JP2659155B2 - 疎水性エアロゲルの製造方法 - Google Patents

疎水性エアロゲルの製造方法

Info

Publication number
JP2659155B2
JP2659155B2 JP25508592A JP25508592A JP2659155B2 JP 2659155 B2 JP2659155 B2 JP 2659155B2 JP 25508592 A JP25508592 A JP 25508592A JP 25508592 A JP25508592 A JP 25508592A JP 2659155 B2 JP2659155 B2 JP 2659155B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydrophobic
group
producing
solvent
gel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP25508592A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05279011A (ja
Inventor
弘 横川
勝 横山
孝一 高濱
上垣百合子
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Works Ltd filed Critical Matsushita Electric Works Ltd
Publication of JPH05279011A publication Critical patent/JPH05279011A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2659155B2 publication Critical patent/JP2659155B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、断熱性等、多孔質材
料に特有の機能や、光透過性等に優れ、かつ、疎水性を
有するエアロゲルを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱伝導率が小さいため断熱性を有し、か
つ、光透過性を有する材料として、シリカからなるエア
ロゲルが知られている。このようなエアロゲルを製造す
る方法としては、たとえば、アルコキシシラン(シリコ
ンアルコキシド、アルキルシリケート等とも称される)
を加水分解し縮重合して、骨格が(SiO2)m で、か
つ、シラノール基を有するポリマーを生成させ、このポ
リマーと、アルコール、液化二酸化炭素等の分散媒とを
含むゲルを、前記分散媒の超臨界条件下で乾燥する(超
臨界乾燥する)方法がある(米国特許第4402927
号、同4432956号、同4610863号の各明細
書等参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前述の従来
法により得られたエアロゲルは、雰囲気中の水分を表面
に吸着して親水性の高いシラノール基を形成するため、
雰囲気中の水分を経時的に吸着し、その結果、光透過性
や断熱性等の光学的、熱的な初期特性が低下し、さらに
は水分の吸着に起因する収縮によって寸法の変化や割れ
等が生じて、品質や性能が劣化するので、実用上、問題
があった。
【0004】このような事情に鑑み、この発明は、水分
等を吸着しにくく、経時的な劣化の少ない、光透過性を
有する多孔体を得ることができる疎水性エアロゲルの製
造方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、この発明にかかる疎水性エアロゲルの製造方法は、
骨格が(SiO2)m (mは正の整数)で、かつ、シラノ
ール基を有するポリマーを、前記シラノール基に対して
反応可能な官能基と疎水基を併せ持つ疎水化処理剤と反
応させて疎水化処理することにより得られた変性ポリマ
ーのゲルを超臨界乾燥させて疎水性エアロゲルを得るよ
うにするものである。
【0006】この発明の製造方法により得られる疎水性
エアロゲルは、光透過性を有する多孔体である。ここ
で、疎水性とは、たとえば、撥水性と同義であり、水分
吸着等が起こらず、このため、水分による性能劣化がな
いものである。エアロゲル(エーロゲル)は、一般に
は、湿潤アルコゲル等、乾燥前の分散媒を含んだ状態で
のゲル体から分散媒などを除去して得られる多孔質な材
料を指し、超臨界抽出により分散媒を除去して得られる
乾燥多孔質ゲルを含む。
【0007】この発明において、疎水化処理剤と反応さ
せて疎水化処理されるポリマーは、その骨格が少なくと
も(SiO2)m で、かつ、シラノール基を有するケイ酸
化合物である。このものは、分子中に、Si−R1 で表
される結合を含有していてもよい。ここで、mは正の整
数で、R1 は炭素数1〜5のアルキル基またはフェニル
基である。このポリマーを構成するSiは、雰囲気中の
水分を吸着し、シラノール基を形成して安定化する傾向
が極めて強い性質がある。
【0008】このような性質を有する(SiO2)m を骨
格とするポリマーとしては、特に限定はされないが、た
とえば、下記一般式(I)で表されるアルコキシシラン
を加水分解し、縮重合して得られたもの等が挙げられ
る。 SiR1 n (OR2)4-n …(I) 〔式(I)中、R1 およびR2 は、互いに独立に、炭素
数1〜5のアルキル基またはフェニル基を表し、nは0
〜2の整数である。R1 およびR2 がそれぞれ2個以上
ある場合、2個以上のR1 、2個以上のR2 は、それぞ
れ、互いに同じであってもよく、異なっていてもよ
い。〕上記一般式(I)で表されるアルコキシシランと
しては、より具体的には、下記一般式(II)で表される
2官能アルコキシシラン、下記一般式(III)で表される
3官能アルコキシシランおよび下記一般式(IV)で表さ
れる4官能アルコキシシランのうちの少なくとも1種が
用いられる。
【0009】 〔式(II)中、R3 、R4 およびR5 は、互いに独立
に、炭素数1〜5のアルキル基またはフェニル基を表
す。2個のR5 は、互いに同じであってもよく、異なっ
ていてもよい。〕 R6 −Si (OR7)3 …(III) 〔式(III)中、R6 およびR7 は、互いに独立に、炭素
数1〜5のアルキル基またはフェニル基を表す。3個の
7 は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよ
い。〕 Si (OR8)4 …(IV) 〔式(IV)中、R8 は、炭素数1〜5のアルキル基また
はフェニル基を表す。4個のR8 は互いに同じであって
もよく、異なっていてもよい。〕で表される4官能アル
コキシシラン、上記式(II)、(III)および(IV)でそ
れぞれ表される2官能、3官能および4官能の各アルコ
キシシランとしては、特に限定されないが、それらの具
