JP2680035B2 - プラスチック製の一体スナップヒンジ付き蓋 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は下方部分およびキャップを備え、各部分がケ
ーシング壁を有するプラスチック製の一体スナップヒン
ジ蓋に関するものである。蓋の閉鎖状態において、これ
らのケーシング壁は同じ高さで垂直に上下に重なってい
る。下方部分は少くとも一つのフィルムヒンジならびに
前記フィルムヒンジの両側に設置された二つの引張りバ
ンドによって連結され、前記バンドは蓋の閉鎖状態にお
いて伸長する。

（従来の技術） 上記一般の形式のスナップヒンジ蓋は、たとえば、ヨ
ーロッパ特許第0147423号によって公知である。従来技
術の特許における引張りバンドは一般的に外側にケーシ
ング面上に設けられ、プラスチック性の蓋と交差する平
面内に設けられている。これらの蓋は、それらの作用方
法、強度および閉鎖力の観点から考えて優れたものであ
ることが知られている。

（発明が解決しようとする課題） しかしながら、市場において欠点とされることは、ま
ず第一にその美的外観ならびにびん詰工場における施蓋
の可能性である。突出する引張りバンドはコンベヤベル
ト上の障害物となる。

第２の問題点に対する解決法はヨーロッパ特許第0594
69号に開示されている。この場合、引張りバンドに代え
て、作業はフィルムヒンジ継手の横方向に設けられた中
間要素によって実施され、中間要素は壁が厚く、フィル
ムヒンジによって下方部分またはキャップに連結され
た。スナップ効果を奏するのに要する力は中間要素の縦
方向伸長によっては発生されず、むしろアーチ型の中間
要素の再生力によって発生される。蓋の開閉に生ずる引
張り力は、それを介して中間要素がキャップまたは下方
部分に連結されるフィルムヒンジによって発生する。枢
着軸線を形成するフィルムヒンジは蓋の解放時圧縮され
る。フィルムヒンジの圧縮力に問題ないにしても、引張
り力はフィルムヒンジに大きい危険をもたらす。もし引
張り力が正確にフィルムヒンジの軸線に垂直な方向に加
えられるならば、抵抗力はなお比較的大きい。しかしな
がら、ヨーロッパ特許第056469号におけるように、フィ
ルムヒンジの斜めの位置においては、前記修正力は確実
なものでない。その結果フィルムヒンジの一側において
過大な膨張が切欠き効果を現しフィルムヒンジを引裂
く。

フィルムヒンジの区域における材料の厚さはわずかに
0.1mmから0.2mmにすぎない。このことは、成形工程のた
め、フィルムヒンジの巨大分子の方向性配置を生ずる。
巨大分子が方向性をもって配置される部分において、前
進方向に対して横方向にわずかに複合されるこれらの力
は、上記発明の実施の際に出現する。この点に関して、
ほぼ0.5mmないし0.8mmの材料の厚さは４倍ないし５倍大
きい。成形工程中の巨大分子の方向性配列は、ここでは
起らない。引張りバンドに加わる力の作用方向は本質的
なものではない。さらに、材料がつねに下方部分からキ
ャップ内に流れる、射出成形用型の開口の大きさは成形
工程の時間サイクルを決定する。

本発明者は多くの実験、計測を通じて上記知識を得
た。そして上記成形型の問題を回避しうる上記型のプラ
スチック製ヒンジを創造する研究を開始した。

（課題を解決するための手段および作用） 本発明は、引張りバンドをケーシングの壁の凹所に設
けることによって上記問題点を解決するもので、引張り
バンドはそれらの全長に亘って少くともほぼ均一な断面
を有し、閉鎖位置においてそれらの最外端をケーシング
壁の外面と整合する。引張りバンドを取付ける装置をケ
ーシングの壁の凹所の基部に一体に形成しかつ円くする
ことができる。一実施例において、条片状引張りバンド
がフィルムヒンジの両側に設置され、各引張りバンドは
凹んだ基礎面の傾斜上に設けられたフィルムヒンジに近
い条片型引張りバンドの側面はフィルムヒンジから離れ
ている方の側面より短い。そのような実施例において、
引張りバンドの断面積はほぼ四辺形で、一方他の実施例
においては、引張りバンドの断面形状は少くとも一側に
おいて凸状Ｕ字型とされるか、または引張りバンドはい
くつかの部分引張りバンドに分割することができる。

