JP2666210B2 - 皮膚化粧料 - Google Patents

皮膚化粧料

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は皮膚の保護並びに皮膚表面での水分保持に優
れ、経日粘度安定性の良い皮膚化粧料に関する。
(従来技術) 一般に、皮膚角質層の水分が、10〜15%を含んだ状態
が健康な皮膚と言われている。老化や季節変動等によ
り、正常な角質水分調節機構が損われることから、皮膚
表面の水分保持が皮膚化粧料にとって重要な役割となっ
ている。
従来より、グリセリン、プロピレングリコール、ソル
ビトール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等の保湿剤
が利用されているが、吸湿性に由来するベタツキ感が生
じ易く、更に、低湿度下の使用では外気湿度がないこと
により、皮膚中から保湿剤へと逆に水分がとり込まれ皮
膚を乾燥せしめる。同じ目的でヒアルロン酸コンドロイ
チン4硫酸、コンドロイチン6硫酸あるいはそれらの塩
類の一種又は二種以上と可溶性コラーゲンの一種又は二
種以上とを含有することを特徴とする皮膚化粧料が提案
されている(特許公報昭60−19725号)。このものは、
それなりに効果を示すが、経日で、ヒアルロン酸の劣化
による粘度低下が問題となっていた。
ヒアルロン酸及びその塩には、分子量数万〜数100万
ものが現在市場にある。分子量10万以下のヒアルロン酸
及びその塩は、水に分散させても、粘度があがらずヒア
ルロン酸独特の滑らかな感触が得がたい。
分子量20万〜80万のヒアルロン酸及びその塩は、高濃
度配合することで過度な粘度のものが得られるが、使用
時べたつき感があり官能特性上好ましくなく、更に、経
日により劣化し粘度低下をみたす。分子量100万以上の
ヒアルロン酸及びその塩は、水に少量配合するだけで過
度な粘度の組成物が得られ、官能特性においても好まし
いものが得られる。しかしながら、経日によって粘度低
下をきたす。
ヒアルロン酸の劣化に伴なう粘度低下を解消するため
に、ヒアルロン酸及び又はその塩と水溶性増粘剤の一種
又は、二種以上を配合することを特徴とする皮膚化粧料
が提供されている(特開昭57−185208号公報)が粘度安
定化効果が十分でなく、更に、水溶性増粘剤を配合する
ことで、ヒアルロン酸本来の優れた感触が損われ、べた
つき感、ぬるつき感等が強く官能特性上好ましいもので
はない。
(発明の開示) 本発明者らは、かかる事情に鑑み上記難点を解消すべ
く鋭意研究した結果、後記特定の高分子量ヒアルロン
酸、低分子量ヒアルロン酸、多価アルコール、エデト酸
塩、及び水を配合してなる皮膚化粧料が、ヒアルロン酸
本来の特性である肌なじみ、滑らかな感触を損なわず経
日による粘度低下を防止し、皮膚の保護並びに皮膚表面
の水分保持効果により、皮膚を滑らかにし、過度な張り
と潤いを与えることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
(発明の目的) 本発明の目的は、肌なじみが良く、皮膚の保護並びに
皮膚表面の水分保持効果に優れ、経日により粘度低下を
きたさない皮膚化粧料を提供することにある。
(発明の構成) 即ち、本発明は分子量100万以上の高分子量ヒアルロ
ン酸及び/又はその塩と分子量10万以下の低分子量ヒア
ルロン酸及び/又はその塩と多価アルコールとエデト酸
塩及び水とを含有してなる皮膚化粧料である。
(構成の具体的な説明) 本発明に用いられる分子量100万以上の高分子量ヒア
ルロン酸(以下高分子ヒアルロン酸と略記する)は、天
然物、微生物の培養により抽出されたものでも合成品で
もよく、その抽出法,精製処理方法等製造法にかかわら
ずグルクロン酸とN−アセチルグルコサミンの等モルを
1単位とする多糖類であり、その分子量が100万以上で
あればさしつかえない。更に、ヒアルロン酸の塩として
は、ナトリウム,カリウム,塩基性アミノ酸等との塩が
用いられる。高分子量ヒアルロン酸及びその塩の各々単
独または、両者の配合量は、最終組成物の総量を基準と
して0.05〜2.0重量%(以下wt%と略記する)の範囲内
であり、好ましくは0.1〜1.0wt%の範囲内である。
