JP3550918B2 - 圧電磁器組成物 - Google Patents
圧電磁器組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3550918B2 JP3550918B2 JP31325596A JP31325596A JP3550918B2 JP 3550918 B2 JP3550918 B2 JP 3550918B2 JP 31325596 A JP31325596 A JP 31325596A JP 31325596 A JP31325596 A JP 31325596A JP 3550918 B2 JP3550918 B2 JP 3550918B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- piezoelectric ceramic
- ceramic composition
- thickness
- temperature
- change
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に厚みすべりモード共振を利用した発振子、フィルタなどに適した圧電磁器組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より圧電磁器組成物としては、チタン酸バリウム磁器、ジルコン酸チタン酸鉛磁器、マグネシウムニオブ酸チタン酸ジルコン酸鉛磁器、および亜鉛ニオブ酸チタン酸ジルコン酸鉛磁器などがあり、使用目的に応じて種々の改良がなされてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
発振子、フィルタなどに用いる圧電磁器組成物はエネルギー、環境問題および電気特性のばらつき低減の観点から、できるだけ低温での焼成が可能で、かつ表面実装タイプのチップ部品に対応するため、半田付け実装温度に耐えうる耐熱性が要求されている。
【0004】
従来の圧電磁器組成物を用いて発振子やフィルタを形成する場合高い焼成温度を必要とするので、ひずみも大きくなっており、この様に大きなひずみを持った状態のものが、その後の温度サイクルによりひずみが緩和される状態となる結果、共振周波数が大きく変化するという問題点を有していた。
【0005】
そこで本発明は、温度サイクルによる共振周波数の変化が小さい圧電磁器組成物を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明の圧電磁器組成物は、一般式(化2)で表される主成分に対し、副成分として0.05〜0.40重量%のCr2O3を含有させてなることを特徴とするものであり、従来より低い温度で焼成することができるのでひずみが小さくなり、この結果として上記目的を達成することができる。
【0007】
【化2】
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、一般式(化3)で表される主成分に対し、副成分として0.05〜0.40重量%のCr2O3を含有させてなることを特徴とする圧電磁器組成物であり、比較的低温での焼成が可能で、電気機械結合係数k15が大きく、またその変化率の小さい、つまりひずみが小さいものであり、温度サイクルによる共振周波数変化の小さい発振子やフィルタ等を得ることができる。
【0009】
【化3】
【0010】
【実施例】
以下本発明の一実施例について図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は本発明の一実施例における厚みすべり振動共振子の斜視図であり、圧電磁器1の上、下両面に共振電極2を形成したものである。
【0012】
まず、原料としてPbO,TiO2,ZrO2,ZnO,Nb2O5,MnO,Sb2O3,Cr2O3を(表1)の組成となるように正確に秤量し、ボールミルによりよく混合した。
【0013】
【表1】
【0014】
なお、原料はこれらの化合物のみに限られるものでなく、化学反応により上記の酸化物を生成するものであれば他の化合物を使用しても良い。
【0015】
次に前記混合物を850℃の温度で仮焼し、さらにボールミルにより粉砕した。次いで、これを乾燥し、結合剤としてのポリビニールアルコール水溶液を加え、造粒した後、1ton/cm2の圧力で加圧成形し、縦50mm、横45mm、高さ10mmの成形体を得た。その後、得られた成形体を閉炉中で1150〜1290℃の温度で1時間焼成し、得られた圧電磁器より、図1に示す厚みすべり振動共振子を以下のようにして作成した。
【0016】
まず矩形板状の圧電磁器をラッピングにより、厚みを5mmとした後、両面に銀電極を焼き付け、100℃のシリコンオイル中で3kV/mmの直流電界を30分間印加して分極処理した。次にこの圧電磁器を厚み方向に0.5mmの厚みにスライスした後、0.05μmCr−1μmAuの二層蒸着膜よりなる共振電極2を上、下両面に形成し、分極方向にダイシングすることにより、図1に示した縦1.0mm、横5.0mm、厚み0.5mmの矩形板状の厚みすべり振動共振子を得た。
