JP2005132641A - シリカエアロゲルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
低屈折率、低熱伝導率等のシリカエアロゲル特有の性質を維持したまま、さらに優れた光透過性を有し、必要により疎水性を有するシリカエアロゲルの製造方法を提供すること。
【解決手段】
シリカ原料を含有する反応溶液を加水分解縮重合させて湿潤ゲルを作製し、これを超臨界乾燥することによってシリカエアロゲルを製造する、シリカエアロゲルの製造方法において、前記反応溶液中に双極子モーメントが2乃至4である溶媒を含むようにする。

Description

本発明は、光透過性に優れたシリカエアロゲルを製造する方法に関する。
低い屈折率を有し、かつ熱伝導率が低いために断熱性を有する材料として、シリカエアロゲルが知られている。このようなシリカエアロゲルを製造する方法としては、例えば、アルコキシシラン(シリコンアルコキシド、アルキルシリケートとも称される)を加水分解縮重合して、骨格が(SiO2m(mは正の整数)で、シラノール基を有するポリマーを生成させ、このポリマーと、アルコールや液化二酸化炭素等の分散媒とを含むゲル(湿潤ゲルとも称される)を前記分散媒の超臨界条件下で乾燥する(超臨界乾燥する)方法がある。このようなシリカエアロゲルの製造方法は、米国特許第4402927公報に開示されている。さらに、疎水性を有するシリカエアロゲルの製造方法についても米国特許第5496527号公報に開示されている。
米国特許第4402927号公報 米国特許第5496527号公報
しかしながら、従来の製造方法により得られたシリカエアロゲルを、特に低屈折率を利用した材料として光学用途に用いる場合には、実用上光透過性が不十分であることがあった。例えば、ある屈折率を有する物体中を高エネルギーを有する素粒子が通過する際に生じる光(チェレンコフ光)を分析することによってその素粒子についての知見を得るための装置(チェレンコフカウンター)に用いようとする場合に、チェレンコフ光をより精度よく受光するためにはシリカエアロゲルの光透過性を高くすることが必要である。より具体的には、屈折率が1.03で10mm厚みのシリカエアロゲルを波長400nmの光が透過する光透過率を考えた場合、従来の方法により製造したシリカエアロゲルでは70%程度の光透過率を有していたが、これを80%以上、より好ましくは85%以上とすることでより多くの情報を得られるチェレンコフカウンターとすることができる。
このような事情に鑑み、本発明は、低屈折率(例えば、1.3以下)、低熱伝導率(例えば、0.015〜0.03W/mK)等のシリカエアロゲル特有の性質を維持したまま、さらに優れた光透過性を有し、必要により疎水性を有するシリカエアロゲルの製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明では、シリカ原料を含有する反応溶液を加水分解縮重合させて湿潤ゲルを作製し、これを超臨界乾燥することによってシリカエアロゲルを製造する、シリカエアロゲルの製造方法において、前記反応溶液中に双極子モーメントが2乃至4である溶媒を含むようにする。
本発明に係るシリカエアロゲルの製造方法は、シリカ原料を含有する反応溶液中に双極子モーメントが2乃至4である溶媒を含むようにするため、低屈折率、低熱伝導率等のシリカエアロゲル特有の性質を維持したまま、さらに優れた光透過性を有するシリカエアロゲルを製造することが可能となる。
本発明に係るシリカエアロゲルを構成するポリマーは、その骨格が少なくとも(SiO2mで、かつ、シラノール基を有するケイ酸化合物である。このものは、分子中に、Si-R1で表される結合を含有してもよい。ここで、mは正の整数で、R1は炭素数1〜5のアルキル基またはフェニル基である。このポリマーを構成するSiは、雰囲気中の水分を吸着し、シラノール基を形成して安定化する傾向が極めて強い性質がある。
このような性質を有する(SiO2mを骨格とするポリマーとしては、例えば、下記一般式(I)で表されるアルコキシシランを加水分解し、縮重合して得られたもの等が挙げられる。
(化1)
SiR1 n(OR2)4-n …(I)

〔式(I)中、R1及びR2は、互いに独立に、炭素数1〜5のアルキル基またはフェニル基を表し、nは0〜2の整数である。R1及びR2がそれぞれ2個以上ある場合、2個以上のR1、2個以上のR2は、それぞれ、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。〕上記一般式(I)で表されるアルコキシシランとしては、より具体的には、下記一般式(II)で表される2官能アルコキシシラン、下記一般式(III)で表される3官能アルコキシシラン及び下記一般式(IV)で表される4官能アルコキシシランのうちの少なくとも1種が用いられる。
