JP3481441B2 - 圧電磁器組成物 - Google Patents
圧電磁器組成物Info
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- JP3481441B2 JP3481441B2 JP35461997A JP35461997A JP3481441B2 JP 3481441 B2 JP3481441 B2 JP 3481441B2 JP 35461997 A JP35461997 A JP 35461997A JP 35461997 A JP35461997 A JP 35461997A JP 3481441 B2 JP3481441 B2 JP 3481441B2
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セラミックフィル
タ、セラミック発振子等に用いる圧電磁器組成物に係
り、特に、表面実装型セラミックフィルタに好適な圧電
磁器組成物に関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年、携帯電話、自動車電話、コードレ
スホン等移動体通信機が急速に普及している。これら移
動体通信機は年々小型化、軽量化されているため、これ
らに使用される電子部品は表面実装型のチップ部品が主
流となっている。表面実装型のチップ部品はリフロー炉
で250℃前後の温度で半田付けされるが、その際の温
度により特性劣化の発生しない電子部品が要求されてい
る。 【0003】従来、セラミックフィルタ等に使用される
圧電素子に用いる材料としては、PbTiO3 −PbZ
rO3 (チタン酸ジルコン酸鉛)の二成分系を主成分と
し、WO3 、Nb2 O5 、Sb2 O3 等種々の酸化物を
副成分として添加することにより圧電特性を改善したも
のが知られている。 【0004】また、特公昭54−28958号公報及び
特公昭54−34479号公報には、PbTiO3 −P
bZrO3 (チタン酸ジルコン酸鉛)の二成分系に、パ
イロクロア型複合酸化物であるBa2 Nb2 O7 もしく
はSr2 Nb2 O7 を加えた三成分系とすることにより
圧電特性を改善した圧電磁器組成物が提案されている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
従来の圧電磁器組成物では、電気機械結合係数krや誘
電率εの大きいものはキュリー温度が200℃以下と低
く、リフローハンダ付着の温度になると急激に脱分極が
発生する。 【0006】そのために、これらの圧電磁器組成物は、
リフロー炉の250℃になる温度においては耐熱性が不
十分であり、表面実装型圧電磁器電子部品材料として用
いるには問題があった。 【0007】本発明の目的は、これを改善するため、耐
熱性に優れ、且つ、電気機械結合係数krが大きい圧電
磁器組成物を提供することである。 【0008】 【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明では、PbTiO3 −PbZrO3 (チタン
酸ジルコン酸鉛)の二成分系において、該組成物として
用いるZrO2 原料形態に着目し、純度、1次粒子の比
表面積値(以下BET値という)及び不純物による影響
を組成比別に検討を行った。 【0009】その結果、下記の組成範囲の圧電磁器組成
物を提供すること及びZrO2 原料の純度及びBET
値を上げること、ZrO2 原料中の不純物を制御する
ことにより該原料の活性度が向上し焼結性が促進され、
かつ良好な特性が得られることを見出した。これにもと
づき、本発明では耐熱性に優れ、且つ、電気機械結合係
数krが大きい圧電磁器組成物を得ることができた。 【0010】 本発明においては、PbA(ZrcTi
1―c)BO3で示される圧電磁器組成物において、A
/B比及びCが、0.96≦A/B≦1.04、0.5
0≦C≦0.55であり、 前記圧電磁器組成物の原料
として用いるZr成分の純度が99.9%以上でBET
値が30m2/g≦BET値≦45m2/gであり、前
記圧電磁器組成物の原料として用いるZr成分の純度が
99.9%以上で不純物が0ppm<Na2O≦50p
pm、60ppm≦SO4≦150ppm、0ppm<
SiO2≦100ppmであるものにより構成された圧
電磁器組成物を提供するものである。 【0011】 【0012】 【0013】チタン酸ジルコン酸鉛組成物のこのような
組成範囲及び該組成物として用いるZrO2 原料形態に
することにより、電気機械結合係数krが十分に大き
く、且つ250℃のリフロー炉における半田付けが可能
な程度の耐熱性を有する圧電磁器組成物を提供すること
ができる。 【0014】 【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を説明す
