JP2005178709A - 車両の制動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】セミブレーキバイワイヤ式ブレーキ装置において、アンチスキッド制御装置が早期作動する違和感、および、早すぎるアンチスキッド制御で最大発生可能な減速度を得ることができなくなるのを緩和する。
【解決手段】マスターシリンダ液圧による前輪制動力Ffの増大中、前輪制動力最大値Ff_maxから前輪制動力Ffを差し引いて求めた前輪制動力余裕代が所定値C以上である(h点より小前輪制動力域である)間、後輪制動力FrをFfの増大につれ設定前後輪制動力配分線βに沿って上昇させる。Ffがh点相当値より大きな領域では、Ffの増大につれFrを、βより急勾配の修正配分線εまたはηに沿うよう増大補正する。これにより、εまたはηと、前輪ロック限界線γとの交点iまたはbにおける前後輪制動力Ff,Frの組み合わせによる減速度G2またはG3が発生した時に前輪がロックを生じてアンチスキッド制御が行われ、βとγとの交点aにおける減速度G1の発生時に前輪がスリップしてアンチスキッド制御が行われていたのに対し、これを、より大きな減速度G2またはG3の発生時まで遅らせ得る。
【選択図】図7

Description

本発明は、車両の制動装置、特に、前輪または後輪の一方を運転者の制動操作力を入力されるマスターシリンダから出力されたマスターシリンダ液圧により機械的に制動し、別のエネルギー源からのエネルギーを電子制御して得られる制動エネルギーにより他方の後輪または前輪を制動する車両の制動装置に関するものである。
運転者の制動操作力に応じた制動力を発生する液圧式や電動式などの摩擦制動装置は、例えば回生制動装置などと組み合わせて複合ブレーキとなすような場合、回生制動装置などがモータ/ジェネレータの回転数(車速)やバッテリの蓄電状態に応じて許容最大回生制動トルクを異にするため、そして、エネルギー回収効率の観点からできるだけこの許容最大回生制動トルクを使い切る要求があるため、運転者の制動操作力に応じた摩擦制動力を逐一電子制御する必要がある。
この電子制御に当たっては、運転者の制動操作力から求め得る要求制動トルクを摩擦制動装置と回生制動装置とで発生させるために、そして、回生制動装置の許容最大回生制動トルクをエネルギー回収効率の観点から許容最大回生制動トルクを使い切る要求があるため、要求制動力から許容最大回生制動トルクを差し引いて摩擦制動装置が発生すべき目標摩擦制動トルクと定め、運転者の制動操作力に応じた摩擦制動装置の制動トルクがこの目標摩擦制動トルクとなるよう摩擦制動装置を電子制御する。
かかる電子制御が可能となるようにした車両の制動装置としては従来、例えば特許文献1に記載のようなものが知られている。
つまり、ブレーキペダルの踏み込みに応動するマスターシリンダからの液圧を車輪のホイールシリンダへ供給するブレーキ液圧回路中に、上記の電子制御に際して閉じる遮断弁を挿置し、マスターシリンダのリザーバ内における作動液を媒体として吐出するポンプ、これを駆動する電動モータ、およびポンプからの作動液を蓄圧するアキュムレータで構成された液圧源を設ける。
上記の電子制御に際しては、この液圧源のアキュムレータ内圧を用いて増圧弁を介しホイールシリンダ内のブレーキ液圧を増圧したり、減圧弁を介しホイールシリンダ内のブレーキ液圧を減圧することにより、マスターシリンダ液圧とは関係なくブレーキ液圧を電子制御し得るようにしたものである。
特開平2000−168536号公報
しかし上記のようにして電子制御可能とした車両の制動装置にあっては、上記の電子制御に伴ってブレーキペダルのストロークや反力の変化が発生することによる違和感を回避するために上記の遮断弁が不可欠であり、更に加えて、電子制御中も通常通りのブレーキペダルの操作フィーリング(ストロークや反力)が必要であることから、この遮断弁およびマスターシリンダ間のブレーキ液圧回路にストロークシュミレータを接続して設ける必要がある。
これら遮断弁およびストロークシュミレータは部品点数の増大によりコスト上の不利益を招き、特にストロークシュミレータは、通常通りのブレーキペダルフィーリングを発生させるチューニングに多大の工数と複雑な構成を必要とし、コストアップの大きな要因となる。
そこで本願出願人は、前輪または後輪の一方を運転者の制動操作力(ブレーキペダル踏力)に応じたマスターシリンダからの液圧で機械的に制動する第1ブレーキ系と、別のエネルギー源からのエネルギーを電子制御して得られる制動エネルギーにより他方の後輪または前輪を制動する第2ブレーキ系とよりなるセミブレーキバイワイヤ式ブレーキ装置を開発、提案中である。
このセミブレーキバイワイヤ式ブレーキ装置によれば、第1ブレーキ系が機械式であるため通常通りのブレーキペダルフィーリングを発生させることができることから、従来のフルブレーキバイワイヤ式ブレーキ装置のように遮断弁やストロークシュミレータを必要とすることなく、従って、少ない部品点数で安価にブレーキ装置の電子制御化が可能である。
一方で車両の制動時は、前方への荷重移動により前輪荷重が増大し、その分後輪荷重が減少することから、前後輪が同時に制動ロックするような理想前後輪制動力配分は、図12にαで例示する如きものとなり、後輪制動力Frを前輪制動力Ffと同じにすると後輪が前輪よりも先に制動ロックすることがある。
