JP2527975B2 - 建築物構造体 - Google Patents

建築物構造体

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JP2527975B2 JP62201887A JP20188787A JP2527975B2 JP 2527975 B2 JP2527975 B2 JP 2527975B2 JP 62201887 A JP62201887 A JP 62201887A JP 20188787 A JP20188787 A JP 20188787A JP 2527975 B2 JP2527975 B2 JP 2527975B2
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和司 島崎
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> この発明は高靭性設計によって高層建築物等に耐震機
能を付与する場合に適用する建築物構造体に関する。
<従来の技術> 従来から、耐震性を高めるための構造体として、柱と
梁とを組合せた純ラーメン構造が採用され、この純ラー
メン構造による鉄筋コンクリートや鉄骨鉄筋コンクリー
トの高層建築物について種々の形や階層のものが提供さ
れている。かかるラーメン構造の建築物では、地震時に
おける構造部材の曲げ変形に伴うせん断型の変形性状と
なるため、全層的に水平変位が大になるほか、耐震壁を
用いた場合には、これの曲げ変形によって上層部の変形
が大きくなる。さらに地震時には全体曲げにより外側の
柱に大きな軸力が集中的に作用する。
<発明が解決しようとする問題点> しかしながら、かかる従来の純ラーメン構造物では、
軸力に十分に耐えるようにするには、上記の外側の柱の
断面を大きくする必要が生じ鉄筋量が多くなったり、オ
ープンスペースが狭くなるほか、同時に大きなモーメン
トと軸力を受ける部材の混在によって、靭性が低下し、
必要保有水平耐力が大きくなるという問題点があった。
また、耐震壁がある場合には、これの外端部における挙
動に建築物全体の安定が左右され、最下層の耐震壁には
大きな曲げ力とせん断力が作用し、靭性が低下する危険
があり、結局断面形状を大きく設計しなければならなく
なるという問題点があった。
この発明はかかる従来の問題点に着目してなされたも
のであり、軸力を建築物周縁の柱に分担させることによ
って、連層耐震壁の断面をできるだけ小さく抑えられる
ようにして、オープンスペースの確保を図るとともに、
柱をピン結合部を介して大梁の外端部間に設置すること
によって、部材にかかる応力を低減し、さらに靭性を高
め、必要保有水平耐力を低減することができる建築物構
造体を得ることを目的とする。
<問題点を解決するための手段> この発明にかかる建築物構造体は、建築物の複数階ご
とに、長さがその建築物の略全幅に及ぶ大梁を配置し、
これらの大梁間に連層耐震壁を連設し、上記大梁の外端
部間および大梁の外端部と建築物基部との間に、両端に
ピン結合部を持った大柱を連設するように構成した。
<作用> この発明における連層耐震壁は水平力に抵抗するよう
に作用し、この連層耐震壁、柱及び大梁は上記水平力に
伴う全体の曲げに抵抗するように作用するほか、大柱は
ピン結合部をもって大梁間、および大梁と建築物基部と
の間に連設されるため、曲げ力を受ける異なく建築物周
辺に及ぼされる軸力をバランスよく分担するように作用
する。
<発明の実施例> 以下にこの発明の一実施例を図について説明する。
第1図はこの発明にかかる建築物構造体の正面図、第
2図は同じく平面図、第3図は同じく側面図である。同
図において、1は下4階、中5階、下5階ごとに設置さ
れた大梁であり、その各長さは建築物Aの全幅に及ぶ大
断面をなす。2は各大梁1、1間にあって、これらの外
端部を除く部位、図では中央部付近に設置された鉛直の
連層耐震壁であり、その1つがコ字状平断面をなして、
一対が対向配置され、しかも上下端が上下部の大梁1、
1に剛(一体)結合されている。3は各大梁1の外端部
間ごとに配置された大柱で、これらの大柱3の上下端は
ピン結合部4を介して各大梁1に連結されている。5は
各階を通して設けられ、鉛直荷重に対してのみ抵抗する
柱、6は各階ごとに設けられる床版である。なお、最下
部の大柱3の下端は建築物の基部に、ピン結合部4を介
して連結されている。
かかる構成になる建築物構造体は、地震力を受けた際
に、連層耐震壁2が水平抵抗要素として作用し、水平変
位を抑制する。また、その地震時の全体曲げによる軸力
は大柱3によって支持するようにして大梁1の各両端部
で、略同方向に同量ずつ傾き、各大梁1の全体を水平変
位させても、従来のように外側の柱に偏荷重を及ぼすと
いうような問題をなくすことができる。すなわち、曲げ
変形モードが生じようとしても、この曲げ変形モードは
ピン連結された大柱3によってせん断変形モードに変換
され、このため下層部の曲げモーメントを低減し、靭性
を強化することができる。特に、従来、軸力や曲げモー
メントが最大となる、大柱3と建築物基部との接合部に
おいては、ここの曲げモーメントを消去して、軸力のみ
とするため靭性確保の効果が大きい。
このようにすれば、高軸力と曲げを同時に受ける柱を
有するラーメン構造のみを採用せずにすみ、スパンの設
定上制約が少なくなり、連層耐震壁の有効利用による利
用可能空間の拡大を図ることができる。また、構造簡素
化ならびに柱断面の縮小と、これによる鉄筋使用量の削
減による建築コストの低減を図ることができる。
なお、上記実施例では、連層耐震壁2として断面コ字
状のものを対向設置したものを示したが、第4図(a)
に示すように、平面8角形の建築物の中央部に矩形連層
耐震壁(2A)を設置したり、第4図(b)に示すよう
に、平面正方形の建築物の中央部にX形の連層耐震壁
(2B)を設置したり、第4図(c)に示すように、平面
長方形の建築物の対向端部にT形の連層耐震壁(2C)を
設置したりすることもできる。
また、大柱3、大梁1および床版6などをプレキャス
ト部材としたり、連層耐震壁2を滑動型枠工法で施工す
ることにより大幅に工期を短縮できる。
<発明の効果> 以上説明したように、この発明によれば、複数階ごと
に配置される大梁間の連層耐震壁を設けることにより、
その連層耐震壁が地震に抵抗する水平抵抗要素として作
用させることができ、また、大梁の外縁部間、および大
梁の外縁部と建築物基部との間に、両端にピン結合部を
有する大柱を配置したことにより、軸力に抵抗する力が
強化されるとともに、曲げ変形モードをせん断変化モー
ドに変換して、曲げモーメントを低減することができ、
これによって高靭性化を得ることができる。そして、上
記連層耐震壁や大柱、大梁などをプレキャスト化するこ
とにより、建築費の大幅なコストダウンを図ることがで
き、連層耐震壁の有効利用によるオープンスペースの拡
大を実現できる等の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明にかかる建築物構造体の正面図、第2
図は同じく平面図、第3図は同じく側面図、第4図は連
層耐震壁の各種構造を示す平面図である。 (1)……大梁、(2)連層耐震壁、(3)……大柱、
(4)……ピン結合部。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】長さが建築物の略全幅に及び、かつ複数階
    ごとに配置した大梁と、これらの各大梁間に設けて、こ
    れらに一体結合した連層耐震壁と、上記大梁の端部間お
    よび大梁の端部と建築物基部との間に配置し、かつ両端
    にピン結合部を有する大柱とを備えた建築物構造体。
  2. 【請求項2】連層耐震壁が、少なくとも一対が対向設置
    されるコ字状平断面構造をなすことを特徴とする特許請
    求の範囲第1項記載の建築物構造体。
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