る。出発原料として酸化鉛(PbO)、酸化ジルコニウ
ム(ZrO2 )、酸化チタン(TiO2 )粉末を使用し
て、その焼結後の組成が表1に示されるように調合し
た。なおZrO2 については、表1に示す如き不純物を
含有するものを使用した。これらをボールミルにて16
時間湿式混合した。これを脱水乾燥後、大気中で850
℃・2時間仮焼きした。その後再びボールミルにて16
時間湿式粉砕し、脱水乾燥した。得られた混合粉末にバ
インダーとしてポリビニルアルコール(PVA)を1重
量%加えて造粒し、成形圧力1000kg/cm2 で直
径16mm、厚さ1mmの円板状の成形体を成形した。
得られた成形体を大気中にて1200℃・2時間焼成し
た。 【0015】ここで、得られた圧電磁器より焼結性を確
認した。所定の温度で焼成した圧電磁器は、両面に銀電
極が形成され、3kv/mmの印加電圧により120℃
のシリコンオイル中で30分の分極処理を行った。そし
て24時間後、それぞれの圧電磁器について、半田槽を
用い耐熱試験(250℃・1分間)を行い、圧電特性
(電気機械的結合係数kr)の劣化の度合いを確認し
た。 【0016】圧電特性については、インピーダンスアナ
ライザーを用いて、共振周波数及び反共振周波数を測定
して計算により求めた。耐熱性の評価方法である電気機
械結合係数kr変化量Δkrは、圧電素子を250℃の
半田槽に1分間浸漬させ、浸漬24時間後に測定した電
気機械結合係数kr1 を半田槽浸漬前の電気機械結合k
r2 と比較した変化量である。 【0017】Δkr(%)={(kr1 −kr2 )/k
r1 }*100 表1に記載された試料の評価は、下記の基準で行った。
焼結性については、1200℃±25℃で焼結が充分な
ものを○とし、焼結が不充分なものを×とした。 【0018】電気機械結合係数krについては、低周波
数(10KHz〜500KHz)において充分な帯域幅
を必要とするためにはkrを56%以上としなければな
らない。 【0019】また、充分な帯域幅がハンダ付けでも確保
するためには電気機械結合係数kr変化量を、±15%
以内でなければならない。このようにして得られた圧電
磁器について測定した結果を表1に示す。 【0020】 【表1】 【0021】なお、この表において試料No.に「*」
が付されたものは本発明の請求範囲外のものであって、
本発明の範囲内のものと比較するための比較側であり、
特に「試料No.13」は本発明と比較するために示し
た従来例である。 【0022】表1より下記のことが明らかである。Pb
A (Zrc Ti1-c )B O3 で示される組成式におい
て、A/Bが0.96よりも小さな場合には、試料N
o.1に示す如く、焼結性が悪く、しかも電気機械結合
係数krは前記56%に達せず低い値であり、しかも2
50℃におけるkr変化量Δkrも前記±15%よりも
大きくなる。 【0023】A/Bが1.04よりも大きな場合には、
試料No.4に示す如く、焼結性が悪く、しかも電気機
械結合係数krは前記56%に達せず低い値であり、し
かもその変化量Δkrも前記±15%よりも大きくな
る。 【0024】Cが0.50よりも小さな場合には、試料
No.5に示す如く、焼結性が悪くしかも電気機械結合
係数krは前記56%に達せず低い値であり、しかもそ
の変化量Δkrも前記±15%よりも大きくなる。 【0025】Cが0.55よりも大きな場合には、試料
No.8に示す如く、焼結性が悪く、しかも電気機械結
合係数krは前記56%に達せず低い値であり、しかも
その変化量Δkrも前記±15%よりも大きくなる。 【0026】ZrO2 の原料の純度が99.9%に達し
ない場合には、試料No.12、No.13に示す如
く、電気機械結合係数krが前記56%に達せず低い値
であり、しかもその変化量Δkrも前記±15%よりも
大きくなる。 【0027】またZrO2 の原料の粉体特性のBET値
が30m2 /g以下の場合には、試料No.9に示す如
く、焼結性が悪く、電気機械結合係数krは前記56%
に達せず低い値であり、しかもこの変化量Δkrも前記
±15%よりも大きくなる。 【0028】そしてこのBET値が45m2 /g以上の
場合には、試料No.11に示す如く、焼結性が良く、
電気機械結合係数krは前記56%以上の大きな値であ
り、しかもこの変化量Δkrも前記±15%以内の値で
ある。ZrO2 の原料のBET値が大きい程焼結性及び
電気機械結合係数krは向上する。実際問題としてBE
T値が46m2 /g以上のものを得ることは製造困難で
ある。 【0029】ZrO2 原料中のNaO2 量が50ppm
より大きな値の場合は、試料No.13、14に示す如
く、電気機械結合係数krが前記56%に達せず低い値
であったり、この変化量Δkrも前記±15%より大き
