JP2649979B2 - 平角状絶縁電線の製法 - Google Patents

平角状絶縁電線の製法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、低電圧用平角状絶縁電線の製法に関する。
〔従来の技術〕
ビデオテープレコーダやポータブルテープレコーダな
どの小型・軽量の各種電気機器に内蔵されている偏平型
ブラシレスモータなどの低電圧用小型モータには、コア
レス偏平コイルが用いられることが多い。コイル巻きす
る銅線は、平角線が使用されることがあり、この平角線
は平角状導体にワニスなどの絶縁皮膜を形成したもので
ある。
〔発明が解決しようとする課題〕
前記低電圧用コイルに使用される平角状絶縁電線は、
通常は丸状導体を圧延して平角状導体に成形し、当該平
角状導体の表面に絶縁皮膜を設けてあるが、当該皮膜は
通常は線材の塗装に用いられている浸漬塗装によって施
される。浸漬塗装は被塗装体を塗料(ワニスなど)の中
に浸漬してから引上げた後に塗料を乾燥させる塗装法
で、所定の絶縁皮膜厚が得られるまで塗装が繰り返され
る。
しかしながら、浸漬塗装では、平角状導体の特に角部
に塗料が付着し難く、絶縁塗装むらが生じる。かかる浸
漬塗装法による極細の平角状導線が低電圧モータ用コイ
ルとして巻線化されると、特に絶縁皮膜の薄い角部同士
が絶縁不良を起こし易い。
一方、上記浸漬塗装の問題点を解決するために、電着
塗装を採用する場合もある。電着塗装は、水性塗料中に
電極を挿入して直流を通じ、負電荷をもつ塗料粒子を陽
極の方に移動させて、陽極板上に沈着させる塗装方法で
ある。一般には、被塗装体を陽極、塗料を入れた容器を
陰極(容器が絶縁物の場合は、銅または白金などの金属
を陰極として塗料中に挿入する)として通電し、塗料を
陽極の被塗装体表面に沈着させた後、これを取り出して
焼付け塗装を完了する。
しかしながら、電着塗装では、平角状導体の角部に電
界集中が起こるため、角部の絶縁皮膜が厚くなる。かか
る電線を重ね巻きすると、特に上下に相互に隣接する電
線同士間、すなわち上下の電線の絶縁皮膜間に空隙がで
き、コイルの導体のスペースファクタ(占積率:全導体
体積/全コイル体積)が低下してしまう。一般的には導
体のスペースファクタは大きい方が良好なわけで、かか
る電着塗装の塗装むらは好ましくない。
従って本発明の目的は、以上の浸漬塗装及び電着塗装
にみられる問題点を克服する新規な平角状絶縁電線の製
法を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
前記目的は、次のi〜ivの連続工程よりなる平角状絶
縁電線の製法により達成される。すなわち、本発明は、 i)丸状導体を第一次圧延して、平角状導体を形成す
る。
ii)平角状導体の表面に電着塗装によって絶縁皮膜を形
成し、絶縁皮膜を半硬化させ、準平角状線とする。
iii)準平角状線を第二次圧延して、平角状線とする。
iv)平角状線の絶縁皮膜を硬化させ、最終平角状線とす
る。
の工程よりなる製法である。
本発明の製法によれば、一旦丸状導体を圧延して平角
状導体を形成し、該平角状導体に対して電着塗装を行っ
て絶縁皮膜を施し、絶縁皮膜を半硬化させ、これを再び
圧延し、最後に絶縁皮膜を完全に硬化させて平角状線と
することにより、前記従来の問題点が解決される。
絶縁皮膜を施した準平角状線を圧延するのは、電着塗
装による絶縁皮膜を完全に硬化させるのではなく半硬化
させてあって絶縁皮膜が適度の弾性を有するからであ
り、最終平角状線にすべく第二次圧延しても絶縁皮膜が
破断するようなことがなく、しかも第二次圧延によって
特に平角状導体の角部の絶縁皮膜が均一厚さに成形され
る。その結果、電着塗装の一般特質である容易に均一な
塗装を施せることと相まって、最終的に得られる平角状
線の絶縁皮膜は平角状導体の全表面において均一厚さで
ある。
次に、本発明の製法の各工程を第1図の連続工程ライ
ンを示す略流れ図に基づいて順に詳説する。また、本発
明における平角状絶縁電線は低電圧モータ用コイルなど
に巻線化するなどして使用するものであり、従って、本
発明において平角状絶縁電線はその主な用途から、厚さ
20〜500μm、幅100〜4000μm程度で、厚さ/幅の比率
1:3〜1:50程度のものである。
工程i):銅、アルミ、銅クラッドアルミなどからなる
直径100〜1500μm程度の丸状導体を圧延ロール21など
の常套手段により第一次圧延して、厚さ20〜500μm程
度、幅100〜4000μm程度で、厚さ/幅の比率1:3〜1:50
程度の平角状導体を荒仕上げ形成する(第1図参
照)。
工程ii):工程iで得られた平角状導体の表面に電着塗