そこで通常は、前後輪制動力配分線を図12にβで示すように設定して、後輪制動力Frを前輪制動力Ffよりも小さくなるよう制御し、これにより前輪が後輪よりも先にロックするよう設定することが一般的に行われている。
上記したセミブレーキバイワイヤ式ブレーキ装置にあっても当然、第2ブレーキ系に係わる制動力の電子制御に際し、マスターシリンダ液圧との関連において、例えば上記のごとくに設定した前後輪制動力配分線βが達成されるよう、当該第2ブレーキ系に係わる制動力の電子制御を行うこととなる。
ところで、前後輪制動力配分線βの設定に際しこれを理想前後輪制動力配分特性αに完全に一致させることが不可能であるため、実際上は前後輪制動力配分線βを図12に例示したごとく前輪が後輪よりも先にロックする領域に設定し、少なくとも後輪が前輪よりも先にロックすることのないようにするため、以下のような問題を生ずる。
図12において、γは、前輪が制動ロックする前輪制動力の下限値を後輪制動力との関連において表す前輪ロック限界線を示し、またδは、後輪が制動ロックする後輪制動力の下限値を前輪制動力との関連において表す後輪ロック限界線を示す。
これら前輪ロック限界線γおよび後輪ロック限界線δはそれぞれ、或る特定の路面摩擦係数および或る特定の前後輪荷重の時の限界線で、路面摩擦係数が大きいほど、また、前輪荷重が重いほど前輪ロック限界線γは図12の右方へ移行し、路面摩擦係数が大きいほど、また、後輪荷重が重いほど後輪ロック限界線δは図12の上方へ移行するが、これら前輪ロック限界線γおよび後輪ロック限界線δは、理想前後輪制動力配分特性α上の同じ点において交差することは言うまでもない。
前輪制動力をマスターシリンダ液圧により発生させ、後輪制動力を電子制御するセミブレーキバイワイヤ式ブレーキ装置につき説明すると、ブレーキペダルの踏み込みにつれ後輪制動力は、前輪制動力との関連において図12のごとくに設定した前後輪制動力配分線βに沿い増大するよう電子制御される。
そして前後輪制動力の組み合わせが、設定前後輪制動力配分線βと前輪ロック限界線γとの交点aにおける組み合わせになると、前輪が制動スリップを発生し、これを防止すべくアンチスキッド制御装置(ABS)が作動する。
このアンチスキッド制御は、前輪スリップ率S(車体速VSPから前輪速Vwを減じた値を車体速VSPで除した値)が、図5にSrで示すような、路面摩擦係数ごとの最大制動力を発生する理想スリップ率(通常0.15程度)に保たれるよう前輪ブレーキ液圧を増減圧制御して制動距離の短縮を図るものである。
かように前輪ABS作動点aにおいて前輪ブレーキ液圧が増減圧制御されると、これによる液圧変動がマスターシリンダに至るキックバックによりブレーキペダルを振動させ、運転者はアンチスキッド制御装置の作動を認知することとなる。
前輪ABS作動点aにおける前後輪制動力の組み合わせにより得られる減速度はG1であり(dは、G1の減速度を発生する前後輪制動力の組み合わせ表す等減速度線)、運転者はこの減速度G1を感じながらアンチスキッド制御装置の作動を認知する。
ところで、今の路面摩擦係数などの条件によれば、前輪ロック限界線γおよび後輪ロック限界線δが交差する(前後輪が同時にロックする)理想前後輪制動力配分特性α上の点bでの前後輪制動力の組み合わせにより得られる減速度は上記のG1よりも大きなG3であり(eは、G3の減速度を発生する前後輪制動力の組み合わせ表す等減速度線)、運転者はこの減速度G3を発生させ得る筈だとの予測の基に制動操作を行っていることから、それよりAだけ小さな減速度G1でアンチスキッド制御装置の作動を認知すると、運転者はアンチスキッド制御装置の作動が早期に過ぎるという違和感を覚える虞がある。
かかる問題の他に以下の問題も生ずる。
つまり、今の路面摩擦係数などの条件によれば上記の通り減速度G3を発生させることができるにもかかわらず、早すぎるアンチスキッド制御によりそれがスポイルされ、最大発生可能な減速度を得ることができないという問題をも生ずる。
上記とは逆に後輪制動力をマスターシリンダ液圧により発生させ、前輪制動力を電子制御するセミブレーキバイワイヤ式ブレーキ装置において上記の現象が起きた場合においても、アンチスキッド制御による前輪ブレーキ液圧の増減はマスターシリンダ(ブレーキペダル)にキックバックされることはないものの、前輪ブレーキ液圧の増減制御に伴う前輪の回転振動に起因した車体振動から運転者はアンチスキッド制御装置の作動を認知することとなり、同様な違和感のあるアンチスキッド制御装置の早期作動感を運転者に与える虞があるという問題があるし、また、早すぎるアンチスキッド制御により最大発生可能な減速度を得ることができないという問題を生ずる。
なお上記では、図12に示すように設定前後輪制動力配分線βを理想前後輪制動力配分特性αよりも下方(前輪先ロック側)に位置させている場合につき説明したが、前後輪制動力配分線を理想前後輪制動力配分特性αよりも上方(後輪先ロック側)に位置させている場合も同様に、後輪の制動ロックを解除するためのアンチスキッド制御装置が早期に作動する違和感を運転者に与える虞があるという問題を生ずるし、また、早すぎるアンチスキッド制御により最大発生可能な減速度を得ることができないという問題を生ずる。