くなる。 【0030】ZrO2 原料中のSO4 量が60ppmよ
り小さな値の場合は、試料No.16に示す如く、焼結
性が悪く、電気機械結合係数krは前記56%に達せず
低い値であり、しかもこの変化量Δkrも前記±15%
よりも大きい。 【0031】ZrO2 原料中のSO4 量が150ppm
より大きな値の場合は、試料No.13、19に示す如
く、電気機械結合係数krは前記56%に達せず低い値
であり、またこの変化量Δkrも前記±15%より大き
くなる。 【0032】 ZrO2の原料中のSiO2量が100
ppmより大きな値の場合は、試料No.13に示す如
く、電気機械結合係数krが前記56%に達せず低い値
であり、またこの変化量Δkrも前記±15%より大き
くなったり、あるいは試料No.20、21に示す如
く、電気機械結合係数krが高い値であってもkrの変
化量Δkrが±15%よりも大きくなる。SiO2量が
100ppmを超えたとき、焼結性、電気機械結合係数
krを良くしてもその電気機械係数krの変化量Δkr
が大きくなり、両立させることは困難である。 【0033】従って、更に焼結性及び圧電特性を低下さ
せずに耐熱性を向上させるには、使用するZrO2 原料
中の不純物量については、0ppm<Na2 O≦50p
pm、60ppm≦SO4 ≦150ppm、0ppm<
SiO2 ≦100ppmとした。 【0034】図1に示すのは、本発明の実施例である試
料No.23と、比較例として試料No.13の電気機
械結合係数krの変化量と温度との関係を示すグラフで
ある。 【0035】このグラフから明らかなように、従来の圧
電セラミック組成物である試料No.13がリフロー半
田付けが行われる250℃以下の温度である150℃付
近から電気機械結合係数krが急激に低下するのに対し
て、本発明の実施例である試料No.23では電気機械
結合係数krが急激に低下するのは280℃付近からで
ある。 【0036】従って、リフロー半田付けが行われる表面
実装において、従来例である試料No.13は使用する
ことができないのに対して、本発明の実施例である試料
No.23は使用することが可能である。 【0037】このようにして本発明では焼結性がよく、
耐熱性に優れ、かつ電気機械結合係数krが大きい圧電
磁器組成物を得ることができる。 【0038】 【発明の効果】本発明によれば下記の効果が得られる。 (1)PbA (Zrc Ti1-c )B O3 で示される組成
式におけるA/B比及びCが、0.96≦A/B≦1.
04、0.50≦C≦0.55で構成したので、焼結性
が優れた、電気機械結合係数が56%以上と良好で、か
つ250℃における温度変化率も±15%以内というす
ぐれた特性の圧電磁器組成物を得ることができる。 【0039】(2)また組成物の原料として用いるZr
成分の純度が99.9%以上で、粉体特性として30m
2 /g≦BET値≦45m2 /gのものを使用したの
で、これまた焼結性がすぐれた、電気機械結合係数が5
6%以上と良好で、かつ250℃における温度変化率も
±15%以内というすぐれた特性の圧電磁器組成物を得
ることができる。 【0040】(3)さらに組成物の原料として用いるZ
r成分の純度が99.9%以上で不純物が0ppm<N
a2 O≦50ppm、60ppm≦SO4 ≦150pp
m、0ppm<SiO2 ≦100ppmのものを使用し
たので、焼結性がすぐれた、電気機械結合係数が56%
以上と良好で、かつ250℃における温度変化率も±1
5%以内というすぐれた特性の圧電磁器組成物を得るこ
とができる。
タ、セラミック発振子等に用いる圧電磁器組成物に係
り、特に、表面実装型セラミックフィルタに好適な圧電
磁器組成物に関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年、携帯電話、自動車電話、コードレ
スホン等移動体通信機が急速に普及している。これら移
動体通信機は年々小型化、軽量化されているため、これ
らに使用される電子部品は表面実装型のチップ部品が主
流となっている。表面実装型のチップ部品はリフロー炉
で250℃前後の温度で半田付けされるが、その際の温
度により特性劣化の発生しない電子部品が要求されてい
る。 【0003】従来、セラミックフィルタ等に使用される
圧電素子に用いる材料としては、PbTiO3 −PbZ
rO3 (チタン酸ジルコン酸鉛)の二成分系を主成分と
し、WO3 、Nb2 O5 、Sb2 O3 等種々の酸化物を
副成分として添加することにより圧電特性を改善したも
のが知られている。 【0004】また、特公昭54−28958号公報及び
特公昭54−34479号公報には、PbTiO3 −P
bZrO3 (チタン酸ジルコン酸鉛)の二成分系に、パ
イロクロア型複合酸化物であるBa2 Nb2 O7 もしく
