JP2646135B2 - 段ボール用接着剤 - Google Patents

段ボール用接着剤

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JP2646135B2 JP1147071A JP14707189A JP2646135B2 JP 2646135 B2 JP2646135 B2 JP 2646135B2 JP 1147071 A JP1147071 A JP 1147071A JP 14707189 A JP14707189 A JP 14707189A JP 2646135 B2 JP2646135 B2 JP 2646135B2
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、メイン部澱粉成分である生澱粉と、キヤリ
ヤー部澱粉成分であるα澱粉とを必要な薬品とともに含
み、一液方式又は1バック方式で調製される段ボール用
接着剤に関する。特に、段ボールの高速貼合が可能な高
速コルゲーター用の接着剤として好適な発明である。
以下に、本明細書で使用される略号・特定用語の説明
をしておく。
(1)略号: α澱粉……アルフア澱粉、 db……乾燥基準(dry base)、 BU……ブラベンダーユニット(Brabender Unit);ブラ
ベンダーアミログラムの粘度単位、 rpm……回毎分(revolutions per minute)、 wt%……重量%、 部……重量部、 cPs……センチポイズ、 (2)用語の定義:「澱粉科学実験法」朝倉書店刊、19
79年発行/第267頁を参考にした。
安定粘度: 試料澱粉30g(db)をビーカーにとり、同量のメタノ
ールを分散剤として均一に含浸させる。全量の500gとす
るように30℃の純水を加え、激しく撹拌し、直ちにブラ
ベンダーアミログラム(700cm・gのもの)の容器に移
し始動させ、30℃に保持しながら一定速度(75rpm)で
回転させ30分間測定する。この場合における30分後のブ
ラベンダー粘度(BU)を試料澱粉の6wt%(db)におけ
る安定粘度とする。以下、安定粘度は断らない限り6wt
%(db)におけるものを意味する。
溶解度: 試料澱粉1g(db)を精秤し、目盛付共栓遠沈管にと
り、メタノール1mlを含浸させ、ガラス棒でかきまぜな
がら30℃の純水を加え50mlの標線を満たす。ときどき振
とうしながら30℃で30分間放置する。その後30分間4500
rpmで遠心分離し、上澄液を秤量びんに採取、沸騰水浴
上で蒸発乾固させ、110℃で3時間減圧乾燥し秤量す
る。次式により算出されたものを溶解度とする。以下、
溶解度%は断らない限りdbにおけるものを意味する。
溶解度(S)db%= (上澄液乾燥重量g/1g)×100 <従来の技術> 上記のような段ボール用接着剤の調製は、従来ステイ
ンホール方式(2−タンク方式)が主流であつた。しか
し、ステインホール方式は、メイン部とキヤリヤー部と
を別々に調製しなければならず、かつ、複雑な製糊装置
を必要とするなど調製が面倒で調製工数も嵩んだ。
このため、ステインホール方式に代えて、一液方式ま
たは1−パツク方式により段ボール用接着剤を1つのタ
ンク内で調製する方法が主流になりつつある。
一液方式とは、メイン部澱粉成分である生澱粉と、キ
ヤリヤー部澱粉成分であるα澱粉とを1つのタンクの中
で混合懸濁させた後、さらに、苛性ソーダ、ホウ砂など
の必要な薬品を添加して接着剤糊液を調製する方法であ
る(特公昭38−10983号公報等参照)。
1−バツク方式とは、生澱粉とα澱粉とを必要な薬品
とともにあらかじめ混合しておいて、使用直前に1つの
タンク中で水に溶解又は分散させ接着剤糊液を調製する
ものである(特公昭52−39619号公報、「澱粉科学ハン
ドブツク」朝倉書店刊:1977年発行/第589頁、等参
照)。
<発明が解決しようとする課題> しかし、上述の一液方式又は1バツク方式で調製した
従来の段ボール用接着剤糊液は、前記ステインホール方
式で調製したものに比して、耐剪断性、保水性および粘
度安定性等の特性において一般的に劣つていた。これら
の特性は、特に、高速コルゲーターを使用して段ボール
を高速貼合(高速接着)する場合に要求されるものであ
るため、上記1−タンク方式で調製した接着剤では、高
速コルゲーターの高速貼合に対応が困難であった。