(化2)
Figure 2005132641
〔式(II)中、R3、R4及びR5は、互いに独立に、炭素数1〜5のアルキル基またはフェニル基を表す。2個のR5は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。〕
(化3)
6-Si-(OR7)3 …(III)

〔式(III)中、R6及びR7は、互いに独立に、炭素数1〜5のアルキル基またはフェニル基を表す。3個のR7は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。〕
(化4)
Si-(OR8)4 …(IV)

〔式(IV)中、R8は、炭素数1〜5のアルキル基またはフェニル基を表す。4個のR8は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。〕
上記式(II)、(III)及び(IV)でそれぞれ表される2官能、3官能及び4官能の各アルコキシシランとしては、それらの具体例を挙げると、2官能アルコキシシランとしては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等が用いられる。3官能アルコキシシランとしては、例えばメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等が用いられる。4官能アルコキシシランとしては、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等が用いられる。
前記一般式(I)で表されるアルコキシシラン(以下、特に断らない限り「アルコキシシラン」はこのものを指す。)を効率良く加水分解し、縮重合を行うためには、アルコキシシランを含む反応系に予め触媒を添加しておくことが好ましい。このような触媒としては、酸性触媒、塩基性触媒等が挙げられる。具体的に述べると、酸性触媒としては、塩酸、クエン酸、硝酸、硫酸、フッ化アンモニウム等が用いられ、塩基性触媒としては、アンモニア、ピペリジン等が用いられる。
アルコキシシランの加水分解と縮重合は、水との相溶性を有し、かつ、アルコキシシランを溶解する溶媒と、水との混合液を用いて行うことが好ましい。このような混合液を用いた場合、加水分解工程と縮重合工程を連続して行うことができ、効率が良いからである。その際、生成するポリマーは、上記溶媒を分散媒とするゲル化物として得られる。水との相溶性を有し、かつ、アルコキシシランを溶解する溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコールや、アセトン等が挙げられる。これらは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの溶媒中に、双極子モーメントが2乃至4である溶媒を含むことがシリカエアロゲルの光透過性向上に有効である。ここで双極子モーメントとは、一般に原子や分子において正負の重心が一致しないとき(即ち、分極しているとき)、そのような原子または分子は双極子をもつといい、この双極子の強さを表す量のことをいう。
さらに溶媒の粘度は100mPa・s以下であることが好ましい。このような溶媒としては、アセトニトリル、プロピレングリコール、N,N-ジメチルホルムアミド、エチレングリコールなどが挙げられる。
次に、上記ゲル化物を加熱する、いわゆる熟成を行う。なお、この際、必要に応じては、熟成工程を省いてもよい。
次に、骨格が(SiO2m(mは正の整数)で、かつ、シラノール基を有するポリマーを疎水化処理剤と反応させて疎水化処理する工程について説明する。ここで、疎水性とは、例えば、撥水性と同義であり、水分吸着等が起こらず、このため水分による性能劣化がないものである。
また、疎水化処理を効率よく行うために、必要に応じてポリマーは水分が除去されたものであることが好ましい。ポリマーの水分除去は、特に、ポリマーが、アルコキシシランを加水分解し、縮重合を行うことにより得られたポリマーである場合に有効である。ポリマーの水分を除去する方法としては、例えば、アルコキシシランを加水分解し、縮重合を行う際に用いられる溶媒として前述した溶媒でポリマーを洗浄する方法等が挙げられる。
