JPH1029868A - 窒化珪素複合焼結体及びその製造方法 - Google Patents

窒化珪素複合焼結体及びその製造方法

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JPH1029868A
JPH1029868A JP8204324A JP20432496A JPH1029868A JP H1029868 A JPH1029868 A JP H1029868A JP 8204324 A JP8204324 A JP 8204324A JP 20432496 A JP20432496 A JP 20432496A JP H1029868 A JPH1029868 A JP H1029868A
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JP
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silicon nitride
sintered body
powder
composite sintered
ceramic component
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JP8204324A
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Yoshikatsu Higuchi
義勝 樋口
Kazumi Miyake
一實 三宅
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Honda Motor Co Ltd
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Honda Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた高温強度及びクリープ特性を有する緻
密な窒化珪素系複合焼結体、及びその製造方法を提供す
る。 【解決手段】 窒化珪素と、熱膨張係数が窒化珪素より
1.2 〜3倍大きいセラミック成分と、窒化アルミニウム
と、Tm2 3 、Yb2 3 及びLu2 3 からなる群
から選ばれた一種以上の希土類元素酸化物との混合物を
焼成してなる窒化珪素複合焼結体であり、前記複合焼結
体中の酸素含有量が1.0 〜2.5 重量%である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は窒化珪素複合焼結体及び
その製造方法に関し、特に優れた高温強度を有する緻密
な窒化珪素複合焼結体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】窒化珪
素系セラミック焼結体は、高強度、高耐熱衝撃性、高耐
摩耗性等の観点から、また炭化珪素セラミック焼結体
は、高強度、高耐酸化性、 高耐摩耗性、 高硬度等の観点
から、いずれも苛酷な高温条件で使用される構造用セラ
ミックスに好適である。また最近は、窒化珪素焼結体や
炭化珪素焼結体のようなモノリシック焼結体に対して、
両者の利点を合わせ持ついわゆる複合焼結体(例えば窒
化珪素粒子内に微細な炭化珪素粒子が分散したナノコン
ポジット構造を有する複合焼結体)を得るために、種々
の研究が行われている。
【0003】特開平2-160669号は、気相反応法で得られ
た非晶質の窒化珪素−炭化珪素複合粉末から、平均粒径
1μm以下の炭化珪素が粒界に分散し、かつ数nmから数
百nmの大きさの炭化珪素の微細粒子が窒化珪素粒子内に
分散した微細構造を有する窒化珪素−炭化珪素複合焼結
体を開示している。しかし、非晶質窒化珪素−炭化珪素
複合粉末は、焼結中に分解成分が生成され、液相焼結が
進行しにくく、かつ非常に嵩高いため、成形性が悪い。
そのため焼結方法として実質的にホットプレスを用いる
必要があり、複雑形状の焼結体を製造することができな
かった。またY2 3 、Al2 3 等を用いているため
