JP2671522B2 - 織機における織段発生防止装置 - Google Patents

織機における織段発生防止装置

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JP2671522B2 JP22858189A JP22858189A JP2671522B2 JP 2671522 B2 JP2671522 B2 JP 2671522B2 JP 22858189 A JP22858189 A JP 22858189A JP 22858189 A JP22858189 A JP 22858189A JP 2671522 B2 JP2671522 B2 JP 2671522B2
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裕之 金山
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は織機における機台停止に起因する織段の発生
を防止する装置に関するものである。
[従来の技術] ワープビームから送り出される経糸の適正な張方維持
は経糸送り出し速度の制御にて達成され、製織中の織段
発生は比較的容易に防止できるが、機台停止に起因する
織段発生を防止するには機台再起動前に織前位置の調整
を行なう必要がある。通常運転時では筬打ち時点の筬の
加速度に起因する筬の撓みが筬打ち力の要素として大き
く影響しているため、通常運転時に比して筬打ち時点の
加速度が小さくなる機台起動直後では筬打ち力が低下
し、薄段が発生する。そのため、特開昭59−30944号公
報では織機駆動モータから独立した経糸送り出しモータ
を機台再起動前に逆転して織前位置を適当量後退させ、
特開昭63−105151号公報では機台駆動モータから独立し
た経糸送り出しモータ及び巻き取りモータの両方の補正
作動によって織前位置補正が行われている。
この織前位置補正量の選択方式としては例えば特開昭
63−75149号公報に開示されるように多数の補正内容を
予め制御装置に入力しておき、機台停止に起因する織段
発生内容を入力して適当な補正内容を自動選択するもの
がある。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、このように自動選択された補正内容は
過去の多数の経験データから得られた平均値であり、同
じ織物条件の場合にも個々の織成の際には自動選択され
た補正内容では機台停止に起因する織段発生を無くすこ
とができない場合がある。そのため、自動選択された補
正内容を若干変換して更に適切な補正内容に設定し直す
必要があるが、これには熟練者の技量に頼った試行錯誤
が要求される。
本発明は熟練者の技量に頼ることなく織段発生防止の
ための織前位置補正の適切な設定を可能とする織段発生
防止位置を提供することを目的とするものである。
[課題を解決するための手段] そのために本発明では、織布の織前位置を補正変位す
るための織前位置補正変位手段と、前記織前位置補正変
位手段の補正駆動量を制御する変位駆動制御手段と、前
記織前位置補正変位手段の補正内容を前記変位駆動制御
手段に入力するための補正内容入力手段とにより織段発
生防止装置を構成し、前記変位駆動制御手段には補正内
容入力手段によって入力された補正内容とその入力順位
を1単位として記憶する第1の制御機能と、記憶された
補正内容の読み出し指令毎に前記補正内容を前記入力順
位で読み出し設定する第2の制御機能とを付与した。
[作用] 補正内容入力手段による補正内容の入力は試織におけ
る機台停止の際の織段発生状況に基づいて行われ、この
入力操作によって入力された補正内容がその入力順位と
の組で記憶される。この入力操作は機台停止毎の織段発
生が無くなるまで行われる。このようにして入力された
補正内容は同じような織物条件の織成のための試織段階
における読み出し指令によって前記入力順位で読み出し
設定され、織機の再起動の際にはこの読み出し設定され
た補正内容が織前位置補正のために用いられる。この読
み出し設定された補正内容では織段発生が無くならない
場合には機台再起動の際に前記読み出し指令を再度行
い、これにより次順位の補正内容が読み出し設定され
る。そして、この読み出し設定された順位の補正内容は
織前位置補正に用いられ、このような補正内容の選択が
織段発生解消に至るまで行われる。このように選択され