更に貨物車両などで要求されることであるが、図13に示すように、空車時の車重を基準(設定重量)としてこの時の前輪ロック限界線γおよび後輪ロック限界線δに対し前輪ロック限界線γとの交点fで後輪が先にロックするよう、しかし、積車時の重量増大時はこの時の前輪ロック限界線γ’および後輪ロック限界線δ’に対し後輪ロック限界線δ’との交点gで前輪が先にロックするよう前後輪制動力配分線βを設定したセミブレーキバイワイヤ式ブレーキ装置においても、前記したと同様に、アンチスキッド制御装置が早期に作動する違和感を運転者に与える虞があるという問題を生ずるし、また、早すぎるアンチスキッド制御により最大発生可能な減速度を得ることができないという問題を生ずる。
本発明は、セミブレーキバイワイヤ式ブレーキ装置の場合、マスターシリンダ液圧の上昇中いかなるタイミングからでも、第2ブレーキ系に係わる車輪制動力の電子制御による補正で前後輪制動力配分を任意に変更することができるとの観点から、
当該第2ブレーキ系に係わる車輪制動力の補正を介した前後輪制動力配分の変更により、アンチスキッド制御装置が早期に作動する違和感を運転者に与える虞があるという問題や、早すぎるアンチスキッド制御により最大発生可能な減速度を得ることができないという問題を解消可能とした車両の制動装置を提供することを目的とする。
この目的のため本発明による車両の制動装置は、請求項1に記載のごとくに構成する。
先ず、基礎前提となる制動装置を説明するに、これは、
運転者の制動操作力を入力されるマスターシリンダから出力されたマスターシリンダ液圧に応動して、前輪または後輪のいずれ一方を機械的に制動する第1ブレーキ系と、
該第1ブレーキ系による制動力との協働により車両の要求減速度を達成するような制動力で他方の車輪の制動すると共に、該他方の車輪の制動力を前記マスターシリンダ液圧の上昇中前後輪制動力配分が所定の前後輪制動力配分となるよう電子的に上昇制御する第2ブレーキ系とを具えたものとする。
本発明においては、上記の制動装置に対し、
路面摩擦係数を推定する路面摩擦係数推定手段と、
この手段で推定した推定路面摩擦係数に基づき、前後輪が同時に制動ロックする時の第1ブレーキ系による制動力最大値を算出する第1ブレーキ系制動力最大値算出手段と、
第1ブレーキ系による実制動力を算出する第1ブレーキ系制動力実際値算出手段と、
前記マスターシリンダ液圧の上昇中、これら手段で算出した第1ブレーキ系の制動力最大値と実制動力との差が所定値未満になったら、前後輪制動力配分が前記所定の前後輪制動力配分から徐々に前後輪同時ロックの理想前後輪制動力配分に向かうよう前記第2ブレーキ系の制動力を補正する第2ブレーキ系制動力補正手段とを設けて構成する。
かかる本発明の車両の制動装置によれば、
推定路面摩擦係数に基づき求めた、今の路面摩擦係数のもとで前後輪が同時に制動ロックする時の第1ブレーキ系による制動力最大値と、第1ブレーキ系による実制動力との差が、第1ブレーキ系に係わるマスターシリンダ液圧の上昇中、所定値未満になったら、前後輪制動力配分が予め設定してある所定の前後輪制動力配分から徐々に前後輪同時ロックの理想前後輪制動力配分に向かうよう第2ブレーキ系の制動力を補正するため、
当該第2ブレーキ系に係わる制動力の補正を介した前後輪制動力配分の理想前後輪制動力配分に向かう変更により、前輪および後輪のうち先にロックする車輪のロックを遅らせることができ、これにより、アンチスキッド制御装置が早期に作動する違和感を運転者に与える虞があるという前記の問題や、早すぎるアンチスキッド制御により最大発生可能な減速度を得ることができないという前記の問題をともに解消することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明のー実施例になる車両の制動装置を示し、1は、運転者が踏み込んで制動操作力を付与するブレーキペダル、2は、ブレーキペダル1からの制動操作力を入力されるマスターシリンダである。
ブレーキペダル1からの制動操作力は、負圧式や、正圧式や、油圧式を可とする倍力装置3を介して倍力下に入力する。
マスターシリンダ2はタンデムマスターシリンダとし、該マスターシリンダ2の2個の液圧出口から左右前輪4L,4Rの制動ユニット(ドラムブレーキやディスクブレーキ等)5L,5Rまでブレーキ配管6L,6Rを延在させ、これら独立した2系統により第1ブレーキ系7を構成する。
左右後輪8L,8Rの制動ユニット(ドラムブレーキやディスクブレーキ等)9L,9Rは、ブレーキ配管10L,10Rを介して後輪制動力制御装置11に接続し、これら独立した2系統により第2ブレーキ系12を構成する。
後輪制動力制御装置11は、詳細を図示しなかったが、電動式ポンプおよびアキュムレータを含むブレーキ液圧源と、これからの液圧を元圧としてブレーキ配管10L,10Rへのブレーキ液圧を決定する増圧弁および減圧弁と、これら弁の開閉制御を司るコントローラとで構成する。
そしてコントローラは、ブレーキペダル1の踏み込みに応動して発生するマスターシリンダ液圧Pmを検出する液圧センサ14からの信号を入力され、これを基に第1ブレーキ系7による前輪制動力および車両の要求減速度を演算する第1制動力演算手段および要求減速度演算手段と、これら第1ブレーキ系7による前輪制動力および車両の要求減速度から、第1ブレーキ系7による前輪制動力との協働により車両の要求減速度を実現可能な第2ブレーキ系12の目標後輪制動力を演算する第2制動力演算手段とを内蔵し、この目標後輪制動力が第2ブレーキ系12により達成されるよう、増圧弁および減圧弁を開閉制御するものとする。