粒界相の耐熱性が十分ではなく、高温での強度低下を引
き起こす等の問題がある。
【0004】特開平2-255572号は、窒化珪素粉末、炭化
珪素粉末、窒化アルミニウム粉末とイットリア粉末を混
合して、焼結することにより形成される窒化珪素/炭化
珪素焼結体を開示している。この焼結体は、β−窒化珪
素相、β−炭化珪素相及びα−サイアロン相を有し、通
常の温度では高い強度を有する。しかし、この焼結体は
焼結助剤としてイットリアを使用しているので、1200℃
以上の温度での高温強度及びクリープ特性が不十分であ
る。さらに特開平2-255572号はイットリア以外の希土類
酸化物系の焼結助剤の使用に関しては何も考慮していな
い。
【0005】特開平3-205363号は、窒化珪素粉末、炭化
珪素粉末及び希土類元素化合物粉末を混合して、焼結す
ることにより形成される窒化珪素/炭化珪素複合焼結体
を開示している。この焼結体は炭化珪素を添加すること
により、緻密化及び粒界相の結晶化を促進するものであ
るが、希土類元素化合物のみを助剤としているため、炭
化珪素添加量が少ない場合にしか、緻密な焼成体を得る
ことができず、窒化珪素/炭化珪素の複合効果が小さい
という問題がある。
【0006】したがって本発明の目的は、優れた高温強
度及びクリープ特性を有する緻密な窒化珪素系複合焼結
体及びその製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者等は、窒化珪素と、窒化珪素より大き
い熱膨張係数を有するセラミック成分と、窒化アルミニ
ウムとの混合粉末に特定の希土類元素酸化物を添加し、
焼結することにより、優れた高温強度とクリープ特性と
を有する窒化珪素複合焼結体が得られることを発見し、
本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明の窒化珪素複合焼結体
は、窒化珪素と、熱膨張係数が窒化珪素より1.2 〜3倍
大きいセラミック成分と、窒化アルミニウムと、Tm2
3 、Yb2 3 及びLu2 3 からなる群から選ばれ
た一種以上の希土類元素酸化物との混合物を焼成してな
り、前記複合焼結体中の酸素含有量が1.0 〜2.5 重量%
であることを特徴とする。
【0009】また、窒化珪素複合焼結体を製造する本発
明の方法は、窒化珪素粉末と、熱膨張係数が窒化珪素よ
り1.2 〜3倍大きいセラミック成分粉末と、窒化アルミ
ニウム粉末と、Tm2 3 、Yb2 3 及びLu2 3
からなる群から選ばれた一種以上の希土類元素酸化物の
粉末とを混合し、焼結することを特徴とする。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。 [1] 出発原料 (1) 窒化珪素(Si3 4 )粉末 本発明で用いる窒化珪素粉末としては、α型、β型のい
ずれも使用することができるが、α型の粉末が好まし
い。また、粒径は0.01〜3μm、特に0.1 〜1.0μmの
平均粒径を有するものが好ましい。窒化珪素粉末の添加
量は、窒化珪素と炭化珪素等の高熱膨張係数のセラミッ
ク成分との合計重量を100 重量%として、60〜95重量%
とするのが好ましく、より好ましくは65〜85重量%とす
る。窒化珪素粉末の添加量が95重量%を超えると、炭化
珪素等のセラミック成分の複合効果がなくなるので高温
強度、クリープ特性の向上が見られず好ましくない。ま
た窒化珪素粉末の添加量が60重量%未満であると焼結性
が低下し、緻密化が困難となるので好ましくない。
【0011】(2) セラミック成分粉末 本発明では、窒化珪素に複合するセラミック成分は、熱
膨張係数が窒化珪素より1.2 〜3倍大きいことが必要で
あり、好ましくは1.5 〜2.5 倍大きい。前セラミック成
分の熱膨張係数が窒化珪素の熱膨張係数より1.2 倍より
大きくないと、前記セラミック成分による補強効果が不
十分である。また前セラミック成分の熱膨張係数が窒化
珪素の熱膨張係数より3倍を超えて大きいと、加熱・冷