体例を挙げると、2官能アルコキシシランとしては、た
とえば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキ
シシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジ
メトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、メ
チルフェニルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシ
ラン、ジエチルジメトキシシラン等が用いられる。3官
能アルコキシシランとしては、たとえば、メチルトリメ
トキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリ
メトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニル
トリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等が
用いられる。4官能アルコキシシランとしては、たとえ
ば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等が
用いられる。
【0010】前記一般式(I)で表されるアルコキシシ
ラン(以下、特に断らない限り「アルコキシシラン」は
このものを指す。)を効率良く加水分解し、縮重合を行
うためには、アルコキシシランを含む反応系に予め触媒
を添加しておくことが好ましい。このような触媒として
は、酸性触媒、塩基性触媒等が挙げられる。具体的に述
べると、酸性触媒としては、塩酸、クエン酸、硝酸、硫
酸、フッ化アンモニウム等が用いられ、塩基性触媒とし
ては、アンモニア、ピペリジン等が用いられるが、これ
らに限定されるものではない。
【0011】アルコキシシランの加水分解と縮重合は、
水との相溶性を有し、かつ、アルコキシシランを溶解す
る溶媒と、水との混合液を用いて行うことが好ましい。
このような混合液を用いた場合、加水分解工程と縮重合
工程を連続して行うことができ、効率が良いからであ
る。その際、生成するポリマーは、上記溶媒を分散媒と
するゲル化物として得られる。水との相溶性を有し、か
つ、アルコキシシランを溶解する溶媒としては、特に限
定はされないが、たとえば、メタノール、エタノール、
プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアル
コールや、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド等
が挙げられる。これらは、1種のみを用いてもよいし、
2種以上を併用してもよい。
【0012】次に、骨格が(SiO2)m (mは正の整
数)で、かつ、シラノール基を有するポリマー(以下、
これを「原料ポリマー」と称することがある)を疎水化
処理剤と反応させて疎水化処理する工程について説明す
る。原料ポリマーは、必要に応じて、疎水化処理を効率
良く行うために予め水分を除去されたものであることが
好ましい。原料ポリマーの水分除去は、特に、ポリマー
が、アルコキシシランを加水分解し、縮重合を行うこと
により得られたポリマーである場合に有効である。原料
ポリマーの水分を除去する方法としては、特に限定はさ
れないが、たとえば、アルコキシシランを加水分解し、
縮重合を行う際に用いられる溶媒として前述した溶媒で
ポリマーを洗浄する方法等が挙げられる。
【0013】この発明で用いられる疎水化処理剤は、原
料ポリマーの有するシラノール基に対して反応可能な官
能基と、疎水基とを併せ持つ化合物である。シラノール
基に対して反応可能な官能基としては、特に限定はされ
ないが、たとえば、ハロゲン、アミノ基、イミノ基、カ
ルボキシル基およびアルコキシル基等が挙げられる。疎
水基としては、特に限定はされないが、たとえば、アル
キル基、フェニル基およびそれらのフッ化物等が挙げら
れる。疎水化処理剤は、上記の官能基および疎水基を、
それぞれ、1種のみ有していてもよいし、2種以上有し
ていてもよい。疎水化処理剤の具体例としては、たとえ
ば、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシロキサ
ン、トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラ
ン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルエトキシシ
ラン、トリエチルメトキシシラン、ジメチルジクロロシ
ラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシ
シラン、メチルトリクロロシランおよびエチルトリクロ
ロシラン等のシラン化合物が挙げられるが、これらに限
定されない。すなわち、シラン化合物以外の化合物、た
とえば、蟻酸、酢酸、コハク酸等のカルボン酸や、メチ
ルクロリド等のハロゲン化アルキル等であってもよいの
である。疎水化処理剤は、1種のみを用いてもよいし、
2種以上を併用してもよい。
【0014】疎水化処理を行う手法としては、特に限定
はされないが、たとえば、疎水化処理剤を溶媒に溶解さ
せた溶液中に原料ポリマーを浸漬し、混合するなどして
原料ポリマー内に疎水化処理剤を浸透させた後、必要に
応じて加熱し、疎水化処理反応を行う方法等が挙げられ
る。疎水化処理時に用いる溶媒としては、たとえば、エ
タノール、メタノール、トルエン、ベンゼン、N,N−
ジメチルホルムアミド等が挙げられるが、前記疎水化処
理剤が容易に溶解し、かつ、原料ポリマーの含有する溶
媒(分散媒)と置換可能なものであれば、上記に限定さ
れるものではない。また、後で超臨界乾燥を行うため、
超臨界乾燥の容易な溶媒(たとえば、エタノール、メタ
ノール、液体CO2 等)と同一種類もしくはそれとの置
換が容易なものの方が好ましい。
【0015】疎水化処理は、原料ポリマーの有するシラ
ノール基の水酸基を、疎水化処理剤の有する官能基と反
応させて疎水化するために行うものである。したがっ
て、疎水化処理剤の使用量としては、原料ポリマーの粒
子表面のシラノール基数に対して充分になる量用いるこ
とが好ましい。たとえば、重量比で(原料ポリマー)/
(疎水化処理剤)=0.5〜10程度の範囲が好ましい
が、これは、疎水化処理反応を行う溶媒量、温度、時間
等や、また、コストと性能の兼ね合い等から選択できる
ため、限定されない。また、溶媒の使用量としても限定
されない。
【0016】上に述べた疎水化処理により得られる変性
ポリマーは、原料ポリマーの有するシラノール基の水酸
基が疎水基で置換されて疎水化したものであり、ポリマ
ー固形分と分散媒との2相からなるゲルとして得られ
る。この場合の分散媒とは、前述した、原料ポリマーの
調製時に用いられる溶媒や疎水化処理時に用いられる溶
媒、あるいは、後述の超臨界乾燥に適した他の溶媒のこ