はSr2 Nb2 O7 を加えた三成分系とすることにより
圧電特性を改善した圧電磁器組成物が提案されている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
従来の圧電磁器組成物では、電気機械結合係数krや誘
電率εの大きいものはキュリー温度が200℃以下と低
く、リフローハンダ付着の温度になると急激に脱分極が
発生する。 【0006】そのために、これらの圧電磁器組成物は、
リフロー炉の250℃になる温度においては耐熱性が不
十分であり、表面実装型圧電磁器電子部品材料として用
いるには問題があった。 【0007】本発明の目的は、これを改善するため、耐
熱性に優れ、且つ、電気機械結合係数krが大きい圧電
磁器組成物を提供することである。 【0008】 【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明では、PbTiO3 −PbZrO3 (チタン
酸ジルコン酸鉛)の二成分系において、該組成物として
用いるZrO2 原料形態に着目し、純度、1次粒子の比
表面積値(以下BET値という)及び不純物による影響
を組成比別に検討を行った。 【0009】その結果、下記の組成範囲の圧電磁器組成
物を提供すること及びZrO2 原料の純度及びBET
値を上げること、ZrO2 原料中の不純物を制御する
ことにより該原料の活性度が向上し焼結性が促進され、
かつ良好な特性が得られることを見出した。これにもと
づき、本発明では耐熱性に優れ、且つ、電気機械結合係
数krが大きい圧電磁器組成物を得ることができた。 【0010】 本発明においては、PbA(ZrcTi
1―c)BO3で示される圧電磁器組成物において、A
/B比及びCが、0.96≦A/B≦1.04、0.5
0≦C≦0.55であり、 前記圧電磁器組成物の原料
として用いるZr成分の純度が99.9%以上でBET
値が30m2/g≦BET値≦45m2/gであり、前
記圧電磁器組成物の原料として用いるZr成分の純度が
99.9%以上で不純物が0ppm<Na2O≦50p
pm、60ppm≦SO4≦150ppm、0ppm<
SiO2≦100ppmであるものにより構成された圧
電磁器組成物を提供するものである。 【0011】 【0012】 【0013】チタン酸ジルコン酸鉛組成物のこのような
組成範囲及び該組成物として用いるZrO2 原料形態に
することにより、電気機械結合係数krが十分に大き
く、且つ250℃のリフロー炉における半田付けが可能
な程度の耐熱性を有する圧電磁器組成物を提供すること
ができる。 【0014】 【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を説明す
る。出発原料として酸化鉛(PbO)、酸化ジルコニウ
ム(ZrO2 )、酸化チタン(TiO2 )粉末を使用し
て、その焼結後の組成が表1に示されるように調合し
た。なおZrO2 については、表1に示す如き不純物を
含有するものを使用した。これらをボールミルにて16
時間湿式混合した。これを脱水乾燥後、大気中で850
℃・2時間仮焼きした。その後再びボールミルにて16
時間湿式粉砕し、脱水乾燥した。得られた混合粉末にバ
インダーとしてポリビニルアルコール(PVA)を1重
量%加えて造粒し、成形圧力1000kg/cm2 で直
径16mm、厚さ1mmの円板状の成形体を成形した。
得られた成形体を大気中にて1200℃・2時間焼成し
た。 【0015】ここで、得られた圧電磁器より焼結性を確
認した。所定の温度で焼成した圧電磁器は、両面に銀電
極が形成され、3kv/mmの印加電圧により120℃
のシリコンオイル中で30分の分極処理を行った。そし
て24時間後、それぞれの圧電磁器について、半田槽を
用い耐熱試験(250℃・1分間)を行い、圧電特性
(電気機械的結合係数kr)の劣化の度合いを確認し
た。 【0016】圧電特性については、インピーダンスアナ
ライザーを用いて、共振周波数及び反共振周波数を測定
して計算により求めた。耐熱性の評価方法である電気機
械結合係数kr変化量Δkrは、圧電素子を250℃の
半田槽に1分間浸漬させ、浸漬24時間後に測定した電
気機械結合係数kr1 を半田槽浸漬前の電気機械結合k
r2 と比較した変化量である。 【0017】Δkr(%)={(kr1 −kr2 )/k
r1 }*100 表1に記載された試料の評価は、下記の基準で行った。
焼結性については、1200℃±25℃で焼結が充分な
ものを○とし、焼結が不充分なものを×とした。 【0018】電気機械結合係数krについては、低周波
数(10KHz〜500KHz)において充分な帯域幅
を必要とするためにはkrを56%以上としなければな
らない。 【0019】また、充分な帯域幅がハンダ付けでも確保
