JP2668750B2 - 後輪制動力制御装置 - Google Patents

後輪制動力制御装置

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JP2668750B2
JP2668750B2 JP3315659A JP31565991A JP2668750B2 JP 2668750 B2 JP2668750 B2 JP 2668750B2 JP 3315659 A JP3315659 A JP 3315659A JP 31565991 A JP31565991 A JP 31565991A JP 2668750 B2 JP2668750 B2 JP 2668750B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は前輪制動力と後輪制動力
との配分を制御する後輪制動力制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ブレ−キペダルを踏み込むと、マスタシ
リンダで発生したブレ−キ液圧(以下、マスタシリンダ
圧という)は4輪のホイ−ルシリンダに伝達され、各輪
に制動力が発生する。
【0003】ブレ−キペダルの踏み込みを大きくする
と、各輪に発生する制動力が大きくなるため、車両の減
速度が大きくなる。車両の減速度が大きくなると、後輪
荷重が減少するため、後輪の接地性が低下する。このよ
うに車両の減速度が大きくなるような制動(高G制動)
を発生させる制動状況下において、マスタシリンダ液圧
を前輪と後輪のホイ−ルシリンダにほぼ同じ配分で分配
して伝達すると、後輪の接地性が低下しているため、後
輪が先にロックし、車両の制動安定性が悪くなるという
問題がある。
【0004】このため、制動力が小さいときはマスタシ
リンダ圧をそのまま後輪のホイ−ルシリンダに伝達し、
マスタシリンダ圧が設定圧力以上になると後輪のホイ−
ルシリンダへ伝達される液圧の上昇率を下げるようにし
て後輪の早期ロックを防止する機能するプロポ−ショニ
ングバルブ(PCV)をブレ−キ系統に組み込んでい
る。
【0005】以下、図22乃至図26を参照して従来の
ブレ−キ装置について説明する。図22は従来のブレ−
キ装置を示す概略構成図、図23は従来のブレ−キ装置
の液圧配分を示す図、図24及び図25はプロポ−ショ
ニングバルブの状態を示す断面図、図26はプロポ−シ
ョニングバルブの作動を説明するための図である。
【0006】図22はFF車に一般的に使用されるX配
管のブレ−キ装置を示すもので、11はブレ−キペダル
である。このブレ−キペダル11の踏力は倍力装置12
を介して増幅された後、タンデムのマスタシリンダ13
に伝達される。
【0007】このマスタシリンダ13はブレ−キペダル
11の踏み込み量に応じたブレ−キ液圧を発生する2つ
の液圧発生部(図示しない)を備えている。一方の液圧
発生部は配管14を介して左側前輪のホイ−ルシリンダ
151 に接続されると共に、配管14の途中から分岐し
た配管16、PCV172を介して右側後輪のホイ−ル
シリンダ154 に接続される。
【0008】また、他方の液圧発生部は配管18を介し
て右側前輪のホイ−ルシリンダ152 に接続されると共
に、配管18の途中から分岐した配管19、PCV17
1 を介して左側後輪のホイ−ルシリンダ153に接続さ
れる。
【0009】PCV171 及び172 はマスタシリンダ
13で発生した液圧を設定圧力まではそのまま伝える
が、設定圧力からは後輪への液圧上昇率を低くして前輪
の制動力に対する後輪の制動力の関係に折れ線特性を持
たせるために設けられたプロポ−ショニングバルブであ
る。このバルブ自体は公知のものであるが、バルブの液
圧特性が折れ線特性を持つ概略構造について図24乃至
図26を参照して説明する。
【0010】図24において、31はバルブハウジング
である。このハウジング31内には内周面の一部が段状
に形成された円筒状の弁室32が形成されている。この
弁室32は大径のシリンダ室33及び小径のシリンダ室
34より構成される。シリンダ室33内には円筒状の弁
体35が軸方向に移動可能に介装されており、この弁体
35のシリンダ室34の径よりもやや大きく設定されて
いる。この弁体35の周面から中心軸方向に向かいその
中心軸から側面に向かって作動油が流通する孔hが穿孔
されている。さらに、この弁体35に設けられたプラン
ジャ36はハウジング31に穿孔されたガイド孔37内
を摺動自在に挿入されている。
【0011】シリンダ室33の一側面にはホイ−ルシリ
ンダへ液圧を取り出す出力口38が形成され、シリンダ
室34の一周面にはマスタシリンダ13からの液圧を取
り入れる入力口39が形成されている。
【0012】シリンダ室34にはばね40が充填されて
おり、このばね40の一端は弁体35の一側面に当接さ
れており、通常時にはこのばね40の付勢力により弁体
35は出力口38側に押圧され、弁体35の周縁部とシ
リンダ室34の端部との間に間隙Aが形成され、バルブ
が開いた状態となる。つまり、入力液圧Piは間隙A、
孔hを介して出力液圧Poとして伝達される。
【0013】この弁体35の出力口側の受圧面積をS
o、シリンダ室34側の受圧面積をSiとし、ばね40
の付勢力をF、入力液圧をPi、出力液圧をPoとした
場合に、「Pi・Si+F」と「Po・So」との大小
関係により弁体35が左右に移動する。
【0014】前述したように初期状態ではばね40の付
勢力により間隙Aが開けられているので、入力液圧Pi
はそのまま出力液圧Poとして送り出される。つまり、
ブレ−キペダル11の踏み込み量に応じて出力液圧Po
は上昇する。
【0015】この出力液圧Poが上昇すると「Po・S
o」が増大するため、入力液圧Piが設定圧力p1 を境
に「Po・So」>「Pi・Si+F」となる。このた
め、弁体35がばね40の付勢力に抗してシリンダ室3
4方向に移動し、図25に示すように弁体35の側面周
縁部により間隙Aが閉塞され、出力液圧Poが保持され
る。そして、この状態からブレ−キペダル11のさらな
る踏み込みに応じて入力液圧Piが上昇して「Po・S
o」<「Pi・Si+F」となると、図24に示すよう
に再度間隙Aが開けられて、入力液圧Piの上昇に応じ
て出力液圧Poが上昇する。そして、この出力液圧Po
の上昇により上述したように間隙Aが閉塞され、出力液
圧Poが保持される。このように、図26に示すように
設定圧力P1 からは入力液圧Piに対する出力液圧Po
の傾きが小さくなるように変化し、設定圧力P1以降で
は出力液圧Poがゆるやかに上昇することになる。
【0016】ところで、設定圧力P1 の大きさ及び設定
圧力P1 以降での入力液圧Piに対する出力液圧Poの
傾きはばね40の付勢力F、受圧面積Si、So等の機
械的定数により一義的に決定される。
【0017】次ぎに、図23を参照してPCV171
び172の機械的要件により設定された車両の設定制動
力配分と理想制動力配分との関係について説明する。図
23において、Aは設定制動力配分を示す折れ点を有す
る設定制動力配分直線、Bは車両の諸元により決定され
る理想制動力配分を示す理想制動力配分曲線である。
【0018】ここで、理想制動力配分とは制動時に4輪
同時ロックを起こすような前後輪のブレ−キ配分を意味
している。この理想制動力配分曲線Bと減速度0.8G
の一点鎖線との交点P11が減速度0.8Gの急制動で
前輪及び後輪が同時にロックするブレ−キ制動力配分を
示す。また、理想制動力配分曲線Bと減速度0.4Gの
一点鎖線との交点P12が減速度0.4Gの制動で前輪
及び後輪が同時にロックするブレ−キ配分を示す。な
お、通常の制動で発生する減速度は0.2乃至0.3G
である。
【0019】なお、一点鎖線で示した減速度0.8Gあ
るいは0.4Gの直線上の各点では減速度0.8Gある
いは0.4Gの制動で必要な総合制動力(前輪制動力と
後輪制動力とを加算した制動力)が同じとなっている。
【0020】また、二点鎖線で示した直線は路面の摩擦
係数μが0.8あるいは0.4で前輪あるいは後輪がロ
ックする前輪あるいは後輪の制動力を示している。ここ
で、晴天時のアスファルト乾燥路面の摩擦係数μはおよ
そ0.8程度である。
【0021】つまり、P11点はμ=0.8の路面で減
速度=0.8Gの急制動を行った場合に、前輪と後輪が
同時にロックする前後輪の理想制動力配分を意味する。
さらに、P12点ではμ=0.4の路面で減速度=0.
