JP3045411B2 - 無機微細多孔体の製造方法 - Google Patents
無機微細多孔体の製造方法Info
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- JP3045411B2 JP3045411B2 JP3209562A JP20956291A JP3045411B2 JP 3045411 B2 JP3045411 B2 JP 3045411B2 JP 3209562 A JP3209562 A JP 3209562A JP 20956291 A JP20956291 A JP 20956291A JP 3045411 B2 JP3045411 B2 JP 3045411B2
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- C04—CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
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- C04B38/0045—Porous mortars, concrete, artificial stone or ceramic ware; Preparation thereof by a process involving the formation of a sol or a gel, e.g. sol-gel or precipitation processes
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- Materials Engineering (AREA)
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、透明性を有する無機
微細多孔体の製造方法に関する。
微細多孔体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、光透過性を有する多孔体を製造す
る方法としては、金属水酸化物を縮重合して得られるゲ
ル状化合物を臨界点あるいはそれ以上の状態で乾燥する
方法(U.S.P.2,093,454 参照)がある。また、アルコキ
シシランを用いた方法としては、テトラメチルオルソシ
リケート(TMOS)を用い、超臨界状態で乾燥する方
法(U.S.P.4,327,065; U.S.P.4,432,956参照)、あるい
は、テトラエチルオルソシリケートを用い、超臨界状態
で乾燥する方法(U.S.P.4,610,863 参照)などがある。
る方法としては、金属水酸化物を縮重合して得られるゲ
ル状化合物を臨界点あるいはそれ以上の状態で乾燥する
方法(U.S.P.2,093,454 参照)がある。また、アルコキ
シシランを用いた方法としては、テトラメチルオルソシ
リケート(TMOS)を用い、超臨界状態で乾燥する方
法(U.S.P.4,327,065; U.S.P.4,432,956参照)、あるい
は、テトラエチルオルソシリケートを用い、超臨界状態
で乾燥する方法(U.S.P.4,610,863 参照)などがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の超臨界乾燥法に
よって微細多孔体を得る際には、超臨界状態を維持する
ために高温高圧を必要とする。また、乾燥に長時間を要
すること、乾燥するための槽の大きさおよび形状によっ
て作製したい試料のサイズおよび形状が制限されること
等の点で、微細多孔体を得るためのコスト、効率に問題
が多い。
よって微細多孔体を得る際には、超臨界状態を維持する
ために高温高圧を必要とする。また、乾燥に長時間を要
すること、乾燥するための槽の大きさおよび形状によっ
て作製したい試料のサイズおよび形状が制限されること
等の点で、微細多孔体を得るためのコスト、効率に問題
が多い。
【0004】他方、前記ゲル状化合物を超臨界乾燥を用
いず、常圧での単なる加熱または放置によって乾燥する
と、乾燥時にゲル体は収縮し、微細構造が破壊されてし
まうという問題点があった。このような事情に鑑み、こ
の発明は、通常の乾燥(たとえば、加熱または放置等)
法でも、ゲルの収縮、破壊が起こることなく、微細多孔
体を得ることができる製造方法を提供することを課題と
する。
いず、常圧での単なる加熱または放置によって乾燥する
と、乾燥時にゲル体は収縮し、微細構造が破壊されてし
