JP2670523B2 - 発光素子の製造法 - Google Patents

発光素子の製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔目的〕 (産業上の利用分野) 本発明は、青色発光ダイオードや可視短波長半導体レ
ーザなどの発光素子の製造法に関するものである。 (従来の技術) III−V族化合物半導体を用いた可視発光ダイオード
は量産化の時代に入り、またIII−V族化合物半導体を
用いた可視半導体レーザも実用化の時代を迎えるに至っ
ている。 しかし、III−V族化合物半導体を用いた発光素子の
場合、発光色は赤色から緑色あるいは黄色までの色に限
られ、光の三原色の一つである青色を発光させることは
不可能である。従って、青色を発光する発光ダイオード
及び緑色から青色の光を発光する半導体レーザの開発に
対する期待が一層強まっている。そして、その期待に応
えることのできる材料としては、青色発光を可能にする
広禁止帯幅を有するII−VI族化合物半導体であるZnSxSe
1-x(0≦x≦1)が適切であると考えられる。という
のは、このZnSxSe1-xは、直接遷移型結晶で、優れた発
光特性を有する材料であること、Si、Ge、GaAsあるいは
GaP単結晶の基板結晶上にエピタキシャル成長し得るこ
と、液晶比xを選択することによって基板結晶との格子
定数のずれを解消できること、このエピタキシャル成長
法として有機金属化合物を原料とする気相成長法(MOCV
D)あるいは分子線エピタキシャル成長法(MBE)が適切
であり、また、元素周期表におけるIII b族元素あるい
はVII b族元素の導入によって、この結晶層のn型伝導
度の制御も可能であるからである。 ところが、従来の製造技術では低抵抗のp型伝導性を
有する半導体結晶層を得ることが難しかった。そして、
このことが青色を発光する発光ダイオード、半導体レー
ザの開発および実用化を阻んでいた。何となれば、発光
ダイオード、半導体レーザを構成するには、n型の結晶
層とp型の結晶層の両方を形成する必要があるからであ
る。 そこで、本発明者は、II−VI族半導体結晶層の母体構
成元素であるII b族元素に対するVI b族元素気相比が1
〜100の設定条件の下で、例えば、リチウム(Li)、ナ
トリウム(Na)、カリウム(K)等のI a族元素及びそ
れらの化合物を不純物として導入することにより低抵抗
のp型伝導性を有するII−VI族半導体結晶層を気相成長
させる技術を開発した。 そして、斯る技術に開しては、既に特願昭62−71567
号および特願昭62−238655号により出願が為されてい
る。 (発明が解決しようとする問題点) ところが、上述した技術によれば、p型半導体結晶層
には格子欠陥が比較的多く、また結晶の不純物の安定性
が不充分であり、発光素子としての寿命もあまり長くな
いという問題があった。 本発明は、このような問題を解決すべくなされたもの
で、その目的とするところは、半導体基板結晶上に、II
−VI族半導体で構成したp型およびn型の伝導性を有す
る半導体結晶層を気相成長により積層形成する発光素子
の製造法において、p型半導体結晶層の格子欠陥を少な
くし、結晶中の不純物の安定性を高め得る発光素子の製
造法を提供することにある。 〔発明の構成〕 (問題点を解決するための手段) 本発明は、上述した問題点を解決するために、半導体
基板結晶上に、n型およびp型のうちの一方の伝導性を
有するII−VI族半導体結晶層を気相成長により形成し、
該一方の伝導性の結晶層上に、n型およびp型のうちの
他方の伝導性を有するII−VI族半導体結晶層を気相成長
により積層形成させる発光素子の製造法において、 p型伝導性を有するII−VI族半導体結晶層を気相成長
させる際に、アクセプタ元素としてI a族元素とともにV
b族元素をも同時に導入させ、II族元素を置換するI a
族元素でドープを行ない、VI族元素を置換するV b族元
素でドープを行なうことにより、気相成長させることを
特徴とするものである。 また、本発明における前記II−VI族半導体結晶層は、
ZnSxSe1-x(0≦x≦1)からなる結晶層を含むことを
特徴とするものである。 また、本発明における前記I a族元素としては、Li
(リチウム)、Na(ナトリウム)およびK(カリウム)
のうちのいずれかを用いることが望ましい。 また、本発明における前記V b族元素としては、N
(チッ素)、P(リン)およびAs(ヒ素)のうちのいず
れかを用いることが望ましい。 (作用) 本発明によれば、II−VI族半導体結晶層にp型伝導性
を付与するアクセプタ元素として、I a族元素だけでな
くV b族元素をも同時に導入させるようにしたので、II
族元素をI a族元素が占めたときに生じるVI族元素側の
空格子点を、同時に導入されるV b族元素で埋めること
ができる。従って、発光素子としての格子欠陥を少なく
して良好な結晶性を得ることができる。 そして、I a元素は、結晶中で移動しやすく不安定で
あるが、半導体結晶中にI a族元素だけでなくV b族元素
も含有させることにより、I a族元素とV b族元素とが隣
接した結晶格子位置を占めるようにすることができ、そ
の間に結合状態を形成することができる。従って、I a
族元素の結晶中での移動を効果的に抑制することがで
き、特定の安定性を高めることができ、ひいては寿命の
長い発光素子を製造することができる。 (実施例) 以下、本発明を実施例に従って説明する。 第1図は、本発明の一実施例により製造される発光素
子の構成を示す断面図である。 同図において、1はn型GaAs結晶から半導体基板結晶
で、該半導体基板結晶1上に、n型の伝導性を有するZn
SxSe1-x(x≒0.08)からなる結晶層2が気相成長によ
り形成されている。3はn型結晶層2上に気相成長によ
り形成されたp型の伝導性を有するZnSxSe1-xからなる
結晶層であり、p型伝導性を備えるために必要なアクセ
プタ元素として、I a族元素であるリチウム(Li)とV b
