JP2665307B2 - 壁パネルの取付構造およびそれに用いる梁材 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、下開放の溝部を具えた
断面Ｈ字の形鋼材からなる梁材であっても、大型の壁パ
ネルの上端をこの梁材に強固に固定でき、かつ壁パネル
を梁材に取付けた状態でクレーンなどにより吊下げて建
込むことを可能とし、施工性の向上を図りうる壁パネル
の取付構造およびそれに用いる梁材に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、壁、床、屋根などをパネルを用い
て形成するいわゆるプレハブ工法の家屋が普及してい
る。

【０００３】このようなプレハブ工法の家屋の外壁もい
わゆる壁パネルを用いて形成されるが、この壁パネルｐ
の上端は、従来、図８に示すように、壁パネルｐ上方で
水平に配されかつ水平な基片ｈ１両縁に内外の垂下片ｈ
２、ｈ２を設けた断面Ｈ字の形鋼材からなる梁材ｈに、
取付金具ａを用いて支持されている。

【０００４】前記取付金具ａは、壁パネルｐ上面にボル
ト止めなどにより固着される脚片ｂ１と、この脚片ｂ１
の外縁から立上がる立片ｂ２と、この立片ｂ２の上端か
ら外方にのびる外突片ｂ３と、この外突片ｂ３の外縁か
ら立上がる挟持片ｂ４とからなる外金物ｂ、および外金
物ｂの前記立片ｂ２にボルト止めされる垂下片ｃ１と、
この垂下片ｃ１の上端から内方にのびる内突片ｃ２と、
この内突片ｃ２の内縁から立上がる挟持片ｃ３とからな
る内金物ｃを具えるとともに、前記挟持片ｂ４、ｃ３間
に梁材ｈの前記垂下片ｈ２、ｈ２を挟み込むことによ
り、壁パネルｐの上端を取付金具ａを介して梁材ｈに固
定している。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】一方、施工の省力化を
図るため、壁パネルを大型化し、しかも前記梁材ｈと壁
パネルとを予め結合した状態でクレーンなどにより吊下
げて該梁材ｈと共に壁パネルを建込むことが提案されて
いる。

【０００６】しかしながら前記したような取付金具ａ
は、単に挟み込むだけの強度しか具えないため、大型の
壁パネルの上端を強固に梁材に支持させることができな
いばかりでなく、梁材により壁パネルを吊下げて建込む
ことを不可能とし、その改善が強く要望されていた。

【０００７】本発明は、断面Ｈ字の形鋼材からなる梁材
に設けられる取付金具の取付片に、壁パネルの上面にボ
ルト止めされる下片を具えた連結金具の上片を、該壁パ
ネルを吊下げ可能にボルト止めすることを基本として、
下開放の溝部を具えた断面Ｈ字の形鋼材からなる梁材で
あっても、大型の壁パネルの上端を強固にこの梁材に取
付けうるとともに、予め前記梁材と壁パネルとを一体に
連結した後、クレーンなどにより吊下げて壁パネルを建
込むことを可能とし、施工性の向上を図りうる壁パネル
の取付構造およびそれに用いる梁材の提供を目的として
いる。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本願の第１の発明は、家
屋の外壁を形成する壁パネルの上端を、この壁パネル上
方に水平に配されかつ水平な基片内外縁に垂直な垂下片
と立上げ片とからなるフランジを設けることにより下開
放及び上開放の溝部を具えた断面Ｈ字の形鋼材からなる
梁材に支持させる壁パネルの取付構造であって、前記梁
材の内外の垂下片の下端で前記下開放の溝部を内外に横
切る方向に水平にのびる取付片を有する取付金具を前記
梁材に固着するとともに、 前記取付金具の前記取付片
に、前記壁パネルの上面にボルト止めされる下片と、こ
の下片から上方にのびる立片と、この立片上端で水平に
のびる上片とを有する連結金具の前記上片を、前記梁材
により壁パネルを吊下げ可能にボルト止めすることを特
徴としている。

【０００９】又第２の発明は、家屋の外壁を形成する壁
パネルの上端を支持する梁材であって、前記壁パネル上
方に配されかつ水平な基片内外縁に垂直な垂下片と立上
げ片とからなるフランジを設けることにより下開放及び
上開放の溝部を具えた断面Ｈ字の形鋼材からなるととも
に、前記内外の垂下片の下端で前記下開放の溝部を内外
に横切る方向に水平にのび、前記壁パネルの上面にボル
ト止めされる下片と、この下片から上方にのびる立片
と、この立片上端で水平にのびる上片とを有する連結金
具の前記上片を、前記壁パネルを吊下げ可能にボルト止
めする取付片を有する取付金具が設けられることを特徴
としている。

