JP2660088B2 - 感熱記録材料 - Google Patents

感熱記録材料

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JP2660088B2
JP2660088B2 JP2188507A JP18850790A JP2660088B2 JP 2660088 B2 JP2660088 B2 JP 2660088B2 JP 2188507 A JP2188507 A JP 2188507A JP 18850790 A JP18850790 A JP 18850790A JP 2660088 B2 JP2660088 B2 JP 2660088B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は感熱記録材料に関する。さらに詳しく述べる
ならば、本発明は、オフセット印刷適性にすぐれ、かつ
記録濃度の低下やスティッキングがなく、また感熱記録
画像の保存中に発生する退色を改善した感熱記録材料に
関するものである。
〔従来の技術〕
感熱記録方式は単に加熱するだけで発色画像が得ら
れ、またこの記録装置を比較的簡単にコンパクトなもの
にすることができるなどの利点が高く評価され、電卓、
医療計測機器、ファクシミリ、自動券売機、CD/ATMなど
の各種情報記録方式として広範囲に利用されている。
このような感熱記録方式に使用する感熱記録材料は、
紙、合成紙、フィルムなどを支持体として用い、熱時発
色する感熱発色層をその上に形成したものである。感熱
発色層は、通常無色または淡色のロイコ染料などの発色
性物質と該発色性物質を熱時発色せしめる顕色性物質、
例えばホウ酸、シュウ酸、酒石酸などの酸性物質または
ナフトール、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン、カテコール、レゾルシンなどのフェノール性物
質などを接着剤、さらには必要に応じて炭酸カルシウ
ム、クレーなどの顔料、ワックス類、消泡剤などの添加
剤と共に適当な溶媒を用いて塗液としたものを塗布、乾
燥して形成する。
しかし、従来この種の感熱記録材料は、発色部、未発
色部とも保存安定性に欠点がある。すなわち、感熱層表
面にポリ塩化ピニル、ポリ塩化ビニリデンなどのプラス
チックが接触すると、プラスチック中に含まれている可
塑剤や安定剤、添加剤などにより発色部が退色したり、
未発色部が発色しなくなったりする。例えばプラスチッ
ク消しゴムを感熱層表面に数時間放置しておいたり、ポ
リ塩化ビニル製のカバンに入れて長時間カバンに直接触
れる状態で保存したりすると、発色画像が消えてしま
う。また指紋による消色、蛍光ペンによる発色、消色な
どの不都合もある。未発色部は、アルコールやトルエ
ン、酢酸エチルなどの有機溶剤を誤って滴下したり、有
機溶剤の蒸気に暴露されたりすると発色し、記録画像と
の区別がつかなくなる。有機溶剤を含む接着剤の使用
も、未発色部の発色が起こるため使用を避ける必要があ
り不便である。
保存安定性を改良するために感熱記録層表面に保護層
を設けることは例えば特開昭56−126193号、特開昭59−
232893号、特開昭60−99696号など数多くの提案がなさ
れている。こうした保護層は、例えばポリ塩化ビニルの
フィルムと直接、感熱記録材料が接触する場合、フィル
ム中に含まれている可塑剤の感熱発色層への浸透を抑制
し、発色部分が消色するのを防ぐのに極めて有効であ
る。またサラダオイルなどの油分の浸透も保護層により
抑制出来、油分による消色を防ぐことができる。これま
でなされた提案の多くは保護層に必要とされる基本的な
性質、例えば、 (1) 未発色部を発色させたり、発色部を退色させる
傾向のある有機溶剤や可塑剤、油などのような物質の感
熱層への浸透を防ぐこと(以下この性質を耐油性とい
う)。
(2) 水が付着した場合でも、保護層被膜の溶解が起
こらず水によるブロッキングなどの問題が発生しないこ
と(以下この性質を耐水性という)。
(3) 保護層の影響による印字濃度の低下が少ないこ
と。
(4) 加熱印字に際し、サーマルヘッドのスティッキ
ング、ガス付着およびヘッドの摩耗が起きないこと。
を満足させようとするものであり、特公平2−2439号に
みられるように保護層を2層以上に分割することにより
こうした性質をバランスさせようとする試みもなされて
いる。
このような感熱記録材料に設けられる保護層は、耐油
性を付与し、かつ他の材料を接着するための接着剤、そ