これより配合量が多いと、ベタツキ感があり官能特性
上好ましくない。又、逆に少ないと、皮膚保護作用並び
に皮膚上での水分保持効果が十分期待できない。
ここで上記ヒアルロン酸の分子量の測定は、極限粘度
法が適用される。後記の低分子ヒアルロン酸についても
同様である。
本発明に用いられる分子量10万以下の低分子量ヒアル
ロン酸(以下低分子にヒアルロン酸と略記する)は、前
記高分子ヒアルロン酸と同様にその製造方法,精製方法
にかかわらずグルクロン酸とN−アセチルグルコサミン
との等モルを一単位とする多糖類であり、その分子量が
10万以下であれば良い。更に、この低分子ヒアルロン酸
の塩としては、低分子ヒアルロン酸とナトリウム,カリ
ウム,塩基性アミノ酸等との塩が用いられる。
低分子ヒアルロン酸及びその塩の各々単独または両者
の配合量は、最終組成物の総量を基準として、0.005〜
1.0wt%の範囲内、好ましくは0.01〜0.5wt%の範囲内で
ある。これより配合量が多くても、酸合量に見合った粘
度低下抑制効果は見られない、逆にこれより少ないと粘
度低下抑制効果が期待出来ない。
本発明に用いられる多価アルコールは通常化粧品に配
合されるものであり、例えば、グリセリン,プロピレン
グリコール,ジプロピレングリコール,1,3−ブチレング
リコール,ポリエチレングリコール,ソルビトールなど
が挙げられる。
多価アルコールの配合量は、最終組成物の総量を基準
として、1.0〜30wt%の範囲内で、好ましくは、5.0〜20
wt%の範囲内である。これより配合量が多いと、外気の
湿度が低い場合、皮膚より水分を吸収する可能性があ
り、更に塗布時にベタツキ感がある。これより配合量が
少ないと、粘度安定化効果が期待できない。
本発明に用いられるエデト酸塩としては、エデト酸2
ナトリウム,エデト酸3ナトリウム,エデト酸4ナトリ
ウムがあり、このうちの一種又は二種以上が適用され
る。
エデト酸塩の配合量は、最終組成物の総量を基準とし
て0.001〜0.5wt%の範囲内であり、好ましくは、0.001
〜0.2wt%の範囲内である。これより多くなると、最終
組成物の粘度低下をきたし、逆に少ないと粘度安定化効
果が期待できない。
本発明に用いられる水は、通常用いられる精製水であ
って、イオン交換樹脂で処理した脱イオン精製水または
蒸留水が適用される。
本発明の皮膚化粧料は、水に高分子ヒアルロン酸,低
分子ヒアルロン酸,多価アルコール,エデト酸塩を均一
に混合溶解して得られる。
本発明は、スキンローション,エッセンス,スキンミ
ルク,スキンクリーム等の皮膚化粧料に適用可能であ
る。
また、本発明の目的を達成する範囲内で香料,着色
剤,防腐剤,界面活性剤,油性成分などを適宜配合する
ことができる。
(実施例) 以下実施例及び比較例の記載にて本発明を詳細に説明
する。
実施例に示した%とは重量%を、部とは重量部を意味
する。
尚、実施例に記載する、経日安定性試験,官能特性試
験の各方法は下記の如くである。
(1) 経日安定性試験 試作直後及び45℃、1ケ月保存した後の試料の粘度を
測定し、その比を求め下記の如くその比の相違により経
日安定性の評価とした。
(2) 官能特性試験 試料を20名の女性被験者が1週間朝夕2回通常方法で
使用し、(イ)べたつき感(ロ)肌なじみ(ハ)粘度
(ニ)塗布後のしっとり感(ホ)皮膚刺激等の試験項目
に関して試験した。試験結果は、各項目に対して(イ)
べたつき感が少ない(ロ)肌なじみが良い(ハ)丁度良
い粘度である(ニ)しっとり感がある(ホ)刺激がある
と各々回答した被験者の人数で示した。
実施例1、比較例1〜7 (エッセンス) 第1表上段の組成の如く本発明のエッセンス及び比較
用のエッセンスを調製し、前記諸試験を実施した。その
結果を第1表下段に示した。
〔調製方法〕
水に組成中1〜5の成分を加えて撹拌し、均一に混和
する。
〔特性〕 第1表下段に示した如く本発明の高分子ヒアルロン酸
塩,低分子ヒアルロン酸塩,多価アルコール,エデト酸
塩を各々好ましい量で配合してなる実施例1は、経日安
定性に優れ、また、官能特性諸試験の総てに優れてい
た。
高分子ヒアルロン酸塩,多価アルコール及び水を配合
してなる比較例−1は、官能特性諸試験においては優れ
ていたが、経日安定性に著しく劣っていた。