とであり、この明細書中では、ゲルを構成する液相を分
散媒と記すが、広義では溶媒と同義である。
【0017】次に、上記変性ポリマーのゲルを超臨界乾
燥する工程について説明する。ここで、超臨界乾燥と
は、ゲルに含まれている分散媒(溶媒)の臨界点または
臨界点よりも高温高圧の雰囲気中で分散媒を徐々に除去
する乾燥法である。超臨界乾燥を行う際には、必要に応
じて、変性ポリマーのゲル中の分散媒を、超臨界乾燥の
媒体として用いる分散媒に予め置換しておく。その際、
超臨界乾燥の媒体として用いる分散媒は、変性ポリマー
のゲル中の分散媒よりも臨界点の低い化合物からなるも
のを用いることが好ましいが、これに限定されない。た
とえば、疎水化処理時の溶媒を超臨界乾燥の媒体として
そのまま用いてもよく、その場合は、分散媒(溶媒)の
置換操作を行う必要はない。
【0018】超臨界乾燥の媒体として用いられる分散媒
(溶媒)としては、臨界点以上の温度圧力の設定が容易
なものが好ましいが、これに限定されない。具体的に
は、たとえば、メタノール、エタノール、プロパノー
ル、イソプロパノール、ブタノール等のアルコールや、
ジクロロジフルオロメタン、液化二酸化炭素、水等の単
独系または2種以上の混合系を挙げることができる。超
臨界乾燥の媒体として用いられる分散媒は、前述したア
ルコキシシランの加水分解と縮重合を行う際に用いられ
る溶媒(水との相溶性を有し、かつ、アルコキシシラン
を溶解する溶媒)もしくは疎水化処理時に用いられる溶
媒と同一種類のものを用いてもよいし、それらと異なる
種類のものを用いてもよい。
【0019】超臨界乾燥を行う際に用いられる容器とし
ては、特に限定はされないが、除去される分散媒の臨界
点以上の高温高圧に耐えられる容器が好ましく、たとえ
ば、オートクレーブ等が挙げられる。この発明の疎水性
エアロゲルの製造方法は、特に限定されるわけではない
が、たとえば、以下のようにして行われる。
【0020】まず、アルコキシシランにアルコール、
水、および、必要に応じて触媒を添加混合し、アルコキ
シシランを加水分解し、縮重合させる。縮重合反応が充
分に進行すると、反応混合物がゲル化する。次に、この
ゲル化物にアルコールを添加し、加熱する、いわゆる熟
成を行う。なお、この際、必要に応じては、熟成工程を
省いても良い。アルコールを添加した場合には、湿潤ア
ルコゲルが得られる。
【0021】湿潤アルコゲル等のゲル化物(原料ポリマ
ーのゲル)を疎水化処理剤と反応させて疎水化処理す
る。この疎水化処理のための反応は、たとえば、原料ポ
リマーのゲル化物中に含まれるアルコールを、疎水化処
理剤を溶媒に溶解させた処理液と置換し、必要に応じ加
熱して行われる。反応後、たとえば、再びアルコールで
溶媒の置換を行ってから、超臨界乾燥を行う。なお、疎
水化処理剤を溶解させた処理液の溶媒としては、疎水化
処理剤に対する溶解性がアルコールよりも高いものを用
いることが好ましく、また、沸点がアルコールよりも高
いものを用いることが好ましい。沸点がアルコールより
も高い溶媒としては、アルコールの種類により異なる
が、たとえば、トルエン等が挙げられる。
【0022】上記の疎水化処理により得られた変性ポリ
マーのゲルを超臨界乾燥させる方法としては、特に限定
されないが、たとえば、変性ポリマーのゲルを液化二酸
化炭素(50〜60気圧程度)中に浸漬して、ゲルの含
むアルコールの全部または一部を、このアルコールより
も臨界点が低い液化二酸化炭素に置換した後、二酸化炭
素の単独系、または、二酸化炭素とアルコールとの混合
系の超臨界条件下で乾燥する方法、あるいは、二酸化炭
素との置換を行わず、溶媒として使用しているアルコー
ルの超臨界条件下で乾燥する方法等が挙げられる。
【0023】このような超臨界乾燥を行い、変性ポリマ
ーの含有する流体を除去することにより、優れた疎水性
が付与された光透過性を有するエアロゲル(多孔体)が
得られる。また、上記のようにして湿潤ゲル時に疎水化
処理を施しておくと、その超臨界乾燥時の寸法収縮は全
く無く、溶媒を除去して得られるエアロゲルは軽量で、
非常に性能(断熱性等)の優れたものとなる。
【0024】
【作用】骨格が(SiO2)m で、かつ、シラノール基を
有するポリマー(原料ポリマー)を、前記シラノール基
に対して反応可能な官能基と疎水基を併せ持つ疎水化処
理剤と反応させて疎水化処理することにより得られた変
性ポリマーのゲルを超臨界乾燥させるようにすると、水
分等を吸着しにくく、経時的な劣化の少ない、光透過性
を有するエアロゲルを得ることが可能になる。
【0025】ゲル化物に含まれている溶媒(分散媒)の
臨界点または臨界点よりも高温高圧の雰囲気中すなわち
超臨界状態では溶媒の相転移(気化、凝縮)が起こらな
いため、このような超臨界状態で乾燥を行うと、溶媒除
去時のゲル化物の構造体の破壊、凝集が抑制される。こ
のため、超臨界乾燥によって得られたエアロゲルは、多
孔質なものとなる。これに対し通常の加熱乾燥では、溶
媒が液体から気体に変化するため、ゲル化物の構造体中
から除去される際に、溶媒の表面エネルギーによって前
記構造体が破壊されたり、凝集したりする。
【0026】しかし、もしも、疎水化処理を施さずにゲ
ル体の超臨界乾燥を行うと、若干(数%)の収縮が起こ
る。この理由は次のように考えられる。原料ポリマーの
構成体であるシリカ微粒子は粒子表面に非常に多くのシ
ラノール基を有している。従って、シラノール基同士、
または、湿潤ゲル状態の時から微量に存在しうる水分と
シラノール基による水素結合が起こっており、乾燥時末
期にはこれらの張力によって粒子結合力は増し、若干の
収縮が起こる。
【0027】ところが、この発明のように、原料ポリマ
ーの構成微粒子を疎水化処理すると、乾燥時の上記のよ
うなシラノール基による影響はないため、超臨界乾燥を
行うと、微細な多孔質構造を維持できるように理想的に
溶媒が除去できる。このため、この発明は、エアロゲル
の空孔径やかさ密度の設計が容易であったり、または、
かさ密度の小さなものを作製するのに有利であったりす
るという利点を有する。
【0028】この発明の製造方法により得られたエアロ
ゲルは、上記したように非常に微細なシリカ粒子からな
る構造体で、その粒子径および粒子間空隙は光の波長よ
りもはるかに小さいために、多孔体であるにもかかわら
ず光透過性を有する。また、ゲル化物(ゲル体)のシリ
カ粒子に対して、粒子表面が撥水性を有するように疎水
化処理を施すことによって、得られるエアロゲルは優れ
た疎水性を示し、水分等を吸着しにくいため、水分等の
吸着による、断熱性、透明性等の性能劣化を防ぐことが
できる。ここで透明性とは、たとえば、可視光波長領域
等に対する視覚的な透明性であるが、これに限定されな
い。
【0029】
【実施例】以下に、この発明の具体的な実施例および比
較例を示すが、この発明は下記実施例に限定されない。 −実施例1− テトラメトキシシラン(東レダウコーニングシリコーン
(株)製試薬)に、エタノール(ナカライテスク(株)