4Gの制動を行った場合に前輪と後輪が同時にロックす
る前後輪の理想制動力配分を意味する。
【0022】前述したように、制動時に前輪と後輪が同
時にロックするように理想制動力配分曲線Bが存在して
いるわけであるが、実際には後輪の制動力が理想制動力
より小さい値になるように設定している。これは、後輪
が前輪より先にロックしてしまうと制動安定性が悪化す
るためである。つまり、設定制動力は直線Aで示すよう
に後輪制動力が理想制動力配分曲線Bを越えないように
設定されている。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】今、摩擦係数μ=0.
4の路面で0.38Gの制動を行った場合には、総合制
動力が0.38Gの直線と設定制動力直線Aとの交点P
13により示される制動力配分がなされるが、交点P1
5における制動力配分まで後輪制動力を上げても後輪は
ロックしない。
【0024】更に、摩擦係数μ=0.8の路面で0.3
8Gの制動を行った場合には、総合制動力が0.38G
の直線とμ=0.8の直線との交点P14における制動
力配分で示された後輪制動力まで後輪制動力を大きく上
げても後輪はロックしない。
【0025】つまり、同じ減速度の制動を行う場合で
も、路面状態に応じては前輪制動力をBfだけ減少さ
せ、後輪制動力を理想制動力配分を越えてBrだけ上昇
することができる。
【0026】言い換えれば、設定制動力直線Aを採用し
ている限りにおいては、車両の走行状態や路面状態によ
っては後輪制動力に余裕があっても、その分だけ前輪制
動力に負担をかけて総合制動力を発生させていることに
なる。
【0027】このように前輪制動力に負担をかけすぎる
と、前輪ブレ−キ装置のブレ−キパッドの摩耗を増大さ
せるだけでなく発熱量が増大するためブレ−キパッドの
摩擦係数が急激に低減するフェ−ド現象や、ブレ−キ液
温度の上昇によるベ−パロック現象が発生しやすくなり
不利であるし、更には制動時のノ−ズダイブの発生を招
いて、制動安定性を悪化させるという問題点があった。
しかしながら、後輪の制動力負担を上昇させると後輪は
ロックし易くなるため、後輪のロックを未然に防止する
必要がある。
【0028】本発明は上記の点に鑑みてなされたもの
で、路面が滑り易い時には、後輪の制動力配分を減少さ
せることにより後輪の早期ロックを防止しながら、通常
時における後輪への制動力配分を大きくすることができ
る後輪制動力制御装置を提供することにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる後輪制動
力制御装置は、マスタシリンダ圧を検出するマスタシリ
ンダ圧検出手段と、前記マスタシリンダ圧を後輪のホイ
ールシリンダに伝える流路に設けられ前記マスタシリン
ダ圧が第1の設定圧力以上の領域では前記マスタシリン
ダ圧の変化に対するホイールシリンダ圧の変化が小さく
なるように前記ホイールシリンダ圧を制御するプロポー
ショニングバルブと、このプロポーショニングバルブを
バイパスして前記マスタシリンダ圧を前記ホイールシリ
ンダに伝える流路にそれぞれ設けられた開閉弁と、後輪
の荷重を検出する荷重検出手段と、この荷重検出手段に
より検出された荷重に応じ前記第1の設定圧力より大き
い第2の設定圧力を設定する設定手段と、雨滴の有無に
より降雨を検出する雨滴センサの検出信号と外気温度を
検出する外気温度情報に基づいて路面の滑り易さを検出
する路面状態検出手段と、前記マスタシリンダ圧検出手
段により検出されたマスタシリンダ圧が前記第2の設定
圧力より低い場合は前記開閉弁を開けると共に前記マス
タシリンダ圧が前記第2の設定圧力以上になると前記開
閉弁を閉じ、前記路面状態検出手段により検出された路
面の滑り易さに応じて前記第2の設定圧力を下げる制御
手段とを具備する。
【0030】
【作用】マスタシリンダ圧検出手段により検出されるマ
スタシリンダ圧が第2の設定圧力より低くく後輪制動力
に余裕がある場合には開閉弁を開いてプロポ−ショニン
グバルブをバイパスさせておくことにより前輪の制動力
負担を軽減させ、マスタシリンダ圧が設定圧力以上にな
って後輪制動力に余裕がなくなると開閉弁を閉じること
によりプロポ−ショニングバルブを作動させて後輪の早
期ロックを防止する。そして、雨滴の有無により降雨を
検出する雨滴センサの検出信号と、外気温度を検出する
外気温度情報に基づいて路面の滑り易さを検出する路面
状態検出手段により路面が滑り易いことが検出される
と、開閉弁を閉じる設定圧力が低下するので、路面が滑
り易いときには早期にプロポ−ショニングバルブが作動
し後輪の早期ロックを防止できる。
【0031】
【実施例】以下図面を参照して本発明の第1実施例につ
いて説明する。図1は本発明の第1実施例に係わる後輪
制動力制御装置を示すブロック図、図2は雨滴センサの
概略図、図3は前後輪の制動力配分を示す図、図4は後
輪の制動力の制御範囲を示す図、図5は外気温補正を示
す図、図6は荷重補正を示す図、図7は横加速度補正を
示す図、図8は第1実施例の動作を説明するためのフロ
−チャ−トである。
【0032】図1において、51はブレ−キペダルであ
る。このブレ−キペダル51の踏力は倍力装置52を介
して増幅された後、タンデムのマスタシリンダ53に伝
達される。
【0033】このマスタシリンダ53はブレ−キペダル
51の踏み込み量に応じてブレ−キ液圧を発生する2つ
の液圧発生部(図示しない)を備えている。一方の液圧
発生部は配管54を介して左側前輪のホイ−ルシリンダ
551 に接続されると共に、配管54の途中から分岐し
た配管56、PCV572を介して右側後輪のホイ−ル
シリンダ554 に接続される。
【0034】また、他方の液圧発生部は配管58を介し
て右側前輪のホイ−ルシリンダ552 に接続されると共
に、配管58の途中から分岐した配管59、PCV57
1 を介して左側後輪のホイ−ルシリンダ553に接続さ
れる。
【0035】PCV571 及び572 は制動力が小さい
ときはマスタシリンダ圧をそのまま後輪のホイ−ルシリ
ンダに伝達し、マスタシリンダ圧が第2の設定圧力以上
になると後輪のホイ−ルシリンダへ伝達される液圧の上
昇率を下げるように機能するプロポ−ショニングバルブ
で、その構成は図22乃至図25を参照して説明したも
のと同一であるので、その詳細な説明については省略す
る。
【0036】配管59上においてPCV571 の上流側
と下流側との間にはバイパス管60が設けられ、配管5
6上においてPCV572 の上流側と下流側との間には
バイパス管61が設けられている。このバイパス管60
及び61にはそれぞれ常開の電磁開閉弁であるPCVバ
イパスバルブ62,63がそれぞれ設けられている。
【0037】このPCVバイパスバルブ62,63の開
閉制御は制御手段をなすコントロ−ラ71により行われ
る。このコントロ−ラ71はマイクロコンピュ−タ及び
その周辺回路により構成されている。
【0038】このコントロ−ラ71には入力信号として
ブレ−キペダル51が踏まれるとオン信号を出力するブ
レ−キスイッチ72、車速Vsを検出する車速センサ7
3、ブレ−キ圧力P、つまりマスタシリンダ53から出
力される液圧を検出する圧力センサ74(本実施例では
2系統配管の一方に設けているが両方に設けても良
い)、降雨状態を検出し晴天のときにはオフ信号を出力
し降雨状態のときにはオン信号を出力する雨滴センサ7
5、外気温度Tを検出する外気温センサ76、ステアリ
ングホイ−ルの操舵角Hθを検出する舵角センサ77、
各座席に設けられ乗員が乗車したかを検出する乗員検知
センサ78からの検知信号が入力されている。なお、雨
滴センサ75及び外気温センサ76は路面状態検出手段
をなすものである。
【0039】次に、図2を参照して雨滴センサ75の詳
細な構成について説明する。図2において、81′,8