即ち、キヤリヤー部の役割をするα澱粉が剪断力や熱
により糊液中で崩壊され易いため、使用時に急激に糊液
粘度が低下する等、接着剤の粘度安定性が良好でない。
従って、高速コルゲーターを使用して段ボールを高速貼
合するに際して、糊付けロール面への糊あがりや段ボー
ル中芯の段頂への接着剤糊液の転着が不安定となり、望
ましくない。
また、キヤリヤー部の保水性が乏しいため、段ボール
中芯に転着後のメイン部澱粉が水分不足となる。従っ
て、メイン部澱粉の膨潤糊化が不十分となり、段ボール
の接着不良が発生し易く、望ましくない。
本発明は、上記にかんがみ、1−タンク方式の段ボー
ル用接着剤において、段ボールの高速貼合に対応できる
接着剤を提供することを目的とする。
<課題を解決するための手段> 本発明の段ボール用接着剤は、上記課題を下記構成に
より解決するものである。
メイン部澱粉成分である生澱粉と、キヤリヤー部澱粉
成分であるα澱粉とを必要な薬品とともに含み、一液方
式又は1バツク方式で調製される段ボール用接着剤にお
いて、前記α澱粉として低粘度化処理α澱粉であって、
低粘度化処理α澱粉の6wt%(db)における安定粘度
(30℃)が、ブラベンダーアミログラムの30分線上にお
いて、70〜700BUの範囲があるとともに、低粘度化処
理α澱粉の水に対する溶解度(30℃)が、20%(db)以
上であるものを使用することを特徴とする。
<構成の詳細な説明> A.本発明で使用する低粘度化処理α澱粉(以下「低粘度
化α澱粉)という。)は、生澱粉を公知の方法で低粘度
化し、さらにやはり公知の方法(熱ローラー法・押出し
法・煮沸乾燥法等)でα化したものである。
上記原料澱粉(生澱粉)としては、特に限定されず、
タピオカ、甘藷・馬鈴薯・小麦澱粉及びコーンスターチ
・ワキシコーンスターチのような天然澱粉、さらにはそ
れらをエーテル化,エステル化した加工澱粉を単独で又
は混合して使用できる。特にタピオカ・馬鈴薯等の地下
系の澱粉は、α化後も膨潤溶解性が高くなめらかな糊液
を再現するので好ましい。
低粘度化は、塩酸・硫酸・リン酸等の無機酸又は酢酸
・シユウ酸等の有機酸で処理する酸処理;各種アミラー
ゼ等を用いての酵素処理;次亜鉛素酸又はその塩で処理
する酸化処理;加熱焙焼によるデキストリン化処理;等
の方法を単独で又は組み合せて行なう。なお、天然澱粉
を低粘度化した後に、さらにエーテル化・エステル化等
の処理を施してもよい。
低粘度化の度合は、原料澱粉の種類によりその幅は異
なるが、一般的には、低粘度化α澱粉の6wt%(db)に
おける糊液の安定粘度(30℃)が、ブラベンダーアミロ
グラムの30分線上において70〜700BUの範囲であり、望
ましくは80〜500BUの範囲である。低粘度化の程度が低
すぎると(一般的に安定粘度が高い。)、生澱粉を単に
α化させただけの従来のものとの差がでず、本発明の効
果を奏しない。他方、低粘度化が過度であると(一般的
に安定粘度が低い。)、初期接着力がかえつて低下し、
また、最終的な接着強度も低下して望ましくない。
低粘度化α澱粉の水に対する溶解度(30℃)は20%以
上、望ましくは40〜100%とする。20%未満である場合
には、接着剤糊液の粘度安定性への寄与度が小さく、ま
た、接着剤の紙層内部への所定の浸透性を確保し難く、
接着性能が低下する。
B.段ボール用接着剤の調製方法を一液方式および1−パ
ツク方式のそれぞれに適用する場合の各態様について説
明する。
なお、α澱粉は表面の水親和性が高くて、継粉になり
易い性質を有する。このため、製糊装置の撹拌力が弱く
て継粉が出来るおそれがある場合には、ホウ酸塩・硫酸
塩等の無機塩類を低粘度化処理澱粉に対して0.1〜10wt
%、好ましくは1.0〜5.0wt%添加してα化することが望
ましい。ここで、無機塩類が0.1wt%未満では継粉発生
防止効果がなく、また10wt%を超えるとα澱粉の溶解性
が悪くなるので接着剤の接着性能が低下してしまう。な
お無機塩類としては、澱粉と水素結合により強固に結合
するホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩が好ましい。
また、メイン部澱粉となる生澱粉としては、前述のキ
ヤリヤー部澱粉の原料澱粉として例示したものが使用で
きる。
(1)一液方式: 使用する全澱粉量(生澱粉とα澱粉との合計量)の2.