製特級試薬)と0.01mol/l のアンモニア水溶液とを
混合したものを徐々に添加した。この際、反応は室温で
行い、混合比は、テトラメトキシシラン:エタノール:
アンモニア水=1:5:4(モル比)であった。2時間
程度攪拌後静置し、ゲル化させた。ゲル化後、エタノー
ルを加え、50℃で加熱し、さらにエタノールの添加を
繰り返してゲルが乾燥しないように縮重合反応を加速
(熟成)した。
【0030】次に、このゲル化物をゲルの5倍の容積の
0.2mol/l −トリメチルクロロシラン(東レダウコー
ニングシリコーン(株)製試薬)のトルエン溶液中に移
し、1昼夜この溶媒の交換を繰り返し、ゲル内にトリメ
チルクロロシランを混合した。その後、110℃で2時
間程度加熱攪拌し、疎水化処理反応を行った後、今度
は、ゲルをエタノール中に移して、1昼夜、エタノール
の交換を繰り返し、溶媒置換を行った。
【0031】次に、このゲルを18℃、55気圧の二酸
化炭素中に入れ、ゲル内のエタノールを二酸化炭素に置
換する操作を2〜3時間行った。その後、系内を二酸化
炭素の超臨界条件である、40℃、80気圧にし、超臨
界乾燥を約24時間行ってエアロゲル試料を得た。試料
の大きさは、厚み5mm、直径50mmであった。 −実施例2− 実施例1において、トリメチルクロロシランを用いる代
わりにヘキサメチルジシラザン(東レダウコーニングシ
リコーン(株)製試薬)を用いたこと以外は実施例1と
同様にしてエアロゲル試料を得た。
【0032】−実施例3− 実施例2において、二酸化炭素を媒体とする超臨界乾燥
を行う代わりに、エタノールをエタノールの超臨界条件
下(250℃、80気圧)で超臨界乾燥を行うようにし
たこと以外は実施例2と同様にしてエアロゲル試料を得
た。 −実施例4− 実施例2において、テトラメトキシシランを用いる代わ
りにテトラエトキシシラン(東レダウコーニングシリコ
ーン(株)製試薬)を用い、混合比をテトラエトキシシ
ラン:エタノール:アンモニア水=1:5.5:5とし
たこと以外は、実施例2と同様にしてエアロゲル試料を
得た。
【0033】−実施例5− 実施例4において、0.01mol/l のアンモニア水を用
いる代わりに0.04mol/l のフッ化アンモニウム水溶
液を用いたこと以外は、実施例4と同様にしてエアロゲ
ル試料を得た。 −実施例6− 実施例1の乾燥工程において、40℃、80気圧の条件
で約24時間の超臨界乾燥を行う代わりに、80℃、1
60気圧の条件で約48時間の超臨界乾燥を行ったこと
以外は、実施例1と同様にしてエアロゲル試料を得た。
【0034】−実施例7− 実施例1において、テトラメトキシシランの代わりに2
官能アルコキシシランであるジメチルジメトキシシラン
とテトラメトキシシランの1:9(モル比)の混合物を
用いたこと以外は、実施例1と同様にしてエアロゲル試
料を得た。 −実施例8− 実施例1において、テトラメトキシシランの代わりに3
官能アルコキシシランであるメチルトリメトキシシラン
とテトラメトキシシランの5:5(モル比)の混合物を
用いたこと以外は、実施例1と同様にしてエアロゲル試
料を得た。
【0035】−実施例9− 実施例1において、トリメチルクロロシランの代わり
に、トリフロロプロピル−トリメトキシシラン(東レダ
ウコーニングシリコーン(株)製試薬、AX43−01
3)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてエアロ
ゲル試料を得た。 −実施例10− 実施例2において、テトラメトキシシランを用いる代わ
りにテトラエトキシシラン(東レダウコーニングシリコ
ーン(株)製試薬)を用い、混合比をテトラエトキシシ
ラン:エタノール:アンモニア水=1:14:12とし
たこと以外は、実施例2と同様にしてエアロゲル試料を
得た。
【0036】−実施例11− 実施例10において、0.01mol/l のアンモニア水溶
液を用いる代わりに0.1mol/l の塩酸を用いたこと以
外は、実施例10と同様にしてエアロゲル試料を得た。 −実施例12− 実施例1において、テトラメトキシシランの代わりに3
官能アルコキシシランであるメチルトリメトキシシラン
を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてエアロゲル
試料を得た。
【0037】−比較例1− 実施例1において、ゲル化物を熟成した後、疎水化処理
反応は行わずに、そのまま実施例1と同様の条件で超臨
界乾燥を行って、エアロゲル試料を得た。 −比較例2− 実施例3において、ゲル化物を熟成した後、疎水化処理
反応は行わずに、そのまま実施例3と同様の条件で超臨
界乾燥を行って、エアロゲル試料を得た。
【0038】−比較例3− 実施例4において、ゲル化物を熟成した後、疎水化処理
反応は行わずに、そのまま実施例4と同様の条件で超臨
界乾燥を行って、エアロゲル試料を得た。 −比較例4− 実施例1において、ゲル化物を熟成した後、疎水化処理
反応は行わずに、そのまま常圧で80〜100℃に加熱
して乾燥を行って、ゲル乾燥物を得た。
【0039】−比較例5− 実施例2において、ゲル化物を熟成した後、ヘキサメチ
ルジシラザンを用いて疎水化処理反応を行ったものを、
そのまま常圧で80〜100℃に加熱して乾燥を行い、
ゲル乾燥物を得た。実施例1〜12および比較例1〜5
で得られた試料の内容を表1および2に示した。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】実施例1〜12および比較例1〜5で得ら
れた試料について、かさ密度、比表面積、熱伝導率、光
透過率、および、湿気による経時劣化を調べた。比表面
積は窒素吸着法によるBET法を利用して求めた。熱伝
導率は、英弘精機(株)製の定常法による熱伝導率測定
装置を使用して、ASTM−C518に準拠した方法
で、設定温度20℃と40℃の条件で測定した。
【0043】光透過率は、試料の透過光について、可視
光域の分光分布を測定し、可視光透過率をJIS−R3
106に基づいて求めた。湿気による経時変化は、試料
を、温度60℃、相対湿度90%の恒温恒湿槽内に48
時間放置し、その前後の試料の熱伝導率および光透過率
を測定した。結果を表3および4に示した。
【0044】なお、試料のかさ密度が大きいということ
は、乾燥前には同じ大きさの成形体だったのが、乾燥に
よる収縮が大きいということを示し、かさ密度が小さい
ということは、乾燥による収縮が小さいということを示
す。
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】表にみるように、実施例のエアロゲルは、
乾燥時の収縮が全く無く、そのために保持する多孔性が
優れているため、断熱性、光透過性に優れ、しかも、水
分等の吸着がなく、これらの経時変化がないものになっ
ている。これに比べ、比較例1〜3では、超臨界乾燥を
行っても乾燥時、微小ではあるが収縮を起こし、また、