却による内部応力が大きすぎ、複合焼結体は脆化する。
このようなセラミック成分の熱膨張係数は、具体的には
3.5 ×10-6/℃〜9×10-6/℃であるのが好ましく、よ
り好ましくは4×10-6/℃〜6×10-6/℃である。この
ような熱膨張係数を有するセラミック成分の好ましい具
体例は、SiC、WC、TiC、TiB2 及びZrB2
からなる群から選ばれた少なくとも一種であり、より好
ましいセラミック成分はSiC、WCである。
【0012】窒化珪素と炭化珪素等のセラミック成分と
の複合焼結体は、窒化珪素粒子内及び粒界に微細なセラ
ミック成分粒子が分散したいわゆるナノコンポジット構
造を有する。前記セラミック成分粒子は窒化珪素粒子よ
り熱膨張率が大きいため、焼結体を高温下に保持した
際、窒化珪素粒子及び粒界に圧縮応力が働くと考えられ
る。この圧縮応力により高温強度が改善される。この効
果は微細なセラミック成分粒子が窒化珪素粒子の粒内及
び粒界に分散している場合に顕著である。また、窒化珪
素の粒界に分散した微細なセラミック成分粒子は、窒化
珪素の粒界すべりを抑制するくさびのような作用をする
と考えられ、これにより高温強度とクリープ特性が改善
される。
【0013】前記セラミック成分の粉末としては、0.01
〜1μm、特に0.03〜0.8 μmの平均粒径を有するもの
が好ましい。好ましいセラミック成分粉末の添加量は、
窒化珪素とセラミック成分との合計重量を100 重量%と
して、5〜40重量%であり、より好ましくは15〜35重量
%である。セラミック成分粉末の添加量が5重量%未満
であると、セラミック成分の複合化の効果が発揮され
ず、高温強度、靱性及びクリープ特性の向上が見られな
い。一方添加量が40重量%を超えると、焼結性が低下
し、緻密化が困難となるので好ましくない。なお窒化珪
素粉末とセラミック成分粉末の合計の添加量は、焼結体
を構成する全粉末の量に対して70〜97.5重量%が好まし
く、より好ましくは80〜94重量%である。
【0014】(3) 窒化アルミニウム(AlN)粉末 窒化アルミニウム粉末としては、0.1 〜5μm、特に0.
5 〜3μmの平均粒径を有するものが好ましい。好まし
い窒化アルミニウムの添加量は、全粉末中の0.5 〜10重
量%であり、より好ましくは1〜5重量%である。窒化
アルミニウムの含有量が10重量%を超えると、高温強度
が低下するので好ましくない。
【0015】(4) 希土類元素酸化物 希土類元素酸化物はTm2 3 、Yb2 3 及びLu2
3 からなる群から選ばれ、好ましくはLu2 3 であ
る。希土類元素酸化物の平均粒径は好ましくは0.01〜5
μm、さらに好ましくは0.5 〜2 μmである。これらの
希土類元素酸化物は単独でも二種以上を併用してもよ
い。希土類元素酸化物の添加量(併用の場合には合計
量)は全粉末中の2〜20重量%であり、より好ましくは
5〜15重量%である。希土類元素酸化物の含有量が20重
量%を超えると焼結体の強度が低下し、また2重量%未
満であると焼結性が低下する。
【0016】[2] 複合焼結体の製造方法 (1) 複合粉末 粉末混合 まず、各粉末成分を前記配合比となるように配合し、ボ
ールミル、ニーダー等で十分に混合する。混合は乾式で
も湿式でも良い。湿式混合の場合には、粉末混合物に
水、エタノール、ブタノール等、好ましくはエタノール
を分散媒体として加える。
【0017】本発明では、高熱膨張係数のセラミック成
分として,炭化珪素粉末又はWC粉末を用いることが好
ましい。また、ポリシラザンを熱分解して得られる窒化
珪素/炭化珪素複合粉末を用いることで、窒化珪素粉末
と炭化珪素粉末を添加した場合と同様の効果を得ること
ができる。以下はポリシラザンの熱分解による窒化珪素
/ 炭化珪素複合粉末の製造方法について説明する。
【0018】ポリシラザン及びその熱分解 本発明で用いるポリシラザンの骨格は下記の一般式で表
すことができる。
【化1】 但し、R1 、R2 、R3 はそれぞれ独立に水素原子又は
炭化水素基であって、R1 、R2 のうち少なくとも一つ