装バス22を通過させるなどの通常の電着塗装によって肉
厚1〜30μm程度の絶縁皮膜を形成し、さらに半硬化炉
23を通過させるなどにより絶縁皮膜を温度50〜350℃程
度、特に80〜300℃程度で半硬化させ、準平角状線を作
製する(同図参照)。なお、塗装に使用する塗料とし
ては通常は後述するものが使用される。
ここにおいて、電着塗装は通常通りに行えばよく、平
角状導体を陽極とし、これを絶縁用水性塗料中に挿入し
て通電し、平角状導体の表面上に塗料を沈着させ、その
後に半硬化炉23を通過させる。
電着塗装に用いる絶縁用塗料としては、水分散性のポ
リウレタン、エポキシ・アクリル、ポリエステルイミ
ド、或いは水溶性のポリイミドなどが例示されるが、こ
れらに限定されるものではない。
工程iii):工程iiの準平角状線を圧延ロール24などの
常套手段にて第二次圧延して、所定寸法の平角状線に高
精度に仕上げる(同図参照)。
工程iv):平角状線の絶縁皮膜を硬化炉25を通過させる
などにより温度150〜500℃程度、特に180〜450℃程度で
完全に硬化させ、最終的な平角状線とする(同図参
照)。その後、作製した平角状線を巻き取る。
〔実施例〕
以下、本発明の平角状絶縁電線の製法を各工程で得ら
れる線断面を示す第2図に基づいて説明する。
まず、直径0.25μm程度の銅製丸状導体10〔第2図
(a)参照〕を圧延ロールにより第一次圧延して、同図
(b)に示す如き平角状導体1′を形成する。当該平角
状導体1′は、厚さ50μm程度、幅950μm程度であ
る。
次に、絶縁塗料に水分散性エポキシ・アクリル塗料を
用いた電着塗装によって平角状導体1′の表面に肉厚10
μm程度の絶縁皮膜2′を施す〔同図(c)参照〕。こ
の際、絶縁皮膜2′の厚さは、特に平角状導体1′の角
部3′が他の部分に比べて厚くなっているが、角部3′
以外はほぼ均一である。絶縁皮膜2′を温度150℃の半
硬化炉を通過させて半硬化させ、準平角状線とする。
準平角状線を圧延ロールにより第二次圧延して、幅及
び厚さが上記寸法通りになるよう高精度に仕上げ、平角
状線とする〔同図(d)参照〕。圧延の際、半硬化させ
た絶縁皮膜2′は、適度の弾性を有するので容易に成形
され、平角状導体1′の全表面にわたって均等に延伸さ
れる。
最後に、平角状線の絶縁皮膜2′を温度350℃の硬化
炉を通過させて完全に硬化させることによって、平角状
導体1及び均一厚さの絶縁皮膜2からなる平角状絶縁電
線が製品として提供される〔同図(d)参照〕。
このようにして得られた平角状絶縁電線は、コイルに
重ね巻きしても上下に相互に隣接する電線同士間に空隙
が発生しなくなり、コイルにおける平角状導体のスペー
スファクタが大きくなる。
〔発明の効果〕
本発明の平角状絶縁電線の製法は、以上説明したよう
に構成されているから、以下に記載される効果を奏す
る。
浸漬塗装にみられる平角状導体角部への絶縁塗料の付
着不良を改善でき、平角状導体の表面において均一な絶
縁皮膜を形成することができると共に、電着塗装による
導体角部への絶縁皮膜の集中付着も最終的に得られる平
角状電線においては均一な絶縁皮膜となる。
加えて、半硬化させた絶縁皮膜は適度の弾性を有する
ため、次工程の第二次圧延において容易に成形され得
る。
さらに、絶縁皮膜を完全に硬化させる前に第二次圧延
することにより、平角状電線の外径寸法を高精度に仕上
げることができる。
従って、本発明の製法によって得られた平角状絶縁電
線は、巻線化した場合にコイルの導体のスペースファク
タが良好になり、コイルを小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の製法の連続工程ラインを示す略流れ
図、第2図は本発明の製法の各工程における線断面図で
ある。 1、1′:平角状導体 2、2′:絶縁皮膜 10:丸状導体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭48−89878(JP,A) 特開 昭59−103213(JP,A) 特開 昭59−99619(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次のi〜ivの連続工程よりなることを特徴
    とする平角状絶縁電線の製法。 i)丸状導体を第一次圧延して、平角状導体を形成す
    る。 ii)平角状導体の表面に電着塗装によって絶縁皮膜を形
    成し、絶縁皮膜を半硬化させ、準平角状線とする。 iii)準平角状線を第二次圧延して、平角状線とする。 iv)平角状線の絶縁皮膜を硬化させ、最終平角状線とす
    る。
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