以下、本発明の目的を達成する一実施例を図面に基づ
いて下記に説明する。

（実施例） 図面において、一体スナップヒンジ付き蓋の下方部分
は符号１で示され、それに連結された上方部分は符号２
で示されている。スナップヒンジは図示の形式では蓋と
一体である。しかしながら、明らかに本発明によるヒン
ジはまた、とくに、一体に形成されるプラスチック製箱
およびケースのようないかなる型式の容器に対しても一
体とすることができる。図示の本発明実施例は、その下
方部分１が管Ｔに取付けられる蓋である。上方部分２は
この場合キャップである。蓋の部分１および２は、周囲
のケーシングの壁に沿って短い距離だけ突出する通常の
フィルムヒンジ３によって互いに連結されている。下方
部分１のケーシング壁４およびキャップまたは上方部分
２のケーシング壁５は、上下に垂直に整合している。蓋
の開放を容易にするのに役立つ凹み８が、フィルムヒン
ジの反対側に上下部分に設けられている。フィルムヒン
ジ３の左側および右側には、両方の引張りバンド６がほ
とんど端部だけ見えている。それらはケーシング壁４お
よび５と一体にされ、横方向端部７だけが見えている。
引張りバンド６の外面は、僅かにひろがっていることを
除いて、上下部分１、２のケーシング面と整合してい
る。

第４図には、第１図ないし第３図による蓋のスナップ
ヒンジと同じ実施例が、完全に開放した位置で拡大され
ている。下方部分１は上方部分２と下方部分１との接合
平面Ｅ上方に立上がる頂面９を有し、また上方に円錐状
に延びる出口10を有する。引張りバンド６はこの位置で
は引張られておらず、アーチ形をなしている。引張りバ
ンドが湾曲したケーシング面の周囲にあるため、引張り
バンドは、フィルムヒンジに近い部分において、フィル
ムヒンジから一層離れた部分よりも一層鋭く湾曲してい
る。しかして引張りバンドは横方向から見て二重アーチ
状をなしている。また、第４図の蓋の上方から見たとこ
ろを示す第５図によれば、ヒンジのこの位置においてア
ーチ形である引張りバンド６の半径は、フィルムヒンジ
３の近くで小さくフィルムヒンジ３から遠くで大きい。
第７図に示された詳細図には、第５図のＣ−Ｃ線に沿う
断面図が示されている。

第５図によれば、上方部分またはキャップは下方また
は内側から見ることができ、また下方部分は上方から見
ることができ、引張りバンドが固定される凹所11も同様
に見ることができる。キャップまたは上方部分２の凹所
はケーシング壁５を貫通していないで、むしろ最小必要
な壁厚を残し、蓋の閉鎖位置で上方部分および下方部分
はケーシング壁の全周上で互いに接触する。このことは
かなり重要であり、それは公知の型のプラスチック部分
が静電気によって強く荷電されるからである。そのた
め、完全には閉鎖していない蓋において、ごみ粒子が多
分存在する溝を通って磁気的に内部に吸引され、目に見
える汚れを生ずる。凹所11の基部表面は接合平面Ｅに対
して平行または傾斜している。この場合、勿論、引張り
バンド６はそれぞれ枢着軸線すなわちフィルムヒンジ３
から離れる程長くなければならない。したがって、凹所
の基部はフィルムヒンジからの距離に対して、下方から
フィルムヒンジの端部に近い上端部まで、端部から傾斜
している。第６図において、フィルムヒンジを通り開放
した蓋を通る垂直横断面図において、凹所の基部は、そ
れらが通常この図面では見えないけれども、斜線で示さ
れている。

引張りバンドが本発明において使用されるとき、引張
りバンドと従来技術の状態による中間要素との間の本質
的な相違点は、引張りバンド６が凹所11の接触点からま
たそれらの全長に亘って、少くともほぼ同じ断面を有す
ることである。勿論、バンドは切欠き効果を防止するた
め、それらの端部で円くかつ厚くすることができる。し
かしながら必然的にばね伸長量に必要性を生ずる部分に
おいて、不正確さを借くとして、横断面積は等しいまま
である。

引張りバンド６の横断面形状を全く異ったものとする
ことができる。第８−ａ図ないし第８−ｂ図の例はそれ
をよく示している。しかして外面は正確にケーシング壁
の外形に調節することができるが、内面は真直ぐであ。
（第８−ａ図）。