まうという問題点があった。このような事情に鑑み、こ
の発明は、通常の乾燥(たとえば、加熱または放置等)
法でも、ゲルの収縮、破壊が起こることなく、微細多孔
体を得ることができる製造方法を提供することを課題と
する。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、この発明は、アルコキシシラン(シリコンアルコキ
シド、アルキルシリケート等とも呼ぶ)を加水分解し、
縮重合してなる湿潤ゲル体を乾燥し、透明な無機微細多
孔体を得る方法において、前記湿潤ゲルの微細構造体を
構成するシリカ微粒子表面を有機溶剤の存在下に有機シ
ラン化合物で有機処理し、その後、湿潤ゲル内の前記有
機溶剤を、有機処理されたシリカ微粒子表面との濡れ性
が前記有機溶剤よりも低い他の溶剤と置換した後に乾燥
することを特徴とする無機微細多孔体の製造方法を提供
する。
に、この発明は、アルコキシシラン(シリコンアルコキ
シド、アルキルシリケート等とも呼ぶ)を加水分解し、
縮重合してなる湿潤ゲル体を乾燥し、透明な無機微細多
孔体を得る方法において、前記湿潤ゲルの微細構造体を
構成するシリカ微粒子表面を有機溶剤の存在下に有機シ
ラン化合物で有機処理し、その後、湿潤ゲル内の前記有
機溶剤を、有機処理されたシリカ微粒子表面との濡れ性
が前記有機溶剤よりも低い他の溶剤と置換した後に乾燥
することを特徴とする無機微細多孔体の製造方法を提供
する。
【0006】この発明では、アルコキシシランとして、
たとえば、下記一般式(I)、(II)および(III) であ
らわされるアルコキシシランのうちの少なくとも1種が
用いられる。これらの使用比率は特に限定されず、適宜
設定すればよい。
たとえば、下記一般式(I)、(II)および(III) であ
らわされるアルコキシシランのうちの少なくとも1種が
用いられる。これらの使用比率は特に限定されず、適宜
設定すればよい。
【0007】
【化1】
【0008】
【化2】
【0009】
【化3】
【0010】これら多官能(2官能以上)のアルコキシ
シランは、縮重合しうるので、縮重合しない単官能アル
コキシシランよりも好ましい。この発明で用いられる前
記一般式(I)、(II)および(III) でそれぞれ表され
る2官能、3官能および4官能の各アルコキシシランと
しては、特に限定されない。それらの具体例を挙げる
と、2官能アルコキシシランとしては、たとえば、ジメ
チルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジ
フェニルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラ
ン、メチルフェニルジエトキシシラン、メチルフェニル
ジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチ
ルジエトキシシラン等が用いられる。3官能アルコキシ
シランとしては、たとえば、メチルトリメトキシシラ
ン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシ
ラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキ
シシラン、フェニルトリメトキシシラン等が用いられ
る。4官能アルコキシシランとしては、たとえば、テト
ラエトキシシラン、テトラメトキシシラン等が用いられ
る。
シランは、縮重合しうるので、縮重合しない単官能アル
コキシシランよりも好ましい。この発明で用いられる前
記一般式(I)、(II)および(III) でそれぞれ表され
る2官能、3官能および4官能の各アルコキシシランと
しては、特に限定されない。それらの具体例を挙げる
と、2官能アルコキシシランとしては、たとえば、ジメ
チルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジ
フェニルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラ
ン、メチルフェニルジエトキシシラン、メチルフェニル
ジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチ
ルジエトキシシラン等が用いられる。3官能アルコキシ
シランとしては、たとえば、メチルトリメトキシシラ
ン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシ
ラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキ
シシラン、フェニルトリメトキシシラン等が用いられ
る。4官能アルコキシシランとしては、たとえば、テト
ラエトキシシラン、テトラメトキシシラン等が用いられ
る。
【0011】この発明で前記アルコキシシランを効率良
く加水分解し、縮重合を行うためには、同アルコキシシ
ランを含む反応系にあらかじめ触媒を添加しておくこと
が好ましい。このような触媒としては、特に限定されな
いが、たとえば、酸触媒、塩基触媒等が挙げられる。具
体的に述べると、酸触媒としては、塩酸、クエン酸、硝
酸、硫酸、フッ化アンモニウム等が用いられ、塩基触媒
としては、アンモニア、ピペリジン等が用いられるが、
それらに限定されるものではない。
く加水分解し、縮重合を行うためには、同アルコキシシ
ランを含む反応系にあらかじめ触媒を添加しておくこと
が好ましい。このような触媒としては、特に限定されな
いが、たとえば、酸触媒、塩基触媒等が挙げられる。具
体的に述べると、酸触媒としては、塩酸、クエン酸、硝
酸、硫酸、フッ化アンモニウム等が用いられ、塩基触媒
としては、アンモニア、ピペリジン等が用いられるが、
それらに限定されるものではない。
【0012】前記ゲル体の表面を有機処理するための表
面処理剤としては、たとえば、ヘキサメチルジシラザ
ン、トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラ
ン、ジメチルジクロロシラン、ジエチルジエトキシシラ
ン、メチルトリクロロシランなどの有機シラン化合物が
挙げられる。このようなシラン化合物は、前記アルコキ
シシランの加水分解、縮重合により生成する湿潤ゲルの
微細構造体を構成するシリカ粒子表面のシラノール基と
容易に反応し、結合する官能基(たとえば、−Cl、−
OR、−NH−等)および炭素数が1〜5のアルキル基
を有するものであれば、上記に限定されるものではな
い。
面処理剤としては、たとえば、ヘキサメチルジシラザ
ン、トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラ
ン、ジメチルジクロロシラン、ジエチルジエトキシシラ
ン、メチルトリクロロシランなどの有機シラン化合物が
挙げられる。このようなシラン化合物は、前記アルコキ
シシランの加水分解、縮重合により生成する湿潤ゲルの
微細構造体を構成するシリカ粒子表面のシラノール基と
容易に反応し、結合する官能基(たとえば、−Cl、−
OR、−NH−等)および炭素数が1〜5のアルキル基
を有するものであれば、上記に限定されるものではな
い。
【0013】この表面処理時に用いる溶媒としては、有
機溶剤、たとえば、エタノール、メタノールなどの第1
級アルコール;ジメチルホルムアミドなどのホルムアミ
ド類;アセトンなどのケトン類などが挙げられるが、前
記表面処理剤が容易に溶解し、しかも、親水性のもので
あれば上記に限定されるものではない。前記溶媒の使用
量としては、特に限定されない。
機溶剤、たとえば、エタノール、メタノールなどの第1
級アルコール;ジメチルホルムアミドなどのホルムアミ
ド類;アセトンなどのケトン類などが挙げられるが、前
記表面処理剤が容易に溶解し、しかも、親水性のもので
あれば上記に限定されるものではない。前記溶媒の使用
量としては、特に限定されない。
【0014】前記表面処理剤の添加量としては、特に限
定されないが、シリカ粒子表面のシラノール基数に対し
当量以上加えることが好ましい。たとえば、重量比で
(シリカ)/(表面処理剤)=0.5〜10程度の範囲
で行われる。この発明にかかる無機多孔体の製造方法
は、特に限定されるわけではないが、たとえば、以下の
ようにして行われる。
定されないが、シリカ粒子表面のシラノール基数に対し
当量以上加えることが好ましい。たとえば、重量比で
(シリカ)/(表面処理剤)=0.5〜10程度の範囲
で行われる。この発明にかかる無機多孔体の製造方法
は、特に限定されるわけではないが、たとえば、以下の
ようにして行われる。
【0015】まず、前記アルコキシシランにアルコー
ル、水および前記触媒を混合したものを加え、混合し、
アルコキシシランを加水分解し、縮重合させる。なお、
この際にアルコールは、たとえばアルコキシシランと水
が混ざりにくいため溶剤として用いられたり、あるい
は、部分的な加水分解や重合反応が起こるのを防止する