【００１０】

【作用】断面Ｈ字の形鋼材からなる梁材に設ける取付金
具の水平な取付片に、壁パネルの上面にボルト止めされ
る下片を有する連結金具の水平な上片をボルト止めし、
これにより壁パネルの上端を前記梁材に支持させる。こ
のように壁パネルの上端と梁材とは前記取付金具と連結
金具とを用いて強固に連結され、下開放の溝部を具えた
断面Ｈ字の形鋼材からなる梁材であっても、大型の壁パ
ネルの上端の該梁材を用いた支持を可能とするととも
に、壁パネルを梁材と共にクレーンなどにより吊下げて
建込むことができ、施工性を向上しうる他、前記梁材の
水平な基片と前記取付片との二重構造となっているた
め、壁パネルの上端を連結金具を介して安定性よく固定
することが出来る。

【００１１】

【実施例】以下本発明の壁パネルの取付構造およびそれ
に用いる梁材の一実施例が図４に示すような家屋付属部
Ａに採用される場合を例にとり図面に基づき説明する。

【００１２】前記家屋付属部Ａは、複数階建の家屋本体
部Ｂに突設される平屋の建築物であって、図３に示すよ
うに、家屋本体部Ｂの外壁に沿う階上のラチス梁１５か
ら直角かつ水平に突出する平行な付属梁１６、１６を具
える。

【００１３】付属梁１６は、垂直なウエブ１６Ａの上下
に水平なフランジ１６Ｂ、１６Ｃを設けた断面Ｈ字の形
鋼材からなる基体１６ａを具えるとともに、該基体１６
ａの内端に溶着された固定板１６ｂを前記ラチス梁１５
の帯板１５Ａにボルト止めし、かつ基体１６ａの外端に
溶着された取付板１６ｃを、家屋付属部Ａの外壁Ｗに沿
って設けられる布基礎Ｆに立設した付属柱２１の上端部
内面にボルト止めすることにより、基体１６ａは該ラチ
ス梁１５と付属柱２１との間に架け渡される。なお前記
基体１６ａと固定板１６ｂとには、補強用の三角状のリ
ブ１６ｄが溶着されている。

【００１４】又前記付属梁１６の下方には、家屋付属部
Ａの側壁ＷＡを形成する壁パネルＰＡが建込まれる。

【００１５】壁パネルＰＡは、断面矩形かつ木質の枠材
１７…を矩形に接合した枠組の両面に面材１８、１８を
添着してなる一体可搬のパネル体であって、その下端は
布基礎上面にボルト止めされた土台金具（ともに図示せ
ず）によって支持されるとともに、上端は、壁パネルＰ
Ａの上端に固着する下片１９Ａと、この下片１９Ａから
上方にのびる立片１９Ｂと、この立上１９Ｂ上端で水平
にのびる上片１９Ｃとからなる連結金具１９の前記上片
１９Ｃを、前記付属梁１６の下のフランジ１６Ｃにボル
ト止めすることにより支持される。

【００１６】又本発明に係る梁材Ｈは、家屋付属部Ａの
前記外壁Ｗを形成する壁パネルＰ上方に水平に配されか
つ該壁パネルＰの上端を支持しうるとともに、梁材Ｈに
設けられる取付金具２に、前記壁パネルＰ上面にボルト
止めされる連結金具３を、該壁パネルＰを吊下げ可能に
ボルト止めする。

【００１７】梁材Ｈは、前記付属柱２１、２１上端間に
水平に架け渡されるとともに、水平な基片４内外縁に垂
直な内外のフランジ２０Ａ、２０Ｂを設けた断面Ｈ字の
形鋼材からなる。なお前記内外のフランジ２０Ａ、２０
Ｂのうち基片４から下方に垂下する部分は、該基片４の
内外縁から垂下する垂直な内外の垂下片５Ａ、５Ｂを形
成し、これにより梁材Ｈは、基片４、内外の垂下片５
Ａ、５Ｂに囲まれた下開放の溝部Ｍを具えるとともに、
内外のフランジ２０Ａ、２０Ｂの残りの部分、すなわち
前記基片４内外縁から立上がる内外の立上げ片２０ａ、
２０ｂによって、上開放の溝部Ｍ１が形成されている。

【００１８】前記梁材Ｈには、その付属柱２１、２１へ
の取付けに先立ち、壁パネルＰの上端が取付金具２と連
結金具３とを用いて固定される。

【００１９】壁パネルＰは、本例では、断面矩形の長尺
な木質材からなる上枠材２２、下枠材２３の両端を垂直
な縦枠材２４、２４で継いだ矩形の枠組を具えるととも
に、該枠組の内外には夫々内装板２５、外装板２６が添
着されている。又上枠材２２には、垂直なボルト挿入孔
２２Ａが穿設されるとともに、前記内装板２５、あるい
は外装板２６の添着に先立ち、上枠材２２下面には、前
記ボルト挿入孔２２Ａと位置を合わせてナット２７が上
枠材２２に釘着されるプレート２９を介して溶着され
る。

