%加えて20時間混合した
後、造粒し、プレス成形して直径15mm厚さ1mmの円板を
形成し、該円板を第5表に示す温度で2時間焼成して磁
器円板を得る。得られた磁器円板の両面に銀電極を焼き
付け、80℃中で両電極間に3〜4kv/mmの直流電圧を印加
して30分間分極処理を行い、磁器圧電体の試料とした。
(比較例5,6) 実施例5の組成において、副成分としてxPbO・yGeO2
(x=1〜6,y=1〜3)代わりに、PbO・B23・SiO2
系ガララス化合物(添加量0.1wt%)またはNa2O・B2
3・SiO2系ガラス化合物(添加量5wt%)を用いた以外
は、実施例5と同様にして磁器圧電体の試料を得た。
各試料について、測定した比誘電率(εr)および円
板の拡がり振動の電気機械結合係数(Kp)の結果を第5
表に示す。
(実施例6) 実施例5で調製した強誘電性磁器粉末(0.05Pb(Mn
1/3Nb2/3)O3‐0.45PbTiO3‐0.50PbZrO3)と実施例1
で調製したガラス化合物(5PbO・3GeO2)の粉末とを用
い、実施例2と同様にして磁器角板を得、その抗折強度
を測定した。その結果を、主成分とガラス化合物との配
合比および焼成温度と共に、第6表に示す。
(実施例7) 原料としてPb34、TiO2、La23、およびMnO2を用
い、仮焼温度を950℃とした以外は実施例1と同様にし
てPb0.85La0.10TiO3‐0.7wt%MnO2の組成を有する強誘
電性磁器粉末を調製した。
この強誘電性磁器粉末に実施例1で調製したxPbO・yG
eO2(x=1〜6,y=1〜3)を第7表に示す割合で配合
し、有機バインダを4〜5wt%加えて20時間混練した
後、押出し成形してグリーンシートを得、これをパンチ
ングして直径10mm厚さ0.5mmの円板を形成し、該円板を
第7表に示す温度で2時間焼成して磁器円板を得た。各
磁器円板の両面に銀電極を焼き付け、両電極間に80℃で
3〜4kv/mmの直流電圧を印加して30分間分極処理を行い
磁器圧電体の試料とした。
(比較例7,8) 実施例7の組成において、副成分として、xPbO・yGeO
2(x=1〜6,y=1〜3)の代わりに、1wt%のPbO・B
23・SiO2系ガララス化合物または10wt%のNa2O・B2
3・SiO2系ガラス化合物を用いた以外は、実施例7と
同様にして磁器圧電体の試料を得た。
各試料について、測定した比誘電率(εr)および円
板の厚み方向の振動の電気機械結合係数(Kt)の結果を
第7表に示す。
(実施例8) 実施例7で調製した強誘電性磁器粉末(Pb0.85La0.10
TiO3‐0.7wt%MnO2)と実施例1で調製したガラス化合
物(5PbO・3GeO2)の粉末とを用い、実施例2と同様に
して磁器角板を得、その抗折強度を測定した。その結果
を、主成分とガラス化合物との配合比および焼成温度と
共に、第8表に示す。
第1表〜第8表の結果から明らかなように、本発明に
係る強誘電性磁器組成物は、副成分を含まない強誘電性
磁器よりも100〜400℃低い焼結温度を有し、かつ、それ
とほぼ同程度のKpおよび比誘電率を示す。また、本発明
に係る強誘電性磁器組成物は、xPbO・yGeO2(x=1〜
6,y=1〜3)の含有量の増加と共に電気機械結合係数
および比誘電率が徐々に低下するが、その度合は、PbO
・B23・SiO2系ガラスやNa2O・B23・SiO2系ガラ
スを含有させた場合に比べ著しく少ない。
(実施例9) 実施例5と同じ原料および方法により0.1Pb(Mn1/3Nb
2/3)O3‐0.52PbTiO3‐0.38PbZrO3の組成を有する強誘
電性磁器粉末を調製した。
この強誘電性磁器粉末に実施例1で調製したxPbO・yG
eO2(x=5,y=3)を第9表に示す割合で配合し、有機
バインダを2〜3wt%加えて20時間混合して造粒した
後、プレス成形して角板を形成し、これを第9表に示す
温度で2時間焼成して一辺が5mmで厚さ0.5mmの磁器角板
を得た。この磁器角板の両面に銀電極を焼き付け、80℃
中で両電極間に3〜4kv/mmの直流電圧を印加して30分間
分極処理を行い、面内に垂直方向に分極された発振子
(共振子)とした。
前記発振子を第1図の発振回路にそれぞれ接続し、発
振周波数455KHzで発振させた。図中、1は発振子、IC1
は反転増幅器、R1は抵抗、CL1、CL2はコンデンサであ
る。前記発振回路で100回動作させたとき、発振周波数4
55KHzから4.5MHzへの異常発振が発生したときの回数を
第9表に示す。
第9表の結果から明らかなように、本発明に係る強誘
電性磁器組成物を用いた発振子では異常発振は全く認め
られなかったが、ガラス化合物(5PbO・3GeO2)を含ま
ない比較例のものでは、第2図に示されるように、厚み
縦振動のスプリアスが生じ4.5MHz付近での異常発振が認
められた。
これは、強誘電性磁器に添加したガラス化合物xPbO・