この発明で用いられる疎水化処理剤は、ポリマーの有するシラノール基に対して反応可能な官能基と、疎水基とを併せ持つ化合物である。シラノール基に対して反応可能な官能基としては、例えば、ハロゲン、アミノ基、イミノ基、カルボキシル基及びアルコキシル基等が挙げられる。疎水基としては、例えば、アルキル基、フェニル基及びそれらのフッ化物等が挙げられる。疎水化処理剤は、上記の官能基及び疎水基を、それぞれ1種のみ有していてもよいし、2種以上有していてもよい。疎水化処理剤の具体例としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシロキサン、トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、メチルトリクロロシラン及びエチルトリクロロシラン等のシラン化合物が挙げられるが、これらに限定されない。すなわち、シラン化合物以外の化合物、例えば、蟻酸、酢酸、コハク酸等のカルボン酸や、メチルクロリド等のハロゲン化アルキルであってもよいのである。疎水化処理剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
疎水化処理を行う方法としては、例えば、疎水化処理剤を溶媒に溶解させた溶液中にポリマーを浸漬し、混合するなどしてポリマー内に疎水化処理剤を浸透させた後、必要に応じて加熱し、疎水化処理反応を行う方法等が挙げられる。疎水化処理時に用いる溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール、トルエン、ベンゼン等が挙げられるが、前記疎水化処理剤が容易に溶解し、かつ、ポリマーの含有する溶媒(分散媒)と置換可能なものであれば、上記溶媒に限定されるものではない。また、後で超臨界乾燥を行うため、超臨界乾燥の容易な溶媒(例えば、エタノール、メタノール、液体CO2等)と同一種類もしくはそれとの置換が容易なものの方が好ましい。
疎水化処理は、ポリマーの有するシラノール基の水酸基を、疎水化処理剤の有する官能基と反応させて疎水化するために行うものである。したがって、疎水化処理剤の使用量としては、ポリマーの粒子表面のシラノール基数に対して充分な量用いることが好ましい。例えば、質量比で(ポリマー)/(疎水化処理剤)=0.5〜10程度の範囲が好ましいが、これは、疎水化処理反応を行う溶媒量、温度、時間等や、また、コストと性能の兼ね合い等から選択できるため限定されない。また、溶媒の使用量としても限定されない。
上に述べた疎水化処理により得られる変性ポリマー(変性湿潤ゲル)は、ポリマーの有するシラノール基の水酸基が疎水基で置換されて疎水化したものであり、ポリマー固形分と分散媒との2相からなるゲルとして得られる。この場合の分散媒とは、前述したポリマーの調製時に用いられる溶媒や、疎水化処理時に用いられる溶媒、或は、後述の超臨界乾燥に適した他の溶媒のことであり、この明細書中では、湿潤ゲル或いは変性湿潤ゲルを構成する液相を分散媒と記すが、広義では溶媒と同義である。
次に、上記ポリマー或は変性ポリマーを超臨界乾燥する工程について説明する。ここで、超臨界乾燥とは、ゲルに含まれている分散媒(溶媒)の臨界点または臨界点よりも高温高圧の雰囲気中で分散媒を徐々に除去する乾燥法である。超臨界乾燥を行う際には、必要に応じて、ポリマー或は変性ポリマー中の分散媒を、超臨界乾燥の媒体として用いる分散媒に予め置換しておく。その際、超臨界乾燥の媒体として用いる分散媒は、ポリマー或は変性ポリマー中の分散媒よりも臨界点の低い化合物からなるものを用いることが好ましいが、これに限定されない。例えば、疎水化処理時の溶媒を超臨界乾燥の媒体としてそのまま用いてもよく、その場合は、分散媒の置換操作を行う必要はない。
超臨界乾燥の媒体として用いられる分散媒としては、臨界点以上の温度圧力の設定が容易なものが好ましいが、これに限定されない。具体的には、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコールや、ジクロロジフルオロメタン、液化二酸化炭素、水等の単独系または2種以上の混合系を挙げることができる。超臨界乾燥の媒体として用いられる分散媒は、前述したアルコキシシランの加水分解と縮重合を行う際に用いる溶媒(水との相溶性を有し、かつ、アルコキシシランを溶解する溶媒)もしくは疎水化処理時に用いられる溶媒と同一種類のものを用いてもよいし、それらと異なる種類のものを用いてもよい。また、超臨界乾燥を行う際に用いられる容器としては、除去される分散媒の臨界点以上の高温高圧に耐えられる容器が好ましく、例えば、オートクレーブ等が挙げられる。
以上のように超臨界乾燥を行うことにより、優れた光透過性を有するシリカエアロゲルを得ることができる。
本発明に係るシリカエアロゲルの製造方法により、光透過性が高いシリカエアロゲルを製造できる理由については明らかになっていないが、次のような考察が可能である。シリカエアロゲルは光の波長よりも小さいシリカ粒子から構成されているため、このシリカ粒子が完全に均一にシリカエアロゲル中に存在していれば可視光の吸収や散乱は起こらず、完全な透明体となるはずである。それにもかかわらずシリカエアロゲルが、例えば、波長400nmの光に対して70%程度の光透過率を示すにとどまっている。これは、シリカエアロゲル中でシリカ粒子が一部凝集している、或いは、空隙率が部分的に小さくなり見かけ上凝集しているように見える部分が存在するため、この部分がミクロの領域において周りのエアロゲルとの屈折率の差を有し、この屈折率の差によって光が散乱されて光透過率が低下し、結果としてシリカエアロゲルが完全な透明体ではなくなるためである。