族元素であるチッ素(N)を含有している。このp型結
晶層3と上記n型結晶層2との間にpn接合が形成され
る。4はn側のオーミック電極、5はp側のオーミック
電極である。 第1図に示した発光ダイオードは、ZnSxSe1-xからな
るp型結晶層3がアクセプタ元素としてI a族元素であ
るリチウム(Li)とV b族元素であるチッ素(N)とを
含んでいるので、I a族元素のみをアクセプタ元素とし
て含有したZnSxSe1-x結晶層に比較して格子欠陥を少な
くすることができる。即ち、I a族元素であるLiがII族
であるZnに結びつくとSeに空格子点をつくることが知ら
れており、従って、上記特願昭62−238655号にて提案し
た青色発光素子のように、I a族元素のみをアクセプタ
元素として半導体結晶中に導入した場合には、結晶欠陥
が発生し、不純物濃度を高くしようとすると、自ずと格
子欠陥数も多くなるという不都合があった。 これに対し、本発明のようにアクセプタ元素としてV
b族元素であるNも導入させて気相成長させることによ
り、Seの空格子点をそのV b族元素であるNによって埋
めて格子欠陥をなくすことができる。依って、不純物濃
度を高くしても結晶欠陥の少ないp型結晶層を気相成長
により形成することができる。 また、Liは結晶中においては移動し易く、p型結晶層
の安定性を悪くする要因となるが、本発明においては、
Nもアクセプタ元素として結晶中に含有しているので、
NがLiと隣接した結晶格子位置を占めてLiとの間に結合
状態をつくる。従って、NによってLiの移動が抑止さ
れ、結晶層3の安定性が高くなり、延いては発光素子の
寿命を大幅に延長させることができる。 尚、n型のGaAs基板結晶1上のn型結晶層2及びp型
結晶層3は、前記特願昭62−71567号および特願昭62−2
38655号において示されているように、有機金属気相エ
ピタキシー装置あるいは分子線エピタキシー装置を用い
ての連続エピタキシャル成長により形成することができ
る。 尚、本発明は、上述した実施例にのみに限定されるも
のではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の態様
での実施が可能である。 例えば、ZnSxSe1-x結晶層3中にp型伝導性を与えるI
a族のアクセプタ元素としては、Liのほか、Na(ナトリ
ウム)、K(カリウム)を用いることができ、V b族の
アクセプタ元素としては、Nのほか、リン(P)、ヒ素
(As)を用いることができる。 また、上述した実施例では、半導体基板結晶1として
n型GaAs機番結晶を用いたが、p型GaAs基板結晶を半導
体基板結晶として用いても良く、この場合には、p型Ga
As基板結晶の上に、p型結晶層を積層し、その上にn型
ZnSe結晶層を順に積層する必要があり、このような構造
によっても、上記した具体例と同様な青色発光特性を有
する青色発光素子が得られる。 また、上記の実施例において、II−VI族半導体として
GaAsと格子整合する組成のZnSxSe1-x結晶層(x≒0.0
8)を用いたとき、発光色は青色を呈し、量子効率は、
ほぼ2倍に上昇したが、ZnSxSe1-x結晶層の混晶比x
は、所望の受光波長に応じて格子定数の近い最適の基板
結晶を選び、0≦x≦1の範囲で変化させればよい。 〔発明の効果〕 以上の説明から明らかなように、本発明によれば、半
導体基板結晶上に、II−VI族半導体で構成したp型およ
びn型の伝導性を有する半導体結晶層を気相成長により
積層形成する発光素子の製造法において、p型伝導性を
有するII−VI族半導体結晶層が、アクセプタ元素として
I a族元素とV b族元素を導入して形成されるから、I a
族元素のみが導入される場合と比較して、該II−VI族半
導体結晶層としては、不要な格子欠陥がなく、不純物濃
度が高く、低抵抗でしかも安定性に優れたものが得ら
れ、よって長期に亘って安定して可視短波長光を発光さ
せ得る発光素子の製造法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】 第1図は、本発明の一実施例により製造される発光素子
の構成を示す断面図である。 1……半導体基板結晶、 2……n型結晶層、 3……p型結晶層、 4,5……オーミック電極。

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.半導体基板結晶上に、n型およびp型のうちの一方
    の伝導性を有するII−VI族半導体結晶層を気相成長によ
    り形成し、該一方の伝導性の結晶層上に、n型およびp
    型のうちの他方の伝導性を有するII−VI族半導体結晶層
    を気相成長により積層形成させる発光素子の製造法にお
    いて、 p型伝導性を有するII−VI族半導体結晶層を気相成長さ
    せる際に、アクセプタ元素としてI a族元素とともにV b
    族元素をも同時に導入させ、II族元素を置換するI a族
    元素でドープを行ない、VI族元素を置換するV b族元素
    でドープを行なうことにより、気相成長させることを特
    徴とする発光素子の製造法。 2.前記II−VI族半導体結晶層は、ZnSxSe1-x(0≦x
    ≦1)からなる結晶層を含むことを特徴とする特許請求
    の範囲第1項に記載の発光素子の製造法。 3.前記I a族元素として、Li(リチウム)、Na(ナト
    リウム)およびK(カリウム)のうちのいずれかを用い
    ることを特徴とする特許請求の範囲第1項又は第2項に
    記載の発光素子の製造法。 4.前記V b族元素として、N(チッ素)、P(リン)
    およびAs(ヒ素)のうちのいずれかを用いることを特徴
    とする特許請求の範囲第1項〜第3項のいずれか1項に
    記載の発光素子の製造法。
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