は炭化水素基である。
【0019】ポリシラザン単独は無論のこと、ポリシラ
ザンと他のポリマーとの共重合体でも利用できる。本発
明で用いるポリシラザンには、鎖状、環状又は架橋構造
を有するもの、あるいは分子内にこれらの複数の構造を
同時に有するものがあり、これらを単独あるいは混合物
として利用できる。
【0020】ポリシラザンの数平均分子量は100 〜1000
0 であるのが好ましい。本発明では公知の方法で製造さ
れるポリシラザンを用いるが、特にシクロシラザンとハ
ロシランとから製造されるポリシラザンを用いるのが好
ましい。
【0021】シクロシラザンは、一般に(R2 SiNR)
n (ここでRはH又はアルキル基であり、nは2〜4の
整数である。)で表され、(Me2 SiNH)2 、(MeHSiN
H)2、(H2 SiNH)2 、(Me2 SiNH)3 、(MeHSiNH)
3 、(H2 SiNH)3 、(Me2SiNH)4 、(MeHSiN
H)4 、(H2 SiNH)4 等が好ましいが、なかでもヘキ
サメチルシクロトリシラザン(Me2 SiNH)3 が特に好ま
しい。
【0022】またハロシランとしては、クロロシラン
(Rn SiCl4-n 、ただしn=0〜3の整数であり、Rは
H又はアルキル基である。)を用いるのが好ましい。中
でもトリクロロメチルシランを用いるのが好ましい。
【0023】ポリシラザンを800 ℃以上の温度で熱処理
する。熱処理温度が800 ℃以下では、ポリシラザンの熱
分解が十分に進行しない。好ましい熱処理温度は1200〜
1700℃である。また、熱処理時間は1〜4時間にするの
が好ましい。雰囲気ガスとしては窒素が好都合である
が、アルゴン等の不活性ガスを利用することもできる
し、真空下で行うこともできる。
【0024】熱処理した生成物を粉砕機により粉砕し、
窒化珪素/炭化珪素複合粉末を得る。この複合粉末にお
けるSiCの含有量は全粉末重量の5〜40重量%である
のが好ましい。なお、この複合粉末の粒径は0.01〜1μ
mとするのが好ましい。
【0025】得られた窒化珪素/炭化珪素複合粉末と、
窒化アルミニウム粉末と、希土類元素酸化物粉末とを上
記に記載した方法で混合し、複合粉末を得る。
【0026】(2) 成形体の作製 成形体の作製方法としては金型成形、スリップキャステ
ィング成形、射出成形等が好ましい。射出成形の場合に
は適当な有機又は無機バインダーを添加する。有機バイ
ンダーとしては、例えばエチルシリケート、ポリエチレ
ングリコール、ポリビニルアルコール(PVA)、アク
リルエマルジョン、ポリウレタンエマルジョン等が挙げ
られる。複雑な形状の成形体を作製するにはスリップキ
ャスティング成形や射出成形が好ましい。
【0027】(3) 焼結 本発明では、ガス圧焼結やHIP等複雑な形状の部品に
対応できる焼結方法を用いることができるが、特にHI
Pで成形体を焼結するのが好ましい。HIP焼結により
良好な焼結体密度を達成することができる。焼結温度は
1600〜2200℃で、好ましくは1750〜2000℃である。焼結
温度が1600℃未満であると、焼結体の緻密化が十分では
ないため強度及び靭性が低い。また焼結温度が2200℃を
超えると窒化珪素の分解が始まるので好ましくない。焼
結は非酸化性雰囲気下、好ましくは窒素ガス雰囲気下で
行う。このとき、雰囲気ガス圧は100 〜2000kgf/cm2
度とするのが好ましく、焼結時間は1〜5時間程度とす
るのが好ましい。なお、HIP焼結では、最高圧力で処
理する温度より50〜200 ℃程度高い温度で1〜4時間、
50kgf/cm2 以下の窒素ガス雰囲気下で予備焼結を行うの
が好ましい。また成形体は伴粉(好ましくはBNあるい
はBNと窒化珪素との混合粉末)とともに、ルツボに入
れて焼結するのが好ましい。なおルツボとしては、BN
ルツボ、カーボンルツボ等を使用することができ、特に
カーボンルツボとその内側のBNルツボからなる複合ル
ツボを用いるのが好ましい。
【0028】上記方法で得られた窒化珪素複合焼結体の