ために使用されたりする。アルコールとしては、たとえ
ば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタ
ノール等でよく、特に限定されない。縮重合反応が充分
に進行すると、前記反応混合物がゲル化し、湿潤ゲルが
生成する。アルコキシシラン、水、触媒、アルコールな
どの使用比率は、ゲル体が生成するように適宜設定すれ
ばよく、特に限定はされない。
ル、水および前記触媒を混合したものを加え、混合し、
アルコキシシランを加水分解し、縮重合させる。なお、
この際にアルコールは、たとえばアルコキシシランと水
が混ざりにくいため溶剤として用いられたり、あるい
は、部分的な加水分解や重合反応が起こるのを防止する
ために使用されたりする。アルコールとしては、たとえ
ば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタ
ノール等でよく、特に限定されない。縮重合反応が充分
に進行すると、前記反応混合物がゲル化し、湿潤ゲルが
生成する。アルコキシシラン、水、触媒、アルコールな
どの使用比率は、ゲル体が生成するように適宜設定すれ
ばよく、特に限定はされない。
【0016】次に、上記のようにして得た湿潤ゲルを、
所定量の表面処理剤を前記溶媒(有機溶剤)に溶解させ
た溶液中に浸漬し、必要に応じて加熱し、表面処理を施
す。この際、溶液中に浸す前にあらかじめ用いる溶媒に
浸し、溶媒を置換しておいた方が好ましい。この発明で
は、表面処理後、湿潤ゲル内の有機溶剤を、表面処理さ
れたシリカ微粒子表面との濡れ性が前記有機溶剤よりも
低い他の溶剤と置換する。このような溶剤としては、水
が最も好ましい。これは、有機表面処理された湿潤ゲル
の微細粒子表面とのぬれ性を小さくすることで、乾燥時
に溶媒が微細構造体に及ぼす表面エネルギーを小さく
し、構造破壊を防ぐためである。有機溶剤と置換する溶
剤としては、同様の効果を有するものであれば、水に限
られたものではない。
所定量の表面処理剤を前記溶媒(有機溶剤)に溶解させ
た溶液中に浸漬し、必要に応じて加熱し、表面処理を施
す。この際、溶液中に浸す前にあらかじめ用いる溶媒に
浸し、溶媒を置換しておいた方が好ましい。この発明で
は、表面処理後、湿潤ゲル内の有機溶剤を、表面処理さ
れたシリカ微粒子表面との濡れ性が前記有機溶剤よりも
低い他の溶剤と置換する。このような溶剤としては、水
が最も好ましい。これは、有機表面処理された湿潤ゲル
の微細粒子表面とのぬれ性を小さくすることで、乾燥時
に溶媒が微細構造体に及ぼす表面エネルギーを小さく
し、構造破壊を防ぐためである。有機溶剤と置換する溶
剤としては、同様の効果を有するものであれば、水に限
られたものではない。
【0017】上記のようにして表面処理を施した湿潤ゲ
ルを次に水に浸漬し、しばらく放置し、また、水を交換
する、といった方法で水と溶媒置換する。こうして、粒
子表面が有機処理されたシリカの多孔構造からなり、水
を含んだ湿潤ゲルが作製される。この湿潤ゲルを乾燥す
ることで、無機微細多孔体が得られる。
ルを次に水に浸漬し、しばらく放置し、また、水を交換
する、といった方法で水と溶媒置換する。こうして、粒
子表面が有機処理されたシリカの多孔構造からなり、水
を含んだ湿潤ゲルが作製される。この湿潤ゲルを乾燥す
ることで、無機微細多孔体が得られる。
【0018】乾燥方法としては、特に限定されないが、
たとえば、常圧での加熱や室温放置、凍結乾燥等が挙げ
られる。
たとえば、常圧での加熱や室温放置、凍結乾燥等が挙げ
られる。
【0019】
【作用】アルコキシシランを加水分解し、縮重合して得
られた湿潤ゲルに有機シラン化合物を用いて表面処理を
施すと、湿潤ゲルの微細構造体を構成するシリカ微粒子
表面の親水性基を、疎水性基が表面となるようにして有
機シラン化合物がマスクする。この状態で、湿潤ゲル中
の有機溶剤を、そのように有機処理されたシリカ微粒子
表面とのぬれ性が該有機溶剤よりも低い他の溶剤と置換
してから乾燥するようにすると、溶媒が液体から気体に
変化してゲルの構造体中から除去される際に起こる表面
エネルギーが弱くなり、前記構造体の破壊、凝集が妨げ
られる。
られた湿潤ゲルに有機シラン化合物を用いて表面処理を
施すと、湿潤ゲルの微細構造体を構成するシリカ微粒子
表面の親水性基を、疎水性基が表面となるようにして有
機シラン化合物がマスクする。この状態で、湿潤ゲル中
の有機溶剤を、そのように有機処理されたシリカ微粒子
