JP2622472B2 - ユニット式建物の耐火構造 - Google Patents

ユニット式建物の耐火構造

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JP2622472B2 JP4210108A JP21010892A JP2622472B2 JP 2622472 B2 JP2622472 B2 JP 2622472B2 JP 4210108 A JP4210108 A JP 4210108A JP 21010892 A JP21010892 A JP 21010892A JP 2622472 B2 JP2622472 B2 JP 2622472B2
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康仁 植田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ユニット式建物の骨組
みを耐火被覆するための構造に関する。
【0002】
【背景技術】複数の建物ユニットを組み合わせることに
より建てられるユニット式建物が一定高さを越える場合
や共同住宅等の用途に供される場合には、法律上、ユニ
ット式建物の梁、柱等の骨組みを耐火被覆材で被覆し、
耐火構造としなければならない。ユニット式建物の骨組
みを耐火被覆材で被覆する従来の構造は、特公昭51−
14806号、特開昭64−39447号等に示されて
いる。これらの従来の耐火構造では、耐火被覆材はケイ
カル(珪酸カルシウム)板等による硬質面材からなり、
この硬質面材製の耐火被覆材をユニット式建物の梁、柱
等の外面に取り付けていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ユニット式建物の骨組
みである柱、梁等は、側面、下面のように、角度をなす
複数の面を有する。従来、これらの面に硬質面材製の耐
火被覆材を被覆して耐火構造とするためには、耐火被覆
材を各面毎に切断形成されたものとして用意し、これら
の耐火被覆材を各面に取り付けて被覆しなければならな
かった。これによると、耐火被覆材の切断作業に多くの
手間と時間がかかり、作業性の点で問題が生ずる。
【0004】また、硬質面材製の耐火被覆材の端部が耐
火性床材や、耐火性外壁材等の耐火性材料と接触する場
合には、従来、これらの間に隙間が生じないようにする
ため、耐火性を有するコーキング材を充填しなければな
らない場合があり、この作業のためにも多くの手間と時
間が必要であった。
【0005】 本発明の目的は、ユニット式建物の骨組
みの角度をなす少なくとも2つの面を簡単な作業で耐火
被覆でき、また、コーキング材等を使用しなくても、耐
火被覆材の端部と耐火性材料とを隙間が生じることなく
確実に接触させることができるようになるユニット式建
物の耐火構造を提供するところにある。
【0006】
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の第1発明は、ユ
ニット式建物の凹部を有する骨組みに、この骨組みの長
手方向に沿って延び、かつ、この骨組みの一部を覆う面
状の耐火性材料を取り付けるとともに、前記骨組みの残
りの部分の少なくとも一部を構成し、この骨組みの角度
をなす少なくとも2つの面を耐火被覆材で被覆するユニ
ット式建物の耐火構造であって、前記耐火被覆材を柔軟
性を有するものとし、この耐火被覆材を前記骨組みの
前記凹部開口に架けわたされ前記耐火被覆材を押し当て
る当て部材を介して角度をなす少なくとも2つの面に沿
って屈曲させ、かつ、前記耐火被覆材の前記耐火性材料
側の端部をこの耐火性材料の面部に沿って形成したフラ
ンジ状の固定部とし、この固定部は前記耐火性材料の前
記面部に圧縮密接されていることを特徴とするユニット
式建物の耐火構造である。
【0008】 以上において、柔軟性を有する耐火被覆
材は、例えばロックウール、セラミックファイバ等によ
って構成されているものであり、耐火性材料とは、例え
ば耐火性床材や、耐火性外壁材等である。
【0009】 本発明の第2発明は、第1発明におい
て、ユニット式建物を複数の建物ユニットを組み合わせ
て構成し、これらの建物ユニットを柱と梁とを含んで形
成された骨組みを有するものとするとともに、柔軟性を
有する耐火被覆材で、隣接する建物ユニットの隣合う梁
を一括して被覆したことを特徴とするものである。
【0010】
【0011】
【作用】第1発明では、耐火被覆材は柔軟性を有するた
め、屈曲可能である。このため、ユニット式建物の骨組