結晶相は、β−窒化珪素相と、β−炭化珪素等のセラミ
ック成分相と、α−サイアロン相と、Tm、Yb及びL
uからなる群から選ばれた一種以上の希土類元素を含む
粒界相とからなる。このうち、各結晶相の割合(重量
比)は、β−窒化珪素相と添加セラミック成分相とα−
サイアロン相との合計量に対して、β−窒化珪素相が40
〜93%、添加セラミック成分相が5〜40%、α−サイア
ロン相が1〜50%であるのが好ましい。また、粒界相の
割合(面積率)は0.5 〜10%であるのが好ましい。α−
サイアロン相の割合が50%を超えると、焼結体の靱性、
耐酸化性等が低下する。粒界相の割合が10%を超える
と、焼結体の高温強度が低下する。
【0029】本発明では、窒化珪素複合焼結体の酸素含
有量は1.0 〜2.5 重量%とする。酸素含有量が2.5 重量
%を超えると、熱膨張係数の大きなセラミックス成分を
添加したとしても、室温における曲げ強度が改善される
が、1200℃以上の高温領域における曲げ強度が逆に低下
するので好ましくない。本発明で使用する助剤系におい
て、さらに焼結性を改善する目的で、焼結体中あるいは
伴粉中にSiO2 等の酸化物を添加することは、焼結体
中の酸素含有量の増加につながり、好ましくない。
【0030】また、この窒化珪素複合焼結体は、窒化珪
素粒子内及び粒界に微細なセラミック成分粒子が分散し
たいわゆるナノコンポジット構造を有する。セラミック
成分粒子内に微細な窒化珪素粒子が分散していることも
ある。セラミック成分粒子は窒化珪素粒子より熱膨張率
が大きいため、焼結体を高温下に保持した際、窒化珪素
粒子及び粒界に圧縮応力が働くと考えられる。この圧縮
応力により高温強度が改善される。この効果は微細なセ
ラミック成分粒子が窒化珪素粒子の粒内及び粒界に分散
している場合に顕著である。また窒化珪素の粒界に分散
した微細なセラミック成分粒子は、窒化珪素の粒界すべ
りを抑制するくさびのような作用をすると考えられ、こ
れにより高温強度とクリープ特性が改善される。
【0031】上記の方法により得られた本発明の窒化珪
素複合焼結体の1400℃における曲げ強度(3 点曲げ強
度)は、400 〜1200MPa、好ましくは700 〜1000MP
aである。特に本発明の焼結体は、1200℃以上の高温領
域における曲げ強度が室温における曲げ強度より大きい
ことを特徴とする。このような焼結体の場合、室温でプ
ルーフテストを行えば、高温での強度が保証されるの
で、検査方法が簡素化され、検査コストを低減すること
ができる。
【0032】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】実施例1〜9及び比較例1〜2 平均粒径が0.1 μmの窒化珪素粉末と、平均粒径が0.2
μmの表1に示す高熱膨張係数のセラミック成分粉末
と、平均粒径が1μmの窒化アルミニウム粉末と、平均
粒径が1μmの希土類元素酸化物とを、表1に示す割合
で秤量し、この粉末混合物300 gをエタノール300 gと
窒化珪素ボール600 gとともに2リットルのエンジニア
リングプラスチック製ポットに入れ、エタノールを溶媒
としてボールミルにより16時間混合し、溶媒を乾燥除去
して試料粉末とした。
【0034】 表1 各成分の添加量(重量%)(1) 高熱膨張係数の 窒化珪素 セラミック成分 AlN 希土類元素酸化物 例No. の含有量 種類(2) 含有量 の含有量 種類(2) 含有量 実施例1 59.5 SiC 25.5 3 Tm2 3 12.0 実施例2 59.5 SiC 25.5 3 Yb2 3 12.0 実施例3 76.5 SiC 8.5 3 Lu2 3 12.0 実施例4 59.5 SiC 5.5 3 Lu2 3 12.0 実施例5 51.0 SiC 34.0 3 Lu2 3 12.0 実施例6 59.5 WC 25.5 3 Lu2 3 12.0 実施例7 59.5 TiC 25.5 3 Lu2 3 12.0 実施例8 59.5 TiB2 25.5 3 Lu2 3 12.0 実施例9 59.5 ZrB2 25.5 3 Lu2 3 12.0 比較例1 85.0 − 0.0 3 Lu2 3 12.0 比較例2 63.0 SiC 27.0 3 Y2 3 7.0 注:(1) 全粉末の合計重量(100 重量%)を基準とした重量%である。 (2) 各セラミック成分の熱膨張係数: SiC:4.0 ×10-6/℃(室温〜1400℃) WC:5.1 ×10-6/℃(室温〜1400℃) TiC:7.6 ×10-6/℃(室温〜 850℃) TiB2 :8.1 ×10-6/℃(室温〜1000℃) ZrB2 :5.5 ×10-6/℃(室温〜1000℃)