分子量50万のヒアルロン酸ナトリウム,多価アルコー
ル,水を配合してなる比較例−2は、経日安定性が著く
悪く、更に、官能特性試験においてべたつき感が強く、
粘度,しっとり感も十分ではなかった。
低分子ヒアルロン酸塩,多価アルコール,水からなる
比較例−3は、経日安定性が悪く、更に官能性試験にお
いて粘度,しっとり感の項目で著しく劣った。
高分子ヒアルロン酸塩,多価アルコール,エデト酸
塩,水からなる比較例−4は、比較例−1に比べると経
日安定性は、改善されたが実施例−1に比べると劣って
いた。
高分子ヒアルロン酸塩,多価アルコール,低分子ヒア
ルロン酸塩及び水を配合してなる比較例−5は、まずま
ずの経日安定性を見せたが、実施例−1と比較すると十
分とはいえない。
分子量50万のヒアルロン酸ナトリウム,低分子ヒアル
ロン酸塩,多価アルコール,エデト酸塩及び水を配合し
てなる比較例−6は、経日安定性試験において、実施例
−1より劣り、官能特性試験のべたつき感,粘度,しっ
とり感の項目で劣っていた。
ジブロピレングリコールを除いた比較例−7は経日安
定性,官能特性のしっとり感等の項目で劣っていた。
実施例2〜5 (エッセンス) 第2表上段の組成の如くエッセンスを調製し、前記諸
試験を実施した。その結果を第2表下段に示した。
〔調製方法〕
水に組成中の1〜4の成分を加えて撹拌し、均一に混
和する。
〔特性〕
第2表の下段に示した如く、本発明の高分子ヒアルロ
ン酸塩,低分子ヒアルロン酸塩,エデト酸塩及び水を各
々好ましい量で配合してなる実施例2〜5は、いずれも
経日安定性に優れ、また、官能特性諸試験においても優
れており、本発明の効果は明らかであった。
比較−8 〔エッセンス〕 第3表の組成の如くエッセンスを調製し、前記諸試験
を実施した。その結果を第4表に示した。
〔調製方法〕 水ヒアルロン酸カリウム(分子量100万),エデト酸
二ナトリウム,1,3−ブチレングリコール,カルボキシメ
チルセルロースを加えて均一に混合溶解する。
〔特性〕
第4表に示した結果を見て明らかな如く、ヒアルロン
酸と水溶性増粘剤を組み合わせた比較例−8は、経日安
定性が十分でなく、更に、使用時べたつき感が強かっ
た。
実施例−6 〔エッセンス〕 下記の組成の如く本発明のエッセンスを調製し、前記
諸試験を実施した。
〔調製方法〕
(1) エチルアルコールにPOE硬化ヒマシ油,香料,
パラオキシ安息香酸メチルを加えて撹拌し、均一に混合
溶解する。
(2) 水にヒアルロン酸(分子量150万),水酸化カ
リウム,ヒアルロン酸ナトリウム(分子量5万),グリ
セリン,エデト酸四ナトリウムを加えて撹拌し、均一に
混合溶解する。
(3) (1)に(2)を加えて撹拌し、均一に混合す
る。
〔特性〕
経日によって粘度低下をきたすことなく、更に、肌な
じみ,しっとり感,のびが良く使用時べたつき感がな
く、官能特性に優れていた。
実施例−7 〔乳液〕 下記の組成の如く本発明の乳液を調製し、前記諸試験
を実施した。
〔調製方法〕
(1) スクアラン,ワセリン,セタノール,POEソルビ
タンモノオレエート(20E.O.),グリセリンモノオレエ
ートを約70℃に加温し、均一に混合溶解する。
(2) 水に1,3−ブチレングリコール,グリセリン,
ヒアルロン酸ナトリウム(分子量100万),ヒアルロン
酸ナトリウム(分子量10万),エデト酸三ナトリウム,
パラオキシ安息香酸メチル,香料を加え、約70℃に加温
し均一に混合溶解する。
(3) (1)に(2)を加えて撹拌、乳化し、室温ま
で冷却し、本発明の乳液を得た。
〔特性〕
経日安定性及び各種官能特性のいずれにも優れてい
た。
(発明の効果) 以上の記載の如く、本発明は、経日安定性に優れ、ま
た、官能特性においても優れた有用なる皮膚化粧料を提
供する事は、明らかである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】分子量100万以上の高分子量ヒアルロン酸
    及び/又はその塩と分子量10万以下の低分子量ヒアルロ
    ン酸及び/又はその塩と多価アルコールとエデト酸塩及
    び水とを含有してなる皮膚化粧料。
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