2′は互いに対向して設けられている電極である。一方
の電極81′からは櫛状に導電線83′が他方の電極8
2′方向に伸びて設けられ、他方の電極82′からは櫛
状に導電線84′が隣接する導電線83′の間を通って
一方の電極81′方向に伸設されている。そして、電極
81′,82′間に電圧を印加し、雨滴によって端子
a,b間が短絡して電流が流れることを検出することに
よって降雨を検出している。
【0040】コントロ−ラ71は図8のフロ−チャ−ト
に示す制御を行なうと共に図5乃至図7に示すようなマ
ップを記憶する記憶手段を備えている。つまり、コント
ロ−ラ71は圧力センサ74により検出された圧力が設
定圧力(後述のPbあるいはPc)となるとPCVプロ
ポ−ショニングバルブ62,63を閉じる制御を行い、
PCV571 ,572 のバルブ機能を働かせている。
【0041】つまり、本実施例はブレ−キ系統に設けら
れたPCV571 及び572 をバイパスするバイパス管
60,61に常開のPCVバイパスバルブ62,63を
設け、圧力センサ74で検出されたブレ−キ圧力が設定
圧力まではマスタシリンダ圧をそのまま後輪のホイ−ル
シリンダに伝達し、圧力センサ74で検出されたブレ−
キ圧力が第2の設定圧力を越えると、PCVバイパスバ
ルブ62,63を閉制御してPCV571 及び572
機能を発揮させるようにしている。
【0042】図3の斜線で示した領域が本装置で制御可
能な後輪制動力の基本的範囲を示しており、理想制動力
配分曲線Bに示される制動力よりも高い制動力を後輪に
発生させることを可能にしている。また、直線a及びb
で示した折れ線CはPCVバイパスバルブ62,63を
閉じた状態にしたままにおける制動力配分を示してい
る。なお、折れ線Cにおける直線aの部分の勾配は従来
例で説明した折れ線Aに比べて急になっているが、これ
は前輪用のホイ−ルシリンダ551 ,552 に対する後
輪用のホイ−ルシリンダ553 ,554 の受圧面積の大
きさを従来に比べて大きくした(50:50程度)こと
により達成されており、また折れ点及び折れ点以降の特
性はPCV571 ,572 の設定により実現している。
【0043】次ぎに、図4に図3の折れ線Cを取り出し
て示しておく。折れ線CはPCV571 及び572 の入
出力特性を示しているもので、PCVバイパスバルブ6
2,63が閉じている状態では、PCV571及び57
2 の入力液圧がP1 になるまで、直線aにより出力液圧
が決定され、PCV571 及び572 の入力液圧がP1
を越えると直線bにより出力液圧が決定される。
【0044】一方、PCVバイパスバルブ62,63を
開いている状態で入力液圧を増加させると、入力液圧が
P1 を越えても出力液圧は直線aの延長線(破線で示
す)で示すように増加し、例えば入力液圧がP3 でPC
Vバイパスバルブ62,63を閉じると、入力液圧が増
加してもPCV571 及び572 の作動により出力液圧
は直線bと交差する点dまで保持され、点dより更に入
力液圧が増加すると出力液圧は直線bにより決定され
る。
【0045】出力液圧が保持される理由は出力液圧Po
が直線bに示したような通常の制御状態より高く図25
に示したように「Po・So」>「Pi・Si+F」と
なり間隙Aが閉塞されるためである。
【0046】次ぎに、図8に基づき上記のように構成さ
れた本発明の第1実施例の動作について説明する。ま
ず、PCVバイパスバルブ62,63を開制御し、PC
Vバルブ571 ,572 の機能を発揮させないように制
御する。そして、車両が実質的に走行しているかを判定
するために、車速センサ73で検出された車速が3Km/
h 以上であるか判定し、3Km/h 以上と判定した場合に
はブレ−キスイッチ72がオンしているか判定する(ス
テップS11乃至S13)。
【0047】ステップS13において「YES」と判定さ
れた場合には、圧力センサ74で検出されたブレ−キ圧
力、雨滴センサ75の出力、外気温センサ76で検出さ
れた外気温度Tをそれぞれコントロ−ラ71に読み込む
(ステップS14乃至S16)。
【0048】そして、図5のマップを参照して外気温度
Tに応じたPCVバイパスバルブ62,63を閉じるバ
イパスバルブ閉圧力Paを求める。図5において、雨滴
センサ75の出力がオフ(晴れ)のときは実線で示した
マップが参照され、雨滴センサ75の出力がオン(雨)
のときは破線で示したマップが参照される。天気が晴れ
の方が路面が滑りにくいので、閉圧力Paは大きく設定
されている。また、外気温度Tが低いと路面が滑りやす
いので、閉圧力Paは小さく設定されている。つまり、
天気が晴れの場合には外気温度Tが0℃と5℃を境に3
段階に閉圧力Paが切換えられ、天気が雨の場合には外
気温度Tが5℃を境に2段階に閉圧力が切換えられる。
このため、路面が滑りやす(ロック限界が低い)ほど閉
圧力Paは低下する。なお、閉圧力Paの最大値40Kg
/cm2 は図3におけるP10点のブレ−キ圧力に対応した
ものとして設定されている。
【0049】次ぎに、乗員検知センサ78で検知された
乗員による重量増加分を推定し、図6のマップを参照し
て重量係数KB を求める(ステップS18)。重量増加
分は以下のようにして求めている。つまり、各座席に圧
電素子を埋設しておき、乗員が乗ったことをこの素子か
らの検知信号により判定する。そして、前席に乗員が座
った場合には前席に座った乗員の体重の何%から後輪に
荷重するとして算出し、後席に乗員が座った場合には後
席に座った乗員の体重の何%かが後輪に荷重するとして
算出している。このようにして、後輪に対する重量増加
分が算出される。また、図6のマップを見ても明らかな
ように、重量増加分が大きいほど重量係数KB が増えて
いく。これは、後輪荷重が増加すればするほど、後輪の
ロックが発生しにくくなるためである。
【0050】次ぎに、ステップS17で求められた閉圧
力Paに図6のマップを参照して求められたKB を乗算
することにより、後輪荷重で補正された閉圧力Pbを求
めている(ステップS19)。このため、後輪荷重が大
きく後輪のロックが発生しにくい(ロック限界が高い)
ほど閉圧力Pbは上昇することになる。
【0051】次に、舵角センサ77で検出された操舵角
Hθをコントロ−ラ71に読み込み、操舵角Hθが60
deg 以下であるか判定する(ステップS20,S2
1)。そして、操舵角Hθが60deg 以下であれば圧力
センサ74にて検出されるブレ−キ圧力Pが前記閉圧力
Pb以上であるか否かが判定され(ステップS22)、
Pb未満の場合にはステップS11以降の処理を繰り返
し、Pb以上の場合にはPCVバイパスバルブ62,6
3が閉制御される(ステップS23)。
【0052】一方、ステップS21の判定で「NO」と
判定された場合、即ち操舵角Hθが60deg より大きい
と判定された場合には、車速センサ73で検出された車
速V及び舵角センサ77で検出された操舵角Hθより車
体に加わる横加速度GYBが算出される(ステップS2
4)。
【0053】そして、算出された横加速度GYBに対応す
る補正係数KGを図7に示したマップを参照して求め
る。この補正係数KG は横加速度GYBが0.2g までは
外輪側と内輪側とでは同じ値であるが、横加速度GYBが
0.2g 乃至0.6g までは外輪側が増加し内輪側が減
少し、横加速度GYBが0.6g 以上では0.6g での補
正係数KG が保持されている。これは、旋回の度合いが
急になればなるほど外輪側に荷重移動するため、外輪の
方が内輪よりもロックしにくくなることを考慮したもの
である(ステップS25)。
【0054】そして、ステップS19で算出された閉圧
力Pbに補正係数KGをかけて閉圧力Pcを算出する。
つまり、旋回の度合いが急になればなるほど、ロック限
界の高い外輪の閉圧力が高くなりロック限界の低い内輪
の閉圧力が低くなるようになる。