の接着剤をさらに高分子化することで耐水性を発現する
ための架橋剤、サーマルヘッドへのスティッキングなど
を防止する目的で添加される脂肪酸金属塩や顔料などの
他、保護層の塗工性を良好とするための消泡剤、粘度調
節剤などを添加して形成するものであった。
しかしながら、従来提案された上記のような保護層で
はオフセット印刷適性に対しての配慮が全くなされてお
らず、オフセット印刷時に水負けによる印刷不良が発生
するため印刷品質を著しく損ねるといった問題があっ
た。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は保護層としての機能をもたせた上に、高い記
録感度を有し、同時に優れたオフセット印刷適性を有す
る感熱記録材料を提供しようとするものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、課題を解決するために、広範囲な材料
検索を含め研究を続けた結果、保護層が、高級脂肪酸ア
マイド、その置換変性物、芳香族系ビスアマイドから成
る群から選ばれた少くとも1種とポリビニルアルコール
を含有し、かつ保護層表面のベック平滑度を400秒以上
とすることにより、オフセット印刷適性、発色感度、ス
ティッキングに優れ、しかも耐油性が充分に発現できる
ことを見出した。
さらには保護層に用いるポリビニルアルコールとし
て、ケン化度90以下の部分ケン化型のポリビニルアルコ
ールから選ばれる1種とケン化度95以上の準ケン化型あ
るいは完全ケン化型のポリビニルアルコールから選ばれ
る1種とを1/9〜9/1の比率で配合したものを使用すれ
ば、オフセット印刷適性、耐油性ともさらに優れたもの
となることを見出した。
本発明において使用するアマイド類は、オフセット印
刷適性、スティッキングを向上するのに優れた効果があ
る、。高級脂肪酸アマイドの使用用途は例えば、TAPPI
J./Converting & Packaging,March 1988に記載されて
いるように、ポリマーの滑剤としての効果が知られてい
るが、オフセット印刷における水負け改善の効果は、知
られていなかった。オフセット印刷時において従来提案
されているような保護層では、印刷時、非画像部の印刷
地汚れを抑えるために湿し水供給量を多くすると、乳化
インキによる水負け現象が容易に発生しやすくなってし
まい、画像部の濃度ムラや網点形状の再現性不良が起こ
るという問題があった。このため、湿し水供給量を少な
めにせざるをえないが湿し水を少なめにしてオフセット
印刷機を運転することは熟練を要し、少なすぎると地汚
れの発生、多すぎると水負けの発生があり、非常に印刷
しずらい状態となる。本発明で使用するアマイド類は水
負けを抑制するのに効果があり、印刷時の水幅を広くす
ることができる。スティッキング現象はサーマルヘッド
により感熱記録材料を印字するときの問題であるが、加
熱により保護層成分が軟化することでサーマルヘッドへ
のはり付きが起こることが原因である。本発明によるア
マイド類は、加熱時、溶融し、サーマルヘッドと保護層
の界面に存在することで、はり付きを抑制するのに役立
つと考えられる。従来、ステアリン酸亜鉛などの高級脂
肪酸金属塩がこの目的に多く使用されているが、本発明
者らの詳細な研究によるとこうした高級脂肪酸金属塩は
スティッキングにたいしては優れた効果を示すもののオ
フセット印刷適性にはむしろ悪影響を及ぼし、本発明の
目的にたいしては好ましい結果が得られないことがわか
った。
本発明で使用する高級脂肪酸アマイド、その置換変性
物は、RCONHR′の構造をもち、長鎖のアルキル基と極性
の強いアミド基を持つため界面において特異な効果を示
すもので、以下のような化合物を例示することができ
る。オフセット印刷時の水負けについてはアルキル基の
長いものほど効果は大きく、また不飽和よりも飽和脂肪
酸のほうが良い傾向はみられる。
