JP2627106B2 - アゾメチン系化合物 - Google Patents

アゾメチン系化合物

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JP2627106B2
JP2627106B2 JP3025123A JP2512391A JP2627106B2 JP 2627106 B2 JP2627106 B2 JP 2627106B2 JP 3025123 A JP3025123 A JP 3025123A JP 2512391 A JP2512391 A JP 2512391A JP 2627106 B2 JP2627106 B2 JP 2627106B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アゾメチン系化合物に
関し、より詳しくは分光吸収特性に優れ、湿熱・光など
に対して分解が少なく安定性に優れたイエロー色素とし
て有用なアゾメチン系化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、写真用色素、インクジェット用
色素、印刷用色素または光学フィルター用色素など、イ
エロー色素は広い分野において従来より用いられてい
る。それぞれ要求される性能は、細かくは異なるが多く
の場合、分光吸収特性に優れていること、湿熱・光など
に対して堅牢であること、が基本的な性能として必要で
ある。
【0003】従来より、アゾメチン系イエロー色素の一
つとしてマロンジアニリドとパラフェニレンジアミンと
の酸化カップリング反応により合成される色素が知られ
ている(例えば英国特許第1,204,680号及び特
公昭55−47379号参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来よ
り知られているマロンジアニリドより得られるアゾメチ
ン色素は、湿熱・光に対して安定性が低く問題があっ
た。またその分光吸収では長波端において裾切れが悪く
オレンジから茶褐色に見え、イエロー色素として実用上
満足できるものではなかった。したがって、本発明の目
的は、上記の欠点を克服し分光吸収特性に優れ、湿熱・
光などに対して分解が少なく安定性に優れたイエロー色
素として有用なアゾメチン系化合物を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記のアゾ
メチン色素の難点を克服するため鋭意研究を重ねた結
果、脂肪族アミノ基をパラ位に有する芳香族基で置換し
たイミノ基をその構造中に有する特定のアゾメチン系化
合物がその目的に適合することを見い出し、この知見に
基づき本発明をなすに至った。すなわち本発明は、下記
一般式(I)で示されるアゾメチン系化合物を提供する
ものである。
【0006】一般式(I)
【化2】 (式中、R及びRは各々脂肪族基又は芳香族基を表
わし、Rハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、
アシルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、
スルファモイル基、N−スルホニルスルファモイル基、
アルコキシ基、スルホニル基、フェノキシ基、シアノ
基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホ基、N−
アシルスルファモイル基またはアルキル基を置換基とし
て有する芳香族基を表わし、Arはパラ位に脂肪族アミ
ノ基を有する芳香族基を表わす。)
【0007】一般式(I)で示される化合物については
以下に詳しく述べる。R及びRが脂肪族基を表わす
とき、好ましくは炭素数1〜10の基、より好ましくは
1〜5のアルキル基であり、例えばメチル、エチルが挙
げられる。R及びRが芳香族基を表わすとき、及び
で示される前記の置換基を有する芳香族基として
は、好ましくはそれらの置換基を有するフェニル基であ
る。
【0008】Arで示される芳香族基としては好ましく
はパラ位が脂肪族アミノ基で置換されたフェニル基であ
る。この脂肪族アミノ基としては、好ましくは炭素数1
〜10、より好ましくは1〜5のアルキル基を少なくと
も一個、より好ましくは2個有する脂肪族アミノ基であ
る。そのような置換基として例えばジエチルアミノ基、
ジメチルアミノ基が挙げられる。
【0009】前記で説明した脂肪族基、芳香族基または
脂肪族アミノ基はさらに置換基を有してもよい。置換基
を有するとき置換基の代表的な例として以下のものが挙
げられる。ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原
子、臭素原子)、アルコキシカルボニル基(炭素数2〜
30)好ましくは2〜20の基。例えばメトキシカルボ
ニル、ドデシルオキシカルボニル)、アシルアミノ基
(炭素数2〜30、好ましくは2〜20の基。例えばア
セトアミド、テトラデカンアミド)、スルホンアミド基
(炭素数1〜30、好ましくは1〜20。例えばメタン
スルホンアミド、ドデカンスルホンアミド)、カルバモ
イル基(炭素数1〜30)好ましくは1〜20の基。例