5〜4.0倍量の水(必要に応じて25〜45℃に加温)に、 メイン部澱粉……100部 キヤリヤー部澱粉(低粘度化処理α澱粉)……5〜35
部 苛性ソーダ……2〜5部 を撹拌しながら投入する(投入の順序は問わない)。撹
拌を継続して生澱粉の膨潤反応を進行させ、懸濁液の粘
度が所定の値(要求される接着剤組成によつて異なるが
50〜3000cPs、好ましくは100〜1000cPsの範囲)になつ
たところで、ホウ酸又はホウ砂を1〜5部添加して、反
応を停止させ接着剤糊液を調製する。
(2)1−パツク方式: 使用する全澱粉量の2.5〜4.0倍量の水(必要に応じて
あらかじめ25〜45℃に加温)に、 メイン部澱粉……100部 キヤリヤー部澱粉(低粘度化処理α澱粉)……5〜35
部 ホウ酸又はホウ砂……1〜5部 の割合で配合した混合物を撹拌しながら投入し、その後
2〜5部の苛性ソーダを所定濃度(5〜30wt%)の水溶
液として、上記懸濁液中に添加して接着剤糊液を調製す
る。
なお、この場合に苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)の
代わりに、常態で粉末状のソーダ灰(炭酸ナトリウ
ム)、消石灰(水酸化カルシウム)等のアルカリ物質を
上記粉体中にあらかじめ混合しておいて、該混合物を水
に溶解・分散させるのみで接着剤糊液を調製し得るいわ
ゆる“完全1パツク方式”で調製してもよい。
<発明の作用・効果> 本発明の段ボール用接着剤は、上記の如く、メイン部
澱粉成分である生澱粉と、キヤリヤー部澱粉成分である
α澱粉とを必要な薬品とともに含み、一液方式又は1パ
ツク方式で調製される段ボール用接着剤において、前記
α澱粉として、安定粘度が特定範囲にあるとともに所定
値以上の溶解度を示す低粘度化処理α澱粉を使用するこ
とにより、下記のような作用・効果を奏する。
粘度安定性が向上し、糊付けロール面への糊上がりや
中芯段頂への接着剤糊液の転着性が安定する。
接着剤糊液の保水性が向上し接着強度が向上する。
従って、本発明の段ボール用接着剤を高速コルゲータ
ーに適用した場合に、キヤリヤー用澱粉として、従来
の、生澱粉を単にα化しただけのものを使用した場合に
比べて、大幅に接着スピードが向上し、かつ接着不良の
発生率も低減する。よつて、本発明の段ボール用接着剤
は、高速コルゲーターの速度に対応可能である。
<実施例> 以下、本発明の効果を確認するために、実施例をあげ
て説明するが、本発明の技術的範囲はこれらに限定され
るものではない。
そして、各実施例における糊液特性及び接着性能の試
験方法については、次の通りである。
(1)糊液特性 粘度:各接着剤糊液の粘度を、出来あがり時,4時間経
過後,24時間経過後にそれぞれB型粘度計(東京計器株
式会社製;回転子2号,60rpm)とホードカツプ(HC粘
度;全国段ボール工業組合連合会認定品)により測定し
た。
保水性:標準定性用ろ紙(東洋ろ紙No.2)の上に、調
製後2時間経過した各接着剤糊液を1滴落して、まわり
に水の浸み出すまでの時間を測定した。
(2)接着性能 5cm×8cmのAフルート片面段ボールピース(中芯125g
/m2)の段頂部に、調製後2時間経過した各接着剤糊液
を一定量塗布し、同じ大きさのKライナーピース(280g
/m2)を貼り合せ、その上から150℃・1kgのアイロンで
5秒間加熱圧着して、接着力測定用のサンプルを得た。
初期接着力:加熱圧着後の上記サンプルを直ちに自社
製の剥離装置を使用して引き剥し(引張接着強さ:kgf/
(5×8)cm2)、最大剥離強度を測定した。
常態接着力:上記サンプルを20℃・65RH%の条件下で
1日間調湿後,JIS Z−0402に基づいて測定した。