【0055】そして、圧力センサ74で検出されたブレ
−キ圧力が内輪の閉圧力となるとPCVバイパスバルブ
62,63のうちの内輪側のバルブが閉じられ、その後
該ブレ−キ圧力が外輪側の閉圧力となるとPCVバイパ
スバルブ62,63のうちの外輪側のバルブが閉じられ
る(ステップS26,S27)。つまり、旋回時に内輪
側のPCVバイパスバルブを外輪側のPCVバイパスバ
ルブより早く閉じることにより、旋回時にロックしやす
い内輪側のブレ−キ力の上昇を抑えている。
【0056】次ぎに、本発明の第2実施例に係わる後輪
制動力制御装置について図9乃至図12を参照して説明
する。図9は本発明の第2実施例に係わる後輪制動力制
御装置を示すブロック図、図10はPCVの作動を説明
するための図、図11及び図12は制御装置の制御内容
を示すブロック図である。
【0057】図9において図1と同一部分には同一番号
を付し、その詳細な説明については省略する。図9にお
いて、81は後輪のストロ−クを検出する後輪ストロ−
クセンサである。この後輪ストロ−クセンサ81は後輪
荷重の増加に応じて増加するストロ−ク信号VsTをコン
トロ−ラ71に出力する。
【0058】また、83は従動輪(後輪)の車輪速度V
wsを検出する車輪速度センサである。この車輪速度セン
サ83で検出された車輪速度Vwsはコントロ−ラ71に
入力される。なお、車速センサ73は車両の駆動系の回
転数を検出して車速Vsを検出するものとなっており、
車速Vsは実質的に駆動車輪の回転数に対応したものと
なっている。
【0059】図10の折れ線CはPCV571 及び57
2 の入出力特性を示しているもので、PCVバイパスバ
ルブ62,63が閉じている状態では、PCV571
び572 の入力液圧がP1になるまで、直線aにより出
力液圧が決定され、PCV571 及び572 の入力液圧
がP1を越えると直線bにより出力液圧が決定される。
【0060】一方、PCVバイパスバルブ62,63を
開いている状態で入力液圧を増加させると、入力液圧が
P1 を越えても出力液圧は直線aの延長線(破線で示
す)で示すように増加し、例えば入力液圧がP3 でPC
Vバイパスバルブ62,63を閉じると、入力液圧が増
加してもPCV571 及び572 の作動により出力液圧
は直線bと交差する点iまで保持され、点iより更に入
力液圧が増加すると出力液圧は直線bにより決定され
る。
【0061】出力液圧が保持される理由は出力液圧Po
が直線bに示したような通常の制御状態より高く図25
に示したように「Po・So」>「Pi・Si+F」と
なり間隙Aが閉塞されるためである。次ぎに、図11及
び図12のブロック図を参照してコントロ−ラ71の制
御内容について説明する。
【0062】図11及び図12において、後輪ストロ−
クセンサ81で検出されたストロ−ク信号VsTはロ−パ
スフィルタ91に入力され、高周波のストロ−ク信号V
sTの変動はカットされたストロ−ク信号VsT′が出力さ
れる。そして、そのストロ−ク信号VsT′は後輪荷重予
測部92に入力される。このストロ−ク信号VsT′は後
輪の荷重の増加に応じて増加する信号である。
【0063】そして、後輪荷重予測部92で求められた
後輪荷重LR はPCVバイパスバルブ62及び63を閉
じる閉圧力PoLを求める閉圧力設定部93に送られる。
この閉圧力PoLは荷重が大きくなればなるほど、高くな
るように設定されている。これは、前述したように荷重
が大きくなればなるほど、後輪がロックしにくいためで
ある。
【0064】この閉圧力設定部93で設定された閉圧力
PoLは車速補正部94に送られる。この車速補正部94
には車速センサ73から出力される車速Vsが入力され
ている。この車速補正部94のブロック中に示したマッ
プはコントロ−ラ71に記憶されている。この車速補正
部94は閉圧力設定部93から出力される閉圧力PoLに
係数Kvを乗算し、補正した閉圧力Povをスリップ率補
正部95に出力する。ところで、係数Kvは車速が高く
なると小さくなるように設定している。これは後輪制動
力を高く設定しすぎた時の安定性悪化影響が高速になる
程大きくなるので、安定方向への余裕を持たせるためで
ある。
【0065】この車速補正部94から出力される補正さ
れた閉圧力Povはスリップ率補正部95において、後述
するスリップ率計算部で算出されたスリップ率Sに応じ
て変化する係数Ksが乗算されて補正される。図中のマ
ップはコントロ−ラ71の記憶手段に記憶されている。
このマップはスリップ率Sが大きいほど後輪がロックし
やすいので、スリップ率Sが大きくなると従って係数K
sを減少させ、スリップ率Sがある値を越えると係数K
sを一定値に保つようにしている。
【0066】スリップ率補正部95から出力される補正
された閉圧力Posは図6に示すように外気温補正部96
に送られる。この外気温補正部96には外気温センサ7
6で検出された外気温度Tに応じて変化する係数Ktが
乗算される。図中のマップはコントロ−ラ71の記憶手
段に記憶されている。このマップに示すように、係数K
tは外気温度Tが小さい領域では小さい値に設定され、
外気温度Tが大きい領域では大きい値に設定されてい
る。これは、外気温度Tが低いほど路面がすべり易いの
で、後車輪がロックしやすいためである。
【0067】外気温補正部96から出力される補正され
た閉圧力Poは悪路補正部98に送られ、係数Krが乗
算される。この悪路補正部98には後述する悪路検知部
から出力される悪路状態を示すレベル頻度Hが入力され
る。図中のマップはコントロ−ラ71の記憶手段に記憶
されている。このマップに示すように、レベル頻度が高
ければ高いほど悪路であると判定され、悪路では後輪が
ロックし易いので係数Krを小さくするように設定して
いる。
【0068】この悪路補正部98から出力される補正さ
れた閉圧力PoTはウェット路補正部100に送られて係
数Kw が乗算され、閉圧力Pokとしてウェット路補正部
100から出力される。このウェット路補正部100に
は雨滴センサ85の出力信号が入力される。図中のマッ
プはコントロ−ラ71の記憶手段に記憶されている。こ
のマップに示すように、係数Kw は雨滴センサ85の出
力がオン(降雨状態)のときには、係数Kw が小さい値
に切り替わるように設定されている。これは、雨滴セン
サ75がオンするような降雨状態の路面では後輪がロッ
クしやすいためである。
【0069】圧力センサ74で検出されたブレ−キ液圧
に応じて電圧信号Vpは変換部102に送られてブレ−
キ液圧Prに変換される。減算部103において、ブレ
−キ液圧Prから閉圧力Pokが減算される。そして、そ
の減算値は判定部104に送られ、「Pr≧Pok」であ
るが判定される。そして、「Pr≧Pok」であれば、P
CVバイパスバルブ62,63を閉制御する処理部10
5が駆動される。
【0070】ところで、図5に示すように後輪ストロ−
クセンサ81で検出された後輪のストロ−ク信号VsTは
微分部111に入力されて微分される。この微分部11
1の出力はロ−パスフィルタ112に送られて高周波成
分がカットされる。そして、このロ−パスフィルタ11
2の出力は悪路検出部113に送られ、所定時間に所定
レベルを越えた回数を悪路レベルに応じた頻度Hとして
算出する処理が行われる。この頻度Hは前述の悪路補正
部98に出力される。
【0071】また、車速センサ73で検出された駆動車
輪の速度に対応する車速Vs及び車輪速センサ83で検
出された従動輪の車輪速度Vwsはスリップ率計算部12
1に入力され、スリップ率S=(Vs−Vws)/Vsが
計算される。このスリップ率計算部121で計算された
スリップ率Sは上記スリップ率補正部95に出力され
る。外気温センサ76から出力される外気温度Tに比例
した電圧VT は変換部131に送られ、外気温度Tに変