えばN−ドデシルカルバモイル)、スルファモイル基
(炭素数1〜30)好ましくは1〜20の基。例えばN
−フェニルスルファモイル、N−ドデシルスルファモイ
ル)、N−スルホニルスルファモイル基(炭素数1〜3
0、好ましくは1〜20の基。例えばN−メシルスルフ
ァモイル、N−ドデカンスルホニルスルファモイル)、
アルコキシ基(炭素数1〜30、好ましくは1〜20の
基。例えばメトキシ、エトキシ)、スルホニル基(炭素
数1〜30)好ましくは1〜20の基。例えばメタンス
ルホニル、ベンゼンスルホニル、ドデカンスルホニ
ル)、フェノキシ基、シアノ基、カルボキシル基、ヒド
ロキシル基、スルホ基、N−アシルスルファモイル基
(炭素数2〜30、好ましくは2〜20の基。例えばN
−プロパノイルスルファモイル、N−テトラデカノイル
スルファモイル)またはアルキル基(炭素数1〜30)
好ましくは1〜20の、直鎖、分岐、飽和、不飽和の
基。例えばメチル、エチル、t−ペンチル、t−ブチ
ル)が挙げられる。また、前記R の芳香族基が有する
置換基の具体例は上記のものと同様である。上記の置換
基はさらに置換基を有してもよい。その置換基の例とし
てはここで挙げた置換基が挙げられる。
【0010】一般式(I)においてR及びRの一方
がアルキル基であり、他方がアリール基であるときが特
に好ましい。一般式(I)においてR 少なくとも一
個の置換基を有するが、その置換基がオルト位にある
好ましい例である。オルト基の置換基としては、ハロ
ゲン原子又はアルコキシ基が特に好ましい。一般式
(I)においてArはパラ位が脂肪族アミノ基で置換さ
れオルト位が脂肪族基(炭素数1〜5、好ましくは1〜
2)で置換されたフェニル基が特に好ましい。
【0011】本発明の化合物は好ましくは、写真用化合
物として用いられる。すなわち写真層染色用色素、フィ
ルター用色素、画像形成用色素、マスキング用色素また
はプリンター適性改良色素などに用いられる。本発明の
色素を写真用として用いるとき、耐拡散基を有している
場合が特に好ましい。耐拡散基とは、化合物を写真層に
不動化するための基であり、一般的に写真化学の分野に
おいて、特にカプラー化合物中に基として用いられてい
るものである。耐拡散基としては通常、分子量を十分大
きくする有機基が用いられ、総炭素数8〜30、好まし
くは10〜20のアルキル基または総炭素数4〜20の
置換基を有するアリール基が好ましい例である。これら
の耐拡散基は分子中のいずれに置換されていてもよく、
また複数個有していてもよい。
【0012】本発明の化合物の具体例を以下に示す。た
だしこれらに限定されるわけではない。
【0013】
【化3】
【0014】
【化4】
【0015】
【化5】
【0016】
【化6】
【0017】
【化7】
【0018】次に、本発明化合物の合成方法について述
べる。例えば下記合成ルートにより合成できる。
【0019】
【化8】 式中、R1 、R2 、R3 およびArは一般式(I)にお
いて説明したのと同じ意味を表し、Xはハロゲン原子
(好ましくは臭素原子又は塩素原子)を表わす。
【0020】上記においてハロゲン化剤としては、例え
ば臭素、塩素、スルフリルクロリドN−ブロモスクシン
イミドまたはN−クロロスクシンイミドが用いられる。
酸化剤としては、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カ
リウム、塩化第2鉄、過酸化水素、ハロゲン化銀、過安
息香酸または過酢酸が用いられる。
【0021】一般に上記の第二工程の反応は、塩基の存
在下で行われる。塩基としては無機塩基又は有機塩基い
ずれでもよい。例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミ
ン、酢酸ナトリウム、ソディウムメトキシドまたはアン
モニア水などが用いられる。
【0022】反応溶媒としては、第一工程ではハロゲン
化炭化水素系溶剤(例えばメチレンクロリド、クロロホ
ルム、メチルクロロホルム)が用いられている。第二工
程ではアミド系溶剤(例えばN,N−ジメチルホルムア
ミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロ
リドン)、ニトリル系溶剤(例えばアセトニトリル)、
エーテル系溶剤(例えばテトラヒドロフラン、エチレン
グリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモ
ノメチルエーテル)、スルホン系溶剤(例えばジメチル
スルホン、スルホラン)、アルコール系溶剤(例えばエ
タノール、メタノール、イソプロパノール)、水又はエ
ステル系溶剤(例えば酢酸エチル、酢酸ブチル)が用い
られる。これらの反応溶媒は2種以上混合して用いても
良く、また2層系で反応させてもよい。
【0023】合成ルートとしては上記に示した以外に、
例えば第二工程で化合物(b)のXを後記のYに変換し
た後さらに第三工程(この場合第三工程は前記第二工程
の反応と同じ反応)を行い一般式(I)で示される化合
物に誘導してもよい。ここでYで示される基としては一
