JP2631109B2 - 窒化珪素質複合焼結体の製造方法 - Google Patents

窒化珪素質複合焼結体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はSi3N4あるいはSiCのウイスカーによって強化
された窒化珪素質複合焼結体の製造方法に関する。
〔従来技術〕
従来から、セラミック材料は強度、耐摩耗性、耐酸化
性等の機械的強度に優れた材料として注目されている反
面、致命的欠点として脆性が大きいことから、製造材料
としての十分な利用が阻害されている。
そこで、セラミック材料の脆性の克服することを目的
に、セラミックス中に高ヤング率、高強度のセラミック
繊維状構造体を分散含有させ、破壊に対する靱性を向上
させる試みが成されている。
特に窒化珪素ウイスカーや炭化珪素ウイスカーは高温
強度、高温耐酸化性に優れることから、これらを窒化珪
素質の焼結体中に分散させたものをタービン等の熱機関
用材料に用いることが検討されている。
ところが、ウイスカーと窒化珪素粉体の混合物から成
る成形体はその生密度が小さいため、さらにこれを焼結
しようとすると大きな収縮を生じさせることが必要であ
った。しかし乍ら、ウイスカーが存在するとこれが成形
体の収縮を妨げるために十分に緻密な複合体が得られな
かった。
そこで、ウイスカーとSi粉末の混合物から成る成形体
をN2中で窒化して生密度の高い複合材料の予備焼結体を
得、これを高温にて焼結することが試みられている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかし乍ら、ウイスカーの強度はその表面状態に敏感
であり、Siを窒化する際に従来の方法では必ずSiの融液
を生じ、これがウイスカーと反応しウイスカーの強度を
極端に低下させるとともに表面傷の発生の原因となって
いた。
〔発明の目的〕
よって本発明はSiの窒化に際し、Siの融液の生成を防
ぎウイスカーとSi融液との反応を抑制し、ウイスカーの
強度を低下させずに優れた強度の窒化珪素質複合焼結体
の製造方法を提供することを目的とするものである。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は上記問題に対し、研究を重ねた結果Siの窒化
に際し、Siを溶融させない条件下、即ちSiの融点以下の
低温下でしかもN2分圧の高い条件で窒化を行うと、ウイ
スカーの強度劣化が有効的に防止されそれによって窒化
後の焼結体をさらに1600乃至2100℃の高温で焼成した場
合、優れた機械的特性を有する窒化珪素質焼結体が得ら
れることを知見した。
以下、本発明を詳述する。
本発明における特徴は、ウイスカーとSiとの共存下に
おいてSiを窒化させる条件としてSiが融解しない、即ち
Siの融点以下の温度で窒化反応を進行させることにあ
る。しかし、このような低温域における窒化反応は反応
速度が遅いため長時間を要し、残留Siが生じる。よって
窒化反応における雰囲気をN2加圧雰囲気に設定すること
が必要である。即ち、本発明によれば、この窒化条件は
1000〜1400℃、特に1100〜1400℃、N2ガス圧力が1.5乃
至10気圧、特に2〜9.8気圧に設定されるのが望まし
い。特に窒化時のN2ガス圧力が10気圧を越えると、窒化
時に生成される閉気孔中に高圧のガスがトラップされる
ために緻密化を阻害することとなる。
本発明の製造方法によれば、出発原料としてSi3N4
イスカーあるいはSiCウイカーのSi粉末を用いる。ウイ
スカーはそれ自体周知の材料が用いられるが、具体的に
はアスペクト比10以上、線径0.1〜10μmのものが使用
される。さらにこれらのウイスカーはその表面にBN,Ti
N,TiCなどを被覆することにより界面反応をさらに抑制
することができる。Si粉末は平均粒径0.5〜2μmの純
度95%以上のものが使用される。
上記ウイスカー成分は全量に対し、5〜30体積%の割
合で配合されることが望ましい。この理由はウイスカー
の量が5体積%を下回わるとウイスカー添加による靱
生、強度向上の効果が得られず、30体積%を超えると成
形生が不十分となったり、生密度が低くなり、焼結性が
低下することにより気孔等の破壊源が増大し、強度が低
下する傾向にある。
ウイスカーとSi粉末との混合物に対し、所望により公
知の焼結助剤を配合することができ、例えばMg,Sr等の
周期律表第II a族元素、Sc,Y、ランタノイド系等の第II