水分等の吸着性が非常によいため、湿気によって著しく
性能が劣化する。また、比較例4,5では、乾燥時に著
しく収縮を起こしてしまい、断熱性能は悪いものとなっ
ている。なお、比較例と、これに対応する実施例とを対
比すると、かさ密度の数値に大小があるが、この差は、
乾燥時の収縮の大小により生じているものであり、疎水
化処理剤の有無による影響は小さかった。
【0048】−実施例13− 4官能アルコキシシランであるテトラメトキシシラン
(東レダウコーニングシリコーン(株)製試薬)に、エ
タノール(ナカライテスク(株)製特級試薬)と0.0
1mol/l のアンモニア水とを混合した混合液を徐々に添
加した。この際、混合比は、テトラメトキシシラン:エ
タノール:アンモニア水=1:5:4(モル比)であ
り、20℃に保って1時間攪拌しながら加水分解を進
め、直径51mmの容器内で静置して、ゲル化させた。さ
らに、エタノールを加え、50℃で加熱しながらエタノ
ールの添加を繰り返してゲルが乾燥しないように縮重合
反応を加速(熟成)することにより、直径が51mmで厚
みが5mmの、(SiO2)m を骨格に有するゲル状のポリ
マー〔アルコゲル〕を得た。
【0049】このゲル状のポリマー〔アルコゲル〕を疎
水化処理するため、ヘキサメチルジシラザン(東レダウ
コーニングシリコーン(株)製試薬)を0.2mol/l の
割合でトルエンに溶解させてトルエン溶液を調製し、上
記のゲル状のポリマー〔アルコゲル〕をその容積に対し
て5倍量の上記トルエン溶液中に移し、24時間かけて
ヘキサメチルジシラザンをポリマー内に浸透させた。そ
の後、110℃で2時間程度加熱しながら還流攪拌し
て、疎水化処理された変性ポリマーのゲルを得た。
【0050】この変性ポリマー〔ゲル〕をエタノール中
に移し、24時間かけてエタノールによる溶媒の交換を
繰り返し、未反応のヘキサメチルジシラザンとトルエン
を除去して、エタノールに溶媒を置換した。次に、この
ゲル〔アルコゲル〕を18℃、55気圧の液化二酸化炭
素中に入れ、アルコゲル内のエタノールを二酸化炭素に
置換する操作を3時間行った。その後、ゲルをオートク
レーブ内に移し、さらにこのオートクレーブ内をエタノ
ールと二酸化炭素の混合分散媒で満たし、この混合分散
媒の超臨界条件である80℃、160気圧にし、超臨界
乾燥を約48時間行って、エアロゲル試料を得た。この
試料の性状は、微細な多孔質で、透明で、かつ、軽量な
ものであった。
【0051】−実施例14− 実施例13において、ヘキサメチルジシラザンを用いる
代わりにトリメチルクロロシランを用いたこと以外は実
施例13と同様にして、エアロゲル試料を得た。 −実施例15− 実施例13と同様にして得られた変性ポリマー〔ゲル〕
をエタノール中に移し、24時間エタノールによる溶媒
の交換を繰り返し、未反応のヘキサメチルジシラザンと
トルエンを除去して、エタノールに溶媒を置換したゲル
〔アルコゲル〕を得た。
【0052】次に、このゲル〔アルコゲル〕をオートク
レーブ内に移し、さらにこのオートクレーブ内をエタノ
ールからなる分散媒で満たし、エタノールの超臨界条件
である250℃、80気圧にし、超臨界乾燥を約6時間
行って、エアロゲル試料を得た。 −実施例16− テトラエトキシシランに、エタノールと0.01mol/l
のアンモニア水とを混合した混合液を徐々に添加した。
この際、混合比は、テトラエトキシシラン:エタノー
ル:アンモニア水=1:5.5:5(モル比)であり、
20℃に保って1時間攪拌しながら加水分解を進め、実
施例13と同様の容器内で静置して、ゲル化させた。さ
らに、エタノールを加え、50℃で加熱しながらエタノ
ールの添加を繰り返してゲルが乾燥しないように縮重合
反応を加速(熟成)することにより、(SiO2)m を骨
格に有するゲル状のポリマー〔アルコゲル〕を得た。
【0053】このポリマー〔アルコゲル〕を用い、後は
実施例13と同様の操作を行って、エアロゲル試料を得
た。 −実施例17− テトラエトキシシランに、エタノールと0.04mol/l
のフッ化アンモニウム水溶液とを混合した混合液を徐々
に添加した。この際、混合比は、テトラエトキシシラ
ン:エタノール:フッ化アンモニウム水溶液=1:5.
5:5(モル比)であり、20℃に保って1時間攪拌し
ながら加水分解を進め、実施例13と同様の容器内で静
置して、ゲル化させた。さらに、エタノールを加え、5
0℃で加熱しながらエタノールの添加を繰り返してゲル
が乾燥しないように縮重合反応を加速(熟成)すること
により、(SiO2)m を骨格に有するゲル状のポリマー
〔アルコゲル〕を得た。
【0054】このポリマー〔アルコゲル〕を用い、後は
実施例13と同様の操作を行って、エアロゲル試料を得
た。 −実施例18− 実施例13と同様にして得られた変性ポリマー〔ゲル〕
をエタノール中に移し、24時間エタノールによる溶媒
の交換を繰り返し、未反応のヘキサメチルジシラザンと
トルエンを除去して、エタノールに溶媒を置換したゲル
〔アルコゲル〕を得た。
【0055】次に、このゲル〔アルコゲル〕を18℃、
55気圧の液化二酸化炭素中に入れ、アルコゲル中のエ
タノールを二酸化炭素に完全に置換した。その後、オー
トクレーブ内に移し、さらにこのオートクレーブ内を二
酸化炭素で満たし、二酸化炭素の超臨界条件である40
℃、80気圧にし、超臨界乾燥を約24時間行って、エ
アロゲル試料を得た。
【0056】−実施例19− 2官能アルコキシシランであるジメチルジメトキシシラ
ンと4官能のテトラメトキシシランとをモル比で1:9
の割合で含む混合物に、エタノールと0.01mol/l の
アンモニウム水とを混合した混合液を徐々に添加した。
この際、混合比は、テトラメトキシシラン:エタノー
ル:アンモニウア水=1:5:4(モル比)であり、2
0℃に保って1時間攪拌しながら加水分解を進め、実施
例13と同様の容器内で静置して、ゲル化させた。さら
に、エタノールを加え、50℃で加熱しながらエタノー
ルの添加を繰り返してゲルが乾燥しないように縮重合反
応を加速(熟成)することにより、(SiO2)m を骨格
に有するゲル状のポリマー〔アルコゲル〕を得た。
【0057】このポリマー〔アルコゲル〕を用い、後は
実施例13と同様の操作を行って、エアロゲル試料を得
た。 −実施例20− 3官能アルコキシシランであるメチルトリメトキシシラ
ンと4官能のテトラメトキシシランとをモル比で5:5
の割合で含む混合物に、エタノールと0.01mol/l の
アンモニウム水とを混合した混合液を徐々に添加した。
この際、混合比は、テトラメトキシシラン:エタノー
ル:アンモニウア水=1:5:4(モル比)であり、2
0℃に保って1時間攪拌しながら加水分解を進め、実施
例13と同様の容器内で静置して、ゲル化させた。さら
に、エタノールを加え、50℃で加熱しながらエタノー
ルの添加を繰り返してゲルが乾燥しないように縮重合反
応を加速(熟成)することにより、(SiO2)m を骨格
に有するゲル状のポリマー〔アルコゲル〕を得た。
