JP2662140B2 - トラスばり交差部の接合部構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、上下弦材間に複数本
の斜材を交差するように取り付けることにより構成され
る、ダブルワーレンタイプのトラスばり交差部の接合部
構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】大スパン構造の建物には、上下弦材間に
複数本の斜材を交差するように取り付けることにより構
成される、いわゆるダブルワーレンタイプのトラスばり
が使用されることがあり、この種のトラスばりを使用し
た場合、トラスばり交差部の接合部の構造が問題にな
る。

【０００３】図３および４は、この種のトラスばりおよ
びその交差部の接合部構造の従来例を示したものであ
り、図において、符号１と２は、ともにダブルワーレン
タイプのトラスばりであって、一方のトラスばり１の両
側部に他方のトラスばり２が垂直に接合されている。

【０００４】また、符号３はトラスばり１および２の上
下弦材、４はトラスばり１および２の斜材、そして、符
号５は斜材４どうしを接合するガセットプレートであ
る。

【０００５】トラスばり１および２は、ともに平行に延
在された上下弦材3,3 間に複数本の斜材４を交差するよ
うに取り付けることにより構成されている。各斜材４の
一端は上下弦材3,3 に溶接するなどして接合され、他端
は上下弦材3,3 間のほぼ中間部においてガセットプレー
ト５によって、斜材４どうしが互いに交差するように一
体的に接合されている。

【０００６】また、トラスばり１と２との交差部におい
ては、一方のトラスばり１の上下弦材３の両側部に、他
方のトラスばり２の上下弦材３の端部が垂直に突き付け
られて接合されている。また、トラスばり１および２の
斜材４の他端は四方に突出する継手部6aを備えた継手金
具６を介してボルト止め若しくは溶接によって互いに一
体的に接合されている。なお、トラスばり１および２の
上下弦材３および斜材４にはＴ形鋼や山形鋼などが使用
されている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】従来のダブルワーレン
タイプのトラスばり交差部の接合部構造は以上のように
構成されているので、トラスばり２の端部に取り付けら
れている斜材４の他端は、現場において個々に継手金具
６の継手部6aに接合する必要があり、このため、トラス
ばりの交差部が多いときなどには斜材４の取り付けが煩
わしく、接合作業がきわめて面倒で作業効率の低下が免
れないものであった。

【０００８】また、継手金具６に接合される前の、トラ
スばり２端部の斜材４はぶらぶらした状態にあってトラ
スが完結した状態にないため、運搬や建て込み時にトラ
スが変形したりするおそれがあり、取り扱いに余計な注
意を払う必要があった。

【０００９】この発明は、このような前記従来の課題を
解決するために提案されたもので、ダブルワーレンタイ
プのトラスばり交差部における斜材の接合および取り扱
いを簡単に行えるようにしたトラスばり交差部の接合部
構造を提供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】この発明に係るトラスば
り交差部の接合部構造は、上下弦材間に複数本の斜材を
交差するように取り付けることにより構成されるダブル
ワーレンタイプのトラスばり交差部の接合部構造におい
て、接合される一方のトラスばりの端部に、このトラス
ばりの上下弦材間に跨がる束材をガセットプレートを介
し立設すると共に、前記束材の中間部に設置したガセッ
トプレートを介し、前記上弦材および下弦材間に斜材を
取り付け、この束材には平面交差する他方のトラス梁が
接合され、該束材には他方のトラス梁の中間部に設置し
たガセットプレートを介し、上下弦材に連結する斜材を
接合し、このガセットプレートに一方のトラス梁の端部
に設置した束材を添接し、このガセットプレートを挟ん
で束材どうしをボルト止めするとともに、上下弦材どう
しを連結するガセットプレートおよびフランジ部に、継
ぎ板および接合プレートを介して複数本の接合ボルトに
よってボルト止めして接合することにより構成されてい
る。