みの角度をなす少なくとも2つの面に耐火被覆材を屈曲
させることによって被覆させることができ、これらの面
毎に硬質面材製の耐火被覆材を切断形成する必要がなく
なり、耐火被覆作業が容易となる。また、柔軟性を有す
る耐火被覆材は圧縮可能であるため、この耐火被覆材の
フランジ状の固定部となった端部をユニット式建物の硬
質の耐火性材料に圧縮密接させると、コーキング材を使
用しなくても、耐火被覆材の端部と耐火性材料とを隙間
が生じることなく確実に接触させることができる。
【0012】 第2発明では、隣接する建物ユニットの
隣合う梁は柔軟性を有する耐火被覆材で一括して被覆さ
れるため、梁を個々に被覆しなくてもよくなり、作業が
簡単となる。
【0013】
【実施例】以下に本発明の一実施例を添付図面に基づい
て説明する。図1は本実施例にかかる耐火構造が施工さ
れたバルコニ付きユニット式建物を示す。このユニット
式建物は、居住スペースを形成する建物ユニット1〜4
と、屋根を形成するルーフユニット5〜7とを組み合わ
せることにより構成され、図面では、ユニット式建物は
2階建てに示されているが、3階建て以上でもよい。
【0014】建物ユニット1〜4の骨組みは、四隅の4
本の柱の上下端を各4本の下梁、上梁で連結することに
より、直方体状に形成され、これらの柱、下梁、上梁の
うち、図面では、建物ユニット1の柱8,9、下梁10,
11、上梁12,13、建物ユニット2の柱14、下梁15、上梁
16、建物ユニット3の柱17,18、下梁19,20、上梁21,
22、建物ユニット4の柱23、下梁24、上梁25が示されて
いる。これらは建物ユニット1〜4の骨組みになってい
るとともに、ユニット式建物の骨組みにもなっている。
ルーフユニット5〜7は、四角枠状に組まれた4本の梁
の上部に下地材を介して屋根材を取り付けたものであ
り、図面では、ルーフユニット5の梁26,27、下地材2
8、屋根材29、ルーフユニット6の梁30,31、下地材3
2、屋根材33、ルーフユニット4の梁34、下地材35、屋
根材36が示されている。梁26,27、30,31,34は、ルー
フユニット5〜7の骨組みになっているとともに、ユニ
ット式建物の骨組みにもなっている。また、屋根材29,
33,36はセメント板からなり、耐火性を有する。
【0015】建物ユニット1の上梁12,13、建物ユニッ
ト2の上梁16、建物ユニット3の上梁21,22、建物ユニ
ット4の上梁25には、小梁37〜40が水平に架け渡され、
これらの小梁37〜40の下面には天井材41〜44が取り付け
られている。また、建物ユニット1の下梁10,11、建物
ユニット2の下梁15、建物ユニット3の下梁19,20、建
物ユニット4の下梁24には、床材45〜48が水平に架け渡
されているとともに、建物ユニット1,3の外面には、
外壁材49,50が垂直に取り付けられ、これらの床材45〜
48、外壁材49,50は軽量気泡コンクリート(ALC)に
よる大面積の面材からなり、従ってこれらは耐火性材料
となっている。
【0016】建物ユニット3の下梁19にはブラケット51
が取り付けられ、このブラケット51にバルコニ床材52の
一端が結合され、バルコニ床材52の他端は、ルーフユニ
ット5の梁26を上端で支持する支柱53にブラケット54を
介して結合されている。
【0017】建物ユニット1の下梁10は耐火被覆材55で
被覆され、また、建物ユニット1の下梁11と建物ユニッ
ト2の下梁15は耐火被覆材56で、建物ユニット1の上梁
12と建物ユニット3の下梁19は耐火被覆材57,58で、建
物ユニット1の上梁13と建物ユニット3の下梁20と建物
ユニット2の上梁16と建物ユニット4の下梁24は耐火被
覆材59,60で、ルーフユニット5の梁27と建物ユニット
3の上梁21とルーフユニット6の梁30は耐火被覆材61,
62で、建物ユニット3の上梁22と建物ユニット4の上梁
25とルーフユニット6の梁31とルーフユニット7の梁34
は耐火被覆材63でそれぞれ被覆されており、ユニット式
建物の骨組みを形成しているこれらは、耐火構造となっ
ている。
【0018】以上の耐火被覆材55〜63は柔軟性を有し、
これらは例えばフレックスガード(商品名、ニチアス株
式会社製)からなり、順にロックウール、セラミックフ
ァイバ、不織布が積層された複合材料となっており、か
つ、その表面に亀甲金網が設けられている。
【0019】図2は、図1で示した耐火被覆材57の部分
の拡大図である。建物ユニット1の上梁12,建物ユニッ
ト3の下梁19はチャンネル材からなり、これらの下梁1
2、上梁19の開口部側には当て部材64,65が接合され、
