JP2622389B2 - 高い腐食疲労強度とすぐれた耐食性を備えたマルテンサイト系ステンレス鋼 - Google Patents

高い腐食疲労強度とすぐれた耐食性を備えたマルテンサイト系ステンレス鋼

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はマルテンサイト系ステンレス鋼の改良に関
し、より具体的には、高い腐食疲労強度と優れた耐食性
が要求される用途、例えば製紙用サクションロール、海
水ポンプ、その他各種化学装置に用いられる材料として
好適なマルテンサイト系ステンレス鋼に関する。
(従来の技術とその問題点) 例えば製紙工業におけるサクションスリーブロールは
白水環境のもとで使用されるため、優れた耐食性と高い
腐食疲労強度が必要とされる。従来、この種の用途には
JIS SCS1材が広く使用されている。しかし乍ら、この
材料は、塩素イオンを含む腐食環境における耐食性及び
疲労強度が十分でなく、特に繰返し応力の作用する条件
下では、早期に材料劣化が進行してロールの折損事故が
発生する等、部材としての安定性に欠けるという問題が
あった。
特に製紙ミルの場合、近年における操業の高速化や、
pH値の低下、S2O3 -2イオンの増加等による白水の腐食性
環境が残酷になるにつれ、耐食性及び腐食疲労強度の改
善が要請されている。
本発明はかかる要請を満たした新規な材料を提供する
ものである。
(技術的手段及び作用) 本発明にかかるステンレス鋼は、C0.06%以下、Si2.0
%以下、Mn2.0%以下、Ni4.5〜7.0%、Cr14〜17%、Mol
〜3%、CuO0.5〜1.5%を含有し、残部実質的にFeから
なる成分組成を有している。
なお、上記の「%」は全て重量「%」であり、以下の
説明においても同じである。
本発明のマルテンサイト系ステンレス鋼は、高い腐食
疲労強度と優れた耐食性を備えている。
本発明のマルテンサイト系ステンレス鋼は、塩素イオ
ンを含む腐食環境中で使用される製紙用サイクションロ
ール、化学装置材料、ポンプ部品、海水機器材料として
特に適している。
本発明のステンレス鋼の成分限定理由は次のとおりで
ある。
C:0.06%以下 Cはオーステナイト生成元素であると共に、オーステ
ナイト相に固溶されて生地を強化する働きを有する。し
かし、含有量が多くなると、Cr炭化物を形成し、耐食性
改善に有効なCrが消費されることによって耐食性の低下
を招く。又、Cr炭化物が多量に析出すると靭性が悪化す
る。よって、0.06%を上限とする。
Si:2.0%以下 Siは、溶製時の脱酸剤としての役割を有する。しか
し、多量に含むと脆化等の材料特性の劣化を招くので、
2.0%を上限とする。
Mn:2.0%以下 Mnは上記Siと同様に脱酸剤として作用する他、溶製中
のイオウ(S)を固定する役割を有する。しかし、多量
に含まれると耐食性が低下するので、上限は2.0%とす
る。
Ni:4・5〜7・0% Niは、オーステナイト生成元素であって、ミクロ組織
中に残留オーステナイト相を生成され、靭性及び耐食性
の改善に有効である。又、一般に製紙用のサクションス
リーブロールは、口径1m、鋳造肉厚100mmを超える大径
厚肉のロールであって、通常は遠心力鋳造方法によって
製造される。これについて、従来のSCS1材では、鋳造時
の割れ等を含む種々の問題が鋳造工程で発生した。この
場合、Niを添加することによって鋳造性を改善すること
が出来る。又、適正な量のNiを含有することによって残
留オーステナイト相も適正な量とすることが出来る。こ
の適量の残留オーステナイト相が存在することにより、
靭性が高まり凝固時の凝固形態も改善される。そのた
め、少なくとも4.5%含有する必要がある。しかし乍
ら、多量に含有すると残留オーステナイト量が増加しす
ぎて却って好ましくなく、又Niは高価な元素であるか
ら、コストアップともなる。従って、7.0%を上限とす
る。
Cr:14〜17% Crは、フェライト生成元素であり、フェライト相の形
成による高強度化と、ステンレス鋼としての耐食性を得
るために欠くことの出来ない基本元素である。その含有
量は高強度と高耐食性を確保するために少なくとも14%
を要する。しかし乍ら、多量に含有するとミクロ組織に
おけるフェライト相が増加し、耐食性及び靭性が劣化す
る。従って上限は17%とする。尚、Crの量は、オーステ
ナイト生成元素としてのC、Niと、フェライト生成元素
としてのMoの含有量と密接な関連を有し、本発明の場
合、これ等の点も考慮するとCr量は14〜17%の範囲内が
適当である。
Mo:1〜3% Moは、耐食性、特に孔食に対する抵抗性の改善に大き
な効果を有する。含有量が1%に満たないとその効果が
十分でなく、一方3%を越えると靭性が低下し、又コス
トアップにもなるため、上限な3%とする。
Cu:0.5〜1.5% Cuは、全面腐食に対する抵抗を高めると共に、オース