するためには電気機械結合係数kr変化量を、±15%
以内でなければならない。このようにして得られた圧電
磁器について測定した結果を表1に示す。 【0020】 【表1】 【0021】なお、この表において試料No.に「*」
が付されたものは本発明の請求範囲外のものであって、
本発明の範囲内のものと比較するための比較側であり、
特に「試料No.13」は本発明と比較するために示し
た従来例である。 【0022】表1より下記のことが明らかである。Pb
A (Zrc Ti1-c )B O3 で示される組成式におい
て、A/Bが0.96よりも小さな場合には、試料N
o.1に示す如く、焼結性が悪く、しかも電気機械結合
係数krは前記56%に達せず低い値であり、しかも2
50℃におけるkr変化量Δkrも前記±15%よりも
大きくなる。 【0023】A/Bが1.04よりも大きな場合には、
試料No.4に示す如く、焼結性が悪く、しかも電気機
械結合係数krは前記56%に達せず低い値であり、し
かもその変化量Δkrも前記±15%よりも大きくな
る。 【0024】Cが0.50よりも小さな場合には、試料
No.5に示す如く、焼結性が悪くしかも電気機械結合
係数krは前記56%に達せず低い値であり、しかもそ
の変化量Δkrも前記±15%よりも大きくなる。 【0025】Cが0.55よりも大きな場合には、試料
No.8に示す如く、焼結性が悪く、しかも電気機械結
合係数krは前記56%に達せず低い値であり、しかも
その変化量Δkrも前記±15%よりも大きくなる。 【0026】ZrO2 の原料の純度が99.9%に達し
ない場合には、試料No.12、No.13に示す如
く、電気機械結合係数krが前記56%に達せず低い値
であり、しかもその変化量Δkrも前記±15%よりも
大きくなる。 【0027】またZrO2 の原料の粉体特性のBET値
が30m2 /g以下の場合には、試料No.9に示す如
く、焼結性が悪く、電気機械結合係数krは前記56%
に達せず低い値であり、しかもこの変化量Δkrも前記
±15%よりも大きくなる。 【0028】そしてこのBET値が45m2 /g以上の
場合には、試料No.11に示す如く、焼結性が良く、
電気機械結合係数krは前記56%以上の大きな値であ
り、しかもこの変化量Δkrも前記±15%以内の値で
ある。ZrO2 の原料のBET値が大きい程焼結性及び
電気機械結合係数krは向上する。実際問題としてBE
T値が46m2 /g以上のものを得ることは製造困難で
ある。 【0029】ZrO2 原料中のNaO2 量が50ppm
より大きな値の場合は、試料No.13、14に示す如
く、電気機械結合係数krが前記56%に達せず低い値
であったり、この変化量Δkrも前記±15%より大き
くなる。 【0030】ZrO2 原料中のSO4 量が60ppmよ
り小さな値の場合は、試料No.16に示す如く、焼結
性が悪く、電気機械結合係数krは前記56%に達せず
低い値であり、しかもこの変化量Δkrも前記±15%
よりも大きい。 【0031】ZrO2 原料中のSO4 量が150ppm
より大きな値の場合は、試料No.13、19に示す如
く、電気機械結合係数krは前記56%に達せず低い値
であり、またこの変化量Δkrも前記±15%より大き
くなる。 【0032】 ZrO2の原料中のSiO2量が100
ppmより大きな値の場合は、試料No.13に示す如
く、電気機械結合係数krが前記56%に達せず低い値
であり、またこの変化量Δkrも前記±15%より大き
くなったり、あるいは試料No.20、21に示す如
く、電気機械結合係数krが高い値であってもkrの変
化量Δkrが±15%よりも大きくなる。SiO2量が
100ppmを超えたとき、焼結性、電気機械結合係数
krを良くしてもその電気機械係数krの変化量Δkr
が大きくなり、両立させることは困難である。 【0033】従って、更に焼結性及び圧電特性を低下さ
せずに耐熱性を向上させるには、使用するZrO2 原料
中の不純物量については、0ppm<Na2 O≦50p
pm、60ppm≦SO4 ≦150ppm、0ppm<
SiO2 ≦100ppmとした。 【0034】図1に示すのは、本発明の実施例である試
料No.23と、比較例として試料No.13の電気機
械結合係数krの変化量と温度との関係を示すグラフで
ある。 【0035】このグラフから明らかなように、従来の圧
電セラミック組成物である試料No.13がリフロー半
田付けが行われる250℃以下の温度である150℃付
近から電気機械結合係数krが急激に低下するのに対し
て、本発明の実施例である試料No.23では電気機械
結合係数krが急激に低下するのは280℃付近からで
ある。 【0036】従って、リフロー半田付けが行われる表面
実装において、従来例である試料No.13は使用する
ことができないのに対して、本発明の実施例である試料