飽和脂肪酸モノアマイド類 ラウリン酸アマイド m.p. 86℃ パルミチン酸アマイド m.p.100℃ ステアリン酸アマイド m.p.101℃ ベヘン酸アマイド m.p.100℃ ヒドロキシステアリン酸アマイド m.p.110℃ 不飽和脂肪酸モノアマイド類 オレイン酸アマイド m.p.73℃ エルカ酸アマイド m.p.78℃ リシノール酸アマイド m.p.65℃ 置換アマイド類 N−ステアリルステアリン酸アマイド m.p.94℃ N−オレイルオレイン酸アマイド m.p.45℃ N−ステアリルオレイン酸アマイド m.p.67℃ N−オレイルステアリン酸アマイド m.p.74℃ N−ステアリルエルカ酸アマイド m.p.74℃ N−オレイルパルミチン酸アマイド m.p.69℃ メチロールアマイド類 メチロールステアリン酸アマイド m.p.111℃ メチルロールベヘン酸アマイド m.p.110℃ 飽和脂肪酸ビスアマイド メチレンビスステアリン酸アマイド m.p.143℃ エチレンビスカプリン酸アマイド m.p.161℃ エチレンビスラウリン酸アマイド m.p.157℃ エチレンビスステアリン酸アマイド m.p.143℃ エチレンビスイソステアリン酸アマイド m.p.100℃ エチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド m.p.144
℃ エチレンビスベヘン酸アマイド m.p.141℃ ヘキサメチレンビスステアリン酸アマイド m.p.146℃ ヘキサメチレンビスベヘン酸アマイド m.p.143℃ N,N′−ジステアリルアジピン酸アマイド m.p.144℃ N,N′−ジステアリルセバシン酸アマイド m.p.135℃ 不飽和脂肪酸ビスアマイド エチレンビスオレイン酸アマイド m.p.118℃ ヘキサメチレンビスオレイン酸アマイド m.p.119℃ N,N′−ジオレイルアジピン酸アマイド m.p.119℃ N,N′−ジオレイルセバシン酸アマイド m.p.115℃ 芳香族系アマイドとしては例えば下記の物がある。
芳香族ビスアマイド m−キシリレンビスステアリン酸アマイド m.p.123℃ N,N′−ジステアリルイソフタル酸アマイド m.p.129℃ これらのアマイド類は、保護層の1〜30重量%、好ま
しくは3〜15重量%添加する。添加量が少すぎるとその
効果に乏しく、添加量が多過ぎると耐油性の低下につな
がることがある。
本発明において、ポリビニルアルコールは耐油性を付
与するために使用する。ポリビニルアルコールは、その
変性物を用いてもよく、耐水性を高めるために、メラミ
ン、エポキシ、イソシアナート、グリオキザール、ジメ
チロールウレア、ポリアルデヒド、ジルコニウム塩など
の架橋剤との併用がより好ましい。本発明者らの研究に
よればケン化度の高いものほど耐油性に優れ、ケン化度
の低いものほど、オフセット印刷適性にはすぐれてい
る。したがって、ケン化度90以下と95以上のポリビニル
アルコールを1/9〜9/1の配合比で組み合わせて使用する
ことで、両者の特徴を引き出し、極めてすぐれた品質を
得ることができる。耐油性は重合度の高いものほどすぐ
れており、特にケン化度95以上のポリビニルアルコール
は、高重合度のものを使用することで、より好ましい結
果を得ることができる。ポリビニルアルコールは、保護
層の5〜95重量%、好ましくは20〜80重量%の範囲で使
用する。
サーマルヘッドと保護層表面の密着性を高め、熱伝導
を効率よくはたすために保護層表面は、ベック平滑度
で、400秒以上とする。塗工、乾燥工程を工夫すること
で、平滑性をたかめてもよいし、スーパーカレンダーな
どで、仕上げてもかまわない。
感熱層の上に塗布する本発明による保護層塗液には、
本発明の効果を損なわない範囲で、顔料、接着剤、架橋
剤、ワックスの他、消泡剤や界面活性剤など各種添加剤
をいれることはさしつかえない。
例えば、顔料は、炭酸カルシウム、クレー、タルク、
酸化チタン、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、ケイ酸アル
ミニウム、シリカ、水酸化アルミニウムなどの無機顔
料、でんぷん粒、小麦粉、シリコン樹脂、尿素・ホルマ
リン樹脂、フェノール樹脂、メラミン・ホルマリン樹
脂、エポキシ樹脂、グアナミン・ホルマリン樹脂、ポリ
スチレン樹脂などを用いた有機合成顔料などが使用でき
る。
接着剤の例としては、本発明のポリビニルアルコール
の外に、アセトアセチル化ポリビニルアルコール、カル
ボキシ変性ポリビニルアルコールなどの変性ポリビニル
アルコール、デンプン、変性デンプン、カゼイン、ゼラ
チン、にかわ、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ヒド
ロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリ酢酸
ビニル、ポリアクリル酸エステル、スレチン−無水マレ
イン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリ
塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタンなどが
望ましい。
ワックス類としては、ステアリン酸などの高級脂肪
酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ベヘ
ニン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウムなどの高級脂肪
酸金属塩、ポリエチレンワックス、パラフィンワック
ス、カルナバロウ、マイクロクリスタリンワックスなど
が使用できる。
塗布量は、乾燥重量で、0.1〜6g/m2、好ましくは1〜
4g/m2とする。少なすぎると耐油性が満足できず、多過
ぎると発色感度が低下する。保護層を2層以上に分割す
ることもできる。
本発明において、その他の感熱記録材料の構成は、従
来のいかなるものでもよい。
例えば、感熱発色層に含有させる塩基性染料として
は、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−
ジメチルアミノフタリドなどのトリアリルメタン系染
料、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−フェニルア
ミノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7
−フェニルアミノフルオラン、3−(N−シクロヘキシ
ル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−フェニルア
ミノフルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロ
ロフェニルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−N
−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−フェニルアミ
ノフルオラン、などが挙げられる。
顕色剤は温度の上昇によって液化、ないし溶解する性
質を有し、かつ上記塩基性染料と接触して呈色させる性
質を有する物であればよい。代表的な具体例としては4
−tert−ブチルフェノール、4−アセチルフェノール、
4−tert−オクチルフェノール、4,4′−sec−ブチリデ
ンジフェノール、4−フェニルフェノール、4,4′−ジ
ヒドロキシ−ジフェニルメタン、4,4′−イソプロピリ
デンジフェノール、ハイドロキノン、4,4′−シクロヘ
キシリデンジフェノール、4,4′−ジヒドロキシジフェ
ニルサルファイド、4,4′−チオビス(6−tert−ブチ
ル−3−メチルフェノール)、4,4′−ジヒドロキシジ
フェニルスルフォン、4−ヒドロキシ−4′−イソプロ
ポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシベンゾフェ
ノン、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、4−ヒドロキ
シ安息香酸メチル、4−ヒドロキシ安息香酸エチル、4
−ヒドロキシ安息香酸プロピル、4−ヒドロキシ安息香
酸−sec−ブチル、4−ヒドロキシ安息香酸フェニル、
4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4−ヒドロキシ安息
香酸トリル、4−ヒドロキシ安息香酸クロロフェニル、
4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテルなどのフェノ
ール性化合物、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、
トリクロル安息香酸、テレフタル酸、サリチル酸、3−
イソプロピルサリチル酸、3−tert−ブチルサリチル
酸、3−ベンジルサリチル酸、3−(α−メチルベンジ
ル)サリチル酸、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸な
どの芳香族カルボン酸、およびこれらフェノール性化合
物、芳香族カルボン酸と例えば亜鉛、マグネシウム、ア
ルミニウム、カルシウムなどの多価金属との塩などの有
機酸性物質などが挙げられる。
本発明の感熱記録材料において、感熱発色層をその上
に形成する支持体材料についても格別限定されるもので
はない。例えば、紙、顔料塗工紙、合成繊維紙、合成樹
脂フィルムなどを適宜使用することができる。一般には