図2は本発明の他の実施例を示し、本実施例においては、図1に示した構成に回生制動装置17を付加したもので、図中、図2におけると同様の部分を同一符号にて示す。
本実施例においては回生制動装置17を、ブレーキ配管10L,10Rからのブレーキ液圧により制動される後輪8L,8Rに関連して設け、ブレーキ配管10L,10Rおよび後輪制動力制御装置11と、回生制動装置17とで第2ブレーキ系12を構成する。
ここで回生制動装置17は、後輪8L,8Rに駆動連結されて該車輪の回転エネルギーを電気エネルギーに変換し、この電気エネルギーをバッテリに蓄電することにより後輪8L,8Rに制動力を付与するものとする。
図2のように回生制動装置17を付加する場合、回生制動によるエネルギー回収によりエネルギーの有効利用を図ることができて有利であり、当該エネルギーの有効利用という意味において、バッテリ蓄電状態などにより決まる許容最大回生制動力をできるだけ使い切るよう回生制動力を決定するのが良いのは言うまでもない。
なお本実施例において、後輪制動力制御装置11における上記した第2制動力演算手段は図1につき前述したごとくに求めた第2ブレーキ系12の目標後輪制動力を、ブレーキ配管10L,10Rからのブレーキ液圧による後輪制動力と、回生制動装置17による後輪制動力とに振り分けて目標後輪制動力を実現するよう、ブレーキ配管10L,10Rへのブレーキ液圧および回生制動装置17による回生制動力を決定するものとする。
本実施例において後輪制動力制御装置11における上記第2制動力演算手段は、第2ブレーキ系12の目標後輪制動力を図3に示す制御プログラムにより決定するものとする。
先ずステップS1においては、図1および図2に示すセンサ14により検出したマスターシリンダ液圧Pmを読み込む。ここでマスターシリンダ液圧Pmは、制動に際して運転者がブレーキペダル1を踏み込むにつれて連続的に上昇変化し、ステップS1では、当該変化しているマスターシリンダ液圧Pmを逐一読み込む。
次いで、第1ブレーキ系制動力実際値算出手段に相当するステップS2において、機械的な第1ブレーキ系7による制動力Ff(図1および図2では前輪制動力)を、上記のごとく上昇変化しているマスターシリンダ液圧Pmと、液圧・制動力変換係数k1とを用い、Ff=Pm×k1の演算により求める。
次のステップS3においては、図4に例示した機械的な第1ブレーキ系7(前輪4L,4R)の制動圧、つまりマスターシリンダ液圧Pmと、車両の要求減速度Gsとの関係を表した予定のマップを基に、上記のごとく上昇変化しているマスターシリンダ液圧Pmから車両の要求減速度Gsを検索により求める。
次のステップS4においては、車両の要求減速度Gsの関数f(Gs)で表される、要求減速度Gsを発生させるための車両の総要求制動力Ftotalを求める。
次のステップS5においては、要求制動力Ftotalから第1ブレーキ系7による前輪制動力Ff(以下では、第1制動力Ffとも言う)を差し引いて、前輪制動力Ffだけでは要求制動力Ftotalに対して車両制動力がどのくらい不足するかを示した制動力不足分F2を求める。
ここで制動力不足分F2を詳述するに、本実施例においても図12につき前述したと同じく、前後輪制動力配分線を図7にβで示すように設定して前輪が後輪よりも先にロックすることで車両の制動挙動を安定させるようになし、マスターシリンダPmの上昇により前輪制動力Ffが増大するにつれ制動力不足分F2が前後輪制動力配分線βに沿って増大するようになす。
次のステップS6においては、路面の摩擦係数μpを車輪の回転運動方程式より以下のごとくに推定する。
車輪の回転運動方程式は以下の理論式で表され、
Iw・dω/dt=μp・Wwi・R−k・Pwi・r ・・・・(1)
各輪の車輪加速度dω/dt、制動ユニット5L,5R,9L,9Rのホイールシリンダ液圧Pwi、および輪荷重Wwiを代入して各輪の前後方向路面摩擦係数μpを求める。
ここで、Iwは各輪の慣性モーメント(定数)、Rは各輪の半径(定数)、rは制動ユニット5L,5R,9L,9Rのディスクロータ有効径(定数)、各符号の右の添え字i は各輪毎を意味する。
定数kは以下のように表され、
k=2μbp・A ・・・・(2)
μbpは、制動ユニット5L,5R,9L,9Rのブレーキパッドの摩擦係数、Aは、ホイールシリンダ面積により定まる定数である。
路面の摩擦係数μpの推定は、上記の演算による他に以下の要領で求めることもできる。
つまり、車体速VSPおよび車輪速Vwから求めた車輪スリップ率S=(VSP-Vw)/VSP、および路面反力(車輪制動力Ff,Fr)から、路面摩擦係数μpをパラメータとしこれら車輪スリップ率Sおよび路面反力(車輪制動力Ff,Fr)間の関係を表す図5に示すような予め求めておいた特性図を参照して、マップ検索により路面摩擦係数μpを求める方法である。
次のステップS7においては、路面摩擦係数μpのもとで前輪が発生可能な最大制動力Ff_maxを、以下のようにして求める。