【００２０】さらに前記下枠材２３の下面には、壁パネ
ルＰの下端を支持する土台金具３０嵌合用の条溝３１
が、該下枠材２３の全長に亘って凹設されている。

【００２１】なお壁パネルＰは、１００cm前後に設定さ
れる基本モデュールｍの例えば６倍、即ち６ｍの長さを
有する大型のパネル体として形成されるとともに、前記
梁材Ｈは、この壁パネルＰと略同長に形成される。

【００２２】前記取付金具２は、前記梁材Ｈの垂下片５
Ａ、５Ｂの溝部Ｍに面する内向き面にボルト止めあるい
は溶着される１対の固定片６、６と、この固定片６、６
の下端を前記垂下片５Ａ、５Ｂの下端よりもやや下方で
結ぶとともに前記下開放の溝部Ｍを内外に横切る方向に
水平にのびる取付片７とを有するコ字状の金具であっ
て、梁材Ｈの両端近傍に例えば２個取付けられる。

【００２３】前記連結金具３は、壁パネルＰの前記上枠
材２２に設けられたボルト挿入孔２２Ａに挿入されかつ
前記ナット２７に螺着するボルトを用いて壁パネルＰ上
面に固定される下片９と、この下片９の外縁から立上が
る下の立片３２とからなるＬ字状の下金物３３、および
下金物３３の前記下の立片３２にボルト止めされる垂直
な上の立片３４と、この上の立片３４の上端から内方か
つ水平にのびる上片１０とからなる上金物３５を具え
る。従って、前記下片９と上片１０とは、前記下の立片
３２と上の立片３４とからなりかつ下片９から上方にの
びる立片１１により連結される。

【００２４】又前記連結金具３は壁パネルＰの両端近傍
に２個取付けられるとともに、その上片１０、１０は梁
材Ｈに隔設された前記取付金具２、２の取付片７、７に
ボルト止めされ、これにより壁パネルＰの上端を梁材Ｈ
に強固に取付ける。

【００２５】さらに梁材Ｈに取付けられた壁パネルＰ
は、前記付属柱２１、２１間にクレーンなどを用いて梁
材Ｈを吊下げつつ配設されるとともに、前記布基礎Ｆ上
面にボルト止めされた断面Ｌ字の土台金具３０の立上げ
片３０Ａを前記条溝３１に嵌合させることにより下端が
支持される。

【００２６】又梁材Ｈの両端は、その両端部に溶接等に
より固着された取付板３７、３７を付属柱２１、２１の
上端部かつ向き合う面にボルト止めすることにより該付
属柱２１、２１間に水平に架け渡される。

【００２７】このように下開放の溝部Ｍを具えた断面Ｈ
字の形鋼材からなる梁材Ｈであっても、この梁材Ｈに大
型の壁パネルＰを、梁材Ｈを持上げるクレーンを用いて
吊下げて建込むことが可能になる程度に強固に固定で
き、施工の省力化を図りうる。

【００２８】この壁パネルＰの建込み後、前記付属梁１
６には、家屋付属部Ａの側壁ＷＡの上部を形成する幕板
パネル３９が取付けられる。

【００２９】幕板パネル３９は、図３に示すように、付
属梁１６の前記上のフランジ１６Ｂを挟みかつビス止め
される上下の水平な枠材４０、４１と、該上の枠材４０
の内端から立上がりかつ前記固定板１６ｂにビス止めさ
れる内の枠材４２と、上の枠材４０の外端から立上がる
小高さの外の枠材４３と、この外の枠材４３上端から前
記内の枠材４２上端に向かって斜めにのびる斜めの枠材
４４とからなる枠組を具えるとともに、該枠組の一面に
は、台形状の幕板４５が添着されている。

【００３０】又前記幕板パネル３９、３９の斜めの枠材
４４、４４間には、図４に略示するように、透光部４６
Ａを有する屋根パネル４６が架け渡され、家屋付属部Ａ
の付属屋根Ｒを形成する。

【００３１】図５〜７に本発明の他の実施例を示す。本
例において取付金具２は、前記梁材Ｈの内外の垂下片５
Ａ、５Ｂ下端に溶着されることによって前記下開放の溝
部Ｍを内外に横切る方向に水平にのびる取付片７を形成
する金属製の矩形板体であって、この取付金具２の取付
片７に、壁パネルＰ上面にボルト止めされた前記連結金
具３の上片１０を、梁材Ｈにより壁パネルＰを吊下げ可
能に強固にボルト止めする。