換され、前述の外気温補正部96に出力される。
【0072】次に、上記のように構成された本発明の第
2実施例の動作について説明する。後輪ストロ−クセン
サ81から出力される後輪ストロ−ク信号VsTはロ−パ
スフィルタ91に入力され、高周波の圧力変動はカット
され、後輪荷重予測部92に入力される。この後輪荷重
予測部92において、後輪に加わる荷重LR を予測して
いる。そして、この荷重は閉圧力予測部93に送られ、
該荷重に対するPCVバイパスバルブ62,63を閉じ
る閉圧力PoRが求められる。
【0073】以下、この閉圧力PoRに車速補正部94に
おいて係数Kv、スリップ率補正部95において係数K
s、外気温補正部96において係数Kt、悪路補正部9
8において係数Kr、ウェット路補正部100において
係数Kwが乗算されて最終的な閉圧力Pokを得ている。
【0074】そして、判定部104において圧力センサ
74で検出されたブレ−キ液圧Prが閉圧力Pok以上と
なったことが検出されると、PCVバイパスバルブ6
2,63を閉じてPCV571 及び572 の機能を働か
せる処理が行われる。つまり、図10に示すように入力
液圧がPokに対応するh点でPCVバイパスバルブ62
及び63を閉じると、その後入力液圧が上昇しても出力
液圧はh点の圧力に保持され、その後入力液圧がi点の
圧力以上になると直線bで示すように増加する。このよ
うに出力液圧が保持される理由は出力液圧Po が直線b
で示したようなPCVの制動状態より高く図25に示し
たように「Po・So」>「Pi・Si+F」の関係が
保持されるためである。
【0075】以上のように路面の滑り易さに応じて閉圧
力Pokを補正、つまりスリップ率補正部95において係
数Ks、外気温補正部96において係数Kt、ウェット
補正部100において係数Kw を乗算して閉圧力Pokを
下げるように補正しているので、後輪がロックし易い路
面では閉圧力Pokを下げるようにして、後輪のロックを
未然に防止している。
【0076】次ぎに、図13乃至図16を参照して本発
明の第3実施例に係わる後輪制動力制御装置について説
明する。図13において、図9と同一部分には同一番号
を付し、その詳細な説明については省略する。図13に
おいて、81aはアクティブサスペンションの後輪用の
アクチュエ−タの圧力Vaを検出するアクティブサスア
クチュエ−タ圧力センサである。この圧力センサ81a
で検出された圧力Vaはコントロ−ラ71に入力され
る。ここで、アクティブサスペンションとは車両の各サ
スペンションユニット毎に流体ばね室を設け、その流体
ばね室に流体を供給あるいは該流体ばね室から流体を排
出することにより、サスペンションユニットの支持力を
変化させて振動を吸収したり、旋回時のロ−ル制御等の
姿勢制御を行ったりすることができると共に、車高調整
をも行うことができるサスペンションを意味する。圧力
センサ81は流体ばね室の圧力を検出する圧力センサで
ある。そして、このアクティブサスペンションを搭載し
た車両の車高レベルを指定するスイッチが車高スイッチ
82である。この車高スイッチ82は標準車高の他に標
準車高より低いL(低)車高、標準車高より高いH
(高)車高を選択するスイッチである。
【0077】次ぎに、図15及び図16のブロック図を
参照してコントロ−ラ71の制御内容について説明す
る。図15及び図16において、圧力センサ81aで検
出された圧力Vaはロ−パスフィルタ91に入力され、
高周波の圧力変動がカットされた圧力Va′が出力され
る。そして、その圧力Va′は後輪荷重予測部92に入
力される。この後輪荷重予測部92には車高スイッチ8
2の操作信号が入力される。この後輪荷重予測部92は
車高スイッチ82の操作信号により指定された車高がH
(高)車高、標準車高、L(低)車高かに応じて圧力V
aに対応する後輪荷重LR を予測している。図中のマッ
プはコントロ−ラ71の記憶手段に記憶されているもの
である。このマップにおいて、車高スイッチ82により
L車高が選択された時の方がH車高を選択した時よりも
圧力Va′に対する荷重LR は大きく設定されている。
これは、H車高を選択すると車高を上げる目的で流体ば
ね室に流体を供給するため圧力センサ81の圧力が上昇
していることに起因している。つまり、荷重LR が同じ
でもH車高が選択されている方が圧力センサ81aの出
力は高いためである。同様なことが、車高スイッチ82
により標準車高が設定されている場合にも言える。
【0078】そして、後輪荷重予測部92で求められた
後輪荷重LR はPCVバイパスバルブ62及び63を閉
じる閉圧力PoLを求める閉圧力設定部93に送られる。
この閉圧力PoLは荷重が大きくなればなるほど、高くな
るように設定されている。これは、前述したように荷重
が大きくなればなるほど、後輪がロックしにくいためで
ある。
【0079】この閉圧力設定部93で設定された閉圧力
PoLは車速補正部94に送られる。この車速補正部94
には車速センサ73から出力される車速Vが入力されて
いる。この車速補正部94のブロック中に示したマップ
はコントロ−ラ71に記憶されている。この車速補正部
94は閉圧力設定部93から出力される閉圧力PoLに車
速が高くなると小さくなる係数Kvを乗算し、補正した
閉圧力Povをスリップ率補正部95に出力する。
【0080】この車速補正部94から出力される補正さ
れた閉圧力Posは図15に示すようにスリップ率補正部
95において、後述するスリップ率計算部で算出された
スリップ率Sに応じて変化する係数Ksが乗算されて補
正される。図中のマップはコントロ−ラ71の記憶手段
に記憶されている。このマップはスリップ率Sが大きい
ほど後輪がロックしやすいので、スリップ率Sが大きく
なると従って係数Ksを減少させ、スリップ率Sがある
値を越えると係数Ksを一定値に保つようにしている。
【0081】スリップ率補正部95から出力される補正
された閉圧力Posは外気温補正部96に送られる。この
外気温補正部96には外気温センサ76で検出された外
気温度Tに応じて変化する係数Ktが乗算される。図中
のマップはコントロ−ラ71の記憶手段に記憶されてい
る。このマップに示すように、係数Ktは外気温度Tが
小さい領域では小さい値に設定され、外気温度Tが大き
い領域では大きい値に設定されている。これは、外気温
度Tが低いほど路面がすべり易いので、後車輪がロック
しやすいためである。
【0082】外気温補正部96から出力される補正され
た閉圧力PoTは悪路補正部98に送られ、係数Krが乗
算される。この悪路補正部98には後述する悪路検出部
から出力される悪路状態を示すレベル頻度Hが入力され
る。図中のマップはコントロ−ラ71の記憶手段に記憶
されている。このマップに示すように、レベル頻度が高
ければ高いほど悪路であると判定され、悪路では後輪が
ロックし易いので係数Krを小さくするように設定して
いる。
【0083】この悪路補正部98から出力される補正さ
れた閉圧力PoHは第1のウェット路補正部99に送られ
て係数Kw1が乗算される。このウェット路補正部99に
はワイパスイッチ84の操作信号(ON/OFF)が入
力される。図中のマップはコントロ−ラ71の記憶手段
に記憶されている。このマップに示すように、係数Kw1
はワイパスイッチ84がオンのときには係数Kw1が小さ
い値に切り替わるように設定されており、ワイパが間欠
作動させているときより「Hiモ−ド」で作動されてい
るときの方がKw1は小さく設定されている。これは、ワ
イパスイッチ84をオンさせるような降雨状態の路面で
は後輪がロックしやく、さらに間欠作動より「Hi」時
の方が降雨が多く、路面がすべりやすいと判定されるた
めである。
【0084】この第1のウェット路補正部99から出力
される補正された閉圧力Pw1は第2のウェット路補正部
100に送られて係数Kw2が乗算される。このウェット