別表2に示す試験結果から、各実施例は各比較例に比
べて、接着剤の糊液特性が良好で、かつ接着能力に優れ
ることが理解できる。
実施例1 タピオカ澱粉8kgを水10に懸濁し、50℃まで昇温す
る。18%硫酸700gを添加して50℃で撹拌しながら、酸処
理反応をさせ、30分後,2時間後,4時間後にそれぞれ反応
液を一定量分取して、5%苛性ソーダ溶液でpH5.5に調
整し、洗浄,脱水後50〜60℃で乾燥する。
こうして得た上記各低粘度化処理澱粉を、それぞれ別
々に、ホツトローラーにて糊化,乾燥後、粉砕して低粘
度化処理α澱粉を製造した。これらの安定粘度,溶解度
は以下の通りであつた。
これらの低粘度化α澱粉を使用して、別表1(調製例
A・B・C)に示す割合で混合して、完全1パツク方式
の段ボール用接着剤粉末を得た。そして、該混合物170g
を40℃の水500ml中に撹拌しながら溶解・分散させて段
ボール用接着剤糊液を得た。
実施例2 安定粘度150BU(溶解度72%)の上記α澱粉を別表1
(調製例D)に示す割合で混合して、1パツク方式の段
ボール用接着剤粉末を得た。そして、該混合物170gを40
℃の水500ml中に溶解・分散させた後、撹拌しながら12.
5%の苛性ソーダ溶液32gを一定速度で添加して段ボール
用接着剤糊液を得た。
実施例3 常温の水500ml中にコーンスターチ153g,安定粘度150B
U(溶解度72%)の上記α澱粉17gを投入し、溶解・分散
させた後、撹拌しながら17%の苛性ソーダ溶液32gを添
加する。その後、懸濁液を40℃まで昇温する。所定の粘
度(350±30cPs)になつたところでホウ酸2.46gを添加
して、メイン部澱粉の膨潤反応を停止させ、段ボール用
接着剤糊液を得た(調製例E)。
比較例1 未処理のタピオカ澱粉,コーンスターチをそれぞれ別
々にホツトローラーにて糊化,乾燥後粉砕して、α澱粉
を製造した。これらの安定粘度,溶解度は、以下の通り
であつた。
これらのα澱粉を使用して、別表1(調製例F・G)
に示す割合で混合して、実施例1と同様に調製して段ボ
ール用接着剤糊液を得た。
比較例2 比較例1で使用したα澱粉を別表1(調製例H・I)
に示す割合で混合して、実施例2と同様に調製して段ボ
ール用接着剤糊液を得た。
比較例3 比較例1で使用したα澱粉を以下に示す割合で使用す
る以外は、実施例3と同様に調製して段ボール用接着剤
糊液を得た。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】メイン部澱粉成分である生澱粉と、キヤリ
    ヤー部澱粉成分であるα澱粉とを必要な薬品とともに含
    み、一液方式または1パツク方式で調製される段ボール
    接着剤において、 前記α澱粉が、低粘度化処理α澱粉であって、 該低粘度化処理α澱粉の6wt%(db)における安定粘度
    (30℃)が、ブラベンダーアミログラムの30分線上にお
    いて、70〜700BUの範囲であるとともに、 前記低粘度化処理α澱粉の水に対する溶解度(30℃)
    が、20%(db)以上であることを特徴とする段ボール用
    接着剤。
  2. 【請求項2】前記低粘度化処理α澱粉の水に対する溶解
    度(30℃)が、40〜100%(db)であることを特徴とす
    る請求項1記載の段ボール用接着剤。
  3. 【請求項3】前記低粘度化処理α澱粉の6wt%(db)に
    おける安定粘度(30℃)が、ブラベンダーアミログラム
    の30分線上において80〜500BUの範囲であることを特徴
    とする請求項1または2記載の段ボール用接着剤。
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