しかしながら、第６図に示されたような純粋な長方形
に加えて、すべての面が凸型である型式、たとえば第８
−ｂ図に示されたような楕円形もまた可能である。もし
バンドが第８−ｃ図に示されたようにＵ字型に形成され
るならば、ヒンジのスナップ効果が増強される。第８−
ｄ図に示されたように、引張りバンドをいくつかの部分
のバンドに再分割することによって、ヒンジにより互い
に連結された両部分の比較的複雑に形成された形状に対
して、本発明によるスナップヒンジの一層良い調節が可
能になる。もし本発明によるスナップヒンジが４つ以上
の側面を備えた箱またはケースにおいて実施するなら
ば、すべて直線上に設けられる、いくつかのフィルムヒ
ンジは真直ぐな側面に設けられる。

〔発明の効果〕

本発明は、プラスチック製の一体スナップヒンジ付き
蓋において、引張りバンドがケーシング壁の凹所に設置
されかつその全長に亘って少くともほぼ均一な断面を有
し、前記引張りバンドが閉鎖位置においてそれらの最外
端面を前記ケーシング壁の外面と整合するように構成し
たことにより、美的概念を損ない、コンベヤベルトにお
ける輸送上の障害物となる引張りバンドの突出を回避す
ることができるとともに、その開閉を確実なものとする
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は前方から見た管上のほぼ自然の大きさのスナッ
プヒンジ付き蓋の図、第２図は第１図に示すヒンジ付き
蓋の側面図、第３図は第１図に示すヒンジ付き蓋の背面
図、第４図は完全に開いた位置における第１図ないし第
３図に示すヒンジ付き蓋の拡大側面図、第５図はキャッ
プを内部から見た第４図に示すヒンジ付き蓋の上面図、
第６図は第５図のＢ−Ｂ線に沿うヒンジの枢着軸線を通
る断面図、第７図は第５図のＣ−Ｃ線に沿う部分断面
図、第8a図〜第8d図はそれぞれ異った引張りバンドの横
断面図である。 １……下方部分、２……上方部分、３……フィルムヒン
ジ、4,5……ケーシング壁、６……引張りバンド、８…
…凹所、９……頂面、10……出口、11……凹所。

Claims (6)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】それぞれ丸くされた周壁（4,5）を有する
   下方部分（１）および上方部分（２）を備え、ヒンジが
   閉じた位置にある場合に上記２つの周壁（4,5）が互い
   に上下に垂直に整合し、下方部分が一つのフィルムヒン
   ジ（３）とそのフィルムヒンジの両側に設けられた２つ
   の引張りバンド（６）によって上方部分に連結されてお
   り、上記引張りバンドが蓋の閉鎖位置にあるとき引張ら
   れており、その引張りバンドは、周壁（4,5）の凹所（1
   1）に設けられ、その全長に亘ってほぼ一定の断面を有
   している、プラスチック製の一体スナップヒンジ付き蓋
   において、引張りバンドの連結点が下方部分（１）と上
   方部分（２）間に形成される接合平面（Ｅ）に対して傾
   斜している凹所底面に配設され、上記凹所底面はフィル
   ムヒンジ（３）から離れている下方端部からフィルムヒ
   ンジ（３）により近い上方端部に延びており、引張りバ
   ンド（６）のフィルムヒンジ（３）に近い方の側部がフ
   ィルムヒンジ（３）から離れている方の側部より短か
   く、閉鎖位置において引張りバンドの外面部が外周壁面
   と整合し、完全に開いた位置においては引張りバンド
   （６）は引張られておらずアーク状を呈していることを
   特徴とする、プラスチック製の一体スナップヒンジ付き
   蓋。
2. 【請求項２】上記引張りバンド（６）がケーシング壁
   （4,5）の凹所底面（11）に一体に形成されており、ケ
   ーシング壁の外周面に沿って丸くされている請求項１記
   載のプラスチック製の一体スナップヒンジ付き蓋。
3. 【請求項３】前記凹所（11）が少なくとも前記引張りバ
   ンド（６）の形状および大きさにほぼ対応し、前記引張
   りバンド（６）が、前記フィルムとヒンジ（３）の閉鎖
   位置において、完全に前記凹所（11）に適合しかつ前記
   凹所（11）をカバーする、請求項１記載のスナップヒン
   ジ付き蓋。
4. 【請求項４】前記上方部分（２）の前記ケーシング壁
   （５）の内面が完全に閉鎖され、前記上方部分（２）が
   前記フィルムヒンジ（３）の閉鎖位置において前記下方
   部分（１）上にその全周において接触する請求項１記載
   のスナップヒンジ付き蓋。
5. 【請求項５】前記引張りバンド（６）の断面形状が少く
   とも四辺形に対応する請求項１記載のスナップヒンジ付
   き蓋。
6. 【請求項６】前記引張りバンド（６）の断面形状が少く
   とも一側において凸状である、請求項１記載のスナップ
   ヒンジ付き蓋。