当て部材64,65は下梁12、上梁19の開口部側の側面12A
,19A を形成している。
【0020】柔軟性を有する耐火被覆材57は、下梁12、
上梁19の側面12A ,19A に沿った垂直部57A と、下梁12
の下面12B に沿った水平部57B とに屈曲され、ワッシャ
66A付きのピン66が耐火被覆材57の外側から側面12A ,1
9A に打ち込まれることにより、耐火被覆材57は下梁1
2、上梁19に固定される。これにより、上下2個の梁1
2,19の側面12A ,19A が同じ耐火被覆材57によって被
覆されるとともに、下梁19の直角をなす側面12A と下面
12B も同じ耐火被覆材57によって被覆される。
【0021】このため、ユニット式建物の骨組みとなっ
ている梁12,19の側面12A ,19A と梁12の下面12B とを
耐火被覆材で被覆して耐火構造とするとき、これらの側
面12A ,19A と下面12B 毎に切断形成された耐火被覆材
をこれらの側面12,19と下面12B とに取り付ける必要が
なく、柔軟性を有する一つの耐火被覆材57を垂直部57A
と水平部57B とに屈曲させて側面12A ,19A と下面12B
とに取り付ければよいため、この耐火被覆作業を容易に
行なえる。
【0022】 耐火被覆材57の一方の端部57C は建物
ユニット3の耐火製床材47の面に沿って形成されたフラ
ンジ状の固定部とされるとともに、耐火製床材47にワッ
シャ66A 付きのピン66で固定されている。また、他方の
端部57D は建物ユニット1の耐火性外壁材49の面に沿
って形成されたフランジ状の固定部とされるとともに、
耐火性外壁材49にワッシャ66A 付きのピン66で固定され
ている。これらの端部57C ,57D は圧縮可能な柔軟性を
有するため、ワッシャ66A でその表面が押圧されること
により、端部57C ,57D は耐火性床材47、耐火性外壁材
49に圧縮されながら密接することになり、このため、端
部57C と床材47および端部57D と外壁材49を隙間なく接
触させることができ、これらの間にコーキング剤を充填
しなくても、耐火性を有する材料同士を連続させること
ができる。
【0023】図3は、図1で示した耐火被覆材59の部分
の拡大図である。建物ユニット1の上梁13、建物ユニッ
ト2の上梁16、建物ユニット3の下梁20、建物ユニット
4の下梁24の開口部側には当て部材67〜70が接合され、
これらの当て部材67〜70によって梁13,16,20,24の開
口部側の側面13A ,16A ,20A ,24A が形成されてい
る。柔軟性を有する耐火被覆材59は、梁13,20の側面13
A ,20A に沿った垂直部59A と、梁16、24の側面16A ,
24A に沿った垂直部59B と、梁13,16の下面13B,16B
に沿った水平部59C とに屈曲され、ワッシャ66A 付きの
ピン66で梁13,16,20,24に固定されている。また、耐
火被覆材59の一方の端部59D は、耐火製床材48の面に沿
って形成されたフランジ状の固定部とされるとともに、
建物ユニット3の耐火性床材47にワッシャ66A 付きのピ
ン66で固定されている。また、他方の端部59E は建物
ユニット4の耐火性床材48の面に沿って形成されたフラ
ンジ状の固定部とされるとともに、耐火性外壁材49にワ
ッシャ66A 付きのピン66で固定されている。
【0024】 これによれば、同一の耐火被覆材59によ
って梁13,16,20,24を一括して囲うことができるとと
もに、梁13,16の直角をなす側面13A ,16A と下面13B
,16B を屈曲させた耐火被覆材59によって被覆するこ
とができ、被覆作業を容易に行なえる。また、耐火被覆
材59の両端部59D ,59E をピン66のワッシャ66A によっ
て耐火性床材47,48に圧縮させて密接させることがで
き、両端部59D,59E はフランジ状の固定部となってい
て接触面積が大きいので、これらの間にコーキング剤を
充填する必要がない。
【0025】なお、耐火被覆材を梁等に固定するためめ
には、梁等に予めピンを溶接で立設し、このピンに外側
から耐火被覆材を押し込んでピン先端を耐火被覆材の表
面から突出させ、このピン先端にワッシャを挿入してか
らピン先端を折り曲げ、この折り曲げられてピン先端で
ワッシャを係止するようにしてもよい。
【0026】以上説明した実施例では、耐火被覆材は複
数の梁を同時に被覆するものとなっていたが、耐火被覆
材は1本の梁だけを被覆するものでもよく、また、この
梁の耐火被覆材で被覆される面は3面以上でもよく、屈
曲可能な柔軟性を有する耐火被覆材を使用することによ