表面とのぬれ性が該有機溶剤よりも低い他の溶剤と置換
してから乾燥するようにすると、溶媒が液体から気体に
変化してゲルの構造体中から除去される際に起こる表面
エネルギーが弱くなり、前記構造体の破壊、凝集が妨げ
られる。
【0020】さらに、得られた多孔体は、非常に微細な
シリカ粒子からなる構造体で、その粒子径および粒子間
空隙は光の波長よりもはるかに小さいために、多孔体に
もかかわらず、光透過性を有する。また、粒子表面が有
機処理されており、撥水性を有するため、微細構造体は
疎水性に優れ、空気中の水分の吸着等による断熱性や透
明性等の性能劣化がないものとなっている。
シリカ粒子からなる構造体で、その粒子径および粒子間
空隙は光の波長よりもはるかに小さいために、多孔体に
もかかわらず、光透過性を有する。また、粒子表面が有
機処理されており、撥水性を有するため、微細構造体は
疎水性に優れ、空気中の水分の吸着等による断熱性や透
明性等の性能劣化がないものとなっている。
【0021】
【実施例】以下に、この発明の具体的な実施例および比
較例を示すが、この発明は下記実施例に限定されない。 −実施例1− テトラメトキシシラン(メチルシリケート39、コルコ
ート社製)に、エタノール(ナカライテスク社製特級)
と、0.01mol/l アンモニア水溶液とを混合したもの
を徐々に添加した。この際、反応は室温で行い、混合比
は、テトラメトキシシラン:エタノール:アンモニア水
=1:5:4(モル比)であった。このように調製した
液を室温で静置し、ゲル化させた。得られた湿潤ゲルを
反応容器から取り出し、大量のジメチルホルムアミドに
浸漬した後、一昼夜、ジメチルホルムアミドの交換を繰
り返し、湿潤ゲル中の溶媒をジメチルホルムアミドに置
換した。次にこの湿潤ゲルをヘキサメチルジシラザン
(東レダウコーニングシリコーン社製)のジメチルホル
ムアミド溶液(濃度:0.2mol/l )に浸漬し、100
℃で2時間加熱し、表面処理反応を行った。
較例を示すが、この発明は下記実施例に限定されない。 −実施例1− テトラメトキシシラン(メチルシリケート39、コルコ
ート社製)に、エタノール(ナカライテスク社製特級)
と、0.01mol/l アンモニア水溶液とを混合したもの
を徐々に添加した。この際、反応は室温で行い、混合比
は、テトラメトキシシラン:エタノール:アンモニア水
=1:5:4(モル比)であった。このように調製した
液を室温で静置し、ゲル化させた。得られた湿潤ゲルを
反応容器から取り出し、大量のジメチルホルムアミドに
浸漬した後、一昼夜、ジメチルホルムアミドの交換を繰
り返し、湿潤ゲル中の溶媒をジメチルホルムアミドに置
換した。次にこの湿潤ゲルをヘキサメチルジシラザン
(東レダウコーニングシリコーン社製)のジメチルホル
ムアミド溶液(濃度:0.2mol/l )に浸漬し、100
℃で2時間加熱し、表面処理反応を行った。
【0022】表面処理後の湿潤ゲルを次に水中へ浸漬
し、さらに一昼夜、水を数回交換して湿潤ゲル内溶媒を
水に置換した。その後、湿潤ゲルを水中から取り出し、
100℃で加熱乾燥させ、無機微細多孔体の試料を得
た。 −実施例2− ヘキサメチルジシラザンを用いる代わりにトリメチルク
ロロシラン(東レダウコーニングシリコーン社製)を用
いたこと以外は、実施例1と同様にして多孔体試料を得
た。
し、さらに一昼夜、水を数回交換して湿潤ゲル内溶媒を
水に置換した。その後、湿潤ゲルを水中から取り出し、
100℃で加熱乾燥させ、無機微細多孔体の試料を得
た。 −実施例2− ヘキサメチルジシラザンを用いる代わりにトリメチルク
ロロシラン(東レダウコーニングシリコーン社製)を用
いたこと以外は、実施例1と同様にして多孔体試料を得
た。
【0023】−実施例3− テトラメトキシシランの代わりにテトラエトキシシラン
(エチルシリケート28、コルコート社製)を用い、
0.01mol/l アンモニア水の代わりに0.001mol/
l フッ化アンモニウム水溶液を用いたこと以外は、実施
例1と同様にして多孔体試料を得た。
(エチルシリケート28、コルコート社製)を用い、
0.01mol/l アンモニア水の代わりに0.001mol/
l フッ化アンモニウム水溶液を用いたこと以外は、実施
例1と同様にして多孔体試料を得た。
【0024】−実施例4− テトラメトキシシランの代わりにテトラメトキシシラン
とメチルトリメトキシシラン(東レダウコーニングシリ
コーン社製)の1:1(モル比)混合物を用い、テトラ