る補正内容の選択順位は織段発生解消への収束に対応し
ており、これにより補正内容の適正な設定が容易とな
る。
[実施例] 以下、本発明を具体化した一実施例を図面に基づいて
説明する。
第1図は織機全体の側面を略体的に示し、Mは織機駆
動モータであり、織機駆動モータMは制御コンピュータ
Cの作動制御を受ける。1は織機駆動モータMから独立
した正逆転可能な送り出しモータである。送り出しモー
タ1により駆動されるワープビーム2から送り出される
経糸Tはバックローラ3及びテンションローラ4を経由
して綜絖5、筬6を通され、織前W1から織布Wに形成さ
れた後、エキスパンションバー7、サーフェスローラ
8、プレスローラ9及びしわ取りガイド部材10を経由し
て巻取軸11に巻取られる。
テンションローラ4はテンションレバー12の一端部に
取り付けられており、テンションレバー12の他端部に取
り付けられた引張ばね13により所定の張力が経糸Tに付
与されるようになっている。テンションレバー12は検出
レバー14の一端に回転可能に支持されており、検出レバ
ー14の他端にはロードセル15が連結されている。従っ
て、経糸張力はテンションローラ4、テンションレバー
12及び検出レバー14を介してロードセル15に伝えられ、
ロードセル15は経糸張力に応じた電気信号を制御コンピ
ュータCに出力する。
制御コンピュータCは予め設定された張力と前記入力
信号で把握される検出張力との比較及び機台回転角度検
出用ロータリエンコーダ16からの検出信号で把握される
ワープビーム経に基づいて送り出しモータ1の回転速度
を制御する。これにより通常運転時の経糸張力が制御さ
れ、織段発生防止が行われる。制御コンピュータCは起
動スイッチ17からのON信号に基づいて送り出しモータ1
の正転作動を指令し、送り出しモータ1に組み込まれた
ロータリエンコーダ1aからの回転速度検出信号に基づい
て送り出しモータ1の回転速度をフィードバック制御す
る。
サーフェスローラ8は織機駆動モータMから独立した
正逆転可能な巻き取りモータ18に作動連結されており、
制御コンピュータCは巻き取りモータ18に組み込まれた
ロータリエンコーダ18aからの回転速度検出信号に基づ
いて巻き取りモータ18の回転速度をフィードバック制御
する。
制御コンピュータCには織前位置を補正するための補
正内容入力装置19が接続されており、制御コンピュータ
Cは補正内容入力装置19によって入力される補正内容を
表示装置20上に出力表示する。
制御コンピュータCには学習機能が付与されており、
制御コンピュータCはTEACHモード指令キー21のON信号
に応答して学習プログラムを選択する。即ち、TEACHモ
ード指令キー21のON信号が入力されると、制御コンピュ
ータCは以後補正内容入力装置19によって入力される補
正内容を織物条件毎に指定されるメモリエリア内にその
アドレス順位に格納記憶する。又、制御コンピュータC
には復習機能が付与されており、制御コンピュータCは
読み出し指令キー22のON信号に応答して復習プログラム
を選択する。即ち、読み出し指令キー11のON信号が入力
されると、制御コンピュータCは前記格納記憶された補
正内容をそのアドレス順位に1つのみ読み出し、この読
み出された補正内容を織前位置補正のためのデータとし
て選択設定する。
第3図(a),(b)は学習プログラム及び復習プロ
グラムを表すフローチャートである。
さて、織機はある程度織布Wを試織して停止状態にあ
るとする。この停止状態において補正内容入力装置19に
よってメモリエリア及び補正内容〈X0,Y0〉を操作出力
すればこの補正内容が表示装置20上に表示される。この
表示に基づいて操作出力された補正内容〈X0,Y0〉を確
認後、補正内容入力装置19上のセットキーをON操作すれ
ば制御コンピュータCはこのON信号に応答して補正内容
〈X0,Y0〉を指定されたメモリエリア内の第1順位のア
ドレスに格納記憶する。この格納記憶された補正内容
〈X0,Y0〉のうちのX0は織前W1の変位量を表し、Y0は時
間を表す。補正内容〈X0,Y0〉は過去の経験データから
得られた標準的な補正内容であり、制御コンピュータC
は第1順位のアドレスに格納された補正内容〈X0,Y0
を初期補正内容として設定する。
起動スイッチ17をON操作すると、第2図に示す起動指
令信号S2が制御コンピュータCに入力する。制御コンピ