【0058】このポリマー〔アルコゲル〕を用い、後は
実施例13と同様の操作を行って、エアロゲル試料を得
た。 −実施例21− 実施例13と同様にして得られた(SiO2)m を骨格に
有するゲル状のポリマー〔アルコゲル〕を、疎水化処理
剤として無水酢酸および触媒としてピリジン10ccを含
むトルエン溶液中に移し、24時間かけて無水酢酸をポ
リマー内に浸透させた。その後、110℃で2時間程度
加熱しながら還流攪拌し、湿潤状態の疎水化された変性
ポリマー〔ゲル〕を得た。
【0059】この変性ポリマー〔ゲル〕を用い、後は実
施例13と同様の操作を行って、エアロゲル試料を得
た。 −実施例22− 実施例13と同様にして(SiO2)m を骨格に有するゲ
ル状のポリマー〔アルコゲル〕を調製した。これとは別
に、疎水化処理剤であるヘキサメチルジシラザンを0.
2mol/l の割合でエタノールに溶解させてエタノール溶
液を調製し、上記のゲル状のポリマー〔アルコゲル〕を
その容積に対して5倍量の上記エタノール溶液中に移
し、24時間かけてヘキサメチルジシラザンをポリマー
内に浸透させた。その後、70℃で2時間程度加熱しな
がら還流攪拌し、湿潤状態の疎水化された変性ポリマー
〔アルコゲル〕を得た。
【0060】この変性ポリマー〔アルコゲル〕を用い、
後は実施例13と同様の操作を行って、エアロゲル試料
を得た。 −比較例6− 実施例13と同様にして得られた(SiO2)m を骨格に
有するゲル状のポリマー〔アルコゲル〕を疎水化処理剤
と反応させずにエタノール中に移し、24時間かけてエ
タノールによる溶媒交換を繰り返して洗浄し、このアル
コゲルを18℃、55気圧の二酸化炭素中に入れ、アル
コゲル中のエタノールを二酸化炭素に置換する操作を3
時間行った。その後、ゲルをオートクレーブに移し、オ
ートクレーブ内をエタノールと二酸化炭素の混合分散媒
で満たし、この混合分散媒の超臨界条件である80℃、
160気圧にし、超臨界乾燥を約48時間行って、エア
ロゲル試料を得た。このエアロゲル試料の性状は、微細
な多孔質で、透明かつ軽量なものであったが、より寸法
が小さく、かさ密度は大きなものになっていた。
【0061】−比較例7− 実施例13と同様にして得られた(SiO2)m を骨格に
有するゲル状のポリマー〔アルコゲル〕を疎水化処理剤
と反応させずにエタノール中に移し、24時間かけてエ
タノールによる溶媒交換を繰り返して洗浄し、このアル
コゲルをオートクレーブに移し、オートクレーブ内をエ
タノールからなる分散媒で満たし、エタノールの超臨界
条件である250℃、80気圧にし、超臨界乾燥を約6
時間行って、エアロゲル試料を得た。
【0062】−比較例8− 実施例16と同様にして得られた(SiO2)m を骨格に
有するゲル状のポリマー〔アルコゲル〕を疎水化処理剤
と反応させずにエタノール中に移し、24時間かけてエ
タノールによる溶媒交換を繰り返して洗浄し、この後は
実施例16と同様の操作を行って、エアロゲル試料を得
た。
【0063】−比較例9− 実施例13と同様にして得られた(SiO2)m を骨格に
有するゲル状のポリマー〔アルコゲル〕を、疎水化処理
剤と反応させずにそのまま20℃、常圧(1気圧)下で
1週間大気乾燥して、キセロゲル試料を得た。このキセ
ロゲル試料は、多孔質の度合が低いものであった。
【0064】−比較例10− 実施例13と同様にして疎水化処理して得られたゲル状
の変性ポリマーを、20℃、常圧(1気圧)下で1週間
大気乾燥して、キセロゲル試料を得た。このキセロゲル
試料は、多孔質の度合が低いものであった。実施例13
〜22および比較例6〜10で得られた試料の内容を表
5および6に示した。
【0065】
【表5】
【0066】
【表6】
【0067】実施例13〜22および比較例6〜10で
得られた試料について、比表面積、かさ密度、熱伝導
率、光透過率、および、耐湿性(湿気による経時劣化)
を調べた。比表面積、かさ密度、熱伝導率および光透過
率は、前記と同様にして測定した。耐湿性(湿気による
経時劣化)は、試料を、温度60℃、相対湿度90%の
恒温恒湿槽内に48時間放置して、試料に湿気を付与
し、その前後の試料のかさ密度、熱伝導率および光透過
率を測定することにより調べた。
【0068】それらの結果を表7および8に示した。
【0069】
【表7】
【0070】
【表8】
【0071】表7および8にみるように、実施例13〜
22で得られた試料は、比較例6〜10で得られた試料
に比べてかさ密度が小さくなっている。実施例13〜2
2では、ゲルを疎水化処理した後、超臨界乾燥している
ため、溶媒除去による収縮を起こしておらず、比較例6
〜8では、疎水化処理を施していないため、超臨界乾燥
しても幾分かの収縮を起こしており、また、比較例9〜
10では、ゲルを通常の方法で乾燥しているため、疎水
化処理の有無に関わらず、大きな収縮を起こしているこ
とが確認された。
【0072】実施例13および比較例6で得られた試料
について、超臨界乾燥前、超臨界乾燥直後および上記の
耐湿試験後におけるかさ密度および可視光透過率を求め
た結果をそれぞれ図1および2のグラフにプロットし、
その変化を示した。これらの図中、実施例13のものは
「●」で、比較例6のものは「○」でプロットした。な
お、超臨界乾燥前におけるかさ密度とは、ゲルの固相で
ある二酸化ケイ素の重量をゲル全体の体積で割ったもの
である。
【0073】図1および2にみるように、疎水化処理を
施した後に超臨界乾燥を行って得られた実施例13のエ
アロゲルは、疎水化処理を施さずに超臨界乾燥を行って
得られた比較例6のエアロゲルに比べて、初期の特性が
長く維持されており、水と接触しても特性の劣化が見ら
れない優れた耐水性を有するものであることが確認され
た。
【0074】
【発明の効果】この発明の疎水性エアロゲルの製造方法
によれば、湿潤ゲルの乾燥時に多孔体構造が収縮するこ
とがなく、断熱性等、多孔質材料に特有の機能や光透過
性に優れ、しかも、水分等の吸着による上記性能の経時
劣化がないエアロゲル体を得ることができる。
【0075】この製造方法によって得られた疎水性エア
ロゲルは、上記の優れた性能を有するものであるため、
特に断熱材、さらには音響材料等の様々な用途に有用で
あり、プレート状、粉状等、色々な形態で利用すること
ができる。また、チェレンコフ素子等の用途にも用いる
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例13および比較例6で得られたエアロゲ
ル試料について、超臨界乾燥前、超臨界乾燥直後および
耐湿試験後におけるかさ密度を調べた結果を、実施例1
3のものは「●」で、比較例6のものは「○」でプロッ
トして示したグラフである。
【図2】実施例13および比較例6で得られたエアロゲ
ル試料について、超臨界乾燥前、超臨界乾燥直後および
耐湿試験後における可視光透過率を調べた結果を、実施
例13のものは「●」で、比較例6のものは「○」でプ
ロットして示したグラフである。