【0017】
このようにして得た試料について、密度ρ、誘電率(外1)、電気機械結合係数k15を測定した。
【0018】
【外1】
【0019】
耐熱性は、厚みすべり振動共振子を280℃のホットプレート上で1分間保持し、k15の変化率を測定した。k15値が0.4以上、k15変化率が−5%以下のもの(k15変化率の絶対値が5%以下のもの)を耐熱性良好と判定した。これらの測定結果は、磁器焼成温度(密度最大)とともに(表1)にまとめた。温度サイクル(外2)前後での共振周波数の変動((fr−fr0)/fr0の値;%)も上記厚みすべり振動共振子により測定し(表1)に示した。
【0020】
【外2】
【0021】
共振周波数変動については、0.3%以下のものを良品と判定した。
以下本実施例について(表1)を参照しながら説明する。
【0022】
(表1)によると、α<1.0の場合、焼成温度が1250℃以上と高いが、これは焼結反応における液層生成量が減少し、焼結性が低下したためである。またα>1.06の場合、電気機械結合係数k15が0.40以下まで低下するが、これは過剰のPbOがガラス成分となって焼結体中に残留したためである。
【0023】
従ってαは1.0≦α≦1.06の範囲に限定した。
またA<0.08では圧電性が低く(k15<0.4),A>0.28では耐熱性が低下するため、Aは0.08≦A≦0.28の範囲に限定した。
【0024】
更にB<0.05では、温度サイクルによる共振周波数変化率が0.3%以上と大きく、B>0.15では圧電性が低下する(k15<0.4)ため、Bの範囲は0.05≦B≦0.15に限定した。
【0025】
またC<0.15では焼結性および圧電性が低下する(k15<0.4)ため、C>0.49では焼結性が低下するため、Cは0.15≦C≦0.49の範囲に限定した。
【0026】
Dについては、A+B+C+D=1なる条件下でA,B,Cを上記範囲に限定した場合、必然的に0.08≦D≦0.72の範囲に限定される。
【0027】
Cr2O3の添加量については0.05重量%より少ない場合、温度サイクルによる共振周波数変化率が0.3%以上と大きくなり、0.40重量%より多い場合、圧電性が低下する(k15<0.4)ため本発明の範囲から除外した。
【0028】
【発明の効果】
以上のように本発明は比較的低温での焼成が可能で、電気機械結合係数が大きくまたその変化率の小さい、つまりひずみの少ないものであるので厚みすべり共振を利用した発振子、フィルタ等を作製した場合、温度サイクルによる共振周波数変化を小さくすることができる。
【0029】
また、本発明の圧電磁器組成物は280℃近傍の半田付実装温度でも電気特性劣化の小さいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における厚みすべり振動共振子の斜視図
【符号の説明】
1 圧電磁器
2 共振電極
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に厚みすべりモード共振を利用した発振子、フィルタなどに適した圧電磁器組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より圧電磁器組成物としては、チタン酸バリウム磁器、ジルコン酸チタン酸鉛磁器、マグネシウムニオブ酸チタン酸ジルコン酸鉛磁器、および亜鉛ニオブ酸チタン酸ジルコン酸鉛磁器などがあり、使用目的に応じて種々の改良がなされてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
発振子、フィルタなどに用いる圧電磁器組成物はエネルギー、環境問題および電気特性のばらつき低減の観点から、できるだけ低温での焼成が可能で、かつ表面実装タイプのチップ部品に対応するため、半田付け実装温度に耐えうる耐熱性が要求されている。
【0004】
従来の圧電磁器組成物を用いて発振子やフィルタを形成する場合高い焼成温度を必要とするので、ひずみも大きくなっており、この様に大きなひずみを持った状態のものが、その後の温度サイクルによりひずみが緩和される状態となる結果、共振周波数が大きく変化するという問題点を有していた。
【0005】
そこで本発明は、温度サイクルによる共振周波数の変化が小さい圧電磁器組成物を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明の圧電磁器組成物は、一般式(化2)で表される主成分に対し、副成分として0.05〜0.40重量%のCr2O3を含有させてなることを特徴とするものであり、従来より低い温度で焼成することができるのでひずみが小さくなり、この結果として上記目的を達成することができる。
