JP2652425B2 - 圧電セラミツクスの製造方法 - Google Patents

圧電セラミツクスの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、一般に電気機械変換素子として用いられる
圧電セラミックスの製造方法に関するものである。
(従来の技術) 圧電セラミックスは表面波応用部品などに用いられ始
めるなど、高精度の加工性が要求されるようになり、そ
の緻密性の向上の要求は益々強くなってきている。
酸化物から構成される圧電セラミックスを緻密に得る
方法として、従来、酸素雰囲気での焼成が一般に用いら
れていた。この方法は、焼成時に炉内の雰囲気を酸素雰
囲気にすることによって、昇温時に形成される閉気孔の
中の酸素濃度を高める方法であった。すなわち、酸化物
で構成される圧電セラミックス中を拡散しやすい酸素の
濃度を高めることによって、閉気孔を小さくしやすくす
るものであった。
(発明が解決しようとする課題) 上記従来の単に酸素雰囲気で焼成する方法では、量産
性を高いが、高精度の加工に要求される緻密性が十分に
得られない欠点があった。
本発明の目的は、従来の欠点を解消し、量産性がよ
く、高密度の圧電セラミックスが得られる製造方法を提
供することである。
(課題を解決するための手段) 本発明の圧電セラミックスの製造方法は、焼成温度よ
り200℃以上の低い温度から、焼成温度までの昇温時に
炉内雰囲気を酸素濃度50容量%以上に保ったのち、焼成
温度では炉内雰囲気を昇温時の酸素濃度の1/2ないし酸
素濃度10容量%にして焼成して酸化物を生成するもので
ある。
(作 用) 本発明によれば、酸素の拡散濃度が大きくなることに
より、酸化物で構成される圧電セラミックスを量産性良
く緻密に焼成することができる。
(実施例) 本発明の一実施例を表に基づいて説明する。Pb(Mg1/
3 Nb2/3)O3−PbTiO3−PbZrO3系の電圧セラミックスを
用いて、昇温時あるいは焼成温度時の雰囲気を種々に変
化させて焼成した。その様子を表に示す。なお、昇温速
度は200℃/h,焼成条件は1250℃2時間である。ただし、
雰囲気中の酸素以外の成分は窒素である。
表に示されるように、従来の方法(No.2〜5)では空
気中での焼成(No.1)に比べ高い密度が得られ、しか
も、酸素濃度が高い程、密度が高くなり、酸素雰囲気焼
成の効果が示されているが、十分に緻密であるとはいえ
ない。
一方、No.12に示されるように、本発明によれば著し
く緻密な焼成体を得ることがわかる。
また、No.6〜No.11からわかるように、十分緻密な
(密度98%以上)焼結体を得るには昇温時の酸素濃度が
50容量%以上必要である。また、焼成温度時の酸素濃度
は小さい方がよい。これはフィックの第一法則に示され
るように、閉気孔と外気の酸素濃度差が大きい程、酸素
の拡散速度が大きいためである。この濃度差は表で示さ
れるように、閉気孔内の酸素濃度すなわち、昇温時の酸
素濃度の1/2以上あると有効的に働く。しかし、焼成温
度時の酸素濃度を小さくしすぎると、圧電セラミックス
の還元をまねくため、少なくとも10容量%は必要であ
る。
なお、本発明による酸素の拡散を利用した圧電セラミ
ックスの緻密化は、酸素を圧電セラミックス中の酸素欠
陥を通して拡散させるため、酸化物で構成される圧電セ
ラミックスであれば有効な方法であるといえる。また、
昇温時に形成される閉気孔は焼成温度よりも200℃低い
温度よりも高い温度で形成されるため、それよりも低い
温度で雰囲気を変えることは有効ではない。
一方、本実施例では酸素以外の雰囲気を構成する物質
として窒素を用いたが、他の中性ガスあるいは不活性ガ
スを用いてもよい。
(発明の効果) 本発明によれば、焼成工程において、昇温時の炉内雰
囲気を酸素濃度50容量%以上にして、この時期に形成さ
れる閉気孔内の酸素濃度を高め、さらに焼成温度に保っ
ているときの炉内雰囲気を昇温時の酸素濃度の1/2〜10
容量%にすることによって、閉気孔内と外気の酸素濃度
差が大きくなり、酸素の拡散速度が大きくなることによ
って、酸化物で構成される圧電セラミックスを量産性よ
く緻密に焼結させることができ、その実用上の効果は極
めて大である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】焼成温度より200℃以上低い温度から、前
    記焼成温度までの昇温時に炉内雰囲気を酸素濃度50容量
    %以上保ったのち、前記焼成温度では炉内雰囲気を昇温
    時の酸素濃度の1/2ないし酸素濃度10容量%にして焼成
    して酸化物を生成することを特徴とする圧電セラミック
    スの製造方法。
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