Claims (16)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 骨格が(SiO2)m (mは正の整数)
    で、かつ、シラノール基を有するポリマーを、前記シラ
    ノール基に対して反応可能な官能基と疎水基を併せ持つ
    疎水化処理剤と反応させて疎水化処理することにより得
    られた変性ポリマーのゲルを超臨界乾燥させて疎水性エ
    アロゲルを得るようにする疎水性エアロゲルの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 シラノール基に対して反応可能な官能基
    が、ハロゲン、アミノ基、イミノ基、カルボキシル基お
    よびアルコキシル基からなる群の中から選ばれた少なく
    とも1種である請求項1記載の疎水性エアロゲルの製造
    方法。
  3. 【請求項3】 疎水基が、アルキル基、フェニル基およ
    びそれらのフッ化物からなる群の中から選ばれた少なく
    とも1種である請求項1または2記載の疎水性エアロゲ
    ルの製造方法。
  4. 【請求項4】 疎水化処理剤がシラン化合物である請求
    項1から3までのいずれかに記載の疎水性エアロゲルの
    製造方法。
  5. 【請求項5】 シラン化合物が、ヘキサメチルジシラザ
    ン、ヘキサメチルジシロキサン、トリメチルクロロシラ
    ン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシ
    ラン、トリエチルエトキシシラン、トリエチルメトキシ
    シラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジエトキシ
    シラン、ジエチルジエトキシシラン、メチルトリクロロ
    シランおよびエチルトリクロロシランからなる群の中か
    ら選ばれた少なくとも1種である請求項4記載の疎水性
    エアロゲルの製造方法。
  6. 【請求項6】 疎水化処理剤が、カルボン酸およびハロ
    ゲン化アルキルからなる群の中から選ばれた少なくとも
    1種である請求項2または3記載の疎水性エアロゲルの
    製造方法。
  7. 【請求項7】 変性ポリマーのゲルの超臨界乾燥を行う
    際、前記ゲルに含まれる分散媒を、この分散媒よりも臨
    界点の低い化合物からなる分散媒に予め置換しておく請
    求項1から6までのいずれかに記載の疎水性エアロゲル
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 臨界点の低い化合物が二酸化炭素である
    請求項7記載の疎水性エアロゲルの製造方法。
  9. 【請求項9】 骨格が(SiO2)m で、かつ、シラノー
    ル基を有するポリマーが、下記一般式(I)で表される
    アルコキシシランを加水分解し、縮重合して得られたも
    のである請求項1から8までのいずれかに記載の疎水性
    エアロゲルの製造方法。 SiR1 n (OR2)4-n …(I) 〔式中、R1 およびR2 は、互いに独立に、炭素数1〜
    5のアルキル基またはフェニル基を表し、nは0〜2の
    整数である。R1 およびR2 がそれぞれ2個以上ある場
    合、2個以上のR1 、2個以上のR2 は、それぞれ、互
    いに同じであってもよく、異なっていてもよい。〕
  10. 【請求項10】 骨格が(SiO2)m で、かつ、シラノ
    ール基を有するポリマーが、前記一般式(I)で表され
    るアルコキシシランを、水との相溶性を有し、かつ、ア
    ルコキシシランを溶解する溶媒と、水との混合液を用い
    て加水分解し、縮重合して得られたものである請求項9
    記載の疎水性エアロゲルの製造方法。
  11. 【請求項11】 水との相溶性を有し、かつ、アルコキ
    シシランを溶解する溶媒が、メタノール、エタノール、
    プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、アセト
    ンおよびN,N−ジメチルホルムアミドからなる群の中
    から選ばれた少なくとも1種である請求項10記載の疎
    水性エアロゲルの製造方法。
  12. 【請求項12】 アルコキシシランの加水分解と縮重合
    を行う際に用いられる溶媒と同一種類の化合物を超臨界
    乾燥の媒体として用いる請求項10または11記載の疎
    水性エアロゲルの製造方法。
  13. 【請求項13】 前記一般式(I)で表されるアルコキ
    シシランをアルコールと水の存在下で加水分解し、縮重
    合して得られた、骨格が(SiO2)m で、かつ、シラノ
    ール基を有するポリマーのアルコゲルを、疎水化処理剤
    に対する溶解性が前記アルコールよりも高い溶媒で前記
    疎水化処理剤を溶解させた処理液で疎水化処理して、変
    性ポリマーのゲルを得、このゲル中の溶媒をアルコール
    に置換し、次いで、この溶媒置換された変性ポリマーの
    ゲル中のアルコールの全部または一部をアルコールより
    も臨界点の低い二酸化炭素に置換した後、二酸化炭素の
    単独系または二酸化炭素とアルコールとの混合系の臨界
    点以上の温度圧力下で超臨界乾燥することにより疎水性
    エアロゲルを得る請求項10記載の疎水性エアロゲルの
    製造方法。
  14. 【請求項14】 前記一般式(I)で表されるアルコキ
    シシランをアルコールと水の存在下で加水分解し、縮重
    合して得られた、骨格が(SiO2)m で、かつ、シラノ
    ール基を有するポリマーのアルコゲルを、疎水化処理剤
    に対する溶解性が前記アルコールよりも高い溶媒で前記
    疎水化処理剤を溶解させた処理液で疎水化処理して、変
    性ポリマーのゲルを得、このゲル中の溶媒をアルコール
    に置換した後、このアルコールの臨界点以上の温度圧力
    下で超臨界乾燥することにより疎水性エアロゲルを得る
    請求項10記載の疎水性エアロゲルの製造方法。
  15. 【請求項15】 疎水化処理剤を溶解させた処理液の溶
    媒が、アルコールよりも高い沸点を有するものである請
    求項13または14記載の疎水性エアロゲルの製造方
    法。
  16. 【請求項16】 疎水化処理剤を溶解させた処理液の溶
    媒がトルエンである請求項15記載の疎水性エアロゲル
    の製造方法。
JP25508592A 1992-02-03 1992-09-24 疎水性エアロゲルの製造方法 Expired - Lifetime JP2659155B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4-17942 1992-02-03
JP1794292 1992-02-03