り、これらの面の被覆作業を簡単に行なえる。また、前
記各実施例では、耐火被覆材によって被覆されるユニッ
ト式建物の骨組みは梁であったが、この骨組みは梁に限
定されず、例えば柱でもよい。
【0027】さらに、前記実施例では、耐火被覆材の端
部が圧縮されて密接されるユニット式建物の耐火性材料
は、床材、外壁材であったが、耐火性材料はこれらに限
定されず、例えば界壁用の壁材や天井材であってもよ
い。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、耐火被覆材を柔軟性を
有する材料としたため、この耐火被覆材を屈曲させるこ
とにより、ユニット式建物の骨組みの角度をなす複数の
面に被覆することができ、耐火被覆材をケイカル板等の
硬質面材製とした場合と異なり、骨組みの面毎に耐火被
覆材を切断形成する必要がなくなり、このため、耐火被
覆作業を容易に行える。また、耐火被覆材をユニット式
建物の骨組みの角度をなす複数の面に被覆するに際し、
骨組みの凹部開口に当て部材が架けわたされているので
この当て部材に耐火被覆材を押し当てればよく、複雑な
凹部形状に沿って取り付けなくてもよいので、取り付け
作業が容易である。
【0029】また、本発明によれば、柔軟性を有する耐
火被覆材の端部はフランジ状の固定部となってユニット
式建物の耐火性材料に圧縮密接されているため、耐火被
覆材と耐火性材料との接触面積を大きくとれ、これらの
間にコーキング剤等を充填しなくても、耐火被覆材の端
部と耐火性材料とを隙間が生じることなく確実に接触さ
せることができ、コーキング剤等の充填作業を不要にで
きるため、それだけ作業の容易化を実現できる。また、
耐火被覆材と耐火性材料との接触面積が大きいため、確
実に耐火効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る耐火構造が施工された
ユニット式建物を示す断面図である。
【図2】図1の一部拡大図である。
【図3】さらに他の箇所の図1の一部拡大図である。
【符号の説明】
1〜4 建物ユニット 5〜7 ルーフユニット 8,9,14,17,18,23 ユニット式建物の骨組みであ
る柱 10,11,15, 19, 20, 24 ユニット式建物の骨組みであ
る下梁 19A ,20A ,24A 側面 12,13,16,21,22,25 ユニット式建物の骨組みであ
る上梁 12A ,13A ,16A 側面 12B ,13B ,16B 下面 45〜48 耐火性材料である床材 49,50 耐火性材料である外壁材 55〜63 耐火被覆材 57C ,57D ,59D ,59E 端部(フランジ状の固定部)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実公 昭51−26888(JP,Y2) 特公 平4−37215(JP,B2) 特公 昭62−17056(JP,B2)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ユニット式建物の凹部を有する骨組み
    に、この骨組みの長手方向に沿って延び、かつ、この骨
    組みの一部を覆う面状の耐火性材料を取り付けるととも
    に、前記骨組みの残りの部分の少なくとも一部を構成
    し、この骨組みの角度をなす少なくとも2つの面を耐火
    被覆材で被覆するユニット式建物の耐火構造であって、
    前記耐火被覆材を柔軟性を有するものとし、この耐火被
    覆材を前記骨組みの前記凹部開口に架けわたされ前記
    耐火被覆材を押し当てる当て部材を介して角度をなす少
    なくとも2つの面に沿って屈曲させ、かつ、前記耐火被
    覆材の前記耐火性材料側の端部をこの耐火性材料の面部
    に沿って形成したフランジ状の固定部とし、この固定部
    は前記耐火性材料の前記面部に圧縮密接されていること
    を特徴とするユニット式建物の耐火構造。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のユニット式建物の耐火
    構造において、前記ユニット式建物は複数の建物ユニッ
    トを組み合わせて構成され、これらの建物ユニットの骨
    組みは柱と梁とを含んで形成され、前記柔軟性を有する
    耐火被覆材で、隣接する建物ユニットの隣合う前記梁を
    一括して被覆することを特徴とするユニット式建物の耐
    火構造。
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