紙が好ましい。
感熱発色層形成塗液を調製するにあたっては、水を分
散媒体として使用し、ボールミル、アトライター、サン
ドグラインダーなどの粉砕機により染料、呈色剤を分散
し塗液とする。かかる塗液中には、結合剤としてデンプ
ン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイ
ン、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、スチレン・
無水マレイン酸共重合体塩、スチレン・ブタジエン共重
合体エマルジョンなどを全固形分の2乃至40重量%、好
ましくは5〜25重量%使用する。塗液中には必要に応じ
て各種の助剤を添加することは差支えない。例えば、ジ
オクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼン
スルホン酸ナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステ
ル・ナトリウム塩、脂肪酸金属塩などの分散剤、その他
消泡剤、蛍光染料、着色染料などはいずれも添加でき
る。
感熱発色層をさらに白くしたりするために顔料を併用
してもよい。例えばクレー、タルク、重質炭酸カルシウ
ム、軽質炭酸カルシウム、シリカ、ケイ酸カルシウム、
ケイ酸アルミニウム、ケイソウ土、酸化アルミニウム、
二酸化チタン、酸化亜鉛などの無機顔料、尿素・ホルマ
リン、フェノール、エポキシ、メラミン、グアナミン、
ホルマリン樹脂を用いた有機顔料などを用いることがで
きる。
発色後の退色を防止するために保存性向上剤を添加す
ることも何ら差支えない。このような保存性向上剤とし
てはフェノール系の化合物が有効であり、例えば1,1,3
−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチ
ルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4
−ヒドロキシ−5−シクロヘキシル)ブタン、1,1−ビ
ス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェ
ニル)ブタン、4,4′−(1−フェニルエチリデン)ビ
スフェノール、4,4′−〔1,4−フェニレンビス(1−メ
チルエチリデン)〕ビスフェノール、4,4′−〔1,3−フ
ェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノー
ルなどを挙げることができる。
ワックス類としては、ステアリン酸などの高級脂肪
酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ベヘ
ニン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウムなどの高級脂肪
酸金属塩、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エ
ルカ酸アミド、ベヘニン酸アミドなどの高級脂肪酸アミ
ド、メチロール化脂肪酸アミド、ポリエチレンワック
ス、パラフィンワックス、カルナバロウ、マイクロクリ
スタリンワックスなどを挙げることができる。
感熱記録材料の感度を向上するための増感剤としては
例えばパラベンジルビフェニル、ジベンジルテレフタレ
ート、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、シュ
ウ酸ジベンジル、アジピン酸ジ−o−クロルベンジル、
1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン、シュウ酸ジ
−p−クロルベンジル、シュウ酸ジ−p−メチルベンジ
ル、1,2−ビス(3,4−ジメチルフェニル)エタンなどが
使用できる。
本発明の感熱記録材料において、感熱発色層および保
護層の形成方法は特に限定されない。例えば塗液を塗布
する方法としてはエアーナイフコーター、プレードコー
ターなど適当な塗布装置を用いることができる。
感熱発色層は、一般に乾燥重量で2〜12g/m2の範囲と
なるように形成する。
裏面からの油や溶剤、可塑剤の浸透を抑えたり、カー
ルコントロールのためにバック層を設けることもでき、
この場合、本発明の保護層と同様の特性をもたせること
でバック層についてもオフセット印刷適性にすぐれたも
のとすることができる。
さらに、必要に応じて感熱発色層の下にアンダーコー