yGeO2が結晶粒界の強度を高めるだけでなく、発振子と
して利用した場合、主振動に悪影響を与えることなく、
厚み縦振動のスプリアスを低下させるためであると考え
られる。従って、本発明に係る強誘電性磁器組成物は、
基本発振周波数より高い振動の減衰に有利である。な
お、このような結果は、拡がり振動を利用した発振子だ
けでなく、辺振動を利用する発振子等の材料としての強
誘電性磁器組成物についても認められた。
(実施例10) 実施例3と同様にして0.70Pb(Fe1/2Nb1/2)O3‐0.3
0Pb(Fe2/31/3)O3の組成を有する強誘電性磁器粉末
を調製した。
この強誘電性磁器粉末に実施例1で調製したxPbO・yG
eO2(x=5,y=3)を第10表に示す割合で配合し、有機
バインダを2〜3wt%加えて20時間混合して造粒した
後、プレス成形して円板を形成し、これを第10表に示す
温度で2時間焼成して直径10mm、厚さ1.0mmの磁器円板
を得た。この磁器円板の両面に銀電極を焼き付けてコン
デンサを得、その比誘電率を測定した。その結果を第10
表に示す。なお、これらの試料の抗折強度についての測
定結果も同表に示す。
(実施例11) 実施例3と同様にして0.16Pb(Zn1/3Nb2/3)O3‐0.4
8Pb(Fe1/2Nb1/2)O3‐0.36Pb(Fe2/31/3)O3の組
成を有する強誘電性磁器粉末を調製した。
この強誘電性磁器粉末に実施例1で調製したxPbO・yG
eO2(x=5,y=3)を第11表に示す割合で配合し、実施
例10と同様にして直径10mm、厚さ1.0mmの磁器円板を得
た。この磁器円板の両面に銀電極を焼き付けてコンデン
サを得、その比誘電率を測定した。その結果を第11表に
それらの試料の抗折強度についての測定結果と共に示
す。
第10表および第11表の結果から明らかなように、酸化
鉛を含む複合ペロブスカイト系のコンデンサ材料につい
てもxPbO・yGeO2を含有させることにより、誘電率およ
び抗折強度を向上させることができる。
(効果) 以上の説明から明らかなように、本発明によれば、85
0〜1000℃の低い温度で焼結し、しかも、電気機械結合
係数が大きく、比誘電率が大きい強誘電性磁器が得られ
るので、エネルギー変換効率が高い圧電素子を製造でき
る。また、焼結温度が低いため、金属板との一体焼結が
可能となり、一体焼結型のブザーやバイモルフなどの電
歪素子を製造できるだけでなく、焼成時、PbO雰囲気調
節が不要となり、さやや焼成炉の延命化、および省エネ
ルギ化を図ることができるなど、優れた効果が得られ
る。さらに、抗折強度を低下させることがなく、しか
も、発振子に利用した場合に、スプリアスの発生を防止
することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はセラミック発振子を含む発振回路を示す回路
図、第2図は第1図の発振回路での主振動である拡がり
振動とスプリアス振動の厚み縦振動を示す図である。 1……セラミック発振子、IC1……反転増幅器、R1……
抵抗、CL1,CL2……コンデンサ。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鉛酸化物含有強誘電性磁器組成物を主成分
    とし、副成分として一般式:xPbO・yGeO2(x=1〜6,y
    =1〜3)で示されるガラス化合物を0.01〜30重量%含
    有してなる強誘電性磁器組成物。
  2. 【請求項2】前記主成分である鉛酸化物含有強誘電性磁
    器組成物が、チタン酸鉛系磁器組成物、チタン酸ジルコ
    ン酸鉛系磁器組成物、メタニオブ酸鉛系磁器組成物およ
    び鉛含有複合ペロブスカイト系磁器組成物からなる群か
    ら選ばれた少なくとも一種である請求項1〜5のいづれ
    か一項記載の強誘電性磁器組成物。
  3. 【請求項3】強誘電性磁器板と、その表面に形成された
    少なくとも一つの電極からなり、前記強誘電性磁器板
    が、鉛酸化物含有強誘電性磁器組成物を主成分とし、副
    成分として一般式:xPbO・yGeO2(x=1〜6,y=1〜
    3)で示されるガラス化合物を0.01〜30重量%含有して
    なる強誘電性磁器組成物からなることを特徴とする圧電
    素子。
  4. 【請求項4】金属製基板と、該基板上に一体的に積層、
    焼結された強誘電性磁器層からなり、該強誘電性磁器層
    が、鉛酸化物含有強誘電性磁器組成物を主成分とし、副
    成分として一般式:xPbO・yGeO2(x=1〜6,y=1〜
    3)で示されるガラス化合物を0.01〜30重量%含有して
    なる強誘電性磁器組成物であることを特徴とする圧電素
    子。
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