路補正部100には雨滴センサ85の出力信号が入力さ
れる。図中のマップはコントロ−ラ71の記憶手段に記
憶されている。このマップに示すように、係数Kw2は雨
滴センサ85の出力がオン(降雨状態)のときには、係
数Kw2が小さい値に切り替わるように設定されている。
これは、雨滴センサ75がオンするような降雨状態の路
面では後輪がロックしやすいためである。
【0085】この第2のウェット路補正部100から出
力された閉圧力Pw2は図16に示すように急制動補正部
101に送られて係数Kpが乗算され閉圧力Pokが算出
される。この急制動補正部101に急制動を示すブレ−
キ圧の時間的変化率Pr′が入力される。図中のマップ
はコントロ−ラ71の記憶手段に記憶されている。この
マップに示すように、Kpはブレ−キ圧の時間的変化率
Pr′が大きくなると減少し、該時間的変化率Pr′が
ある値を越えると、低い値に固定される。つまり、係数
Kpは急制動の度合が大きくなると小さく設定され、急
制動時に閉圧力を低下させる補正を行なっている。
【0086】圧力センサ74で検出されたブレ−キ液圧
に応じて電圧信号Vpは変換部102に送られてブレ−
キ液圧Prに変換される。減算部103において、ブレ
−キ液圧Prから閉圧力Pokが減算される。そして、そ
の減算値は判定部104に送られ、「Pr≧Pok」であ
るが判定される。そして、「Pr≧Pok」であれば、P
CVバイパスバルブ62,63を閉制御する処理部10
5が駆動される。
【0087】ところで、変換部102から出力されるブ
レ−キ液圧Prは微分部106に送られ、時間的変化率
Pr′が求められる。このPr′は前述の急制動補正部
101に出力される。
【0088】ところで、圧力センサ81aで検出された
アクチュエ−タの圧力Vaは微分部111に入力されて
微分される。この微分部111の出力はロ−パスフィル
タ112に送られて高周波成分がカットされる。そし
て、このロ−パスフィルタ112の出力は悪路検出部1
13に送られ、所定時間に所定レベルを越えた回数を悪
路レベルに応じた頻度Hとして算出する処理が行われ
る。この頻度Hは前述の悪路補正部98に出力される。
【0089】また、車速センサ73で検出された車速V
s及び車輪速センサ83で検出された従動輪の車輪速度
Vwsはスリップ率計算部121に入力され、スリップ率
S=(Vs−Vws)/Vsが計算される。このスリップ
率計算部121で計算されたスリップ率Sは上記スリッ
プ率補正部95に出力される。外気温センサ76から出
力される外気温度Tに比例した電圧VT は変換部131
に送られ、外気温度Tに変換され、前述の外気温補正部
96に出力される。
【0090】次に、上記のように構成された本発明の第
3実施例の動作について説明する。圧力センサ81aで
検出されたアクティブサスペンションのアクチュエ−タ
の圧力Vaはロ−パスフィルタ91に入力され、高周波
の圧力変動はカットされて後輪荷重予測部92に入力さ
れる。この後輪荷重予測部92において、車高スイッチ
82によりどの車高が選択されているかに応じて後輪に
加わる荷重LR を予測している。そして、この荷重LR
は閉圧力予測部93に送られ、該荷重に対するPCVバ
イパスバルブ62,63を閉じる閉圧力PoLが求められ
る。
【0091】以下、この閉圧力PoLに車速補正部94に
おいて係数Kv、スリップ率補正部95において係数K
s、外気温補正部96において係数Kt、悪路補正部9
8において係数Kr、第1のウェット路補正部99にお
いて係数Kw1、第2のウェット路補正部100において
係数Kw2、急制動補正部101において係数Kpを順次
乗算して閉圧力Pokを得ている。
【0092】そして、判定部104において圧力センサ
74で検出されたブレ−キ液圧Prが閉圧力Pok以上と
なったことが検出されると、PCVバイパスバルブ6
2,63を閉じてPCV571 及び572 の機能を働か
せる処理が行われる。つまり、図14に示すように入力
液圧がPokに対応するh点でPCVバイパスバルブ62
及び63を閉じると、その後入力液圧が上昇しても出力
液圧はh点の圧力に保持され、その後入力液圧がi点の
圧力以上になると直線bで示すように増加する。このよ
うに出力液圧が保持される理由は出力液圧Po が直線b
で示したようなPCVの制動状態より高く図25に示し
たように「Po・So」>「Pi・Si+F」の関係が
保持されるためである。
【0093】このように上記実施例によれば、スリップ
率や外気温や雨滴センサ出力の他、ワイパスイッチ84
の作動状態に応じても閉圧力を下げるように補正するよ
うにしたので、滑り易い路面において本装置を採用した
場合でも後輪のロックを未然に防止することができる。
【0094】次ぎに、本発明の第4実施例について図1
7乃至図20を参照して説明する。図17は本発明の第
4実施例に係わる後輪制動力制御装置を示すブロック
図、図18乃至図20は該制御装置の制御内容を示すブ
ロック図である。
【0095】図17において、図1と同一部分には同一
番号を付し、その詳細な説明については省略する。図1
7において、81はアクティブサスペンションの後輪用
のアクチュエ−タの圧力Vaを検出するアクティブサス
アクチュエ−タ圧力センサである。この圧力センサ81
で検出された圧力Vaはコントロ−ラ71に入力され
る。ここで、アクティブサスペンションとは車両の各サ
スペンションユニット毎に流体ばね室を設け、その流体
ばね室に流体を供給あるいは該流体ばね室から流体を排
出することにより、サスペンションユニットの支持力を
変化させて振動を吸収したり、旋回時のロ−ル制御等の
姿勢制御を行ったりすることができると共に、車高調整
をも行うことができるサスペンションを意味する。圧力
センサ81は流体ばね室の圧力を検出する圧力センサで
ある。そして、このアクティブサスペンションを搭載し
た車両の車高レベルを指定するスイッチが車高スイッチ
82である。この車高スイッチ82は標準車高の他に標
準車高より低いL(低)車高、標準車高より高いH
(高)車高を選択するスイッチである。
【0096】また、83は従動輪(後輪)の車輪速度V
wsを検出する車輪速度センサである。この車輪速度セン
サ83で検出された車輪速度Vwsはコントロ−ラ71に
入力される。
【0097】また、84はワイパを作動させるためのワ
イパスイッチである。このワイパスイッチ84のオン/
オフ(作動/非作動)信号はコントロ−ラ71に入力さ
れる。
【0098】さらに、85はパワステアリング圧力Pps
を検出するためのパワステ圧力センサである。このパワ
ステ圧力スイッチ85で検出されたパワステアリング圧
力Ppsはコントロ−ラ71に入力される。
【0099】次ぎに、図18乃至図20のブロック図を
参照してコントロ−ラ71の制御内容について説明す
る。図18乃至図20において、圧力センサ81で検出
された圧力Vaはロ−パスフィルタ91に入力され、高
周波の圧力変動がカットされた圧力Va′が出力され
る。そして、その圧力Va′は後輪荷重予測部92に入
力される。この後輪荷重予測部92には車高スイッチ8
2の操作信号が入力される。この後輪荷重予測部92は
車高スイッチ82の操作信号により指定された車高がH
(高)車高、標準車高、L(低)車高かに応じて圧力V
aに対応する後輪荷重LR を予測している。図中のマッ
プはコントロ−ラ71の記憶手段に記憶されているもの
である。このマップにおいて、車高スイッチ82により
L車高が選択された時の方がH車高を選択した時よりも
圧力Vaに対する荷重LR は大きく設定されている。こ
れは、H車高を選択すると車高を上げる目的で流体ばね
室に流体を供給するため圧力センサ81の圧力が上昇し
ていることに起因している。つまり、荷重LR が同じで
もH車高が選択されている方が圧力センサ81の出力は