【0007】
【化2】
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、一般式(化3)で表される主成分に対し、副成分として0.05〜0.40重量%のCr2O3を含有させてなることを特徴とする圧電磁器組成物であり、比較的低温での焼成が可能で、電気機械結合係数k15が大きく、またその変化率の小さい、つまりひずみが小さいものであり、温度サイクルによる共振周波数変化の小さい発振子やフィルタ等を得ることができる。
【0009】
【化3】
【0010】
【実施例】
以下本発明の一実施例について図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は本発明の一実施例における厚みすべり振動共振子の斜視図であり、圧電磁器1の上、下両面に共振電極2を形成したものである。
【0012】
まず、原料としてPbO,TiO2,ZrO2,ZnO,Nb2O5,MnO,Sb2O3,Cr2O3を(表1)の組成となるように正確に秤量し、ボールミルによりよく混合した。
【0013】
【表1】
【0014】
なお、原料はこれらの化合物のみに限られるものでなく、化学反応により上記の酸化物を生成するものであれば他の化合物を使用しても良い。
【0015】
次に前記混合物を850℃の温度で仮焼し、さらにボールミルにより粉砕した。次いで、これを乾燥し、結合剤としてのポリビニールアルコール水溶液を加え、造粒した後、1ton/cm2の圧力で加圧成形し、縦50mm、横45mm、高さ10mmの成形体を得た。その後、得られた成形体を閉炉中で1150〜1290℃の温度で1時間焼成し、得られた圧電磁器より、図1に示す厚みすべり振動共振子を以下のようにして作成した。
【0016】
まず矩形板状の圧電磁器をラッピングにより、厚みを5mmとした後、両面に銀電極を焼き付け、100℃のシリコンオイル中で3kV/mmの直流電界を30分間印加して分極処理した。次にこの圧電磁器を厚み方向に0.5mmの厚みにスライスした後、0.05μmCr−1μmAuの二層蒸着膜よりなる共振電極2を上、下両面に形成し、分極方向にダイシングすることにより、図1に示した縦1.0mm、横5.0mm、厚み0.5mmの矩形板状の厚みすべり振動共振子を得た。
【0017】
このようにして得た試料について、密度ρ、誘電率(外1)、電気機械結合係数k15を測定した。
【0018】
【外1】
【0019】
耐熱性は、厚みすべり振動共振子を280℃のホットプレート上で1分間保持し、k15の変化率を測定した。k15値が0.4以上、k15変化率が−5%以下のもの(k15変化率の絶対値が5%以下のもの)を耐熱性良好と判定した。これらの測定結果は、磁器焼成温度(密度最大)とともに(表1)にまとめた。温度サイクル(外2)前後での共振周波数の変動((fr−fr0)/fr0の値;%)も上記厚みすべり振動共振子により測定し(表1)に示した。
【0020】
【外2】
【0021】
共振周波数変動については、0.3%以下のものを良品と判定した。
以下本実施例について(表1)を参照しながら説明する。
【0022】
(表1)によると、α<1.0の場合、焼成温度が1250℃以上と高いが、これは焼結反応における液層生成量が減少し、焼結性が低下したためである。またα>1.06の場合、電気機械結合係数k15が0.40以下まで低下するが、これは過剰のPbOがガラス成分となって焼結体中に残留したためである。
【0023】
従ってαは1.0≦α≦1.06の範囲に限定した。
またA<0.08では圧電性が低く(k15<0.4),A>0.28では耐熱性が低下するため、Aは0.08≦A≦0.28の範囲に限定した。
【0024】
更にB<0.05では、温度サイクルによる共振周波数変化率が0.3%以上と大きく、B>0.15では圧電性が低下する(k15<0.4)ため、Bの範囲は0.05≦B≦0.15に限定した。
【0025】
またC<0.15では焼結性および圧電性が低下する(k15<0.4)ため、C>0.49では焼結性が低下するため、Cは0.15≦C≦0.49の範囲に限定した。
【0026】
Dについては、A+B+C+D=1なる条件下でA,B,Cを上記範囲に限定した場合、必然的に0.08≦D≦0.72の範囲に限定される。
【0027】
Cr2O3の添加量については0.05重量%より少ない場合、温度サイクルによる共振周波数変化率が0.3%以上と大きくなり、0.40重量%より多い場合、圧電性が低下する(k15<0.4)ため本発明の範囲から除外した。
【0028】
【発明の効果】
以上のように本発明は比較的低温での焼成が可能で、電気機械結合係数が大きくまたその変化率の小さい、つまりひずみの少ないものであるので厚みすべり共振を利用した発振子、フィルタ等を作製した場合、温度サイクルによる共振周波数変化を小さくすることができる。