本発明においては、シリカ原料を含有する反応溶液を加水分解縮重合させて湿潤ゲルを作製する際に、双極子モーメントが2乃至4である溶媒を前記反応溶液中に含ませるのであるが、そのような溶媒がシリカ粒子を凝集しにくくする効果をもつものであると考える。その結果、低屈折率、低熱伝導率等のシリカエアロゲル特有の性質を維持したまま、さらに優れた光透過性を有するシリカエアロゲルを製造することが可能となる。
さらに、溶媒の粘度を100mPa・s以下とすることで、加水分解の反応速度を最適な速度に保つことができ、その結果、得られるシリカエアロゲルを構成するシリカ粒子を最適な粒径で形成することができる。ここで、溶媒の粘度の下限は特に限定される理由は存在しない。また、溶媒の粘度の上限すなわち100mPa・sを超えると、加水分解の反応速度が低下し核生成の速度が低下する。その結果、得られるシリカエアロゲルを構成するシリカ粒子が大きくなるために、シリカエアロゲルの光透過性が低下する。
なお、ゲル化途中の反応溶液中でシリカ粒子は静電気的に分散されると推測できるために、この意味からは双極子モーメントが4より大きい溶媒を用いる方が均一な分散が可能であるために得られるシリカエアロゲルがより透明になると予想されるが、結果としてそのようにならない。これは双極子モーメントが大きすぎる溶媒を用いることによって反応溶液中の溶質、例えば、アルコキシシランやアルコキシ基の一部のみが水酸基に置換された中間生成物がゲル中に混入されてしまうため、得られるシリカエアロゲルの光透過性が低下するものと考える。
また、本発明においてシリカエアロゲルの光透過性が向上する理由が超臨界乾燥時の分散媒の揮発性低下(毛細管圧の減少)の影響によるものとの推測することも可能であるが、この推測は実験的に否定された。すなわち、通常の方法で作製した湿潤ゲルに、超臨界乾燥の直前に双極子モーメントが2乃至4である溶媒を添加しても、得られるシリカエアロゲルの光透過性は変化しなかった(比較例4参照)。
以下に、本発明に係る具体的な実施例及び比較例を示す。
(実施例1)
メチルシリケート51(コルコート(株)製試薬)とアセトニトリル(ナカイテスク(株)製試薬、20℃での粘度0.375mPa・s、双極子モーメント3.44)とメタノールとの混合液と、水とアンモニア水(ナカライテスク(株)製試薬)とを徐々に混合した。この際、反応は室温で行い、混合比は、メチルシリケート51:アセトニトリル:メタノール:水:アンモニア水=23.54:45.02:30.44:24.80:0.61(質量比)であった。20秒程度攪拌後放置し、ゲル化させた。ゲル化後、アセトニトリルとメタノールとの混合液を加え、50℃で加熱し、さらにアセトニトリルとメタノールとの混合液の添加を繰り返してゲルが乾燥しないように縮重合反応を加速(熟成)した。
次に、このゲル化物を5倍の容積の0.2mol/l−ヘキサメチルジシラザン(東レダウコーニングシリコーン(株)製試薬)のトルエン溶液中に移し、1昼夜この溶媒の交換を繰り返し、ゲル内にヘキサメチルジシラザンを混合した。その後、110℃で2時間程度加熱攪拌し、疎水化処理反応を行った後、今度はゲルをエタノール中に移して、1昼夜、エタノールの交換を繰り返し、溶媒置換を行った。
次に、このゲルを18℃、5.1MPaの二酸化炭素中に入れ、ゲル内のエタノールを二酸化炭素に置換する操作を2〜3時間行った。その後、系内を二酸化炭素の超臨界条件である、40℃、8.1MPaにし、超臨界乾燥を約24時間行ってシリカエアロゲル試料を得た。試料の大きさは、厚み10mm、直径50mmの円柱状であった。
分光光度計(日立製作所製「U3200」)を用いて、得られたシリカエアロゲルの光透過率を測定した。その結果、得られたシリカエアロゲルの厚み方向に対する波長400nmの光の透過率は84.2%であった。
(実施例2)
実施例1において、アセトニトリルとメタノールとの混合液を用いる代わりにプロピレングリコール(ナカイテスク(株)製試薬、20℃での粘度26.09mPa・s、双極子モーメント2.25)とメタノールの混合液を用いたこと以外は実施例1と同様にしてシリカエアロゲル試料を得た。混合比は、メチルシリケート51:エチレングリコール:メタノール:水:アンモニア水=23.54:49.80:35.40:24.80:0.61(質量比)であった。
実施例1と同様に、得られたシリカエアロゲルの光透過率を測定した。その結果、得られたシリカエアロゲルの厚み方向に対する波長400nmの光の透過率は78.2%であった。