【0035】各種の試料粉末を金型プレス(200 kgf/cm
2 )で予備成形した後、CIPで4トン/cm2 の等方圧
を加え、30mm×50mm×6mmの成形体を作製した。図1に
示すように、成形体4を伴粉3(窒化珪素と窒化ホウ素
の1:1(重量比)混合物)に埋め込んでBNルツボ2
に入れ、これをさらにカーボンルツボ1に入れて、窒素
ガス中最高圧力1000気圧の雰囲気下、最高温度1750℃で
HIP焼結を行い、窒化珪素複合焼結体を得た。
【0036】得られた焼結体を3mm×4mm×40mmの大き
さに切断して試験片とし、JIS R-1601に従ってスパン30
mm及びクロスヘッドスピード0.5 mm/分の条件で、室温
(25℃)、1200℃及び1400℃で3点曲げ強度試験を行っ
た。結果を表2に示す。
【0037】
【0038】表2に示すように、セラミック成分を用い
なかった比較例1及び本発明の範囲外の希土類元素酸化
物を用いた比較例2の試料の3点曲げ強度は、1400℃に
おいて650 MPa 未満であり、いずれも実施例1〜9の試
料より低かった。また比較例1、2の試料の1400℃での
3点曲げ強度は室温での3点曲げ強度より低かった。
【0039】また、実施例4の焼結体の結晶相をXRD
解析及び電子顕微鏡で観察した結果、β−窒化珪素相と
β−炭化珪素相とα−サイアロン相との合計量に対する
各結晶相の割合(重量比)は、β−窒化珪素相が46%、
β−炭化珪素相が29%、α−サイアロン相が23%であっ
た。また、焼結体中の粒界相は面積率で2%であった。
【0040】比較例3 実施例4と同じ組成の試料粉末を作成し、実施例4と同
じ方法で成形・焼結した。ただし焼結時に用いた伴粉
は、1:1(重量比)の窒化珪素と窒化ホウ素の混合
物、及び全伴粉に対して10重量%の酸化珪素との混合物
であった。
【0041】得られた焼結体について、LECO社製の
TC-136型分析装置を用いて酸素含有量を測定した。また
実施例4と同じ方法で室温及び1400℃での3点曲げ強度
を測定した。結果を表3にあわせて示す。
【0042】比較例4 58.1重量%の窒化珪素、24.9重量%の炭化珪素、3重量
%の窒化アルミニウム、12重量%のLu2 3 、及び2
重量%の酸化珪素からなる組成の試料粉末を実施例4と
同じ方法で作成し、実施例4と同じ方法で成形・焼結し
た。ただし窒化珪素と炭化珪素との重量比は、実施例4
と同じ7:3である。
【0043】得られた焼結体について、比較例3と同じ
方法で酸素含有量を測定した。また実施例4と同じ方法
で室温及び1400℃での3点曲げ強度を測定した。結果を
表3に示す。なお実施例4の焼結体中の酸素含有量の測
定値(比較例3と同じ方法で測定)をあわせて表3に示
す。
【0044】
【0045】表3から明らかなように、焼結体中の酸素
含有量が2.5 重量%を超えると、室温強度が増加するも
のの、焼結体が実際の使用温度である1400℃では曲げ強
度が大きく低下した。
【0046】
【発明の効果】上記の通り、本発明の窒化珪素複合焼結
体は、窒化珪素と、窒化珪素より大きい熱膨張係数を有
するセラミック成分と、窒化アルミニウムと、特定の希
土類元素酸化物からなり、HIP焼結によって窒化珪素
粒子内及び粒界に微細な窒化珪素より大きな熱膨張係数
を持つセラミック成分粒子相が分散したナノコンポジッ
ト構造を有し、β−窒化珪素相、セラミック成分粒子
相、α−サイアロン相、及び特定の希土類元素を含む粒