ト層を設けるなどの公知の諸種の変形をすることは何ら
差支えない。
〔実 施 例〕
以下に本発明を実施例によってさらに具体的に説明す
る。
感熱発色層の形成 塩基性染料分散液Aの調製 3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−フェニル
アミノフルオラン 40重量部 ポリビニルアルコール10%液 20重量部 水 40重量部 顕色剤分散液Bの調製 4,4′−イソプロピリデンジフェノール 40重量部 ポリビニルアルコール10%液 20重量部 水 40重量部 増感剤分散液Cの調製 シュウ酸ジ−p−メチルベンジル 40重量部 ポリビニルアルコール10%液 20重量部 水 40重量部 上記A〜C液の調製用組成物をサンドグラインダーで
平均粒径0.5μmまで別個に粉砕した。
顔料分散液Dの調製 軽質炭酸カルシウム 40重量部 (ブリリアント15,白石工業(株)) ヘキサメタリン酸ソーダ0.7%溶液 60重量部 この組成物をカウレス分散機で分散した。
さらに分散物E,F液として、20%ステアリン酸亜鉛分
散物、20%ステアリン酸アミド分散物を用意した。
また結着剤として10%ポリビニルアルコール水溶液を
用いた。
これらの分散物および結着剤を用いて乾燥後の重量比
率が A:B:C:D:E:F:ポリビニルアルコール=10:20:20:30:5:5:
10 となるように配合し、塗液を作成した。
この塗液を50g/m2の原紙に乾燥後塗布量が7g/m2とな
るように塗布し乾燥することによって原紙支持体上に感
熱発色層を形成した。
保護層の形成 ポリビニルアルコールは、NH−18(ケン化度98.0〜9
9.0、重合度1800、日本合成化学工業(株))とGL−05
(ケン化度86.5〜89.0、重合度500、同)を用い、比較
のための接着剤としてでんぷんを使用し、また顔料とし
てブリリアント15(軽質炭酸カルシウム、白石工業
(株))の他、アマイド類、架橋剤を用いて配合比を変
化させ、乾燥後の重量が3g/m2となるように保護層を塗
工し、スーパーカレンダーによりベック平滑度を変化さ
せた。
その時の各材料の配合比率、発色濃度、耐油性、およ
び印刷水負け試験結果を第1表に示す。
発色濃度は、松下電送(株)製UF−60で印字後、マク
ベス社製 RD−100R型濃度計で記録濃度を測定した。同
時にスティッキングについての評価も行なった。○は良
好、△はやや音がしたことを、×は激しく音がしたこと
をあらわす。耐油性は印字物の上にサラダオイルを塗布
し、1日後の消色程度を目視評価した。○は、消色のな
かったことを、△はやや消色がみられたが、実用上は問
題のないレベルであったことを、×は完全に消色したこ
とをあらわす。
印刷水負け試験は、明製作所製RIテスターを用い、イ
ンキは東華色素ベストキュアRNC・紅でインキ0.25gに水
0.5ccを加え、インキ練りローラーで1分間インキと水
を練りインキを乳化させた後印刷試験を行なった。○は
良好にインキが紙に移転したことを、△はインキの転移
程度がやや不充分であるが実用上問題ないと判断できる
レベルであることを、×はインキの転移が適切に行なわ
れなかったこと示す。
第1表より本発明による保護層を設けた感熱記録材料
は発色感度に優れ、スティッキングが良好で印刷時の水
負けが良く、かつ耐油性にすぐれていることがわかる。
〔発明の効果〕 本発明により、オフセット印刷適性にすぐれ、かつ発
色感度、スティッキングが良好でしかも耐油性の良い感
熱記録材料の提供を可能とした。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体上に、少なくとも1種の塩基性染料
    と該塩基性染料と接触して呈色し得る顕色剤とを含有す
    る感熱発色層を設け、その上に保護層を設けた感熱記録
    材料において、前記保護層が、高級脂肪酸アマイド、そ
    の置換変性物、芳香族系ビスアマイドから成る群から選
    ばれた少なくとも1種とポリビニルアルコールとを含有
    し、かつ、前記ポリビニルアルコールがケン化度90以下
    の部分ケン化型から選ばれる1種とケン化度95以上の準
    完全ケン化型あるいは完全ケン化型から選ばれる1種と
    から成り、その割合が1/9〜9/1であり、かつ保護層表面
    のベック平滑度が400秒以上であることを特徴とする感
    熱記録材料。
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