JP2651505B2 - 高層建築物の架構構造 - Google Patents

高層建築物の架構構造

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造等の高層
建築物の躯体の架構構造に係り、とくに、高層建築物が
超高層建築物であり、ダブルチューブ構造を採用したも
のであるときの躯体の架構構造に関するものである。
[従来の技術] 建築物が高層建築物であり、とくに30階を超えるよう
な超高層建築物であるときには、耐震性能が要求される
ことから、躯体の外周部の架構をいわゆる「チューブ構
造」に構成することが行われ、最近では、建築物の外周
部の躯体だけでなく、内部にもチューブ構造を採用して
「ダブルチューブ構造」にするものが増加してきてい
る。一般に、チューブ構造の建築物は、内部の梁を架設
しないことから、建築物の内部空間の利用効率がよく、
従って、階高を比較的小さくして総高に対して多層の積
層が可能であるだけでなく、内部のレイアウトにも自由
度が大きい利点があるとされている。
[発明が解決しようとする課題] 超高層建築物の建築実績がまだあまり多くない現在で
は、その設計方法がようやく定着しはじめた段階であ
り、今後の研究にまつところが多いが、例えば、50階、
総高160mのような超高層建築物では、振動の固有周期が
長く、最上層の絶対変形が大きいばかりでなく、チュー
ブ構造の基本になる柱の設計において、当然軸力が大き
く、とくに、ダブルチューブ構造では、内方のチューブ
の柱に軸力が集中することが避けられず、本構造方法に
は、なお一層の開発が望まれている。
[課題を解決するための手段] 本発明は、上記のような課題に対処し、欠点を一掃し
て、建築物の架構構造におけるチューブ構造を改良する
ことを目的として開発されたものであり、とくに、チュ
ーブ構造の特質を損なわない範囲で、内外のチューブ架
構体を連結し、耐震特性を改善する構造としたことを要
旨としている。そして、上記の構造は、鉄骨造の超高層
建築物をダブルチューブ構造にするときに、とくに、外
方チューブの鉄骨柱の割り付けを内方チューブの隅柱に
対応させ、内方チューブの隅柱と外方柱の対向柱との間
に、建物の数階おきに連結トラス梁を設けたことを特徴
とするものであり、これによって、耐震性能だけでな
く、建築物の内部空間の利用効率をも改善することに成
功したものである。
[実施例] 本発明の高層建築物の架構構造を、好適な実施例を示
す図面に基づいて詳細に説明する。第1図は、本発明の
架構構造によって建造される鉄骨造の超高層建築物の概
略の平面図であり、第2図は第1図のA−A線に沿った
断面図である。建築物1は、鉄骨造の柱2、梁3とから
なる架構体として構築され、柱2と梁3とは、外方のチ
ューブ4と内方のチューブ5とによってダブルチューブ
6を形成している。本実施例の内方チューブ5は、隅柱
51と中柱52と梁3からなり、外方チューブ4は、隅柱41
と中柱42とからなっている。外方の中柱42の割り付け
は、内方の隅柱51に対向する位置に、中柱43が位置する
ようになっている。
本発明では、外方チューブ4の中柱43と内方の隅柱51
との間に、ダブルチューブ6のコーナー部分で梁7が架
けわたしてある。梁7は、第2図に示すように、例え
ば、10階おきに、n階とn+1階との間の1階分の高さ
に形成したトラス梁であって、建築物1の直角方向に隅
柱51と中柱43とを連結している。同図において、下方の
n−10階には、連結トラス梁7を他の形態のトラスで形
成した例が便宜併記してある。
本発明の構造を採用する建築物1は上記の実施例のよ
うなものに限定されないことはもちろんである。
[作 用] 本発明の作用を、建築物1の耐震設計の試算に基づい
て説明する。第1図、第2図に示すような建築物1の外
方チューブ4の1辺を30cmとし、内方チューブ5の1辺
を14cmとしたとき、耐震解析によって、従来のダブルチ
ューブ構造の同様の建築物と比較してみると、振動の固
有周期では、3.9秒対4.2秒であって、周期は短くなり、
最上層の絶対変形量では、48.7cm対56.5cmであって、変
形量の縮小率は約13%である。このことは、、チューブ
構造体が地表から片持梁として作用するときに、連結ト
ラス梁7が振動の節点を形成することによると考えられ
る。
次に、地震時の各柱の軸力を試算した結果では、外方
チューブ4の中柱43においては550トン対460トンであ
り、中柱43の負担が増えているが、内方チューブ5の隅
柱51では、950トン対1,230トンであって、概して軸力の
大きい内方の隅柱51において大きな改善が見られる。こ
のことは、トラス梁7の連結効果によって、スパンの大
きい外方チューブへの廻り込みが内在することの証左で
あり、従来ではとくに軸力の設計に苦労した内方柱51の
軸力が軽減され、設計が格段に容易になったことを示し
ている。
[発明の効果] 本発明の高層建築物の架構構造は、鉄骨造の高層建築
物の躯体をダブルチューブ構造とするときの架構体の構
造において、外方チューブの鉄骨柱の割り付けを内方チ
ューブの隅柱に対応させ、内方チューブの隅柱と外方柱
の対向柱との間に、建物の数階おきに連結トラス梁を設
けたものであるから、まず、連結梁による内外のチュー
ブの連結が多層階ごとに間隔を設けられていることによ
って、チューブ構造の基本の耐震性が損なわれず、ダブ
ルチューブ構造としても内外ともにチューブ構造が確保
され、その特性が改善されている。また、内外両チュー
ブの連結が建築物の数階おきの隅部においてのみ構成さ
れているから、その部分ではトラス構造が障壁を形成
し、または階高を制限することがあっても、建築物の全
体の空間利用率はほとんど影響されていない。しかも、
連結部位の選定はごく自然な中柱の配置だけで実現でき
る。さらに、建築物躯体の施工方法や、使用資材には全
く特殊な要件は無く、主として超高層建築物の設計に採
用される構造に、画期的な改善をもたらし、従って、柱
の使用資材も著しく減少するものであり、各種の超高層
建築物の建設に貢献する優れた架構構造を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の高層建築物の架構構造を実施例に基づい
て説明するものであり、第1図は本発明の架構構造を採
用する建築物の概略の平面図、第2図は第1図のA−A
線に沿った垂直断面図である。 1……建築物、2……柱、3……梁、4……外方チュー
ブ、5……内方チューブ、6……ダブルチューブ、7…
…連結トラス梁、41……隅柱、42……中柱、43……対応
する中柱、51……隅柱、52……中柱、n……階数。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鉄骨造の高層建築物の躯体をダブルチュー
    ブ構造とするときの架構体の構造において、外方チュー
    ブの鉄骨柱の割り付けを内方チューブの隅柱に対応さ
    せ、内方チューブの隅柱と外方柱の対向柱との間に、建
    物の数階おきに連結トラス梁を設けたことを特徴とする
    高層建築物の架構構造。
  2. 【請求項2】連結トラス梁は、1階分の階高の梁成を有
    していることを特徴とする請求項1記載の高層建築物の
    架構構造。
JP18303288A 1988-07-22 1988-07-22 高層建築物の架構構造 Expired - Lifetime JP2651505B2 (ja)

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JPH0235138A JPH0235138A (ja) 1990-02-05
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