界相からなる結晶構造を有し、かつ焼結体中の酸素含有
量が2.5 重量%以下であることを特徴とする。このため
本発明の複合焼結体は室温より向上した高温強度を有す
る。このような特性を有する窒化珪素複合焼結体は、高
温下で使用する自動車のエンジン部材、ローター、シュ
ラウドノズル等のガスタービン部材、各種の工具及び摺
動部材等に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の窒化珪素/炭化珪素複合焼結体の製造
に用いるHIP焼結用ルツボを概略的に示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1・・・カーボンルツボ 2・・・BNルツボ 3・・・伴粉 4・・・成形体

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化珪素複合焼結体において、窒化珪素
    と、熱膨張係数が窒化珪素より1.2 〜3倍大きいセラミ
    ック成分と、窒化アルミニウムと、Tm2 3、Yb2
    3 及びLu2 3 からなる群から選ばれた一種以上の
    希土類元素酸化物とを焼成してなり、前記複合焼結体中
    の酸素含有量が1.0 〜2.5 重量%であることを特徴とす
    る複合焼結体。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の窒化珪素複合焼結体に
    おいて、高熱膨張係数のセラミック成分は、SiC、W
    C、TiC、TiB2 及びZrB2 からなる群から選ば
    れた少なくとも一種であることを特徴とする複合焼結
    体。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の窒化珪素複合焼結体に
    おいて、前記高熱膨張係数のセラミック成分が炭化珪素
    であり、かつ前記窒化珪素及び前記炭化珪素としてポリ
    シラザンを熱処理して得られた窒化珪素/炭化珪素複合
    粉末を用いたことを特徴とする複合焼結体。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の窒化珪
    素複合焼結体において、前記複合焼結体の1200〜1500℃
    における曲げ強度が室温における曲げ強度より大きいこ
    とを特徴とする複合焼結体。
  5. 【請求項5】 窒化珪素複合焼結体の製造方法におい
    て、窒化珪素粉末と、熱膨張係数が窒化珪素より1.2 〜
    3倍大きいセラミック成分の粉末と、窒化アルミニウム
    粉末と、Tm2 3 、Yb2 3 及びLu2 3 からな
    る群から選ばれた一種以上の希土類元素酸化物の粉末と
    を混合し、焼結することを特徴とする方法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の窒化珪素複合焼結体の
    製造方法において、高熱膨張係数のセラミック成分は、
    SiC、WC、TiC、TiB2 及びZrB2からなる
    群から選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする
    方法。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の窒化珪素複合焼結体の
    製造方法において、前記高熱膨張係数のセラミック成分
    が炭化珪素であり、かつ前記窒化珪素及び前記炭化珪素
    としてポリシラザンを熱処理して得られた窒化珪素/炭
    化珪素複合粉末を用いることを特徴とする方法。
  8. 【請求項8】 請求項5〜7のいずれかに記載の窒化珪
    素複合焼結体の製造方法において、1600〜2200℃でHI
    P焼結することを特徴とする方法。
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