メトキシシラン:メチルトリメトキシシラン:エタノー
ル:アンモニア水=0.5:0.5:5:4としたこと
以外は、実施例1と同様にして多孔体試料を得た。
とメチルトリメトキシシラン(東レダウコーニングシリ
コーン社製)の1:1(モル比)混合物を用い、テトラ
メトキシシラン:メチルトリメトキシシラン:エタノー
ル:アンモニア水=0.5:0.5:5:4としたこと
以外は、実施例1と同様にして多孔体試料を得た。
【0025】−実施例5− ジメチルホルムアミドの代わりにエタノールを用い、表
面処理時の反応温度を80℃にしたこと以外は、実施例
2と同様にして多孔体試料を得た。 −実施例6− 乾燥を、室温で放置することで行ったこと以外は、実施
例1と同様にして多孔体試料を得た。
面処理時の反応温度を80℃にしたこと以外は、実施例
2と同様にして多孔体試料を得た。 −実施例6− 乾燥を、室温で放置することで行ったこと以外は、実施
例1と同様にして多孔体試料を得た。
【0026】−比較例1− 実施例1と同様にして、テトラメトキシシラン、エタノ
ール、アンモニア水を調製した得た湿潤ゲルをエタノー
ルで溶媒置換した後、エタノールの超臨界条件(250
℃、80気圧)のもとで超臨界乾燥を行い、多孔体試料
を得た。 −比較例2− 実施例3と同様にして、テトラエトキシシラン、エタノ
ール、NH4 F水溶液を調製して得た湿潤ゲルをエタノ
ールで溶媒置換した後、80℃に加熱して乾燥を行い、
多孔体試料を得た。
ール、アンモニア水を調製した得た湿潤ゲルをエタノー
ルで溶媒置換した後、エタノールの超臨界条件(250
℃、80気圧)のもとで超臨界乾燥を行い、多孔体試料
を得た。 −比較例2− 実施例3と同様にして、テトラエトキシシラン、エタノ
ール、NH4 F水溶液を調製して得た湿潤ゲルをエタノ
ールで溶媒置換した後、80℃に加熱して乾燥を行い、
多孔体試料を得た。
【0027】−比較例3− 実施例5と同様にして、表面処理まで施した湿潤ゲルを
水で溶媒置換する代わりに、エタノールで充分に置換し
た後、80℃に加熱して乾燥を行い、多孔体試料を得
た。実施例1〜6および比較例1〜3で得られた多孔体
について、比表面積、かさ密度、光透過率、熱伝導率、
クラックの有無を調べた。試料内容を表1に、これらの
結果を表2に示す。
水で溶媒置換する代わりに、エタノールで充分に置換し
た後、80℃に加熱して乾燥を行い、多孔体試料を得
た。実施例1〜6および比較例1〜3で得られた多孔体
について、比表面積、かさ密度、光透過率、熱伝導率、
クラックの有無を調べた。試料内容を表1に、これらの
結果を表2に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】表2にみるように、この発明の製造方法に
よって得られた多孔体試料は、透明性、断熱性に優れて
おり、比較例1に示すような超臨界乾燥によって溶媒を
除去したものと同等のものが得られている。
よって得られた多孔体試料は、透明性、断熱性に優れて
おり、比較例1に示すような超臨界乾燥によって溶媒を
除去したものと同等のものが得られている。
【0031】
【発明の効果】この発明の無機微細多孔体の製造方法に
よれば、断熱性など多孔質材料に特有の機能や光透過性
に優れ、しかも、水分吸着による上記性能の劣化がない
多孔体を、常圧での簡易な乾燥法によって得ることがで
きる。得られた光透過性無機微細多孔体は、たとえば、
断熱材、音響材料等の様々な用途に用いることができ
る。
よれば、断熱性など多孔質材料に特有の機能や光透過性
に優れ、しかも、水分吸着による上記性能の劣化がない
多孔体を、常圧での簡易な乾燥法によって得ることがで
きる。得られた光透過性無機微細多孔体は、たとえば、
断熱材、音響材料等の様々な用途に用いることができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上垣 百合子 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工 株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−129038(JP,A) 特開 昭62−288124(JP,A) 作花済夫 著「ゾルーゲル法の科学」 −機能性ガラスおよびセラミックスの低 温合成− アグネ承風社 第1版 (1988.7.5)p.28〜49 第4章 ゾルーゲル法によるバルク体の合成 の 項 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 38/00 304 C03B 19/12