高いためである。同様なことが、車高スイッチ82によ
り標準車高が設定されている場合にも言える。
【0100】そして、後輪荷重予測部92で求められた
後輪荷重LR はPCVバイパスバルブ62及び63を閉
じる閉圧力PoLを求める閉圧力設定部93に送られる。
この閉圧力PoLは荷重が大きくなればなるほど、高くな
るように設定されている。これは、前述したように荷重
が大きくなればなるほど、後輪がロックしにくいためで
ある。
【0101】この閉圧力設定部93で設定された閉圧力
PoLは車速補正部94に送られる。この車速補正部94
には車速センサ73から出力される車速Vsが入力され
ている。この車速補正部94のブロック中に示したマッ
プはコントロ−ラ71に記憶されている。この車速補正
部94は閉圧力設定部93から出力される閉圧力PoLに
車速が高くなると小さくなる係数Kvを乗算し、補正し
た閉圧力Povをスリップ率補正部95に出力する。
【0102】この車速補正部94から出力される補正さ
れた閉圧力PoLはスリップ率補正部95において、後述
するスリップ率計算部で算出されたスリップ率Sに応じ
て変化する係数Ksが乗算されて補正される。図中のマ
ップはコントロ−ラ71の記憶手段に記憶されている。
このマップはスリップ率Sが大きいほど後輪がロックし
やすいので、スリップ率Sが大きくなると従って係数K
sを減少させ、スリップ率Sがある値を越えると係数K
sを一定値に保つようにしている。
【0103】スリップ率補正部95から出力される補正
された閉圧力Posは図19に示すように外気温補正部9
6に送られる。この外気温補正部96において外気温セ
ンサ76で検出された外気温度Tに応じて変化する係数
Ktが乗算される。図中のマップはコントロ−ラ71の
記憶手段に記憶されている。このマップに示すように、
係数Ktは外気温度Tが小さい領域では小さい値に設定
され、外気温度Tが大きい領域では大きい値に設定され
ている。これは、外気温度Tが低いほど路面がすべり易
いので、後車輪がロックしやすいためである。
【0104】外気温補正部96から出力される補正され
た閉圧力PoTは低μ路補正部97に送られ係数Kpsが乗
算される。この低μ路補正部97には後述する実際のパ
ワステ圧力Ppsとパワステ圧力予測値Pps′との偏差P
psL が入力されている。図中のマップはコントロ−ラ7
1の記憶手段に記憶されている。このマップに示すよう
に、係数KpsはPpsL が大きいほど小さくなるように設
定される。これは、低μ路では実際のパワステ圧Ppsは
パワステ圧力予測値Pps′より小さくなるためである。
【0105】さらに、低μ路補正部97から出力される
補正された閉圧力Popは悪路補正部98に送られ、係数
Krが乗算される。この悪路補正部98には後述する悪
路検出部から出力される悪路状態を示すレベル頻度Hが
入力される。図中のマップはコントロ−ラ71の記憶手
段に記憶されている。このマップに示すように、レベル
頻度が高ければ高いほど悪路であると判定され、悪路で
は後輪がロックし易いので係数Krを小さくするように
設定している。
【0106】この悪路補正部98から出力される補正さ
れた閉圧力PoHは第1のウェット路補正部99に送られ
て係数Kw1が乗算される。この第1のウェット路補正部
99にはワイパスイッチ84の操作信号(ON/OF
F)が入力される。図中のマップはコントロ−ラ71の
記憶手段に記憶されている。このマップに示すように、
係数Kw1はワイパスイッチ84がオンのときには係数K
w1が小さい値に切り替わるように設定されている。これ
は、ワイパスイッチ84をオンさせるような降雨状態の
路面では後輪がロックしやすいためである。
【0107】この第1のウェット路補正部99から出力
される補正された閉圧力Pw1は第2のウェット路補正部
100に送られて係数Kw2が乗算される。この第2のウ
ェット路補正部100には雨滴センサ85の出力信号が
入力される。図中のマップはコントロ−ラ71の記憶手
段に記憶されている。このマップに示すように、係数K
w2は雨滴センサ85の出力がオン(降雨状態)のときに
は、係数Kw2が小さい値に切り替わるように設定されて
いる。これは、雨滴センサ75がオンするような降雨状
態の路面では後輪がロックしやすいためである。
【0108】この第2のウェット路補正部100から出
力された閉圧力Pw2は図20に示すように急制動補正部
101に送られて係数Kpが乗算され閉圧力Pokが算出
される。この急制動補正部101に急制動を示すブレ−
キ圧の時間的変化率PR ′が入力される。図中のマップ
はコントロ−ラ71の記憶手段に記憶されている。この
マップに示すように、Kpはブレ−キ圧の時間的変化率
PR ′が大きくなると減少し、該時間的変化率PR ′が
ある値を越えると、低い値に固定されるものとなってお
り、急制動時に閉圧力を低下させる補正を行っている。
【0109】圧力センサ74で検出されたブレ−キ液圧
に応じた電圧信号Vpは変換部102に送られてブレ−
キ液圧Prに変換される。減算部103において、ブレ
−キ液圧Prから閉圧力Pokが減算される。そして、そ
の減算値は判定部104に送られ、「Pr≧Pok」であ
るが判定される。そして、「Pr≧Pok」であれば、P
CVバイパスバルブ62,63を閉制御する処理部10
5が駆動される。
【0110】ところで、変換部102から出力されるブ
レ−キ液圧Prは微分部106に送られ、時間的変化率
Pr′が求められる。このPr′は前述の急制動補正部
101に出力される。
【0111】また、図18に示すように、圧力センサ8
1で検出されたアクティブサスペンションのアクチュエ
−タの圧力Vaは微分部111に入力されて微分され
る。この微分部111の出力はロ−パスフィルタ112
に送られて高周波成分がカットされる。そして、このロ
−パスフィルタ112の出力は悪路検出部113に送ら
れ、所定時間に所定レベルを越えた回数を悪路のレベル
に応じた頻度Hとして算出する処理が行われる。この頻
度Hは前述の悪路補正部98に出力される。
【0112】また、車速センサ73で検出された駆動車
輪の速度に対応する車速Vs及び車輪速センサ83で検
出された従動輪の車輪速度Vwsはスリップ率計算部12
1に入力され、スリップ率S=(Vs−Vws)/Vsが
計算される。このスリップ率計算部121で計算された
スリップ率Sは前述のスリップ率補正部95に出力され
る。外気温センサ76から出力される外気温度Tに比例
した電圧VT は変換部131に送られて、外気温度Tに
変換され、前述の外気温補正部96に出力される。
【0113】図19において、舵角センサ77で検出さ
れたステアリングホイ−ルの操舵角Hθはパワステ圧力
予測部132に入力される。このパワステ圧力予測部1
32内に示すマップはステアリングホイ−ルが操舵角H
θだけ操舵するに必要とされるパワステ圧力PP ′を示
すもので、コントロ−ラ71の記憶手段に記憶されてい
る。このパワステ圧力予測部132から出力されるパワ
ステ圧力PP ′は車速補正部133に送られ、車速Vs
に応じて補正される。この車速補正部133には車速セ
ンサ73で検出された車速Vsが入力されている。この
車速補正部133は車速に応じて小さくなる補正係数K
pvをパワステ圧力PP ′に乗算している。この車速に対
する補正係数はコントロ−ラ71の記憶手段に記憶され
ている。これは車速感応型パワステにおいては車速が高
くなるとステアリングホイ−ルの操舵力を重くする制御
を行っており、これにより発生するパワステ圧力が車速
の上昇に対して低下するためである。
【0114】車速補正部133から出力される補正され
たパワステ圧力Pps′(パワステ圧力予測値)は偏差算
出部134に入力され、パワステ圧力予測値Pps′とパ
ワステ圧力センサ85で検出された実のパワステ圧力P