般的に用いられるカップリング離脱基が有用である。Y
で示される基の具体的例としては、例えばベンゾトリア
ゾリル基、2,4−ジオキソ−1,3−イミダゾリジン
−3−イル基、2,4−ジオキソ−1,3−オキサゾリ
ジン−3−イル基またはフェノキシ基が挙げられる。X
をYに変換する反応は、H−Yの他、塩基の存在下で一
般的には行われる。塩基の具体的例としては、先に挙げ
た塩基と同じものが挙げられる。ここで用いられる塩基
として好ましくは、トリエチルアミン、ジイソプロピル
エチルアミン、テトラメチルグアニジン、水酸化カリウ
ム、炭酸カリウム、t−ブトキシカリ、水酸化ナトリウ
ム、ソディウムメトキシドまたはピリジンなどが挙げら
れる。反応溶媒としては先に挙げた反応溶媒が適宜選択
して用いられる。 一般式(I)で表わされる本発明のアゾメチン系化合物
は前記のように化合物(b)と芳香族第一級アミン、例
えば下記一般式(II)で表わされる芳香族第1級アミン
とを酸化カップリングさせることにより製造することが
できる。
【0024】
【化9】 式中R11及びR12は、水素原子又は置換基を有していて
もよいアルキル基を示し、その少なくとも一方がアルキ
ル基であり、これらは互いに同一でも異なっていてもよ
い。R13はハロゲン原子又は置換されていてもよいアル
キル基を示す。nはR13の置換数であって0、1又は2
を示し、2のときにはR13は同一であっても異なってい
てもよい。
【0025】一般式(II)で表わされるアミンは、鉱酸
又は有機酸との塩として使用すると、空気酸化を防止し
やすく、溶解速度を向上できる。 一般式(II)のR11及びR12は、好ましくは、アルキル
基又はヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、
アルコキシアルコキシアルキル基もしくはアルキルスル
ホンアミドアルキル基などの置換アルキル基を表わす。
【0026】R11及びR12は共に低級アルキル基又は低
級の置換アルキル基から選ばれることが好ましく、エチ
ル基、置換エチル基から選ばれることが特に好ましい。
又、R13はアミノ基に対しオルト位にあることが好まし
く、メチル基であることが特に好ましい。
【0027】さらにパラフェニレンジアミン誘導体(I
I)に係るアルキル基、アルコキシ基及び置換アルキル
基のアルキル及びアルコキシ基のアルキルを例示する
と、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピ
ル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、t
−ブチルなどの炭素数が1から4の低級アルキル基及び
n−アミル、dl−2−メチル−1−ブチル、iso−
アミル、sec−アミル、t−アミル、n−ヘキシル、
メチルアミル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、2−
ヘプチル、3−ヘプチル、n−オクチル、2−オクチ
ル、2−エチルヘキシル、n−ドデシル、n−オクタデ
シル、シクロヘキシルなどの炭素数が5から18の高級
アルキル基のいずれでもよく、この中には直鎖状、分岐
状及び環状のものが含まれる。ハロゲンを例示すると、
塩素、臭素、沃素がある。
【0028】本発明の化合物を合成するため使用する第
一級アミン(II)の具体例を示すと、 1)4−アミノ−N−エチルアニリン 2)4−アミノ−N,N−ジエチルアニリン 3)4−アミノ−3−メチル−N,N−ジエチルアニリ
ン 等のN−アルキル基を有するもの、 4)4−アミノ−N−エチル−N−(β−ヒドロキシエ
チル)アニリン 5)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−
ヒドロキシエチル)アニリン 等のN−ヒドロキシアルキル基を有するもの、 6)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−(β−メト
キシエチル)アニリン 7)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−メトキ
シブチルアニリン 8)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−
エトキシエチル)アニリン 9)4−アミノ−3−プロピル−N−エチル−N−(β
−メトキシエチル)アニリン 10)4−アミノ−3−プロピル−N−エチル−N−(β
−エトキシエチル)アニリン 11)4−アミノ−3−メトキシ−N−エチル−N−(β
−メトキシエチル)アニリン 12)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−
ブトキシエチル)アニリン 等のN−アルコキシアルキル基を有するもの、 13)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−
(β−メトキシエトキシ)エチル)アニリン 14)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−