【0029】
また、本発明の圧電磁器組成物は280℃近傍の半田付実装温度でも電気特性劣化の小さいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における厚みすべり振動共振子の斜視図
【符号の説明】
1 圧電磁器
2 共振電極
Claims (1)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31325596A JP3550918B2 (ja) | 1996-11-25 | 1996-11-25 | 圧電磁器組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31325596A JP3550918B2 (ja) | 1996-11-25 | 1996-11-25 | 圧電磁器組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10158061A JPH10158061A (ja) | 1998-06-16 |
JP3550918B2 true JP3550918B2 (ja) | 2004-08-04 |
Family
ID=18039006
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP31325596A Expired - Fee Related JP3550918B2 (ja) | 1996-11-25 | 1996-11-25 | 圧電磁器組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3550918B2 (ja) |
-
1996
- 1996-11-25 JP JP31325596A patent/JP3550918B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10158061A (ja) | 1998-06-16 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2000103674A (ja) | 圧電磁器組成物およびその製造方法 | |
JP4449331B2 (ja) | 圧電磁器およびそれを用いた圧電磁器素子 | |
JPH09169566A (ja) | 圧電体磁器組成物 | |
JP2005119945A (ja) | 圧電磁器組成物 | |
JP3550918B2 (ja) | 圧電磁器組成物 | |
JPH09132456A (ja) | 圧電磁器 | |
JPH06263535A (ja) | 圧電磁器 | |
JPH11209176A (ja) | 圧電磁器組成物およびその製造方法 | |
JPH0648825A (ja) | ビスマス層状化合物 | |
JPH11322420A (ja) | 圧電磁器組成物およびその製造方法 | |
JP3587557B2 (ja) | 高周波用圧電フィルタ磁器組成物 | |
JPH09221359A (ja) | 圧電磁器組成物 | |
JPH11100264A (ja) | 圧電磁器組成物およびその製造方法 | |
JP2910338B2 (ja) | 圧電性磁器組成物 | |
JP3097217B2 (ja) | 圧電磁器組成物 | |
JPH11322419A (ja) | 圧電磁器組成物およびその製造方法 | |
JP3106508B2 (ja) | 圧電性磁器組成物 | |
JP3106507B2 (ja) | 圧電性磁器組成物 | |
JP2910340B2 (ja) | 圧電性磁器組成物 | |
JP2910339B2 (ja) | 圧電磁器組成物 | |
JPH10158062A (ja) | 圧電磁器組成物 | |
JPH10291856A (ja) | 圧電磁器組成物およびこれを用いた圧電磁器の製造方法 | |
JPH06252468A (ja) | 圧電磁器 | |
JPH08333158A (ja) | 圧電磁器組成物とこれを用いた圧電共振子の製造方法 | |
JPH05221717A (ja) | 圧電磁器組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20040330 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20040412 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090514 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100514 Year of fee payment: 6 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |