JPH11286267A - 制動力制御装置 - Google Patents

制動力制御装置

Info

Publication number
JPH11286267A
JPH11286267A JP26697498A JP26697498A JPH11286267A JP H11286267 A JPH11286267 A JP H11286267A JP 26697498 A JP26697498 A JP 26697498A JP 26697498 A JP26697498 A JP 26697498A JP H11286267 A JPH11286267 A JP H11286267A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
braking force
wheels
wheel
vehicle
braking
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP26697498A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobuyasu Nakanishi
伸育 中西
Satoru Niwa
悟 丹羽
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP26697498A priority Critical patent/JPH11286267A/ja
Publication of JPH11286267A publication Critical patent/JPH11286267A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は車輪のロック傾向を検出する機能
と、ブレーキ操作量と無関係にホイルシリンダ圧を増圧
する機能とを有する制動力制御装置に関し、車両の制動
中に4つの車輪の全てで効率良く制動力を発生させるこ
とを目的とする。 【解決手段】 車両の制動中に何れかの車輪に過大なス
リップ率が生じた場合に、その車輪のホイルシリンダ圧
を減圧するABS制御を実行する。何れかの車輪につい
てABS制御が開始された時点で、ブレーキ操作量が増
量傾向である場合に、マスタカット弁34を閉弁状態と
し、吸入弁78を開弁状態とし、かつ、ポンプ68を作
動状態とすることで、他の車輪のホイルシリンダ圧をポ
ンプ68により増圧する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、制動力制御装置に
係り、特に、車輪のロック傾向を検出する機能と、ブレ
ーキ操作量と無関係に制動力を増加する機能とを併せ持
つ制動力制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、車両の分野においては、アン
チロックブレーキシステム(ABS)が知られている。
ABSは、車両の制動中に何れかの車輪について過大な
スリップ率が生じた場合に、その車輪のホイルシリンダ
圧を適当に減圧してスリップ率を抑制するシステムであ
る。以下、ABSにおいて実行される制御をABS制御
と称す。
【0003】車両の制動中に上記のABS制御が実行さ
れると、全ての車輪のスリップ率を理想的なスリップ率
の近傍に保つことができる。このため、ABS制御によ
れば、車両の制動中に何れの車輪もロック状態とするこ
となく、効率良く制動力を発生させることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、車両の制動
中に各輪に発生するスリップ率は、ホイルシリンダ圧に
大きく影響される他、各輪に作用する荷重や路面の状態
にも多大な影響を受ける。このため、ABS制御は、4
輪同時に開始されないのが通常である。従って、ABS
を搭載する従来の車両では、車両の制動が開始された
後、一部の車輪においてABS制御が実行され、かつ、
残る車輪についてABS制御が実行されない事態が生じ
得る。
【0005】車両において効率良く制動力を発生させる
ためには、車両の制動中に、4つの車輪のそれぞれが理
想的なスリップ率を発生すること、すなわち、4つの車
輪の全てについてABS制御が実行されることが望まし
い。換言すると、従来の車両において、一部の車輪につ
いてABS制御が開始され、かつ、他の車輪についてA
BS制御が開始されない状態は、効率良く制動力を発生
させるうえで必ずしも好適な状態ではない。
【0006】本発明は、上述の点に鑑みてなされたもの
であり、車両の制動中に4つの車輪の全てにおいて効率
良く制動力を発生させる制動力制御装置を提供すること
を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、請求項1
に記載する如く、車両の制動力を制御する制動力制御装
置であって、車両の制動中に何れかの車輪にロック傾向
が生じたことを検出するロック傾向検出手段と、何れか
の車輪について前記ロック傾向が検出された場合に、他
の車輪のホイルシリンダ圧の増圧を図る第1の制動力増
加手段と、を備える制動力制御装置により達成される。
【0008】本発明において、何れかの車輪についてロ
ック傾向が検出された場合は、運転者が大きな制動力を
求めていると判断できる。従って、かかる状況下では、
4つの車輪の全てにおいて効率良く制動力を発生させる
ことが適切である。本発明において、このような状況が
検出されると、十分に制動力を発揮していない車輪の制
動力が増加される。上記の処理が実行されると、運転者
がより大きな制動力を要求する環境下で、より大きな制
動力を発生させることができる。
【0009】上記の目的は、請求項2に記載する如く、
車両の制動力を制御する制動力制御装置であって、車両
の制動中に何れかの車輪にロック傾向が生じたことを検
出するロック傾向検出手段と、前2輪のペアおよび後2
輪のペアの何れか一方のペアの双方について前記ロック
傾向が検出された場合に、他のペアの制動力の増加を図
る第2の制動力増加手段と、を備える制動力制御装置に
より達成される。
【0010】本発明において、第2の制動力増加手段に
よる制動力の増加は、前2輪のペアおよび後2輪のペア
の何れかのペアの双方についてロック傾向が検出された
時点で実行される。摩擦係数が、左右の車輪の接する部
分で相違する道路(いわゆるまたぎ路)では、前2輪の
ペアの一方、或いは、後2輪のペアの一方についてのみ
ロック傾向が生ずることがある。このような路面で、他
の車輪の制動力が増加されると、車両に不自然な挙動が
生ずることがある。本発明によれば、またぎ路での制動
力の増加が防止されるため、その制動力の増加に伴って
車両が不自然な挙動を示すことがない。
【0011】上記の目的は、請求項3に記載する如く、
前記第1または第2の制動力増加手段は、前2輪のペア
の双方について前記ロック傾向が検出された場合に、後
2輪のペアの制動力の増加を図る請求項1または2記載
の制動力制御装置により達成される。本発明において、
第1または第2の制動力増加手段による制動力の増加
は、前2輪のペアについてロック傾向が検出された場合
に、後2輪を対象として行われる。車両の走行安定性を
確保するためには、車両の制動中に、前輪のスリップ率
が後輪のスリップ率に先行して成長することが望まし
い。このため、車両の特性は、一般に上記の要求が満た
されるように設定されている。本発明によれば、かかる
設定の施された車両において、前2輪についてロック傾
向が生じた後に、全ての車輪について効率良く制動力を
発生させることができる。
【0012】上記の目的は、請求項4に記載する如く、
前記第1または第2の制動力増加手段が、前2輪のペア
および後2輪のペアの一方のペアの双方について前記ロ
ック傾向が検出された時点でブレーキ操作量が増量傾向
である場合に、他のペアの制動力の増加を図る請求項2
または3記載の制動力制御装置により達成される。本発
明において、前記第1または第2の制動力増加手段によ
る制動力の増加は、車輪のロック傾向が検出された時点
で運転者が制動力の増大を要求している場合にのみ実行
される。このため、本発明においては、上記の制動力の
増加により、良好な制動操作フィーリングが実現され
る。
【0013】また、上記の目的は、請求項5に記載する
如く、車両の制動中に何れかの車輪にロック傾向が生じ
た場合に、その車輪の制動力を減少するアンチロックブ
レーキ制御を実行するアンチロックブレーキ手段を備
え、前記ロック傾向検出手段が、前記アンチロックブレ
ーキ制御の開始に基づいて車輪のロック傾向を検出する
請求項1乃至4の何れか1項記載の制動力制御装置によ
っても達成される。
【0014】本発明において、何れかの車輪にロック傾
向が生ずると、その車輪を対象とするアンチロックブレ
ーキ制御(ABS制御)が開始される。従って、ABS
制御が開始されたか否かによれば、車輪にロック傾向が
生じたか否かを正確に検出できる。本発明においては、
かかる手法を用いることで、車輪のロック傾向が正確に
検出される。
【0015】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の第1実施例の制
動力制御装置の一部のシステム構成図を示す。本実施例
の制動力制御装置は、右前輪FRおよび左後輪RLを含
む第1系統と、左前輪FLおよび右後輪RRを含む第2
系統とを備えている。これら2つの系統は構成において
実質的に同一である。このため、以下の記載において
は、第1系統の構成および動作のみを説明する。
【0016】本実施例の制動力制御装置は、ダイアゴナ
ル配管(X配管)の液圧式制動力制御装置である。制動
力制御装置は、電子制御ユニット10(以下、ECU1
0と称す)により制御される。制動力制御装置は、ブレ
ーキペダル12を備えている。ブレーキペダル12の近
傍には、ブレーキスイッチ14が配設されている。ブレ
ーキスイッチ14は、ブレーキペダル12が踏み込まれ
ることによりオン信号を出力する。ECU10は、ブレ
ーキスイッチ14の出力信号に基づいてブレーキペダル
12が踏み込まれているか否かを判別する。
【0017】ブレーキペダル12は、バキュームブース
タ16に連結されている。バキュームブースタ16は、
ブレーキペダル12が踏み込まれた場合に、ブレーキ踏
力Fに対して所定の倍力比を有するアシスト力Faを発
生する。バキュームブースタ16にはマスタシリンダ1
8が固定されている。マスタシリンダ18の内部には第
1液圧室および第2液圧室が形成されている。これらの
液圧室には、共にブレーキ踏力Fとアシスト力Faとの
合力に応じたマスタシリンダ圧PM/C が発生する。
【0018】マスタシリンダ18の上部にはリザーバタ
ンク20が配設されている。マスタシリンダ18とリザ
ーバタンク20とは、ブレーキペダル12の踏み込みが
解除されている場合にのみ導通状態となる。マスタシリ
ンダ18の第1液圧室および第2液圧室には、それぞれ
第1液圧通路22、および、第2液圧通路24が連通し
ている。第1液圧通路22は、第1系統の液圧回路に連
通している。一方、第2液圧通路24は、第2系統の液
圧回路(図示せず)に連通している。
【0019】第1液圧通路22には、マスタカット弁2
6を介して高圧通路28が連通していると共に、吸入通
路30が連通している。吸入通路30には、液圧センサ
32が配設されている。液圧センサ32は、第1液圧通
路22の内圧、すなわち、マスタシリンダ18が発生す
るマスタシリンダ圧PM/C に応じた電気信号pMCを出
力する。ECU10は、液圧センサ26の出力信号pM
Cに基づいてマスタシリンダ圧PM/C を検出する。
【0020】マスタカット弁26には、リリーフ弁34
が内蔵されている。マスタカット弁26は、常態で第1
液圧通路22と高圧通路28とを導通状態とし、ECU
10から駆動信号が供給されることにより、第1液圧通
路22と高圧通路28との間にリリーフ弁34を介在さ
せる2位置の電磁弁である。リリーフ弁34は、高圧通
路28側の液圧が、第1液圧通路22側の液圧に比して
所定のリリーフ圧を超えて高圧である場合に、高圧通路
28側から第1液圧通路22側へ向かうブレーキフルー
ドの流れを許容する定圧開放弁である。第1液圧通路2
2と高圧通路28との間には、マスタカット弁34と並
列に逆止弁36が配設されている。逆止弁36は、第1
液圧通路22側から高圧通路28側へ向かうブレーキフ
ルードの流れのみを許容する一方向弁である。
【0021】高圧通路28は、保持弁38,40を介し
て制御液圧通路42,44に連通している。保持弁3
8,40は、常態で開弁状態を維持し、ECU10から
駆動信号が供給されることにより閉弁状態となる2位置
の電磁弁である。保持弁38,40には、それぞれ逆止
弁46,48が並列に配設されている。逆止弁46,4
8は、制御液圧通路42,44側から高圧通路28側へ
向かうブレーキフルードの流れのみを許容する一方向弁
である。
【0022】制御液圧通路42は、プロポーショニグバ
ルブ(PV)49を介して左後輪RLのホイルシリンダ
50に連通している。一方、制御液圧通路44は、右前
輪FRのホイルシリンダ52に連通している。また、ホ
イルシリンダ50,52には、それぞれ、減圧弁54,
56を介して低圧通路58が連通している。減圧弁5
4,56は、常態で閉弁状態を維持し、ECU10から
駆動信号が供給されることにより開弁状態となる2位置
の電磁弁である。低圧通路58は、補助リザーバ60に
連通している。補助リザーバ60は、その内部にリザー
バピストン62およびスプリング64を備えている。補
助リザーバ60は、スプリング64を弾性変形させるこ
とにより、その内部に所定量のブレーキフルードを貯留
することができる。
【0023】補助リザーバ60には、逆止弁66を介し
てポンプ68の吸入孔が連通している。ポンプ68の吐
出孔は高圧通路28に連通している。また、補助リザー
バ60は、リザーバカット逆止弁70を備えている。リ
ザーバカット逆止弁70は、弁座72、ボール74およ
び軸部材76で構成されている。リザーバカット逆止弁
70は、ボール74が弁座72から離座する場合に開弁
状態となり、ボール74が弁座72に着座する場合に閉
弁状態となる。軸部材76はボール74とリザーバピス
トン62との間に介在している。このため、ボール74
は、リザーバピストン62が所定長を超えてストローク
する場合にのみ弁座72に着座する。
【0024】リザーバカット逆止弁70には、吸入弁7
8を介して吸入通路30が連通している。吸入弁78は
常態で閉弁状態を維持し、ECU10から駆動信号が供
給されることにより開弁状態を実現する2位置の電磁弁
である。吸入弁78が開弁状態である場合は、リザーバ
カット逆止弁70を介して、補助リザーバ70にマスタ
シリンダ圧が供給される。この場合、補助リザーバ60
には、ボール74が弁座72に着座するまでブレーキフ
ルードが流入する。
【0025】補助リザーバ60には、上記の如くマスタ
シリンダ18からブレーキフルードが供給されると共
に、減圧弁54、56が開弁することにより、ホイルシ
リンダ50,52側からもブレーキフルードが供給され
る。ポンプ68は、補助リザーバ60にブレーキフルー
ドが貯留されている場合に、そのブレーキフルードを汲
み上げて高圧通路28に供給することができる。
【0026】次に、本実施例の制動力制御装置の動作に
ついて説明する。本実施例のシステムにおいて、ECU
10は、運転者によって通常のブレーキ操作が実行され
ている場合は、全ての電磁弁をオフ状態(図1に示す状
態)に維持する。以下、この状態を通常状態と称す。こ
の場合、マスタシリンダ18とホイルシリンダ50、5
2とが導通状態となるため、制動力制御装置は、通常の
ブレーキ装置として機能する。
【0027】システムが通常状態である場合に、制動操
作の実行に伴って何れかの車輪に過大なスリップ率が発
生すると、ECU10は、その車輪のホイルシリンダ圧
を適当に減圧するABS制御を開始する。本実施例のシ
ステムにおいて、ABS制御は、ポンプ68を作動状態
として保持弁38、40および減圧弁54、56を適当
に開閉動作させることにより実現される。
【0028】すなわち、保持弁38、40を閉弁状態と
し、かつ、減圧弁54、56を開弁状態とすると、ホイ
ルシリンダ50、52内のブレーキフルードを補助リザ
ーバ60に開放して、各輪のホイルシリンダ圧を減圧す
ることができる(減圧モード)。この際、ポンプ68が
作動状態であれば、補助リザーバ60に開放されたブレ
ーキフルードをポンプ68により高圧通路28側へ戻す
ことができる。
【0029】また、保持弁38、40を開弁状態として
減圧弁54、56を閉弁状態とすれば、マスタシリンダ
圧を供給することで、各輪のホイルシリンダ圧を増圧す
ることができる(増圧モード)。更に、保持弁38、4
0および減圧弁54、56を閉弁状態とすれば、各輪の
ホイルシリンダ圧を保持することができる(保持モー
ド)。従って、上述した減圧モード、増圧モードおよび
保持モードを適宜実行することによれば、各輪のホイル
シリンダ圧をマスタシリンダ圧に比して低い適当な液圧
に制御することができる。
【0030】本実施例において、ECU10は、ABS
制御の実行中に、各輪のスリップ率が理想のスリップ
率、すなわち、効率よく制動力を発生させるうえで適切
なスリップ率の近傍に維持されるように上記の処理を実
行する。従って、車両において効率良く制動力を発生さ
せるためには、4つの車輪の全てでABS制御が実行さ
れることが望ましい。
【0031】ところで、4つの車輪のそれぞれに生ずる
スリップ率は、その車輪に供給されているホイルシリン
ダ圧、その車輪に作用している車輪荷重、その車輪の接
している路面の状態等により決定される。このため、制
動操作の実行中に、各輪のスリップ率は一般に異なる値
となる。制動時における車両の挙動を安定に維持するた
めには、車両が、後輪に先行して前輪をロックさせる特
性を示すことが望ましい。更に、あらゆる使用環境下で
安定した制動挙動を得るためには、上記の特性が、車両
に積載物が搭載されていない状態(軽積状態)で、すな
わち、後輪に作用する車輪荷重が最も小さい状態で実現
されることが必要である。
【0032】このような特性を有する車両においては、
常に前輪に対するABS制御が後輪に対するABS制御
に先行して開始される。特に、車両に積載物が多量に積
載されている場合には、後輪のスリップ率がさほど増加
しない状況下で、すなわち、後輪が能力に対して十分な
制動力を発生していない状況下で前輪についてのABS
制御が開始される事態を生ずる。このような事態は、車
両において効率良く制動力を発生させるうえで必ずしも
好ましい事態ではない。
【0033】本実施例のシステムは、上記の事態が生じ
た場合に、速やかに後輪のホイルシリンダ圧を増圧させ
ることにより、4輪全てに効率良く制動力を発生させる
点に特徴を有している。以下、図2を参照して、上記の
特徴部について説明する。図2は、上記の機能を実現す
べくECU10が実行する制御ルーチンのフローチャー
トを示す。図2に示すルーチンは、その処理が終了する
毎に繰り返し起動されるルーチンである。図2に示すル
ーチンが起動されると、先ずステップ100の処理が実
行される。
【0034】ステップ100では、ブレーキペダル12
が踏み込まれているか否かが判別される。本ステップ1
00の処理は、上記の条件が成立すると判別されるまで
繰り返し実行される。その結果、ブレーキペダル12が
踏み込まれていると判別された場合は、次にステップ1
02の処理が実行される。ステップ102では、前2輪
の双方についてABS制御が実行されているか否かが判
別される。本ステップ102の処理は、上記の条件が成
立すると判別されるまで繰り返し実行される。その結
果、前2輪の双方についてABS制御が実行されている
と判別される場合は、次にステップ104の処理が実行
される。
【0035】車両がいわゆる“またぎ路”を走行してい
る場合は、左右前輪のうち、路面の摩擦係数の小さい側
に接している車輪についてのみABS制御が開始される
ことがある。このような状況下で後2輪のホイルシリン
ダ圧の増圧を図ると、左右後輪のうち摩擦係数の小さな
路面に接している側で大きなスリップ率が発生し、か
つ、左右後輪の他方の側で大きな制動力が発生する。制
動時における車両挙動を安定に維持するためには、この
ような状態を回避することが適切である。
【0036】上述の如く、ステップ104以降の処理
は、上記ステップ102で前2輪の双方についてABS
制御が実行されていることを条件に実行される。上記の
処理によれば、またぎ路の走行中にステップ104以降
の処理が実行されるのを防止することができる。このた
め、本実施例のシステムにおいては、ステップ104以
降の処理が実行されることにより制動時における車両挙
動が悪化することがない。
【0037】ステップ104では、現在のマスタシリン
ダ圧Pと、前2輪の双方についてABS制御が開始され
た時点でのマスタシリンダ圧P1との差P−P1が、所
定値ΔPに比して大きいか否かが判別される。その結
果、P−P1>ΔPが成立しないと判別される場合は、
ABS制御が開始された後、運転者がマスタシリンダ圧
を増圧していない、すなわち、制動力の増大を要求して
いないと判断できる。この場合、以後、何ら処理が進め
られることなく今回のルーチンが終了される。一方、上
記の条件が成立すると判別される場合は、前2輪のAB
S制御が開始された後、運転者が更なる制動力の増大を
要求していると判断できる。この場合、次にステップ1
06の処理が実行される。
【0038】ステップ106では、マスタカット弁26
をオン状態(閉弁状態)とし、かつ、吸入弁78をオン
状態(開弁状態)とする処理が実行される。上記の処理
が実行されると、第1液圧通路22と高圧通路30との
間にリリーフ弁34が介在し、かつ、ポンプ68がマス
タシリンダ18内のブレーキフルードを高圧通路28に
圧送する状態が実現される。本ステップの処理は、上述
の如く左右両輪についてABS制御が開始された後に、
すなわち、ポンプ68の作動が開始された後に実行され
る。このため、本ステップの処理によれば、以後、後輪
のホイルシリンダ圧を増圧することができる。
【0039】本実施例において、上記ステップ106の
処理は、上記図1に示す第1系統に対して実行されると
共に、図示しない第2系統(左前輪FLおよび右後輪R
Rを含む系統)においても実行される。上記の処理によ
れば、前2輪についてABS制御を実行しつつポンプ6
8を液圧源として後2輪のホイルシリンダ圧を増圧する
ことができる。従って、上記の処理が実行されると、以
後、速やかに後2輪のスリップ率が増大し、4輪全てに
ついてABS制御が実行される状態、すなわち、4輪全
てが効率良く制動力を発生する状態が実現される。
【0040】ステップ108では、ABSの作動を終了
させるべきか否か、すなわち、ABS制御の終了条件が
成立しているか否かが判別される。本ステップ108の
処理は、上記の条件が成立すると判別されるまで繰り返
し実行される。その結果、ABS制御の終了条件が成立
していると判別されると、速やかに今回のルーチンが終
了される。
【0041】上述の如く、本実施例の制動力制御装置に
よれば、車両の制動中に前2輪についてABS制御が開
始された後に、速やかに後2輪のホイルシリンダ圧を増
圧し、4輪全てで効率良く制動力を発生させることがで
きる。このため、本実施例の制動力制御装置によれば、
車両の積載状態等に影響されることなく、常に4つの車
輪に最大限の制動能力を発揮させることができる。
【0042】尚、上記の実施例においては、ECU10
が、上記ステップ102〜106の処理を実行すること
により請求項に記載した「第1の制動力増加手段」及び
「第2の液圧増圧手段」が実現されている。ところで、
上記の実施例においては、前2輪についてABS制御が
開始された場合に、後2輪のホイルシリンダ圧をポンプ
68により増圧することとしているが、ポンプ68によ
る増圧を開始する条件、および、ポンプ68により増圧
される車輪はこれに限定されるものではない。
【0043】すなわち、車両の特性が、前輪に先立って
後輪がロックするように設定されている場合は、後2輪
の双方についてABS制御が開始されたことを条件に、
前2輪のホイルシリンダ圧をポンプ68により増圧する
こととしてもよい。また、またぎ路における挙動変化が
問題とならない場合には、何れかの車輪についてABS
制御が開始されたことを条件に、他の全てのまたは一部
の車輪のホイルシリンダ圧をポンプ68により増圧する
こととしてもよい。
【0044】また、上記の実施例においては、前2輪に
ついてABS制御が開始された際に、運転者がブレーキ
ペダル12を踏みましていることを条件に(ステップ1
04)、ポンプ68による後2輪のホイルシリンダ圧の
増圧を図ることとしているが、必ずしもブレーキペダル
12が踏み増されていることをポンプ68による増圧の
条件とする必要はなく、ABS制御の開始のみを条件と
してポンプ68による増圧を実行することとしてもよ
い。
【0045】更に、上記の実施例においては、ロック傾
向の生じていない車輪のホイルシリンダ圧の増圧制御
を、ABS制御との組み合わせで実行することとしてい
るが、必ずしもABS制御との組み合わせは必要でな
く、何れかの車輪について所定のスリップ率が生じたこ
とを条件として車輪のロック傾向を検出し、その後、A
BS制御を実行することなく、他の車輪について増圧制
御を行うこととしてもよい。また、他の変形例として、
所定のスリップ率の発生に変えて、車輪速度に所定値以
上の落ち込みが生じた場合、換言すると、所定値以上の
車輪減速度が生じた場合に車輪のロック傾向を検出して
他の車輪の増圧制御を実行することとしてもよい。
【0046】次に本発明の第2実施例について説明す
る。図3は、本発明の第2実施例である制動力制御装置
のシステム構成図を示す。図1に示す如く、本実施例の
制動力制御装置はECU200を備えている。ECU2
00は主バッテリ201を電源として作動する。ECU
200には、第1ドライバ202及び第2ドライバ20
4が接続されている。第1ドライバ202には、左右前
輪FL,FRにそれぞれ対応して設けられたブレーキモ
ータ206,208が接続されている。第1ドライバ2
02は、第1補助バッテリ210を電源として、ECU
200から供給される制御信号に応じてブレーキモータ
206,208に駆動信号を供給する。同様に、第2ド
ライバ204には左右後輪RL,RRにそれぞれ対応し
て設けられたブレーキモータ212,214が接続され
ている。第2ドライバ204は第2補助バッテリ216
を電源として、ECU200から供給される制御信号に
応じてブレーキモータ212,214に駆動信号を供給
する。ブレーキモータ206、208、212、214
は、それぞれ、第1ドライバ202又は第2ドライバ2
04から供給される駆動信号に応じた力で、ブレーキパ
ッド(図示せず)を各輪に設けられたディスクロータに
押圧する。従って、本実施例によれば、ECU200か
ら第1ドライバ202及び第2ドライバ204に供給さ
れる制御信号に応じた制動力を発生させることができ
る。
【0047】車輪FL、FR、RL、RRの近傍には、
それぞれ、車輪速センサ218、220、222、22
4が配設されている。車輪速センサ218〜224は、
各車輪が所定角回転する毎にパルス信号をECU200
に向けて出力する。ECU200は車輪速センサ218
〜224の出力信号に基づいて各車輪の車輪速VWを検
出する。
【0048】制動力制御装置は、また、ブレーキペダル
226を備えている。ブレーキペダル226には、スト
ロークシミュレータ228が連結されている。ストロー
クシミュレータ228は、ブレーキペダル226に付与
されるブレーキ踏力に応じたペダルストロークを発生さ
せる。ブレーキペダル226の回動軸近傍には、ストロ
ークセンサ230が配設されている。ストロークセンサ
230は、ブレーキペダル226のペダルストロークS
Tに応じた信号をECU200に向けて出力する。EC
U200は、ストロークセンサ230の出力信号に基づ
いてペダルストロークSTを検出する。また、ブレーキ
ペダル226の近傍には、ブレーキスイッチ232が配
設されている。ブレーキスイッチ232は、ブレーキペ
ダル226の踏み込みが解除されている場合にオフ状態
をとり、ブレーキペダル226が踏み込まれるとオン状
態をとる。ECU200はブレーキスイッチ232のオ
ン/オフ状態を監視することにより、ブレーキ操作の有
無を判定する。
【0049】ECU200は、ペダルストークSTに基
づいて運転者の要求する制動力(要求制動力)を求め
る。そして、求められた要求制動力が発生されるよう
に、第1ドライバ202及び第2ドライバ204へ制御
信号を供給する。制動力制御装置において、何れかの車
輪のスリップ率が所定値を上回ることによりロック傾向
が検出されると、その車輪についてABS制御が開始さ
れる。ABS制御は、ABS制御輪のスリップ率が所定
値を越えないように、車輪に付与される制動力を減少さ
せる減モード、制動力を一定に保持する保持モード、及
び、制動力を増加させる増モードを適宜切り換えること
により実現される。
【0050】本実施例の制動力制御装置は、上記第1実
施例の制動力制御装置と同様に、前2輪についてABS
制御が開始された場合に、後輪の制動力を増加させるこ
とにより、4輪全てに効率良く制動力を発生させる点に
特徴を有している。図4は、本実施例の制動力制御装置
の動作を説明するための図である。図4には、ブレーキ
操作が行われた場合の、前輪について発生される制動力
(以下、前輪制動力Pfと称す)及び後輪について発生
される制動力(以下、後輪制動力Pr)の変化が、横軸
を前輪制動力Pf、縦軸を後輪制動力Prとして示され
ている。
【0051】図4において、実線は実際に発生される
制動力を示す曲線(以下、実配分曲線と称す)を表
し、実線は全ての車輪で等しいスリップ率を発生させ
るような制動力配分を示す曲線(以下、理想配分曲線
と称す)を表す。また、破線で示す曲線群(以下、減
速度一定曲線と称す)は、車両に一定の減速度を生じ
させる(すなわち、PfとPrとの和が一定となる)よ
うなPfとPrの関係を表す。更に、一点鎖線及び
は、それぞれ、前輪FL,FR及び後輪RL,RRにロ
ック傾向を生じさせるようなPfとPrの関係を示す曲
線(以下、それぞれ、前輪ロック曲線及び後輪ロック
曲線と称す)を表す。
【0052】上記第1実施例において説明したように、
制動時における車両挙動の安定性を確保するうえで、車
両が、後輪に先行して前輪をロックさせる特性を示すこ
とが望ましい。上記した実配分曲線は、かかる観点よ
り、後輪に先行して前輪にロック傾向が生ずるように設
定されている。図4に矢印Iで示す如く、ブレーキ操作
が開始されると、前輪制動力Pf及び後輪制動力Pr
は、実配分曲線に沿って増加する。そして、実配分曲
線と前輪ロック曲線との交点Aに達すると、前輪F
L,FRにロック傾向が生ずることで、前輪FL,FR
についてABS制御が開始される。図4に示す如く、点
Aは、後輪制動力Prは後輪ロック曲線RrよりもΔP
だけ下側に位置している。従って、前輪FL,FRにつ
いてABS制御が開始された場合、後輪RL,RRにロ
ック傾向が生ずるまで後輪制動力PrをΔPだけ更に増
加することができる。すなわち、A点に示す状態では、
後輪について制動力がΔPだけ効率的に発生されていな
いことになる。そこで、本実施例では、前輪FL,FR
についてABS制御が開始された場合に後輪RL,RR
についても効率良く制動力を発生させるべく、前輪F
L,FRについてABS制御が開始された時点で上記Δ
Pに相当する大きさだけ、すなわち、後輪RL,RRに
ついてロック傾向が生ずるまで後輪制動力PRを増加さ
せる。
【0053】図5は、ECU200が上記の機能を実現
すべく実行する制御ルーチンの全体構成を示すフローチ
ャートである。図5に示す如く、ECU200が実行す
る制御ルーチンは、要求制動力演算ルーチン250、A
BS制御ルーチン300、後輪制動力補正制御ルーチン
400、及び制動力発生ルーチン500により構成され
ている。図5に示す制御ルーチンが起動されると、先ず
要求制動力演算ルーチン250が実行される。
【0054】図6は、要求制動力演算ルーチン250の
フローチャートを示す。基本制動力演算ルーチン250
が起動されると、先ずステップ252の処理が実行され
る。ステップ252では、ペダルストロークSTが検出
される。続くステップ254では、ペダルストロークS
Tに基づいて、各車輪FL,FR,RL,RRの要求制
動力FbFL,FbFR,FbRL,FbRRが演算さ
れる。具体的には、本ステップ252では、ペダルスト
ロークSTに基づいて、車両全体において発生されるべ
き要求制動力Fbが決定され、次に、図3に示す実配分
曲線に基づいて、Fbが前輪側の要求制動力Fbfと
後輪側の要求制動力Fbrとに配分される。そして、左
右前輪FL、FRの要求制動力FbFL及びFbFRは
共にFbf/2に設定され、また、左右後輪RL、RR
の要求制動力FbRL及びFbRRは共にFbr/2に
設定される。ステップ254の処理が終了されると、今
回の基本制動力演算ルーチン250は終了される。
【0055】ECU200は、要求制動力演算ルーチン
250を終了すると、次にABS制御ルーチン300を
実行する。図7は、ABS制御ルーチン300のフロー
チャートを示す。図7に示すABS制御ルーチン300
は、各車輪についてそれぞれ独立に実行される。なお、
ABS制御ルーチン300の対象とされる車輪を、以
下、対象輪と称す。また、ABS制御ルーチン300に
関する記載において、記号「**」は、左前輪FLにつ
いて実行されるルーチンについては「FL」を、右前輪
FRについて実行されるルーチンについては「FR」
を、左後輪RLについて実行されるルーチンについては
「RL」を、右後輪RRについて実行されるルーチンに
ついては「RR」を、それぞれ表すものとする。ABS
制御ルーチン300が起動されると、先ず、ステップ3
02の処理が実行される。
【0056】ステップ302では、対象輪の車輪速VW
**、対象輪の車輪加速度DVW**、推定車体速度V
S0、及び、推定車体減速度DVS0が演算される。ス
テップ304では、対象輪がABS許可状態であるか否
かが判別される。具体的には、ステップ304では、例
えば、システムに故障が生じておらず、対象輪の車輪速
VW**が所定値以上であり、かつ、ブレーキペダルが
踏み込まれている場合に、ABS許可状態であると判別
される。ステップ304において、ABS許可状態であ
れば次にステップ306の処理が実行される。
【0057】ステップ306では、対象輪のABS制御
中フラグX**absがオン状態であるか否か判別され
る。ABS制御中フラグX**absは、ABS制御の
開始時にオンされ、終了時にオフされるフラグである。
従って、ステップ306において、ABS制御中フラグ
X**absがオン状態でなければ、ABS制御の実行
中ではないと判断される。この場合、次にステップ30
8において、ABS制御開始条件が成立するか否かが判
別される。具体的には、ステップ308では、対象輪の
スリップ率が所定値を越えた場合、すなわち、対象輪に
ロック傾向が検出された場合にABS制御開始条件が成
立すると判別される。ステップ308でABS制御開始
条件が成立すれば、次にステップ310においてABS
制御中フラグX**absがオンされた後、ステップ3
12の処理が実行される。
【0058】一方、上記ステップ306において、AB
S制御中フラグX**absがオン状態であれば、次に
ステップ314において、ABS制御終了条件が成立す
るか否かが判別される。具体的には、ステップ314で
は、例えば、対象輪のスリップ率が所定値を下回った場
合、ABS制御における増圧時間が所定時間を上回った
場合、対象輪の要求制動力Fb**が所定値を下回った
場合等にABS制御終了条件が成立すると判別される。
ステップ314においてABS制御終了条件が不成立で
あれば、次にステップ312の処理が実行される。
【0059】ステップ312では、対象輪について増モ
ード、減モード、又は保持モードのうち実行すべきモー
ド(実行モード)が決定される。上述の如く、ABS制
御では、対象輪のロックを防止すべく、ABS輪につい
て増モード、減モード、及び、保持モードが切り替えて
実現される。ステップ312では、現在実行されている
モードの継続時間を示すモード継続時間カウンタCTに
基づいて、実行モードが決定される。なお、ABS制御
開始直後は、実行モードは減モードに設定される。
【0060】ステップ312に続くステップ316で
は、実行モードが減モードであるか否かが判別される。
その結果、実行モードが減モードであれば、ステップ3
18において、減モードでの制動力の減少勾配ΔFdw
nが演算され、続くステップ320において、目標制動
力Fa**が、前回のFa**からΔFdwnだけ減じ
た値に設定される。目標制動力Fa**は対象輪につい
て実際に発生されるべき制動力を示す。
【0061】ステップ316において実行モードが減モ
ードでなければ、次にステップ322において、実行モ
ードが保持モードであるか否かが判別される。その結
果、実行モードが保持モードであれば、ステップ324
において、目標制動力Fa**が、前回のFa**に等
しい値に設定される。一方、ステップ322において、
実行モードが保持モードでなければ、実行モードは増モ
ードであることになる。この場合、ステップ326にお
いて、増モードでの制動力の増加勾配ΔFupが演算さ
れ、続くステップ328において、目標制動力Fa**
が、前回のFa**の値にΔFupを加えた値に設定さ
れる。
【0062】上記ステップ300、324、又は328
の処理が終了されると、次にステップ330において、
モード継続時間カウンタCTがインクリメントされる。
そして、続くステップ332において、目標制動力Fa
**について、下限ガード値をゼロ、上限ガード値を要
求制動力Fb**とするガード処理が実行された後、今
回のルーチンは終了される。
【0063】一方、上記ステップ304においてABS
許可状態でない場合、上記ステップ308においてAB
S制御開始条件が成立しない場合、又は上記ステップ3
14においてABS制御終了条件が成立する場合は、次
にステップ334において、ABS実行中フラグX**
absがオフされる。そして、続くステップ334にお
いて、目標制動力Fa**が要求制動力Fb**に等し
い値に設定され、上記ステップ332においてガード処
理が実行された後、今回のABS制御ルーチン300は
終了される。
【0064】ECU200は、ABS制御ルーチン30
0を終了すると、次に後輪制動力補正制御ルーチン40
0を実行する。図8は、後輪制動力補正制御ルーチン4
00のフローチャートを示す。図8に示すルーチンが起
動されると、先ずステップ402の処理が実行される。
ステップ402では、左右前輪についてのABS制御中
フラグXFLabs及びXFRabsが共にオン状態で
ある(すなわち、左右両輪FL、FRについてABS制
御が実行中である)か否かが判別される。その結果、否
定判別された場合は、次にステップ404において、左
右後輪RL,RRについての補正値FhRL、FhRR
がゼロに初期化される。一方、ステップ402において
肯定判別された場合は、次にステップ406の処理が実
行される。
【0065】本ステップ402の処理によれば、前2輪
について共にABS制御が実行されている場合にのみ、
ステップ406以降における後輪側の制動力を増加補正
するための処理が実行される。従って、本実施例におい
ても、上記第1実施例に関して述べたように、またぎ路
での制動時における車両挙動が悪化することが防止され
ている。
【0066】ステップ406では、ペダルストロークS
Tの現在値が前回の処理サイクルでの値STt-1 以上で
あるか否かが判別される。その結果、ST≧STt-1
成立すれば、運転者はブレーキペダル226への踏力を
保持又は増加している、すなわち、制動力の保持又は増
加を要求していると判断されて、次にステップ408の
処理が実行される。
【0067】ステップ408では、後輪側についてのA
BS実行中フラグXRLabs及びXRRabsが共に
オフ状態であるか(すなわち、後輪RL,RRの何れに
ついてもABS制御は実行されていないか)否かが判別
される。その結果、肯定判別された場合は、後輪RL,
RRについて未だロック傾向は生じていないので後輪制
動力PRを更に増加させるべきと判断される。この場
合、次にステップ410において、補正値FhRL及び
FhRRがそれぞれ所定値αrだけ増加される。所定値
αrは、補正値FhRL、FhRRの増加勾配に相当す
る値であり、実験的に適合される。一方、ステップ40
8において否定判別された場合は、後輪RL,RRの少
なくとも一方について既にロック傾向が生じているの
で、後輪制動力PRをこれ以上増加させることは適切で
ないと判断される。この場合、次にステップ412にお
いて、補正値FhRL及びFhRRは前回の処理ルーチ
ンと同じ値に維持される。
【0068】上記ステップ406において、ST≧ST
t-1 が成立しない場合は、運転者はブレーキペダル22
6への踏力を弱めている、すなわち、制動力の減少を意
図していると判断されて、次にステップ414の処理が
実行される。ステップ414では、ペダルストロークS
Tがゼロであるか否か(すなわち、ブレーキ操作が解除
されているか否か)が判別される。その結果、ST=0
が成立する場合は、次にステップ416において、補正
値FhRL及びFhRRにそれぞれゼロが代入される。