(β−エトキシエトキシ)エチル)アニリン 15)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−
(β−ブトキシエトキシ)エチル)アニリン 16)4−アミノ−3−メチル−N−メチル−N−(β−
(β−エトキシエトキシ)エチル)アニリン 17)4−アミノ−N−エチル−N−(β−(β−メトキ
シエトキシ)エチル)アニリン 18)4−アミノ−N−エチル−N−(β−(β−エトキ
シエトキシ)エチル)アニリン などのN−アルコキシアルコキシアルキル基を有するも
の、 19)4−アミノ−N−エチル−N−(β−メチルスルホ
ンアミドエチル)アニリン 20)4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−
メチルスルホンアミドエチル)アニリン 21)4−アミノ−3−クロロ−N−エチル−N−(β−
メチルスルホンアミドエチル)アニリン 22)4−アミノ−N−エチル−(β−メチルスルホンア
ミドエチル)−3,5−キシリジン 等のN−アルキルスルホンアミドアルキル基を有するも
のなどである。これらの塩を例示すると、上記フェニレ
ンジアミン誘導体の鉱酸塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸
塩、沃化水素酸塩などのハロゲン化水素酸塩、硫酸塩、
硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩などの無機酸塩又はギ酸塩、
酢酸塩、プロピオン酸などの脂肪族カルボン酸塩、安息
香酸塩、ナフタレン−α−カルボン酸塩、ナフタレン−
β−カルボン酸塩などの芳香族カルボン酸塩、メタンス
ルホン酸塩等の脂肪族スルホン酸塩、ナフタレン−α−
スルホン酸塩、ナフタレン−β−スルホン酸塩、p−ト
ルエンスルホン酸塩などの有機酸塩などであり、本発明
の化合物の製造条件によって適切に選択することが好ま
しく、例えばこれを写真発色現像薬として用いる場合
は、写真性に悪影響を与えないものが好ましい。このた
めには通常、硫酸塩などの鉱酸塩あるいはp−トルエン
スルホン酸などの芳香族スルホン酸塩等として用いられ
る。本発明で使用するパラフェニレンジアミン類とし
て、前記の具体例3)、5)、6)、19)及び20)
の化合物は、特に良好な色相を与える点で特に好まし
い。また、3−位の置換基はカップリング速度を調節す
るのに有用であり、塩素原子など電子吸引性基はカップ
リング速度を向上させ、またメチル基など電子供与性置
換基はカップリング速度を遅くする作用を有する。
【0029】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づきさらに詳細に
説明する。実施例1 例示化合物(1)の合成 下記合成ルートにより合成した。
【0030】
【化10】
【0031】第一工程:中間化合物(B−1)の合成 化合物(A−1)の20gをジクロロメタン150ml
に混合した。臭素4.8gを含むジクロロメタン溶液1
0mlを氷冷下(5℃〜10℃)滴下した。10分間反
応させた後分液ロートに移し水洗浄した。油層(化合物
(B)を含む溶液)をとりこのまま次工程に使用した。
【0032】第二工程:中間化合物(C−1)の合成 フェノキシカルボニルベンゾトリアゾールの15gおよ
びトリエチルアミン8.8mlをN,N−ジメチルホル
ムアミド160mlに加えた。この溶液に前工程で得た
(B)を含むジクロロメタン溶液を室温にて攪拌下滴下
した。1時間反応後酢酸エチル500mlを加え、分液
ロートに移し水洗浄した。希塩酸で中和後再び水洗浄
し、油層を分離した。溶媒を減圧で留去し、残留物をカ
ラムクロマトグラフィーにより分離・精製した。充てん
剤としてはシリカゲルを用い溶離液としては酢酸エチル
/ヘキサン(1/1)を用いた。中間化合物(C)を含
むフラクションを集め溶媒を留去することにより、ワッ
クス状の中間化合物(C)を21.2g得た。
【0033】第三工程:例示化合物(1)の合成 前工程で得た(C)の4.7gをエタノール40mlお
よび酢酸エチル50mlの混合溶媒に溶解した。この溶
液に室温にて、攪拌下、炭酸ナトリウム4.1gを溶解
した水30mlを加えた。この溶液に、4−{N−エチ
ル(2−ヒドロキシエチル)アミノ}−2−メチルアニ
リン硫酸塩(D−1とする)の1.7gを加えた。この
溶液に過硫酸アンモニウム1.7gを溶解した水30m
lを滴下した。滴下後1時間攪拌し、酢酸エチル200
mlを加え分液ロートに移し水洗浄した。希塩酸で酸性
にした後、さらに水洗浄を2回行った。油層をとり溶媒
を減圧で留去した。残留物をカラムクロマトグラフィー
により分離・精製した。充てん剤としては、シリカゲル
を用い、溶離液としては酢酸エチル/ヘキサン(1/
1)を用いた。例示化合物(1)を含むフラクションを
集め溶媒を減圧で留去することにより、融点111〜1
13℃の例示化合物(1)の2.1gを得た。
【0034】実施例2〜10 例示化合物(2)〜(1
0)の合成 実施例1と同様にして合成した。用いた原料を表1に示
す。
【0035】