ュータCは起動指令信号S2の入力に応答して初期補正内
容〈X0,Y0〉の織前位置補正を指令する。即ち、制御コ
ンピュータCは補正変位量X0に対応する補正回転量を送
り出しモータ1に指令する。これにより送り出しモータ
1は第2図の曲線E1で示す補正回転量だけ逆転し、織前
W1が補正変位量X0だけ後退して織前位置補正が機台起動
前に行われる。
この織前位置補正後、制御コンピュータCは織機駆動
モータM、送り出しモータ1及び巻取りモータ18の通常
正転を指令する。これにより織機駆動モータMは第2図
に曲線C3で示すように正転開始し、送り出しモータ1は
曲線C4で示すように織機駆動モータMに同期して正転開
始する。
織機の通常正転開始後、時間Y0が経過すると制御コン
ピュータCは第2図に曲線E′1で示すように一時的な
過増速を指令する。曲線E′1は織前W1を補正変位量X0
だけ送り出し方向へ変位する補正解消(X0′と表す)を
表し、補正解消をもたらす送り出しモータ1の補正解消
回転が補正解消変位量X0′となるように行われる。これ
により通常運転時には織前W1が通常運転時の正規の位置
へ復帰し、通常運転時の織段発生防止が経糸張力検出に
よって行われる。
織機運転開始後、適当時間後の停止スイッチ23のON操
作による停止指令信号S1の発信によって制御コンピュー
タCは機台停止を指令し、織機駆動モータMが曲線C1
示すように減速停止すると共に、送り出しモータ1が曲
線C2で示すように減速停止する。機台停止後、機台停止
に起因する織段発生の有無を調べ、織段が発生している
場合にはTEACHモード指令キー21をON操作する。このON
操作により制御コンピュータCは学習プログラムを選択
する。そこで、機台停止に起因する織段を解消する方向
となるような補正内容を選び、補正内容入力装置19によ
って制御コンピュータCに入力する。すると制御コンピ
ュータCは補正内容入力装置19によって入力された補正
内容〈X1,Y1〉を前記メモリエリア内の第2順位のアド
レスに格納記憶する。
TEACHモード指令解消キー24のON操作によって制御コ
ンピュータCは学習プログラムから通常の織前位置補正
プログラムへ移り、起動指令信号の入力に備える。
学習操作後、起動スイッチ17をONすれば制御コンピュ
ータCは補正内容〈X1,Y1〉の織前位置補正を指令す
る。これにより送り出しモータ1が第2図に曲線F1で示
す補正回転量だけ逆転し、織前W1が補正変位量X1だけ後
退して織前位置補正が機台起動前に行われる。
この織前位置補正後、織機は通常正転に入り、織機の
通常正転開始後、時間Y1が経過すると制御コンピュータ
Cは第2図に曲線F′1で示すように一時的な過増速を
指令する。曲線F′1は織前W1を補正変位量X1だけ送り
出し方向へ変位する補正(X1′と表す)を表し、補正解
消をもたらす送り出しモータ1の補正解消回転が補正解
消変位量X1′となるように行われる。これにより通常運
転時には織前W1が通常運転時の正規の位置へ復帰し、通
常運転時の織段発生防止が経糸張力検出によって行われ
る。
織機運転開始後、適当時間後に織機を止めて機台停止
に起因する織段発生の有無を調べ、織段が発生している
場合にはTEACHモード指令キー21をON操作して前記と同
様に学習を行わせる。このような学習操作は織段が発生
しなくなるまであるいは許容できる範囲になるまで行
い、この学習操作毎に補正内容〈Xi,Yi〉(i=1,2,3
・・・)が前記メモリエリアの第(i+1)順位のアド
レスに格納記憶される。即ち、制御コンピュータCは補
正内容入力装置19によって入力された補正内容〈Xi
Yi〉とその入力順位とを1単位として記憶する。
このようにして初期補正内容〈X0,Y0〉及び補正内容
〈Xi,Yi〉を入力された織機で同じような織物条件の織
布を製織する場合、読み出し指令キー22をON操作すれば
制御コンピュータCは復習プログラムを選択する。即
ち、制御コンピュータCは前記メモリエリアの第1順位
のアドレスに格納記憶されている初期補正内容〈X0
Y0〉を読み出し、この初期補正内容〈X0,Y0〉を織前補
正のためのデータとしてメモリの所定エリアに格納記憶
する。そして、試織のために織機を適当時間運転し、織
機停止後に織段発生の有無を調べ、織段が発生していれ
ば読み出し指令キー22を再度ONする。この再度のON操作
により制御コンピュータCは前記メモリエリアの第2順