【００３２】又壁パネルＰを取付けた前記梁材Ｈは、前
記付属梁１６、１６外端間にクレーンなどを用いて吊下
げつつ配設され、該壁パネルＰ下端を前記土台金具３０
により支持させるとともに、図７に示すように、梁材Ｈ
の内面かつ両端は付属梁１６の外端に固着した取付板４
７にボルト止めされ、これによって梁材Ｈは付属梁１
６、１６の外端間に架け渡される。

【００３３】このように本例では、前記付属柱２１、２
１を設けないで直接梁材Ｈを付属梁１６、１６外端にボ
ルト止めするとともに、このボルト止め用の孔２０ａ…
は、前記内外のフランジ２０Ａ、２０Ｂに夫々穿設さ
れ、クレーンによる吊下げの際に用いられる金具を係止
する孔としても利用される。

【００３４】なお本発明の壁パネルの取付構造およびそ
れに用いる梁材は、前記家屋付属部Ａの外壁Ｗの形成の
ために採用されるものの他、一般の外壁形成用として広
く採用されうる。

【００３５】

【発明の効果】叙上の如く本発明の壁パネルの取付構造
およびそれに用いる梁材は、断面Ｈ字の形鋼材からなる
梁材に、壁パネルの上面に下片がボルト止めされる連結
金具の上片をボルト止めする水平な取付片を有する取付
金具が設けられ、かつこの取付金具と連結金具とによっ
て、壁パネルの上端を支持したため、下開放の溝部を具
えた断面Ｈ字の形鋼材からなる前記梁材であっても、壁
パネルを強固にこの梁材に取付けでき、大型の壁パネル
の上端の支持を可能とするとともに、クレーンなどを用
いて梁材に壁パネルを取付けた状態で該壁パネルを吊下
げて建込むことができ、施工の省力化を図りうる。又前
記梁材の水平な基片と、前記取付金具の水平な取付片と
によって二重構造を形成するため、その強度を増大で
き、壁パネルの上端を安定して梁材に固定しうる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す断面図である。

【図２】その斜視図である。

【図３】梁材、壁パネルの配置の一例を示す部分斜視図
である。

【図４】本発明が採用されうる家屋を略示する斜視図で
ある。

【図５】本発明の他の実施例を示す断面図である。

【図６】その斜視図である。

【図７】その梁材、壁パネルの配置の一例を示す部分斜
視図である。

【図８】従来の技術を説明する断面図である。

【符号の説明】

２ 取付金具 ３ 連結金具 ４ 基片 ５Ａ 内の垂下片 ５Ｂ 外の垂下片 ７ 取付片 ９ 下片 １０ 上片 １１ 立片２０Ａ、２０Ｂ フランジ ２０ａ、２０ｂ 立上げ片 Ｈ 梁材 Ｍ 下開放の溝部Ｍ１ 上開放の溝部 Ｐ 壁パネル Ｗ 外壁

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｅ０４Ｂ 2/56 ６３２ Ｅ０４Ｂ 2/56 ６３２Ｊ

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】家屋の外壁を形成する壁パネルの上端を、
   この壁パネル上方に水平に配されかつ水平な基片内外縁
   に垂直な垂下片と立上げ片とからなるフランジを設ける
   ことにより下開放及び上開放の溝部を具えた断面Ｈ字の
   形鋼材からなる梁材に支持させる壁パネルの取付構造で
   あって、 前記梁材の内外の垂下片の下端で前記下開放の溝部を内
   外に横切る方向に水平にのびる取付片を有する取付金具
   を前記梁材に固着するとともに、 前記取付金具 の前記取付片に、前記壁パネルの上面にボ
   ルト止めされる下片と、この下片から上方にのびる立片
   と、この立片上端で水平にのびる上片とを有する連結金
   具の前記上片を、前記梁材により壁パネルを吊下げ可能
   にボルト止めすることを特徴とする壁パネルの取付構
   造。
2. 【請求項２】家屋の外壁を形成する壁パネルの上端を支
   持する梁材であって、前記壁パネル上方に配されかつ水
   平な基片内外縁に垂直な垂下片と立上げ片とからなるフ
   ランジを設けることにより下開放及び上開放の溝部を具
   えた断面Ｈ字の形鋼材からなるとともに、 前記内外の垂下片の下端で前記下開放の溝部を内外に横
   切る方向に水平にのび、前記壁パネルの上面にボルト止
   めされる下片と、この下片から上方にのびる立片と、こ
   の立片上端で水平にのびる上片とを有する連結金具の前
   記上片を、前記壁パネルを吊下げ可能にボルト止めする
   取付片を有する取付金具が設けられることを特徴とする
   梁材。