【表1】 注1)実施例1で用いた(A−1)の代りに用いる原料
を意味する。構造式を以下に示す。
【0036】
【化11】
【0037】
【化12】
【0038】注2)実施例1で用いた(D−1)の代り
に用いる原料を意味する。構造式を以下に示す。
【0039】
【化13】
【0040】実施例11〜20 λmaxおよびεの測
定 本発明化合物の、色素としての吸収特性を明らかにする
ため、酢酸エチル溶媒中での吸収特性を測定した。測定
したλmaxおよびεを表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】実施例21 光学フィルター(溶媒)とし
ての吸収形の比較 本発明の化学物の光学フィルターとしての基本的特性を
明らかにする目的で、酢酸エチル溶液での吸収スペクト
ルを比較した。本発明化合物の代表的な例として、
(1)、(2)、(3)および(4)を用いた。比較用
化合物として下記(R−1)を用いた。結果(吸収スペ
クトル)を図1および図2に示す。本発明化合物では極
めて長波端吸収のキレ(裾キレ)がよく、光学フィルタ
ーとして優れていることが明らかである。それに比較し
て比較用化合物(R−1)では裾キレがよくない。
【0043】
【化14】
【0044】実施例22 湿熱および光に対する安定性
の評価 下塗り層を設けてあるトリアセチルセルロースフィルタ
ー支持体上に下記に示す組成の各層を塗布し、試料22
−1を作製した。 (1)イエローフィルター層 例示化合物(1) 0.22g/m2 トリクレジルフォスフェート 1.00g/m2 ゼラチン 3.80g/m2 (2)保護層 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S− トリアジンナトリウム 0.10g/m2 ゼラチン 1.80g/m2
【0045】試料22−1の例示化合物(1)を、他の
本発明化合物および比較用化合物に等モルで置き変えて
試料22−2〜22−9を作製した。イエロー濃度を測
定したところ、0.45〜0.55の範囲にあった。次
に各々の試料を2分割し、一方を60℃相対湿度70%
の条件下14日間、他方を2万ルックスの蛍光灯照射下
に7日間放置した後、イエロー濃度を測定した。それぞ
れの濃度を、退色試験を行う前の濃度に対する百分率に
より、色素残存率を求めた。結果を表3に示す。
【0046】
【表3】
【0047】表3から明らかなように、比較試料は湿熱
および光に対してイエロー濃度の低下が大きいが、本発
明試料ではほとんど低下せず、化合物の安定性に優れて
いることが明らかである。
【0048】一方、本実施例からは、耐拡散基を有する
本発明化合物は、高沸点有機溶媒に溶解させてゼラチン
マトリックス中に分散することが容易であることがわか
る。この方法は写真感光材料の塗布膜中、特定の写真層
を染色する1つの方法である。すなわち、耐拡散基を有
する化合物の場合、現像処理工程において、他層もしく
は処理液に流出することがないので有利である。
【0049】
【発明の効果】本発明の化合物は優れた色相を示す。特
にイエロー色素として重要な長波側の裾切れが良く、色
再現性を重視するカラー写真感光材料、各種光学フィル
ター用色素、インクジェット用色素、印刷用色素などに
適している。また湿・熱および光に対して堅牢であり、
このことも先に述べた用途に適している理由である。
【図面の簡単な説明】
【図1】例示化合物(1)および(3)の吸収スペクト
ルである。
【図2】例示化合物(2)および比較用化合物(R−
1)の吸収スペクトルである。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で示されるアゾメチン
    系化合物。 一般式(I) 【化1】 (式中、R及びRは各々脂肪族基又は芳香族基を表
    わし、Rハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、
    アシルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、
    スルファモイル基、N−スルホニルスルファモイル基、
    アルコキシ基、スルホニル基、フェノキシ基、シアノ
    基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホ基、N−
    アシルスルファモイル基またはアルキル基を置換基とし
    て有する芳香族基を表わし、Arはパラ位に脂肪族アミ
    ノ基を有する芳香族基を表わす。)
  2. 【請求項2】 請求項1記載の一般式(I)で表わされ
    るアゾメチン系化合物よりなることを特徴とする色素。
  3. 【請求項3】 一般式(I)においてR の芳香族基が
    オルト位にハロゲン原子又はアルコキシ基を有すること
    を特徴とする請求項2記載の色素。
  4. 【請求項4】 一般式(I)で示される化合物が耐拡散
    基を有することを特徴とする請求項2又は3記載の色
    素。
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