一方、ステップ414においてST=0が不成立であれ
ば、次にステップ418において、補正値FhRL、F
hRRが正値であるか否かが判別される。その結果、補
正値FhRL、FhRRが正値であれば、次にステップ
420において、補正値FhRL及びFhRRがそれぞ
れ所定値βrだけ減少される。所定値βrは補正値Fh
RL、FhRRの減少勾配に相当する値であり、実験的
に適合される。一方、ステップ418において、補正値
FhRL、FhRRが正値でなければ、上記ステップ4
16において、FhRL及びFhRRにそれぞれゼロが
代入される。
【0069】上記したステップ404、410、41
2、416、420の処理が終了すると、次にステップ
422の処理が実行される。ステップ422では、補正
値FhRL、FhRRについて、0を下限値とし、γr
・FbRL及びγr・FbRRをそれぞれ上限値とする
ガード処理が実行される。γrは実験的に適合された所
定の係数である。ステップ422の処理が終了すると、
今回の後輪制動力補正制御ルーチン400は終了され
る。
【0070】ブレーキECU200は、後輪制動力補正
制御ルーチン400を終了すると、次に制動力発生ルー
チン500を実行する。図9は、制動力発生ルーチン5
00のフローチャートを示す。制動力発生ルーチン50
0が起動されると、ステップ502の処理が実行され
る。ステップ502では、左右前輪FL,FRについ
て、それぞれ、FaFL及びFaFRに等しい制動力を
発生させると共に、左右後輪RL,RRについて、それ
ぞれ、(FaRL+FhRL)及び(FaRR+FhR
R)に等しい制動力を発生させる処理が実行される。ス
テップ502の処理が終了すると、今回の制動力発生ル
ーチン500は終了される。
【0071】上述の如く、本実施例の制動力制御装置に
よれば、左右前輪FL,FRについてABS制御が開始
された後に、速やかに左右後輪RL,RRの制動力を増
加させることで、全ての車輪について効率良く制動力を
発生させることができる。このため、本実施例の制動力
制御装置によれば、車両の積載状態等に影響されること
なく、常に各車輪に最大限の制動能力を発揮させること
ができる。
【0072】なお、上記第2実施例においては、ECU
200が後輪制動力補正制御ルーチン400を実行する
ことにより請求項に記載した「第1の制動力増加手段」
及び「第2の制動力増加手段」が、ABS制御ルーチン
300を実行することにより請求項に記載した「アンチ
ロックブレーキ手段」が、それぞれ実現されている。な
お、上記第2実施例では、ペダルストロークSTが減少
している場合、すなわち、ブレーキ操作量が減少してい
る場合には、補正値FhRL、FhRRを減少させるこ
ととし、FhRL、FhRRがゼロ又は負にならない限
り、後輪側の制動力をFhRL,FhRRだけ増加させ
ることとした。しかしながら、ブレーキ操作量が増加し
ている場合にのみ、後輪側の制動力の増加を実行するこ
ととしてもよい。
【0073】なお、上記第2実施例において、前2輪に
ついてABS制御が開始された場合に後2輪の制動力を
増加することとしたが、上記第1実施例においても述べ
たように、車両の特性が、前輪に先だって後輪がロック
するように設定されている場合は、後2輪についてAB
S制御が開始された場合に、前2輪の制動力を増加する
こととしてもよい。また、またぎ路における挙動変化が
問題とならない場合には、何れか1輪にABS制御が開
始された場合に、他の全ての又は一部の車輪の制動力を
増加することとしてもよい。
【0074】更に、上記第2実施例においては、何れか
の車輪についてABS制御が開始されたことを条件に、
他の車輪の制動力を増加させることとしたが、上記第1
実施例においても述べたように、ABS制御の開始を条
件とすることなく、何れかの車輪について所定のスリッ
プ率が生じたことを条件として車輪のロック傾向を検出
し、その後、ABS制御を実行することなく、他の車輪
の制動力を増加することとしてもよい。また、所定のス
リップ率の発生に変えて、所定値以上の車輪減速度が生
じた場合に車輪のロック傾向を検出することとしてもよ
い。
【0075】また、上記第2実施例においては、モータ
により制動力を発生させる制動力制御装置について説明
したが、上記図5〜図9に示す制御ルーチンを、上記図
1に示す如き液圧式制動力制御装置において実行するこ
ととしてもよい。
【0076】
【発明の効果】上述の如く、請求項1記載の発明によれ
ば、何れかの車輪にロック傾向が検出された場合に、ロ
ック傾向の生じていない車輪、すなわち、十分に制動力
を発揮していない車輪の制動力を増加することで、4つ
の車輪全てにおいて効率良く制動力を発生させることが
できる。
【0077】請求項2記載の発明によれば、車両がまた
ぎ路を走行している場合に制動力増加手段による制動力
の増加が実行されるのを防止することで、車両に不自然
な挙動が生ずるのを防止することができる。請求項3記
載の発明によれば、通常の設定、すなわち、前輪のスリ
ップ率が後輪のスリップ率に先行して成長するような設
定が施された車両において、4つの車輪のそれぞれに効
率良く制動力を発生させることができる。
【0078】請求項4記載の発明によれば、運転者が制
動力の増大を要求する場合にのみ制動力増加手段による
制動力の増加を行うことで、良好な制動操作フィーリン
グを実現することができる。また、請求項5記載の発明
によれば、ABS制御が開始されているか否かに基づい
て、車輪にロック傾向が生じているか否かを正確に検出
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の制動力制御装置のシステ
ム構成図である。
【図2】本発明の第1実施例において実行される制御ル
ーチンのフローチャートである。
【図3】本発明の第2実施例の制動力制御装置のシステ
ム構成図である。
【図4】本発明の第2実施例の制動力制御装置の動作を
説明するための図である。
【図5】本発明の第2実施例において実行される制御ル
ーチンの全体構成を示すフローチャートである。
【図6】図5に示す制御ルーチンを構成する要求制動力
演算ルーチンのフローチャートである。
【図7】図5に示す制御ルーチンを構成するABS制御
ルーチンのフローチャートである。
【図8】図5に示す制御ルーチンを構成する後輪制動力
補正制御ルーチンのフローチャートである。
【図9】図5に示す制御ルーチンを構成する制動力発生
ルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
10、200 電子制御ユニット(ECU) 12 ブレーキペダル 26 マスタカット弁 38、40 保持弁 54、56 減圧弁 68 ポンプ 78 吸入弁 206、208、212、214 ブレーキモータ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の制動力を制御する制動力制御装置