I a族元素、Ti,Zr,Hf等の第IV a族元素の他、Si,Alなど
各元素の酸化物、窒化物、炭化物およびこれらの複合物
等が挙げられる。
これらの焼結助剤は生成されるSi3N4に対し2〜15重
量%の割合で配合される。
上記のようにしてウイスカー成分、Si粉末、所望によ
り焼結助剤が前述の範囲で混合された混合物は公知の方
法で成形後、焼成される。焼成はSiの窒化を目的とする
ものであり、先に述べた窒化条件で窒化される。
窒化後の焼結体においてSi3N4ウイスカーあるいはSiC
ウイスカーはSi粉末の窒化によって生成されたSi3N4
例えばα−Si3N4によって結合された構造を有するもの
であり、ほぼ理論密度比50%以上の多孔質焼結体であ
る。
この窒化後の焼結体は完全緻密化されないために高温
用構造材料用としては強度が不十分であるため、1600〜
2100℃の窒素雰囲気で焼成して高密度化し、強度を高め
る。
焼成手段としてはホットプレス、ガス圧力焼成、常圧
焼成、熱間静水圧焼成等が挙げられる。なお、この処理
を行う場合、窒化後の焼結体中には前述した焼結助剤を
含んでいることが望ましく、焼結助剤は出発原料中に配
合するか、または窒化後の焼結体中に含浸させる。
この焼成により高緻密化されそれにより高強度の焼結
体を得ることができる。
以下、本発明を次の例で説明する。
〔実施例〕
SiCウイスカー(線径0.5μm、アスペクト比50)、Si
3N4ウイスカー(線径1μm、アスペクト比30)、Si粉
末(平均粒径1.5μm)を第1表に示す割合で、且つ焼
結助剤を加えて十分に混合した後、成形し、第1表の窒
化条件でSi粉末の窒化を行った。
また、窒化後の焼結体に対して第1表の条件で処理を
し、最終的に得られた焼結体に対し、密度、抗折強度、
破壊靱性(K1c)の測定を行った。なお密度はアルキメ
デス法により、抗折強度はJISR1601に基づく4点曲げ法
により、破壊靱性はSENB法により室温で行った。
また、比較例としてSiの融点を超える1450℃の1気圧
N2中で窒化を行ったもの(No.7)、SiCウイスカーに単
にSi3N4粉末を加えて焼成したものについて同様に測定
を行った。
実験の結果、Siの窒化を1450℃で行ったNo.7の試料で
は、ウイスカー成分とSiとの反応が認められ、得られた
焼結体は比重、抗折強度ともボイドが多いため、靱性の
測定は不可能であった。また、Si3N4粉末を加えた系で
は焼結体の緻密化が進まず、No.7と同様、ボイドが多く
靱性測定ができなかった。一方、本発明の試料No.1〜6
はいずれも高い比重を示し、十分に緻密化され、3.20以
上の高い比重を示すとともに抗折強度60Kg/mm2以上、靱
性8以上の優れた機械的特性を示した。
〔発明の効果〕 以上、詳述した通り、本発明の窒化珪素質複合焼結体
の製造方法によれば、SiCあるいはSi3N4のウイスカーと
Si粉末から成る系をSiの融点以下の窒素加圧雰囲気で窒
化を行いさらにこれを焼結することによりウイスカーと
Siとの反応が抑制され、ウイスカーの劣化および反応に
伴うボイドの発生が抑制される。よってウイスカー本来
の強度が発揮され、その後の焼成によって優れた抗折強
度、靱性の機械的特性を有する焼結体を得ることができ
る。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭化珪素、窒化珪素の少なくともいずれか
    を主体とするウイスカーとSi粉末の混合物を成形後、Si
    の融点以下、N2分圧1.5乃至10気圧の条件で焼成して、
    前記ウイスカーをSiとN2との反応により生成されたSi3N
    4によって結合させた焼結体をさらに1600乃至2100℃の
    窒素雰囲気で焼成したことを特徴とする窒化珪素質複合
    焼成体の製造方法。
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JPS6144767A (ja) * 1984-08-07 1986-03-04 黒崎窯業株式会社 高密度窒化珪素反応焼結体の製法
JPS6270267A (ja) * 1985-09-20 1987-03-31 日本特殊陶業株式会社 窒化ケイ素焼結体の製造法
JPS6270266A (ja) * 1985-09-20 1987-03-31 日本特殊陶業株式会社 切削工具用複合焼結体の製造方法
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