(実施例3)
実施例1において、アセトニトリルとメタノールとの混合液を用いる代わりにN,N-ジメチルホルムアミド(ナカライテスク(株)製試薬、20℃での粘度0.924mPa・s、双極子モーメント3.86)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてシリカエアロゲル試料を得た。混合比は、メチルシリケート51:N,N-ジメチルホルムアミド:水:アンモニア水=47.00:81.22:50.23:0.24(質量比)であった。
実施例1と同様に、得られたシリカエアロゲルの光透過率を測定した。その結果、得られたシリカエアロゲルの厚み方向に対する波長400nmの光の透過率は85.6%であった。
(比較例1)
実施例1において、アセトニトリルとメタノールとの混合液を用いる代わりにメタノール(ナカイテスク(株)製試薬、20℃での粘度0.59mPa・s、双極子モーメント1.66)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてシリカエアロゲル試料を得た。混合比は、メチルシリケート51:メタノール:水:アンモニア水=49.56:67.06:52.97:0.25(質量比)であった。
実施例1と同様に、得られたシリカエアロゲルの光透過率を測定した。その結果、得られたシリカエアロゲルの厚み方向に対する波長400nmの光の透過率は70.2%であった。
(比較例2)
実施例1において、アセトニトリルとメタノールとの混合液を用いる代わりにイソプロピルアルコール(ナカイテスク(株)製試薬、20℃での粘度2.41mPa・s、双極子モーメント1.68)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてシリカエアロゲル試料を得た。混合比は、メチルシリケート51:イソプロピルアルコール:水:アンモニア水=42.36:56.84:45.27:0.22(質量比)であった。
実施例1と同様に、得られたシリカエアロゲルの光透過率を測定した。その結果、得られたシリカエアロゲルの厚み方向に対する波長400nmの光の透過率は61.0%であった。
(比較例3)
実施例1において、アセトニトリルとメタノールとの混合液を用いる代わりにジメチルスルホキシド(ナカイテスク(株)製試薬、20℃での粘度2.14 mPa・s、双極子モーメント4.30)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてシリカエアロゲル試料を得た。混合比は、メチルシリケート51:ジメチルスルホキシド:水:アンモニア水=23.54:106.02:24.80:0.61(質量比)であった。
実施例1と同様に、得られたシリカエアロゲルの光透過率を測定した。その結果、得られたシリカエアロゲルの厚み方向に対する波長400nmの光の透過率は69.3%であった。
(比較例4)
比較例1において、超臨界乾燥を行う前、つまりエタノールへの溶媒置換の後にN,N-ジメチルホルムアミドへの溶媒置換を行った。その後比較例1と同様の条件で乾燥を行い、シリカエアロゲル試料を得た。
実施例1と同様に、得られたシリカエアロゲルの光透過率を測定した。その結果、得られたシリカエアロゲルの厚み方向に対する波長400nmの光の透過率は70.0%であった。
以上の実施例及び比較例について、反応溶液中の溶媒、溶媒の双極子モーメント、超臨界乾燥時の分散媒、エアロゲルの光透過率を表1に示す。
Figure 2005132641
表1にみるように、実施例1〜3と比較例1〜3とを比較すると、反応溶液中の溶媒として双極子モーメントが2乃至4の溶媒を用いた実施例1〜3については、得られたシリカエアロゲルの光透過率が向上している。
また、比較例4より、双極子モーメントが3.86であるN,N-ジメチルホルムアミドを超臨界乾燥時の分散媒として用いても、得られたシリカエアロゲルの光透過率は向上しない。

Claims (3)

  1. シリカ原料を含有する反応溶液を加水分解縮重合させて湿潤ゲルを作製し、これを超臨界乾燥することによってシリカエアロゲルを製造する、シリカエアロゲルの製造方法において、
    前記反応溶液中に双極子モーメントが2乃至4である溶媒を含むことを特徴とするシリカエアロゲルの製造方法。
  2. 前記溶媒の20℃における粘度が100mPa・s以下であることを特徴とする請求項1記載のシリカエアロゲルの製造方法。
  3. 前記溶媒がアセトニトリル、プロピレングリコール、N,N-ジメチルホルムアミド、エチレングリコールのうちの少なくとも一種からなることを特徴とする請求項1または請求項2記載のシリカエアロゲルの製造方法。


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