位のアドレスに格納記憶されている補正内容〈X1,Y1
を読み出し、初期補正内容〈X0,Y0〉に代えてこの補正
内容〈X1,Y1〉を織前補正のためのデータとしてメモリ
の所定エリアに格納記憶する。
織前補正のためのデータ設定は織段が発生しなくなる
まで行い、この復習操作毎に補正内容〈Xi,Yi〉(i=
1,2,3・・・)が前記メモリエリアの第(i+1)順位
のアドレスから読み出されてメモリの前記所定エリアに
格納記憶される。即ち、制御コンピュータCは読み出し
指令毎に補正内容〈Xi,Yi〉をその入力順位で読み出し
設定する。
このようにして選択設定される織前位置補正のための
補正内容〈Xi,Yi〉の読み出し順位は織段発生を防止す
る方向へ概ね収束している。従って、同じような織物条
件の補正内容の設定の場合には当然のことながら熟練者
の技量に頼ることなく適切な補正内容を規定することが
できる。即ち、最初に熟練者の技量に基づいた補正内容
〈Xi,Yi〉の学習を行なっておけば、後は熟練者でなく
とも同じような織物条件の製織のための補正内容を簡単
な復習操作のみで容易に規定することが可能となる。
この復習操作のみでは織段発生を無くせないような類
似織物の場合にも、やはり補正内容〈Xi,Yi〉の復習操
作を行なってから通常の微調整を行えばよく、この復習
操作を経ることによる適切な補正内容への収束によって
通常の微調整も従来より遥かに容易となる。
前記のように設定された初期補正内容〈X0,Y0〉及び
補正内容〈Xi,Yi〉を他の織機でも使用すれば非常に便
利であり、そのために例えば第1図に示すように制御コ
ンピュータCにメモリカード26用の入出力装置25を接続
することも可能である。この入出力装置25にメモリカー
ド26を挿入して制御コンピュータC内の初期補正内容
〈X0,Y0〉及び補正内容〈Xi,Yi〉をメモリカード26に
転送し、初期補正内容〈X0,Y0〉及び補正内容〈Xi
Yi〉を記憶したメモリカード26を他の織機の制御コンピ
ュータCに接続して初期補正内容〈X0,Y0〉及び補正内
容〈Xi,Yi〉を転送する。
同じ織物条件でも使用織機が違えば適切な補正内容も
少しずつ違ってくるものであるが、初期補正内容〈X0
Y0〉及び補正内容〈Xi,Yi〉の転送使用によって適切な
補正内容の規定が前述したように容易となる。
本発明は勿論前記実施例にのみ限定されるものではな
く、例えば織前位置補正変位手段として巻き取りモータ
を採用したり、あるいは送り出し及び巻き取りの両モー
タを併用したりしてもよい。
[発明の効果] 以上詳述したように本発明は、補正内容入力手段によ
って入力された補正内容とその入力順位とを1単位とし
て記憶すると共に、記憶された補正内容の読み出し指令
毎に前記入力順位で前記補正内容を読み出し設定するよ
うにしたので、同じあるいは類似の織物の製織を新たに
行なう場合の織段発生防止のための補正内容の選択方向
が織段解消方向へ向かい、これにより織段発生防止のた
めの適切な補正内容を容易に規定し得るという優れた効
果を奏する。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明を具体化した一実施例を示し、第1図は織
機全体の略体側面図、第2図は織前位置補正を説明する
ためのグラフ、第3図(a),(b)は学習プログラム
及び復習プログラムを表すフローチャートである。 織前位置補正変位手段としての送り出しモータ1、変位
駆動制御手段としての制御コンピュータC、補正内容入
力装置19。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】織布の織前位置を補正変位するための織前
    位置補正変位手段と、 前記織前位置補正変位手段の補正駆動量を制御する変位
    駆動制御手段と、 前記織前位置補正変位手段の補正駆動量を前記変位駆動
    制御手段に入力設定するための補正内容入力手段とから
    なり、 前記変位駆動制御手段には補正内容入力手段によって入
    力された補正内容とその入力順位とを1単位として記憶
    する第1の制御機能と、記憶された補正内容の読み出し
    指令毎に前記入力順位で前記補正内容を読み出し設定す
    る第2の制御機能とを付与した織機における織段発生防
    止装置。
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