前輪が制動ロックする前輪制動力Ffの下限値を後輪制動力Frとの関連において表す前輪ロック限界線γ、および、後輪が制動ロックする後輪制動力Frの下限値を前輪制動力Ffとの関連において表す後輪ロック限界線δはそれぞれ、図12につき前記した通り路面摩擦係数に応じて変化し、上記推定した路面摩擦係数μpのもとでの前輪ロック限界線γおよび後輪ロック限界線δは図7に示すように特定され、理想前後輪制動力配分特性α上の同じ点bにおいて交差する。
この点bは、前後輪が同時に制動ロックする前後輪制動力Ff,Frの値であり、この時の前輪制動力Ffの値Ff_maxが、路面摩擦係数μpのもとで第1ブレーキ系により前輪が発生可能な制動力最大値である。
従って、第1ブレーキ系による前輪制動力最大値Ff_maxは、上記推定した路面摩擦係数μpの関数f(μp)で表され、この観点からステップS7においては、この関数Ff_max=f(μp)から第1ブレーキ系による前輪制動力最大値Ff_maxを算出する。
よってステップS7は、本発明における第1ブレーキ系制動力最大値算出手段に相当する。
次のステップS8においては、第1ブレーキ系による前輪制動力最大値Ff_maxから、ステップS2で求めた第1ブレーキ系7による前輪制動力実際値Ffを差し引いて、前輪制動力の余裕代Ff_aを算出する。
ステップS9では、前輪制動力余裕代Ff_aが図7に例示する所定値C以上か否か判断する。前輪制動力余裕代Ff_aが所定値C以上であれば(Yes)、つまり、図7において点hよりも小前輪制動力領域であれば、ステップS10において目標後輪制動力Frに、ステップS5で求めた制動力不足分F2をそのままセットし、次のステップS11でこれを指令するよう出力し、本制御を終了する。
このように定めた目標後輪制動力Frは、マスターシリンダ液圧による前輪制動力Frの増大につれ、図7の設定前後輪制動力配分線βに沿って増大するものである。
一方、上記のステップS9において、前輪制動力余裕代Ff_aが所定値C未満であると判定すれば(No)、つまり、図7において点hよりも大前輪制動力領域になったら、制御をステップS12へ進め、以下の式に基づき目標後輪制動力Frを算出する。
Fr=F2+(Ff―Ff_a)・k2 ・・・・(3)
k2は定数である。
この式により表される目標後輪制動力Frは、マスターシリンダ液圧による前輪制動力Frの増大につれ、第2ブレーキ系による後輪制動力を図7の設定前後輪制動力配分線βよりも増大して、同図にεで例示するような前後輪制動力配分線を実現するものである。
従ってステップS12は、本発明における第2ブレーキ系制動力補正手段に相当する。
次のステップS13においては、今の前輪制動力Ffのもとで後輪が制動ロックする後輪制動力の下限値に相当する後輪制動力限界値Fr_lockを算出する。
この算出に当たっては、図7における理想前後輪制動力配分線αと同じ図6に示した理想前後輪制動力配分線αを参照し、上記ステップS2で算出した前輪制動力Ffから当該後輪制動力限界値Fr_lockの算出を行う。
次のステップS14においては、上記ステップS12で算出した目標後輪制動力Frが、後輪制動力限界値Fr_lock未満であるか否かをチェックする。
目標後輪制動力Frが後輪制動力限界値Fr_lock未満であるである場合(Yes)、制御をステップS11に進め、上記ステップS12で算出した目標後輪制動力Frをそのまま指令として出力し、本制御を終了する。
一方、ステップS14で目標後輪制動力Frが、後輪制動力限界値Fr_lock以上であるであると判定する場合(No)、ステップS15へ進み、上記ステップS13で算出した後輪制動力限界値Fr_lockを目標後輪制動力Frにセットして、目標後輪制動力Frが後輪制動力限界値Fr_lockを越えることのないようにし、
次のステップS11で、上記のように制限した目標後輪制動力Frを指令値として出力し、本制御を終了する。
上記した構成の本実施例によれば、第1ブレーキ系7がマスターシリンダ液圧Pmにより前輪制動力Ffを増大させている間、この前輪制動力Ffが図7のh点相当値よりも小さな領域では、前輪制動力Ffの増大につれ後輪制動力Frを設定前後輪制動力配分線βに沿って上昇させる。
ところで、前輪制動力Ffが図7のh点相当値よりも大きな領域では、前輪制動力Ffの増大につれ後輪制動力Frを、設定前後輪制動力配分線βよりも急勾配になるよう修正した前後輪制動力配分線εに沿って増大するよう増大補正することから、修正した前後輪制動力配分線εと前輪ロック限界線γとの交点iにおける前後輪制動力Ff,Frの組み合わせに至ってはじめて前輪が制動ロックを生じ、これを防止すべくアンチスキッド制御装置が作動するようになる。
一方で従来は図12につき前述したごとく、前後輪制動力Ff,Frの組み合わせが、設定前後輪制動力配分線βと前輪ロック限界線γとの交点aにおける組み合わせになった時に前輪が制動スリップを発生し、これを防止すべくアンチスキッド制御装置が作動する。
従って上記した実施例においては、従来の前輪ABS作動点aにおける前後輪制動力Ff,Frの組み合わせにより得られる減速度G1(dは、G1の減速度を発生する前後輪制動力の組み合わせ表す等減速度線)よりもBだけ大きな、前輪ABS作動点iにおける前後輪制動力Ff,Frの組み合わせにより得られる減速度G2(jは、G2の減速度を発生する前後輪制動力の組み合わせ表す等減速度線)が発生した時に、前輪アンチスキッド制御装置の作動をブレーキペダルへのキックバックにより運転者は感じることとなり、その分だけ、運転者がアンチスキッド制御装置の作動が早期に過ぎるという違和感を緩和することができる。