テナイト相を固溶化する効果がある。特に全面腐食に対
する効果は、前記のMoとの相乗作用によって一層高めら
れる(これについては、後に記す実施例によって明らか
にする)。本発明のステンレス鋼は、各種成分をバラン
スよく含有させたことに加えて、CuとMoとの相乗効果に
よって全面腐食に対する抵抗を飛躍的に高めた点に大き
な意義を有する。これらの効果を十分に発揮させるため
に、少なくとも0.5%の含有を必要とする。一方、あま
りに多く含有すると靭性の低下を招来するので1.5%を
上限とする。
本発明のステンレス鋼は上記成分元素を含有し、残部
は不可避的に混入する不純物元素及びFeからなる。不純
物は、P、Sその他、鋼の溶製時に不可避的に混入する
ものであって、この種の鋼に通常許容される範囲内であ
れば存在しても構わない。
次に、実施例を挙げて本発明のマルテンサイト系ステ
ンレス鋼の耐食性及び腐食疲労度の改善結果を具体的に
説明する。
(実施例) 高周波誘導加熱炉で各種成分の合金を溶製し、遠心力
鋳造にて鋳塊を製造した。各供試材の化学成分組成を第
1表に示す。
各供試材に熱処理(1050℃空冷、650℃焼戻し)を施
し、夫々について全面腐食試験及び腐食疲労強度試験を
行なった。その結果を第2表に示す。なお、各々の試験
方法は次のとおりである。
全面腐食試験は、5%沸騰硫酸中に6時間浸漬し、1
時間毎における1m2当たりの腐食による減量を調べた。
腐食疲労強度試験は、pH3.5、Cl-1000ppm、SO4 2-1000
ppmの液中で、小野式回転曲げ疲労試験機を用いて行な
った。試験機回転数は3000rpm、負荷応力は18kg/mm2
て行ない、破断に要した繰り返しサイクル数を調べた。
前記第1表に於て、供試材No.1は従来のJIS SCS1
材、供試材No.2及び3は本発明のステンレス鋼と比較す
るために調製した比較材、そして供試材No.4は本発明に
係るステンレス鋼である。
第2表の結果から明らかな如く、本発明のステンレス
鋼は、従来材及び比較材に比べて腐食減量は著しく少な
く、優れた耐全面腐食性を示している。
又、腐食環境下に於ける疲労強度においても本発明の
ステンレス鋼は、供試材No.1及び2よりも約7倍、供試
材No.3よりも約3倍もの高い疲労強度を備えている。
これらのすぐれた効果は、何れもMoとCuの相乗効果に
よるところが大きいと考えられる。さらに比較材とし
て、前記と同じ要領にて供試材No.5およびNo.6を作製
し、それらの供試材について全面腐食疲労強度試験と腐
食疲労強度試験を行なった。供試材の化学成分組成と試
験結果を、夫々、第3表と第4表に示す。
供試材No.5は、Crの含有量が本発明の範囲よりも少な
いため、本発明の実施例である供試材No.4よりも腐食減
量が多い。また、供試材No.6についても、CrとNiの含有
量が本発明の範囲よりも少なく、供試材No.4よりも腐食
減量が多い。
このように、MoとCuが相乗効果を発揮する前提とし
て、CrとNiは上記した成分範囲内にあらねばならないこ
とがわかる。即ち、マルテンサイト系ステンレス鋼にお
いて、MoとCuの耐食性に対する相乗効果は、フェライト
−オースナイトが適正にバランスされた組織において認
められるものと考えられる。
(発明の効果) 本発明のステンレス鋼は、耐食性及び腐食疲労強度に
優れている。従って、これ等の特性が要求される、製紙
用ロール、化学装置、ポンプ部品、海水機器等の材料と
して好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭55−89457(JP,A) 特開 昭59−129755(JP,A) 特開 昭60−92455(JP,A) 実開 昭55−164062(JP,U) 特公 昭48−27569(JP,B2)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ステンレス鋼であって、重量%にて、C0.0
    6%以下、Si2.0%以下、Mn2.0%以下、Ni4.5〜7.0%、C
    r14〜17%、Mol〜3%、CuO0.5〜1.5%を含有し、残部
    実質的にFeからなる高い腐食疲労強度とすぐれた耐食性
    を備えたマルテンサイト系ステンレス鋼。
JP62310448A 1987-12-08 1987-12-08 高い腐食疲労強度とすぐれた耐食性を備えたマルテンサイト系ステンレス鋼 Expired - Lifetime JP2622389B2 (ja)

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JPS6092455A (ja) * 1983-10-26 1985-05-24 Hitachi Ltd 水車用鋳鋼

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