【００１１】

【作用】この発明に係るトラスばり交差部の接合部構造
においては、接合される一方のトラスばりの端部にこの
トラスばりの上下弦材間に束材を立設すると共に、この
束材の上下両端部をガセットプレートを介して前記上下
弦材に接合し、この束材に前記トラスばりの斜材をガセ
ットプレートを介して接合し、さらに、前記束材の上下
両端部に他方のトラスばりの上下弦材の側部を、また、
前記束材の中間部に前記他方のトラスばりの斜材を、そ
れぞれガセットプレートを介し、複数本の接合ボルトに
よってボルト止めすることにより接合する。

【００１２】

【実施例】実施例１． 図１および２は、この発明に係るトラスばり交差部の構
造の一実施例を示すものであり、図において、図３およ
び４の従来例と同一部分には同一符号を付し、その説明
を省略する。

【００１３】符号７はトラスばり１とトラスばり２との
交差部に取り付けられ、トラスばり１の上下弦材３とト
ラスばり２の上下弦材３およびトラスばり１の斜材４ど
うしを連結するガセットプレート5aにそれぞれ接合され
る束材である。トラスばり１および２の接合部分の構成
は、トラスばり２に取り付けられた束材７を、上下弦材
３にガセットプレート12a および12b を介して溶接若し
くはボルト止めによって一体化されており、束材７の中
間にはトラスばり２の上下弦材３とを連結する斜材４を
取り付けるガセットプレート5bが溶接により固定されて
いる。さらに、トラスばり１にはトラスばり２の上下弦
材３とを継ぎ板9aおよび9bとを介し接合するガセットプ
レート９が溶接により固定されている。また、トラスば
り１の斜材４どうしを連結するガセットプレート5aはト
ラスばり２に設けられた束材７に挟まれてボルト止めす
ることで接合されてある。ここで示される束材７は溝形
鋼やＴ形鋼などから形成されており、トラスばり１およ
び２の上下弦材３どうしを接合プレート10と複数本の接
合ボルト11とによってトラスばり１と２とが交差した状
態に接合されている。このような構成によってトラスば
り１とトラスばり２は上下弦材だけでなく、斜材４が交
差する位置においても接合されている。

【００１４】

【００１５】

【００１６】

【発明の効果】この発明に係るトラスばりの接合部構造
は以上説明したように構成されているので、ダブルワー
レンタイプのトラスばり交差部における斜材の接合を、
溶接を一切使用せずに接合ボルトを使用しただけで簡単
に行うことができる。

【００１７】また、この種のトラスばりは一般に工場で
組み立てられるが、すべてトラスが完結した状態に組み
立てられるため、運搬、建て方などの取り扱いに際し、
変形する心配が全くなく、取り扱いも容易である。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係るトラスばり交差部の構造を示す
斜視図である。

【図２】図１に示すトラスばり交差部の構造を示す分解
斜視図である。

【図３】ダブルワーレンタイプのトラスばりの斜視図で
ある。

【図４】従来のトラスばり交差部の構造を示す斜視図で
ある。

【符号の説明】

1,2 …ダブルワーレンタイプのトラスばり、３…上下弦
材、４…斜材、５…ガセットプレート、６…継手金具、
７…束材、8,9,12…ガセットプレート、10…接合プレー
ト、11…接合ボルト。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上下弦材間に複数本の斜材を交差するよ
   うに取り付けることにより構成されるダブルワーレンタ
   イプのトラスばり交差部の接合部構造において、接合さ
   れる一方のトラスばりの端部に、このトラスばりの上下
   弦材間に跨がる束材をガセットプレートを介し立設する
   と共に、前記束材の中間部に設置したガセットプレート
   を介し、前記上弦材および下弦材間に斜材を取り付け、
   この束材には平面交差する他方のトラス梁が接合され、
   該束材には他方のトラス梁の中間部に設置したガセット
   プレートを介し、上下弦材に連結する斜材を接合し、こ
   のガセットプレートに一方のトラス梁の端部に設置した
   束材を添接し、このガセットプレートを挟んで束材どう
   しをボルト止めするとともに、上下弦材どうしを連結す
   るガセットプレートおよびフランジ部に、継ぎ板および
   接合プレートを介して複数本の接合ボルトによってボル
   ト止めして接合してなることを特徴とするトラスばり交
   差部の接合部構造。