本実施例によれば更に、アンチスキッド制御装置の早期作動を上記の通り緩和し得ることから、早すぎるアンチスキッド制御により最大発生可能な減速度を得ることができないという問題をも緩和することができる。
なお本実施例によれば、図7のh点以後における上記後輪制動力Frの増大補正に起因して、制動操作力に対する車両減速度の変化特性が図8に実線で示すように非線形になることから、当該補正を行わなかった場合の破線で示す線形特性に較べ違和感になる虞がある。
これがため、図7に示した前輪制動力余裕代Ff_aに関する所定値C、および、同図に示す修正した前後輪制動力配分線εの勾配、つまり、図3のステップS12における定数k2の決定に当たっては、図8に実線で示した制動操作力に対する車両減速度の変化特性が大きな違和感になることのないようこれら所定値Cおよび定数k2の決定を行う。
また、図7に示す修正した前後輪制動力配分線εの勾配(ステップS12における定数k2)の決定に当たっては、特に、以下のようにこれを定めることができる。
前記推定路面摩擦係数μpに基づき、前後輪が同時に制動ロックする時の第2ブレーキ系による後輪制動力最大値Fr_maxを算出し(第2ブレーキ系制動力最大値算出手段に相当する)、
図7に示す前輪制動力Ffおよび後輪制動力Frの2次元座標上において、第1ブレーキ系の前輪制動力最大値Ff_maxと実制動力Ffとの差Ff_aが所定値Cまで低下した時における設定前後輪制動力配分βに対応した第1ブレーキ系の前輪制動力Ffおよび第2ブレーキ系の後輪制動力Frの組み合わせに係わる座標点(図7のh点)と、第1ブレーキ系による前輪制動力最大値Ff_maxおよび第2ブレーキ系による後輪制動力最大値Fr_maxの組み合わせに係わる座標点(図7のb点)とを結んだ直線ηを、前記修正した前後輪制動力配分線となし、第1ブレーキ系による前輪制動力Ffの増大につれ第2ブレーキ系による後輪制動力Frをこの前後輪制動力配分線ηが達成されるよう増大補正するものである。
この場合、推定路面摩擦係数μpのもとで前後輪が同時に制動ロックする前輪制動力最大値Ff_maxおよび後輪制動力最大値Fr_maxの組み合わせにより得られる最大減速度G3のときにアンチスキッド制御装置が作動するため、アンチスキッド制御装置の早期作動に関する違和感や、早すぎるアンチスキッド制御により最大発生可能な減速度を得ることができないという問題を、前記の場合よりも一層確実に緩和することができる。
ところで、修正した前後輪制動力配分線を上記ηのごとくに定める場合において特に生じ易いことであるが、推定路面摩擦係数μpが推定誤差により実際の路面摩擦係数と違ったことにより、前後輪が同時に制動ロックする前後輪制動力最大値の組み合わせ点が実際は図9のb点(図7のb点と同じ)であるのに、誤って同図のb’点であると判断した場合は、当該b’点よりも大きな前輪制動力の領域で後輪制動力Frを破線θで示すように増大しようとする。
しかし本実施例では、図3のステップS15において、目標後輪制動力Frが後輪制動力限界値Fr_lockを越えることのないようにしたから、図9のb’点よりも大きな前輪制動力の領域で後輪制動力Frが実線で示されるように理想前後輪制動力配分線α上の値に制限されることとなる。
これにより、後輪8L,8Rが前輪4L,4Rよりも先に制動ロックするような事態の発生を防止することができる。
なお、目標後輪制動力Frが後輪制動力限界値Fr_lockを越えるケースとしては、上記のように路面摩擦係数μpの推定に誤差を生じてしまった場合のほかに、制御プログラムの簡素化のため図3のステップS13を省略してステップS12における定数k2を大きく定めた場合にも目標後輪制動力Frが後輪制動力限界値Fr_lockを越えるが、
このような場合にも、目標後輪制動力Frを後輪制動力限界値Fr_lock以下に制限する本実施例は大いに有効で、後輪8L,8Rが前輪4L,4Rより先にロックするような事態が発生するのを防止することができる。
なお上記実施例では、図1および図2に示すように、マスターシリンダ液圧Pmに応動する第1ブレーキ系7により前輪を制動し、電子制御される第2ブレーキ系12により後輪を制動するセミブレーキバイワイヤ式ブレーキ装置を前提として説明を展開した。
しかし、これとは逆に、後輪制動力Frをマスターシリンダ液圧Pmにより発生させ、前輪制動力Ffを電子制御するようにしたセミブレーキバイワイヤ式ブレーキ装置においても、前輪の早期ロックが起きると、アンチスキッド制御による前輪ブレーキ液圧の増減に伴う前輪の回転振動(車体振動)からアンチスキッド制御装置の早期作動に関する違和感を運転者に感じさせる虞があったり、早すぎるアンチスキッド制御により最大発生可能な減速度を得ることができないという問題を生ずる。
従って、上記実施例で説明した本発明による制動力補正技術は、後輪制動力Frをマスターシリンダ液圧Pmにより発生させ、前輪制動力Ffを電子制御するようにしたセミブレーキバイワイヤ式ブレーキ装置にも同様に適用して同様の作用効果を達成し得ることは言うまでもない。