ps差が算出されて、偏差PpsL が算出される。この偏差
PpsL は路面μの低下に応じて増加するもので、前述の
低μ路補正部97に出力される。
【0115】次ぎに、上記のように構成された本発明の
第4実施例の動作について説明する。圧力センサ81で
検出されたアクティブサスペンションのアクチュエ−タ
の圧力Vaはロ−パスフィルタ91に入力され、高周波
の圧力変動はカットされて後輪荷重予測部92に入力さ
れる。この後輪荷重予測部92において、車高スイッチ
82によりどの車高が選択されているかに応じて後輪に
加わる荷重を予測している。そして、この荷重は閉圧力
予測部93に送られ、該荷重に対するPCVバイパスバ
ルブ62,63を閉じる閉圧力PoLが求められる。
【0116】以下、この閉圧力PoLに車速補正部94に
おいて係数Kv、スリップ率補正部95において係数K
s、外気温補正部96において係数Kt、低μ路補正部
97において係数Kps、悪路補正部98において係数K
r、第1のウェット路補正部99において係数Kw1、第
2のウェット路補正部100において係数Kw2、急制動
補正部101において係数Kpが乗算して閉圧力Pokを
得ている。
【0117】そして、判定部104において圧力センサ
74で検出されたブレ−キ液圧Prが閉圧力Pok以上と
なったことが検出されると、PCVバイパスバルブ6
2,63を閉じてPCV571 及び572 の機能を働か
せる処理が行われる。
【0118】このようにして、上記第4実施例において
は第3実施例に示したスリップ率、外気温、雨滴センサ
出力、ワイパスイッチ出力に応じた補正の他、実パワス
テ圧力が低い場合には低μ路と判別しPCVバイパスバ
ルブ62,63を閉じる閉圧力Pokを小さくなるように
補正するようにしたので、路面が滑り易くても後輪のロ
ックをより確実に防止することができ後輪が早期にロッ
クしない範囲で後輪の制動力を理想制動力配分以上に上
げることができる。
【0119】なお、本発明は上記各実施例に何ら限定さ
れるものではなく、一般にFR車に使用される前後配管
に適用して図21に示すようなバルブ配置としても良い
し、プロポ−ショニングバルブとして他の形式や他の特
性を有するものを使用しても良く、また路面状態検出手
段は上記各実施例に示した手段を単独あるいは組み合わ
せたものとしても良い。このほか本発明の要旨を変えな
い範囲内で変形実施が可能であることは言うまでもな
い。
【0120】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、
滴の有無により降雨を直接検出する雨滴センサの検出信
号と、外気温度を検出する外気温度情報に基づいて路面
の滑り易さを検出する路面状検出手段により、より正確
に路面の滑り易い状態を検出でき、この路面状態検出手
段で検出された路面の滑り易さに応じてプロポーショニ
ングバルブをバイパスさせる開閉弁を作動する設定圧力
が低下するので、路面が滑り易い時にはプロポーショニ
ングバルブを早期に作動させて後輪の早期ロックを防止
しながら、良路走行時には後輪の制動配分を比較的大き
くすることが可能で、これにより前輪の制動力負担を軽
減できる。このため、前輪ブレーキの摩耗を低減させて
ブレーキパッドの交換時期を延ばすことができると同時
に前輪ブレーキの発熱量が低下して耐フェード性が向上
し信頼性が向上するし、ノーズダイブが減少して制動安
定性を高めることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係わる後輪制動力制御装
置を示すブロック図。
【図2】第1実施例に係わる雨滴センサの概略図。
【図3】第1実施例に係わる前後輪の制動力配分を示す
図。
【図4】第1実施例に係わる後輪の制動力の制御範囲を
示す図。
【図5】第1実施例に係わる外気温補正を示す図。
【図6】第1実施例に係わる荷重補正を示す図。
【図7】第1実施例に係わる横加速度補正を示す図。
【図8】第1実施例の動作を説明するためのフロ−チャ
−ト。
【図9】本発明の第2実施例に係わる後輪制動力制御装
置を示すブロック図。
【図10】第2実施例に係わるPCVの作動を説明する
ための図。
【図11】第2実施例に係わる制御装置の制御内容の一
部を示すブロック図。
【図12】第2実施例に係わる制御装置の制御内容の一
部を示すブロック図。
【図13】本発明の第3実施例に係わる後輪制動力制御
装置を示すブロック図。
【図14】第3実施例に係わるPCVの作動を説明する
ための図。
【図15】第3実施例に係わる制御装置の制御内容の一
部を示すブロック図。
【図16】第4実施例に係わる制御装置の制御内容の一
部を示すブロック図。
【図17】本発明の第4実施例に係わる後輪制動力制御
装置を示すブロック図。
【図18】第4実施例に係わるPCVの作動を説明する
ための図。
【図19】第4実施例に係わる制御装置の制御内容の一
部を示すブロック図。
【図20】第4実施例に係わる制御装置の制御内容の一
部を示すブロック図。
【図21】その他の実施例を示す配管系統図。
【図22】従来のブレ−キ装置を示す概略構成図。
【図23】従来のブレ−キ装置の液圧配分を示す図。
【図24】プロポ−ショニングバルブの状態を示す断面
図。
【図25】プロポ−ショニングバルブの状態を示す断面
図。
【図26】プロポ−ショニングバルブの作動を説明する
ための図。
【符号の説明】
51…ブレ−キペダル、52…倍力装置、53…マスタ
シリンダ、551 〜554 …ホイ−ルシリンダ、5
1 ,572 …プロポ−ショニングバルブ、62,63
…PCVバイパスバルブ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安永 弘道 東京都港区芝五丁目33番8号 三菱自動 車工業株式会社内 (72)発明者 富樫 明彦 東京都港区芝五丁目33番8号 三菱自動 車工業株式会社内 (72)発明者 谷口 泰孝 東京都港区芝五丁目33番8号 三菱自動 車工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−301442(JP,A) 特開 昭61−37568(JP,A) 特開 昭56−57549(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マスタシリンダ圧を検出するマスタシリ
    ンダ圧検出手段と、前記マスタシリンダ圧を後輪のホイ
    ールシリンダに伝える流路に設けられ前記マスタシリン
    ダ圧が第1の設定圧力以上の領域では前記マスタシリン
    ダ圧の変化に対するホイールシリンダ圧の変化が小さく
    なるように前記ホイールシリンダ圧を制御するプロポー
    ショニングバルブと、このプロポーショニングバルブを
    バイパスして前記マスタシリンダ圧を前記ホイールシリ
    ンダに伝える流路にそれぞれ設けられた開閉弁と、後輪
    の荷重を検出する荷重検出手段と、この荷重検出手段に
    より検出された荷重に応じ前記第1の設定圧力より大き
    い第2の設定圧力を設定する設定手段と、雨滴の有無に
    より降雨を検出する雨滴センサの検出信号と外気温度を
    検出する外気温度情報に基づいて路面の滑り易さを検出
    する路面状態検出手段と、前記マスタシリンダ圧検出手
    段により検出されたマスタシリンダ圧が前記第2の設定
    圧力より低い場合は前記開閉弁を開けると共に前記マス
    タシリンダ圧が前記第2の設定圧力以上になると前記開
    閉弁を閉じ、前記路面状態検出手段により検出された路
    面の滑り易さに応じて前記第2の設定圧力を下げる制御
    手段とを具備したことを特徴とする後輪制動力制御装
    置。
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