No.23は使用することが可能である。 【0037】このようにして本発明では焼結性がよく、
耐熱性に優れ、かつ電気機械結合係数krが大きい圧電
磁器組成物を得ることができる。 【0038】 【発明の効果】本発明によれば下記の効果が得られる。 (1)PbA (Zrc Ti1-c )B O3 で示される組成
式におけるA/B比及びCが、0.96≦A/B≦1.
04、0.50≦C≦0.55で構成したので、焼結性
が優れた、電気機械結合係数が56%以上と良好で、か
つ250℃における温度変化率も±15%以内というす
ぐれた特性の圧電磁器組成物を得ることができる。 【0039】(2)また組成物の原料として用いるZr
成分の純度が99.9%以上で、粉体特性として30m
2 /g≦BET値≦45m2 /gのものを使用したの
で、これまた焼結性がすぐれた、電気機械結合係数が5
6%以上と良好で、かつ250℃における温度変化率も
±15%以内というすぐれた特性の圧電磁器組成物を得
ることができる。 【0040】(3)さらに組成物の原料として用いるZ
r成分の純度が99.9%以上で不純物が0ppm<N
a2 O≦50ppm、60ppm≦SO4 ≦150pp
m、0ppm<SiO2 ≦100ppmのものを使用し
たので、焼結性がすぐれた、電気機械結合係数が56%
以上と良好で、かつ250℃における温度変化率も±1
5%以内というすぐれた特性の圧電磁器組成物を得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧電磁器組成物と従来例の温度に対す
る電気機械結合係数krの変化量を示す。
る電気機械結合係数krの変化量を示す。
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(56)参考文献 特開 平6−112542(JP,A)
特開 昭62−241870(JP,A)
特開 平8−268756(JP,A)
特開 昭60−51664(JP,A)
特開 昭57−106524(JP,A)
圧電セラミックスとその応用,電波新
聞社,1974年 4月15日,p.98
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C04B 35/49
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】その組成が組成式PbA(ZrcTi
1―c)BO3で示される圧電磁器組成物において、 0.96≦A/B≦1.04 0.50≦C≦0.55であり、 前記圧電磁器組成物の原料として用いるZr成分の純度
が99.9%以上で、粉体特性の1次粒子の比表面積値
BET値が 30m2/g≦BET値≦45m2/g であり、 前記圧電磁器組成物の原料として用いるZr成分の純度
が99.9%以上で、不純物が、 0ppm<Na2O≦50ppm 60ppm≦SO4≦150ppm 0ppm<SiO2≦100ppm であることを特徴とする圧電磁器組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP35461997A JP3481441B2 (ja) | 1997-12-24 | 1997-12-24 | 圧電磁器組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP35461997A JP3481441B2 (ja) | 1997-12-24 | 1997-12-24 | 圧電磁器組成物 |
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JPH11180770A JPH11180770A (ja) | 1999-07-06 |
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CN115557784B (zh) * | 2022-07-20 | 2023-07-11 | 中国科学院上海硅酸盐研究所 | 一种mzta陶瓷材料及其制备方法和应用 |
-
1997
- 1997-12-24 JP JP35461997A patent/JP3481441B2/ja not_active Expired - Fee Related
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圧電セラミックスとその応用,電波新聞社,1974年 4月15日,p.98 |
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JPH11180770A (ja) | 1999-07-06 |
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