但しこの場合、補正の対象となる制動力が後輪制動力ではなく前輪制動力になること勿論である。
更に上記では、図7に示すように設定前後輪制動力配分線βを理想前後輪制動力配分特性αよりも下方(前輪先ロック側)に位置させている場合につき説明したが、図10に示すように前後輪制動力配分線β’を理想前後輪制動力配分特性αよりも上方(後輪先ロック側)に位置させている場合も同様に、後輪の制動ロックを解除するためのアンチスキッド制御装置が早期に作動する違和感を運転者に与える虞があるという問題を生ずると共に、早すぎるアンチスキッド制御により最大発生可能な減速度を得ることができないという問題を生ずる。
このような場合も、本発明においては前記したと同様な以下の手法でこれらの問題を同様に緩和、若しくは解消することができる。
セミブレーキバイワイヤ式ブレーキ装置が図1または図2に示すように、マスターシリンダ液圧Pmに応動する第1ブレーキ系7により前輪を制動し、電子制御される第2ブレーキ系12により後輪を制動するものである場合につき、図10を参照しつつ以下に説明する。
なお図10において、図7に対応する部分は同じ符号、若しくは、同じ符号に「’」を付して示す。
第1ブレーキ系7がマスターシリンダ液圧Pmにより前輪制動力Ffを増大させている間、第1ブレーキ系7による前輪制動力最大値Ff_maxから第1ブレーキ系7による前輪制動力実際値Ffを差し引いて求めた前輪制動力余裕代が図10に示す所定値C以上である場合は、つまり、図10においてh’点よりも小前輪制動力領域であれば、前輪制動力Ffの増大につれ後輪制動力Frを設定前後輪制動力配分線β’に沿って上昇させる。
ところで、前輪制動力Ffが図10のh’点相当値よりも大きな領域では、前輪制動力Ffの増大につれ後輪制動力Frを、設定前後輪制動力配分線β’よりも緩勾配になるよう修正した前後輪制動力配分線ε’に沿って増大するよう低下補正する。
これにより、修正した前後輪制動力配分線ε’と後輪ロック限界線δとの交点i’における前後輪制動力Ff,Frの組み合わせに至ってはじめて後輪が制動ロックを生じ、これを防止すべくアンチスキッド制御装置が作動する。
一方で従来は、前後輪制動力Ff,Frの組み合わせが、設定前後輪制動力配分線β’と後輪ロック限界線δとの交点a’における組み合わせになった時に後輪が制動スリップを発生し、これを防止すべくアンチスキッド制御装置が作動する。
従って実施例においては、従来の後輪ABS作動点a’における前後輪制動力Ff,Frの組み合わせにより得られる減速度G1’(d’は、G1’の減速度を発生する前後輪制動力の組み合わせ表す等減速度線)よりもB’だけ大きな、後輪ABS作動点i’における前後輪制動力Ff,Frの組み合わせにより得られる減速度G2’(j’は、G2’の減速度を発生する前後輪制動力の組み合わせ表す等減速度線)が発生した時に、後輪アンチスキッド制御装置の作動を後輪の回転振動(車体振動)により運転者は感じることとなり、その分だけ、運転者がアンチスキッド制御装置の作動が早期に過ぎるという違和感を緩和することができる。
本実施例によれば更に、アンチスキッド制御装置の早期作動を上記の通り緩和し得ることから、早すぎるアンチスキッド制御により最大発生可能な減速度を得ることができないという問題をも緩和することができる。
なお本実施例によれば、図10のh’点以後における上記後輪制動力Frの低下補正に起因して、制動操作力に対する車両減速度の変化特性が図11に実線で示すように非線形になることから、当該補正を行わなかった場合の破線で示す線形特性に較べ違和感になる虞がある。
これがため、図10に示した前輪制動力余裕代関する所定値C、および、同図に示す修正した前後輪制動力配分線ε’の勾配の決定に当たっては、図11に実線で示した制動操作力に対する車両減速度の変化特性が大きな違和感になることのないよう当該決定を行う。
また、図10に示す修正した前後輪制動力配分線ε’の勾配の決定に当たっては、特に、以下のようにこれを定めることができる。
図10に示す前輪制動力Ffおよび後輪制動力Frの2次元座標上において、第1ブレーキ系の前輪制動力最大値Ff_maxと実制動力Ffとの差が所定値Cまで低下した時における設定前後輪制動力配分β’に対応した第1ブレーキ系の前輪制動力Ffおよび第2ブレーキ系の後輪制動力Frの組み合わせに係わる座標点(図10のh’点)と、推定路面摩擦係数μpのもとで前後輪が同時に制動ロックする第1ブレーキ系による前輪制動力最大値Ff_maxおよび第2ブレーキ系による後輪制動力最大値Fr_maxの組み合わせに係わる座標点(図10のb点)とを結んだ直線η’を、上記修正した前後輪制動力配分線となし、第1ブレーキ系による前輪制動力Ffの増大につれ第2ブレーキ系による後輪制動力Frをこの前後輪制動力配分線η’が達成されるよう低下補正するものである。
この場合、推定路面摩擦係数μpのもとで前後輪が同時に制動ロックする前輪制動力最大値Ff_maxおよび後輪制動力最大値Fr_maxの組み合わせにより得られる最大減速度G3のときにアンチスキッド制御装置が作動するため、アンチスキッド制御装置の早期作動に関する違和感や、早すぎたアンチスキッド制御による最大発生可能な減速度を得ることができないという問題を、上記の場合よりも一層確実に緩和することができる。