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05279011A JPH05279011A (ja) 1993-10-26
JP2659155B2 true JP2659155B2 (ja) 1997-09-30

Family

ID=11957836

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP25508592A Expired - Lifetime JP2659155B2 (ja) 1992-02-03 1992-09-24 疎水性エアロゲルの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2659155B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20180018401A (ko) 2016-08-09 2018-02-21 주식회사 엘지화학 에어로겔 전구체, 이의 제조방법, 이로 제조된 에어로겔 및 이를 이용한 에어로겔의 제조방법

Families Citing this family (24)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0585456B1 (en) * 1992-02-18 1997-05-07 Matsushita Electric Works Ltd Process for producing hydrophobic aerogel
JP2725573B2 (ja) * 1993-11-12 1998-03-11 松下電工株式会社 疎水性エアロゲルの製法
DE4409309A1 (de) * 1994-03-18 1995-09-21 Basf Ag Formkörper, enthaltend Silica-Aerogel-Partikel sowie Verfahren zu ihrer Herstellung
DE19533851A1 (de) * 1995-09-13 1997-03-20 Hoechst Ag Organofunktionalisierte Aerogele
US5790742A (en) * 1995-12-12 1998-08-04 Matsushita Electric Works, Ltd. Optical fiber
US6197270B1 (en) * 1996-12-20 2001-03-06 Matsushita Electric Works, Ltd. Process for producing aerogel
DE19702238A1 (de) * 1997-01-24 1998-08-06 Hoechst Ag Verwendung von Aerogelen zur Körper- und/oder Trittschalldämmung
US6154595A (en) * 1997-07-14 2000-11-28 Matsushita Electric Works, Ltd. Side-face illuminating optical fiber
US6531224B1 (en) 1999-03-19 2003-03-11 Battelle Memorial Institute Self-assembled monolayer and method of making
US7629028B2 (en) 1999-03-19 2009-12-08 Battelle Memorial Insitute Methods of making monolayers
US6762553B1 (en) 1999-11-10 2004-07-13 Matsushita Electric Works, Ltd. Substrate for light emitting device, light emitting device and process for production of light emitting device
WO2001034382A1 (en) * 1999-11-10 2001-05-17 Matsushita Electric Works, Ltd. Aerogel substrate and method for preparing the same
EP1445095B1 (en) 2001-10-25 2012-12-26 Panasonic Corporation Composite thin film holding substrate, transparent conductive film holding substrate, and panel light emitting body
JP4615848B2 (ja) * 2003-11-26 2011-01-19 Agcエスアイテック株式会社 耐アルカリ性化学修飾型シリカゲル及びその製造方法
TWI401161B (zh) 2005-06-21 2013-07-11 Zeon Corp 偏光板用保護膜(二)
JPWO2006137427A1 (ja) 2005-06-21 2009-01-22 日本ゼオン株式会社 偏光板用保護フィルム
JP5692690B2 (ja) * 2009-02-06 2015-04-01 住友大阪セメント株式会社 疎水性多孔質酸化物粒子及び多孔質酸化物粒子の疎水化方法
JP5590812B2 (ja) * 2009-03-12 2014-09-17 アキレス株式会社 シリカ多孔質体の表面を改質する方法
KR101409884B1 (ko) 2012-05-04 2014-06-27 한국과학기술연구원 소수성 모노리스형 실리카 에어로젤의 제조방법
JP5313411B1 (ja) 2012-08-24 2013-10-09 パナソニック株式会社 シリカ多孔体および光マイクロフォン
EP2832690A1 (de) * 2013-08-02 2015-02-04 EMPA Eidgenössische Materialprüfungs- und Forschungsanstalt Verfahren zur Herstellung eines Aerogelmaterials
JP2017048081A (ja) * 2015-09-01 2017-03-09 日立化成株式会社 エアロゲル及びエアロゲル積層体
US10501326B2 (en) 2015-09-10 2019-12-10 Lg Chem, Ltd. Silica aerogel-including blanket and method for preparing the same
JP7293583B2 (ja) * 2018-07-11 2023-06-20 株式会社レゾナック エアロゲルブロック

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20180018401A (ko) 2016-08-09 2018-02-21 주식회사 엘지화학 에어로겔 전구체, 이의 제조방법, 이로 제조된 에어로겔 및 이를 이용한 에어로겔의 제조방법
US10773964B2 (en) 2016-08-09 2020-09-15 Lg Chem, Ltd. Aerogel precursor, method for preparing the same, aerogel prepared therewith, and method for preparing aerogel using the same

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05279011A (ja) 1993-10-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2659155B2 (ja) 疎水性エアロゲルの製造方法
JP2725573B2 (ja) 疎水性エアロゲルの製法
US5830387A (en) Process of forming a hydrophobic aerogel
EP0849220B1 (en) Process for producing aerogel
JP4041161B2 (ja) 変性エーロゲルの製造方法及びその使用
Lee et al. Synthesis of silica aerogels from waterglass via new modified ambient drying
JP3339394B2 (ja) 疎水性エアロゲルの製法
JPH11514628A (ja) アルコールを使用して有機変性したエーロゲルの製造法
JP2000264620A (ja) 疎水性エアロゲルの製造方法
JP2001072408A (ja) シリカエアロゲル及びその製造方法
EP0585456B1 (en) Process for producing hydrophobic aerogel
JPH08300567A (ja) エアロゲルパネルの製法
KR100840603B1 (ko) 영구적 소수성을 갖는 에어로겔의 제조 방법 및 이로부터제조된 에어로겔
JP2005154195A (ja) エアロゲル材、及びこのエアロゲル材にて形成される物品
JP2756366B2 (ja) 疎水性エアロゲルの製造方法
JP3339393B2 (ja) 疎水性エアロゲルの製法
JP4536162B2 (ja) 有機官能化エーロゲルの製造法
JPH10316414A (ja) エアロゲルの製造方法
JP3579998B2 (ja) 密度傾斜性エアロゲルの製法
JP3273957B2 (ja) エアロゲルの製造方法
JP3520601B2 (ja) エアロゲルの製法
JP2005132641A (ja) シリカエアロゲルの製造方法
JP2912718B2 (ja) 透明性無機多孔体の製造方法
JPH05295117A (ja) エアロゲルの製造方法
JP3045411B2 (ja) 無機微細多孔体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090606

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 12

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090606

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 12

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090606

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100606

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100606

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 14

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110606

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 15

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120606

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 15

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120606

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130606

Year of fee payment: 16

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130606

Year of fee payment: 16