Claims (3)
- 【請求項1】 アルコキシシランを加水分解し、縮重合
してなる湿潤ゲル体を乾燥し、透明な無機微細多孔体を
得る方法において、前記湿潤ゲルの微細構造体を構成す
るシリカ微粒子表面を有機溶剤の存在下に有機シラン化
合物で有機処理し、その後、湿潤ゲル内の前記有機溶剤
を、有機処理されたシリカ微粒子表面との濡れ性が前記
有機溶剤よりも低い他の溶剤と置換した後に乾燥するこ
とを特徴とする無機微細多孔体の製造方法。 - 【請求項2】 有機処理の際に有機溶剤として、第1級
アルコール類、ホルムアミド類およびケトン類から選ば
れる少なくとも1種を用いる請求項1記載の無機微細多
孔体の製造方法。 - 【請求項3】 他の溶剤として水を用いる請求項2記載
の無機微細多孔体の製造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP3209562A JP3045411B2 (ja) | 1991-08-21 | 1991-08-21 | 無機微細多孔体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP3209562A JP3045411B2 (ja) | 1991-08-21 | 1991-08-21 | 無機微細多孔体の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0551277A JPH0551277A (ja) | 1993-03-02 |
JP3045411B2 true JP3045411B2 (ja) | 2000-05-29 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP3209562A Expired - Fee Related JP3045411B2 (ja) | 1991-08-21 | 1991-08-21 | 無機微細多孔体の製造方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3045411B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2731911A4 (en) * | 2011-07-12 | 2016-03-02 | Univ Michigan State | POROUS SOL-GELE AND METHOD AND STRUCTURES THEREFOR |
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---|---|---|---|---|
US5565142A (en) * | 1992-04-01 | 1996-10-15 | Deshpande; Ravindra | Preparation of high porosity xerogels by chemical surface modification. |
-
1991
- 1991-08-21 JP JP3209562A patent/JP3045411B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (1)
Title |
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作花済夫 著「ゾルーゲル法の科学」−機能性ガラスおよびセラミックスの低温合成− アグネ承風社 第1版(1988.7.5)p.28〜49 第4章 ゾルーゲル法によるバルク体の合成 の項 |
Cited By (1)
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EP2731911A4 (en) * | 2011-07-12 | 2016-03-02 | Univ Michigan State | POROUS SOL-GELE AND METHOD AND STRUCTURES THEREFOR |
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JPH0551277A (ja) | 1993-03-02 |
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