    であって、 車両の制動中に何れかの車輪にロック傾向が生じたこと
    を検出するロック傾向検出手段と、 何れかの車輪について前記ロック傾向が検出された場合
    に、他の車輪の制動力の増加を図る第1の制動力増加手
    段と、 を備えることを特徴とする制動力制御装置。
  2. 【請求項2】 車両の制動力を制御する制動力制御装置
    であって、 車両の制動中に何れかの車輪にロック傾向が生じたこと
    を検出するロック傾向検出手段と、 前2輪のペアおよび後2輪のペアの何れか一方のペアの
    双方について前記ロック傾向が検出された場合に、他の
    ペアの制動力の増加を図る第2の制動力増加手段と、 を備えることを特徴とする制動力制御装置。
  3. 【請求項3】 前記第1または第2の制動力増加手段
    は、前2輪のペアの双方について前記ロック傾向が検出
    された場合に、後2輪のペアの制動力の増加を図ること
    を特徴とする請求項1または2記載の制動力制御装置。
  4. 【請求項4】 前記第1または第2の制動力増加手段
    は、前2輪のペアおよび後2輪のペアの一方のペアの双
    方について前記ロック傾向が検出された時点でブレーキ
    操作量が増量傾向である場合に、他のペアの制動力の増
    加を図ることを特徴とする請求項2または3記載の制動
    力制御装置。
  5. 【請求項5】 車両の制動中に何れかの車輪にロック傾
    向が生じた場合に、その車輪の制動力を減少させるアン
    チロックブレーキ制御を実行するアンチロックブレーキ
    手段を備え、 前記ロック傾向検出手段は、前記アンチロックブレーキ
    制御の開始に基づいて車輪のロック傾向を検出すること
    を特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の制動力
    制御装置。
JP26697498A 1998-02-03 1998-09-21 制動力制御装置 Pending JPH11286267A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26697498A JPH11286267A (ja) 1998-02-03 1998-09-21 制動力制御装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10-22245 1998-02-03
JP2224598 1998-02-03
JP26697498A JPH11286267A (ja) 1998-02-03 1998-09-21 制動力制御装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11286267A true JPH11286267A (ja) 1999-10-19

Family

ID=26359422

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26697498A Pending JPH11286267A (ja) 1998-02-03 1998-09-21 制動力制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11286267A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002002466A (ja) * 2000-06-15 2002-01-09 Toyota Motor Corp ブレーキ装置,積載状態検出方法および液圧制御方法
JP2005178709A (ja) * 2003-12-24 2005-07-07 Nissan Motor Co Ltd 車両の制動装置
US8573714B2 (en) 2009-02-06 2013-11-05 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Brake device

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002002466A (ja) * 2000-06-15 2002-01-09 Toyota Motor Corp ブレーキ装置,積載状態検出方法および液圧制御方法
JP2005178709A (ja) * 2003-12-24 2005-07-07 Nissan Motor Co Ltd 車両の制動装置
US8573714B2 (en) 2009-02-06 2013-11-05 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Brake device

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4412400B2 (ja) 車両用挙動制御装置
JP3622395B2 (ja) 制動装置
US9499143B2 (en) Brake system for a vehicle and method for operating a brake system of a vehicle
US9403518B2 (en) Brake system for a vehicle and method for operating a brake system of a vehicle
JPH1134831A (ja) ブレーキ制御装置
JP3521634B2 (ja) ブレーキ液圧制御装置
JPH1014008A (ja) 電動車両の制動制御装置
US20080007116A1 (en) Brake control apparatus
JP3433786B2 (ja) 制動力制御装置
JPH10297462A (ja) 制動力制御装置
JP2004306786A (ja) 車輌の制動制御装置
JP3159001B2 (ja) 液圧ブレーキ装置
JP3653163B2 (ja) アンチスキッドブレーキ制御装置
JPH11286267A (ja) 制動力制御装置
JP4348754B2 (ja) 制動力制御装置
JP2001247028A (ja) ブレーキ液圧制御装置のホイールシリンダの増圧方法及びブレーキ液圧制御装置
JP3522157B2 (ja) 車両の制動操作状態判定手段及び該制動操作状態判定手段を備えた前後制動力配分制御装置
JP3913992B2 (ja) 自動二輪車のアンチロックブレーキ制御方法
JP2000016259A (ja) ブレーキ制御装置
JPH1014009A (ja) 電動車両の制動制御装置
JP3607975B2 (ja) ブレーキ制御装置
JP4453152B2 (ja) 制動力配分制御の開始方法
US6685279B2 (en) Brake control system
JP3726297B2 (ja) 車両用ブレーキ圧力制御装置
JP4364444B2 (ja) 自動二輪車用走行路面の摩擦係数判定方法