本発明の一実施例になる車両の制動装置を示す制御システム図である。 本発明の他の実施例になる車両の制動装置を示す制御システム図である。 図1または図2における制動装置の後輪制動力制御プログラムを示すフローチャートである。 車両要求減速度の演算マップを例示する特性線図である。 車輪スリップ率と路面反力(制動力)との関係を、路面摩擦係数別に示す特性図である。 後輪が制動ロックする後輪制動力限界値の変化特性を前輪制動力との関連において示す特性図である。 図3の制御プログラムにより後輪制動力を制御した時における動作特性図である。 同後輪制動力制御により発生する車両減速度の発生具合を、本発明の制御を行わなかった場合のそれと比較して示す特性図である。 図3の制御プログラムにより後輪制動力を制限した時における動作特性図である。 設定前後輪制動力配分線が、理想前後輪制動力配分特性に対し図7とは逆側にある場合における後輪制動力制御の動作特性図である。 同後輪制動力制御により発生する車両減速度の発生具合を、本発明の制御を行わなかった場合のそれと比較して示す特性図である。 通常の後輪制動力制御による前輪先ロックの発生状況を示す動作特性図である。 通常の後輪制動力制御による前輪先ロックの他のケースでの発生状況を示す動作特性図である。
符号の説明
1 ブレーキペダル
2 マスターシリンダ
3 倍力装置
4L,4R 左右前輪
5L,5R 制動ユニット
6L,6R ブレーキ配管
7 第1ブレーキ系
8L,8R 左右後輪
9L,9R 制動ユニット
10L,10R ブレーキ配管
11 後輪制動力制御装置
12 第2ブレーキ系
14 マスターシリンダ液圧センサ
17 回生制動装置

Claims (6)

  1. 運転者の制動操作力を入力されるマスターシリンダから出力されたマスターシリンダ液圧に応動して、前輪または後輪のいずれ一方を機械的に制動する第1ブレーキ系と、
    該第1ブレーキ系による制動力との協働により車両の要求減速度を達成するような制動力で他方の車輪の制動すると共に、該他方の車輪の制動力を前記マスターシリンダ液圧の上昇中前後輪制動力配分が所定の前後輪制動力配分となるよう電子的に上昇制御する第2ブレーキ系とを具えた車両の制動装置において、
    路面摩擦係数を推定する路面摩擦係数推定手段と、
    この手段で推定した推定路面摩擦係数に基づき、前後輪が同時に制動ロックする時の第1ブレーキ系による制動力最大値を算出する第1ブレーキ系制動力最大値算出手段と、
    第1ブレーキ系による実制動力を算出する第1ブレーキ系制動力実際値算出手段と、
    前記マスターシリンダ液圧の上昇中、これら手段で算出した第1ブレーキ系の制動力最大値と実制動力との差が所定値未満になったら、前後輪制動力配分が前記所定の前後輪制動力配分から徐々に前後輪同時ロックの理想前後輪制動力配分に向かうよう前記第2ブレーキ系の制動力を補正する第2ブレーキ系制動力補正手段とを具備してなることを特徴とする車両の制動装置。
  2. 請求項1に記載の車両の制動装置において、
    前記路面摩擦係数推定手段で推定した推定路面摩擦係数に基づき、前後輪が同時に制動ロックする時の第2ブレーキ系による制動力最大値を算出する第2ブレーキ系制動力最大値算出手段を設け、
    前記第2ブレーキ系制動力補正手段は、前輪制動力および後輪制動力の2次元座標上において、前記第1ブレーキ系の制動力最大値と実制動力との差が所定値まで低下した時における前記所定の前後輪制動力配分に対応した第1ブレーキ系の制動力および第2ブレーキ系の制動力の組み合わせに係わる座標点と、前記第1ブレーキ系の制動力最大値および第2ブレーキ系の制動力最大値の組み合わせに係わる座標点とを結んだ直線で表される前後輪制動力配分となるよう第2ブレーキ系の制動力の前記補正を行うものであることを特徴とする車両の制動装置。
  3. 請求項1または2に記載の車両の制動装置において、
    前記第1ブレーキ系は前輪を制動する前輪ブレーキ系とし、前記第2ブレーキ系は後輪を制動する後輪ブレーキ系としたことを特徴とする車両の制動装置。
  4. 請求項3に記載の車両の制動装置において、
    前記前後輪制動力配分に関する所定の前後輪制動力配分は、後輪よりも前輪が先にロックする前輪先ロックの前後輪制動力配分であることを特徴とする車両の制動装置。
  5. 請求項4に記載の車両の制動装置において、
    前記第2ブレーキ系制動力補正手段は、現在の第1ブレーキ系による前輪制動力の基で前後輪が同時にロックする後輪制動力値を越えないよう、前記補正後の第2ブレーキ系に係わる後輪制動力を制限するものであることを特徴とする車両の制動装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の車両の制動装置において、
    前記第2ブレーキ系を、前記マスターシリンダとは別の圧力源からの液圧に応動する液圧制動装置と、電気的な回生制動装置との組み合わせにより構成し、
    これら制動装置の協調制御により前記補正後の第2ブレーキ系に係わる制動力を達成するようにしたことを特徴とする車両の制動装置。
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